『そして、
「…恐ろしい男と思ったろうな?!」
「…いいえ、わたしは…、あなたは本当は、優しい人なのだと、思っていました。……最初に会った時から…。」
[注:イブは初対面の時、ボス(=パウロ)には繊細な一面があると、感じ取っていた]
「…わたしは自分の個人的な事情[=母親との葛藤等]まで、そうとは知らずに[相談役である天使のお前に、]いろいろ話してしまった。お恥ずかしい限りだ。」
と言って、ボスはうつむいてくちびるをかみ、両ひざに手をやった。
「…それなのに、わたしは自分のことは話したのに、お前のことは、何も知らない。素性も何も…。」
わたしは黙っていた。言うわけにはいかないし、この仮面をはずすわけにも、いかなかった。(一度、「その仮面ははずしてもらえないのだろうな?」と言われた。)