…が、突如不穏な小宇宙が立ち上り、刀剣が見る見るうちに赤錆びていき、
武器を運んだ小間使いたちや鎌倉の御前までも、
苦痛の呻きを上げつつもたちどころに白骨になって頽れていく。
こは何事かと一輝は鳳凰星座の聖衣を装着するも、それすらもが
あっという間に灰にされてしまう。

仕方なく一輝は正宗を手に、一・十・百・千・万…………果ては穣・溝・澗・正・載・極・
恒河沙・ 阿僧祇・那由他・ 不可思議・無量大数……と、空間を超越してその場から飛翔する。

しかしなおも不穏な小宇宙の急速な追跡を感じた一輝は、小宇宙の粋を尽くして
かつて処女宮から逃走したよりも遥かに遠い、無量大数の桁をも遥かに超えた
無辺・無等・不可数・不可称・不可思・不可量・不可説・
不可説不可説転(10^37218383881977644441306597687849648128)の彼方にまで飛翔し、
限界を迎えた身体で地面に着地してひと息つく。

「何っ! ここはまさか……仏陀の掌の上!」
しかし周囲を見渡すとそこは高徳院にある鎌倉の大仏の膝の上であり、周囲の観光客たちが
ママーなにあれーと一輝を指さしてざわめいていた。

一輝「そ…そうか、わかったぞ。己の存在を一切悟らせず、
 この俺をここまで幻惑するほどの恐るべき小宇宙の持ち主。
 率土広しといえど貴様しかおらぬ! まさかアイオロスごとき賊軍の下に身をやつすとはな」
???「フフフ 久しぶりだな一輝よ」

一方その頃、氷河らは海の家で未知の強敵と戦っていた。
ミロ「この家から立ち昇る強大な小宇宙…こいつが本体なのか!?」
氷河「その触手……貴様、海皇軍の尖兵だな!」
???「フフフ…なかなかやるでゲソね」
                               続く

作者コメ:高徳院前の店でNINJAセットをたっぷり買い込んできた