>>575
原作のラインハルトはこの漫画の理想主義者な愚者のお坊ちゃんと違って
大局を見て清濁併せ呑む事ができる大人だからな

『ヴェスターラント出身の一兵士が、ガイエスブルクを脱出して、
 ラインハルトの陣営に身を投じたのは、核攻撃が実施される前日のことである。
 話を聞いたラインハルトは、艦隊をヴェスターラントに派遣して攻撃を阻止しようとしたが、
 オーベルンシュタイン参謀長がそれをとめた。

「いっそ、血迷ったブラウンシュヴァイク公に、この残虐な攻撃を実行させるべきです」
 冷徹な参謀長は言う。
「そのありさまを撮影して、大貴族どもの非人道性の証とすれば、
 彼らの支配下にある民衆や、平民出身の兵士たちが離反することは疑いありません。
 阻止するより、そのほうが効果があります」

 恐怖を知らない金髪の若者が、このときはさすがにひるむ色を見せた。
「二〇〇万人を見殺しにするのか。なかには女子供も多くいるだろうに」
「この内戦が長びけば、より多くの死者がでるでしょう。
 また、大貴族どもが仮に勝てば、このようなことはこのさき何度でもおこります。
 ですから、彼らの兇悪さを帝国全土に知らしめ、彼らに宇宙を統治する権利はないと
 宣伝する必要があるのです。ここはひとつ……」
「目をつぶれというのか」
「帝国二五〇億人民のためにです、閣下。そして、より迅速な覇権確立のために」
「……わかった」

 ラインハルトはうなずいたが、その表情には、彼独特の華やかさが欠けていた。
傍にいるのがキルヒアイスであれば、絶対にそんなことは勧めないであろう』