「この世界」にかぎらず、こうのさんは嫌な人間を描かない。そして、
嫌なことは現実世界だけで十分だ、マンガでは理想になるようなことを
描きたい、それが自分のマンガの役割だ、みたいなことをよく言っている。
そしてそれは成功したと思う。

ちなみに「サザエさん」の新聞連載が始まったのは昭和21年4月からで、
どんなに暗い世相でも、人々の多くが求めるのはこういう理想化された
明るいマンガなんじゃないだろうか。