>>710
日米で同じミニバンが売れないという事実は、
日本で赤字のミニバンを作り続けるのが困難という状況を説明している。
車体もエンジンも日米で同じものを使い回さないとすると開発コストの負担は重い。

欧州でスライドドアの需要が乏しいという事実は、
日本向けのミニバンを欧州に輸出することは無理ということだ。
さらに日欧で全高を比較すると 「トゥーラン 1,670mm シャラン 1,730mm セレナ 1,865〜1,875 mm」となっており、
背の高いミニバンというカテゴリは日本独特で、欧州では高速走行で不安定なクルマに人気はない。

日本でミニバンの存続が難しいもう一つの理由は、20代〜30代世帯の所得が伸びていないことだ。
少し古いデータになるが…ヴォクシー/ノア、ステップワゴン、セレナを所有するユーザーの世帯年収は、
ウィッシュやストリームを所有する世帯の年収を下回るとのことだ。

乏しい収入で無理して背の高いミニバンを購入しているので、若者の年収が伸びない傾向がこのまま続くと、
将来の子育て世代はミニバンを中古車でしか購入できなくなるか、親がかりで新車を購入するしかなくなると見られている。

根本的な勘違いをもう1点、指摘しよう。
クルマは売れるから作られるのではなく、儲かるから存続するということを理解しなければならない。

トヨタが「天才タマゴ」というキャッチコピーで1990年から2019年まで生産・販売したミニバンに「エスティマ」という失敗作があった。
販売実績は計画を上回ったのだが、まったく利益に繋がらなかったからだ。
エンジンから補機類を取り外して横に75度寝かせてフロントミッドシップにマウントすることで平床化に成功したが、
独特のデザインを成立させるために、排気量が小さく非力で営業スタッフも「あまり走りませんよ」と言い訳しながら販売していた。
エスティマがまったく儲からなかった理由は、シリンダーブロックを一から作って専用エンジンを搭載したせいで、開発コストが嵩みすぎたからだ。
次期モデルからは「天才タマゴ」の看板を下ろして「凡才タマゴ」に落ちぶれてしまったのは当然と言えよう。
ジャーナリストが独創的なクルマだと初代エスティマをどんなに褒めても、利益に繋がらないクルマはたとえ台数が売れても存続しない。