「拾つたゆいちやん」

月夜の晩に、ゆいちやん一つ
場末の路地に、落ちてゐた。

それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
   妻に向かつてそれは抛れず
   娘に向かつてそれは抛れず
僕はそれを、スマホに入れた。

月夜の晩に、拾つたゆいちやん
眼の奥に沁み、心に沁みた。

月夜の晩に、拾つたゆいちやん
どうしてそれが、捨てられようか?