この映画には「日本エンターテインメント映画」の「悪いところ」が濃縮されている。
ハリウッドの映画ばっかり子供の頃からバカみたいに観て育った人間が発症する「日本エンターテインメント映画アレルギー」を随所に誘発させてくる。
「セット臭さを意識させる照明」「狙いを感じさせないハイスピード撮影」「慌てふためく殺され役のベタベタな芝居」
「銃で撃たれる人間の下手くそな芝居」「独り言の説明」「観客の共感を拒絶するボヤキ」「面倒くさがる主人公」
「計画性のない襲撃」「甘すぎるセキュリティ」「そんなところに置いておくわけがない金庫」「ヒャッハー!と知能指数ゼロの殺人」
「俺ら無敵じゃね!?」などなど枚挙にいとまがない。

大小細々数え上げれば全シーン全カットに至るまで、モノの見事に「これやっちゃダメ」という要素がてんこ盛りなので、これから日本エンターテインメントを背負って立つ若者たちは全員勉強のためにも観るべき作品と言える。