(泣いている女の子の中から、一人の女性が出てきて立ち上がる
細面の美しい人だがやや、目がつり上がる
女の子は横向きになり、ひざを曲げて寝ている)

私:…あなたはどなたですか?
女:わいはおいらんどすえ あんたはどなた?
私:こういう者です (言葉で示す)
女:あたいはね、このおなご、ややこの時から守ってきたんどっせ
  …そいで死んでしもうたから、こうしてそのままくっついてきた
私:…つまり、あなたは霊で、この少女を守ってきたが、その子が幼くして病気か何かで死んだため、二人そろってこうしてくっついて、別の人の守りに来た、そういうことですね?
女:ありがたや、そういうことでごわす
私:あなたは、鹿児島の人でしたか
女:そうです 身売りをされて、京都に来ました
  その後……、やしゃごのようなこの人にとりつきました
  なぜなら、帰りたかったからです……故郷に
  帰りたい、帰りたいという思いが、世知辛いが病気で寝たきりのこの子にとりつきました……この人も、起きたい、この家から出たい、外に出て遊びたい、という気持ちが強かったからです
  …極道の家の子です、…その人は