ドラックストアで湿布を買おうしていた詩乃は女性店員から顔色がひどいと声をかけられる。
店員は頭の傷の腫れや足元がふらついているのを見て病院へ行くように説得してきた。
親は?仕事?連絡は?と親切で言っているのは理解していたが煩わしくて聞き流していた時、子供が怪我して倒れそうなのに放置なんて親としておかしい、と言われその言葉だけは流れていかなかった。
思わず言った言葉に店員は謝罪したが、詩乃は事実なのだから怒りなど感じなかった。ただ他人の言葉ひどく重く感じた。
詩乃が向かった病院は父親が薬剤師として働いている所だった。怪我の具合を見た父は詩乃の怪我の原因を察しながらも、誰にも言うなよ、と口止めしてもう遅いからさっさと帰れと言った。
そんな態度の父に詩乃はいっそ死ねば良かったのにって思った?私が居なくなれば邪魔なお母さんと別れやすくなるんじゃない?と言った。父はなぜか驚いた顔をして馬鹿なことを、と呟いた。
そこにタクシーが来たことを伝えに看護師が入ってきた。名札には神谷奈都美と書いてある。
タクシーに乗る時に先程の看護師がお父さんの事責めないであげてね、病気のお母さんのためにも早く良くなってね。と声をかけてきた。そんな言葉は気にならず今日の出来事が繰り返し脳内で流れていた。
ずっと母は被害者だと思っていたが理不尽な暴力を受け、苛立ちや疑念が哀れみを上回った。もう母の事なんか好きじゃない、母は殺す事のできない気持ちの悪いウイルスだ。なぜそんなものを守らなければいけないのか、やるせないと思う。
ちはるは自宅で何枚かの写真を眺めながら、玖村って、、、と呟いて終わり。
来週は子供達の会議。