一方、モンスーンは最期の抵抗とばかりに水上に浮かぶ敏光の首を口で捕らえていたが、その行いが最後の命取りとなってしまう
水上の敏光と哲心に気を取られ、水面下から鎌を咥えながら忍び寄る赤い不気味な影の存在に気付けずにいた
予測のできる動き反撃の兆しは無し、容易く進入を果たしたオリオンは狙いをつけ最後にしてはあっけない一太刀を喉笛に浴びせた
感触を覚えたモンスーンだが時すでに遅く、最期の断末魔を上げた拍子に敏光を放すと頭から突っ込み二度と起き上がらなかった
(戦いの後には血と涙しか残らない)
それでもにじり寄ろうとするシリウスにクロスは止めようとするが、これが自分の使命だとシリウスは譲らない
(これが生きる者の使命ならばこの世はなんと無慈悲で虚しい世界であろうか!)
奥羽軍が水面に消えたモンスーンの捜索をしている中、クロスはシリウスに呼び掛けるが
シリウスは既に力なく首を落とし、目を見開いたまま瞳からは光が消えていた
(シリウスここに死す)
海上の奥羽軍は沖へ流されるモンスーンをようやく発見し、ボンは逃がすか!!と意気込むが
オリオンは急所をやったからじきに魚の餌となるだろうと引き止めさせる
(シリウスは争う虚しさを自分の命と引き換えても皆に伝えようとした)
岸から上がる奥羽軍たちは、シリウスの徒ならぬ様子に急いで駆け寄る
(この大義をいつか皆が理解してくれる事を信じて――
彼の生まれてきた意味はここにあった そして今 シリウスもまた奥羽の伝説となる……)
そこへ一筋の流れ星が、熊犬として短命の儚くも素晴らしい運命を示すかのように輝きそして消えていった

それは新たなる銀牙伝説――。ご愛読有難うございました!!高橋先生の次回作は近日登場!!ご期待ください!!

銀牙〜THE LAST WARS〜 完