この流れなので、多くの人が知っているはずなのに誰も言わないことについて触れてみようと思う。
こうのさんは元々『この世界の片隅に』を描いたらマンガ家をやめるつもりだった。

#277 個性がありそうもない暮らしに宿るかけがえのなさ - こうの 史代さん(マンガ家) | mammo.tv
http://www.mammo.tv/interview/archives/no277.html

なぜやめようとしたのかというと、のうのうと生きていては、死に場所を探すように生きていた
当時の人々を描く資格がないと考えたから。自分も某所から引用してみる。

> 今後の漫画活動については、戦災という題材を選んだ時点で、すでに無いものと覚悟しております。
> わたしには漫画家生命を捨てることしか当時の死生観に沿う方法がなかったからです。


もともと、被爆者でもないのに原爆を描いたことの罪悪感に押しつぶされそうになっていて、
だから戦災のマンガを描くためには自分のマンガ家生命を捨てようとした。
右手を失った人を描くためには自分の右手を封じた。
最終話「しあはせの手紙」は、今まで読んでくれたファンの皆に宛てた遺書だろう。

本当になんという人だろうか。自分には表現する言葉が見つからない。