◆(いやぁぁぁ…)
島田は声にならない悲鳴をあげる。耳を甘噛みされた。
ピクンッ。身体を硬くした瞬間、醜女が唇を寄せてくる。島田は失禁していた。
「ウゥッ」
「『あさひなぐ』最新巻予約しなよ。」
その囁きを最後に島田は意識を失った。

ガチャ。
30分後、ネグリジェ姿の百合音が室内に入ってくる。
「十和? おらんと?」
見ると部屋の一隅が水浸しになっている。鼻をつく磯の香りが漂う。窓の向こう壇之浦から波の響きが静かに聞こえるだけだ。
…はてなぜここに来たのか、百合音は首をかしげ、部屋をあとにした。きっと間違えたのだ。
慌てて隣の部屋をノックする。
「遅かよ。百年待ったたい。」
自分しか知らない奈歩の拗ねて甘えた姿に百合音は心から幸せを感じる。
「バーカ。」
2人はどこからか声を聞いた。その声が誰のものだったか、もはや思い出すことなく、奈歩は百合音をベッドに押し倒した。