妻歴ほぼ十年。キッチンに立つこと約一万時間。
家ではすっかり料理長、のはずなのに、妻は相変わらずあんちょこを見ながら調理をします。
レシピ本を作業台の上に置き、大匙や小匙を使い、調味料の按配は正確無比。焼き加減もタイマー任せ。
辛抱強く、丹念に、味を模倣します。

うーん。これはこれで家庭料理。おふくろの味…、ということになるのでしょうか。

なんか、冷蔵庫の余りものを使って、目分量で味付けをする、そんな料理が食べたいです。
画家さんがキャンバスに向かって思いのまま絵筆をふるいました、みたいな料理が食べたいです。

家庭料理のプロなのだから、そういう意欲って湧いてこないものですかね。