途中のシベリア(北アジアの事。ウラル山脈以東は全てシベリア)でマルローが「ギーズを上海から追放する為」ソフィーを
誘拐しようと待ち伏せていた。ペーターは命を懸けてソフィーを逃がした為、マルローに殺された。ドイツから中国へ行く為、2
人は途中「シベリア鉄道」に乗った(飛燕もモスクワからハルピンまで行くのに途中、シベリア鉄道を使った)。ソフィーは命
からがらギーズの元まで逃げて来たが、ペーターが殺された事実を後から知り、ショックで流産し、記憶も失った。ギーズらの
両親が死んだ経緯は不明だが、ヒトラーによる「ヨーロッパのユダヤ人弾圧」を懸念し、「誰にも追われる事のない国」を夢
見ていた事をギーズは手紙で知らされていた。フランス本国は国際都市上海の重要性からギーズを陸軍情報武官の大佐
へと昇格させていた。拳志郎がソフィーに初めて会ったのも1935年9月〜12月の間(ギーズはニュルンベルク法の事を
「この年の9月に公布」と言っている)。
●1936年、蒋介石率いる南京政府(国民党)は拳志郎への刺客として流飛燕派遣を決定した。
●1937年8月9日、上海郊外の虹橋飛行場正門前で大山勇夫海軍中尉が中国保安隊によって射殺される「大山事件」が
起こった。第二次上海事変は同年8月13日から10月26日まで。
●エリカの育ての親(ユダヤ人)は「希望の目録」を密かに託され、一家でドイツからソ連へ逃れた。ソフィーもそうだったが、
この時代、ドイツから中国に入る場合シベリア鉄道でソ連を経由するのが1つのルートだった。そして「モスクワ近くの協力者
の家」で「ハルピンのユダヤ人協会」から「モスクワからハルピンまでの一家の護衛役として流飛燕という男を雇って送った」と
いう連絡を受けたが、飛燕が着く前に義父と義兄はナチスの暗殺者に殺された。エリカの義母は「自分の命と引き換えに
エリカは見逃して欲しい」と暗殺者に頼み、自らナイフで胸を突いた。