(略)

検察官「平成21年5月ごろ、(京アニがアニメ化した)『涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)』を見て書き始めた」

被告「そうなります。それまではネットゲームで遊んでいたが、それ以上に面白かった。こんなにすごいアニメがあるんだと」

検察官「文庫本を買った」

被告「10冊ほど大人買い。2日くらいで読んだ。自分でもなんとか書けないかと思った」

検察官「小説を執筆するときハルヒをまねた」

被告「当初は小説がどんなものか分からなかった。単純にまねた」

検察官「(執筆が)うまくいかないときは」

被告「ハルヒの本を壁や近くの森へぶん投げた。確か6回ぐらい買い直した」

《平成24年にコンビニ強盗事件を起こし、懲役3年6月の実刑判決を受ける》

検察官「受刑中は」

被告「ノートを買ってアイデアを書きためた」

《京アニ大賞に応募した作品は2つ。1つは長編小説の「リアリスティックウェポン」。もう1つは短編小説の「仲野智美の事件簿」》

検察官「長編タイトルの理由は」

被告「売れているライトノベルの傾向を考えて。賞に送るのは一度きりにしようと。だから最高のものを作ろうと思った。軍事、学園、青春、SFなど色々なアイデアを詰め込んだ」

《「リアリスティックウェポン」の世界観や登場人物の設定を饒舌(じょうぜつ)に解説する》

検察官「(小説のジャンルは)『涼宮ハルヒの憂鬱』と同じセカイ系」

被告「そうなります」

検察官「影響を受けているのか」

被告「そうなります」

検察官「7年かけて完成したが、応募時の自分の評価は」

被告「これ以上エネルギーをかけるのは無理だと」

検察官「どのくらいのエネルギー」

被告「最初の3年は24時間365日考えていた。1つの小説に5年(以上を)かけるのはあり得ない」

《短編「仲野智美の事件簿」に話題が移る。こちらも登場人物の設定をとうとうと説明する》

《自身の小説がアニメ化され、グッズも販売されると夢想していた被告。平成29年3月に落選のメールが届く》

検察官「ショックだった」

被告「裏で手を回している人がいると何となく分かっていたので。どうしようもないとショックだった」

《被告は京アニ大賞の落選は「闇の人物でナンバー2と呼ばれる人」の圧力が原因と訴えている》

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https://www.sankei.com/article/20230919-G7NVUGCSMVIHBK5FL3VHPULDDQ/