>>1アミューズの元取締役インタビュー

BTSの日本デビュー、そして後の展開に大きく貢献したある日本人プロデューサーが存在することはあまり知られていない。
その人物とは、かつて大手芸能事務所のアミューズで勤務し、サザンオールスターズや浜田麻里などを手掛けた経験もある齋藤英介氏だ。

デビュー前のBTS売り込みに難色を示す日本のレコード会社

そうしてすぐに日本展開のプロデュースをさせてほしいと契約し、日本のレコード会社や芸能事務所を10社回ったんですが、そのうち7社に断られてしまいました。「防弾少年団という名前が良くない」「(大手芸能事務所の)SMエンターテイメントとかYGエンターテイメントのアーティストじゃないんですか?」「韓国で話題になってるんですか?」という反応ばかりだった。結局日本のレコード会社は韓国で話題になっていると群がるし、そうでないと見向きもしない人ばかり。レコード会社にいた人間として、それで良いのかと思ってしまいました。

じゃあ日本でも出資を募って同じようなことを始めればいいじゃないかと言われても、それができる人材があまりに少ない。極論を言えば日本の芸能界は40年間何も変わっていないんです。先ほど少し触れたV LIVEでBTSの動画は世界中で5億回再生されていたりする。日本のレコード会社や芸能事務所で「A国ではこれだけのファンを見込み、B国ではこうしていく」と戦略を描ける人がどれだけいるのか。そうなると他国の企業も日本企業ではなく韓国企業と組みたいと感じるのは当然のことです。

日本の音楽業界に足りないもの

日本の音楽業界はある種の権威主義に陥ってしまっていると僕は強く感じています。アーティストも有名レコード会社や芸能事務所じゃないと契約したくないという人が後を絶たないし、レコード会社・芸能事務所でも大物アーティストに対して「ここはもっとこうすれば良くなるんじゃない?」と指摘できるディレクター、もっと言えばある意味「アーティストより偉い、実力のあるディレクター」がどんどん減っている。

そうした状況は結局「ヒットしなくても自分のせいじゃない」「外部から招聘した有名プロデューサーがついてもダメでした」という責任放棄につながってしまいます。こうした状況を変えない限り、日本の音楽業界は韓国に勝てないと思います

https://finders.me/articles.php?id=3141