相変わらずSUVが人気がある。私は何冊か書いた本の中で、SUVに関しては「必要悪」という立場を取っている。
 舗装の限られた場所で走破性を高めるためには仕方がないという考え方だ。しかし、多くの人はそう考えない。高級SUVに乗るとは成功の証しと考えている。
 SUVに何かメリットがあるとすれば、それは目線だ。シートポジションが高いからこそ味わえる開放的な景色が広がる。
 ただ、それは毎日変わらない。私の多くの知人たちもSUVに乗っている。彼らに聞くと「飽きるよ」という答えが多い。同じ車に乗っているのだから仕方がない。
SUVには厄介なことも多い。その1つが車格ヒエラルキーだ。
 昨年、「砂の馬車」というテレビドラマが放映されて話題になった。レクサスRX450hのオーナーが、「NX200tの人たちは…」というたぐいの発言でヒエラルキー意識をあらわにする。
一方、NX200tに乗る若いお母さんは「うちの主人はハイブリッドが嫌いで…」と始終言い訳をしていた。
 ああいういびつな意識は日本人特有のものかと思っていたら、最近DVDが発売されたイギリス映画の「ハイ・ライズ」でも同じようなシーンが出てきたので驚いた。
 以下はSUVに10年近く乗っている方から聞いた話。ある人は車格ヒエラルキーに悩み、RAV4→ハリアー→NXというように、順次高級車へ向かって買い替えているそうだ。
ママ友グループで低級SUVをバカにされるのが嫌で、引っ越していった家族を何組も知っていると。
低級SUVで細い道をすれ違う時、高級SUVに乗っている人から冷たい視線を浴びるというのはよく聞く話。朝の混み合っている時間ならなおさらだろう。