きな子「どうもっす!鬼塚商店っす!いつもありがとうっす!」
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ブオオオオオオ・・・
キイッ
バタンッ
きな子「よっこいしょっ・・・・・・」ズシッ
ガラガラッ・・・
きな子「どうもっす!鬼塚商店っす!!発注頂いた分配達に来たっす」
ドサッ・・・
千砂都「・・・・・・あ!きな子ちゃん!!お疲れ~」クルッ
きな子「千砂都先輩、いつもありがとうございますっす」
千砂都「伝票にサインいるでしょ?ちょっと待ってね、手洗うから」ドタバタ
きな子「すんませんっす!まだトラックから下ろす品あるんでちょっと待って下さいっす」
千砂都「あ、うん!」 かすみ「ちぃ子~、豚の仕込みしてるならそのままやってていいよ~」
千砂都「あ、店主すみません!!」
きな子「あっ!店主!いつもありがとうございますっす」
かすみ「きな子~、伝票どこ?」キョロキョロ
きな子「あ、そこの台の上に置いといたっす」
かすみ「あったあった、ハンコ押しとくね」トンッ
きな子「ありがとうございますっす」
きな子「・・・・・・よっこいしょ!」ドスンッ
きな子「ふうっ、もやし200kgとニンニクと豚バラ・・・・・・納品数間違いないっすよね?」
かすみ「ふひひ・・・間違ってたらお金払いませんよぉ?」グフフ
きな子「ううっ・・・そ、それは勘弁っす・・・・・・」
かすみ「うそですよ~ん!」ニタァ
きな子「店主~、冗談キツいっす~」ハハハ 千砂都「ねぇ、きな子ちゃん。たまにはウチでお昼食べて行きなよ」
きな子「お言葉はありがたいっすが、きな子は次の納品先に行かないといけないっす」
千砂都「そっか~、それは残念だなぁ」
きな子「それに先輩のお店、いつも行列できてるじゃないっすか」
千砂都「うん、まぁね」
きな子「食事の所要時間くらいなら確保できるっすけど、さすがに並んで食べてでは時間の余裕ないっす」
かすみ「いつも頑張って配送してくれるきな子の為なら営業時間外に食べさせてあげてもいいんだけどね」
きな子「お言葉だけありがたく頂戴しておくっす」アハハ
かすみ「なぬっ!?かすみんの好意を踏みにじる気ぃ~!?」グヌヌ
きな子「いえいえ!!そういうわけじゃないっす!!かすみさんのとこのラーメンを営業時間外に食べたら、お腹いっぱいになって生活のリズムおかしくなっちゃうっす」
千砂都「まぁね、ウチは量が多いから」アハハ
かすみ「なんかウチの店さ~、勘違いされること多いけど量なら言ってたら少なくしても別にいいんだけどねぇ」
千砂都「しょうがないですよ、そういうイメージがついてしまってますからね」アハハ きな子「・・・・・・あ、開店時間前なのにもう並んでる人いるっすよ?」
千砂都「ホントだ!仕込み急がなきゃ!!」ドタバタ
きな子「じゃ、きな子は失礼するっす」
かすみ「きな子~、また明日もよろしくね~・・・・・・って!ちぃ子!!豚の仕込み目処ついたらニンニクも刻んでおいて!!」
千砂都「あっ!はい!!」
きな子「じゃ、どうもっす」
バタンッ
きな子(ふうっ、商売繁盛で羨ましいっす・・・・・・)
キョカカッ
ブルブルブルブル・・・
きな子(さて、次急ぐっす・・・・・・)
ガコッ
ブオオオオオオ・・・・・・
────
──
ブオオオオオオ・・・
キイッ
バタンッ
きな子(よし、到着っす・・・・・・)
ガチャッ・・・バタンッ
きな子「どうも~!鬼塚商店っす」
──グツグツグツグツ
かのん「・・・・・・あ、きな子ちゃん!!」
きな子「かのん先輩、いつもありがとうございますっす」
かのん「きな子ちゃんごめん!いま仕込みで手が離せないからそこにあるシャチハタ、伝票に押していいから!!」
きな子「はい、わかったっす」
きな子「・・・・・・あ、これっすね。お借りするっす」トンッ
きな子「かのん先輩、今日の納品分はいつものところに置いておいたっす」
かのん「あ、うん!ありがとね」
きな子「どうっすか?かのん先輩のお店、儲かってるっすか?」
かのん「あはは・・・・・・うちはまぁボチボチかなぁ」
きな子「先に千砂都先輩が働いているラーメン店に卸してきたっすけど、相変わらず大繁盛してるみたいっすね」
かのん「そうなんだ・・・・・・まぁウチは喫茶店から鞍替えしたばかりの新参だし、有名な看板掲げてるわけでもないからね」アハハ
きな子「きな子としてはかのん先輩にも頑張ってもらいたいっす」
かのん「うん、ありがとう」 かのん「そういえば夏美ちゃんは元気??」
きな子「あ~、CEOなら新しい配信ビジネス始めるって言ってどこか行ったまま帰ってこないっす」ハァッ
かのん「そうなの!?」
きな子「そうっす・・・鬼塚商店の本業は実質きな子1人で回してるようなもんっす」ヤレヤレ
かのん「あはは・・・・・・それは大変だ・・・・・・」
きな子「所詮きな子は雇われの身なんで文句言えないっす」
かのん「切実だねぇ・・・・・・」アハハ
きな子「・・・・・・さて、きな子は次の納品先に行くっす」
かのん「あ、うん!運転気をつけてね!たまには私の店にもラーメン食べに来てよ」
きな子「もし時間の余裕が出来たら食べに来るっす」
かのん「うん!その時はサービスするから!」
きな子「ありがとうございますっす、では!」ペコッ このさくらんぼ、もしかしてちぃのタコ焼き屋とか土方のSS書いてなかった?
あれ好きだった かのん「・・・・・・あ!きな子ちゃんちょっと待って!!」
きな子「えっ?」
かのん「そこの冷蔵庫開けると缶コーヒー入ってるから1本持って行きなよ」
きな子「いいんすか?」
かのん「いいからいいから!」ニコッ
きな子「じゃあお言葉に甘えて頂くっす」ガバッ
きな子「かのん先輩ごちそうさまっす!では!」
かのん「はーい!」
ガチャッ
バタンッ
きな子(かのん先輩も大変っすね・・・・・・きな子もがんばろう・・・・・・)
きな子「・・・・・・」カシュッ
きな子「んぐっんぐっ・・・・・・」グビグビ
きな子「ぷはぁっ!」
きな子(さて、次行くっす・・・・・・)
キョカカッ
ブルブルブルブル・・・
きな子(・・・・・・ん?LINE来てたの気付かなかったっす)
きな子(・・・・・・えっ!?追加注文!?・・・・・・一度会社戻って追加分積んでから行った方良いっすね)
ガコッ
ブオオオオオオ・・・
────
──
ブオオオオオオ・・・・・・キイッ
ブルブルブルブル・・・プスンッ
きな子(ふうっ、到着っす・・・・・・)
バタンッ
きな子(よっこいしょっ!)ズシッ
きな子「どうも~!鬼塚商店っす!」
ランジュ「あら、早かったわね」
きな子「急いで会社戻って追加分の鶏卵10箱も一緒に持って来たっす・・・・・・ここに置きますね」ドスンッ
ランジュ「さすがきな子だわ。ありがとう」
きな子「LINEで追加注文頂いてたの気付いた時は焦りましたっす」アハハ
ランジュ「ごめんなさいね、急遽とびっきりの限定メニュー思いついちゃったから、居ても立っても居られなくなったの」
きな子「さすがっす」アハハ きな子「一応LINEで貰った追加分の注文書、ウチの事務所にFAXしておいて貰っていいっすか」
ランジュ「わかったわ。・・・ていうか、きな子の会社もいい加減デジタルツール導入しなさいよ」
きな子「あはは・・・きな子は雇われの身なんでそんな決定権無いっす・・・・・・」
ランジュ「まぁ、FAXも古き良きで便利ではあるわね」ハアッ
きな子「すんませんっす・・・・・・」シュン
ランジュ「さて、ランジュは今日も美味しい拉麺をたくさん作るわ。せっかくだからきな子もランジュの拉麺食べて行きなさい?」
きな子「お言葉はありがたいっすが、会社戻って仕入れの発注しないといけないっす」
ランジュ「あらそう、それは残念ね。また今度ゆっくり来なさい?奢るわ」ニコッ
きな子「ありがとうございますっす。その節はお世話になるっす」
きな子「では、失礼するっす」ペコッ
ランジュ「・・・・・・あっ!きな子!」
きな子「ん?どうかしたっすか??」
ランジュ「かすみの店は相変わらず繁盛しているのかしら」
きな子「ですね、今日も開店前から行列出来てましたよ」
ランジュ「さすがかすみね・・・・・・ランジュも負けてられないわ」
きな子「頑張ってくださいっす。それでは」
ランジュ「気をつけてね~」
バタンッ
きな子(さて、まずは会社に帰るっす)
キョカカッ
ブルブルブルブル・・・
ガコッ・・・ブオオオオオオ・・・・・・
────
──
~鬼塚商店~
ブオオオオオオ・・・キイッ
バタンッ
きな子(ふうっ、急いで倉庫の在庫確認して発注しないと・・・・・・)
ガラガラガラッ・・・
ピシャンッ
きな子(えーっと、在庫管理表は・・・・・・)ピラッ
きな子(・・・・・・まずいっすね、かすみさんのお店から来るもやしやニンニクの注文数が多いから足りなくなりそうっす・・・・・・)
きな子(仕入れ、今までの1.5倍は増やさないとまずいかもっす・・・・・・)ウーン
きな子(それと、仕入れの取引先増やさないとお客さんに安定して納品する在庫が確保できなくなるっすね・・・・・・)
きな子(とりあえず、今必要な分だけ発注しとくっす・・・・・・)カキカキ
きな子(よしっ・・・)
ポチッ・・・ブインッ
ザーーーーー ピポパポペポ・・・
きな子(いまだにFAXで注文してるのウチだけなんすかね・・・・・・こんな古いパソコンじゃなくて、最新のツールがあれば管理も発注ももう少し楽になるんすけど・・・・・・)ハァッ
きな子(ぼやいてもしょうがないっす、伝票整理してから倉庫の掃除っす・・・・・・)
────
──
ゴシゴシ・・・
ザッ ザッ・・・
きな子(ふうっ・・・今日の掃除終わりっす・・・・・・)
きな子(ん?定時過ぎてるっすね、鍵かけて退勤するっす・・・・・・)
ガラガラガラッ・・・ピシャンッ
カチャッ
きな子「お疲れ様でしたっす・・・・・・」
きな子(・・・・・・って、きな子1人しかいないんすけどね)アハハ
きな子(今日の夜ごはんは何がいいっすかね~・・・・・・)
────
──
~帰宅途中~
テク テク テク・・・
きな子「・・・・・・・・・・・・」
きな子(今日も弁当屋で弁当買って行くっす・・・帰ってからご飯作るの面倒っす・・・・・・)
きな子(この行きつけの弁当屋にも常々お世話になってるっす・・・・・・)
ガラガラッ
侑「いらっしゃいませー」ニコニコ
きな子「こんばんわっす」
侑「あっ!きな子ちゃんいらっしゃい!!仕事帰りかな?」
きな子「はいっす。帰宅途中っす」
侑「お疲れさま!今日は何にする??」ニコッ
きな子「えーっと・・・・・・い、いつものでいいっすかね・・・・・・」
侑「日替わり弁当だね」ニコッ
きな子「はいっす」
侑「彼方さーん!日替わり弁当1丁!!」
彼方「────はーい、少々おまち~」
侑「きな子ちゃん、今度でいいからこの限定メニューも食べてみてよ」ピラッ
きな子「ん??限定メニュー増えたんすか?」
侑「うん!近江弁当店・店主、彼方さんの自信作だよ~」ニコニコ
きな子「そうなんすか!へぇ~、手ごねハンバーグ弁当っすか。うまそうっす!」
侑「日替わり弁当に比べるとちょっと高い金額設定なんだけどね」アハハ
きな子「でも、手の込んだ料理なら仕方ないっすよ」
侑「挽肉はレギュラーメニューのハンバーグと違うものを取り寄せて使ってるんだよね。北海道直送で質はいいんだけど少し値段が高くてさ」
きな子「・・・・・・そうなんすか、ウチの会社でも同じような挽肉扱ってるっすけど・・・」 侑「そういえばきな子ちゃん、卸売の会社で働いてるんだっけ?」
きな子「はい、そうっす!近江弁当店さんからも発注貰えたら最高っす!」ニコッ
侑「私としてもいつも買いに来てくれるきな子ちゃんの会社から仕入れられるといいんだけどね~・・・・・・」
彼方「へいお待ち~!日替わり弁当一丁ぉ!」ドサッ
侑「あ、出来たみたいだね!お会計、380円です!」
きな子「ちょうどあるっす」ジャラッ
侑「まいどあり~!」ニコッ
きな子「では、また来るっす」
彼方「いつもどうもねぇ~」
バタンッ
侑「彼方さん、きな子ちゃんが勤めてる会社で彼方さんの限定ハンバーグと同じような挽肉扱ってるって言ってましたよ」
彼方「そおなの~??あれは遥ちゃんが勤めてる会社から仕入れてるんだけど、北海道直送の良い肉使った挽肉なんだよねぇ」
侑「ですね、こないだ遥ちゃんに聞きましたから」
彼方「まぁ、きな子ちゃんはウチの常連さんだし、なにかお仕事の取引が出来るといいよねぇ」
侑「でも、勝手に取引先増やしたら遥ちゃんに怒られません??」
彼方「うーん、それもそうだねぇ・・・・・・」ハハハ
────
──
~きな子の部屋~
ガチャッ・・・
バタンッ
きな子(ふう~、ただいまっす・・・・・・)
きな子(まずは弁当冷めないうちに食べた方いいっすね・・・・・・)
キュッ
コポコポコポコポ・・・
きな子(まずはやかんでお湯わ沸かして、インスタントみそ汁の用意するっす・・・・・・)
カタンッ
カチッ・・・ シュボッ・・・
きな子(ふうっ・・・・・・)
ガサガサッ・・・
きな子(今日の日替わり弁当のおかずは何っすかね~♪)
ガサッ
きな子(・・・・・・お、豚の生姜焼きっすか。うまそうっす)
きな子「いただきますっす」パキッ
きな子「はむっ・・・・・・むぐむぐ・・・・・・」モグモグ
きな子(うんっ!近江弁当店はやっぱうまいっすね~)モグモグ
──ピィィィィィィィ
きな子(おっ!お湯沸いたっすね・・・・・・)
ガタッ・・・
コポポポ・・・
きな子(汁椀に入れたインスタント味噌汁をお湯で溶かしてっと・・・・・・)
きな子(これにあおさをひとつまみ入れると味気ないインスタントの風味が少しは良くなるんすよね・・・・・・)ガサッ
きな子(どれどれ・・・・・・)ズズッ
きな子「あつっ・・・」ビクッ
きな子(沸騰直後だから熱くて当然っすね・・・・・・)
きな子(どれ、テレビでも見ながら食べるっす・・・・・・)ポチッ
スクールアイドルで名を売って飲食店を経営するスキームが確立されている きな子「・・・・・・・・・はむっ・・・」モグモグ
きな子「・・・・・・」ジーッ
きな子(この女優さん、最近よくテレビで見かけるっすね・・・・・・)
きな子「・・・あむっ・・・んむっ・・・・・・」モグモグ
きな子(確か、きな子と同じで高校時代にスクールアイドルしてたとか・・・・・・)
きな子(きな子もLiellaのみんなといい成績残しましたけど、あくまでもグループとしての評価であって、きな子個人ではただのメンバーでしかないっすし・・・・・・)
きな子(この女優さんは、才能あったからこうして登り詰められたんすかね~・・・・・・)モグモグ
きな子「・・・・・・・・・・・・」
きな子(今更こんなこと思っても何も変わらないっす・・・・・・)
きな子(きな子は今の仕事をがんばろう・・・・・・)
ガタッ
きな子(あ、そういえば冷蔵庫に・・・・・・)ガバッ
きな子(・・・・・・あったあった)
カシュッ
きな子「んぐっ・・・んぐっ・・・んぐっ・・・・・・」グビグビ
きな子「ぷはぁっ!!」
きな子(やっぱ、仕事のあとの麦とホップは格別っす・・・・・・)ゲフゥッ
────
──
~翌日~
ブオオオオオオ・・・
キイッ・・・ バタンッ
きな子「どうもっす!鬼塚商店っす」
かのん「────あっ!きな子ちゃんお疲れ様~」
きな子「今から品物運び入れるっす」
かのん「────うん、よろしくね」
きな子「よっこいしょっ・・・・・・」ズシッ
ドサッ
きな子「ふうっ・・・」
きな子「かのん先輩、鶏ガラと豚骨いつもの場所に積んで置いたっす」
かのん「あ、うん!ありがとね」
きな子「かのん先輩、ウチだと下処理済みの鶏ガラや豚骨も卸せるっすけど、いつものでいいんすか?」
かのん「うん。それはこだわってやってることだからいいんだ」
きな子「そうなんすね。いつも1人で仕込みに時間掛けてるみたいで大変そうっす」
かのん「あはは、ありがとう」ニコッ
かのん「でも、それも楽しんでやってるから大丈夫!」
きな子「それならいいっすが・・・・・・」 鬼塚商店って如何にも製麺所の卸やってそうな名前だしな スクールアイドルを辞めたあとはラーメン屋をやるマニュアルでも出版されたのだろうか >>30
麺屋【凛】を皮切りにスクールアイドルラーメン戦国時代になったからね 配達はまぁ傍から見てたらブラックにしか見えないよな
時間絡むからストレスヤバそうだし 引退したあと飲食で食ってくの現実でもらあるあるやからね きな子「・・・・・・それ、何作ってるんすか?」
かのん「あーこれ?メニューとして出すわけじゃないけど、ちょっとした試作をしようと思ってるんだ」
きな子「へぇ~、凄いっす」
かのん「上手くいけば限定メニューで出してみて、お客さんの反応良いようならいずれはレギュラー化するのもアリかもね」
きな子「かのん先輩ならきっと上手く行くっす!」
かのん「ありがとう、きな子ちゃん」ニコッ
きな子「では、きな子は次の取引先に行くっす」
かのん「うん、気をつけてね。ちぃちゃんのところかな??」
きな子「いえ、千砂都先輩のところにはいつもかのん先輩のお店の前に回って来るんで」
かのん「あー、そういえばそうだったね」
きな子「では、ありがとうございましたっす」ペコッ
かのん「・・・・・・あっ!度々引き止めてごめん!!」
きな子「ん?何すか??」 かのん「きな子ちゃん、今日の夜は暇??」
きな子「まぁ、仕事上がったら家で大人しくしてるっす」
かのん「私のお店の閉店後に来てくれない??試作ラーメン食べて貰いたいんだ」
きな子「いいんすか??」
かのん「もちろんっ!!是非感想聞かせて欲しくて」
きな子「ありがとうございますっす!喜んで頂きに来るっす!」
かのん「美味しいかどうかはまだわからないけどね」アハハ
きな子「きっと美味しいっす!!」
きな子「では、また夜に来ますっす!!」
かのん「うん!またね~!!」
バタンッ
きな子(かのん先輩のラーメンの試作品の試食させて貰えるなんて光栄っす!!)
きな子(夜が楽しみっすね~・・・・・・)
バタンッ
キョカカッ・・・ ブルブルブルブル
ガコッ
きな子(さて、出発っす・・・・・・)
ブオオオオオオ・・・・・・
────
──
~かすみの店・営業中~
千砂都「はい、小の方~・・・・・・どうぞ~」ドンッ
千砂都「隣の方~・・・ アブラカラメね・・・・・・どうぞ」ドンッ
かすみ「ちぃ子、次の麺茹でるよ」
千砂都「あ、はい!」
千砂都「後ろでお待ちのお客さ~ん!食券見せて~??」
千砂都「・・・・・・・・・・・・えーっと、はいありがとうございま~す」
千砂都「・・・・・・!?」ビクッ
千砂都(あれっ!?あの人・・・・・・)チラッ
千砂都「(て、店主・・・・・・席待ちのお客さんの中にいるあの人・・・・・・)」ヒソヒソ
かすみ「・・・・・・んん~?」チラッ
かすみ「うげっっ!?」ビクッ
かすみ「(ま、またランジュせんぱい来てるよっ!!)」ヒソヒソ
千砂都「(ど、どうします??)」ヒソヒソ
かすみ「(う・・・うまいことあしらっておいてよ、ちぃ子・・・・・・)」ヒソヒソ
千砂都「(りょ、了解っす・・・・・・)」ヒソヒソ
ランジュ「・・・・・・」ニヤッ
────
──
千砂都「先頭から3名さんまで順番に奥から詰めて座ってくださいね~」
ゾロゾロ・・・
ガタッ・・・
かすみ「・・・・・・・・・・・・」
千砂都「・・・・・・」
千砂都(あっ・・・・・・)
ランジュ「今日はかすみが調理してる目の前の席に座れたわ」ニヤッ
かすみ「ラ、ランジュせんぱい・・・・・・ら、らっしゃーせー・・・・・・」ソワソワ
千砂都「お、お客さん・・・私語は勘弁してください・・・・・・他のお客さんに迷惑なんで」
ランジュ「千砂都、悪かったわね。ちょっとうれしかったからはしゃいじゃったのよ」ニコッ
かすみ「ちぃ子、麺上げるよ」
千砂都「あ、はい」
かすみ「・・・・・・・・・・・・」ザッ・・・ザッ・・・
ランジュ「・・・・・・」ジーッ
千砂都「端のお客さんニンニクは??」
客「ニンニクで」
千砂都「はーい」ザッ・・・ モサッ
千砂都「どうぞ~」ドンッ
千砂都「と、隣の方~・・・・・・」
ランジュ「そうね、今日はニンニクアブラで頼むわ」
千砂都「ニンニクアブラ~・・・・・・」ザッ・・・ドロッ
千砂都「はい、おまち」ドンッ
ランジュ「ありがとう」ニコッ
千砂都「隣の方~・・・・・・」
客「ヤサイマシニンニク・・・・・・」
ランジュ「かすみ?今日も見事な麺上げだったわ」
かすみ「!?」ビクッ
かすみ「そ、それは・・・ありがとうございますです・・・・・・」ビクビク
ランジュ「はむっ・・・・・・」モグモグ
ランジュ「うんっ!野菜はクタクタに煮た方が美味しいわね。さすがかすみだわ」
かすみ「・・・・・・いえいえ」
ランジュ「このバラ豚のロール・・・・・・相変わらず完璧な丸型ね」
かすみ「ぶ、豚はちぃ子にやらせてるんで・・・・・・」
ランジュ「知ってるわ。さすが千砂都ね」モグモグ
ランジュ「はむっ・・・・・・ズゾゾゾゾッ」ズルズル
ランジュ「んむんむ・・・・・・」モグモグ
ランジュ「この極太麺の茹で加減も固すぎず柔すぎず完璧よ」
かすみ「あ、ありがとうございます・・・・・・」
ランジュ「やっぱりかすみのラーメンは美味しいわ」ニコッ
ランジュ「なんでこんなに美味しいのか秘密を知りたいのよ、ランジュは」
かすみ「秘密も何も・・・・・・総帥の元で修行して暖簾分けの許可貰ったから開業しただけですし・・・・・・」
ランジュ「謙虚ね」ニコッ
かすみ「ま、まぁ!かすみんの場合はセンスがいいってのもありますけどぉ・・・・・・」ハハハ ランジュ「ランジュも扱う拉麺のジャンルが違うとはいえ同業だからライバルとして認めているのよ、かすみ」
かすみ「そ、それはどうもです・・・・・・」
ランジュ「また今度、閉店後に私の店に来なさい?拉麺勝負するわよ!?」キリッ
かすみ「ひいっ!?」ビクッ
ランジュ「あら?嬉しいのかしら?」ニコッ
かすみ「い、いえ・・・・・・翌日の仕込みもあるんで遠慮しときます・・・・・・」
ランジュ「あら、残念ね」
ランジュ「ごちそうさま」ドンッ
ランジュ「・・・・・・」フキフキ
ランジュ「また来るわね」ガタッ
千砂都「あ、ありがとうございまーす・・・・・・」
かすみ「・・・・・・・・・はあっ」ヤレヤレ
千砂都「店主、そのラーメン勝負とやら受けてあげたらいいんじゃないですか?」
かすみ「ううっ・・・・・・ぜ、絶対にイヤです・・・・・・」ゲッソリ
千砂都「一度負かしてやれば付き纏われることもなくりそうな気もしますけどね」
かすみ「前にランジュせんぱいに言われて一度だけ勝負してるんだよ、ちぃ子・・・・・・」
千砂都「そうなんですか」
かすみ「・・・・・・次のロット行くよ」
千砂都「は、はい!」
どかちーってもう終わった?面白かったから続きあるなら読みたい 面白い
FAXで発注書送っといてくださいとか中小企業っぽさがリアル もやし200kgを運んでるのすごい
1000袋分ぐらいある ────
──
~近江弁当店・午後~
侑「ふうっ、ごちそうさまでした!!」
彼方「お粗末さまでしたぁ」ニコッ
侑「今日も美味しかったですっ!・・・・・・って、毎日のように言ってますけどね」アハハ
彼方「それでも~、そう言って貰えると嬉しいもんなんだよぉ~」ニコニコ
侑「それにしても、今日の午前から昼にかけては戦争のように忙しかったね~」ハハハ
彼方「だねぇ、何だか会社関係のまとまった大口注文がたくさんあったね」
侑「固定客になってくれたら儲けも増えるし良いばっかりなんだけど・・・・・・」
彼方「でも、今のままだと人手が足りないねぇ・・・・・・」 彼方「ウチもそろそろ、パートさんを増員しないとダメかもねぇ」
侑「求人の貼り紙でも入り口にしときます??」
彼方「そうだねぇ」
侑「・・・・・・さて、そろそろ夕方に向けての準備しておかないとね」ガタッ
彼方「よし・・・彼方ちゃんも唐揚げの仕込みしておくか~・・・今日の夜の部はどれくらい売れるかなぁ・・・・・・」
侑「あっ!しまった!!」
彼方「ん~?侑ちゃんどうかしたぁ??」
侑「漬け物の在庫が切れそうなの昨日の時点で気付いていたんだけど、忙しさにかまけて注文するの忘れちゃったよ」シュン
彼方「もう丸っきり残ってないの?」
侑「う~ん・・・今日の夜の部の分くらいは持つかなぁ・・・・・・」
彼方「どうしよう・・・・・・遥ちゃんのところでこれから配達してくれないかなぁ」ウーン 侑「ちょっと電話してみますね・・・・・・」カタッ
侑「・・・・・・・・・・・・」Prrrr
侑「・・・・・・あっ、いつもお世話になってます!近江弁当店です~!!」
侑「ちょっと急なんですが、業務用の漬け物のいつものやつ、2箱配達お願いできませんかね・・・・・・」
侑「あ、はいっ!恐れ入ります・・・・・・」
侑「・・・・・・・・・・・・」
彼方「どう?配達してもらえそうかな??」
侑「事務の方が今確認してくれてるみたいです・・・・・・」
侑「あ、はい!いえいえ!・・・・・・・・・そ、そうですよね」
侑「あー、そうですか・・・・・・明日だと大丈夫なんですね」
彼方「侑ちゃん、明日でもいいから頼んじゃって~」
侑「はいっ!はい!・・・・・・明日で結構です。宜しくお願いします」
侑「すみませ~ん!はーい、ありがとうございまーす」ガチャッ 侑「やっぱり配送車が全部出払ってるみたいで今日中は厳しいみたい」
彼方「そっかぁ、遥ちゃんにも無理させられないしなぁ」
彼方「やっぱ、仕入れの取引先増やそうかなぁ」ウーン
侑「それが現実的に良いかもしれませんね~。今度常連のきな子ちゃんがお弁当買いに来てくれたら聞いてみますよ」
彼方「うん、侑ちゃんお願いね~」
侑「漬け物の残りが心もとないからスーパーからしのげる程度の漬け物買って来た方いいですかね?」
彼方「うん、侑ちゃんに任せる」
侑「じゃあ、急いでスーパー行って来ますね」
彼方「行ってらっしゃーい」
────
──
~かのんの店・閉店後~
かのん(ふうっ、フロアの掃除も終わった・・・・・・)ガタッ
かのん(そうだ、きな子ちゃんが来るから準備しておかないと・・・・・・)
ガチャッ
かのん「ん?」クルッ
かのん「いらっしゃ~い!きな・・・・・・
千砂都「かのんちゃん久しぶり!」ニコッ
かのん「あ、ああ!ち、ちぃちゃんか~!!ひ、久しぶりだねぇ~」アハハ
千砂都「丁度仕事終わったところなんじゃないかなって思ってね。たまにかのんちゃんの様子見てみようかな~って」
かのん「そ、そうなんだ。ちぃちゃんも仕事帰り?」
千砂都「うん、そうだよ」
かのん「ちぃちゃんが働いてるお店、かなり繁盛してるみたいだね」
千砂都「うん、まぁね。忙しさにはもう慣れたけどね」アハハ
かのん「私の店もそこまで混雑するお店とまでは行かなくても、そこそこ繁盛する店になれたらいいな」
千砂都「大丈夫だよ!かのんちゃんのお店なんだから!!」ニコッ
かのん「うん、ありがとね。ちぃちゃん」
千砂都「ところで・・・・・・あれは明日の仕込み??」
かのん「あ、これはね、新メニュー・・・・・・
ガチャッ
きな子「こんばんわっす!!かのん先輩、きな子来ましたっす!!」ニコッ
かのん「あ、きな子ちゃんいらっしゃい!!」ニコッ
きな子「あれ?千砂都先輩も来てたんすね」
千砂都「・・・・・・あ、うん」
きな子「午前に配達で千砂都先輩のお店でお会いしたばかりなのに、今度はかのん先輩のお店でもお会いするなんて奇遇っす!」
千砂都「あはは・・・そ、そうだね」
きな子「千砂都先輩もかのん先輩の試作ラーメンの試食っすか?」
千砂都「えっ!?・・・・・・い、いや・・・私は仕事帰りにたまたま寄ってみただけなんだ」アハハ
きな子「そうなんすか~」
かのん「もし良かったら、ちぃちゃんも食べみてくれないかな?」
千砂都「・・・・・・あ・・・わ、私は・・・・・・店でまかない食べて来たからいいよ」
かのん「そっかぁ、感想聞きたかったんだけどそれなら仕方ないね」
きな子「スープの味見くらいならできるんじゃないっすか?」
かのん「それだ!!スープの味見なら出来るよ!!」
千砂都「・・・・・・・・・・・・」
千砂都「ご、ごめん・・・・・・また今度食べさせてよ・・・・・・」
かのん「えっ?」
千砂都「あ~・・・今日も仕事で疲れたから早く寝ないと!!」
千砂都「じゃ、またね!!」
バタンッ
かのん「ちぃちゃん帰っちゃった・・・・・・」
きな子「千砂都先輩、かすみさんのお店の助手でかなり働いてるっすから、かなりお疲れなんすね」
かのん「ちぃちゃんもちゃんと誘っておけばよかったかな・・・・・・」
きな子「ん?」
かのん「・・・・・・それより、お腹空いたでしょ??」
きな子「はいっす!!かのん先輩の試作ラーメンを味わう為にバッチリ腹空かせて来たっす!!」
かのん「あはは!期待され過ぎるとつらいかも・・・・・・」
かのん「まぁ、麺茹でればすぐ出来上がるから座って待っててよ」ニコッ
きな子「きな子も何か手伝うっすか?」
かのん「大丈夫大丈夫!すぐ出来るから」
────
──
──グツグツグツグツ
かのん「・・・・・・・・・・・・」
かのん「よし、麺上げそろそろかな・・・・・・」
バシャッ
ザッ・・・ ザッ・・・
かのん「よっ・・・・・・」バッ
かのん「はい、おまちどおさま!!試作の塩ラーメン!!」ドンッ
きな子「うわぁ!!ありがとうございますっす!!」
かのん「純粋にスープの味の感想が貰いたいからトッピングは無しなんだ。ごめんね」
きな子「いえいえ!かのん先輩に協力出来るなんて光栄っす!!」
きな子「では、いただくっす!!」パキッ
かのん「率直な感想お願いします!!」
きな子「ではまずスープから・・・・・・ずずっ」
きな子「・・・・・・うん」
かのん「ど、どうかなぁ・・・・・・」ドキドキ
きな子「少し薄味に仕上げてあるんすね・・・・・・ずずっ」
かのん「うん。ウチ、今のところ醤油味のみでやってるでしょ?だからそれと差別化できないかと思ってね」
きな子「これはもう好みの問題かもしれないっすが、少し物足りない気もするっす・・・・・・」
かのん「なるほど、やはりそう来たか~」フムフム
きな子「では、麺の方は・・・・・・」
きな子「はむっ・・・・・・ズルッ・・・ズゾゾゾゾ・・・」
きな子「んむんむ・・・・・・」モグモグ
きな子「麺は醤油ラーメンと同じものっすね」
かのん「これはこだわってる麺で勝負したかったからね」
きな子「これは塩ラーメンとも相性良いと思うっす」
かのん「そっか、それなら良かった!」
かのん「やっぱりもう少しコクがあった方が良いかな?」
きな子「そうっすね。その方がきな子としては良いような気がするっす」
かのん「う~ん・・・・・・かえしの作り方、一から見直すか・・・・・・」
きな子「ウチで扱ってるモノで塩スープに使えそうなもの、今度ご紹介するっす」
かのん「うんっ!そうして貰えるとありがたいよ」
きな子「塩ラーメンのコクを出すのに白醤油なんかを使うのも良いって他に取引があるお店で聞いたことあるっす」
かのん「みたいだね」
きな子「明日、食材の配達の時に何種類か持って来てみるっす」
かのん「ありがとう!よろしくお願いするよ」ニコッ
きな子「はいっす!」ニコッ
────
──
きな子「ふぅ~、ごちそうさまでしたっす!」
かのん「お粗末さまでした!」
きな子「・・・・・・さて、きな子も明日早いんで帰って休むっす」
かのん「きな子ちゃん、今日はありがとね」
きな子「いえいえ!きな子で良ければかのん先輩への協力は惜しまないっす!!」
かのん「また良い試作出来たら招待してもいい?」
きな子「もちろんっす!!」
かのん「じゃあお願いね」
きな子「はいっす!!」
きな子「では、ラーメンありがとうございましたっす」ペコッ
かのん「またね~」ニコッ
バタンッ
きな子(今日はかのん先輩のお手伝いが出来てよかったっす・・・・・・)
きな子(さて、帰ってお風呂入ったら眠るっす・・・・・・)
テク テク テク・・・
────
──
~ランジュの店・開店前~
ガラガラッ
きな子「おはようございますっす!!鬼塚商店っす!!」
ランジュ「────へぇ~、面白いわね。これはランジュの拉麺にも使えるかもしれないわ」
きな子「??」
「そう言って貰えると嬉しいです!!今のところ、ウチの東雲物産でしか取り扱いしてない商品でして・・・・・・」
ランジュ「もしコレを使うとなると、鬼塚商店から仕入れているのいくつかが必要なくなるかもしれないわ」ウーン
きな子「どうかしたっすか?」
ランジュ「ああ、きな子。来てたのね」
きな子「・・・・・・それは何っすか??」チラッ
「ウチが専売契約して仕入れている調味料ですよ」
きな子「へぇ~、凄いっす」
ランジュ「きな子、この子はきな子の会社とは別にランジュが取引のある東雲物産の遥よ」
きな子「し、東雲物産!?鬼塚商店とは比べものにならない大手の会社っす!!」
遥「東雲物産の近江遥です」ニコッ
きな子「ご挨拶痛み入るっす、鬼塚商店の桜小路きな子っす」ペコッ
遥「では、コチラの件は是非ご検討ください!!」
ランジュ「そうね、考えてみるわ」
遥「では、失礼します」ペコッ
ランジュ「そうそう、遥。お姉さんは元気??」
遥「・・・・・・あ、はい!」
ランジュ「そのうち、お弁当買いに行くからって伝えておいてくれる?」
遥「分かりました!ありがとうございます!!」
バタンッ
きな子「今日の納品分はいつものところに積んでおきましたっす」
ランジュ「ありがとう。きな子」ニコッ
きな子「東雲物産さんの商品、仕入れるんすか?」
ランジュ「うーん、まだ決めたわけじゃないけれど、アレを使うと色々と便利かもしれないわね」
きな子「ウチの商品も何とか使い続けて欲しいっす。きな子が厳選して仕入れてる物ばかりなんっす」
ランジュ「それはもちろん分かってるわ。でも、フロアスタッフは雇っていても、厨房はランジュ1人で回しているから手間が省けて色々なメニューに応用が効く調味料は魅力的ではあるのよ」ウーン
きな子「一品一品のラーメンにこだわっているのがランジュさんのラーメンだと思うっす」
ランジュ「そうね、ランジュは自分の味に妥協したくないわ」
きな子「生意気言ってすんませんっす」ペコッ
ランジュ「いいのよ、ちょっと見失うところだったわ」
ランジュ「最近忙しくて、疲れが溜まっているのかもしれないわね」
きな子「無理はしないでくださいっす」
ランジュ「気遣いありがとう」ニコッ
きな子「では、失礼するっす」ペコッ
ランジュ「・・・・・・あっ!きな子ちょっと待ちなさい??」
きな子「へ??」クルッ
ランジュ「これ、持っていきなさい?」スッ
きな子「えっ?コレ何っすか?」
ランジュ「ほら、先日限定メニュー思い付いて卵を追加で注文したでしょ?」
きな子「は、はいっす」
ランジュ「読み違えて余らせちゃったのよ、だから空き時間にマーラーカオ作ってみたの」
きな子「へぇ~!美味しそうっす!!しかもこんなにたくさん!!」
ランジュ「配達の休憩時間にでも食べるといいわ」
きな子「ありがとうございますっす!!」ペコッ
ランジュ「じゃ、気をつけて運転しなさいね」
きな子「はいっす!!」
バタンッ
きな子(うわぁ~!マーラーカオって中華蒸しパンっすよね。後で美味しくいただくっす!!)
バタンッ
キョカカッ
ブルブルブルブルブル・・・
きな子(さて、次急ぐっす・・・・・・)
ガゴッ
ブオオオオオオオ・・・・・・
あーまぁ読み直したらセルとサイドブレーキ解除音と思えば車でもいける あの頃は皆同じ立場だったのに確実に格差生まれてるの辛い…
やっぱり資本主義ってクソだわ マーラーカオ初めて聞いたからビックリしちゃった
すごい名前 一時期セブンイレブンで肉まんの蒸し器で売ってたぞ
今は売ってるかしらんけど ────
──
~かすみの店・開店前~
ガラガラッ
きな子「おはようございますっす!鬼塚商店っす!!」
かすみ「あ、きな子おはよう~」
きな子「今から品物運ぶっす」
かすみ「よろしく頼みますよぅ~」ニコニコ
きな子「・・・・・・よっこいしょ」ズシッ
きな子(かすみさんのお店は毎日納品数が多いから大変っす・・・・・・)
ドサッ
きな子「ふうっ・・・」
きな子「・・・・・・あっ!千砂都先輩おはようございますっす!」ニコッ
きな子「昨日の夜にかのん先輩のお店でお会いして以来っすね!」ニコニコ
千砂都「・・・・・・・・・あ、うん。おはよう」ヨロッ
きな子「??」
きな子「千砂都先輩??どうかしたっすか??随分と顔が赤いみたいっす」
千砂都「な、何でもないから・・・・・・」フラッ
きな子「大丈夫っすか・・・・・・?」
きな子「あ、そういえば!かのん先輩の試作ラーメン、なかなかの出来だったっす!」
きな子「もう一息で商品化できるレベルに行きそうな感じだったっす!!」
千砂都「ふーん・・・・・・」
きな子「きな子も塩ラーメンに合う材料をおすすめして、新メニュー開発に協力しようと思ってるっす!!」ニコッ
千砂都「・・・・・・・・・・・・」イラッ
きな子「千砂都先輩??やっぱり体調悪いっすか?」
千砂都「きな子ちゃん、ウチは毎朝の仕込み量が多くて大変なの!かのんちゃんの店の話なんかどうでもいいから!」
きな子「ひいっ!ごめんなさいっす!!」ビクッ
千砂都「うっ・・・」ズキッ
きな子「どうしたっすか?頭痛いんすか??」
千砂都「こ、こんなのすぐ治るから・・・・・・」フラッ
きな子「・・・・・・」スンスンッ
きな子(千砂都先輩・・・酒臭いっす・・・・・・二日酔いなんじゃ・・・・・・)
かすみ「────ちぃ子~!豚の仕込みある程度終わったら麺箱を厨房に運んでおいて~!」
千砂都「は、はい!!」
きな子「かのん先輩、千砂都先輩からも味の感想聞きたいみたいだったっす。今度味見してあげて欲しいっす」
千砂都「・・・・・・」イラッ
千砂都「きな子ちゃんはかのんちゃんの何なわけ??」ギロッ
きな子「ひいっ!た、ただの後輩っす!!」ビクッ
千砂都「後輩・・・・・・ね」
きな子(千砂都先輩、二日酔いだからなのか分からないっすが、めちゃくちゃ機嫌悪いっす・・・・・・きな子、何か失礼なことでも言っちゃったかなぁ・・・・・・)
きな子「と、とりあえず急いで残り品物トラックから下ろすっす!」
千砂都「・・・・・・・・・・・・」チッ
きな子(ふええええっ・・・怖いっす~!!)
────
──
きな子「では、今日の分も全部納品完了っす。ありがとうございましたっす」
かすみ「毎日ありがとね~」
きな子「では、失礼しますっす」ペコッ
バタンッ
かすみ「・・・・・・あれ?ちぃ子、豚の仕込みまだ終わってないの??いつもより随分と遅いんじゃない?」
千砂都「す、すみません」
かすみ「うーん・・・・・・豚のロールがいつものように完璧な丸になってないな~・・・・・・」
千砂都「えっ!?あ・・・・・・ホントだ!!」アタフタ
千砂都「もう一度巻き直しますっ!」
かすみ「今日はもうこのままで煮込むから他の仕込み始めてよ」ハァッ
千砂都「す、すみません・・・・・・」シュン
Prrrrr・・・(着信音)
かすみ「電話だ、こんな時間に何だろ・・・・・・」
ガチャッ
かすみ「はぁ~い☆りんちゃんラーメンお台場店、店主の中須かすみでございますよぉ~♪」
かすみ「・・・・・・え??はいっ??バイト希望??」
かすみ「ウチは今募集してないけどぉ・・・まぁ、人手足りないといえば足りないんだよねぇ」ウーン
かすみ「・・・・・・そういうことなら~、とりあえず履歴書書いて面接に来てみてくださ~いっ!」
ガチャッ
かすみ「ちぃ子~、アルバイトしたいって子から電話来たよ」
千砂都「そうなんすか??」
かすみ「最近、2人だけだと限界感じることもあるし~、1人雇っちゃおっか~??」
千砂都「ですね、たまにキツイ時もありますしね」ハハハ
かすみ「バイト希望か~、どんな子かなぁ??」
手拭いを頭に巻いて黒T着て腕組みしてる凛ちゃんがいる世界 ────
──
~近江弁当店~
Prrrrr・・・(着信音)
侑「うわっ!また注文の電話だ~!!」
侑「はい!近江弁当店です!!」
侑「・・・・・・え~・・・はい。唐揚げ弁当2つとヒレカツ弁当が3つですね」カキカキ
侑「すみません、今日は予約注文が多いもので12:30までには何とか・・・・・・はい。よろしくお願い致します」
ガチャッ
侑「彼方さーん!また予約入ったけど大丈夫??」
彼方「うーん・・・別にこなせる仕事量だけど、材料がねぇ・・・・・・」
ガラガラッ・・・
遥「お姉ちゃんおはよう!」
彼方「あ、遥ちゃ~ん」ニコッ
遥「昨日追加注文貰った業務用漬物も一緒に持って来たよ!」
彼方「ありがと~!助かるよぉ~」 ────Prrrr・・・
侑「────はいっ!近江弁当店ですっ・・・・・・」
遥「お姉ちゃん、最近は随分と繁盛しているみたいだね」
遥「お姉ちゃんから貰う食材の注文数が以前よりかなり多くなってるし」
彼方「おかげさまでね~。でも、侑ちゃんと2人きりだから回すのが大変になって来たかもねぇ」
侑「彼方さ~ん!また会社関係の大口注文来ちゃったけど大丈夫??断った方いいかな??」
彼方「う~ん・・・揚げ物系なら受けてもいいよぉ~」
侑「りょうか~い!」
侑「────お待たせしました!ご注文お尋ねしますね・・・・・・」
彼方「最近は近所の会社関係からまとまったお弁当の注文も入るようになったんだぁ」
遥「凄いね!お姉ちゃんのお弁当美味しいから認められたということだよ!」
彼方「この調子だと、遥ちゃんの会社からたくさん仕入れないとやっていけなくなるね」
遥「バンバン注文入れてね!私が配達しに来るから!!」ニコッ
人手が足りないは新しい仲間フラグか、過労で倒れるフラグか😭
侑「彼方さん!はい、伝票!!」ピラッ
彼方「お!侑ちゃん、あいよ~!」
侑「最初は色々な種類の弁当頼まれたんだけど、事情説明して唐揚げ弁当10個に統一して貰ったよ」
彼方「おお~!さすが侑ちゃ~ん!!」
侑「唐揚げ弁当の美味しさ語ったら電話口の人が理解してくれたみたいでさぁ~」
彼方「やるねぇ~侑ちゃん!さすが彼方ちゃんの相棒だよぉ~」ニコニコ
遥「・・・・・・・・・・・・」
彼方「これは鶏肉の仕入れ増やさないとダメかもね~」
彼方「ね?遥ちゃん??」
遥「ん??ああ、そうだね!!・・・・・・バンバン注文してね!私が配達するから」ハハハ 遥「じゃ、私行くから伝票にサインお願い」ピラッ
彼方「はいよ!」カキカキ
遥「では、ありがとうございました!!」ペコッ
バタンッ
侑「あれ?遥ちゃん帰っちゃいました??」
彼方「うん。帰ったよぉ」
侑「小袋醤油の追加もお願いしようかと思ったんだけど・・・・・・あとでFAX注文すればいいか!」
彼方「そうだねぇ」
彼方「よぉし!12時までに注文分作り終えるぞぉ~!!」
侑「頑張りましょう!彼方さん!!」
ちぃ…きな子の純粋さが時に眩しいときもあるんだね… 遥ちゃんあれかな~
お姉ちゃんの助けを無駄にしない!と頑張って勉強していいとこ入って家計への貢献は自分の方が大きい自負あるけど、距離が近くて一緒の時間が長くて直接自分の手で助けてるのは侑ちゃんの方なんだね…… ちぃ「きな子ちゃんの方が大事なの!?」
遥「侑ちゃんの方が大事なの!?」
あかん、血の海やんか ────
──
~夕方・鬼塚商店~
ザッ ザッ・・・
きな子「ふうっ・・・」
きな子(1人で倉庫の掃除は大変っす・・・・・・)
きな子(・・・・・・さて、伝票の整理は終わってるっすし、今日はもう上がるっす)
きな子「う~んっ・・・・・・」
きな子(明日は休みっす・・・・・・今週もきな子は頑張ったっす・・・・・・)
きな子(さて、戸締りはオッケーっすね・・・・・・)
きな子「お疲れ様でしたっす!!」
きな子「・・・・・・あっ!」
きな子(あぶないっす!会社の電話を留守電に切り替えるの忘れるところだったっす・・・・・・)
ピッ
きな子「これでバッチリっす」
きな子(今度こそ帰るっす・・・・・・)
ガラガラッ・・・バタンッ
カチッ
きな子(裏口の施錠もオッケーっす・・・・・・)
きな子(明日の休みは何するっすかね~・・・・・・) ────
──
テク テク テク・・・
きな子「・・・・・・・・・・・・」
きな子(今日の夜ご飯も近江弁当店さんで買って行くっすかね・・・・・・)
テク テク テク・・・
きな子「あっ!」
きな子(そうっす!先月見つけた安くて美味い焼き鳥屋に行ってみるっす!!)
きな子(たまに休みの前の晩くらい、外で一杯やってもバチはあたらないっす・・・・・・)
きな子(マスターもいい人だったっすし・・・・・・)
きな子(・・・・・・確か、こっちの裏通りにあったはずっす)
テク テク テク・・・
────
──
テク テク テク・・・
きな子(え~っと・・・・・・)キョロキョロ
きな子「!!」
きな子(あったっす!!ここの焼き鳥屋っす!!)
ガラッ・・・
カランカラン・・・
きな子「こんばんわっす~・・・・・・」
マスター「いらっしゃ~い」ニコッ
ガヤガヤ・・・・・・
きな子「1人っすけど、いいっすか??」
マスター「いいわよ?カウンターの空いてる席にかけてくれる?」
きな子「あ、はいっす!ありがとうございますっす」ガタッ
マスター「あら?もしかして、先月来てくれた子よね??」
きな子「あ、はいっす!覚えていて貰えて光栄っす」ニコッ
マスター「うふふっ!一度来てくれたお客さんはちゃんと覚えているものよ」ニコッ
きな子「恐縮っす」アハハ
マスター「とりあえず、何飲む??」
きな子「じゃあ、生でお願いするっす」
マスター「うふっ!ありがとね」ニコッ
きな子「・・・・・・」キョロキョロ
きな子(やはり、小さな焼き鳥屋だから、常連さんが客層のメインといった感じっすね・・・・・・)
マスター「はいっ!お待たせ!」ドンッ
きな子「あ、どうもっす」
きな子「じゃあ、いただくっす・・・・・・」
マスター「・・・・・・あ、待って!仕事帰りで明日休みなんでしょ??」ニコッ
きな子「え??まぁ、そうっすけど」
マスター「今日は土曜日だもんね!乾杯しましょっ!私はお水だけど」ニコッ
きな子「え??あ、はいっす」スッ
マスター「乾杯~!」スッ
カキンッ
マスター「1週間お疲れ様」ニコッ
きな子「きょ、恐縮っす・・・・・・」テレッ
きな子「んぐっ・・・んぐっ・・・」グビグビ・・・
きな子(なんというか、温かみがあるマスターっすね・・・・・・)グビグビ・・・
きな子「ぷはあっ!」ドンッ
マスター「随分と一気に飲んだわね!」ウフフ
マスター「そのジョッキ、空けちゃって??もう一杯入れるから」ニコッ
きな子「・・・あ、はいっす!!」
きな子「んぐっ・・・んぐっ・・・」グビッ
きな子(・・・・・・いやぁ、凄い気配りっす・・・・・・商売上手っす)グビグビッ
きな子「ふうっ・・・」ドンッ
マスター「はい、生ね」スッ
きな子「あ、ありがとうございますっす!」
マスター「空いたジョッキくれる??」
きな子「あ、はいっす・・・・・・」スッ
マスター「ありがとね!」ウフッ
「────ま、マスタぁぁぁ~!!・・・び、ビールぅ・・・・・・」
マスター「は~い!・・・・・・って、まだ飲むの??そんなに酔っ払っちゃって大丈夫??」
「────かああ゛あ゛っ!!・・・・・・た、頼んだもんも出てこねーのか!この店はっ!!」
マスター「はいはい、ちょっと待っててね」ヤレヤレ
きな子「・・・・・・・・・・・・」ジーッ
きな子(あはは・・・・・・常連さんなんすかね・・・・・・)
マスター「ごめんなさいね、あの子ウチの常連さんなんだけど、いつもはあんなになるまで飲まないんだけどなぁ」ハァッ
きな子「気にしないんで大丈夫っす」アハハ
マスター「そういえば、あなたお名前なんだったかしら??」
きな子「あ、桜小路きな子っす!!」
マスター「きな子ちゃんね、可愛い名前だわ」ニコッ
きな子「い、いえ!そんなことないっす・・・・・・」
マスター「それに桜・・・・・・奇遇だわ」ニッコリ
きな子「??」
マスター「うふふっ!・・・きな子ちゃん、焼き鳥の注文どうする?」ニコッ
きな子「えっ??あ・・・・・・じゃあ、とりあえず・・・・・・ももとねぎ間と・・・・・・皮もお願いするっす」
マスター「はーい、これから焼くから待っててね」ニコッ
きな子「はいっす!」
きな子「んぐっ・・・んぐっ・・・」ゴクッ ゴクッ
きな子「ふうっ・・・」
────ガヤガヤ・・・
きな子「・・・・・・」キョロキョロ
きな子(結構良い雰囲気のお店っすね・・・・・・)
「────ま、ますたぁ・・・・・・も、もう一杯ぃ・・・・・・」
マスター「・・・・・・ええ!?もうそろそろやめておいた方いいんじゃないの??」
「────けっっ!さ、酒も出てこねーのか!この焼き鳥屋はっ!!」バンッ
マスター「はいはい、酔いすぎ酔いすぎ!そんなんで帰れるの?泊まってく??」
「────お、お゛お゛お、追い出すってか!!と、とんでもねー店だなぁおいいっ・・・・・・けっっ!!」
マスター「そんなベロベロに酔ってるのにもう一杯飲んだら確実に潰れるわよ?」ハアッ
「────へっ!酒も出ねー店なんかこっちから出願い下げだっ!!」フラッ
ガタッ
マスター「あ、危ない!そんなにフラフラで大丈夫??」
「────けっ!どいつもこいつも!!・・・・・・マスターまでも私の敵かよぉっ!!レズみてーなツラしやがって・・・」ヘロヘロ・・・
マスター「はいはい、レズでいいからまた今度ね」ニッコリ
「────に、ににに・・・二度と来るかよ!あばよっ!」ヨロッ
マスター「あ、危ないっ!」
ドンガラガッシャーン
「いてて・・・・・・」
きな子「だ、大丈夫っすか??立てるっすか??」ダッ
「ら、らいじょうらよ・・・・・・」ベロンベロン・・・
きな子「・・・・・・ん??あれ?・・・・・・もしかして、ランジュさんのお店でお会いした同業の??」
マスター「遥ちゃーん!今日の分はツケね~!!」
遥「・・・・・・あ、あばよっ!」
ガラッ・・・バタンッ
きな子「・・・・・・・・・・・・」キョトン
マスター「おまたせ、注文の焼き鳥ね」スッ
きな子「・・・・・・あ、ありがとうっす」
マスター「あの子、いつもは可愛くていい子なんだけどなぁ・・・、なんだか最近は嫌な事が多いみたいで・・・・・・」
きな子「みんな何かしら悩みはあるっす」
マスター「そうよねぇ」
きな子「はむっ・・・もぐもぐ・・・・・・」
きな子「うんっ、美味しいっす!」ニコッ
マスター「ありがと!」ニコッ
マスター「テイクアウトもやってるから、持ち帰りたい時はいつでも言ってね」ニコッ
────
──
きな子「ふうっ・・・・・・お腹いっぱいっす・・・・・・」ゲフッ
マスター「あら?もう帰るのかしら??」
きな子「はいっす、おあいそお願いするっす」
マスター「はい、伝票ね」ピラッ
きな子「・・・・・・あれ?随分と安くないっすか??」
マスター「いいのいいの!今日はサービスするからまた来てね」ニコッ
きな子「あ、ありがとうございますっす!!」
きな子「じゃあ、コレで」スッ
マスター「お釣りちょっと待ってね・・・・・・」ガサッ
マスター「はい、お釣り!」ギュッ
きな子「お、おおっ・・・べ、別に手を握らなくてもお金落とさないっすよ・・・・・・」
マスター「うふふっ」ニコッ
きな子「では、ごちそうさまでしたっす」ペコッ
マスター「また来てね」
────
──
テク テク テク・・・
きな子(ふぅ~・・・、ちょっと飲み過ぎたっすかね・・・・・・)
きな子(コンビニでお水でも買って飲んだ方良いかもしれないっす・・・・・・)フラッ
「────ぐがーーーぐがーーーー」Zzz
きな子「!?」ビクッ
きな子「ええっ!?さっきの人っす!!」
きな子「な、なんでこんなところで寝ているっすか??大丈夫っすか??」
遥「ぐがーーーーぐがーーーー」Zzz
きな子(酔い潰れたせいっすね・・・・・・)
きな子(け、警察呼ぶっすか??・・・・・・いや、起こして水でも飲ませた方が・・・・・・)キョロキョロ
きな子(・・・・・・いや、きな子のアパートの近くっす・・・仮にも面識のある人を放っておけないっす・・・・・・)
きな子「大丈夫っすか??おんぶするっすよ??」グイッ
遥「ううっ・・・・・・」
きな子「よっこいしょっ・・・・・・」ググッ
きな子(さて、アパートまでこの人をおんぶしていくっす・・・・・・)ズシッ
きな子「もう少しの辛抱っすからね~・・・・・・」ヨロッ
遥「ぐがーーー」Zzz
きな子「ううっ・・・・・・」フラッ
────
──
~翌朝・きな子の部屋~
きな子「んんっ・・・・・・」パチッ
きな子(朝っすか・・・・・・)ムクッ
遥「申し訳ありませんでしたっ!!!」m(_ _)m
きな子「ひえっ!?」ビクッ
きな子「そ、そういえば・・・・・・酔い潰れていた遥さんを背負って連れ帰って来たんだったっす」
遥「ど、どうして私はここにいるのでしょうか・・・・・・」オロオロ
きな子「焼き鳥屋で足もとがフラフラになるくらい飲んだからだと思うっすが、路上に倒れて泥酔していたところをきな子が保護させてもらったんすよ」
遥「えええっ・・・・・・そ、そうだったんですか・・・・・・」シュン
遥「実は昨夜・・・・・・焼き鳥屋さんでヤケ酒していて、途中から記憶がないんです・・・・・・」
きな子「あの様子ならそうなってもおかしくないっすね・・・・・・」アハハ
遥「そうだ!!焼き鳥屋さんの支払いどうなったんだろう??・・・・・・ま、まさか・・・立て替えて下さったんですか??」
きな子「いや、マスターがツケって言ってたっす」
遥「そ、そうでしたか・・・・・・早いうちに払いにいかないと・・・・・・」
遥「と、ところで・・・・・・ランジュさんのお店でお会いした同業の方ですよね??鬼塚商店さんの・・・・・・」
きな子「桜小路きな子っす。・・・・・・東雲物産の近江遥さんっすよね?」
遥「はい・・・・・・」
きな子「この界隈では最大手食品卸である東雲物産さんの社員さんがヤケ酒するなんて、やはり大きい会社は人間関係が大変なんっすかね??」
遥「いえ・・・・・・そうではないんです・・・・・・」
きな子「きな子で良ければ聞くっすよ?」
遥「あ・・・・・・えーと・・・・・・その~・・・・・・」
きな子「言いたくない時は無理に言わなくてもいいっす」
遥「・・・・・・・・・・・・」
遥「実は、私のお姉ちゃんが自営で弁当屋をやっていまして・・・・・・その・・・あの・・・・・・」ウジウジ
きな子「弁当屋さんっすか~ 凄いっす!」
遥「その、私のお姉ちゃんを・・・・・・お姉ちゃんの仕事を外から支えたあげられるようになりたいから今の会社で働いているんですが・・・・・・」
遥「私・・・・・・昔からお姉ちゃんのことが大好きで・・・・・・お姉ちゃんの弁当屋へのサポートも私が1番でありたいと思っていて・・・・・・だけど・・・・・・」
遥「お姉ちゃんの仕事を手伝ってくれている、お姉ちゃんの後輩さんが・・・・・・何ていうか・・・・・・その・・・・・・」モジモジ
きな子「その弁当屋さんって、近江弁当店さんっすよね?きな子もよく買いに行くっす」
遥「あ・・・お姉ちゃんのお店、ご存知でしたか・・・・・・」
きな子「店主の彼方さんのお弁当はホント美味いっすし、店頭で接客してる侑さんも凄く良い人で素敵な弁当店だと思うっす」
遥「は、はい・・・・・・そうですよね・・・・・・私も凄いと思ってます・・・・・・」
遥「でも・・・・・・侑さんのお姉ちゃんへのフォローが素晴らしくて・・・・・・お姉ちゃんも侑さんを頼りにしていて・・・・・・私なんか・・・・・・」
遥「何の役にも立ててないなと思えてきて・・・・・・」ウルッ
きな子「そうだったっすか・・・・・・」
遥「ううっ・・・・・・ぐずっ・・・」シクシク
きな子「あああっ!な、泣かないでくださいっす!!」
遥「う゛うううっ・・・・・・」シクシク
きな子「はい、ティッシュっす。泣き止んでくださいっす」スッ
遥「ず、ずびばぜん・・・・・・」グズッ
きな子「きな子がこんなこと言うの変かもしれないっすが、遥さんは彼方さんのお役にちゃんと立ててると思うっす」
遥「そ、そうでしょうか・・・・・・」
きな子「はい、大丈夫っす!!」ニコッ
遥「・・・・・・・・・・・・」
きな子「まずは、焼き鳥屋さんにツケを払うっす」
遥「そ、そうですよね・・・・・・」
遥「一度しか面識がないのに助けて頂いてありがとうございました。その上、愚痴まで聞いてもらってしまって・・・・・・」ペコッ
きな子「いえいえ、当然のことをしたまでっす」
きな子「そうだ、シャワー使うっすか?さっぱりするっすよ?」
遥「えっ??・・・・・・いえ、このまま失礼して家に帰りますんで」
きな子「そうっすか、では気をつけてお帰りくださいっす」
遥「このお礼はまた今度何かしらの形でさせてください」
きな子「そんなのいらないっすよ」ハハハ
遥「では、ありがとうございました」ペコッ
きな子「いえいえっす」
バタンッ
きな子(遥さん、ランジュさんのお店でお会いした時は、東雲物産の優秀な社員さんって感じで頼もしい人なのかと感じたっすが、やはり人には色々な悩みがあるもんっすね・・・・・・)
きな子ちゃん対応が大人すぎる😭
介抱し慣れてる感あるわ >>127
マスター内さんかな
女優さんはきな子が部屋で飯食いながらテレビ見てた時のだと予想 千砂都と遥のウジってる部分はつまらんから書かんでええよ ────
──
~かすみの店・営業中~
千砂都「次の方ニンニクいれますか~?」
客「ヤサイ少なめアブラカラメで」
千砂都「はーい・・・・・・」モサッ・・・ドロッ・・・
千砂都「はい、お待ち~」ドンッ
千砂都「隣の方は~??」
客「全マシでお願いします」
千砂都「はい、全マシね・・・・・・」モサッ モサッ・・・
千砂都「はい、どうぞ~」ドンッ
千砂都「後ろの方、食券見せてくださーい!!」フリフリ
千砂都「え~と・・・・・・小、小・・・小、大・・・小・・・」
千砂都「はーい、ありがとうございま~す」
千砂都「(ふうっ・・・・・・店主、休日とはいえいつもよりお客多いですね)」ヒソヒソ
かすみ「(うん、今日の分の仕込み、足りないかもしれないよ?ちぃ子)」ヒソヒソ
千砂都「(ですよね・・・・・・ちょっと、外待ちの人数見て来ますね)」ヒソヒソ
かすみ「うん、よろしく」
バタンッ
かすみ(えーっと・・・次のロットわ~・・・・・・1800g・・・・・・)ガサッ
かすみ(・・・・・・あれれ??麺、これしか打ってなかったっけ??)
バタンッ
千砂都「(店主、外に並んでるお客さん30人くらいです)」ヒソヒソ
かすみ「(そっか・・・・・・ちぃ子、行列最後の人に宣告頼んで来て・・・・・・今日はそれでお店閉めるから)」ヒソヒソ
千砂都「(分かりました・・・)」ヒソヒソ
バタンッ
客「ごちそうさまでした」ドンッ
かすみ「あ、ありがとうございましたぁ~」
────
──
~かすみの店・閉店後~
ガラガラッ・・・ピシャンッ
千砂都「店主、入り口閉めました」
かすみ「ちぃ子お疲れ~」
千砂都「今日は閉店がかなり早まってしまいましたね」
かすみ「今日は仕込みの当てが外れちゃったねぇ」トホホ
千砂都「まぁでもいいですよ、ただでさえ週末は行列が長くなって近隣にも迷惑かけてしまいますし」
かすみ「ちぃ子~、今日は夜の部もこのまま休みにしようか?」
千砂都「え?店主がいいなら私は全然構いませんけど」
かすみ「じゃあ決まり~!!」ニコッ
千砂都「店主、何か予定でもあるんですか??」
かすみ「べ、別に何もないですよぉ~?もともと夜も営業するつもりだったしね」
千砂都「私はどうしようかなぁ・・・・・・」ウーン
かすみ「また昨日みたいに二日酔いで仕事に支障が出るようなことはダメですよぉ??」ニヤリ
千砂都「あはは・・・昨日はホントすみませんでした」
────
──
~かのんの店・夕方~
かのん「よし、夜営業の準備はオッケー」
かのん「今日はたくさんお客さんが入りますように!」パンパンッ
かのん「・・・・・・・・・・・・」
かのん「よし、神棚拝んだし頑張るぞ~!」
ガラガラッ
かのん「ん?誰か来た??」クルッ
千砂都「かのんちゃん?夜営業開店前の忙しい時にごめんね」
かのん「ちぃちゃん!ちょうど今準備終えたところだし大丈夫だよ」ニコッ
千砂都「そっか、それならよかった」ハハハ
かのん「どうしたの?今日はちぃちゃんのお店営業日だよね?」
千砂都「昼の部の来客がかなり多くて仕込み切らしちゃってさ、店主の判断で早仕舞いして夜の部も休みになったんだ」
かのん「そうなんだ!私の店では考えられないような出来事だから羨ましいよ」
千砂都「だから今日はかのんちゃんのお店の夜の部の1番客になりたくて来てみたんだよね」
かのん「そうなんだ!ありがとね、ちぃちゃん」ニコッ
千砂都「開店何時からだっけ??」
かのん「あと15分後だよ」
千砂都「よし!じゃあ私、外で開店待ちしてる!」
かのん「ええっ!?いいよいいよ~!」アタフタ
かのん「私の店は行列なんか出来たこともないし、夜の部は開けてもすぐお客さん来たりしないし、ちぃちゃんはここで待っててもいいよ?」
千砂都「いや、逆に私が外待ちすることで歩行者に待ちが出来るようなお店なのかと思って貰えるかもしれないでしょ?」
かのん「う~ん・・・それはそうだけど~・・・・・・」
千砂都「いいからいいから!私、かのんちゃんの役に立ちたいし!!」ニコッ
かのん「じゃあ、ちぃちゃんのお言葉に甘えよっかなぁ」
千砂都「うんうん!それでいいよ!かのんちゃんが暖簾出したら1番乗りで入店するね」ニコッ
かのん「ごめんね、ちぃちゃん。今日のラーメンは奢るから」
千砂都「だめだめ!!」ムッ
千砂都「ラーメン代もちゃんと私が払う!!」
かのん「ははは・・・・・・ちぃちゃん、何から何まで悪いね」
千砂都「いいって、いいって!・・・・・・じゃ、外で待ってるから」
かのん「はーい」
バタンッ
────
──
ガラガラッ
かのん「ちぃちゃんお待たせ~、開店時間だよ」
千砂都「あ、かのんちゃん待ってたよ」ニコッ
かのん「さ、入って入って!」
千砂都「お邪魔しま~す」
バタンッ
千砂都「カウンター座っていい?」
かのん「あ、うん!お好きな席にどうぞ~」
ガタッ
かのん「ご注文は??」
千砂都「え~っと・・・・・・って、まだ醤油ラーメンしかないんだったよね」
かのん「うん、ごめんね。麺の盛りと追加トッピングがあれば選んでね」
千砂都「じゃあ、普通盛でお願い!」
かのん「あいよ~!ご注文ありがとうございます!!」
千砂都「そういえば、新メニューはまだ出来ないの?」
かのん「・・・・・・あ、うん。もう少し手を加えて納得できる味になったら出すつもり」
千砂都「そうなんだ」
かのん「きな子ちゃんがいい材料すすめてくれるみたいだからそれを待ってるんだ」
千砂都「ふーん」
かのん「・・・・・・よし、麺茹でるよ~」バシャッ
かのん「ふふふ~ん・・・・・・」
千砂都「・・・・・・・・・・・・」
かのん「・・・・・・うち細麺だから茹で時間短くてすぐ出来るからもう少し待っててね」
千砂都「・・・・・・あ、うん」
────グツグツグツグツ・・・
かのん「よしっ・・・・・・」ザッ ザッ・・・
かのん「・・・・・・・・・・・・はいっ!おまち~!!」ドンッ
千砂都「ありがとう、かのんちゃん」
千砂都「いただきまーす」パキッ
千砂都「どれどれ、スープから・・・・・・ズズッ・・・」
千砂都「・・・・・・うんっ!鶏ガラと魚介かな?さっぱりとしていておいしいね!」
かのん「ありがと!」
千砂都「はむっ・・・・・・ズゾゾゾゾッ」ズルズル
千砂都「んむんむ・・・・・・」モグモグ
千砂都「うんっ!たまに細麺食べると新鮮だなぁ~」
かのん「ちぃちゃんのお店のラーメンは極太麺だもんね」ハハハ
ガラガラッ
かのん「あ、いらっしゃいませ~!!」
千砂都「・・・・・・あ、お客さん入って来たね」
かのん「────ご注文は~?」
客「────大盛り、チャーシュー増しで」
かのん「────ありがとうございます!」
かのん「ちぃちゃん、ゆっくり食べててね」
千砂都「あ、うん」
かのん「・・・・・・大盛り、大盛りっと」ガサゴソ
かのん「よっ!」ドボンッ
────グツグツグツグツ
千砂都「・・・・・・・・・・・・」
ガラガラッ・・・
かのん「あ、いらっしゃいませ~!!」
千砂都「んん?結構お客さん入って来たんじゃない??」
かのん「みたいだね、いつもの夜営業はほとんどお客さん入らないんだけどね」アハハ
ガラガラッ・・・
客「こんばんは~、6人ですけど入れますか??」
かのん「あ、はい!!テーブル席使ってください!!」アタフタ
千砂都「かのんちゃん大丈夫??1人で回せる??」
かのん「・・・・・・あ、うん!前もこういうことあったから何とかなるよ」アタフタ
客「────注文お願いしまーす!!」
かのん「あ、はーい!!お待ちくださーい!!」
千砂都「・・・・・・・・・・・・」
千砂都「かのんちゃん、ごちそうさま」ドンッ
かのん「あ、ちぃちゃんありがとね。丼置いてていいよ、私片付けるから」
千砂都「お金も置いとく・・・・・・」ジャラッ
かのん「うん!ありがとう」
千砂都「じゃ、また」
バタンッ
客「────おーい!注文早く聞いてくれない??」
かのん「はっ!?すみません!!ただいま~!!」アタフタ
──ガラガラッ
かのん(んんっ??裏口??誰だろ??)
千砂都「────かのんちゃん、ここにかけてあるエプロン借りるよ」ガサッ
かのん「ち、ちぃちゃん??」
千砂都「よしっ」キュッ
かのん「ちぃちゃん!?、帰ったんじゃないの!?」
千砂都「フロアは私がやるから、かのんちゃんは厨房に専念していいよ」
かのん「ええ~!?」
千砂都「お客さんお待たせしました~!ご注文お尋ねしまーす」
千砂都「・・・・・・・・・・・・はい、普通盛ですね・・・トッピングは?・・・はい!お待ち下さい!」
かのん「ちぃちゃん・・・・・・」
千砂都「かのんちゃん、オーダー!!伝票、ここに貼っておくといい??」
かのん「あ、うん!ありがとう!」
千砂都「さっきの団体さんの注文も取ってくるね」
かのん「ごめんね・・・・・・助けて貰っちゃって」
千砂都「いいっていいって!」ニコッ
──ガラガラッ
千砂都「あ、いらっしゃいませ~!!」
かのん「やばっ!お客さんがかなり増えてきた~!!」
────
──
テク テク テク・・・
きな子(今日の夜ご飯は何がいいか悩むっす・・・・・・でも、家帰って自炊するのも何だか億劫っす・・・・・・)
テク テク テク・・・
きな子(・・・・・・あ、そうっす!ちょうどこの辺りにはかのん先輩の店があるっす!)
きな子(かのん先輩のお店で頂いて行くっす!!)
テク テク テク・・・
きな子(・・・・・・んん?かのん先輩のお店の前に何人かいるようっすね)
きな子(・・・・・・うわっ!外待ちが出来てるっす!!)
きな子(かのん先輩のお店はまだ新しいお店っすが、味は確かなので口コミで広まればお客さんが増えるのも納得っす・・・・・・)
きな子(さて、きな子も並ぶっす・・・・・・)
きな子「ふうっ・・・・・・」
きな子「・・・・・・」チラッ
きな子(おおっ・・・・・・店内は満席っすね・・・・・・かのん先輩、ワンオペで大変なんじゃないっすかね・・・・・・)
「すみません、このラーメン屋さんに並んでるのですか?」
きな子「!!」ビクッ
きな子「あ、はい!そうっす」
「じゃあ私も並びますね」
きな子「どうぞっす・・・・・・って、あれれ??」
「・・・・・・ん?・・・あっ!!き、きな子さん!?」
きな子「は、遥さんじゃないっすか!!」
遥「あはは・・・これは奇遇ですね。昨夜は大変お世話になりました」
きな子「どうしてこのお店へ来たんすか??」
遥「さっき、営業開始する前に焼き鳥リリィさんにツケを払いに行って来たんですけど、その時にマスターからラーメンが美味しいお店ということで教えて貰ったんです」
きな子「焼き鳥リリィ??・・・・ああ、そういえばそういう店名だったっすね。あの焼き鳥屋さん」
遥「そうです。そしてマスターが新しいお店だけど味も良いし店主も魅力的だと言ってました」
きな子「このラーメン屋さん、きな子の先輩のお店なんすが、味も店主の人柄も間違いないっす!!」フンスッ
遥「きな子さんもそう言うならば来て良かったです」ニコッ
────
──
かのん「────よっっ!!」ドンッ
かのん「はいっ!ちぃちゃん!カウンター2番さんと3番さんのラーメン出来たよ!!」
千砂都「了解!!すぐ運ぶね!!」
客「ごちそうさま」
千砂都「・・・・・・あ、ありがとうございます!!お会計ですね」
千砂都「先にラーメン運ばせて貰いますので少々お待ち下さい」
かのん「ちぃちゃん、それなら会計は私するよ」ガタッ
千砂都「うん、お願い!」
かのん「お待たせしました!・・・・・・えーと、850円になりまーす」ピッピッ
かのん「はい!千円お預かりで150円のお返しで~す」スッ
かのん「ありがとうございました~」ニコニコ
千砂都「かのんちゃん、2、3番の片付けオッケーだよ。外のお客さん入れるね」
かのん「うん、お願い」
ガチャッ
千砂都「次の方、何名様ですか~??」
きな子「あ、2人っす」
千砂都「じゃあどうぞ~」
きな子「ありがとうございますっす・・・・・・って、千砂都先輩じゃないっすか!?」
千砂都「あれ??きな子ちゃん??」
きな子「ど、どうしたんすか??」
千砂都「今日は早仕舞いしたからかのんちゃんのお店手伝ってるんだよね」
きな子「そうだったんすか~!それならこの混雑でもお店回せるっすね!」
千砂都「まぁ、とりあえず入ってよ」
きな子「はいっす」
遥「失礼します」
バタンッ
千砂都「カウンターの空いているところに座ってね」
きな子「はいっす」
ガタッ
遥「今の人が店主さんですか??」
きな子「いえ、今の人もきな子の先輩なんすが、普段は別のラーメン屋で働いてる人っす」
遥「そうなんですね」
きな子「店主は厨房にいる人っすよ」
遥「ああ、あの人が店主さんてしたか」
千砂都「はい、お冷ね」トンッ
千砂都「注文どうする??」
遥「何がおすすめですか??」
きな子「このお店は今のところ醤油味しかないっす」
千砂都「なので麺量と追加トッピングの有無だけ決めて貰えばオッケーです!」
遥「じゃあ、・・・・・・普通盛に煮卵トッピングで」
きな子「きな子も同じでお願いしますっす」
千砂都「え~っ・・・・・・」カキカキ
千砂都「普通盛・・・・・・2つ・・・と、煮卵も2つ・・・・・・」カキカキ
千砂都「はい、お待ちくださーい!」
千砂都「かのんちゃん、オーダー!!」ピラッ
かのん「────はーい!!」
遥「まだ新しいお店とはいえ、一つのメニューに絞って出している辺りに店主のこだわりを感じますね」
きな子「っすね、かのん先輩らしいと言えばらしいっす」
きな子「このお店はウチが主に食材卸してるんすよ」
遥「そうなんですか、鬼塚商店さんのお客さんなんですね」
きな子「実は新メニューの為の材料の提案も近日中にするんすよ。きな子がかのん先輩の為に厳選するっす」ニコニコ
遥「へぇ~、きな子さんも頑張っているんですね」
きな子「遥さんが勤める東雲物産さんみたいな大きな卸売会社じゃないっすが、まぁ何とかやって行けてるっす」
遥「はぁ、私も頑張らないとなぁ・・・・・・」
きな子「遥さんなら大丈夫っすよ」ニコッ
千砂都「はい、普通盛り2丁お待ち~!」ドンッ
きな子「ありがとうございますっす!」
遥「うわぁ~、美味しそうですね~」
きな子「遥さん、箸っす」スッ
遥「あ、すみません」
きな子「では、味わっていただくっす」
遥「いただきます!!」
────
──
遥「ぷふぅ・・・ごちそうさまでした~!」
きな子「かのん先輩のラーメンはいかがだったっすか?」ニコッ
遥「気が利いたことは言えないけど、美味しいですね」
きな子「それなら良かったっす」
遥「店主さんの腕の良さももちろんだと思いますが、こんな質の良いチャーシュー使ってこの金額で出すなんて利益出るんですかね?」
遥「それに、かえしの醤油もこのような味に仕立てるのにどうやっているのやら・・・・・・私の会社で扱っている醤油だとこんな良い味になる商品あったかな・・・・・・」
きな子「まぁ、高級な品物はあまり扱ってないっすが、安くて質が良いものを厳選して卸しているっす」
遥「そうなんですか・・・・・・」
きな子「まぁ、それをここまで美味しいもの仕上げるかのん先輩が1番凄いんすけどね」
遥「・・・・・・今日、このお店に来れて良かったです。勉強になりました」
きな子「遥さんは真面目っすね~」アハハ
遥「それより、食べ終えたので待っているお客さんの迷惑にならないうちに出ましょうか」
きな子「そうっすね」ガタッ
きな子「かのん先輩、千砂都先輩、きな子帰りますっす」
千砂都「あ、ありがとね~!」
遥「きな子さん、ここは私が払います」
きな子「いや、いいっすよ!ラーメンくらい自分で払うっす」
遥「いいからいいから!・・・・・・おいくらですか??」
千砂都「はい、1900円です!」
遥「2000円からお願いします」ピラッ
千砂都「はい、お釣りね」スッ
きな子「なんだか悪いっすね~」
遥「いえいえ、まだまだ借りを返さないといけないですから。こんなのお返しのまだ一部です」
かのん「────きな子ちゃん、ありがとね!!」
きな子「あっ!かのん先輩ごちそうさまでしたっす!」
かのん「────また来てね~!」
きな子「はいっす!」
遥「じゃあ出ましょうか」
きな子「そうっすね」
バタンッ
安くて質のよいものを厳選して仕入れも配達も一人でやってるなんてな… 安くて質のよいものを厳選して仕入れも配達も一人でやってるなんてな… 元スクールアイドルがラーメン屋をワンオペorツーオペで回してるという絵面よ 元スクールアイドルがラーメン屋をワンオペorツーオペで回してるという絵面よ スクールアイドル卒業後のラーメン屋開業率の高さ
スクールアイドル卒業後の夕食ラーメン率の高さ リリィか……どこのマスター内なのかさっぱりわかんねえっす…… CEO不在中にきな子がメノ^ノ。 ^リに食われるのかな ────
──
~週明けの朝・ランジュの店~
きな子「おはようございますっす~!鬼塚商店っす!!」
ランジュ「あら、きな子。早上好(ザオシャンハオ)」ニコッ
きな子「土日は材料切れとか無かったっすか?」
ランジュ「ええ、大丈夫よ。その辺りは計算して発注しているもの」
きな子「それなら良かったっす」
きな子「あと、今日の納品分はいつものところにまとめて置いておいたっす」
ランジュ「ありがとう、きな子。助かるわ」
きな子「・・・・・・それにしても、今朝も仕込みで大忙しっすね~!厨房スタッフの皆さん、フル稼働じゃないっすか」
ランジュ「ランジュは一つ一つのメニューにこだわっているから妥協はしたくないのよ」
きな子「さすがっすね~。ランジュさんの欲しい材料があればいつでもお問い合わせくださいっす」
ランジュ「そうね、頼りにしてるわ」ニコッ
きな子「では、失礼するっす」ペコッ
ランジュ「気をつけてね」
きな子「はいっす!」
──ガラガラッ
きな子「ん?」
遥「おはようございます!東雲物産です」
きな子「あ、遥さんおはようっす!」
遥「・・・・・・えっ??き、きな子さん!?先週はお世話になりました」ペコッ
ランジュ「あら?きな子と遥はお友達なの??」
きな子「あはは・・・・・・先週色々ありましてっす」
遥「私がきな子さんに色々と助けて頂いたんですよ」ハハハ
ランジュ「そうなのね。同業同士で仲が良いのは良い事だわ」ニコッ
きな子「では、きな子は行くっすね」
遥「あ、はい!お気をつけて!!」
バンッ
遥「納品分は倉庫に搬入しておきましたので」
ランジュ「ありがとう」
遥「伝票にサインかご捺印お願いします」スッ
ランジュ「わかったわ」カキカキ
遥「ありがとうございます」ニコッ
遥「ところで、先週提案させて頂いた万能調味料の方はご検討頂けましたでしょうか?」
ランジュ「ああ、あれは確かに素晴らしい商品だと思うわ」
遥「お褒め頂きありがとうございます」
ランジュ「アレをランジュの店で導入すれば、ウチの仕込みから調理まで、かなりのコストを削減出来ると思う」
遥「そうなんです。そういうメリットも大きいと思います」
ランジュ「・・・・・・でもね、遥」
遥「はい」
ランジュ「それを使って楽して拉麺を作れば手間も省けるし、お客さんへ提供する価格も抑えられるし、良い事ずくめのように感じるけれど、それではランジュの拉麺ではないのよ」
遥「・・・・・・は、はい」
ランジュ「ランジュの味は一つ一つのメニューの細部まで徹底してこだわった一杯だから、万能調味料では代わりにならないわ」
遥「そ、そうですか・・・・・・」
ランジュ「だから悪いけど、アレはランジュの店では必要無いわね」
遥「・・・・・・承知しました」シュン
ランジュ「・・・・・・まぁでも、遥の会社との取引をやめるわけじゃないし、これからも宜しく頼むわ」ニコッ
遥「はい、引き続き宜しくお願い致します」
遥「では、失礼致します」ペコッ
ランジュ「気をつけてね~」
バタンッ
────
──
~開店前・かすみの店~
ガラッ
かすみ「ちぃ子ごめ~ん!遅くなっちゃったね」
千砂都「・・・・・・あっ!店主お疲れ様です!!」
かすみ「仕込みは目処ついたぁ??」
千砂都「はいっ!バッチリですよ」ニコッ
かすみ「それなら良かった。バイトの面接が思ったより時間掛かっちゃったからねぇ」アハハ
千砂都「バイト希望の人、どうだったっすか??」
かすみ「実はバイト募集始めたあの後、もう1人から応募があって今日は2人同時に面接したんだよ~」
千砂都「そうだったんですか!」
かすみ「2人共、ちぃ子が応募して来た時のようなギラギラ感はないけれどねぇ~」ニヤッ
千砂都「あはは・・・・・・」アセアセ
かすみ「でもぉ、このまま人手不足もつらいから思い切って2人とも採用しちゃいまーすっ!!」
千砂都「ええっ!?ホントですか??」
かすみ「ちぃ子も後輩の教育よろしくお願いね~」ニコニコ
千砂都「店主~、まさかバイトの指導を私に放り投げる気じゃないですよね~??」
かすみ「まさかぁ??かすみんも総帥ほどじゃないけれど厳しくビシバシ行きますからね~!」キリッ
千砂都「私の時はビシバシではなかったと思いますけど・・・・・・」アハハ
かすみ「さぁて、仕込み終わってるならお客さんももう15人くらい並んでるみたいですし、開店しちゃいますよぉ~♪」
千砂都「了解です!では入り口開けますね」
かすみ「よろしく~」
────
──
ブオオオオオ・・・
きな子「・・・・・・」チラッ
きな子(おや?気付いたらもう昼ご飯の時間っす・・・・・・)
きな子(今日の昼飯はコンビニでいいっすかね・・・・・・)
ブオオオオオ・・・・・・
きな子(え~と、この辺りだとあそこのコンビニが停められるはずっす・・・・・・空いていればっすが・・・・・・)
きな子(・・・・・・おっ!!一台分空いてるっす!!ラッキーっすね!!)
きな子(・・・・・・ウインカーつけて曲がるっす~!!)
チャッカ チャッカ・・・
きな子(よし、歩行者いないっす~!!)
ブオオオッ・・・
きな子(よし!駐車場所確保っす~!!)
ガコッ
ピー ピー ピー・・・
ギッ ・・・プスンッ
きな子(ふうっ・・・お弁当、まだ売ってるっすかね・・・・・・)
ガチャッ・・・ バタンッ
カチッ
きな子(はぁっ、いまだにこんな古いトラック使ってるの鬼塚商店くらいっす・・・・・・せめて集中ドアロックくらい欲しいっす・・・・・・)
きな子(もうCEOに無断で新しいトラックの契約しちゃってもいいっすかね・・・・・・)
きな子(多分、きな子が上げている利益から払えるはずっす・・・・・・)ハアッ
遥「────あれ??きな子さん??」
きな子「!?」
きな子「おや??遥さんじゃないっすか」
遥「さっきランジュさんお店でお会いして以来ですね」
きな子「そうっすね~」アハハ
遥「きな子さんもこのコンビニ、よく利用するんですか?」
きな子「たまにっす。今日は丁度駐車場が空いてたから入ったっす」
遥「私も同じような感じですね」ハハハ
きな子「遥さん、これからお昼ご飯っすか?」
遥「そうですよ。きな子さんも?」
きな子「そうっす」
遥「あっ!それならお昼は私が奢ります!!」ニコッ
きな子「えっ!?こないだかのん先輩のお店でラーメンご馳走になったからいいっすよ~」
遥「ダメダメ!泥酔してたところを救って貰って1泊させて貰ってますから、まだまだお礼し足りないです」
きな子「きな子はもう十分っすよ~、お礼されたくて助けたわけじゃないっす」
遥「いいからいいから!店内に入って好きなの選んでください」ニコッ
きな子「じゃ、じゃあ・・・お言葉に甘えるっす」
ウィーン(自動ドア)
店員「いらっしゃーせーー」
遥「遠慮しないでくださいね」ニコッ
きな子「は、はいっす・・・・・・」
スタ スタ スタ・・・
遥「あっ・・・・・・」チラッ
きな子「・・・・・・ん?雑誌っすか??」
遥「この雑誌の表紙の女優さん・・・・・・私と同い年なんですよ」
きな子「そうなんすか」
遥「私のお姉ちゃんの後輩でもあって、面識も少しあるんです」
きな子「そうなんすか~!芸能人と知り合いなんて凄いっす」
遥「それより、飲み物何にします??」ガバッ
きな子「じゃ、じゃあ・・・・・・お茶でお願いするっす・・・・・・」
遥「じゃあ、私もお茶にしようかな・・・・・・」パシッ
きな子「遥さん、そのお茶よりもコンビニのPB商品だと100円で買えるっすよ」
遥「きな子さんにご馳走するのに安いお茶買うわけにいかないですよ~」
きな子「ええ~・・・、きな子は安いのでも良いっす・・・・・・」ハハハ
遥「いいからいいから!」バタンッ
遥「ご飯はお弁当でいいですか?」
きな子「はいっす。きな子はおにぎりでもいいっすけど」
遥「どれにします??」
きな子「う~ん・・・・・・遥さんと同じのでいいっす・・・・・・」
遥「・・・・・・あ、この三色そぼろチキン弁当美味しそうですね」
きな子「そうっすね。新商品みたいっす」
遥「じゃあこれを2つ買いましょう」ガサッ
遥「食後のデザート要ります??」
きな子「さ、さすがにそれは大丈夫っす」ハハハ
遥「食べ過ぎると太りますもんね」クスッ
遥「じゃあレジで会計済ませて私のトラックで一緒に食べませんか?」
きな子「はいっす。よろこんで」
────
──
遥「今カギ開けますね」
ガチャッ
遥「開きましたよ、助手席どうぞ~」
きな子「お邪魔するっす」
ガチャッ・・・ バタンッ
きな子「なんか悪いっすね~」
遥「今、お弁当お渡ししますんで・・・・・・」ガサゴソ
遥「はい、どうぞ」スッ
きな子「ありがとうございますっす」ガサッ
遥「あと、お茶です」スッ
きな子「あ、すんませんっす」パシッ
遥「じゃ、食べましょうか」ニコッ
きな子「ありがたくいただくっす」
遥「・・・・・・あ、窓開けられるようにエンジンかけましょう」カチッ
キョカカッ
ブルブルブルブル・・・・・・
きな子「おお・・・・・・さすが大きな会社は新しいトラック使ってるんすね。エンジンのかかり方が勢い良いっす」
遥「リースで5年置きに新しくしてるみたいですね」
きな子「そうなんすか。ウチのトラックなんて10年以上使ってるんじゃないっすかね」
遥「買って貰ったらいいんじゃないですか??」
きな子「どうっすかね~・・・・・・決定権ある人が行方不明なもんで・・・・・・」
遥「ええっ!?そ、そうなんですか??」
きな子「そうなんす・・・・・・困ったもんっす・・・・・・」ヤレヤレ
遥「もしトラックが故障して動かなくなったらヤバくないですか?」
きな子「一応トラックがもう一台あるから何とかなるといえば何とかなるっす」
遥「ははは・・・・・・」アセアセ
きな子「はむっ・・・・・・」モグモグ
遥「どうです?このお弁当」
きな子「うん・・・なかなか美味いっすね」
遥「あむっ・・・んっ・・・」モグモグ
遥「・・・・・・・・・・・・うん、コンビニにしては悪くないですね」
きな子「遥さんは近江弁当店さんのお姉さんがいるっすよね?だったらお姉さんにお弁当作って貰ったらいいんじゃないっすか?」
遥「うん、お姉ちゃんはお弁当作ってくれるって言うんですけど、社会人にもなって姉にたかるのも少し恥ずかしい気がして・・・・・・」
きな子「まぁ、それはあるっすよね」
遥「それに、お姉ちゃんのお店にはお姉ちゃん以外にも侑さんという店員さんもいますし」
遥「・・・・・・毎日食材の納品に行ってますけど、その都度お姉ちゃんの弁当貰ってたら私達姉妹が侑さんに良く思われないんじゃないかと思いますしね」
きな子「なるほどっす。確かにそういう気は遣うっすよね~」
遥「・・・・・・そういえば、きな子さんに聞いてみたかったんですが」
きな子「・・・・・・ん?なんすか??」モグモグ
遥「実は、ランジュさんのお店におすすめしてた万能調味料、断られたんです」
きな子「あ~、ランジュさんは一品一品へのこだわりがかなり強い店主さんっすもんね」
遥「ランジュさんのお店にはきな子さんも納品しているじゃないですか?」
きな子「はいっす」
遥「多分、ランジュさんの細かい要望に合わせて色々な食材を納品しているんだと思いますが、やはり鬼塚商店さんみたいに小さい会社だとそういうフットワークが良いんでしょうかね?」
きな子「う~ん、まぁ実質きな子1人でやってるんで、仕入れる食材はきな子次第なんすが、最初は調達するにも苦労ばかりでしたっす」
遥「そうなんですね。ウチのような大手だと会社が扱う品物をただお客さんの注文通りに納めるだけなんで、そういうの羨ましいです」
きな子「まぁ、新しい仕入れ先が増えるにつれて、そのツテで色々な業者さんや生産者さんと更に知り合えて上手く回るようになったんす」
遥「そっか~、そりゃあウチの商品じゃ敵わないですよね」
きな子「そんなことないっす。あの万能調味料は確実に便利だと思うんで、あれが色々な飲食店さんに広がったら鬼塚商店のような零細企業は潰れるっす」
遥「そんなことないですよ。実際、ランジュさんには断られましたし」
きな子「まぁ、確かに本格的なお店にはアレは売れないような気はするっすね」
遥「ですよね~。なんだか今回の調味料はウチの営業部長の肝入りの商品なんでノルマがかなりキツいんですよ」ハアッ
きな子「ええ~っ!それは大変っす」アハハ
遥「まぁでも、きな子さんと一緒にお食事してお話し出来たので少しやる気が出ました!」
きな子「それなら良かったっす」ニコッ
遥「午後からも頑張りましょうね!」
きな子「忙しくても安全運転第一っす」
遥「あはは!警察に捕まったら洒落にならないですからね」
────
──
きな子「では、遥さんごちそうさまでしたっす!」
遥「いえいえ、こちらこそありがとうございました」
きな子「お弁当のゴミは私がゴミ箱に捨てるっす」ガサッ
遥「あ、すみません」
きな子「じゃあ、きな子はゴミ捨てたら午後の仕事始めるっす」
きな子「はい、私も出掛けますね」
ガチャッ
きな子「よっこいしょっ・・・」スタッ
きな子「ありがとうございましたっす」ペコッ
遥「いえいえ!」
バタンッ
きな子(ゴミ捨てるついでにトイレ借りてから行くっすかね・・・・・・)
ブオオオオオオ・・・
遥「────きな子さんそれじゃあまた~!!」
きな子「!?」
きな子「お気をつけてっす~!」
ウィーン(自動ドア)にどうしても草生えてしまう
サラッと出てきたけど行方不明か⋯⋯ ────
──
~午後・近江弁当店~
侑「ありがとうございました~!またお越しくださいませ!」ニコッ
侑「ふうっ、とりあえず今帰ったお客さんで昼の最繁時はひと段落のようですね~」
彼方「そうだねぇ、侑ちゃんお疲れさま~」ニコッ
侑「彼方さんこそお疲れ様です!」ニコッ
彼方「さて、賄い用意してお昼ご飯にしようか~」
侑「ありがとうございます!彼方さん」
彼方「今日は何にしようかなぁ~・・・・・・」キョロキョロ
侑「彼方さんが大変なんで簡単なもので良いですよ?」
彼方「う~ん・・・・・・」
彼方「あ、そういえばカレーが思ってたよりも余っちゃったんだよねぇ。侑ちゃん、カレーでもいい??」
侑「はい!大丈夫です!!カレーなら簡単ですし」
彼方「ご飯はどれくらい余ってるかなぁ・・・・・・」カパッ
彼方「・・・・・・うん、これくらいあれば2人分は余裕だねぇ」
侑「夕方の分のお米、後で炊く準備しますね」
彼方「うん。食べてからお願いするよ~」
彼方「・・・・・・う~ん」
侑「ん?彼方さんどうかしました??」
彼方「ただのカレーじゃ何か物足りないなぁ・・・・・・」ウーン
侑「えっ?私はカレーでいいですよ?美味しいですし」
彼方「あ、そうだ!チーズ乗せてオーブンで火を通してチーズカレーにしちゃおう~!」
侑「うわぁ~!美味しそう!!」
彼方「えーっと、チーズは・・・・・・」ガバッ
彼方「う~ん・・・・・・」
侑「んん?冷蔵庫の中身とにらめっこしてどうしたんですか??チーズならピザ用のやつ使えばいいんじゃ・・・・・・」
彼方「・・・・・・あ、あったあった!」ガサゴソ
侑「ん?」
彼方「前に遥ちゃんが試供品で持って来たチーズ。これを使ってみよう~」ガサッ
侑「あ~、そういえばそんなのありましたね」
彼方「チーズもかけて・・・・・・、唐揚げの余り物も刻んでトッピングしちゃおっかなぁ~♪」
侑「結局、それなりに手間がかかってしまいましたね」アハハ
彼方「どうせなら~、より美味しい方がいいしねぇ~」
侑「あ、オーブンに入れるの手伝いますよ?」
彼方「じゃあお願い」
侑「は~い」ガタッ
侑「・・・・・・はい、準備オッケーです!!」バタンッ
彼方「いい感じにチーズが焼けるまでもうしばらく待ってね~」
侑「はいっ!美味しそうですね!」ニコッ
──ガラガラッ
遥「お姉ちゃん、侑さんお疲れ様~!」
彼方「あ、遥ちゃ~ん!」ニコッ
侑「遥ちゃんお疲れ様!」ニコッ
遥「今日の注文分の納品に来たよ」
彼方「ありがとね~」
遥「・・・・・・あ、もしかしてこれからお昼休憩かな??」
彼方「うん、今日はチーズカレーだよぉ」
遥「うわぁ!美味しそうだね~!!」
彼方「遥ちゃんも食べる~??」
遥「私はもうコンビニでお弁当食べたから大丈夫」
彼方「なんだぁ~、コンビニ弁当なんか食べるなら彼方ちゃんが遥ちゃんのお昼ご飯作るって言ってるのにぃ」
遥「大丈夫大丈夫!気にしなくて平気だから!!」ニコッ
遥「とりあえず、注文分の品物運ぶから2人はゆっくり休憩しててね」
侑「遥ちゃん、ありがとね」
遥「はーい!」
────
──
ガラガラッ
遥「今日の分の搬入は終わったよ、お姉ちゃん」
彼方「あっ、ん・・・・・・はむっ・・・はむっ・・・」モグモグ
彼方「んんっ・・・」ゴクンッ
遥「・・・・・・あっ!お食事中だったね。ゴメン!」
彼方「・・・・・・いやいやごめんごめん、ありがとね遥ちゃん」
遥「じゃあ私、次の配送あるから行くね」
彼方「うん、気をつけてね~」ニコッ
遥「・・・・・・・・・・・・」
彼方「遥ちゃん??どうかしたの?」
遥「お姉ちゃん・・・・・・」
彼方「・・・・・・ん~??」
遥「私、今の会社辞めようかな・・・・・・」ボソッ
彼方「えっ!?」
遥「んーん!何でもない!!ちょっと迷ってるだけ!!」
遥「じゃ、ありがとうございました~!!」ニコッ
バタンッ
彼方「遥ちゃん・・・・・・」
侑「遥ちゃん、悩みあるのかなぁ・・・・・・」
彼方「悩みあるならお姉ちゃんに相談してくれたらいいのに」
侑「なんか、会社辞めるみたいな事言ってましたね」
彼方「う~ん・・・・・・」
────
──
~かのんの店・夕方~
ガラガラッ
きな子「どうもっす!鬼塚商店っす~!」
きな子「・・・・・・って、かのん先輩居ない??」キョロキョロ
きな子(あれ~??お店がお休みということはないと思うっすが・・・・・・)
かのん「────きな子ちゃん!ごめ~ん!!」
きな子「!?」
きな子「あ、かのん先輩!客席フロアの方にいたんすね」
かのん「うん、夜営業の前に少し掃除しておこうと思ってね」
きな子「そうだったっすか」
かのん「ごめんね、急に追加注文お願いしちゃって」
きな子「いえいえ、ありがたいばかりっす」
かのん「何だか急にお客さんが入るようになったから、今までと同じ仕込み量だと間に合わなくてさ」
きな子「そういえば、こないだラーメンを頂きに来た時も満席だったすね」
かのん「うん、あれから昼も夜もそんな感じなんだ」
きな子「ようやくかのん先輩のラーメンの魅力が一般の方々にも伝わってきた証拠っす!」
かのん「私、広告費にお金掛ける余裕ないから集客する手段無いんだけどなぁ」ハハハ
きな子「今までかのん先輩のラーメンを食べたことがあるお客さんの口コミっすよ」
かのん「それなら嬉しいけれど」アハハ
きな子「追加ご注文分はもう運び込んでおいたっす」
かのん「ありがとう!・・・・・・さて、残りの準備に取り掛からないと!!」
きな子「かんばってくださいっす」
かのん「ふうっ、どれどれ~??」ガサゴソ
きな子「かのん先輩、そろそろワンオペもキツいんじゃないっすか??」
かのん「確かにね~。こないだ、ちぃちゃんが手伝ってくれた時はホント楽だったよ」
きな子「千砂都先輩は毎日行列のりんちゃんラーメンで、混雑した店内を回すの慣れてるっすからね」
かのん「ホントだよね。私の店なのにちぃちゃんの方が店内の全てを把握しているかのようだったもん」ハハハ
きな子「かのん先輩のお店も毎日混雑するようになって来たっすし、すぐに慣れるっす!」
かのん「そうなれるよう頑張らないとね」ニコッ
かのん「でも、やっぱりそろそろアルバイトでも募集しようかなぁ・・・・・・」
きな子「そうっすね。お店が回らなくなってからでは遅いっす」
かのん「とりあえずお店の入口にアルバイト募集の貼り紙でもしておこうか・・・・・・」ウーン
きな子「早く良い店員さん見つかるといいっすね」
かのん「きな子ちゃんは??ウチで仕事してみない??」
きな子「へっ!?」ビクッ
きな子「きな子は今の仕事辞めるわけいかないっす」
かのん「あはは!冗談冗談!!・・・・・・でもきな子ちゃんみたいな子がいてくれたらいいなぁ~って思うよね」
きな子「きな子は配送は出来てもお店の仕事は多分出来ないっす」アセアセ
かのん「あはは!もし、誰か良い子いたら紹介してね」
きな子「わかりましたっす!」
きな子「では、きな子は会社に帰るっす」ペコッ
かのん「ありがとね!お疲れさま~!!」ニコッ
バタンッ
きな子(きな子も鬼塚商店の社員がせめてもう1人いてくれたらかなり助かるんすけどね・・・・・・CEO、早く帰って来ないっすかね~・・・・・・)ハアッ
ガチャッ・・・バタンッ
きな子(さて、帰ったら伝票整理と倉庫整理っす・・・・・・)
キョカッ・・・グ・・・グッ・・・・・・カチカチッ
きな子(あれ??エンジン掛からないっす・・・・・・)アタフタ
きな子(まさかバッテリーっすか??最近弱いなとは思っていたっすが・・・・・・)
キュルッ・・・グッ・・・
ブルンッ・・・
きな子「!?」
ブルブルブルブル・・・・・・
きな子(良かった~!!とりあえず掛かったっす!!取引先の整備工場まだ開いてるっすよね・・・・・・会社帰る前にお願いしてみるっす・・・・・・)
きな子(えーっと、整備工場の電話番号はスマホに登録してあるはずっす・・・・・・)スッ・・・スッ・・・
きな子(・・・・・・あった!!)
きな子「・・・・・・」Prrrr・・・
きな子「・・・・・・あっ!鬼塚商店の桜小路っす~!!いつもお世話になってますっす!!」
きな子「何時まで営業してるっすか??・・・・・・ああ、それなら良かったっす」
きな子「実はバッテリーがヤバそうなんす・・・・・・セルの回りがかなり遅くて・・・今、出先なんすがエンジンかけることができなくなるところでヤバかったんす」
きな子「・・・・・・・・・・・・はいっす、はいっす・・・え?バッテリーの在庫あるっすか??それならすぐ向かうっす!!」
きな子「よろしくお願いしますっす!!」プツッ
きな子(よかったっす~!!整備工場さんには感謝っす~)ホッ
きな子(さて、急ぐっす!!)
ガコッ
ブオオオオオ・・・・・・
────
──
~月末の休日・鬼塚商店~
きな子「あああっ・・・しんどいっす~!!」ゲッソリ
きな子(月末は事務仕事もたくさんあって大変っす・・・・・・)
きな子(休みの日も休んでられないっす・・・・・・むしろ、休みの日の方が邪魔が入らなくて事務仕事がはかどるっす・・・・・・)
きな子「はあっ・・・・・・」
きな子(とりあえず、一度休憩するっす・・・・・・)ガタッ
きな子(鬼塚商店は土日休ませて貰ってるっすが、休み減らさないと仕事回らないっす・・・・・・)
きな子(やっぱり、人手が欲しいっす・・・・・・)
────
──
~かのんの店・開店前~
かのん(うわぁぁ!!よかった~!忙しい週末に間に合って!!)
かのん(前から導入しようか悩んでた食券機!!これがあればかなり手間が省けるよ~!!)
かのん(今日の営業から活躍してもらわないとね!!頼むよ!券売機ちゃん!!)ニコニコ
かのん(これであとアルバイトがせめて1人でいいから入ってくれたら良いんだけどなぁ~・・・・・・)ウーン
かのん(いたるところに貼り紙で募集はしてるけど、さっぱり電話が来ないんだよね~)ハアッ
かのん(その他に一応みんなにバイトしたい子いたら紹介してってお願いしてるけど・・・・・・それじゃ限度あるよねぇ~)
かのん(やっぱりお金かけて募集しないとだめか・・・・・・)
かのん(とりあえず、開店の準備しようっと・・・・・・)
────
──
~ランジュの店~
ランジュ「遥、お疲れ様」
遥「来週からは別の担当者がランジュさんのお店に配送に伺います。今後とも宜しくお願い致します」ペコッ
ランジュ「せっかく頑張ってくれていたのに残念だわ」
遥「すみません。急ではありましたが、こういう決断に至りましたので」
ランジュ「まさか、ランジュがいつぞやの万能調味料を仕入れる契約しなかったからじゃないでしょうね??」
遥「いえ、それは関係ないです・・・・・・」
ランジュ「そう、それならいいけど」
ランジュ「遥は来週からの勤め先決まってるのかしら?」
遥「いえ、とりあえず数日はゆっくり休んで、それから仕事探ししたいと思ってます」
ランジュ「それも悪くないわね。今まで忙しかったでしょうから、ゆっくり休みなさい?」ニコッ
遥「はい、ありがとうございます」ニコッ
遥「それでは、本当にありがとうございました」ペコッ
ランジュ「いつでもランジュの店に食べに来なさいよ?サービスするから」
遥「その時はお言葉に甘えさせて頂きます」ニコッ
遥「では」
バタンッ
遥ちゃんはお姉ちゃんの店に入るのかな
そうしたら侑ちゃんは… 彼方ちゃんに相談せずに辞めたってなると一悶着ありそうだなぁ ────
──
~かすみの店~
千砂都「よーし!とりあえず昼のお客さんはひと通り捌けましたね」フゥッ
かすみ「お疲れさま~」
千砂都「どうですか?バイト初日だからまだ分からないことばかりだと思いますけど」
「ぴぎゃっ!は、はいっ!!」
かすみ「仕事はちぃ子から色々教わってくださいねぇ」
「ぴぎっ!わ、わかりましたぁ!」
千砂都「どうですか?今朝教えた食洗機の使い方は覚えました??」
「た、多分・・・大丈夫だと思います・・・・・・」
千砂都「どれどれ?」ガバッ
千砂都「・・・・・・あ、うん。大丈夫ですね。ちゃんと洗えてるみたいです」
「よ、よかったぁ・・・・・・」ホッ
千砂都「えーっと、お名前・・・何でしたっけ・・・・・・ど忘れしちゃった・・・」
かすみ「新人バイトさんとはいえ、私達より歳上なんだから失礼だよ?ちぃ子~」
「ル、ルビィですっ!!黒澤ルビィ!」
千砂都「そうでした!黒澤さんでしたね。すみません」ハハハ
ルビィ「い、色々とご迷惑お掛けするかもしれないけど・・・よ、よろしくお願いしますっ!」ペコッ
千砂都「黒澤さんっ!あ、頭上げてください!そんなに堅苦しくなく行きましょう」
かすみ「まぁまぁ、とりあえずお昼ごはんにしようか~」
千砂都「あ、はい」
ルビィ「わあ~、ルビィお腹空いたぁ」ニコニコ
|c||^.-^|| バイトだなんて偉いですわ 心を強く持つのよ
かすみ「今日の賄いはちぃ子が麺茹でてみなよ」
千砂都「え?いいんですか??」
かすみ「こないだ教えた通りにできるでしょ?」
千砂都「あ、はい!やってみます!!」
ルビィ「ル、ルビィも何かお手伝いします!!」
かすみ「黒澤さんはちぃ子が賄い作ってる間にかすみんが色々とお店の事とか教えてあげますね~」
ルビィ「は、はい!よろしくお願いしますっ!」
────
──
────グツグツグツグツ
千砂都「よっ!」ザッ・・・ザッ・・・
千砂都「これでよし・・・・・・」
千砂都「やっぱりまだ店主のように手際良く掬えないなぁ」アハハ
かすみ「あ、ちぃ子できた??麺上げはたくさん練習して体で覚えないとね~」
千砂都「がんばります」
かすみ「賄いで食べる野菜は自分で好きな量だけ入れてくださいねぇ~」ドンッ
ルビィ「は、はいっ!!・・・・・・で、でも・・・ルビィそんなにたくさん食べられないかも」オロオロ
千砂都「あはは、大丈夫ですよ。麺はお客さんに出してる小ラーメンの半分くらいしか入れてませんから」
かすみ「あんなにたくさん食べたらぁ~、こんなに可愛いかすみんがおでぶになっちゃいますかね~」テヘッ
千砂都「あははは・・・・・・」アセアセ
かすみ「ニンニクとかも好きなだけ使っていいですよぉ~。かすみんは臭くなるの嫌なんで使わないですけど~」
千砂都「私は少し入れようかな・・・・・・」ドバッ
千砂都「やっぱ、りんちゃんラーメンはニンニク入れてこそ味が引き立つんですよね・・・・・・あ、黒澤さんもニンニク入れます?」
ルビィ「ぴぎゃっ!・・・じゃ、じゃあ・・・・・・少しだけ」
千砂都「じゃあ、少し入れますね」パッ
ルビィ「あ、ありがとうございます・・・」
かすみ「じゃ、いただきまぁす!」
千砂都「いただきまーす!」
ルビィ「い、いただきますっ」
千砂都「はむっ!・・・・・・ズゾゾゾゾッ」
千砂都「んむっ、んむっ・・・・・・」モグモグ
千砂都「んんっ・・・」ゴクンッ
千砂都「・・・・・・うんっ!やっぱ店主のスープは美味しいですね!!今日は微乳化気味でこれまた美味い!」
かすみ「あたり前ですよぉ~、かすみんのスープはりんちゃん全店の中でも飛び抜けて美味しいですからねぇ」ドヤァ
ルビィ「はむっ・・・はむっ・・・」ムグムグ
ルビィ「んっ・・・・・・」ゴクンッ
ルビィ「・・・・・・うわぁ、美味しいなぁ」ニッコリ
ルビィ「ルビィもいつかはこういうラーメン作れるようになれるといいなぁ」
千砂都「黒澤さん、修行して独立するのが目的なんですか?」
かすみ「そうですよぉ~、かすみんはその熱意を買って採用したんですっ!」フンスッ
千砂都「へぇ~!凄いなぁ」
かすみ「まずはウチでしっかり修行して、しっかり仕事覚えたら総帥の元で修行させて貰えるよう推薦しますからねぇ」
ルビィ「・・・・・・よ、よろしくお願いしますっ!」
千砂都「そういえば、バイト2人採ったんじゃなかったんでしたっけ??」
かすみ「もう1人は今働いてるところを円満退職してから来て貰うことにしたんだよ」
千砂都「そうなんですか~。てことは、その人も修行目的なんですかね」
かすみ「そうみたいだね」
かすみ「ちぃ子も、もしその気があれば総帥に推薦するよ?」
千砂都「わ、私はさすがにりんちゃんラーメンの看板を背負えるほどの度量ないですから」アハハ
かすみ「そうかなぁ、ちぃ子はかなり素質あると思うけどねぇ」
千砂都「お言葉だけ頂戴します」ハハハ
>>216
オロオロで食べる前から吐いてるのかと思っちゃった ────
──
ガラガラッ
遥「こんばんは~」
────ガヤガヤ・・・
マスター「あら、いらっしゃい!遥ちゃん」ニコッ
遥「大丈夫ですか?座れます??」
マスター「さっき帰ったお客さんが座ってた席、今から片付けるから待っててくれる?」
遥「あ、はい!すみません」
マスター「今日は珍しく私服なのね。仕事帰りじゃないの??」
遥「一度帰って着替えてから来たんですよ」
マスター「あら、そうなの・・・・・・あとカウンター拭くと大丈夫だからもうちょっと待ってね」フキフキ
遥「お忙しいのにすみません」
マスター「・・・・・・・・・・・・今、片付けたカウンター席に座ってくれる??」
遥「はい!ありがとうございます」
ガタッ
マスター「いつも通りでいい??」ニコッ
遥「はい、お願いします」
マスター「今入れるわね」カタッ
シュワッ・・・コポコポコポ・・・
マスター「・・・・・・はい、中ジョッキお待たせ」ドンッ
遥「ありがとうございます」
遥「んぐっ・・・んぐっ・・・」ゴキュッ ゴキュッ・・・
遥「ぷはあっ!」ドンッ
マスター「うふふっ!いつにも増していい飲みっぷりなんじゃない??」
遥「ええ、まぁ」
マスター「何かいい事でもあった??」
遥「う~ん、いい事なのかどうかは分かりませんが、今日で今まで勤めていた会社を辞めたんです」
マスター「えっ!?そうなの??」
遥「はい、結構急な決断になってしまったんですけどね」
マスター「じゃあ明日は休みだしゆっくり呑めるわね。こないだみたいに泥酔しちゃうのは良くないけど」ニコッ
遥「はっ!?そ、その節は本当にすみませんでしたっ!!」バッ
マスター「いいからいいから、頭下げなくでいいわよ」ウフフ
遥「す、すみません・・・・・・それで次の仕事はまだ決めてないんです。なので少しの間は無職ですね」ハハハ
マスター「それも悪くないと思うわよ?焦らずゆっくり考えた方がいいわ」
遥「そうですね。・・・・・・まぁ、一応働いてみたいなと思うところはあるんですけどね」
遥「んぐっ・・・ごくっ・・・」グビッ グビッ・・・
遥「ぷはぁ~っ!」
マスター「おかわり要る??」
遥「あ、はい。お願いします」
マスター「その働いてみたいところにはもう声掛けてるの?」コポコポコポ・・・
遥「いえ、それはこれからなんです」
マスター「雇ってもらえるといいわね」ニコッ
マスター「・・・・・・はい、お待たせ」ドンッ
遥「ありがとうございます」
遥「んぐっ・・・んぐっ・・・」ゴクゴク
遥「はあっ・・・」ゲフッ
マスター「もしそこで雇ってくれないようだったらウチで働く??」
遥「えっ!?この焼き鳥店でですか??」
マスター「そうよ」ニコッ
マスター「お店の2階が私の自宅になってるから、私と一緒に住み込みでいいわよ?遥ちゃん可愛いし」ニッコリ
遥「ええ~っ!?」
マスター「家賃も要らないし、だからといって給料を安くするつもりもないから良い条件だと思うけど」
遥「まぁ、それは確かに経済的ですね」
マスター「そのかわり・・・・・・
客「────マスター!!焼き鳥盛り合わせくださ~い」
マスター「あ、は~い!!・・・・・・遥ちゃんごめんね、ちょっと1人で飲んでてくれる??」
遥「いえいえ、お構いなく」
遥「んぐっ・・・・・・」グビッ・・・
遥「ふぅ・・・」コトッ
遥(・・・・・・今日は酔いが回るの早いかも)ボーッ
────
──
~かのんの店・閉店後~
カコッ・・・ガタッ
かのん(ふうっ・・・暖簾を片付けてっと・・・・・・)
バタンッ・・・
カチャッ
かのん「はあああっ・・・ 今日もしんどかったぁ・・・・・・」ガクッ
かのん(結構待ち時間出来ちゃってお客さん怒らせちゃったなぁ・・・・・・)ハアッ
かのん(お客さん増えて来たのは本当にありがたいことだけど、やっぱり1人じゃ限界だ・・・・・・)
かのん(こんなんじゃ、またお客さんがいなくなって閑古鳥が鳴いちゃうよ・・・・・・)
かのん(バイト募集していても、まったく応募の電話すら鳴らないしなぁ・・・・・・)
かのん(できれば、即戦力になる人が欲しいなぁ・・・・・・)
かのん(そして結局、朝から何も食べてないや・・・・・・)
かのん(・・・・・・でも、何か作って食べようにも、一度集中力が切れちゃったから厨房に立つ気力もないんだよね・・・・・・)ハハハ
かのん(あとでコンビニからパンでも買って来ようかなぁ・・・・・・)
コンコンッ
かのん「!?」ビクッ
かのん(裏口??誰だろ・・・・・・こんな時間に・・・・・・)
ガラガラッ
千砂都「かのんちゃんいる??」
かのん「ち、ちぃちゃん!?」
千砂都「あ、やっぱり居たね。まだ電気点いてたから寄ってみたよ」ニコッ
千砂都「・・・・・・もしかして閉店して店の片付けしてたところかな??」キョロキョロ
かのん「あ、うん。もうすぐ終わるけどね」
千砂都「ごめんね、邪魔して」
かのん「んーん、そんなことないよ」
千砂都「かのんちゃん、夜ご飯まだでしょ??」
かのん「ん??・・・・・・まぁ、そうだけど」
千砂都「前から少しずつ教わってはいたんだけど、今日は店主に製麺と麺茹でを少しやらせて貰ったんだ」
かのん「そうなんだ!!ちぃちゃんのお店って厳しそうだから、麺を任されるなんて凄いことなんじゃない??」
千砂都「いやいや!そうでもないよ!!」アハハ
千砂都「あとこれね、私が試しに茹でてみた麺が余ったから油そばにしてみたんだよね。良かったら食べてみてくれない?」スッ
かのん「えっ?いいの??」
千砂都「まぁ、かのんちゃんのラーメンに比べたら美味しくないかもしれないけどね」ハハハ
かのん「そんなことないよ!!ご馳走になるね!!」ニコッ
千砂都「うんっ!」
ちぃはかのんの手伝いをできるようになりたかったから凛ちゃんラーメンで上に行く気はなかったのかな
かのん「じゃあお言葉に甘えて、パックを開けよっかな・・・・・・」ガサゴソ
かのん「よいしょっ・・・・・・」パカッ
かのん「うわぁ~!おいしそう~!!」
千砂都「かのんちゃん、それはちょっと大袈裟だよ~」アセアセ
かのん「実は、朝からずっと何も食べてなかったんだよね!いただきま~す!!」
千砂都「ええっ!?朝から!??」ビクッ
かのん「はむっ!んむっ!!」
かのん「んむむむっ!!ズゾゾゾゾッ・・・・・・」モグモグ
千砂都「す、凄い勢いで食べるねぇ・・・・・・」
かのん「んむんむ・・・・・・」モグモグ
かのん「んっ・・・」ゴクンッ
かのん「美味しい!!」
千砂都「そ、それなら良かったかなぁ」アハハ
かのん「あ~・・・・・・生き返るぅ~・・・・・・」ウルウル
千砂都「そういえば、今日からウチに新しいバイトの人が入ったんだよ」
かのん「はむっ・・・はむっ・・・・・・」モグモグ
かのん「んんっ・・・・・・そ、そうなんだ・・・」
千砂都「その他にもう1人入るのが決まっていて、ウチの店も少しは楽になるといいな」
かのん「・・・・・・羨ましいなぁ。あれ以来、バイトの募集かけてるんだけど何の音沙汰もないよ」ハアッ
千砂都「そうなんだ・・・・・・」
かのん「ちぃちゃんが手伝ってくれた時は最高だったなぁ・・・・・・凄く効率良く店が回ってたもん」
千砂都「かのんちゃんもきっと良いバイト見つかるよ」
かのん「ううっ・・・・・・今すぐにでも欲しい!!猫の手も借りたい!!」
千砂都「あはは・・・ワンオペでは限界あるもんね・・・・・・」
かのん「うん・・・・・・そうなんだよね」
千砂都「バイト見つかって、ある程度軌道に乗るまでは数量限定営業にしたらいいんじゃない?」
かのん「それも考えたんだけど、私みたいな新米ラーメン店がそんなことしたらお客さん来なくなっちゃいそうで・・・・・・」シュン
千砂都「無理して回すよりも良いと思うけとね」
かのん「そうかなぁ・・・・・・」
千砂都「数量限定営業の新鋭ラーメン店!!・・・・・・なんて話題性もあるんじゃない??かのんちゃんの場合は味も伴っているし問題ないと思うけど」
かのん「う~ん・・・・・・それも視野に入れてみるかぁ。私が倒れて営業出来なくなっては意味ないし」
千砂都「うん、そうだよ!かのんちゃんが倒れたら絶対にダメだから!!」
かのん「だよねぇ」ハハハ
千砂都「バイトは私も誰か良い人いたら紹介するようにするから」
かのん「うん、ありがとね」
ガタッ
かのん「ちぃちゃん??」
千砂都「かのんちゃんはそれ食べてて?片付けは私がやっておくから」
かのん「いや、いいよ!!ここは私の店だし!!」
千砂都「水臭いなぁ~、これくらい手伝わせてよ」
かのん「ダメダメ!!ちぃちゃんだって自分のお店を片付けて帰宅する途中なわけでしょ??」
千砂都「私がやりたくてやるんだから気にしないで」ニコッ
かのん「もう~、参っちゃうなぁ・・・・・・」ハアッ
千砂都「こないだ手伝った時と同じようにすればいいんだよね??」
かのん「う、うん・・・・・・」
千砂都「じゃあ、パーっと片付けちゃいますね~」
かのん「この借りは何かで返すね」
千砂都「何も貸してないよ~」
かのん「ちぃちゃん、ありがとう」
なんでかのんの元を離れて他所でバイトをしているのか
海外にダンス留学しにいった千砂都ルートみたいなもん? ────
──
~数日後の午後・近江弁当店~
ガラガラッ
侑「あっ、いらっしゃいませ~!」ニコッ
遥「・・・・・・こ、こんにちは~」
侑「あっ!!遥ちゃん!!」
遥「あ・・・あの、侑さん・・・半端な時間帯ですけど、お弁当お願いできます??」
侑「あ、うん!それはもちろん大丈夫だけど・・・・・・ちょっと待ってね、遥ちゃん!」ドタバタ
遥「あ、はい」
侑「お~い!彼方さーん!!」
彼方「────はぁ~い」
侑「遥ちゃんが来ましたよ~!!」
彼方「────ええっ!?すぐ行くからちょっと待っててねぇ!!」
侑「遥ちゃん、厨房に入りなよ。フロントだとゆっくりお話も出来ないし」
遥「あ、はい。じゃあお邪魔します」
侑「ここから入って??」ギイッ
遥「何気に表からお姉ちゃんのお店に入るの初めてですね」ハハハ
侑「そうだね」
彼方「遥ちゃ~ん!!いきなりだったからびっくりしたんだよぉ!!」
遥「あはは・・・ごめんなさい」
侑「今月入った途端に東雲物産の違う人が配達に来たからさ、てっきり急な人事異動でもあったのかなぁって彼方さんと話してたんだよね」
彼方「そして、新しい担当さんに聞いてみたら、遥ちゃんが先月末で退職したって聞いたからびっくりしたよぉ~!」
遥「お姉ちゃんに相談しようと思ったんだけどさ、毎日忙しそうだし悪いかなって・・・・・・」
彼方「そんなの関係ないよ~!心配したんだからね??電話しても出ないしさぁ!!」プンプン
遥「ほ、本当にごめんなさい・・・・・・」
侑「まぁでも、こうして顔出しに来てくれたし、無事が確認出来ただけでもいいんじゃないかな」ニコッ
彼方「うん、まぁそうだけどね」
彼方「遥ちゃん、仕事辞めてどうしてるの?違う会社に転職したとか??」
遥「んーん、今のところはまだ無職だよ」
彼方「そうなんだ・・・・・・、何かつらいことでもあったの??」
遥「そういうことは一切ないんだけどね。このままで良いのかなって思うことがあって・・・・・・」
彼方「・・・・・・う~ん、まぁ遥ちゃんも大人だし、自分で決断したことならお姉ちゃんは咎めたりしないけど・・・・・・」
彼方「でも・・・・・・お仕事の取引もあったわけだし、お姉ちゃんに一言でいいから教えて欲しかったな」
遥「・・・・・・・・・・・・」
遥「だよね・・・・・・それは反省してる・・・・・・」
侑「親しい間柄だからこそ逆に言いづらいこともあるからね。私は遥ちゃんの気持ちもなんとなくだけど分かるよ」ニコッ
遥「侑さん・・・・・・ありがとうございます」
彼方「遥ちゃん、新しい仕事探しはしてるの??」
遥「それもまだなんだ。一応候補はあるんだけど・・・・・・」
侑「まぁ焦らなくても良いと思うけどね」
彼方「遥ちゃんが良ければだけど、ウチで一緒に仕事する??」
侑「ウチ、人手不足だから遥ちゃん来てくれたら助かるなぁ~」
遥「あはは・・・・・・飲食店勤務は私には多分無理かなぁ・・・・・・」アセアセ
彼方「まぁ、どうしても仕事見つからない時はお姉ちゃんが面倒見るから言ってね?」
遥「うん、ありがとう。お姉ちゃん」
侑「それより、遥ちゃんお弁当買いに来たんだよね??」
遥「あ、はい。たまにはこういう形で恩返ししようかと思って・・・・・・」
遥「それに、東雲物産辞めたこと黙ってたの怒られるだろうなと思ってたし・・・・・・」
侑「私と彼方さん、ちょうどこれから賄い食べるところだったんだよ」
彼方「遥ちゃんの分も作るから、食べて行きな?」
遥「うん。ありがとね、お姉ちゃん」
侑「頼れる先があるんだから頼らないとね!」ニコッ
遥「侑さんもすみません」ペコッ
────
──
遥「あむっ・・・・・・」モグモグ
遥「んんっ!?」
遥「・・・・・・お姉ちゃん!これ美味しい!!お弁当の新メニュー??」
彼方「いやいや、生姜焼き用の豚肉が半端に余ったから竜田揚げにしてみたんだぁ」
侑「んむっ・・・はむっ・・・」モグモグ
侑「んんっ・・・こ、コレ・・・新メニューでいけますよ」
遥「侑さん、ですよね!?」
彼方「適当に勘で作ってみたんだけどぉ、そこまでほめられると逆に困るなぁ」ハハハ
──ガラガラッ
侑「・・・・・・ん?裏口??誰か来た??」
きな子「どうもっす!鬼塚商店っす~!!」
遥「!?」
彼方「おお~!きな子ちゃ~ん!!お疲れさま~」
きな子「どこにお運びするといいっすかね??」キョロキョロ
侑「きな子ちゃん、こっちこっち」ガタッ
きな子「あ、ありがとうございますっす」
侑「頼んだ食材はこの辺りに置いてくれて大丈夫だから」
きな子「承知したっす」
遥「お姉ちゃん、鬼塚商店さんとも取引あったの??」
彼方「今月入ってからね」
彼方「彼方ちゃんが東雲物産辞めたって聞いたから、前からウチのお客さんでもあるきな子ちゃんからも仕入れてみようかと思ってね」
遥「そうだったんだ」
きな子「よっこいしょ・・・・・・」ドンッ
きな子「ふうっ、これでおしまいっす」
遥「お、お米??」
彼方「うん、きな子ちゃんが東雲物産と同じ価格でおすすめのお米卸してくれるっていうから、お試しできな子ちゃんに貰ったお米を試しに炊いてみたら美味しくてねぇ」
遥「そうなんだ」
侑「いま食べてるご飯もそのお米だよ」
遥「えっ??言われてみると、確かに美味しいお米かも・・・・・・お姉ちゃんの炊き方が上手いんだと思ったけど・・・・・・」
彼方「たしかに~、彼方ちゃんはお米の洗い方から炊き方までこだわってるから美味しいというのもあるけどねぇ~」エッヘン
きな子「伝票にサインお願いするっす」スッ
侑「はーい」カキカキ
きな子「ありがとうございましたっす!!」ペコッ
きな子「では、また・・・・・・って、遥さん!?」クルッ
遥「あはは、こんにちは・・・・・・」
きな子「東雲物産辞めたって聞いたっすよ!!」
遥「うん、そうなんです」
きな子「びっくりしたっす!!まさか大手の東雲物産を辞めるなんて・・・・・・」
遥「うん、まぁ色々とね・・・・・・」
きな子「新しい勤め先はどこっすか??」
遥「それもまだこれからなんですよ」アハハ
きな子「そうっすか~・・・・・・あっ!だから焼き鳥リリィのマスターが遥さんのことを住み込みで働かせたいとかどうとか言ってたんすね~」
遥「焼き鳥リリィのマスターからのお誘いは丁重にお断りしたんですけどね」アハハ
きな子「なんかベッドに敷く新しい布団も買ったとかどうとか言ってたっす」
遥「それはマスターがご自分で使う為なんでしょうね・・・・・・」アセアセ
きな子「さて・・・・・・あっ!もうこんな時間っす!!早く会社に戻らないとヤバいっす~!!」アタフタ
きな子「ではまた宜しくお願いしますっす」ペコッ
彼方「きな子ちゃん、ありがとね~」
侑「お疲れさま~!お弁当も買いに来てね!安くするから!」ニコッ
きな子「ありがとうございますっす!」
バタンッ
彼方「慌ただしいねぇ~、きな子ちゃん」
侑「商売繁盛で何よりだよ」
焼き鳥の店にリリィってつけるセンスすごいな
食べに行きたいわ ラ板のSSばかり読んでるせいかたまにアニメほんへ見ると桜内が普通すぎて違和感がある でも焼鳥屋リリィには昔ながらの中華料理屋にありがちな店主セレクトの漫画が置いてあるんッス 遅筆なのに数日サボってすみません
保守ありがとうございます ────
──
~かすみの店・夕方~
かすみ「ちぃ子~?夜の部そろそろ開けよっか??」
千砂都「はい!お客さんも並んでますしね、開けましょう」
ルビィ「うゆ~・・・き、緊張するなぁ・・・・・・」ドキドキ
千砂都「黒澤さん!大丈夫です!!最初は少し不安もありましたが、この商売向いてますよ」ニコッ
ルビィ「ぴぎっ!そ、そうかなぁ・・・・・・」オドオド
かすみ「ウチの店に入ってまだ少ししか経ってないですけど、お客を上手く回せる素質を感じますよぉ?」
ルビィ「うう~ん・・・不安だなぁ・・・・・・」オドオド
千砂都「このまま、お教えした通りに頑張りましょうね」
ルビィ「ふえっ!・・・だ、大丈夫かなぁ・・・・・・」シュン
千砂都「じゃあ入り口開けますね、店主」
かすみ「うん、よろしく~」
ガチャッ
ガラガラガラッ
千砂都「いらっしゃいませ~、順番に食券買って奥から詰めて座ってくださいね~」
ゾロゾロ・・・
ルビィ「ふえええ・・・・・・」オドオド
────
──
千砂都「よっこいしょっ!!」
ザバーーーー
ゴソッ
千砂都「よし、野菜の茹で上げオッケーです、店主」
かすみ「はぁ~い」
かすみ「・・・・・・麺もそろそろ上げますよぉ?」
千砂都「黒澤さん、昨日みたいにお客さんからトッピング聞くの頑張りましょう」
ルビィ「ぴぎゃっ!・・・・・・が、頑張りましゅ・・・・・・」オドオド
かすみ「よっ!!」バサッ
ザッ ザッ・・・
千砂都「黒澤さん?店主が麺上げ始めたら進行中のロットのお客さんにトッピング聞いて行っていいですよ?」
ルビィ「ふえっ!?は、はいっ!!」ビクッ
ルビィ「あ、あの~・・・端の方~・・・・・・に、にんにく・・・い、いれますかぁ??」
客「えっ?あ、・・・・・・ニンニクアブラカラメで」
ルビィ「びぎっ!は、はぁい・・・・・・」
千砂都「ニンニク・・・・・・アブラカラメね・・・」バッ
千砂都「・・・・・・黒澤さん、コレお客さんにお出ししていいですよ」
ルビィ「あ、は・・・はいっ!」
ルビィ「ええ~っと・・・よいしょっ・・・」
千砂都「前にも言いましたけど、滑るんで持ち方気をつけてくださいね」
ルビィ「そ、そうでしたね・・・・・・」プルプル
ルビィ「お、おまたせいたしましたぁ」ドンッ
客「どうも~」
ルビィ「つ、次・・・・・・お隣の方ぁ、ニンニク入れますかぁ??」
客「あ、はい」
ルビィ「えっ?」ビクッ
千砂都「その場合は言葉通りでいいんですよ」ヒソヒソ
ルビィ「ぴきゃっ!そ、そうでしたぁ・・・」
千砂都「ニンニク・・・・・・」ゴソッ
千砂都「はい、黒澤さん運んでください」
ルビィ「はぁい」
ルビィ「ど、どうぞ~」ドンッ
ルビィ「ふええええ・・・・・・」
────
──
~閉店後~
ルビィ「今日も疲れたぁ・・・」ゲッソリ
千砂都「あはは!お疲れ様でした!!」ニコッ
かすみ「働き始めてまだそんなに経ってないですけど、思っていたよりも仕事出来てますよぉ~?」
千砂都「それに何より、まだちょっと危ういところがあるとはいえ、お客さんの反応も悪くないですしね」
ルビィ「そ、そうかなぁ」
千砂都「ん~・・・・・・なんていうか、天性の可愛らしさで全て許して貰えるオーラがあるというか??」
かすみ「・・・・・・なっ!?・・・・・・か、可愛いのはかすみんの専売特許だよっ!!ちぃ子ぉ!!」プンプン
千砂都「あはは!店主がムキになってどうするんですか
~」
かすみ「黒澤さん・・・私より年上ですけど、可愛いことに関しては譲れませんからねぇ・・・・・・」グヌヌ
ルビィ「ぴぎゃっ!!て、店主ごべんなざい!!」ビクッ
千砂都「あやまらなくていいですよ、黒澤さん」ヤレヤレ
かすみ「なぬっ!?ちぃ子ぉ~!!」プンプン
千砂都「あはは!!私がこの店に入ったばかりの頃も散々同じこと言われましたから」ニコニコ
黒澤「そ、そうなんだぁ」
かすみ「ま、まぁ・・・・・・ちゃんとかすみんがいちばーん可愛いってことを認めていれば許しますけど~!」ムスッ
千砂都「いいから片付けしますよ、店主」
黒澤「ル、ルビィもやりますっ!!」
千砂都「黒澤さんはとりあえずフロアの床掃除お願いします」
黒澤「は、はぁい」
千砂都「私はこっちの洗い物を先に終わらせておこうかな・・・・・・」ガタッ
千砂都「・・・・・・あ、そういえば店主??」
かすみ「んん?どうかした??」
千砂都「バイトって黒澤さんの他にもう1人入るんですよね??」
かすみ「うん。そうだよ~」
千砂都「結局いつからになるんですかね??」
かすみ「予定通りなら来月からかなぁ」
千砂都「そうですか・・・・・・」
かすみ「その人も入れば、ちぃ子も大分楽に働けるようになるかもねぇ」
千砂都「・・・・・・・・・・・・」
千砂都「そ、そうだといいですね・・・・・・」
ルビィ「あのぉ?床掃除・・・・・・終わりましたぁ」
千砂都「えっ?・・・・・・あ、はい!」ビクッ
千砂都「じゃあ黒澤さん!あとはこっちのお手伝いお願いします!」アタフタ
ルビィ「はいっ」
黒澤さんが客にどんぶりぶちまけないかハラハラするw ────
──
千砂都「店主、掃除と片付け終わりました」
かすみ「はぁい、おつかれぇ~」
ルビィ「ふぃ~・・・つかれたぁ・・・・・・」ゲッソリ
千砂都「黒澤さん、毎日頑張っていればすぐ慣れますから大丈夫ですよ」
ルビィ「う、うん・・・・・・が、がんばりましゅ・・・・・・」
かすみ「2人とも~、終わったなら上がっていいからね~」
ルビィ「はいっ、おつかれさまでしたぁ」
千砂都「・・・・・・て、店主・・・あ、あの・・・・・・」
かすみ「ん?どうかしたの?ちぃ子」
千砂都「・・・じ、じつは
────ブッブ~
ルビィ「あ!おねえちゃんの車!迎え来た~!!」ガタッ
ルビィ「じゃ、じゃあ・・・お先に失礼しますっ!」ペコッ
かすみ「お疲れさまです~!気をつけて帰ってくださいね~」ニコッ
ルビィ「は、はいっ!」
バタンッ
かすみ「毎日お姉さんの送迎付きなんて、羨ましい生活だねぇ~」
千砂都「あはは・・・世の中色んな人がいますから・・・・・・」
千砂都「・・・・・・と、ところであの・・・」
かすみ「んん?どうしたの??」
────
──
~数日後・近江弁当店~
侑「はい、唐揚げ弁当2つと海苔弁2つです!お待たせしました~」ガサッ
侑「あ、危ないので気を付けて持ってくださいね」
侑「ありがとうございました~!!」ペコッ
バタンッ
侑「ふうっ、お昼のお客さんはこれでひと段落かな・・・・・・」
侑「彼方さ~ん!!今のお客さん帰りましたよ~」
彼方「あ、うん!侑ちゃんありがとね~」
侑「そういえば、あれから遥ちゃん全然顔見せないけど、仕事どうしてるんですか?」
彼方「う~ん・・・どうなんだろうねぇ・・・・・・彼方ちゃんが聞いてもはっきり答えてくれなくて」シュン
侑「そうなんだ・・・・・・少し心配になりますね」
彼方「ここ数日は朝から出掛けてるみたいだから、おそらく仕事探すために動いてるんだと思うけどね」
侑「う~ん・・・・・・遥ちゃん、早く仕事見つかるといいですね」
彼方「そうだねぇ・・・・・・」
侑「・・・・・・あ、そうだ!彼方さん、切らした冷凍の白身魚フライなんだけど、きな子ちゃんのところに聞いてみたら夕方前くらいまでに配達してくれるみたいです!」
彼方「ホント!?それならよかったぁ」ホッ
侑「気まぐれでやってみた期間限定の海苔弁の値引き、まさかここまでバズるなんて想定してなかったですもんね」
彼方「そうだねぇ~、1人でもお客さんが増えればと思ってやってみたけど、ここまで反響があるとは思わなかったよ~」
────ブオオオオオ
侑「んん?」
侑「あっ!トラックの音だ!早速届けに来てくれたみたいですね」
彼方「きな子ちゃんのところは融通がきくからありがたいねぇ~」
侑「ですね、まぁ1人で回してるみたいだからかなり大変そうではあるけれど」
ガラガラッ
侑「きな子ちゃん!急なお願いでごめんね!!」
侑「??」
侑「・・・・・・って、あれ??」キョトン
遥「こんにちは~!!冷凍白身魚フライの配達に参りました!!」ニコッ
侑「ええええええええっ!?」
遥「侑さん、とりあえずここに置いときますね・・・・・・」ドンッ
遥「すぐ使うならいいですけど、早く冷凍庫に入れてくださいね」
侑「う、うん・・・・・・」
彼方「・・・・・・は、遥ちゃん!?」
遥「お姉ちゃん、心配かけてごめんね」ニコッ
彼方「・・・・・・な、なんで黙ってたのぉ~!!」
遥「お姉ちゃんと侑さん、びっくりするかなぁって思ってね」エヘヘ
彼方「いつから??きな子ちゃんの鬼塚商店さんにお世話になるってことだよね??」
遥「うん!昨日からね!」
侑「まぁでも、遥ちゃんも仕事みつかったし、きな子ちゃんも働き手がみつかったし、いい事なんじゃないかな!」ニコッ
遥「きな子さんと相談して、取引先への配達は分担して回ることになったから、お姉ちゃんのお店には私が来るからね」
彼方「遥ちゃああん!嬉しいよぉ~!!」ダキッ
遥「うわぁ!!」
侑「あはは!遥ちゃん困ってますよ~」
彼方「ごめんね~、つい嬉しくて~」バッ
遥「お姉ちゃん・・・・・・エプロンに付いてた油が・・・・・・」バッ バッ
彼方「はっ!ごめんよぉ!!遥ちゃあん!」オロオロ
遥「まぁ、まだ2日目だけど、東雲物産と同業とはいえ色々と新鮮で楽しく仕事できてるよ」ニコッ
彼方「うんうん、それはいいことだよぉ」
遥「東雲物産は東雲物産で大手らしく良い品物をたくさん扱ってたけど、きな子さんは自分の判断で品物を仕入れて卸しているのが凄いと思ってたし、楽しそうだと思ってね」
彼方「なるほどぉ、仕事のやり甲斐を求めて転職したって感じなのかな?」
遥「うん、そんなところだね」
侑「頑張ってね!遥ちゃん」ニコッ
遥「はいっ!ありがとうございます」ニコッ
遥「じゃ、次のところ行くからまたね!」
彼方「はぁい!気をつけてね~」
バタンッ
侑「いや~、びっくりしましたね!!」
彼方「うんうん、でも・・・まずは一安心かなぁ」
きな子ちゃんと遥ちゃんはどっちが年上の設定なんだろ ────
──
~翌日・ランジュの店~
────グツグツグツグツ
ランジュ「・・・・・・うん、今日もスープの仕込みに抜かりはないわね」
ランジュ「あ、ちょうどよかったわ。スープの味見してみてくれるかしら?」
「はい、わかりました」
ランジュ「今、小皿に掬うわね・・・・・・はい、味わってみて?」
「・・・・・・うん、今日もバッチリだと思いますよ、ランジュ」
ランジュ「ありがとう」ニコッ
ランジュ「今日も客席フロアのマネージメントお願いね、頼りにしているわ」
「お安い御用です。私に任せてください」
──ガラガラッ
ランジュ「・・・・・・ん?食材の納品かしら?」
遥「おはようございます!」ニコッ
ランジュ「ええっ??」
ランジュ「は、遥??・・・・・・あなた、東雲物産辞めたんじゃなかったの??」キョトン
遥「はい!先日から鬼塚商店で働くことになりました」
ランジュ「きゃあ!!驚いたわ!!そうだったの~!?」
遥「はい。ですのでランジュさんのお店はきな子さんではなく、私が今後配達担当させて頂きます」
ランジュ「そうなのね~、遥は信頼しているから私としても嬉しいわ」ニコッ
遥「ありがとうございます」
ランジュ「でも、きな子に会えなくなるのは寂しいわね」ウーン
遥「その旨、きな子さんに伝えておきますよ」
ランジュ「たまには顔出すよう言っておいてくれるかしら?」
遥「はい」
遥「では、伝票にサインお願いします」サッ
ランジュ「わかったわ・・・・・・」カキカキ
遥「ご注文分は倉庫に運んでおきましたので」
ランジュ「助かるわ・・・・・・はい、伝票」スッ
遥「ありがとうございます」ニコッ
「ランジュ、ちょっといいですか?」
ランジュ「・・・・・・ん?どうかしたの?」
「一部の客席で卓上の調味料が切らしたまま放置されています」
ランジュ「あら?従業員には日頃から確認を怠らないよう言っているんだけど」
「調味料の予備はどこに閉まってあるのですか?」
ランジュ「それなら、あそこの戸棚に閉まってあるわよ」
「いくらラーメンの味が良くても、こんな基本的なことが疎かではCSに悪影響でしかありませんよ?まったく・・・・・・」
遥「ランジュさん、あの方は??」
ランジュ「ああ、遥は初めてよね。今月からウチの経営アドバイザー兼フロアマネージャーとして来て貰うことになった・・・・・・
「────ランジュ??ちょっとこっちに来てみてください!!」
ランジュ「何かしら??」
遥「あの方、呼んでますよ?」
ランジュ「はあっ・・・ものすごく細かいのよ、あの子」ヤレヤレ
遥「あはは・・・・・・では、私は失礼しますね」
ランジュ「あらためてよろしくね、遥」ニコッ
遥「はい!」
バタンッ
────
──
~夕方・鬼塚商店~
ブオオオオオ・・・
キイッ
プスンッ
遥「ふうっ」
バタンッ
遥「きな子さん、今日の分の配送終わりました」
きな子「遥さん!お疲れ様でしたっす!!」
きな子「いや~、優秀な方が1人いるだけで見違えるほど楽になったっす~」ウルウル
遥「いえいえ、東雲物産の時と同じ要領で仕事しているだけですし」アハハ
遥「・・・・・・えーと、伝票はとりあえずこの箱に入れておくと良いのでしたっけ?」
きな子「あ、はいっす!ありがとうございますっす!!」
遥「事務仕事も私が出来るようなことがあれば申し付けてくださいね」
きな子「いえいえっ!!遥さんはきな子より年上っす!!目上の方にそんなことできないっす!!」
遥「あはは・・・たしかに私の方が年上だということが判明しましたけど、鬼塚商店での私はきな子さんの部下ですからね」
きな子「ぶ、ぶぶ部下だなんてそんな!!きな子もただの雇われの身っす!!下っ端っす!!」
遥「でも、CEO??でしたっけ??出張に行ったまま帰って来られないなら、事実上きな子さんが社長代理みたいなものですからね」
きな子「まぁ、それはたしかにそうかもしれないっすが・・・・・・」
遥「年の事は気にせず頑張りましょうよ」ニコッ
きな子「お気遣いありがとうございますっす」ハハハ
遥「私、倉庫の掃除しますね」
きな子「あ、はい!きな子も伝票整理終わらせたら行くっす!」
遥「お願いします」ニコッ
────
──
遥「ふうっ・・・掃除はこんなもんでどうです??」
きな子「はいっす!バッチリっす!!」
遥「掃除用具片付けますね」ガタッ
遥「はいっす」
きな子「遥さん、もうこんな時間なんで上がって貰って大丈夫っすよ」
遥「きな子さんはまだ帰らないんですか?」
きな子「きな子は明日の朝一で配達する商品を今のうちに出しておくっす」
遥「なんだ、まだ仕事終わってないんじゃないですか。私も一緒にやりますよ、その方が早いですよね?」
きな子「す、すみませんっす!入ったばかりの遥さんにご苦労お掛けしてしまって申し訳ないっす」ペコッ
遥「そういうのも無しですよ?私が部下だって言ったじゃないですか?」
きな子「は、はいっす・・・・・・ではお願いするっす」
ガラガラガラガラッ・・・
きな子「台車にきな子が商品積みますんで運んでもらいたいっす」
遥「わかりました」
きな子「え~と・・・これと・・・・・・よいしょっ」ズシッ
ドンッ
きな子「ふうっ・・・」
遥「常温の商品はあまり分類せずに保管してあるんですね」
きな子「はいっす。配達に出ている時間の方が長いっすし、整頓する時間がなかなか取れないっす」
きな子「それに、整頓する時間があるなら、そのままトラックに積んだ方が早いというのもあったんすよ」
遥「・・・・・・なるほど」ウーン
遥「今まできな子さん1人だったから手が回らなかったんだと思いますけれど、私も入ったことですし、もっと効率良く品物を出し入れ出来るように整頓し直した方が良さそうですね」
きな子「あはは・・・・・・お恥ずかしいっす」
遥「協力してやれることはどんどんやりましょう」
遥「空き時間がある時に私が倉庫整理してみますから」
きな子「ありがとうございますっす」ペコッ
遥「そういえば、あそこにあるフォークリフトは使わないんですか??」
きな子「・・・・・・あ、あれはこないだ故障してしまってそのままなんすよ」アハハ
遥「それも修理した方が良さそうですね」
きな子「すんませんっす・・・・・・」シュン
遥「取引のある修理業者はどちらですか?私が明日連絡しておきますから」
きな子「ありがとうございますっす。助かるっす」
────
──
~翌朝・鬼塚商店~
遥「おはようございます」
きな子「・・・・・・あっ!遥さん、おはようございますっす」
遥「今朝は随分と早い出勤ですね」
きな子「取引先から早く配達してほしいという連絡があったっす、きな子はもう出発するんで遥さんも準備終えたら配達お願いするっす」
遥「わかりました。お気をつけて」
きな子「はいっす!」
────ブオオオオオ
遥(きな子さん凄いなぁ・・・・・・私も頑張らないと・・・・・・)
遥(さて、午前の配達分は昨日のうちにトラックに積んでおいたし、出発まで少し時間があるからフォークリフトの修理依頼でもしておこうかな・・・・・・)
遥(昨日のきな子さんの話だと、フォークリフトに関しては特に付き合いがある整備工場はないようだね・・・・・・)
遥(きな子さん、かなり忙しい人だから、私の独断でお願いしても問題ないよね・・・・・・)
遥(整備代も高くないし・・・・・・)
遥(えーっと・・・・・・スマホのアドレス帳に電話番号入れてたはずだけど・・・・・・)スッ スッ・・・
遥(・・・・・・あ、あった)ピッ
遥「・・・・・・」Prrrr・・・
遥「あ!もしもし!お久しぶりです!!近江遥です!!近江彼方の妹の・・・・・・」
遥「うん!そうそう!!急にごめんね!」
遥「あ、うん!私は元気だよ・・・・・・うん、仕事もまぁ順調かなぁ」
遥「・・・・・・それでさ、お願いがあるんだけど、フォークリフトの修理できるかな?」
遥「・・・・・・ほんと!?是非お願いしたいんだけど!!」
遥「うん・・・・・・状況としては、動かなくなってから放置してるみたい・・・・・・あとは詳しくは分からないな・・・・・・」
遥「うん、うん・・・・・・実は先日から鬼塚商店っていう会社に勤めているんだけど、鬼塚商店で所有してるフォークリフトなんだよね」
遥「場所分かる??・・・・・・うん、ありがとう!日中は会社に誰もいないから、夕方にでも一度来てもらえると嬉しいな」
遥「・・・・・・うん!急で申し訳ないけどお願いします!!」
遥「はーい!よろしくです!」プツッ
遥(よし、フォークリフトの修理の依頼はこれでオッケー・・・・・・私も配達に出ようかな)
ガチャッ
遥(東雲物産と違って古いトラックだけど、これはこれで運転に味があって面白いよね・・・・・・)
キョココッ
ブルブルブルブル・・・
遥(さて、出発~!!)
ガコッ
ブオオオオオ・・・・・・
────
──
~開店前・かのんの店~
ガラガラッ
きな子「おはようございますっす!鬼塚商店っす!!」
かのん「────あ、きな子ちゃん!お疲れ~」
きな子「かのん先輩、今朝は遅くなってしまって大変申し訳ないっす」ペコッ
かのん「いいっていいって~、何かあったの??」
きな子「今朝は、よその取引先で急なご依頼があったっす、それでいつもより配達が遅れ気味になってしまったっす」
かのん「ふ~ん。でもさ、今までときな子ちゃんが配達に来てくれる時間帯、そんなに変わらなくない?」
きな子「・・・・・・あ、言われてみればそうっすね。バタバタしてたもんで時間感覚おかしくなってたみたいっす」アハハ
きな子「実は、鬼塚商店に新しく入ってくれた社員さんがいるもんで、その人のお陰できな子の負担が軽くなったっす」
かのん「そうなんだ!それは良かったね!!」
きな子「かのん先輩はバイトの応募あったっすか?」
かのん「それがさぁ、全く無いんだよね~」ハアッ
きな子「ええっ!?」
かのん「ありがたいことにお客さんはじわじわと増えているんだけど、そろそろ限界なんだよ~!!きな子ちゃん助けてぇ~!!」ウルウル
きな子「きな子で良ければお手伝いしたいところっすが、きな子も鬼塚商店の仕事で精一杯っすからね」ハハハ
かのん「困ったなぁ~・・・・・・」ハアッ
かのん「家族には頼らないって決めてたんだけど、妹にお願いして手伝って貰おうかなぁ・・・・・・」
きな子「かのん先輩が無理し過ぎて倒れてしまうよりは、頼れるものは頼った方がいいときな子は思うっす」
かのん「そうだよね~・・・・・・」ガクッ
きな子「話は変わるっすが、以前頂いた試作の塩ラーメンに試して欲しい材料を持って来てみたっす」
かのん「えっ!?ホント??」
きな子「この白醤油なんすが、試しに味の調整に使ってみてほしいっす」スッ
かのん「いいの??ありがとう!!」ニコッ
きな子「かのん先輩がそれで良ければ、きな子も先方から仕入れるっす」
かのん「うんっ!休みの日にでもやってみるよ!」
かのん「でも、メニュー増やすとなると、尚のこと人が要るよね~・・・・・・」
きな子「そうっすね、求人も根気良く頑張ってくださいっす」
かのん「そうだね、頑張ってみるよ」
きな子「・・・・・・ん?あれ??」
かのん「どうかしたの??」
きな子「お店の外で、もうお客さんが並んでるっす」
かのん「ありがたいことにね、最近は並ぶお客さんまで出て来ちゃって・・・・・・」
きな子「良い事っす!!」
かのん「まぁ、材料無くなったら閉めるから、売り上げが上がるわけじゃないんだけどね」アハハ
きな子「でもかのん先輩のラーメンのファンは増えてるっす!!」
きな子「これでかのん先輩と一緒に働いてくれる人がみつかれば、1日の提供数を増せるんでもっと儲かるっす!!」
かのん「そうだね。多分、お給料払ってもそれなりに利益残せると思うよ」
きな子「では、開店前のお忙しいところだと思うのできな子は失礼するっす!」
かのん「いつもありがとね」ニコッ
きな子「持って来た商品はいつものところに積んで置いたっす」
かのん「うん、わかった」
きな子「では、ありがとうございましたっす!」ペコッ
かのん「気をつけてね~!」ニコッ
バタンッ
────
──
~営業中・かのんの店~
かのん「ありがとうございました~」
かのん「先頭の方~、空いた席にどうぞ」
ガタッ
かのん「食券頂きますね」
「よろしくお願い致します」スッ
かのん「ありがとうございます」
「・・・・・・・・・・・・」ジーッ
かのん「・・・・・・はい、お待ちのお客様~、ラーメン大盛りお待たせしました~」ドンッ
客「どうも~」
かのん「え~っと、お次は・・・・・・普通盛と・・・・・・」ゴソゴソ
かのん「麺茹でよっと・・・・・・えいっ」
バシャッ
「・・・・・・・・・・・・」ジーッ
────グツグツグツグツ
かのん「ふふふ~ん♪・・・よっ!」ザッ ザッ・・・
チャプッ
「・・・・・・・・・・・・」ジーッ
かのん「はい、お待たせ致しました!普通盛で~す」ドンッ
「ありがとうございます。頂戴致します」ゴトッ
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・」スンスンッ
「んっ・・・・・・」
「!?」
客「ごちそうさまでした」
かのん「あ、はい!ありがとうございました!またお越し下さ~い」
「・・・・・・ズズッ・・・」モグモグ
「んっ・・・・・・」ゴクンッ
「これは!?」
「・・・・・・・・・・・・」メモメモ
かのん「お次のお客様~!コチラの席にお掛け下さ~い」
「店主さん。このスープ、相当手間が掛かっているのではないでしょうか?」
かのん「・・・・・・あ、はい!一応こだわってますんで」
「お1人でこのクオリティとは恐れ入ります」
かのん「いえいえ~」アハハ
「とても美味しかったです。ごちそうさまでした」
かのん「ありがとうございます!またお越しください」ニコッ
「わたくし、こういう者です」スッ
かのん「えっ?名刺??・・・ありがとうございます」
「お休みの日にでも是非当店にもいらしてみてください」
かのん「・・・・・・あ、ありがとうございます」
「では、失礼致します」ペコッ
かのん(・・・・・・んん?同業者さん??・・・・・・どこの人だろ・・・・・・)
かのん(鐘嵐菜館??・・・・・・たしか有名な本格派ラーメン店・・・・・・)
かのん(私の店に何の用だろ・・・・・・敵情視察??)
かのん(・・・・・・私みたいな新参の小さな店に、そんなわけないか!)
かのん「!?」
かのん(・・・・・・やば!!麺上げないと!!)
マスター内さん成分が補給できなくて0から1に出来ないっす 度々サボって申し訳ないっす
保守ありがとうございますっす ────
──
~夕方・鬼塚商店~
きな子「────それで、当日分の納品伝票はこのファイルに綴じて貰いたいっす」
遥「はい、わかりました」
遥「事務仕事も私にできることがあればやりますので、指示してくださいね」
きな子「お気遣いありがとうございますっす」
遥「出来れば、きな子さんの負担が今までの半分になれば良いんですけどね。だから私も早く鬼塚商店の仕事を覚えないと」
きな子「遥さん、頼りになるっす」
────ブオオオオオ・・・
きな子「・・・・・・ん?あのハイエース、何すかね?」
遥「あっ!私が依頼したフォークリフトの修理の件ですね」
きな子「そうだったっすか、早速手配してくれてありがたいっす」
遥「私、倉庫に出てフォークリフト見てもらいますね」
きな子「よろしくお願いするっす」
バタンッ
遥「お久しぶりで~す!」ニコッ
「久しぶり」
遥「忙しいところありがとね。元気してた??」
「うん。元気」
「ところで、修理したいというフォークリフトはどれ?」
遥「そこの壁のところにあるフォークリフトなんだけど・・・・・・」
「このフォークリフトだね・・・・・・随分と年季が入ってるね」
遥「どう?治るかな?」
「随分と古いエンジン式のフォークリフトだね。パッと見ただけでも、至るところに不具合が散見される」
「どれどれ?」
カチッ カチッ
「う~ん、当然だけどバッテリーも死んでる」
遥「やっぱりダメかな・・・・・・」
「メーカーに修理依頼すれば、間違いなく修理不可で買い替えを勧められるだろうね」
遥「そっかぁ・・・・・・」
きな子「どうも、初めましてっす」
「あ、こんばんは」
きな子「ウチのフォークリフトどうっすか??現役で稼働してた時は恥ずかしながら、ろくに点検すらしてなかったっす」
「エンジンかけて使えるようにするのは簡単。でもあまり良い状態とはいえないね」
きな子「そうっすよね」シュン
「今日は出張部品交換で何とかなると思ったからハイエースに工具と部品積んで来てみたんだけど、このフォークリフト、一度ウチの工場に持ち帰って修理した方が良さそうだね」
きな子「修理代、高額になるっすかね?」
「なんとも言えない。・・・・・・でも、遥ちゃんからの依頼だし、工場に持ち帰って故障診断する分には請求しないよ」
きな子「かたじけないっす・・・・・・」
「じゃあ、また明日改めてトラックでフォークリフト引取に来るね」
遥「ありがとね。よろしくお願いします」ペコッ
きな子「日中はきな子も遥さんも配達でいないっす、倉庫のシャッター開けて運び出して貰って構わないっす」
「わかった。じゃあそのようにさせてもらう」
「じゃ」
バタンッ
キョカカッ
ブルブルブルブル・・・・・・
きな子「随分と凄いハイエースっすね」
「私が運転しやすいように、エンジンや足回りを一通りチューンナップしてるよ」
きな子「ええっ!?よく分からないっすが凄いっす」
「では、また明日ね」
遥「気をつけてね」
「うん」
ガゴッ
ブオオオオオオオオオオォォォォォ・・・・・・パシュウッ
────ブオオオオオ・・・
きな子「す、凄い音っす・・・・・・」
遥「あはは・・・・・・あの子、技術力が高校の頃から凄かったってウチのお姉ちゃんが言ってましたよ」
きな子「それなら期待できるっす。ウチのフォークリフト、治るといいっす」
遥「ですね」
────
──
~閉店後・鐘嵐菜館~
ランジュ「バイトのみんな、掃除と片付けはしっかり終えたようね。今日は上がっていいわ。お疲れ様」ニコッ
「ランジュ、お疲れ様でした」
ランジュ「えっ?栞子も帰る気??あなたはバイトじゃないでしょ」
栞子「私は帰るとは一言も言っていませんよ、ランジュ」
ランジュ「そうよね。ランジュのお店の今後について話し合いたいところだったのよ」
栞子「今後のことも良いですが、ランジュの店はまだまだ改善すべき項目が多過ぎます。まずは現在のことから着手しますよ」
ランジュ「そうかしら?栞子が細か過ぎるんでしょ?」ハアッ
栞子「そんなことはありません。私はコンサルタントとして、客観的に述べているだけです」
ランジュ「まぁいいわ。栞子を信頼して私の店の手伝いをお願いしたのは私だもの」
栞子「まぁ、ランジュの指導が良いからなのか、鐘嵐菜館のアルバイト職員の仕事の質はそれなりに高水準です」
ランジュ「でしょう??」エッヘン
栞子「ですが、この先を目指すならば、更に高い目線で仕事をしないといけなくなります」
ランジュ「まぁ、それは栞子の言う通りね」
栞子「アルバイトの日頃に職務については私がマニュアルを作成し、指導します」
ランジュ「ありがとう。よろしく頼むわ」
栞子「あとは、ランジュと同じ水準で調理が出来る職人が最低1人欲しいです」
ランジュ「でも、ランジュと同じレベルで仕事できる子なんて全国探してもなかなかいないと思うわよ」
栞子「ですね。ランジュのラーメンへの姿勢と技術力は並外れております。でも、ランジュと同じレベルの仕事ができる人間は必ずどこかにいるはずです」
ランジュ「ランジュと同レベルの子なんて、いたとしても既に自分の店を持っているか、どこかの店に所属しているとしても替えの効かない存在になっているに違いないわ」
栞子「その通りです。だから、地道に探してスカウトしなければならないのです」
ランジュ「まぁ、色々と大変そうだけど、栞子に任せておけば何でも出来そうな気がするわ」
ランジュ「頼むわね」ニコッ
栞子「はあっ、ここはランジュの店なんですよ?無責任ですね・・・・・・まったく」
ランジュ「まずはりんちゃんラーメンに匹敵するチェーン展開を目指すわ」
栞子「りんちゃんラーメンは本店から暖簾分けされた全ての店が行列店です」
ランジュ「そうね。私達の仲間のかすみの店も連日行列だもの」
栞子「ラーメンそのものが美味しいということもありますが、創業者のカリスマ性や店を象徴する何か確固たる要素も欲しいです。りんちゃんラーメンにはそれが完璧に備わっております」
ランジュ「カリスマ性ならばランジュは星空凛に負けてないと思うわ」キリッ
栞子「はあっ・・・・・・、それはまぁ置いときまして、まずは鐘嵐菜館を最低でも東京の5本指に入る店にしなければなりません」
ランジュ「それなら既に達している自信があるけれど?」
栞子「甘すぎます、ランジュ」ヤレヤレ
ランジュ「何故かしら??ランジュの店も連日行列が出来るし、お客も満足しているわ」
栞子「ラーメン店を順位付けする具体的な基準はありませんが、ランジュの店は良くても50位以内と言ったところでしょうね」
ランジュ「ご、50位!?そんなわけないわ!!」
栞子「いえ、実際にはもっと低いかもしれません・・・・・・だから、まずは全ての要素を完璧にし、その上で鐘嵐菜館を象徴するメニューを一つ設けましょう」
ランジュ「ひ、ひとつ??・・・・・・ランジュの店はどのメニューも美味しいお店なのよ」
栞子「分かっていませんね。ランジュ」
ランジュ「ふんっ!」プイッ
栞子「まぁ、先程も言いましたが、今やるべき事をクリアしない限りその先には進めませんからね」
ランジュ「分かったわ」
栞子「私は明日からアルバイトのマニュアル作成と職人スカウトを並行して行います」
栞子「ランジュは、現存しているメニューの中で1番売れるメニューと、ランジュが1番得意なメニューが何なのか考え直してください。その上で近日中にメニュー表を改訂します」
ランジュ「なかなか難しいわね・・・・・・」ウーン
ランジュ「・・・・・・まぁ、とりあえず夜ご飯にするわよ栞子」ニコッ
栞子「はい、ご馳走になります」
ランジュ「今日は何がいいかしらね~・・・・・・」
しおランサイド、りんちゃんラーメンにとってなかなかの脅威になりそう ハイエースのパシュウッ音
ディーゼルエンジンのターボではこうはならんから
ガソリンエンジンをベースにターボを追加してる音だ りんちゃんラーメンと戦うにはニララーメンしかねえな 何故か璃奈ちゃんがハイエースに乗ることに既視感がある🤔 ────
──
~それから3週間後・かすみの店~
客「ごちそうさま~」ガタッ
ルビィ「どうもありがとうございましたぁ~」ニコニコ
千砂都「黒澤さん、今日はもう仕込み切らしたんで入り口閉めていいですよ」
ルビィ「はい!」
かすみ「ふあああっ・・・疲れたぁ~・・・・・・」ガクッ
千砂都「最近、更にお客さん増えてません?仕込み量も今まで通りだと途中で切らしてしまって、早仕舞いする羽目になってますし」
かすみ「そうだよねぇ」
千砂都「まぁ、SNSがきっかけのりんちゃんラーメンブームで、新規のお客さんが増えているのが要因なんでしょうけど」
ルビィ「しゅごいっ!儲かって何よりだねっ!」ニコニコ
かすみ「かすみんはこんなに苦労してまで儲ける気はないんですよぉ~」ハアッ
千砂都「今でも充分稼いでますしね」
かすみ「それに、来月からはちぃ子も・・・・・・
──ガラガラッ
ルビィ「うゅ?業者さんかなぁ」クルッ
栞子「本日は閉店されたようでしたので、勝手ながら裏口から失礼させて頂きました」
かすみ「へっ??しお子??」
栞子「お久しぶりです。かすみさん」ニコッ
かすみ「うわぁ~!!いつ以来??久しぶりじゃん!!最近は何してたわけ~?」
栞子「割と最近まで海外で経営について学んでおりました」
かすみ「うわぁ~真面目だねぇ・・・・・・さすがしお子というか・・・・・・」ジトー
栞子「帰国してからはランジュの店に呼ばれてコンサルティングをしています」
かすみ「そうなんだ~」
栞子「かなり儲かっているそうですね。かすみさんのりんちゃんラーメンお台場店」
かすみ「えっへん!!かすみんはりんちゃんラーメン全店の中でもいっちばんさいこーに美味しいラーメン作ってますからねぇ」ウヒヒ
栞子「うふふ、さすがです」ニコッ
かすみ「まぁ、総帥には敵わないけど、他のりんちゃん店主達はかすみんの足下にも及びませんよぉ~」
栞子「それは素晴らしいです」ニコニコ
かすみ「ところで何しに来たの~?今日はもう閉店するから片付け終えたら帰るけど」
栞子「お忙しいところ、お邪魔して申し訳ありません。ランジュの店の今後の為にかすみさんに色々と教わりたいと思ったんですよ」
かすみ「それはしお子でもさすがに教えられないなぁ~。そういうことは、自分で気付いて行くものなんだよね~」ドヤァ
栞子「おそらく、そんなご返答なんじゃないかと思っていました」ニコッ
千砂都「あ、店主?お話し中すみません」
かすみ「・・・・・・ん?ちぃ子どうかした??」
千砂都「早仕舞いして折角時間余ったんで、黒澤さんに私の仕事を覚えて貰おうと思うんですけど」
かすみ「あ、うん!別にいいよ~」
千砂都「ありがとうございます」ペコッ
千砂都「黒澤さん、それじゃあ今日も豚の仕込みの練習しましょうか」
ルビィ「はいっ!お・・・お願いしますっ!」キリッ
栞子「店主のかすみさんが教えなくても、助手さんが後輩指導できるなんて理想的ですね」
かすみ「まぁね~、ちぃ子はかすみんの優秀な助手だから」
栞子「店主のお墨付きとは凄いです」
かすみ「・・・・・・とはいえ、それも今月一杯までなんだけどね・・・・・・」ガクッ
栞子「と、申しますと??」
かすみ「ちぃ子、ウチの店辞めるんだ」
栞子「そうなんですか!!それは非常に残念です」
千砂都「私としても、店主にはかなりお世話になったので心苦しいんですけどね」ハハハ
栞子「退職後は独立されるのですか??それとも星空総帥のもとで本格的なりんちゃんラーメン暖簾分け修行に入るとか??」
千砂都「いえ、そういうんじゃなくて、友達の店で働こうと思ってるんです」
栞子「そうですか」
かすみ「引き止めたいけど、ちぃ子の意思も堅いみたいだしね。ただ、黒澤さんがバイトで入ってくれて、来月からもう1人バイトが増えることになってるから、ちぃ子が抜けた穴も何とかなると思うけどね」
ルビィ「ルビィ、がんばりますっ!!」キリッ
千砂都「黒澤さん、仕事の飲み込み早いですよ~!私なんかすぐに抜かされるかもしれないです」アハハ
かすみ「期待してますよぉ~」
千砂都「既に黒澤さんの可愛さに癒されたくて来ているお客もいるみたいですしね」
かすみ「はいっ!?」ビクッ
かすみ「な、なんでですかぁ!!このお店でいちば~ん可愛くて、いちばーんエライのはかすみんなんですぅ!」プンプン
ルビィ「ふええっ!ご、ごべんなざい・・・・・・」
千砂都「あはは・・・・・・」
もう一人は誰なんだろう遥ちゃんじゃ無かったみたいだし
栞子「ところで、実は今日伺った目的の一つに千砂都さんにお会いしたいというのもあったんです。ランジュからかすみさんのお店に優秀な助手さんがいることを聞いていたものですから」
千砂都「いえいえ、そんなことありませんよ」アハハ
栞子「しかし、退職されてしまうとなると、千砂都さんの働き振りを拝見させて頂くことができませんね」ウーン
千砂都「まぁ、お見せ出来るような素晴らしいことはしてないですけど、来月以降は友達の店にいますんでそちらにでも来て頂ければ・・・・・・」
かすみ「ねぇねぇ、しお子ぉ~?」ニヤッ
栞子「どうかしましたか??」
かすみ「この豚、毎日ちぃ子が仕込んでいるんだよねぇ~・・・・・・」
栞子「ええ、それもランジュから聞いております。チャーシュー用の豚肉を綺麗に円筒状にする技術がとにかく素晴らしいと・・・・・・」
かすみ「それだけじゃなく、煮込みもバッチリですよぉ~?今日は麺が無くなったから店閉めたけど、豚は何本か余ったんですよねぇ・・・・・・」グフフ
栞子「はい?と申しますと?」
かすみ「なんと!りんちゃんお台場店の豚!!1本2000円で販売しちゃいまーす!!」ニチャア
栞子「よろしいのですか??きっとランジュも喜びます」
かすみ「どうするぅ~?1本と言わず2本でも3本でもいいですよぉ??」ニタァ
栞子「では、3本頂いていきましょう。6千円ですね」スッ
かすみ「まいどぉ~!ちぃ子、豚持ち帰り用に包んであげて~」
千砂都「あ、はい!・・・・・・黒澤さん一緒にやりましょう」
ルビィ「うゆっ?はいっ!」
かすみ「まぁ、ランジュせんぱいとしお子で、かすみんの店の豚を食べながら、かすみんがいかに偉大かしっかり勉強するといいよ~」エッヘン
栞子「でも、千砂都さんがお作りなったんですよね?かすみさん関係あります?」
かすみ「ぐぬぬ・・・・・・確かにちぃ子が作ったやつだけどぉ~!作り方教えたのはかすみんなんですっ!!」プンプン
栞子「たしかにそうですね」
ルビィ「あのぉ・・・・・・これ、どうぞ~」スッ
栞子「これはご丁寧に、タレがこぼれないようしっかり包装して頂き有難うございます」
栞子「あっ、そろそろランジュの店に戻って夜営業の準備をしないといけません」
かすみ「ランジュせんぱいは来るとめんどくさいから来なくていいけど~、しお子はたまに来て売上に貢献していいからね~」
栞子「はい、今度は営業時間内にラーメンを頂きに参ります」
かすみ「うん、またね~」
栞子「千砂都さんも、お友達のお店の方に伺わせて頂くかもしれません」
千砂都「あ、はい」
栞子「ちなみに、そのお友達のお店とはどちらなのですか?」
千砂都「えーっと、場所が・・・・・・
栞子「!?」
栞子「存じ上げております!!まさかあのお店でしたとは・・・・・・」
千砂都「私の友達の店、ご存知なんですね」
栞子「はい。一度伺ってますので」
千砂都「そうでしたか」
栞子「これは楽しみになって来ました。ではまた、来月お会いしましょう。千砂都さん」
かすみ「しお子ぉ~!かすみんには~!?」プンプン
栞子「ああ、失礼しました。かすみさんのお店にもまた伺います」
栞子「では、お邪魔しました」ペコッ
千砂都「豚のお持ち帰り、お買い上げありがとうございました」ペコッ
バタンッ
ルビィ「儲かって良かったね!」ニコニコ
かすみ「かすみんクラスになると、商機は逃さないんですよぉ~」グフフ
かすみ「あと、そのうちしお子にはちぃ子よりもかすみんの方がすごいことを解らせてやらないといけないですねぇ・・・・・・」ブツブツ
ルビィ「店主、すごいなぁ」ニコニコ
────
──
~鬼塚商店・終業後~
きな子「いやぁ、遥さんに入って貰って3週間近く経ったっすが、仕事も上手く分配出来て順調っす!」
遥「そう言って貰えると嬉しいです」ニコッ
きな子「このまま年月重ねて行けば、余裕も出来て仕事の幅を拡げられそうっす」
遥「そうですね。私も自分で厳選した品物を仕入れてお姉ちゃんやお客さん達におすすめしたいですね」
きな子「今日はまだ終業時間前っすが、もう仕事もないっすし閉めたいと思うっす」
遥「はい、お疲れ様でした」
きな子「そういえば、遥さんの歓迎会してないっすね」
遥「えっ!?そんなのわざわざいいですよ!!」
きな子「2人だけっすし、"会"なんて立派なもんじゃないっすが、会社の経費で飲み代くらいは捻出出来るんでパーっと行くっす」
遥「なんだかすみません・・・・・・では、お言葉に甘えて」ハハハ
きな子「何処か行きたい飲み屋とかあるっすか?」
遥「う~ん・・・・・・特に思いつかないかなぁ・・・・・・」
きな子「とりあえず会社閉めて、外歩きながら考えるっす」
遥「はい、お願いします」
このSSでしか味わえない楽しさがある
なんだろうお仕事描写が生き生きしてるというか ────
──
テク テク テク・・・
きな子「う~ん・・・・・・きな子も実はあまり飲み屋とか知らないっす・・・・・・」
遥「私もです・・・・・・」アハハ
きな子「・・・・・・あっ!そうっす!焼き鳥リリィさんでどうっすか?」
遥「あ、はい!いいですよ。きな子さんと初めてお会いした場所ですし・・・・・・まぁ、あの時はご迷惑お掛けしましたけどね」アハハ
きな子「じゃあ決まりっす!」
────
──
~焼き鳥リリィ・店内~
────ガヤガヤガヤ
きな子「こんばんわっす~」
マスター「・・・・・・あら?きな子ちゃんじゃない」
きな子「ご無沙汰してますっす。今日は2名っす」
遥「どうも、こんばんは」
マスター「あら!遥ちゃんも!!」
遥「ご無沙汰してます」
マスター「そういえば、風の噂で遥ちゃんがきな子ちゃんの会社に入ったって聞いたわ」
きな子「いえいえ、きな子の会社じゃないっす。きな子も雇われの身っす」アハハ
マスター「私が遥ちゃんを住み込みで雇おうと思っていたのに・・・・・・きな子ちゃんって横取りなんてするのね、酷い子だわ」ハアッ
遥「いえいえ、私が鬼塚商店さんにお願いして雇って貰ったんで」アハハ
マスター「まぁいいわ、カウンターの奥に2席空いてるからそこに座ってくれる?」
きな子「はいっす」
遥「ありがとうございます」
ガタッ
きな子「とりあえず生でいいっすか?」
遥「はい。大丈夫です」
きな子「マスター??すみませんっす!生ふたつお願いっす!」
マスター「────はーい!ちょっと待っててね~」
きな子「ちょっと時間掛かりそうっす」
遥「マスター、忙しそうですもんね」
マスター「はい、生ふたつお待たせ!」ドンッ
きな子「ありがとうございますっす」
遥「あれ?これ大ジョッキですか??」
マスター「あ、うん!今日は特別に最初の一杯に限り増量サービスね」ニッコリ
きな子「うわぁ~、ありがとうございますっす」
遥「ありがとうございます!」
マスター「2人共、食べ物はどうする??」
きな子「遥さん、何か食べたいものあるっすか?」
遥「う~ん、どうしようかな・・・・・・」
きな子「じゃあ、とりあえず適当にマスターお任せでお願いするっす」
マスター「うふっ!私にお任せなんて素敵ね!楽しみにしてて?」
遥「よろしくお願いします」
きな子「では、遥さんを歓迎しまして、乾杯っす」スッ
遥「かんぱ~い」スッ
キンッ
きな子「んぐっんぐっんぐっ・・・・・・」グビグビ
遥「んっ・・・んっ・・・んっ・・・」グビグビ
きな子・遥「ぷは~~!!」
きな子「くぅ~っ!生き返るっす!!」ゲフッ
遥「ですね~!!」ゲフッ
きな子「遥さん、大ジョッキ半分以上飲んでるじゃないっすか!」
遥「あはは・・・・・・喉乾いてたもんで」アセアセ
きな子「マスター!すんませんっす!生2つ追加してくださいっす!」
マスター「────ええっ!?早いわね!分かったわ」
遥「2杯目来る前に飲み干しておきましょう」
きな子「そうっすね」
きな子・遥「ぐびっぐびっぐびっ・・・・・・」ゴクゴク
きな子「ふうっ・・・」ドンッ
マスター「お待たせ~!生2つと、適当に焼き鳥焼いてみたわ」ドンッ
きな子「ありがとうっす」
遥「うわぁ、美味しそう!」
マスター「定番のモモとねぎ間・・・、あと、このつくねは私の自信の一本よ」ニコッ
マスター「私が丹精込めて手ごねしたんだから味わって食べてよね」
遥「マスターのつくね、いつ食べても美味しいですよね」
マスター「さすが遥ちゃん!分かってるわね」ニコッ
きな子「どれどれ?頂いてみるっす」
マスター「他にもおすすめ持ってくるから楽しみにしててね」
遥「はいっ」
きな子「あむっ・・・・・・むぐむぐ・・・」
きな子「・・・・・・あ、これ旨いっす」
遥「ですよね?私もマスターのつくね、好きなんです・・・・・・はむっ・・・」モグモグ
きな子「この鶏、どこで仕入れてるんすかね」
遥「う~ん聞いてみたことないですね、東雲物産ではないですよ」
きな子「ついつい職業柄そういうことが気になってしまうっす」
遥「あはは!なんとなく分かります」
きな子「悪い癖っすね」アハハ
マスター「お待たせ~!追加持って来たわよ」ドンッ
遥「ありがとうございます」
マスター「焼き鳥がぼんじりと皮とせせりね」
きな子「うわぁ~!これまた旨そうっす!」
マスター「あと、これは余った鶏ガラなどで出汁取って作ったスープに、ワンタン入れてみたの」
遥「へぇ~、美味しそうですね」
マスター「このワンタンスープは私の賄い用だから、この分のお代は要らないわ」
きな子「ええっ!?かたじけないっす」
遥「どれどれ?まずはスープから・・・・・・んっ・・・」
遥「!?」ビクッ
遥「お、美味しい~!!」
きな子「えっ!?なんすかそのリアクション!そんなに旨いっすか??きな子も食べてみるっす!」
マスター「うふふっ!」ニコニコ
きな子「・・・・・・・・・んっ」ゴクンッ
きな子「こ、これは・・・・・・す、素晴らしいっす!!」
マスター「でしょう?」ニコッ
マスター「鶏と女を知り尽くした私だからこそ作れるスープなのよね」ウットリ
きな子「お、女??」キョトン
遥「あはは・・・・・・」
マスター「このスープでラーメンでも出したら売れるかしら?」
きな子「売れると思うっす。きな子の先輩がやっているラーメン屋さんのスープと互角・・・・・・いや、下手するとそれ以上??かもしれないっす」
マスター「もう~!そんなに褒めないでくれる??本気になっちゃうじゃない!」
遥「中華麺が必要なら、鬼塚商店でお好みの麺を何でも仕入れて卸しますよ?」
マスター「遥ちゃんも商売上手ね~」ウフフ
マスター「まぁでも、私は焼き鳥屋で夜営業がメインだから、昼にラーメン屋もやったら体力的にキツいわね」
きな子「それもそうっすね」
遥「焼き鳥屋の締のメニューでラーメン出したらどうですか?」
マスター「それも一理あるわね・・・・・・ま、でも毎日スープ仕込むのはちょっと大変かなぁ・・・・・・寸胴もどれくらいの大きさの物を用意したら良いか見当もつかないし」ウーン
きな子「無理はしない方がいいっす」
遥「そうですね」
マスター「それよりお酒おかわりいる??」
きな子「あ、はい!」
マスター「また生でいい?」
きな子「遥さん、いいっすか?」
遥「私は大丈夫です」
きな子「じゃあお願いしますっす」
マスター「ありがとう」ニコッ
マスター「空いたジョッキ回収するわね~」
きな子「はいっす」
鶏と女を知り尽くしたとかいう迫真のレズジョークすき 更新かたじけないっす
CEOはどこ行ってるんすかねえ もしかしたらCEOとは主人公の空想上の存在なのでないでしょうか ────
──
~それから一週間後~
千砂都「うぃっす~!かのんちゃん、おはよう~!」ニコッ
かのん「あっ!ちぃちゃんおはよう!!」
千砂都「あらためて、今日からお世話になるね」ニコッ
かのん「それはこっちのセリフだよ~、私の店なんかに来てホントに良かったの?」
千砂都「うん、自分の意思だからね」
かのん「ありがとね。ちぃちゃんがいれば、今まで以上に出来る事の幅が広がるから楽しみだな」
千砂都「かのんちゃんのお店がもっと繁盛するよう私も頑張るから」
かのん「よろしくね」
千砂都「・・・・・・さてと、開店準備は何から手をつけるといい??」
かのん「・・・あっ!うんっ、ど・・・どうしよっかな・・・・・・」アタフタ
千砂都「じゃあ、かのんちゃんは厨房の仕事してなよ。私は客席フロアの方やるから」
かのん「あはは・・・・・・ごめんね~。ていうか、いつもラーメンに手一杯で客席の方は酷い有様なんだよね」
千砂都「あ~あ・・・、確かに掃除も行き届いてないし、色々と酷いなぁ・・・・・・」ハアッ
かのん「でしょ??」アハハ
千砂都「まぁでも、私が来たからにはかのんちゃんの目が届かないところは私がやるから安心してよね」
かのん「うん、頼りにしてる!」
千砂都「よしっ!とりあえず、開店前の時間で出来る限り掃除するか!」
かのん「よろしく~」
──ガラガラッ
きな子「どうもっす!おはようございますっす~」
かのん「あ、きな子ちゃんおはよう~!」
きな子「発注頂いてた分の配達っす!」ドサッ
かのん「ありがとね」
きな子「あっ!千砂都先輩!!やっぱり今日からかのん先輩のお店なんすね」
千砂都「────あ、きな子ちゃん!」
きな子「あらためてよろしくお願いしますっす」
千砂都「昨日まではりんちゃんお台場店で会ってたのに変な感じだね」アハハ
きな子「そうっすね」アハハ
きな子「りんちゃんお台場店さんには朝一で行って来たっすが、千砂都先輩抜きでも混乱は起きてないみたいだったっす」
千砂都「それならよかった」ホッ
きな子「今日からりんちゃんお台場店さんに入った新しいバイトさんもなかなか優秀な方みたいで、中須店主は即戦力だって喜んでたっす」
千砂都「実は、辞めるに当たって少しだけ不安だったんだけどね・・・・・・、私がいなくてもちゃんと回りそうなら安心だよ」
きな子「世の中何とでもなるっす!」
千砂都「そうだね」
かのん「あ、そういえばきな子ちゃん!」
きな子「・・・ん?かのん先輩何っすか?」
かのん「前に貰った試供品の白醤油なんだけどさ、実際に何本か発注したいんだけど」
きな子「ありがとうございますっす!」
かのん「新メニューにする予定の塩ラーメンの目処がついて来たんだよね」
きな子「おお~っ!それは凄いっす!」
千砂都「ついに新メニュー追加かな??私も頑張らないと!!」
かのん「ちぃちゃんもいるし、メニュー増やしても店を回せるかなって思うんだよね」
きな子「千砂都先輩はりんちゃんラーメンお台場店の助手として超多忙な店内を回してたっすからね」
千砂都「まぁ、任せてよ!」
きな子「さて、かのん先輩。白醤油のご注文はFAXを鬼塚商店まで送っておいて欲しいっす」
かのん「うん!わかった」
かのん「あと、それと~・・・・・・きな子ちゃん・・・・・・に相談するのは違うか・・・・・・」ウーン
きな子「どうかしたっすか?」
かのん「もともとウチで使ってた中古の製麺機が壊れそうなんだよね、それでいっそのこと銀行からお金借りて新しい製麺機買おうかなって思ってて・・・・・・」
きな子「う~ん・・・・・・残念ながら鬼塚商店は機械屋ではないっす・・・・・・」
かのん「だよね~」
かのん「ちぃちゃん、どこかそういう会社知らない??」
千砂都「う~ん・・・・・・りんちゃんでも製麺機は使ってたけど、壊れたことはなかったからなぁ・・・・・・」
きな子「・・・・・・では、きな子は失礼するっす!」
かのん「は~い」
きな子「先輩方のご健闘を祈るっす」
千砂都「トラックの運転、気をつけてね~」
バタンッ
────
──
~鬼塚商店~
ブオオオオオオオオオオ・・・
キイッ
プスンッ
きな子(ふうっ、遥さんが配達の大半を受け持ってくれているおかげできな子は事務所の仕事にも集中出来るから助かるっす・・・・・・)
きな子「ん?」
きな子(あれ??・・・・・・倉庫のシャッターが開いてるっす!?)
きな子(・・・・・・あ、そうだったっす。前に修理して貰ったフォークリフトの部品交換に来てくれることになってたっす)
きな子「天王寺さん!どうもっす!お疲れっす!」
璃奈「・・・・・・あっ、こんにちは」
きな子「フォークリフトの部品交換は大丈夫っすか?」
璃奈「うん、一度修理したフォークリフトをより良く使えるように幾つか部品交換しておいたよ」
きな子「本来ならば廃車になるようなものを治してくれただけでなく、さらに手を加えてくれるなんて凄く助かるっす」
璃奈「フォークの上げ下げが前よりキビキビ動くようになったと思う」
きな子「ホントっすか!?ありがとうございますっす!」
璃奈「請求書は後日郵送するね」
きな子「はいっす」
璃奈「じゃあ、遥ちゃんにもよろしく」
きな子「はいっす、伝えておくっす」
バタンッ
キョカカッ
ブオオオオンッ・・・シュコオオ
きな子「!?」ビクッ
きな子「て、天王寺さん・・・・・・。そのハイエース、こないだより更に凄いことになってる気がするっすが・・・・・・」
璃奈「ん?・・・ああ、わかるかな?」
璃奈「こないだまでは、この車のエンジンの1TRをターボチューンして使ってたんだけど、もっと加速重視で走りたいから市販のスーパーチャージャーキットを少し私好みに改造して取り付けてみたんだ」
きな子「へ、へぇ~・・・・・・」ポカーン
きな子「よ、よく分からないけど凄いっす・・・・・・」ハハハ
璃奈「アクセルちょっと踏んだだけで後輪が空転しちゃうから、もう少し手を加えないとダメみたい」
きな子「気をつけて運転してくださいっす」
璃奈「私としては制御できる範囲内なんだけど、公道を走るにはピーキー過ぎるんだよね」
きな子「あはは・・・・・・」
璃奈「じゃ」
ガコッ
キュオオオオオオオ・・・・・・
ブオオオアアアア・・・・・・
きな子「タイヤが凄い勢いで空回りしてたっす・・・・・・」
────
──
~夕方・鬼塚商店~
バタンッ
遥「戻りました~」
きな子「あ、遥さんお疲れ様でしたっす」
遥「今日は新規取引先を開拓してきましたよ」ニコッ
きな子「ほんとっすか!ありがとうございますっす!」
遥「とはいっても、既存のお客さんからの紹介だから大したことはしてないんだけどね」アハハ
きな子「全然凄いことっす!それだけ遥さんの人望があるということっす!!」
遥「いえいえ、そんなに立派じゃないですから」アセアセ
遥「・・・・・・てなわけで、まずは少しずつ注文貰って、ゆくゆくは大口客になるといいですね」
きな子「よろしくお願いしますっす」
きな子「そういえば、天王寺さんが部品交換してフォークリフトに手を加えてくれたっす」
遥「ほんとですか?ウチのフォークリフト、治ったのはいいけど、古くて動きが悪いのが危なっかしかったんです」
きな子「遥さんが使い易く感じるならそれで良いと思うっす」
きな子「遥さん、天王寺さんってかなり技術もってるみたいっすが、何でも出来るんすかね?」
遥「う~ん・・・・・・大抵のことは出来るんじゃないかと・・・・・・」
きな子「製麺機とかも直したり出来るっすかね・・・・・・」
遥「車を改造したりフォークリフト修理したりするくらいだから出来そうな気がしますね」
きな子「なるほどっす・・・・・・」
遥「何かあったんですか??」
きな子「先輩の店の製麺機が調子悪いみたいなんす・・・・・・」
遥「なるほど。璃奈ちゃんに出来るか聞いてみましょうか??」
きな子「そうっすね、可能であればっすが」
きな子「・・・・・・ただ、かのん先輩も色々取引先があるかもしれないっすから、きな子が勝手なことしては余計なお世話になるかもしれないっす」
遥「とりあえず、帰ってからでも電話して聞いてみますよ」
きな子「ありがとうございますっす」
いくつもの並行世界で変わらずに存在する天王寺モータース 空荷か満載かで後輪のトラクションがめっちゃ変わるから商用車のチューニングは難しそう 製麺機のエンジンと足回りをチューンナップしておいたよ ────
──
~翌日・かのんの店~
ガラガラッ
きな子「どうも~!おはようございますっす」
きな子「今日の配達分の一部は倉庫に運んでおいたっす・・・・・・」
きな子「・・・・・・って、あれ??」キョロキョロ
きな子「かのん先輩??・・・・・・千砂都先輩??」
きな子「おかしいっすね、この時間はいつも仕込みで大忙しのはずなんすが・・・・・・」ウーン
きな子「あっ!もしかして・・・・・・」
バタンッ
きな子「・・・・・・やっぱり、こっちに居たっす」
千砂都「あ、きな子ちゃん!おはよう」
きな子「千砂都先輩、おはようございますっす。どうかしたっすか??」
千砂都「実は・・・・・・」
かのん「・・・・・・う~ん、やっぱりダメだ」ハアッ
きな子「も、もしや??」
千砂都「うん・・・・・・昨日話してた製麺機がどうやら完全に故障しちゃったみたいで」
きな子「そ、そうなんすか・・・・・・」
かのん「困ったなぁ・・・・・・、製麺機のメンテナンス、業者に頼んでもっとちゃんとやっておけば良かったよ」ガクッ
千砂都「仕方ないよ、今までひとりでやってたんだから・・・・・・」
きな子「・・・・・・実は、鬼塚商店のフォークリフトの修理してくれた業者さんが製麺機も直せるみたいなんす」
千砂都「そうなの??」
きな子「なので先輩方がよろしければ、その方をご紹介しようかと思って今日は来たんすが、まさかもう壊れてしまったとはタイミングが悪かったっす」
かのん「お願いしてすぐ来てくれるわけじゃないだろうし、修理に日数掛かる可能性もあるし・・・・・・、今日はある分の麺を使い切ったら店じまいかな・・・・・・」
千砂都「そうだね・・・・・・」
きな子「鬼塚商店では生麺は扱ってないっすが、製麺会社なら紹介できるっす」
かのん「う~ん・・・・・・きな子ちゃんの気持ちはありがたいけど、私のラーメンは麺も私が打ったモノじゃないとダメなんだよね」
きな子「そうでしたか・・・・・・お役に立てず申し訳ないっす」
千砂都「かのんちゃん。とりあえず、きな子ちゃんからその業者さんにお願いしてもらおうよ」
かのん「そうだね。じゃないといつまでも営業出来ないし」
千砂都「きな子ちゃん、悪いけどその業者さんにお願いしてもらえるかな?」
きな子「喜んでお受けするっす!」
かのん「きな子ちゃんの仕事じゃないのにゴメンね?」
きな子「いえいえ、いつもお世話になってるかのん先輩の為ならこれくらいお安い御用っす!」ニコッ
かのん「ありがとう」ニコッ
────
──
~営業前・鐘嵐菜館~
ランジュ「ふうっ、今日の仕込みはこんなところかしら」
栞子「お疲れ様です、ランジュ」
ランジュ「やはり栞子が言った通りだったわ。提供するメニューを絞ってみて正解ね」
栞子「はい。たくさんメニューがあるということはお客様の選択肢が広くて良いように思えますが、逆にお客様が悩むだけなんです」
ランジュ「最初は私の自信作を省くなんてイヤだったんだけどね」
栞子「鐘嵐菜館のここ1年の売上が多いメニューの中から、ランジュが特に得意とするメニューだけを残すという選択が正解だったようです」
ランジュ「仕込みも必要最低限で済むから私も厨房スタッフも労力が減って楽になったし、その楽になった労力を残したメニューに情熱として注げるのはいい事だわ」
栞子「そうして、その情熱を注がれたメニューが更にに美味しくなってお客様から支持されるのですよ」
ランジュ「うふふっ!ランジュが天下を獲る日もちかわね」ニコッ
栞子「しばらくは、元々ランジュが得意な香港雲呑麺と、本格中華系で人気の高い担々麺の2つを主に売っていきましょう」
ランジュ「そうね、頑張るわ」
栞子「それと、ランジュ」
ランジュ「なにかしら?栞子」
栞子「厨房機器の一部を最新鋭の機器に新調するという件ですが、私が依頼した業者の方から完成した旨の連絡を頂きました」
ランジュ「きゃあ!もう完成したの!?凄いわ!」
栞子「次の定休日にお越し頂いて工事して頂きますね」
ランジュ「その工事、1日で終わるの??」
栞子「私も同じ質問を業者さんにしましたが、問題ないとのことです」
ランジュ「それなら良かったわ。調理が快適になるのは良い事ね」
栞子「はい、今後の為にも必要な投資かと思います」
ランジュ「楽しみだわ~♪」
ランジュ「・・・・・・さて、そろそろ開店時間ね。今日も美味しい拉麺を提供するわ」
栞子「はい、頑張りましょう」
────
──
~翌日・かのんの店~
ブウウウウン・・・
プスンッ
千砂都「かのんちゃん!遅くなってごめん!」
かのん「ちぃちゃんおはよう!何かあったの??」
千砂都「最近乗ってなかったからバッテリー上がっててさ」アハハ
かのん「そっか~、まぁ私は車のことはよくわからないや」
千砂都「だよね~」アハハ
かのん「それよりちぃちゃんのたこ焼きカー、久々に見た気がするよ」
千砂都「まぁ、りんちゃんラーメンで働くようになってからはほとんど乗ってないからね」
千砂都「それより早く乗って?」
かのん「あ、うん!」
ガチャッ・・・バタンッ
かのん「うわぁ~、高校の頃思いだすなぁ」シミジミ
千砂都「かのんちゃんにたこ焼き売り手伝って貰ったこともあったよね」
かのん「うん、そんなこともあったね」
千砂都「・・・・・・さて、出掛けようか」
カコッ
ブオンッ
フオオオオオッ・・・・・・
かのん「ちぃちゃん、行き先の場所大丈夫??」
千砂都「うん、さっきスマホで調べたから」
かのん「それにしても、ウチの製麺機が直るまで余ってる製麺機貸してくれるなんてありがたいよ。業者さんには感謝だね」
千砂都「そうだね、きな子ちゃんから業者さんにお願いして貰って助かったよ」
かのん「ところでちぃちゃん、このたこ焼きカーに製麺機積めるの?」
千砂都「うん、大丈夫。たこ焼き用の機材下ろして来たから」
かのん「そっか、わざわざありがとね」
千砂都「平気平気!」
かのん「とりあえず、製麺機貸して貰えば明日には営業再開できるね」
千砂都「うん。臨休は今日だけで済みそうだね」
千砂都「・・・・・・あっ!信号赤になる!急げっ!」
千砂都「・・・・・・・・・・・・」
クンッ
ブオオオオオオ・・・ウオオオオンン・・・
かのん「ちょっと!ちぃちゃん!?」フラッ
キョアアアアアアアア・・・
千砂都「あ、ごめんっ!つい癖でやっちゃった!」アハハ
かのん「危ないよ!事故起こしたらどうするの?」
千砂都「こんなの基本テクニックだよ」
かのん「警察に捕まるよ?」
千砂都「逃げるから平気!」
かのん「そういう問題じゃないと思うけどなぁ」
────
──
ブオオオオオオ・・・・・・
千砂都「もうすぐ着くよ」
かのん「うん」
千砂都「え~っと・・・・・・確か、この交差点を過ぎて・・・・・・」キョロキョロ
千砂都「・・・・・・あっ!ここだ!!」
キィィィィ・・・・・・
かのん「うわあっ!!」ゴンッ
千砂都「かのんちゃんごめん!急ブレーキ踏んじゃった!怪我ない??」
かのん「いてて・・・・・・うん、大丈夫」ヒリヒリ
千砂都「とりあえず、ここがきな子ちゃんから紹介して貰った業者さんの工場みたいだね」
かのん「さて、まずは車から降りて挨拶しようか」
千砂都「そうだね」
千砂都「えーっと、車はどこに停めるといいんだろう」キョロキョロ
璃奈「あれ?もしかして、鬼塚商店さんからの紹介の・・・・・・」
千砂都「あ、はい!」
璃奈「わざわざ来てくれたの?こっちから製麺機届けに行くつもりだったのに」
千砂都「そうだったんですか!?それは失礼しました」
璃奈「そうすれば、その帰り足で壊れた製麺機預かって来れたんだけどな」
千砂都「言われてみると確かにそうですね」アハハ
璃奈「とりあえず、この車あそこに停めていいよ」
千砂都「あ、はい」
璃奈「今、貸す予定の製麺機の最終点検してるから、事務所でお茶でも飲んでて」
千砂都「わかりました」
フェットチーネやファルファッレを作れるようにしてみた ────
──
バタンッ
千砂都「失礼しまーす・・・・・・」
かのん「お邪魔しま~す」
千砂都「えーっと、事務所で待ってるよう言われたけど・・・・・・とりあえず、ここに座ってもいいのかな?」キョロキョロ
かのん「うん。多分これは来客スペースだね」
千砂都「じゃあ、失礼して・・・・・・かのんちゃん、そっち座りなよ」ガタッ
かのん「あ、うん」
千砂都「・・・・・・・・・・・・」
かのん「・・・・・・・・・・・・」
千砂都「・・・・・・な、なんか落ち着かないね」
かのん「あはは・・・・・・なんかよそ様の事務所でただ待ってるの、変な感じだね」ハハハ
────ブオオオオオオン・・・
千砂都「あ、何だろ?お客さんかな・・・・・・」
かのん「車が来たね」
「────おはよ~!よろしく~!」
璃奈「────あ、もう来たんだ。この仕事終わってから作業するから待ってて」
「────あいよ~!事務所で待ってるね~」
千砂都「かのんちゃん、やっぱりお客さんだ」
かのん「そうだね、私達、この席よけようか?」
千砂都「いや、多分大丈夫じゃないかな」
ガチャッ
「ちっす~!・・・・・・って、先客いたんだ!!ごめんごめん!」アハハ
かのん「す、すみません」
「いいっていいって!この事務所に客来る事なんて滅多にないからさ、多分アタシくらいかなぁ~」アハハ
かのん「お借りする製麺機を車に積んだら帰りますんで」
「まぁまぁ!ゆっくりしてきなよ~!2人とも、コーヒーでいい??」
かのん「え、あ・・・・・・はい!・・・ちぃちゃんは?」
千砂都「は、はい!だ、大丈夫です」
「このウォーターサーバー、水とお湯だけじゃなくてコーヒーも出るから便利なんだよ~」
かのん「へ~、便利ですね。ウチにもウォーターサーバーの営業よく来ますけど、いまいちメリット感じないから断ってるんです」
「まぁ、そんなもんだよね~」
「はい、コーヒーお待たせ!!砂糖とミルクはテーブルの上にあるからお好きに~!」コトッ
かのん「ありがとうございます」
千砂都「あ、ありがとうございます」
「・・・・・・そういえば外に止まってる車、なんか見たことあるんだけど」
千砂都「!?」ビクッ
「たこ焼き屋の・・・・・・」ジーッ
千砂都「あはは・・・・・・ご、ご無沙汰してます」アセアセ
「やっぱり~!あんな珍しい車、忘れるわけないよ!!なんたってこの愛さんを負かした車だからね~」
千砂都「その節は・・・・・・」アハハ
「ここしばらく市場にも来てないみたいだったし、何してたの??まさか、たこ焼き屋やめた??」
千砂都「は、はい・・・やめたというか、ラーメン屋で雇ってもらって修行してたんです」
「そっかー!!だから見かけなかったわけね!!」
千砂都「す、すみません・・・・・・」アハハ
千砂都「え~っと、宮下さんでしたよね?」
愛「うん!宮下愛さんだよっ!・・・・・・って、忘れてたのかい!!」
千砂都「いえいえ!!」ビクッ
千砂都「宮下さんは相変わらずもんじゃ屋されてるんですか?」
愛「もっちろんっ!家業だからね」ニコッ
かのん「ちぃちゃん、こちらの方とお知り合いだったんだ」
千砂都「うん、昔ちょっとね」
愛「りなりーがチューンナップしてくれた愛さんの仕入れ用ハイエースとバトルしてたんだよね」
かのん「ええっ!?バトル!??」
千砂都「あの頃は若かったですから~・・・・・・」アハハ
愛「もしかしてあのたこ焼き車、りなりーにイジってもらうの??だったらまた走ろうよ~!」
千砂都「い、いえ!今日は製麺機の修理のお願いと、製麺機が直るまでの間のレンタル品を借りに来たんです」
愛「なんだ~、愛さんちょっと残念だなぁ」シュン
かのん「もんじゃ屋されてるんでしたっけ?・・・・・・今日はお休みなんですか?」
愛「んーん!営業日だよ。ハイエースのタイヤがボウズになっちゃったから交換しに来たんだ~」
かのん「そうなんですか~」
愛「市場からの仕入れは朝一で済ませてあるから、仕事の合間みてタイヤ交換しに来たってわけ」
千砂都「宮下さん、相変わらず速そうですね」
愛「もちろんっ!愛さんの腕も上がってるし、りなりーのチューニングも更に良くなってるからね~」
ガチャッ
璃奈「お待たせ。レンタルの製麺機、持って行けるよ」
かのん「あ、ありがとうございます!」
千砂都「じゃあ、私の車に積みますか」
愛「愛さんも手伝おっか??」
千砂都「ありがとうございます。助かります」
璃奈「車に積みやすいように一部バラしてあるから、帰ったら組み付けしてね」
千砂都「はい、わかりました」
かのん「私の製麺機はどうしたら良いでしょう?」
璃奈「愛さんのタイヤ交換済ませたら引き取りに行く」
千砂都「すみませんね、なんか無駄なことしてしまって」アハハ
璃奈「いいよ、事前に段取り説明しておかなかった私が悪いから」
────
──
かのん「ふうっ、何とか積めたね」
千砂都「じゃあ、お借りしていきますね」
璃奈「うん、気をつけてね」
バンッ
愛「今度ウチにも食べにきなよ~!待ってるぞ~!」
千砂都「あ、はい!機会あれば行ってみますね」
キュルルッ
ブウウウウンッ・・・
千砂都「では、失礼します」
かのん「ありがとうございます!」
カコッ
ブウウウウオオオオ・・・
璃奈「あの車、昔愛さんが負けたたこ焼き屋さんだね」
愛「あ、りなりーもやっぱ覚えてた??」
璃奈「もちろん、高校時代の最高傑作と言えるもんじゃ宮下号が負けるなんてショックだったから」
愛「あれは愛さんのドラテクも未熟だったんだよ~」アハハ
璃奈「さて、タイヤ交換するよ・・・・・・」
愛「うんっ!りなりーお願い!」
璃奈「あーあ、またこんなに後輪ばかり減らして・・・・・・」
愛「ついついケツ振っちゃうんだよね~」ハハハ
愛「あ、そういえばりなりー」
璃奈「ん?」
愛「ランジュが自分の店の厨房設備をオーダーメイドで新調するって言ってたんだけど、りなりーがやるの??」
──Prrr・・・♬
璃奈「・・・・・・あ、ごめん電話・・・・・・」
ハイエースは燃費がイマイチな以外は実用車として欠点が無い車だぞ ちぃちゃんがたこ焼き売りながら爆走するssは完結したんだっけ? たこ焼きともんじゃ焼きの粉物対決かと思ったらイニシャルちぃだった ────
──
~翌週・鐘嵐菜館 開店前~
ランジュ「きゃあ!厨房の機器が見違えたわね!」
栞子「はい、昨日の定休日に丸一日掛けて工事して頂きました」
ランジュ「凄いわ!これならランジュの店の効率がかなり改善するわね」
栞子「はい、それに私がアルバイトスタッフのマニュアルを作成し周知しておりますので、以前とは見違えるほど店が良くなるはずです」
ランジュ「栞子が言っていた通りのビジネスモデルに近づいてきたわ!ランジュの店は益々繁栄していくわね!」ニコッ
栞子「ですが、まずは名実共に東京の指折りの名店に数えられる存在にならなくてはいけません」
ランジュ「それなら今すぐにでもなれるわ。お客さんを納得させる全ての要素が揃っているもの」
栞子「甘いです、ランジュ」
ランジュ「えっ!?どうしてなの??」
栞子「たくさんの人に食べて貰い、美味しくて良い店だという印象を抱いて頂くだけでは足りません」
ランジュ「でもランジュは味で勝負しているのよ?その為に栞子が言うメニューの絞り込みもしたし、絞り込んだメニューも更に研究して改良したわ」
栞子「具体的な数字が必要なんです」
ランジュ「えっ?口コミサイトのことなら軒並み群を抜いた高得点を貰っているわ」
栞子「それはそれです。具体的な数字とはもっと強固なものです」
ランジュ「ええ??他に何があるというわけ??」
ピラッ
栞子「これを見てください」スッ
ランジュ「・・・・・・んん?何かしら??」
ランジュ「・・・・・・・・・・・・」ジーッ
ランジュ「えっ!?ワールドラーメンフェスティバル??」
栞子「このイベントに鐘嵐菜館も出店し、来場されたお客様の投票によって選ばれるグランプリを獲ります」
ランジュ「きゃあ!これはいいわ!!これなら純粋にナンバーワンになれるじゃない!!」
栞子「そうです。これでナンバーワンを獲りましょう。そして不動の地位を得て、多店舗展開はそれから着手します」
ランジュ「嬉しいわ!栞子!!」ガバッ
栞子「きゃっ!・・・・・・だ、抱きつかないでください!」
ランジュ「いいじゃない!嬉しいんだもの!」スリスリ
栞子「はあっ、まったく・・・・・・」ヤレヤレ
栞子「ただし、ワールドラーメンフェスティバルは手を挙げればどの店でも出店させて貰えるというわけではありません」
ランジュ「条件があるの??」
栞子「はい。フェスの運営委員会に審査して頂き、出店資格を得た店だけが出店できます」
ランジュ「なるほど・・・・・・まずはそれを突破する必要があるわけね・・・・・・」
栞子「しかし、ご安心ください。運営委員長と先日お会いし、審査項目を教えて貰いました」
ランジュ「そうなの??でもそれはカンニングみたいで気が乗らないわ。どうせなら正々堂々と審査を受けた方がいいと思うもの」
栞子「いえ、そうではありません。このまま申込しても、鐘嵐菜館は出店するための要件を全て満たしていることが分かったんです」
ランジュ「そうなの??だったらさっさと申込ましょう!!」
栞子「運営委員長もランジュが出店してくれたらフェス盛り上がるだろうということで喜んでらっしゃいました」
ランジュ「当然よね。ランジュはグランプリを獲るに相応しい存在なんだから」
栞子「申込は私が近日中に済ませます」
ランジュ「よろしく頼むわね」
ランジュ「それにしても栞子、ワールドラーメンフェスティバル??だったかしら・・・それの運営委員長と面識があるなんて人脈広いじゃない」
栞子「ふふふっ、コンサルティング業をする上で広い人脈は必須ですからね」
ランジュ「頼もしいわ、栞子」ニコッ
栞子「ちょっと偉そうなことを言ってみましたが、委員長はただ単に以前から面識がある方なだけです」
ランジュ「そうなの!?誰かしら??ランジュの知らない人??」
栞子「ふふっ!それより仕込み作業の手が止まってますよ??アルバイトスタッフなんかいつでも開店できる用意が整っております」
ランジュ「あら!それは申し訳ないわね。店主が足を引っ張ったんじゃ本末転倒だわ」
ガラガラッ
遥「おはようございます!」
ランジュ「ん?遥じゃない??」
遥「すみません!事故渋滞にハマってしまって配達遅くなってしまいました」ペコッ
ランジュ「大丈夫よ。それより渋滞なんて大変だったわね」
遥「はい、全ての配達先にご迷惑お掛けすることになるので必死です」ハハハ
栞子「遥さん、伝票でしたら私がサイン致します」
遥「あ、はい!栞子さんお願いします」スッ
栞子「・・・・・・」カキカキ
栞子「はい、お返ししますね」スッ
遥「ありがとうございます」ニコッ
栞子「それと、遥さん」
遥「はい、なんでしょうか?」
栞子「先日ランジュが遥さんに相談させて頂いた担々麺用の材料の件なのですが、正式に鬼塚商店さんにお願いする事に致しました」
遥「えっ!?本当ですか!ありがとうございます!」
栞子「他の会社にも相見積もりを依頼していたのですが、ランジュが金額ではなく遥さんご自身のお人柄を買っているので、鬼塚商店さんに頼むと聞かないもので・・・・・・」
遥「うわぁ!それは凄く嬉しいです!!」
ランジュ「東雲物産の遥の後任なんだけど、なんだかイマイチなのよね、あの子」ハァッ
ランジュ「・・・・・・だから、今後は鬼塚商店から仕入れられるものは出来るだけ鬼塚商店にお願いすることにしたわ」
遥「ありがとうございます!!きな子さんも喜びますよ!!」ニコッ
ランジュ「きな子にもよろしくね」ニコッ
遥「はいっ!」
遥「それでは、次の配達先に急ぐので失礼しますね」
栞子「運転お気をつけて」
遥「では・・・・・・ん??これは??」チラッ
栞子「ああ、ワールドラーメンフェスティバルの案内ですね」
遥「これが例の・・・・・・」
栞子「そうです。鐘嵐菜館も出店申込致します」
ランジュ「グランプリ獲るから見てなさい?遥」ニコッ
遥「本当に開催することにしたんだ・・・・・・」
栞子「第1回グランプリほど名誉なことはありませんからね」
遥「頑張ってくださいね」
栞子「はい。ありがとうございます」
遥「では、また明日伺います」ペコッ
ランジュ「またね~!」
バタンッ
────
──
~近江弁当店~
侑「ありがとうございました~!」ペコッ
彼方「ふぅ~、これでランチタイムのピークは過ぎたかねぇ・・・・・・」
侑「テイクアウトは今のお客さんでひと通り終わりですよ」
彼方「そっかぁ、侑ちゃんお疲れさまぁ~」
彼方「彼方ちゃんは今のうちに夜の部の仕込み始めておくね」
侑「ですね、やれることは早めの方がいいと思います」
彼方「侑ちゃんは適度に休憩してていいからね?」
侑「いやいや、店主の彼方さんが働いてるのに私が休むわけにいかないですし」アハハ
彼方「気にしなくていいのに~、侑ちゃんだって大変なんだからさぁ」
侑「そんなことないですよ~」
彼方「・・・・・・んん~?それ何??」
侑「え??」
侑「ああ、このビラですね。お店に貼ってくれって頼まれたんです」
彼方「ふーん、・・・・・・ワールドラーメンフェスティバル??・・・・・・例のやつだね」
侑「そうです。入り口のところにでも貼っていいですか?」
彼方「うん、いいよ~」
侑「ありがとうございます!・・・・・・これでよしっ!」ペタペタ
侑「虹学の仲間だと、ランジュちゃんとかすみちゃんがラーメン屋やってますよね」
彼方「そうだねぇ、フェスティバルに出るのかなぁ」
侑「ランジュちゃんは・・・・・・出・・・そうな気がしますよね」
彼方「だね、ランジュちゃんはストイックだからそういうの大好きだろうし」
侑「かすみちゃんはどうかなぁ??出ると思います?」
彼方「う~ん・・・・・・昔のかすみちゃんなら我先に出場志願しそうだけど、かすみちゃんは自分で店を経営しているとはいえ、りんちゃんラーメンの傘下だから本部の意向次第なんじゃないかなぁ」
侑「そうですよね」
侑「なんか、こういうのってSIFを思い出しちゃいますね」
彼方「そうだねぇ」
────
──
~かのんの店~
璃奈「直した製麺機と私が貸した製麺機の入れ替え終わったよ」
かのん「ありがとうございます!おかげで店を休むことなくて本当に助かりました!」ペコッ
千砂都「なんか元のかのんちゃんの製麺機とかなり違くない?気のせいかな・・・・・・」
かのん「えっ?どういうこと??」
璃奈「それは今から説明しようと思ってたんだけど、色々と機能を改良してあるよ」
かのん「そうなんですか!?」
璃奈「今までの単純で手間の掛かる製麺機じゃなくて、ミキシングからカットまで一連の作業を簡単に出来るようにしてあるよ」
千砂都「そうなんですか!私、りんちゃんラーメンで製麺もしてましたけど、それならかなり楽に麺作りができますね」
璃奈「出来上がった麺もいかにも機械で打ったようなものではなく、かなり手打ちに近い質感の麺も打つことができるようにしてある」
かのん「あはは・・・使いこなせるかなぁ・・・・・・」
璃奈「大丈夫、素人でもすぐ使えるくらい簡単だから」
千砂都「凄いね!かのんちゃん!」
かのん「まぁ、とりあえず使ってみようか」
璃奈「もし使っていて分からないことがあれば、いつでも聞いてくれたら答えるよ」
千砂都「その時はよろしくお願いします」
璃奈「じゃあ私は帰るね」
かのん「ありがとうございました!請求書送って下さいね」
璃奈「うん」
千砂都「天王寺さんは何で製麺機運んで来たんですか?」
璃奈「裏に停めさせてもらったハイエースだよ」
千砂都「そうなんですか・・・・・・」チラッ
千砂都「・・・・・・って、もんじゃ宮下さんのハイエースじゃないですか!!」
璃奈「うん、愛さんのハイエースには私が開発したワンオフタービンキットを組んであるんだけど、最近はハイパワーにも慣れてしまって後輪ばかり回してタイヤ減らすから、使うのやめさせようと思って」
千砂都「そうなんですか~、相変わらず凄いですね」
璃奈「代わりに私が所有してるスーパーチャージャー積んでるハイエース預けてある」
千砂都「それもかなり凄いパワーでそうな気がしますけど・・・・・・」アハハ
璃奈「パワーの特性が違うからね。今の愛さんにはスーパーチャージャーの方が合うかも」
千砂都「あはは・・・・・・昔、勝てたのはやはりまぐれだったんですね・・・・・・」アセアセ
璃奈「いや、最後にモノを言うのは運転技術だからね」
璃奈「あの頃の愛さんは車のパワー頼りだったから、非力なたこ焼き車を絶妙なアクセルコントロールで走らせる千砂都ちゃんが勝つのは必然だったんだよ」
千砂都「あはは・・・・・・お褒め頂き恐縮です・・・・・・」
璃奈「じゃ、また何かあれば宜しくお願いします」
かのん「また困ったことが出来たら相談しますね」
璃奈「うん」
バタンッ
千砂都「良かったね、かのんちゃん」
かのん「うんっ!これでまたラーメン作りのやる気が出てきたよ」ニコッ
──キョカカッ
──ブオンッッ・・・シュコオオオオオオ・・・
千砂都「ん?天王寺さんが乗ってきたハイエースの音ヤバいね・・・・・・」
かのん「私はよくわからないけど」
────ゴアアアアオオォォォァォ・・・
千砂都「あはは・・・めちゃくちゃ飛ばして行ったけど大丈夫かなぁ・・・・・・」アハハ
────
──
~翌朝・かのんの店~
かのん「ちぃちゃんどう?直して貰った製麺機は・・・・・・」
千砂都「うん、これは使い易いし効率がかなりいいよ」
かのん「そっか、それなら製麺に掛かる時間を短縮することができるね」
千砂都「うん、そうだね」
千砂都「麺は私がやっておくから、かのんちゃんはスープの仕込みに専念してていいよ」
かのん「うん!ちぃちゃんありがとう。任せるね」
バタンッ
かのん「さてと・・・、私はスープの仕上げとトッピングの用意をしておこうか・・・・・・」
ガラガラッ
かのん「ん?」クルッ
栞子「おはようございます」ニコッ
かのん「えっ!?しょ・・・鐘嵐菜館の三船さん・・・・・・」
栞子「開店前のお忙しいところ申し訳ありません」
かのん「あの、何度お越し頂いても私は首を縦に振るつもりはありませんので」
栞子「悪い話ではないと思いますけどね」
栞子「何度も申し上げますが、鐘嵐菜館のFCに加盟できることは、近い将来必ずこの上ない名誉になるはずです」
栞子「そのFC加盟第一号をぜひ澁谷さんにお願いしたいんです」
かのん「私はまだこの商売を始めて年月が浅いですが、自分の店に誇りを持っています。鐘嵐菜館さんが都内でも名の知れた有名店なのは知っていますが、他人の看板を借りるつもりはありません」
栞子「これも何度も申し上げてますが、メニューはこちらが指定した2品目をレシピに忠実に提供してくだされば、他のメニューの追加はご自由になさって頂いて構わないんです」
栞子「我々がこれから構築するネットワークによる様々な恩恵は、必ず澁谷さんにとって大きなプラスになることでしょう」
かのん「断言されていますが、鐘嵐菜館さんはまだ1店舗しかないじゃないですか」
栞子「はい、そうですね」
かのん「まだ実現していない机上の空論を押し付けられても誰も納得しませんよ」
栞子「まったくおっしゃる通りです。しかし、私と店主の鐘嵐珠は必ず鐘嵐菜館のFC展開を成功させます」
かのん「それは成功させてから言ってください」
栞子「我々のプランでは、我々が認める実力のある既存の店舗にのみFC加盟を薦めて店舗を増やしていくつもりです」
栞子「ようするに、精鋭による精鋭のみの鐘嵐菜館グループを拡げて行くつもりです。その第一号に澁谷さんになって頂きたいというのは、我々からの最大級の賞賛でもあるのです」
かのん「お気持ちはありがとうございます。でも・・・・・・」
ピラッ
かのん「・・・ん?」
栞子「これをご覧ください」スッ
かのん「んん?・・・・・・ワールドラーメンフェスティバル??」
栞子「これから開催される予定の、実力店が集う大きなイベントです」
かのん「そうなんですか」
栞子「我々はこれに出店し、来場されるお客様から一番多くの投票を頂き、グランプリを獲ります」
かのん「目標の目線が高いことは良いことだと思いますが・・・・・・」
栞子「このフェスティバルは一般的なラーメンイベントとは違い、世界一のラーメン店を決める頂上決戦と言っても過言ではありません」
かのん「そ、それは凄いですね」アハハ
栞子「そのフェスティバルの第一回グランプリ獲得店となれば、それはもう大きな名誉になること間違いありません」
栞子「そして我々はグランプリ獲得後、我々はFC展開を推し進めて行きます」
かのん「・・・・・・夢が大きいんですね」
栞子「はい。共に夢を見ませんか?」ニコッ
かのん「お断り致します」
栞子「ふぅっ・・・」
栞子「・・・・・・澁谷さんが絶対に首を縦振らないのは分かっていました」
かのん「だったらもう諦めてください」
栞子「・・・・・・一つ提案があります」
かのん「なんでしょう?」
栞子「澁谷さんも、ワールドラーメンフェスティバルに出店して我々と競い合いませんか?」
かのん「わ、私が~!?」
栞子「はい、我々が勝てば澁谷さんは鐘嵐菜館のFCに加盟してください。澁谷さんが勝てば我々は諦めます」
かのん「なっ!私は出るなんて一言も言ってません!!」
栞子「楽しみにしていますよ?鐘嵐珠はあなたが最大のライバルになると見込んでいます」
栞子「では、お忙しいところ失礼しました」ペコッ
バタンッ
かのん「・・・・・・・・・・・・」
かのん「はあっ」
ガチャッ
千砂都「かのんちゃん、今の三船さんだね。また例の勧誘に来たの??」
かのん「うん、断っても断っても諦めてくれなくてさ、今度はイベントに出て勝負しろってさ!」バンッ
千砂都「ふ~ん・・・・・・何このビラ??ワールドラーメンフェスティバル??」ピラッ
かのん「もし鐘嵐菜館さんが勝ったら私にフランチャイズ加盟しろってことらしい。私が勝てば諦めるって・・・・・・」
千砂都「だったらかのんちゃんが勝てばいいんじゃない??」
かのん「ちぃちゃんまで・・・・・・」ハァッ
かのん「・・・・・・私は出るつもりないよ」
千砂都「私はかのんちゃんが作る美味しいラーメンなら勝てるような気がするけどね」
かのん「私のラーメンはたくさんのお客さんに認められて行列もできるお店になったけどさ、勝負する為にラーメン屋してる訳じゃないんだよね」
千砂都「でも、たまにはこういうイベントに出るのもいいんじゃない??ウチに来てくれるお客さん達も会場まで足運んでくれると思うよ?」
かのん「でもさ、出店するにも審査を受けて合格しないとダメだって応募要項に書いてあるし、必ず出られるわけじゃないんだよ」
千砂都「そっかぁ」
千砂都「まぁ、どうするかはかのんちゃんが決めなよ」
かのん「あ~、なんだか面倒なことに巻き込まれたなぁ・・・・・・」ハァッ
かのん「あの三船さんって人、苦手だよぉ・・・・・・」ガクッ
千砂都「あの人、私がお世話になった中須店主の同級生なんだけど、中須店主が言うには相当な真面目人間だけど悪い人ではないって」
かのん「そりゃ悪い人じゃないのは分かるけどさ・・・・・・」
ガラガラッ
きな子「どうもっす!鬼塚商店っす!!」ニコッ
千砂都「あっ、きな子ちゃんおはよう」
きな子「んん??今朝はどうしたっすか??かのん先輩が難しい顔されてますっす」
かのん「う、うん・・・・・・ちょっとね」アハハ
きな子「ん?このビラ・・・・・・あ~、これが遥さんが言っていた例のフェスティバルっすね」
きな子「ウチと取引がある鐘嵐菜館の店主さんがグランプリ獲るってかなり張り切ってるみたいっす」
かのん「その鐘嵐菜館さんがね~・・・・・・私は鐘嵐珠さんとはお会いしたことないけど・・・・・・色々とね・・・」ハハハ
きな子「鐘嵐菜館さんは今後FC展開して規模を大きくするのが夢らしいっす!鬼塚商店も鐘嵐菜館さんへの大口取引が決まったので、ゆくゆくは更に大きな取引ができると期待してるっす!!」
きな子「鬼塚商店も盤石な経営ができるよう頑張るっす!!」
千砂都「なるほどね~、当然取引がある業者さんにも恩恵があるわけだよね」
きな子「かのん先輩もフェスティバルに出店応募してみたらどうっすか?」
かのん「はあっ、実はその話してたんだけどさ~、私は絶対に出ないよ!」
きな子「そうっすか~、・・・・・・実は、そのフェスティバルに鬼塚商店も協賛させて貰うかもしれないっす」
千砂都「へぇ~!そうなんだ!?」
きな子「まだフェスティバルのルールは正式決定してないみたいっすが、使う食材の一部は出店する全店同じ物を使うのが条件の一つになるかもしれないらしいっす」
きな子「遥さんがそんな話聞いてきたみたいっす」
千砂都「なるほどね。競うにしても、みんなバラバラに好きなメニュー作ってたんじゃ比べる基準も何もないもんね」
きな子「そうっす。その共通食材の提供を鬼塚商店でさせて貰えないか交渉中っす!!」
千砂都「きな子ちゃん達にとっても大きなビジネスチャンスなわけだね」
きな子「そうっす!!頑張るっす!」ニコッ
千砂都「かのんちゃんもこれは考え時だね」
かのん「うーん・・・・・・」
きな子「では、また明日も配達で伺うっす!ありがとうございましたっす!」
バタンッ
────
──
~かのんの店・閉店後~
千砂都「じゃあ、かのんちゃんお疲れ!!」
かのん「ちぃちゃんもお疲れ!気をつけて帰ってね」
千砂都「・・・・・・そうだ、かのんちゃん最近疲れてるみたいだし、明日の定休日は大人しく休んでね?」
かのん「あはは・・・ありがと。さすがに私もそうしようかと思ってる」
千砂都「かのんちゃんが倒れたら私も困るんだから」
かのん「そうだよね、ちぃちゃんを困らせないようにするよ」ニコッ
かのん「ちぃちゃんは明日どうするの?」
千砂都「久々にたこ焼きカーでたこ焼き売りに行こうかと思ってるんだ」ニコッ
かのん「そっか、頑張ってね」
千砂都「うんっ!じゃあまた明後日!!」
バタンッ
かのん「ふうっ・・・」
かのん(ちぃちゃんが入ってくれて劇的に楽になったはずなんだけど・・・・・・鐘嵐菜館さんの件やらラーメンフェスティバルやら・・・・・・面倒なことばかりだ・・・・・・)ハァッ
かのん(・・・・・・たまに1人で飲みにでも行こうかな)
────
──
テク テク テク・・・
かのん(ラーメン屋始めてからは外を歩くなんてほとんどなかったな~・・・・・・)
テク テク テク・・・
かのん(こうしてみると知らない店ばかり・・・・・・どこの店に入ろうか・・・・・・)
かのん(あっ、このお店・・・・・・なんだか入り易そう・・・・・・ここにしようかな・・・・・・)
ガラガラッ
かのん「ごめんくださーい・・・・・・」
かのん「1人ですけど大丈夫ですか??」
────ガヤガヤガヤ
マスター「あら、いらっしゃい」ニコッ
かのん「こんばんは~」
マスター「見かけない子ね、ウチは初めて??」
かのん「はい、初めてです」
マスター「うふっ!歓迎するわ」ニコッ
マスター「今日はちょっと混んでるけど、空いてるカウンター席に座っていいわよ」
かのん「ありがとうございます」
ガタッ
マスター「何飲む??」ニコッ
かのん「あっ・・・・・・じゃあ、とりあえずビールで」
マスター「生ね、ありがとう」ニコッ
かのん(うわぁ・・・・・・お客さんの立場になるの久しぶりだなぁ・・・・・・)ソワソワ
マスター「はいっ!お待たせ!!」ドンッ
かのん「あっ、ありがとうございます」
マスター「食べたいもの決まったら声掛けてね」
かのん「は、はいっ!」
かのん(いただきまーす・・・・・・)
かのん「んっ・・・んっ・・・んっ・・・」グビグビ
かのん「・・・・・・くう~っ!!」プハァッ
マスター「うふふっ!いい飲みっぷりね!かわいい!」ニコッ
かのん「い、いえ!喉乾いてたもんで!!」アタフタ
マスター「もう一杯いるでしょ??」
かのん「あ、はい!お願いします!!」
かのん(お店で飲むビール、美味しいなぁ・・・・・・)
マスター「はい、おかわりね」ドンッ
かのん「あ、ありがとうございます」
かのん「あの~、注文してもいいですか??」
マスター「あ、うん!いいわよ??」
かのん「私、飲食業やってるんですけど、仕事ばかりでプライベートの時間なくて、最近はあまり外食しないからよく分からないんです。お任せで何か作ってくれませんか?」
マスター「あら、そうなの??私もいつも自分の店にばかりいるからなんとなく気持ち分かるわね」
かのん「あはは・・・ですよね」
マスター「私のおすすめで焼くわね」ニコッ
かのん「お願いします」
────
──
かのん「はむっ・・・んむっ・・・」モグモグ
かのん「うんっ!この焼き鳥おいしい!!」
マスター「うふふっ!嬉しい反応してくれるじゃない」ニコッ
かのん「随分といい鶏使ってるんですね。どこから買ってるんですか??」
マスター「ウチは主に静岡の沼津にある同級生のところから仕入れてるのよ」
かのん「そうなんですか~」
マスター「キミも鶏扱うの?」
かのん「はい、私ラーメン屋なんです」
マスター「なるほどね、それなら鶏が気になるわよね」
マスター「・・・・・・あ、そうだ!」
かのん「ん?どうかしましたか?」
マスター「前にウチの常連の子にも振る舞ったんだけど、私の賄い用に余った鶏肉や鶏ガラを煮込んだスープがあるのよね・・・・・・」
かのん「ん??」
マスター「はいっ!」コトッ
かのん「ありがとうございます。これはスープですか??」
マスター「うん、飲んでみてくれる??」ニコッ
かのん「美味しそうですね!頂きます!」
かのん「へぇ~、醤油味に仕上げてあって、まるでラーメンみたいなスープですね・・・・・・」
かのん「んっ・・・」クイッ
かのん「!?」ビクッ
マスター「あら?美味しくなかったかしら??」
かのん「凄く美味しい!!凄いです!!美味しいです!!」
マスター「うふふっ!そう言ってくれると嬉しいわね」ニコッ
マスター「実は私も本業の傍らラーメンのスープも研究しててね。実際に商売としてするつもりはないのだけれど」
かのん「これならすぐラーメンとして出せます!」
マスター「常連の子達もそんなこと言ってくれたわ」ニコッ
かのん「誰が食べても美味しいと思いますよ!」
マスター「ま、ラーメン屋の子にそう言われると
自信になるわね。ありがとう」ニコッ
かのん「・・・・・・実は、最近儲かるようにはなって来たんですが、色々と面倒なことも多くて」
マスター「あら?悩み??」
かのん「はい・・・・・・」
マスター「飲食業なんてそんなもんよ~。ラーメン屋ならまだいいわよ、私なんか酔っ払い相手だからストレス半端無いわよ??」
かのん「そうですか??凄く客の扱いに慣れてらしてるように見えます」
マスター「毎日やってればそりゃあね。慣れるけど、ストレスはなくならないわね」
かのん「そうですか・・・・・・あの、それでさっきの続きですが、外部の人にFC加盟しないかとか、イベント参加しないかとか執拗に誘われて困ってるんです・・・・・・」
マスター「そういうこともあるわよね。自分の好きなようにやりたくて始めた店なのに、邪魔されたり、思うようにいかなかったりするものよ」
かのん「・・・・・・そういう時、どうしたらいいでしょうか?」
マスター「相手も仕事だからなかなか引き下がれないんだろうけど、黙って何も言えなくなるようにしてやるしかないわね」ニコッ
かのん「・・・・・・・・・・・・」
かのん「・・・・・・そっか」
マスター「まぁ、私ならその相手をわからせちゃうんだけどね」ウフッ
かのん「わ、わからせる??」
マスター「私、そういうの得意なのよ」ニコニコ
かのん「わからせる・・・・・・か」
マスター「あなたも知りたい??良かったら私が店閉めたあとに2人きりで二次会にでもいく??」ニッコリ
かのん「いえ、何か掴めた気がしました!ありがとうございます!!」ニコッ
マスター「ええっ!?」
かのん「お会計お願いします!!」
マスター「か、帰るの!?私とマンツーマン二次会は??」
かのん「それはまた今度で!」
マスター「また今度というなら仕方ないわね・・・・・・」
マスター「(せっかく可愛い子捕まえたと思ったのに・・・・・・)」ブツブツ
マスター「はい、伝票ね」スッ
かのん「・・・・・・あ、丁度あります!ごちそうさまでした!」ニコッ
マスター「また来てね」ニコッ
バタンッ
マスター「忙しい子ね・・・・・・」
こっちの世界の曜ちゃんは千歌ちゃんと上手くやれたのかな その結果メノ^ノ。 ^リ が野に放たれたのかな 危うく落ちそうになったところを保守してもらってありがとうございますっすm(_ _)m
助かったっす ────
──
~数日後・鐘嵐菜館~
────グツグツグツ・・・
栞子「ランジュ、調理作業でお忙しいところすみません」
ランジュ「・・・ん?栞子どうしたの?」クルッ
栞子「例のフェスティバルへの参加応募の件ですが、審査を通過し、出店させて頂くことが正式に決まりました」
ランジュ「きゃあ!ホント!?嬉しいわ!!」ニコッ
栞子「ワールドラーメンフェスティバルの公式HPの出店一覧に鐘嵐菜館の名前も掲載されたようです」
栞子「・・・・・・そしてこれがその画面ですよ」スッ
ランジュ「どれ?見せてくれる??」
ランジュ「・・・・・・・・・・・・ん?まだウチしか参加が決まってないのかしら?」
栞子「そのようです。鐘嵐菜館は幸いにして審査の条件を満たしているので審査が比較的簡単だったのでしょう」
ランジュ「でも、エントリーナンバー1番というのは気分いいわね」
栞子「ですね」ニコッ
ランジュ「そして、これからライバル達が次々と選ばれていくわけね。気合いが入るわ」
ランジュ「そういえば、かすみのところの千砂都が今度働くことになった店・・・・・・なんだったかしら・・・・・・」
栞子「ああ、澁谷かのんさんの件ですね」
ランジュ「そうそう、その子も出店するのかしら?」
栞子「私が市場調査の為に、ここ最近で食べ歩きした中では最も美味しいと思えたお店です。なので、出店するとなればランジュにとって最も強力なライバルになると思っています」
ランジュ「どうせグランプリを獲るならば強力なライバルを倒して獲った方がいいわ」
栞子「はい、今後の鐘嵐菜館のブランディングの為にも非常に重視すべきことです」
ランジュ「何とか出店してくれないかしらね」ウーン
栞子「実は先日、澁谷かのんさんにお会いしてお願いしてきたのですが、職人気質の強い方でフェスティバルにはあまり興味ないようなんです」
ランジュ「そう・・・・・・そらなら私も食べに行って直接頼んで来ようかしら」
栞子「ランジュはそのようなことしないでください」
ランジュ「どうして?別にいいじゃない」
栞子「実力派ラーメン店主によるFC展開の序章がフェスティバルなんです」
栞子「そのフェスティバルで競うライバルをランジュが勧誘しに行ったのでは、ランジュの箔が落ちるというものです」
ランジュ「まぁ、確かにそうねぇ」
栞子「今後のFC展開の為にはランジュのイメージ作りも非常に大切です」
ランジュ「栞子は細かいところまで考えてるのね」
栞子「そうです。日本一の実力派ラーメンチェーンを目指すならば、社長であるランジュの強烈なイメージが必須です」
栞子「細かいところまでこだわる必要があります」
ランジュ「でも、そんな小細工をしなくとも、私は人一倍輝いているわ」
栞子「ですがランジュ、既に全国に名を馳せているりんちゃんラーメン創始者の星空凛氏や、その辣腕で静岡県から全国に支店を多数展開している・・・・・・
ガラガラッ
「ごめんください」
ランジュ「ん??・・・あら、早かったわね」
「それで、施工した設備で修正したいところというのは・・・・・・」
ランジュ「ええとね、ちょっとしたことなんだけど、ランジュがより良く使えるように水道の位置を変えて欲しいのよ」
「で、それはどこですか?」
ランジュ「ここの茹で釜にお湯を入れる蛇口なんだけど、もう少し右寄りにできないかしら?」
「お安い御用。すぐに直します」
ランジュ「悪いわね。よろしく頼むわ」ニコッ
ランジュ「・・・・・・それで栞子、何の話だったかしら」
栞子「はい、もうすぐ開店時間なので結論から言いますが、今回のフェスティバルで澁谷かのんさんに最大のライバルになって頂くにあたり、澁谷さんがランジュへの対抗心を燃やすためのエピソードが欲しいんです」
ランジュ「それもそうよね。フェスティバルに興味がない子が出場してライバルになるだけじゃ、ちょっと物足りないわね」
栞子「そうなんです。そしてその為の仕込みとして、実は少し前から澁谷さんに鐘嵐菜館のFC展開を始めたら加盟第一号になって欲しいと持ち掛けております」
ランジュ「ええっ!?随分無茶するわね!?ランジュが横暴だと思われるわ!」
栞子「はい。澁谷さんは絶対に首を縦に振らないタイプの方ですが、フェスティバルの勝敗でFC加入の是非を問うという結構無茶苦茶な条件提示をしております」
ランジュ「ランジュならそんな話追い払うわよ。だって腹立つもの」
栞子「でしょうね。でも、そこまでしないと動いてくれなさそうでしたので」
ランジュ「栞子も大したものだわ」
ランジュ「・・・・・・まぁいいわ。栞子に任せるけど失礼のないようにね」
栞子「ふふっ、既に恨まれているかもしれませんね」
「蛇口の移設作業完了です」
ランジュ「あら!?もう終わったの??ホント天才的なのね、あなた」
「いえ、これくらい簡単です」
栞子「お疲れ様でした。今回の作業の請求書、送ってくださいね」
「承知しました。ありがとうございます」
「それでは」
ランジュ「気をつけてね」
バタンッ
────
──
~かすみの店~
ガラガラッ
きな子「どうもっす!鬼塚商店っす!」
ルビィ「あっ!きな子さんだぁ」
きな子「黒澤さんおはようございますっす」
きな子「野菜と豚肉の箱を運ぶっす、扉開けっぱなしにさせてもらうっす」
ルビィ「うんっ!」
きな子「うんしょっ・・・うんしょっ・・・」
ドサッ
きな子「ふうっ、りんちゃんラーメンさんは納品数が多いから大変っす」フゥッ
かすみ「きな子おつかれ~」
きな子「あ、店主おはようございますっす!」ペコッ
かすみ「そういえば~、きな子はちぃ子のお友達の店にも配達行くんだよね??」
きな子「はいっす!取引先っす」
かすみ「どお?ちぃ子は元気してる??」
きな子「はいっす!毎日お元気そうっす!」
かすみ「たまにはかすみんのラーメン食べに来るよう言っといてよぉ~?」
きな子「あはは、伝えておくっす」
きな子「あ、黒澤さん伝票にサインお願いしますっす」ピラッ
ルビィ「うゆっ?はいっ!!」カキカキ
きな子「ありがとうございますっす」ペコッ
きな子「そういえば、りんちゃんラーメンお台場店さんは例のワールドラーメンフェスティバルに参加しないんすか?」
かすみ「あ~、かすみんそういうのはどうでもいいんだよねぇ」
きな子「そうなんすか」
かすみ「かすみんだけじゃなくて~、総帥はもちろん、りんちゃん各店のみんなも興味ないとおもうよ」
きな子「りんちゃんラーメンさんはお忙しいっすもんね」アハハ
きな子「まだ正式に決まってないっすが、鬼塚商店もフェスティバルに食材提供という形で協賛するかもしれないっす」
かすみ「ふ~ん、すごいねぇ」ホジホジ
きな子「大きなビジネスチャンスなんで頑張るっす!!」フンスッ
かすみ「かすみんも行けたら客としていってみるよ」ホジホジ
ルビィ「ルビィもそのフェスティバル知ってるよ!もちろん行く!!」ニコッ
かすみ「へっ?黒澤さんフェスティバルのこと知ってるんですかぁ??」
ルビィ「うんっ!!ウチのおねぇちゃ・・・・・・あ、言っちゃダメだったんだ!」テヘヘ
きな子「色々入ってくる情報によると、特別審査員に今人気急上昇中の女優さんが参加するかもしれないっす」
かすみ「女優ねぇ~」ケッ
きな子「きな子はあまり詳しくないっすが、名前なんだったか忘れたっすが・・・・・・えーと、お・・・大阪じゃなくて、京都じゃなくて・・・・・・」
ルビィ「うわぁ!芸能人さんもくるんだぁ~、すごいフェスティバルになりそうだね!」ニコッ
きな子「そうっすね。きな子も楽しみっす」
きな子「・・・・・・あっ!のんびりしてられないっす!次の配達行くんで失礼するっす!」ペコッ
かすみ「うん、気をつけてね~」
ルビィ「お疲れ様でしたぁ」
バタンッ
キョカカッ
ブオオオオオオオオオオ・・・・・・
今人気急上昇中の女優
一体何桜坂さんなんだ・・・? 隠れた名店で勝負に興味のなかった澁谷さんを勝負せざるを得なくするなんて
いったい何が起きるんだろう… 静岡から全国展開してるラーメン屋さんは黒澤Dさんかな
となるとルビィちゃんはスパイ?? ────
──
~近江弁当店・閉店後~
ジャーーーーーーー・・・
キユッ
彼方「ふうっ、侑ちゃんお疲れさま~」
侑「彼方さん、遥ちゃんが配達で持ってきた食材だけ冷蔵庫に入れておきますね」ゴソッ
彼方「うん、ありがとう。それ終わったら上がっていいからね~」
侑「はーい」
侑「よいしょっ!」
バタンッ
侑「ふうっ、これでオッケーかな」
彼方「侑ちゃ~ん、今日は揚げ物が余っちゃったから持って帰って食べてね。包んでおいたから」
侑「あ、はい!いいんですか??」
彼方「うん、どうせ棄てるだけだから食べて貰った方いいし~」
侑「うわぁ!嬉しいです!ありがとうございます!」ニコッ
侑「それにしても、常連のきな子ちゃんが勤める鬼塚商店さんに遥ちゃんも入社したから、食材を鬼塚商店さんから注文するようになったじゃないですか?」
彼方「うん、そうだね」
侑「なんていうか、鬼塚商店さんから仕入れる食材は何かと質が良いものが多いですよね」
彼方「うんうん、彼方ちゃんも調理しながらそれを感じているよ~」
ガラガラッ
遥「こんばんは~」ニコッ
彼方「あ、遥ちゃん待ってたよぉ~」
遥「お姉ちゃんどうしたの??」
彼方「今日さ~、揚げ物を無駄に揚げちゃって余ったんだぁ」
遥「へ~、そうなんだ」
彼方「だから侑ちゃんと遥ちゃんの2人に分けたから持って帰って食べて欲しいんだよね~」
遥「えっ?いいの?じゃあ頂いちゃおっかな!余っても明日の弁当にできるし!」ニコッ
彼方「うんうん!上手く活用してね~」
遥「・・・・・・ん??」チラッ
彼方「遥ちゃん、どうかした??」
遥「冷蔵庫に貼ってあるチラシ・・・・・・ワールドラーメンフェスティバルのだね」
彼方「うん、ウチの弁当屋には関係ないけどねぇ」
遥「ラーメン店の出店募集と同時に色々な協賛も募集してるみたいでさ、ウチも食材提供の協賛で応募してるんだよ」
彼方「そうなんだ~!大きなイベントになるみたいだから、参加出来たら凄いね~」
侑「鬼塚商店さんから仕入れる食材はどれも質が良いからね~、もし食材提供すれば出店するラーメン店に鬼塚商店さんのアピールにもなるし、何よりフェスの質も上がるんじゃないかと思うよね」
遥「ですよね!こういうチャンスは積極的に食らいついて行こうねってきな子さんとも話していたんです!」ニコッ
侑「うんうん!前向きな姿勢はいい事だよ!きっと上手く行くんだろうなぁ、フェス」
彼方「協賛企業の欄にもデカデカと名前が載るからねぇ、インパクトあるよねぇ~」
侑「さてと、彼方さんに遥ちゃん。私はお先するね」
彼方「うん!侑ちゃんお疲れさま~」
侑「帰ってから色々あってさ」アハハ
彼方「侑ちゃんはホント昔から忙しい子だよねぇ」
侑「仕事には支障ないようにしますので」
彼方「うん、気をつけてね」ニコッ
遥「侑さんお疲れ様でした!」
侑「お疲れ様~」
バタンッ
────
──
~璃奈の工場~
バチバチバチバチ・・・・・・
ギギギッ・・・
璃奈「ふうっ、できた」フキフキ
璃奈「あとは表面を磨いてキレイにすれば完成」
璃奈「四季ちゃん、そこにあるバフ取ってほしい」
四季「はい、師匠」ガタッ
四季「どうぞ」スッ
璃奈「ありがとう」
四季「師匠、鐘嵐菜館の厨房設備の方は店主の細かい要望にも全て応えて完璧に仕上げておきました」
璃奈「うん。四季ちゃんにまかせて良かったよ」
四季「お褒め頂きありがとうございます」
四季「それと師匠」
璃奈「ん?どうかしたの?」
四季「例のイベントから依頼来てる移動用の厨房設備一式をオーダーメイドして提供する件は受けるのですか?」
璃奈「技術的には問題ないよ」
璃奈「でも、受注してる仕事で手一杯だからフェスティバルの運営と打ち合わせする時間が取れるかわからないよ」
四季「私も・・・そういうのはあまり得意ではない」
璃奈「手を挙げてでもやりたい職人さんはたくさんいるだろうし、ウチは辞退した方がよさそうだね」
四季「はい」
璃奈「さて、彼方さんから受注してるピザ用のオーブン仕上げるよ」
四季「師匠、磨きなら私がやる」ガサッ
璃奈「うん、お願い」
ウィィィィィンン・・・
────
──
~翌日・近江弁当店~
ガガガガガ・・・
ウィィィン
璃奈「璃奈ちゃん特製・ピザオーブン設置完了」
彼方「うわぁ、璃奈ちゃんありがと~」
璃奈「四季ちゃん、電源入れてみて」
四季「はい、師匠」ポチッ
ブオオオオオ・・・
四季「これが操作マニュアルです」スッ
彼方「読んでみるよ~、ありがとね」
璃奈「使い方はいたって簡単」
璃奈「この蓋を開けてピザを入れるだけだよ」パカッ
彼方「おお~!!」
璃奈「このオーブンは自動でピザの焼き上がりを感知して、程良い焼き上がりになればブザーで知らせてくれるようになってる」
彼方「それは便利だねぇ~」
璃奈「同時に4枚まで焼けるから注文が重なった時も安心」
彼方「うわぁ~、これでウチのメニューにピザを追加することができるよぉ~」
侑「どれどれ?ピザ用のオーブン出来上がったの?」
彼方「うん!全自動で凄く便利なんだよぉ~」
侑「凄い!!これでメニューにピザも追加できますね」
璃奈「侑さん」
侑「ん?」
璃奈「例の件なんだけど・・・・・・」
ガラガラッ
きな子「おはようございますっす!」
彼方「・・・・・・んん??あれぇ?今日はきな子ちゃんが配達??」
きな子「はいっす、今日は遥さんに別件の配達に回って貰ってるっす」
侑「そうなんだ、お疲れさま」ニコッ
きな子「おや?天王寺さんと四季ちゃんっす!」
璃奈「こないだはどうも」
四季「久しぶり」
きな子「フォークリフトの修理の時はありがとうございましたっす」ペコッ
璃奈「いえいえ」
きな子「そういえば、天王寺さんもフェスティバルに設備提供で協賛するって話聞いたっす」
きな子「実は、鬼塚商店は正式に協賛させてもらうことになったっす!」
彼方「おお~、おめでとう~」
きな子「天王寺さんも決定通知来たっすか?一緒にフェスティバルを盛り上げるっす!」
璃奈「協賛して欲しいと誘われてはいるんだけど、断ろうと思ってる」
璃奈「実はその事も伝えなきゃと思って・・・・・・」
きな子「ええ~っ!そうなんすか!!寂しいっす」シュン
璃奈「注文貰ってる仕事がたくさんあるから、フェスティバルに協賛した場合に打ち合わせとか参加する時間が惜しいんだよね」
侑「そうなんだ・・・・・・第一回開催だから打ち合わせの回数は多くなるとは思うけど・・・・・・」ウーン
きな子「それならきな子が打ち合わせして来た内容を天王寺さんと四季ちゃんにお伝えするっす」
璃奈「そんな手間かけさせるのは気の毒だよ」
きな子「大丈夫っす!きな子はフェスティバルを成功させたいっす!成功の為には天王寺さんの技術が必要っす!!」
璃奈「う~ん・・・・・・そう言われると弱い・・・・・・」
四季「でも、フェスティバル運営が求めているスペックの設備を作るならば、運営と直接話し合うことが必要」
きな子「そうっすか・・・・・・きな子が間に入っても無駄になるっすね」シュン
彼方「とりあえず、結論急がなくてもいいんじゃない?」
璃奈「・・・・・・そうだね、もう2~3日考えてみる」
きな子「いいお返事を期待してるっす!」
────
──
~某所~
ブウウウウン・・・
バタンッ
きな子(ここがフェスティバル運営の事務所っすね・・・・・・)
コンコンッ
ガチャッ
きな子「ごめんくださいっす、この度協賛させて頂くことになった鬼塚商店の桜小路っす」ペコッ
副委員長「お待ちしておりました。わざわざ足を運んで頂きありがとうございます」
きな子「いえいえ」
副委員長「どうぞ、応接室にお入りください」
きな子「失礼するっす」
ガチャッ
副委員長「申し遅れました、わたくしフェスの運営委員会の副委員長をしている者です」ペコッ
きな子「鬼塚商店の桜小路きな子っす」ペコッ
副委員長「桜小路さん、まずはお掛けになってください」
きな子「はいっす」サッ
副委員長「すみません、委員長は普段この事務所に常駐していないものですから、本来ならば委員長も一緒にご挨拶させて頂くべきなのですが」
きな子「いえいえ、恐縮っす」
副委員長「それから、私が運営に関する窓口になりますので宜しくお願い致します」
きな子「そうっすか。宜しくお願い致しますっす」
副委員長「この度は本当に協賛ありがとうございます」
きな子「いえいえ、ウチとしても大きなチャンスっすからありがたいっす」
副委員長「世界一のラーメンフェスティバルを目指すべく企画を立ち上げたもので、各方面の優秀な企業様にご協力頂かないと開催することすら出来ないもので」
きな子「そんな、優秀だなんて身に余るお言葉っす」
副委員長「いえいえ、非常に良質な食材を多数扱ってらしてると委員長からお聞きしております」
副委員長「ですので、参加店舗にそれぞれ食材を持ち込んで頂くのではなく、ある程度のものは運営で事前に準備し、フットワークを軽くして、参加店舗の負担を少なくできるようにと考えております」
きな子「ご要望の良質な食材をしっかり納品させて貰うっす!」
副委員長「よろしくお願い致します」
副委員長「開催までに何度かミーティングの場を設定する予定です。これが予定表なのですが、もしご都合が悪ければ教えてください」ピラッ
きな子「ありがとうございますっす」
きな子「なるべく合わせられるよう努力するっす」
きな子「そういえば、参加店舗は決まっているんすか?」
副委員長「世界一のイベントを目指すので、お陰様で全国からたくさんの応募を頂いてます」
きな子「全国からっすか!」
副委員長「参加枠は20店で考えていますので、絞り込む為の審査がなかなか大変でして・・・・・・」
きな子「鐘嵐菜館さんはすぐ決まったみたいっすね」
副委員長「はい。鐘嵐菜館さんはこちらで設けた、たくさんの参加条件に完璧に合致したのですぐ決まりました」
きな子「さすがランジュさんっす」
副委員長「その他には、17店舗がほぼ決定というところまで来ています」
きな子「順調っすね」
副委員長「いえ順調とも言い切れないです」
副委員長「残り3店がなかなか決められなくて、・・・・・・正直なところ、参加応募がもっと欲しいところなんです」
きな子「世界一のイベントとなれば、それに相応しいお店を選ばなければいけないっす。心中お察しするっす」
副委員長「最悪、参加条件を緩和することも視野に入れているのですが、悩ましいところです」ハァッ
きな子「ちなみに、ほぼ決定という17店舗はどんなお店っすか?」
副委員長「まだ公表してないので内緒にしていてくださいね?」
きな子「はいっす」
副委員長「これがそのリストです」ピラッ
きな子「ほうほう・・・・・・」ジーッ
きな子「・・・・・・・・・・・・聞いたことがある有名店が多いっす」
副委員長「参加店舗が有名かつ実力店じゃないと集客にも影響しますからね」
きな子「・・・・・・あ、静岡に本店があるチェーン店もあるっすね」
副委員長「はい、社長が直々に参加されるそうです」
きな子「気合い入ってるっすね」
副委員長「桜小路さんも、もし参加に相応しいお店があれば、応募してくれるよう頼んでくれませんか?」
きな子「承知したっす!成功の為なら協力するっす!」
副委員長「ありがとうございます」
きな子「では、今日はまだ仕事あるっす。失礼するっす」
副委員長「お忙しいところありがとうございました」
きな子「委員長にもよろしくお伝えくださいっす」
副委員長「はい」
────
──
~かのんの店・閉店間際~
千砂都「ありがとうございました~」
ガラッ
きな子「こんばんわっす」
千砂都「あ、きな子ちゃん!いらっしゃい!」
きな子「閉店間際の時間帯にすみませんっす。今日は客として来てみたっす」
千砂都「ありがとね!・・・・・・かのんちゃ~ん!きな子ちゃん来てくれたよ~!!」
かのん「────ほんと??ありがとね~」
千砂都「とりあえず食券お願いね」
きな子「はいっす」
きな子「え~と・・・・・・あ、きな子がおすすめした白醤油を使った塩ラーメン、レギュラーメニューになったんすね」
千砂都「うん!おかげさまで結構売れてるよ~」ニコッ
きな子「じゃあ、それを頂くっす・・・・・・」ポチッ
千砂都「はい、食券預かるね」
きな子「お願いしますっす」スッ
千砂都「かのんちゃ~ん!塩ラーメンね~」
かのん「────はーい!」
きな子「千砂都先輩」
千砂都「ん?何かいいことでもあった?」
きな子「鬼塚商店が例のフェスティバルに食材提供で協賛させて貰うことになったっす」
千砂都「おおっ!おめでとう!!良かったね!」
きな子「参加店舗も徐々に決まってきているみたいっす」
千砂都「そうなんだ~、かのんちゃんも出ればいいのにね」
きな子「そうっす。かのん先輩ならばグランプリも狙えると、きな子は思ってるっす」
千砂都「でも、こないだその話になった時あったじゃん?」
きな子「はいっす」
千砂都「かのんちゃん本人があの様子だったでしょ?厳しいんじゃないかなぁ」ハハハ
きな子「かのん先輩は相変わらず出る気ないままっすか?」
千砂都「だと思うよ?今のところそういう話は一切してないから」
かのん「きな子ちゃん、お待たせ~」ドンッ
きな子「あ、ありがとうございますっす」
かのん「きな子ちゃんのおかげでできたメニューだからね~、感謝してるよ」ニコッ
きな子「いえいえ!きな子は当たり前のことをしただけっす!」アタフタ
きな子「では、いただくっす・・・・・・まずはスープから・・・・・・」
きな子「んっ・・・・・・」ズズッ
きな子「!?」ビクッ
きな子「・・・・・・・・・・・・めちゃくちゃうまいっす」
かのん「ほんと!?それなら良かった~」ニコッ
きな子「なんなんっすかコレ・・・・・・白醤油使ったからという単純な理屈じゃないっすよね?」
かのん「うん!きな子ちゃんから仕入れてる白醤油はあくまでも隠し味だよ。でも、それが重要ではあるね」
きな子「ホントにウチが納めてる食材だけで作ってるっすか?」
かのん「もちろん!最大限に旨味を引き出す工夫はしてる」
千砂都「ウチは鬼塚商店からしか取ってないからね」
きな子「かのん先輩!やっぱりフェスティバルに出るべきっす!!かのん先輩のラーメンをもっとたくさんの人に食べて貰いたいっす!!」
かのん「あはは・・・・・・」
きな子「応募してくださいっす!!」
千砂都「私も出てみた方がいいと思うよ、かのんちゃん」
かのん「・・・・・・・・・・・・」
きな子「かのん先輩・・・・・・」
かのん「最初は鐘嵐菜館さんに無理矢理出店を促されたから、絶対に出たくないと思ってたんだけど・・・・・・」
かのん「・・・・・・みんなにも出店すすめられるし、何より、高校の頃に必死になって頑張ったラブライブみたいな楽しさもあるのかなって思ったんだ」
きな子「かのん先輩、じゃあ・・・・・・」
かのん「私も・・・・・・出てみよっかな~」アハハ
きな子「ホントっすか!!よかったっす!!」
千砂都「よーし!かのんちゃんがその気になってくれたなら私も頑張らないと!」
きな子「早速応募っす!!ネットから申し込みできるっす!!」バンッ
かのん「わかったわかった」アハハ
かのん「店閉めて片付け終わったら申し込むよ」
きな子「きな子も燃えて来たっす!!フェスティバル成功のために全力で協力するっす!!」メラメラ
かのん「きな子ちゃん・・・それより麺伸びるから早く食べてね」アハハ
きな子「はっ!?申し訳ないっす!!」
きな子「はむっ・・・ズゾゾゾゾッ・・・・・・」モグモグ
────
──
~運営委員会・事務所~
バタンッ
委員長「お疲れ様で~す!」
副委員長「あ、委員長お疲れ様です」
委員長「副委員長、こんな遅い時間まで申し訳ないね」
副委員長「いえいえ、これから大きなイベントをやるわけですから時間を惜しんでいられませんよ」
副委員長「そういえば委員長」
委員長「ん?」
副委員長「ついさっき、ネットで出店応募が1件入りました」
副委員長「しかも、今話題のあのお店です。データ、ご覧になりますか?」
委員長「ほんと!?どれどれ??」
委員長「・・・・・・・・・・・・」ジーッ
委員長「よし、大本命がやっと応募してくれたか・・・・・・」ニヤリ
副委員長「このお店は決まりでよろしいですか?」
委員長「もちろん」
副委員長「本来であれば参加条件にどれくらい適合しているか審査しないといけないのですけどね」
委員長「あはは・・・・・・まぁ、委員長特別推薦ということで許してよ!」ニコッ
副委員長「そんなことだろうと思ってましたよ」ヤレヤレ
委員長「フェスもようやく形が見えてきたね」
副委員長「そうですね」
委員長「これで18店。あと2店・・・・・・か」ウーン
副委員長「既に応募頂いているお店の中から選ぶか、新しい応募を待つか・・・・・・」
委員長「仕方ない、私も自ら勧誘に動こうかな・・・・・・」ウーン
副委員長「そろそろ参加店舗を20店決めて、その先に進まないといけません」
委員長「ちょっと考えてみるよ」
副委員長「お願い致します」
委員長「あ、それと特別審査員に招待する予定の女優さん、オッケー貰っておいたから」
副委員長「ありがとうございます」
委員長「・・・・・・あっ、そうだ!」
副委員長「どうしました??」
委員長「いいこと思いついちゃった!!」
副委員長「いいこと??」
委員長「これであと2枠のうちの一つは埋められるかも」
副委員長「委員長がそうおっしゃるなら間違いなさそうですね」
委員長「肝心な第一回のフェスティバルだから、知名度が高いところは多いに越したことはないからね」
副委員長「そうなると、あと1枠ですね」
委員長「うん。最後は想像もつかないジョーカーが欲しいところだね・・・・・・」
副委員長「ジョーカーですか・・・・・・」
委員長「ま、そんなに思い通りに行かないだろうから、最悪見つからないときは副委員長の推薦枠ってことで副委員長が呼びたい店があれば呼んでもいいよ?」
副委員長「そういう訳にはいきませんよ」
委員長「真面目だなぁ・・・・・・さすが虹学の元生徒会副会長だね」アハハ
委員長「あ、そういえば、副委員長も夜ご飯食べてないだろうと思ってお弁当買ってきたよ」
副委員長「あ、すみません!ありがとうございます」
委員長「はい」ゴソッ
副委員長「おいくらですか?」
委員長「いいっていいって!私の奢り!」ニコッ
副委員長「ではお言葉に甘えましょう」
委員長「お茶入れるから温かいうちに一緒に食べよ?」
副委員長「はい」
委員長がこの人なら不正の無いまともなフェスになりそうで安心した 副会長さんは社会に出ても副に徹するとかさすが優秀な人材だ ────
──
~翌日・かすみの店~
ルビィ「へいっ!おまち~!」ドンッ
ルビィ「うしろに並んでるみなさんっ!食券見せてくださいっ!」
ルビィ「・・・・・・え~っと・・・はい!ありがとうございますっ!」
ルビィ「て、店主、大2小4ですっ」
かすみ「りょうかい」
かすみ「ふうっ、今日もなかなか混みますねぇ・・・・・・大2小4・・・・・・えーっと」ガサゴソ
かすみ「・・・・・・はえ!?麺が間に合わなくなるかも!?」
かすみ「ちょっとメイ子~!外待ち何人いる~??」
メイ「ざっと30人ってとこかな」
かすみ「うーん、じゃあ最後尾の人で最後にして貰ってきて~」
メイ「了解」
バタンッ
かすみ「黒澤さん、今日も昼営業で終わりにしないとですねぇ」ヤレヤレ
ルビィ「う、うん」
かすみ「それにしても、メイ子みたいなタイプの子が助手に1人いると便利ですねぇ」
ルビィ「うん、ルビィはお客さんに今日はもう終わりだよって言いづらいもん」
バタンッ
メイ「最後尾の人に死刑宣告頼んで来たぞ」
ルビィ「あ、ありがとう!米女さん・・・・・・」オドオド
メイ「メイでいいっすよ黒澤さん。わたしの方が年下だし」
ルビィ「ぴきゃっ!う、うん・・・・・・」
かすみ「ちょっとメイ子~!手空いてるなら野菜茹でといて~」
メイ「あ、はい」
メイ「・・・・・・そういえば店主」
かすみ「ん?どうかしたぁ?」
メイ「行列の最後に並んでた客なんだけど、わざとらしい帽子被ってサングラス掛けてマスクまでしてんだよ」
メイ「あれって、芸能人とか有名人がお忍びでラーメン食べに来てるってやつなのかな?」
かすみ「ああ~、たまに来るんだよねぇ、そういう芸能人とか」ハァッ
メイ「ふーん、そうなんだ」
かすみ「もし特別扱い求められても断っていいからね」
メイ「あいよ」
────
──
メイ「最後のお客さん、入っていいぞ」
「ありがとうございます」
メイ「死刑宣告なんて面倒なことしてもらって悪かったな」
「いえいえ、新鮮で楽しかったですよ」
メイ「そっか、まぁ入り口入ったところに食券機あるから買って待っててくれよな」
「はい」ニコッ
メイ「お客さん、ウチみたいな店初めてか?」
「いえ、大丈夫です」
メイ「そうか」
メイ「・・・・・・店主~、最後のお客さん入ったぞ」
かすみ「はぁい・・・・・・」
かすみ「・・・・・・・・・・・・んんっ??」チラッ
かすみ「はうっ!?」ビクッ
ルビィ「ど、どうかしたの?」
かすみ「・・・・・・い、いえ、ななななんでもないですよぉ」オドオド
ルビィ「んん??」
かすみ「と、とりあえず・・・最後のロットお客さん達に麺量だけ聞いといてくださいっ!」
ルビィ「う、うんっ」
────
──
ルビィ「最後、麺半分の方ニンニクいれますかぁ?」
「野菜少なめでお願いします」
ルビィ「す、少なめね・・・・・・」サッ
ルビィ「はい、お待ち~」ドンッ
「ありがとうございます」
かすみ「(黒澤さん、今日はもう終わりだし、かすみんは製麺室の掃除してますから、あとお店のことお願いしますねぇ・・・)」ヒソヒソ
ルビィ「へっ?あ、はい」
かすみ「メイ子もあとよろしく~~」ピュー
バタンッ
メイ「なんだぁ?店主の様子おかしくないか?黒澤さん」
ルビィ「そうだねぇ、なんだかよそよそしい感じがするね」ウーン
「・・・・・・あの~、店主さんはどこに行かれたのでしょうか?」
ルビィ「ぴきゃっ!」ビクッ
ルビィ「て、店主なら製麺室にいきましたぁ!」
メイ「・・・・・・お客さん、ラーメンの方で何かあったんすか?」
「いえ、せっかく最後のお客になれたからお話しでも出来たら良かったのですが・・・・・・」
メイ「なんだ、そんなことか」
ルビィ「(米女さんどうする?店主呼んでくる??)」ヒソヒソ
メイ「(無理難題押し付けてきてるわけじゃないから呼んで来てもいいんじゃないか??)」ヒソヒソ
ルビィ「(じゃあ、呼んでこようか・・・・・・)」ヒソヒソ
メイ「(黒澤さん、気付いたか?・・・・・・あの客、最近テレビによく出てる女優の桜坂しずくだぞ・・・・・・)」ヒソヒソ
ルビィ「ぴぎっ!?ほ、ほんと!?」ビクッ
メイ「(ワタシ、ちょっと店主呼んでくるわ)」ヒソヒソ
ルビィ「う、うん」
────
──
~製麺室~
ガチャッ
メイ「店主~!最後の客が店主に用あるってよ!」
かすみ「はえっ!?」ビクッ
かすみ「・・・・・・ん、ん゛ん゛・・・」ゲフンゲフン
メイ「どうした??」
かすみ「・・・・・・メイ子、かすみんは芸能人なんか興味ないから、食べ終えたら帰ってもらってよ」
メイ「ふ~ん、やっぱあの人が芸能人だってわかってたんだな」
かすみ「ち、ちがっ!」
メイ「なんか、店主と話したいみたいだぞ」
かすみ「・・・・・・か、かすみんは用無いから」アタフタ
メイ「ほんとにいいのか??」
かすみ「・・・・・・か、帰ってもらってください」
メイ「分かったよ」
────
──
メイ「お客さん、店主は忙しくて手が離せないんだよ。用があるならまた今度にしてくれないか?」
しずく「・・・・・・そうですか。それは残念です」
しずく「ごちそうさまでした」コトッ
しずく「店主さんに宜しくお伝えください」
メイ「ああ、伝えとく」
ルビィ「あ、ありがとうございましたぁ!」
しずく「では、失礼します」ペコッ
バタンッ
メイ「食べてる途中はマスクと帽子外してたから多分間違いないと思うけど、桜坂しずくだよなぁ?」
ルビィ「う、うん・・・ルビィ、あんま詳しくないけど、多分そうだと思う」
ルビィ「店主とお友達なのかなぁ」
メイ「ウチの店主もりんちゃんラーメンの中では総帥に次いで有名だし、単純にうまいもん食べたくて来ただけかもしれないよな」
ルビィ「そ、そうだね。ルビィもそんな感じの理由でバイト行くようお姉ちゃんに言われたし」
メイ「黒澤さん、お姉さんいるのか?」
ルビィ「うん!そうだよ」ニコッ
メイ「黒澤・・・・・・って、まさか」
ルビィ「ぴぎゃっ!な、なんでもないよ!!」ハワワ
メイ「んなわけないよなぁ!」アハハ
>>48
飲食に身を置いてるが、その店の味を調べるのは何もパクりたい訳じゃないよ
純粋に調味料の種類、割合、食材の火入れ具合、その他諸々知りたいっていう好奇心からだよ
その上で情報を取捨選択するんだよ だあああああ追いついたーーーー!!!!!
めっちゃ面白いです!続き楽しみ! 最後のひと枠の想像もつかないジョーカーが気になる… ────
──
ルビィ「お疲れさまでしたぁ」
メイ「お先~!」
かすみ「お疲れ~、2人とも、気をつけて帰ってくださいねぇ~」
バタンッ
かすみ(ふうっ、かすみんも帰ろうかなぁ・・・)
かすみ(今日は早仕舞いしたし、帰って何しましょうかねぇ~・・・・・・)ウーン
ガラガラッ
かすみ「んん?」クルッ
かすみ「・・・・・・メイ子~、忘れものぉ??」
しずく「私だよ、かすみさん」
かすみ「!?」ビクッ
かすみ「し、しず子!?」
しずく「営業終了後とはいえ、勝手に裏口から入ったら迷惑だったかな?」ニコッ
かすみ「・・・・・・べ、べつに」
しずく「さっきはせっかく久々にかすみさんに会いたくて食べに来てみたのに」
かすみ「う、うん・・・・・・ありがとね、しず子」
かすみ「・・・・・・・・・・・・」
しずく「・・・・・・・・・・・・」
かすみ「しず子、私もう帰るんだけど・・・・・・」
しずく「そうなんだ、ごめんなさい」
かすみ「閉めるから出てくれない?」
しずく「最近、お陰様で女優業も忙しくて、休みがなかなかなくてさ」
かすみ「・・・・・・まぁ、人気女優様はお忙しいでしょうし」
しずく「今日も夜からとある番組の収録あるから、もう少ししたら行かないといけないの」
かすみ「ふ~ん。夢叶ったんだし良かったじゃん」
しずく「・・・・・・・・・・・・」
しずく「・・・・・・今度、ワールドラーメンフェスティバルってイベントあるでしょ?」
かすみ「みたいだね、かすみんは興味ないけど」
しずく「私、特別審査員として参加することになったんだ」
かすみ「ふ、ふーん・・・・・・」
しずく「かすみさんはイベントに出店しないの?」
かすみ「しませんねぇ、りんちゃんラーメンは自店舗で営業してラーメンを提供することが最優先ですからね」
かすみ「仮に出るとしても、ウチじゃなくて本店の総帥が出るべきなんだろうけど、総帥もそういうの一切興味ない人だし」
しずく「そうなんだ。かすみさんと同じイベントで仕事できるのかなって思ったんだけどな・・・・・・」
かすみ「しず子、もしかして、わざわざ私をイベントに出店させたくて誘いに来たの?」
しずく「それもあるかな・・・・・・」
かすみ「・・・・・・それも??」
しずく「あとは、単純にかすみさんに会いたかっただけ」
かすみ「・・・・・・・・・・・・」
かすみ「食べに来てくれればいつでも会えるよ。仕事中はお話しとかできないけど」
しずく「それもそうだね」
かすみ「とにかくっ!しず子はこんなラーメン屋なんかに来てる暇があるなら女優の仕事頑張りなさい!!」
しずく「頑張ってるよ!だからこんなにたくさん仕事貰えるようになったわけだし!!」
かすみ「大女優になるんでしょ!!だったらこんなラーメン屋なんかとつるんでちゃダメ!!」
しずく「・・・っ」
しずく「なんで!?誰と仲良くしようと私の勝手でしょ!?」
かすみ「私は、しず子にもっと大物になって欲しいの!だから自分の周りの人間も選ばないとダメ!!わかった??」
しずく「そんなのわからないよ!!」
しずく「・・・・・・昔からの大切な友達と疎遠になってまで叶えたい夢なんてないよ」グズッ
かすみ「しず子・・・・・・」
しずく「・・・・・・私、今撮ってる映画の仕事と、フェスティバルの仕事が終わったらこの仕事辞めようと思ってるんだ」
かすみ「!?」
かすみ「えっ!?なんで!!ダメだよそんなの!!」
しずく「もう十分過ぎるくらい夢叶ったから・・・・・・」
しずく「・・・・・・ごめん、もう帰るところだったんだよね。私行くね」
しずく「お邪魔しました」
バタンッ
かすみ「しず子・・・・・・」
────
──
~かすみの家~
Prrr・・・♪
かすみ(ん?電話?誰だろ??)
かすみ「もしもし~、かすみんですよぉ?」
璃奈『かすみちゃん久しぶり』
かすみ「りな子~!久しぶりだねぇ~!電話して来てどうしたの~??」
璃奈『今日、かすみちゃんのお店にしずくちゃん来たでしょ?』
かすみ「えっ?・・・・・・あ、うん」
璃奈『私の工場にも来たんだ』
かすみ「そうなんだ」
璃奈『かすみちゃんも知ってると思うけど、今度大きなフェスティバルあるでしょ?』
かすみ「う、うん・・・・・・」
璃奈『そのイベントの運営委員会から会場で使う設備一式を作らないか?って声掛かってたんだけど、私としては断るつもりだったんだ』
かすみ「ふ~ん・・・・・・」
璃奈『でも、しずくちゃんが特別審査員として参加するっていう話で、どうせなら一緒に働きたいってしずくちゃんが言うから引き受けることにしたの』
かすみ「そうなんだ・・・・・・りな子なら凄い設備作りそうだもんね」
璃奈『しずくちゃん、かすみちゃんにもフェスティバルに出て欲しいみたいだよ』
かすみ「・・・・・・・・・・・・うん、しず子からそう言われた」
璃奈『それと、今やってる仕事と、フェスティバルの仕事終えたら女優業も辞めるんだって』
かすみ「うん・・・・・・しず子、言ってた」
璃奈『しずくちゃん、女優目指すにあたって、かすみちゃんからたくさん応援して貰って感謝してるって前から言ってるんだよ』
かすみ「・・・・・・べ、べつに大したことなんかしてないし」
璃奈『かすみちゃんありきで叶えた夢だから、その最後くらいは昔からの友達と一緒に何かしたいんだと思う』
かすみ「・・・・・・・・・・・・」
璃奈『それで丁度良くフェスティバルの話が来たから、チャンスだと思ったんだろうね』
かすみ「う、うん・・・・・・」
璃奈『出店枠、まだ2枠あるみたいだよ。応募しようよ』
かすみ「で、でも・・・・・・」
璃奈『後悔するよ?』
かすみ「・・・・・・・・・・・・」
璃奈『私もこれからフェスティバルに向けて頑張るから。じゃ、またね』
かすみ「・・・・・・うん」プツッ
かすみ「はあっ・・・」
かすみ(面倒なことになりましたねぇ・・・・・・)
かすみ(早仕舞いして時間が余ったことだし、ちょっと行ってきますか・・・・・・)ガタッ
────
──
~りんちゃんラーメン本店・閉店後~
総帥「久しぶりだにゃ~、どうしたにゃ??」
かすみ「閉店後の片付けでお忙しいところすみませんです・・・・・・」ペコッ
総帥「大丈夫だにゃ、何かあったかにゃ??」
かすみ「実は・・・・・・ご相談がありましてですねぇ・・・・・・」モジモジ
総帥「なんだにゃ、言ってみろにゃ」
かすみ「総帥も小耳に挟んでると思いますけど~・・・・・・今度、ワールドラーメンフェスティバルって開催されるじゃないですかぁ?」
総帥「知ってるにゃ、でも凛は出ないにゃ」
かすみ「あの~・・・・・・その・・・、総帥の理念に反するかもしれないの承知でなんですけど・・・・・・」ソワソワ
総帥「なんだにゃ??」
かすみ「あの~・・・・・・えーと・・・・・・」ソワソワ
総帥「フェスティバルに出たいのかにゃ??」
かすみ「えっ!?・・・・・・あ、はいっ!・・・・・・だ、ダメならいいんですけど~!」
総帥「勝手にするにゃ。りんちゃんラーメンにはイベント参加禁止の決まりは無いにゃ」
かすみ「ええっ!?いいんですかぁ??」
総帥「たまにはそういうイベントに出るのも勉強になるはずだにゃ」ウンウン
かすみ「総帥~!ありがとうございますですぅ~」ウルウル
総帥「それより、せっかく来たなら後片付け手伝ってくれにゃ」ニヤリ
かすみ「ええっ!?か、かすみんがですかぁ!!」
総帥「いやならいいにゃ~」
かすみ「は、はいっ!やるですっ!かすみん掃除やりまーす!!」ガタッ
────
──
~運営委員会・事務所~
カタカタカタカタ・・・
タンッ
副委員長「ふうっ・・・」
副委員長(もうこんな時間ですか・・・・・・仕事のキリの良いところで今日はやめましょう・・・・・・)
副委員長「・・・・・・おや??」
副委員長(webからの出店応募が一件来てますね・・・・・・)カチッ
副委員長(えっ??りんちゃんラーメンお台場店??・・・・・・りんちゃんラーメングループは参加しないと思っていましたが・・・・・・まさかの・・・・・・)
副委員長(しかも、お台場店って、スクールアイドル同好会の中須かすみさんが店主のお店ですね・・・・・・)
副委員長(これは委員長に急ぎで報告せねば・・・・・・りんちゃんラーメンさんなら、審査条件は余裕で満たされているはずなので決定でしょう・・・・・・)
副委員長(そうなると、あと1枠・・・・・・どこか出て下さるお店はないでしょうかね・・・・・・)ハァッ
凛ちゃんにゃーにゃー言い過ぎて聖剣伝説のニキータみたいになってて草 ────
──
~焼き鳥リリィ~
────ガヤガヤガヤ・・・
きな子「んぐっ・・・んぐっ・・・んぐっ・・・・・・」
きな子「ぷはあっ!」ゲフッ
きな子「マ、マスター・・・・・・も、もう一杯くださいっす・・・・・・ひっく!」
マスター「今日は随分飲むわね~、大丈夫??」
きな子「へ、平気っす・・・・・・ひっく!」
遥「きな子さん、フェスティバルの仕事に加わることが出来たのがかなり嬉しかったみたいで・・・・・・」アハハ
マスター「フェスティバル??」
遥「はい、ワールドラーメンフェスティバルというイベントが今度開催されるんですよ」
マスター「あ~、なんかそんな話、どこかから聞いたような気もするわね・・・・・・」ウーン
遥「そのイベントで、ウチが食材提供で協賛させてもらうことになったんです」
マスター「ふーん、そうなの・・・・・・はい、きな子ちゃん中ジョッキね」ドンッ
きな子「ど、どうもっす・・・・・・」
遥「そのイベントで、ウチが上手いこと存在をアピールできれば、今後のビジネスチャンスにも繋がると思うんですよね」
マスター「それはたしかにあるわね。焼き鳥業界にもそういうイベントないのかしら??」
遥「ど、どうでしょう??」アハハ
マスター「羨ましいわ・・・・・・」ハァッ
マスター「私もそういうイベントに参加してみたいなぁ・・・・・・」
きな子「・・・・・・げふうっ」トローン
遥「きな子さん、飲み過ぎなんでそろそろ帰りましょう。明日も仕事ですし」
きな子「わ、わかったっす・・・・・・」フラフラ
遥「マスター、おあいそお願いします」
マスター「あら、もう帰るの?きな子ちゃん、フラフラなるくらい酔ったならウチに泊まって行けばいいのに・・・・・・はい、伝票」スッ
きな子「ぜ・・・ぜんぜん・・・・・・酔ってないれす・・・・・・」フラフラ
遥「私がちゃんと送って行きますので」アハハ
マスター「うーん、残念だわ」
遥「電子決済でお願いします」スッ
マスター「はーい」ピコーン
遥「きな子さん?帰りますよ?」
きな子「うう・・・・・・」
──ガラガラッ
マスター「あら、いらっしゃ~い」
遥「では、また来ますね」
マスター「うん。遥ちゃんにきな子ちゃん、またね」ニコッ
きな子「どうもっす・・・・・・」ガタッ
マスター「今来たお客さ~ん!こっち空くから座っていいわよ~」
遥「きな子さん、来店されたお客さんにご迷惑なんで早く出ましょう」
きな子「わかったっす・・・・・・」ヨロッ
きな子「・・・・・・お、おや??フェスティバルの副委員長さんれすか??」フラッ
副委員長「ん?・・・・・・鬼塚商店の桜小路さんじゃないですか!?これは奇遇ですね」
きな子「フ、フェスティバル・・・・・・よ、宜しくお願いしますっすぅ・・・・・・ぁぁ・・・」トローン
遥「す、すみません!きな子さん、フェスティバルの仕事貰えたのが嬉しくてかなり酔っ払っちゃったんです!!」
副委員長「そうでしたか、お気をつけてお帰りください」ニコッ
遥「では、失礼します」ペコッ
マスター「あなた、ウチ初めてよね?」
副委員長「はい、たまたま前を通り掛かったら吸い込まれるように入ってしまいました」
マスター「ウチのお店ってそうなのよ、不思議ね」ウフフ
マスター「ところで、ウチの常連の遥ちゃんときな子ちゃんとお知り合い??」
副委員長「ええ、桜小路さんとは今度お仕事でご一緒することになったもので」
マスター「フェスティバルとか言ってたわよね」
副委員長「はい。わたくし、ワールドラーメンフェスティバルの運営副委員長をさせて頂いているんです」
マスター「そうなんだ~。とりあえず何飲む??ビールでいい?」
副委員長「はい、お願いします」
────
──
副委員長「・・・・・・てなわけで、なかなか出店頂くお店の選定に苦戦していまして」ハァッ
マスター「イベントの主催も大変なのね」
副委員長「あと1店なんですけどね・・・・・・、やはりイベントの規模が大きいからなのか、ラーメン店の方々から敬遠されているのかもしれません・・・・・・」
マスター「どうせあと1店なら、あなたの知り合いとか適当に誘って埋めたらいいじゃない」
副委員長「そういうわけには行きませんよ・・・・・・決めたルールは守らないといけません」
副委員長「ウチの委員長は、今マスターがおっしゃったようなことを副委員長特権でしてもいいと冗談混じりに言うんですけどね・・・・・・」
マスター「色々と苦労があるのね」
マスター「あ、そうだ!ちょっと待ってね・・・・・・私の賄い用で作ってる鶏スープがあるから食べてみてくれる??」
副委員長「そうなんですか、ではお言葉に甘えて」
マスター「前に振る舞った子達からは絶賛してもらったわ・・・・・・まぁ、お世辞かもしれないけどね」
副委員長「焼き鳥屋さんだと、鶏の具材が色々余るでしょうからね」
マスター「そうね、もったいないから自分用に上手く利用してるの・・・・・・はい、どうぞ」コトッ
副委員長「どれどれ?・・・・・・これはおいしそうですね!」
副委員長「鶏出汁の醤油味スープにワンタンと鶏のつくねですか・・・・・・頂きます・・・・・・」
副委員長「んっ・・・・・・」
副委員長「!?」
副委員長「こ、これは!?」
マスター「どう?おいしい??」ニコッ
副委員長「凄くおいしいですよ・・・・・・」
マスター「前にラーメン屋の子にも褒められたことあるの」
副委員長「でしょうね・・・・・・このスープに麺を入れて、少し手を加えたらラーメンとして売れますよ」
マスター「みんなそう言ってくれるんだけどね~、私にはラーメン屋までやる余裕はないわね」
副委員長「・・・・・・・・・・・・」ウーン
マスター「??・・・・・・どうかしたの?」
副委員長「フェスティバルに出店してみませんか??」
マスター「ええっ!?焼き鳥屋の私が??」
副委員長「はい、焼き鳥屋がラーメンのフェスティバルに参戦・・・・・・かなり面白いと思います」
マスター「でもねぇ・・・・・・全国から人気のお店が多数参加するようなイベントなんでしょ??私が出ても浮くだけよ~」
副委員長「このスープならいけます。むしろ珍しさから本業ラーメン屋よりも集客できて、入賞圏内に入ることも不可能ではないかと思います」
マスター「う~ん・・・・・・たしかに、イベントには女の子のお客さんがたくさん来そうだから魅力的ではあるのだけれどね・・・・・・」ウーン
マスター「副委員長さん、ジョッキ空よ?何飲む??」
副委員長「あ、すみません・・・・・・じゃあ日本酒で」
マスター「ちょっと待っててね」
副委員長「日程的にそろそろ参加店を決定して次に進めないとまずいんですよね・・・・・・」ハァッ
マスター「はい、日本酒ね。おちょこ持って?」
副委員長「あ、ありがとうございます」
マスター「注ぐわよ・・・・・・」トクトクトク・・・
副委員長「すみません」
マスター「まぁ、クイッといっちゃいなさいよ」ニコッ
副委員長「はい・・・・・・」
副委員長「んっ!」クイッ
副委員長「ふうっ」
副委員長「くぅ~・・・・・・効きますね・・・・・・」
マスター「おいしいでしょ?甘くて飲みやすいから日本酒飲めない人でもすんなり飲めるのが特徴なの」
副委員長「ホントですね。これはついつい深酒してしまいそうな美味しさです」
マスター「でも、なかなか手に入らない人気の酒なのよね」
副委員長「そうなんですか、そんな貴重なお酒を頂きありがとうございます」
マスター「まぁまぁ、そんなに畏まらないでおかわりどうぞ」スッ
副委員長「あ、すみません」
副委員長「ところで、とりあえず応募だけでもしてみませんか?マスターが嫌な時は辞退して頂いても構いませんので」
マスター「え~・・・、そこまで言われちゃうとグラついちゃうなぁ~・・・・・・」
副委員長「文字通りフェスティバルなんですから、楽しみましょうよ」
マスター「まぁね、たくさんの出会いもありそうだし、楽しむためだけに参加してみるのもアリかもね」
副委員長「そうですよ」
副委員長「・・・・・・んっ!」クイッ
マスター「いい飲みっぷりね・・・・・・はい、おちょこ出して?」
副委員長「すみません・・・・・・ついつい美味しくて」スッ
マスター「ねぇ、副委員長さん?・・・・・・私も、出てみようかなぁ~?」ニッコリ
副委員長「・・・・・・ぜ、ぜひ!最後に1枠はマスターのような美味しい鶏スープをお作りになる方に!」
マスター「う~ん・・・・・・でも不安だなぁ・・・・・・会場でラーメン屋の人達に虐められないかしら・・・・・・」
副委員長「これだけ実力店が集まる大イベントの参加店に、そんな大人げない人はいませんよ」
マスター「それならいいけど・・・・・・」ウーン
副委員長「Webから簡単に応募できます。それを私が明日確認して委員長に掛け合いますので」
マスター「でも~・・・・・・」
副委員長「でも?」
マスター「あなたはきな子ちゃん達の知り合いで、しかも大きなイベントの運営委員をしている立場のある方だというのはよく分かるけど、私としては初対面の人に大きな決断を迫られるのは少し怖いのよね」
副委員長「す、すみません!!・・・・・・少し酔って気が大きくなっていたかもしれません・・・・・・」
マスター「大丈夫よ。そういう時はまず親密になれば良いだけの話だから」ニコッ
副委員長「え?」
マスター「まぁまぁ、とりあえず日本酒飲みなさい?」
副委員長「あ、はい・・・・・・んんっ!」ゴクッ
副委員長「むふぅ・・・」ポワーン
────
──
~翌日・鐘嵐菜館~
──グツグツグツ・・・
ランジュ「今日もスープの出汁がよく取れているわ」ニコニコ
栞子「ランジュ、今日もご機嫌ですね」
ランジュ「栞子、当然よ。今日もランジュの最高の拉麺をお客様に提供できるのだから」
栞子「ふふふっ、フェスティバルへの出店が決まってからのランジュはモチベーションが高いですね」
ランジュ「もちろんよ」ニコッ
栞子「そのフェスティバルの件ですが、運営の方より先程メールがありました」
ランジュ「えっ!?何か良い知らせかしら??」
栞子「はい、ついにフェスティバルに出店する20店が出揃ったそうです」
ランジュ「きゃあ!ランジュのライバル達が決まったのね!でも、グランプリはランジュが頂くわ」
栞子「ある程度予想はしておりましたが、錚々たるメンツです。見ますか?」スッ
ランジュ「どれ??」ジーッ
ランジュ「ふ~ん・・・・・・かすみも出てきたのね。強敵だわ」
栞子「はい、りんちゃんラーメングループからは1店も出ないと予想していましたので意外でした」
ランジュ「ランジュが1番のライバルになると予想している澁谷かのん、それに例の静岡に本店がある大手チェーン店からは社長自ら参戦するらしいわね」
栞子「そのようです」
ランジュ「要注意はそんなところかしら」
栞子「はい、とにかく当日はベストを尽くすのみです」
ランジュ「栞子の言う通りね」ニコッ
栞子「ランジュ、私はこれから当日までフェスティバル運営に出向いてミーティングに何度か参加して来ます」
ランジュ「よろしく頼むわ」
栞子「私が居ない間のフロアマネジメントはバイトリーダーの子に任せておきました」
ランジュ「色々と苦労かけて悪いわね」
栞子「これが私の仕事ですから」ニコッ
────
──
~近江弁当店~
侑「彼方さ~ん!」
彼方「ん~?侑ちゃんどうかしたの~??」
侑「フェスの新しいポスター出来たみたい!」
彼方「おお~凄いねぇ」
侑「古いの剥がして貼っておきますね」
彼方「うん、任せるよ~」
侑「出店する20店も決まったし、楽しみだなぁ」
彼方「こんな大きなイベントはなかなかないからね~」
侑「ポスターの下の方に協賛企業もしっかり載ってますよ」
彼方「ほんと??」
侑「遥ちゃんときな子ちゃんの鬼塚商店も載ってるし、璃奈ちゃんのとこも載ってる」
彼方「結局、みんな参加して楽しそうだねぇ~、彼方ちゃんも当日臨休にして行ってみようかなぁ~」
侑「お客さんに投票権があるイベントだから、1票が凄く大事になりますよ」
彼方「虹学の仲間達からはかすみちゃんとランジュちゃんが出るんだよね~」
侑「ですね、凄いことですよ」
彼方「どっちに投票したらいいんだろう~・・・・・・」ウーン
侑「食べてみて、より美味しいと感じた方に入れるしかないですね」アハハ
彼方「うーん・・・・・・彼方ちゃん、悩みそうだよ~・・・・・・」
────
──
~数日後・運営委員会事務所~
バタンッ
きな子「こんにちわっす~!鬼塚商店の桜小路っす!」
きな子「・・・・・・・・・・・・」
きな子(・・・おや?運営委員会の事務所には副委員長さんが常駐しているはずっすが・・・・・・)
きな子(何か用事で出掛けたっすかね・・・・・・)キョロキョロ
きな子「こんにちわっす~!!」
きな子(これは居なそうっす・・・・・・後から出直すしかなさそうっす・・・・・・)
──ガチャッ
きな子(おや?奥の方の部屋のドアが開いたようっす・・・・・・)
マスター「────じゃ、また仕事終えたら店に来てね」
きな子「あれ??焼き鳥リリィのマスターさんっす!こんにちわっす!」
マスター「あら、きな子ちゃんじゃない?どうしたの?」
きな子「マスターさんこそフェスティバルの運営に何か御用っすか??」
マスター「うふふっ!・・・・・・実はね、私もフェスティバルに出ることになったの!!」ニコッ
きな子「ええっ!?ホントっすか??」
マスター「ホントよ~、ウチの賄いの鶏スープあるでしょ?」
きな子「あ~!あれは確かに美味しいっす!ラーメンにしたら最高だと思うっす!!」
マスター「こないだ、副委員長さんにも振る舞ったら絶賛されちゃってね、どうしても出て欲しいっていうから出ることにしたのよ~」ウフッ
きな子「きな子と遥さんの鬼塚商店も協賛するっす!一緒にフェスティバルを盛り上げようっす!!」
マスター「そうね」ニコッ
マスター「じゃ、私は店の準備があるから帰るわね」
きな子「はいっす!お疲れ様っす!!」
きな子(おそらく、副委員長とマスターが奥の部屋でミーティングしていたからきな子が呼んでも聞こえなかったようっすね・・・・・・)
──ガチャッ
きな子(ん?また奥の部屋が開いたっす・・・・・・)
副委員長「桜小路さん、いらしてたのですね、立て込んでいたものですみませんでした・・・・・・」ハァ ハァ・・・
きな子「・・・・・・ん?どうかしたっすか?」
副委員長「いえ・・・なんでもありません・・・・・・フェスの企画書、今からお渡ししますので・・・・・・」
きな子「副委員長さん、スーツが少し乱れてるっす」
副委員長「!?」ビクッ
副委員長「す、すみません!・・・・・・え、え~と・・・その・・・あの・・・・・・ち、力仕事してたもので・・・・・・」アタフタ
きな子「なるほどっす、どおりで顔が赤く火照ってると思ったらそういうことだったっすか」
副委員長「は、はい・・・・・・この事務所には普段私しかいないですから、何でも自分でしないといけないんです」アセアセ
副委員長「とりあえず、こちらの事務室にどうぞ」
きな子「失礼するっす」
副委員長「これが、フェスの企画書です」バサッ
きな子「ありがとうございますっす」
きな子「昨日はどうしても外せない仕事があったもんで、協賛企業説明会に参加できなくて申し訳なかったっす」
副委員長「いえいえ、ご協力頂く皆様には本業もありますし仕方のないことです」
副委員長「とりあえず、昨日皆様に説明したことを桜小路さんにもご説明しますので少しお時間ください」
きな子「きな子は大丈夫っす。よろしくお願いしますっす」
副委員長「それでは・・・・・・」
桜内に抱かれてしまったら最後レズからは抜け出せないんだよな お店に入る前に名前で気づかなかったらもう手遅れなの厳しい 鬼塚商店はこのままどこに向かっていくのか
このままずっと続いてほしい気がする この事務所には普段私しかいないですから、何でも自分でしないといけないんです(意味深) 昨日の夜まで出張に行ってたもんで書く暇ありませんでしたm(_ _)m
今夜から再開できると思います
保守ありがとうございます ────
──
~フェスティバル会場~
ガンッ ガンッ・・・
ガガガガガ・・・・・・
四季「師匠、設置はこんな感じでどうかな?」
璃奈「うん、良いと思う。この要領でブースを全20ヵ所設置すれば大丈夫だよ」
四季「このペースなら、今日中に完了できるはず」
璃奈「私は工場に戻って別の仕事するから、フェスティバルの会場の方は四季ちゃんに任せるね」
四季「了解」
委員長「おーい!!お疲れ様~!参加店舗用の出店ブースの設置は順調かな??」
璃奈「あっ、こんにちは」
委員長「・・・・・・うわぁ~、凄いね!こんな本格的な厨房設備なら参加するお店の方々は全力出し切れるんじゃないかな」ニコニコ
四季「これくらい、私と師匠なら朝飯前」
委員長「さすがだね!」
璃奈「ところで、私は他の仕事があるから会場は四季ちゃんに任せて帰るけどいいよね」
委員長「あ、うん!忙しいのに引き受けてくれてありがとね」
璃奈「どういたしまして」
委員長「・・・・・・あ、やば!私もそろそろ行かないと!!」
璃奈「それなら送って行こうか?」
委員長「えっ!?いいの??めっちゃ助かる~!!」
璃奈「じゃあ、私のハイエースに乗って」
委員長「うん!よろしく~」
璃奈「じゃあ四季ちゃん、何かあれば連絡してね」
四季「はい、わかりました」
璃奈「────どこまで送って行くといい?」
委員長「────え~っとね・・・」
四季「さて、私は今日中にこの仕事を完了させる・・・・・・」
ウィーン
ガッ ガッ ガガガガガ・・・
「作業中、ごめんあそばせ」
四季「・・・・・・!?」クルッ
四季「あ、はい。何か御用でも」
「本番に向けて会場設営の方は順調ですのね」ニコッ
四季「まぁ、これくらい私にとっては簡単な仕事」
「簡易的な厨房設備とお聞きしておりましたので本番の為に視察に来てみたのですが、これほどしっかりとした設備ならばわたくしも存分に本気を出せますわね」
四季「お褒め頂きありがとうございます」
「ま、グランプリを獲得するのはわたくし以外にあり得ませんが」
四季「凄い自信・・・・・・」
「当然ですわ、わたくしが経営するラーメンチェーンは全国一と言っても過言ではありませんのよ?」
四季「そうですか」
「お~っほっほっほ!!・・・・・・それでは、わたくしは本社に帰ります」
四季「お疲れ様でした」
「そういえば、運営委員長はいらっしゃいませんの?」
四季「委員長ならば先程私の師匠と一緒に帰ったようです」
「そうですの、挨拶だけしておきたかったのですが仕方ありませんわね」
四季「はい・・・・・・」
「あ、ところであなた」
四季「はい」
「りんちゃんラーメンお台場店というラーメン店は、ここからどれくらいの時間で辿り着くかお分かりになるかしら?」
四季「ああ、あの店ならばそんなに遠くないはず」
「そうですの、それなら少し寄り道して行こうかしら・・・・・・あ、お仕事の手を止めさせて大変失礼しましたわね」
四季「いえ」
「では、当日を楽しみにしておりますわ」
四季「はい」
────
──
~かすみの店・昼休み~
かすみ「げっへっへ・・・・・・」ニチャア
メイ「おい店主~、腹減ったぞ!賄いは私が作ってもいいか??」
かすみ「んん~??かすみんはグランプリ取るための策を練るために忙しいんですっ!」
メイ「あ~、了解~。黒澤さん、昼飯たべましょう」
ルビィ「う、うんっ!」
メイ「なんかラーメンを毎日食べるのも飽きてきたよなぁ~、たまには汁なしにでもしてみるか・・・・・・黒澤さんもそれでいいですか~?」
ルビィ「ルビィ何でもいいよ!汁なし美味しそうだね!」
メイ「とはいえ、作ってみたことはないから失敗しても怒らないでくれよな」ハハハ
ルビィ「うんっ!ルビィも手伝う!!」
かすみ「────りんちゃんラーメンをフェスティバルの会場でお手軽に食べるには~・・・・・・」ブツブツ
メイ「黒澤さん、麺量適当でもいいだろ?」
ルビィ「ぴぎゃっ!ル、ルビィたくさんはたべられないよぉ」オドオド
メイ「あはは!さすがにそこは考慮してるからビビらないでくれよ~」アハハ
かすみ「────結局何かを減らすにしてもバランスが悪くなるだけですし・・・・・・手間も掛かるから出張調理には不向きですよねぇ・・・・・・」ブツブツ
メイ「黒澤さん出来ましたよ!超適当だけどな!」アハハ
ルビィ「うわぁ、ありがとう!美味しそう~」
メイ「お~い!店主~!!店主の分も出来たぞ!!」
かすみ「・・・・・・・・・・・・」ブツブツ
メイ「なんだよ、出店が決まってからというものの、休憩時間の度にブツブツ1人ごと言ってるし・・・・・・」
ルビィ「いただきま~す!」
ガラガラッ
「休憩時間中に失礼致しますわ」
メイ「ん?どこの業者さんだ??」
「業者ではございませんわ。まぁ、強いて言えば中須店主の敵・・・・・・と言った方が分かりやすいかもしれませんわね」
メイ「敵~??」
ルビィ「はむっ、んむっ・・・・・・」モグモグ
ルビィ「ぴぎっ!・・・・・・お、お姉ちゃん!?」ビクッ
ダイヤ「あらっ!?ルビィ~!!会いたかったですわ~!!」
ルビィ「えへへ~」
メイ「お姉ちゃん??黒澤さんの??」
ダイヤ「ええ、黒澤ルビィの姉、黒澤ダイヤですわ」
メイ「黒澤ダイヤって・・・・・・静岡に本店がある全国チェーンの・・・・・・」
ダイヤ「ご存知頂いているとは恐縮ですわ」オホホ
メイ「その黒澤社長さんがウチに何の用なんだ?」
ダイヤ「まぁ、我が妹の働き振りを見るためと、中須店主がどのような方なのかお会いして確認しておこうかと」
メイ「ふ~ん・・・・・・」
メイ「おーい!店主!!お客さんだぞ!!」
かすみ「・・・・・・・・・」ブツブツ・・・
かすみ「げっへっへ・・・・・・」ニヤニヤ
メイ「おいっ!お客さんだってば!」
かすみ「・・・・・・ふえっ!?」ビクッ
かすみ「だ、誰ですかぁ!?」キョロキョロ
ルビィ「店主、ルビィのお姉ちゃんだよ」ニコッ
かすみ「く、黒澤さんの??」キョトン
ダイヤ「黒澤ダイヤでございます。静岡県は沼津市に本店を構えるラーメン店、網元屋の創業者と申せばお分かり頂けるかしら」ニヤッ
かすみ「し、静岡・・・・・・?網元??わ、わかりませんねぇ」ウーン
メイ「店主・・・あの魚介出汁のラーメンが人気の全国チェーンのラーメン屋だよ・・・・・・」ヒソヒソ
かすみ「はえっ!?」ビクッ
ダイヤ「ダイヤお分かり頂けたようですわね」
ダイヤ「まずは、日頃からルビィがお世話になり大変感謝しております」ペコッ
かすみ「ぐ・・・」
ダイヤ「それと、今度のフェスティバルではお互い出店する立場になるということで、お手合わせ願いますわ」ニヤリ
かすみ「ぐおっ・・・ま、まぁ!勝つのはかすみんなんですけどねぇ!黒澤さんのお姉さんでも・・・・・・よ、容赦はしてあげませんけど~」アタフタ
ダイヤ「うふふっ!さすが、りんちゃんラーメングループの中でも1番腕が良いと言われている中須かすみさんですわね」
かすみ「と、当然ですっ!」エッヘン
ダイヤ「わたくしも、我が社の威信にかけてグランプリを取りに行きます。どうかお手柔らかに・・・・・・」
ルビィ「店主もお姉ちゃんも頑張ってね!」ニコニコ
ダイヤ「では、わたくしは帰ります。当日またお会い致しましょう」ペコッ
かすみ「そうやってすましてられるのも今のうちにですよぉ」ドヤァ
ダイヤ「ふふっ、そう来なくては」ニヤッ
ダイヤ「それでは失礼致します」
バタンッ
メイ「黒澤さんのお姉さん、黒澤さんとは随分と別人だなぁ」
ルビィ「そうかなぁ」
かすみ「ぐぬぬぬ・・・・・・2人とも他人事みたいに呑気にしてるもんですねっ!」プンプン
メイ「そりゃあな」アハハ
かすみ「2人とも当日はかすみんと一緒に戦うんですっ!余裕こいてる場合じゃないですよぉ!!」プンプン
メイ「分かってるって!あはは!」ニコニコ
ルビィ「ルビィね、お姉ちゃんに当日は手伝うように言われてるんだぁ」
メイ「あはは!イベントは大変だから人手はいくらあっても足りないくらいだろうしな!」
かすみ「へっ!?いくら黒澤さんでもそれは困りますよぉ!!」
沼津の魚介ラーメン網元屋でシャイ煮に麺を入れたような1杯10万円の高級ラーメンを想像した 誤字ってますね
サーセン
>>559
ダイヤ「ダイヤお分かり頂けたようですわね」×
ダイヤ「お分かり頂けたようですわね」○ ────
──
~近江弁当店~
バタンッ
侑「彼方さんごめんなさい!遅くなっちゃった!!何とか夕方営業前には帰って来れたけど」アハハ
彼方「あ、侑ちゃんおかえり~」
侑「業スーで買い物してたら思いのほか時間掛かっちゃってさ。はい、これが彼方さんから頼まれた急ぎで必要な食材ね」ゴソッ
彼方「ありがと~!バッチリだよぉ」
侑「さて、お店開ける準備しないと・・・・・・」
彼方「まだ時間あるから慌てなくても大丈夫だからね~」
侑「あ、そういえば、これが例のフェスの運営からのお弁当注文予約ね」ピラッ
彼方「そういえば、遥ちゃんときな子ちゃんも食材提供だけじゃなく、当日の運営もお手伝いするんだってね」
侑「うん。だから運営委員会と当日のアルバイトスタッフの分もあるから大口注文になるんだよね」
彼方「彼方ちゃんも間接的にフェスティバルのお手伝いするようなもんだし、はりきっちゃうぞぉ~」
侑「こっそり協賛企業に名前入れて貰っちゃいます?」
彼方「それはさすがにまずいでしょ~」
侑「あはは!それもそうだね」
彼方「でもさ、運営の人達やアルバイトの人達の昼食も会場に出店するラーメン店のものを食べたらいいんじゃないのかなぁ・・・・・・」
彼方「まぁ、注文予約もらっておいてこんなこというのもアレだけど~」
侑「それも良かれなんだろうけど、当日の混雑状況がどうなるか分からないし、もし出店しているお店の物を食べるとなると、全店分使わないと贔屓になっちゃうし・・・・・・」
彼方「あ~、それもそうだねぇ」
侑「外部からお弁当を注文しておくのが間違いない選択だと思うよ」
彼方「そういうことなら心置きなく頑張っちゃおっかな!」キリッ
侑「あはは!張り切ってるね!」
彼方「何作るか今のうちから考えておくぞぉ~!うおおおお!」
────
──
~かのんの店・営業終了後~
かのん「よっ!」ザッ ザッ ザッ・・・
かのん「よし、こんな感じかな」
千砂都「うんうん、見栄えは悪くないんじゃないかな」
かのん「実際にフェスティバル当日に使うラーメン用の使い捨て容器に盛り付けてみたわけだけど、早速試食してみようか」
千砂都「うん。いただきます」
千砂都「はむっ・・・・・・」ズゾゾッ
かのん「んむんむ・・・・・・」モグモグ
千砂都「・・・・・・あれっ?」
かのん「う~ん・・・・・・」
かのん「いつも通りに塩ラーメンを作ったつもりなんだけど・・・・・・」
千砂都「容器が違うだけのはずなのに、味が随分と狂ってるね・・・・・・」
かのん「やっぱり、単純に容器のサイズに合わせて分量を変えただけじゃダメみたいだね」
千砂都「かのんちゃんの塩ラーメンは繊細な味だから仕方ないよ」
かのん「う~ん・・・・・・これは当日までに色々試してみないとダメかもしれないね」
千砂都「せっかく出店するんだから妥協しない方がいいよ。夜遅くなっても私も付き合うから」ニコッ
かのん「ありがとね、ちぃちゃん」
かのん「さて、分量を微調整して、いつもと同じ味になるよう試してみようか」
千砂都「そうだね」
────
──
~焼き鳥リリィ~
ガラガラッ
副委員長「こんばんは」
グツグツグツ・・・・・・
マスター「・・・・・・あら、今日は休みよ?」ニコッ
副委員長「はい。承知しております」
マスター「大きなイベントに参加させてもらうわけだし、私なりに最善を尽くそうかと思ってたところなの」
副委員長「さすがですね。私も推薦した甲斐があるというものです」
マスター「麺はウチの常連の子達がやってる会社から勧めてもらったものを使うことにしたわ」
副委員長「そうですか。鬼塚商店さんならばフェスの協賛企業としてご協力頂けるので、同じものを用意頂くよう私の方からもお願いしておきますね」
マスター「ありがとね」ニコッ
マスター「・・・・・・そろそろかしら」バシャッ
マスター「えいっ」ザッ ザッ・・・
マスター「このテボざるって便利なようだけど、意外と扱い慣れないと要領良く使えないわね」
副委員長「マスターならすぐ慣れますよ」
マスター「うふっ、どうしてそんなに私のこと褒めるの??」
副委員長「い、いえ!!・・・・・・そ、そういうことでは・・・・・・」
マスター「ふふっ!・・・・・・とりあえず試作してみたから食べてみてくれる?」スッ
副委員長「・・・・・・あ、はい!いいのですか?」
マスター「感想聞きたいのよ」
副委員長「で、では・・・・・・ありがたく頂戴します」
副委員長「まずはスープから・・・・・・」ズッ
副委員長「・・・・・・!?」ビクッ
副委員長「こ、これは!?以前頂いた賄いのスープをさらに改良されたのですか!?」
マスター「まぁね、一応ラーメンに合うように私なりに改良してみたの」
副委員長「凄いですよ!マスター!」
マスター「うふっ!まぁまぁ、麺も食べてみて?」
副委員長「はい」
副委員長「はむっ・・・・・・ずるっ・・・」ズゾゾッ
副委員長「んむっ・・・」モグモグ・・・
副委員長「・・・・・・あっ、麺の茹で加減も素晴らしいです。そしてスープとも相性良いですね」
マスター「それなら良かった」ニコッ
副委員長「これなら、グランプリ候補と噂されている鐘嵐菜館さんや、りんちゃんラーメンお台場店さんとも互角に戦えるのでは!?」
マスター「でも、その人達のお店は有名店でしょ?」
副委員長「そうですね」
マスター「私なんてただの焼き鳥屋だし、会場に来たお客さんが立ち寄ってくれないかもしれないじゃない」
副委員長「しかし、まったくということはないと思います」
マスター「・・・・・・ま、私は参加して楽しめればそれでいいわ」ニコッ
副委員長「その気持ちが1番大事かもしれませんね」
マスター「うふっ!」ニコッ
マスター「それより、運営副委員長さんが参加店舗のひとつにこんなに肩入れしちゃって大丈夫なの??」
副委員長「い、いえ!あくまでも参加店へのフォローです・・・・・・しかも異業種からの参加を推薦したのは私です。問題なくご参加頂く為の責任が私にあります」
マスター「なーんだ、そんな理由??」
副委員長「え?」
マスター「すっかり私の虜になっちゃったのかと思ってたんだけどなぁ?」ニヤリ
副委員長「えっ!?・・・・・・あ、その・・・・・・」
マスター「今日はお店休みでたっぷり時間あるし・・・・・・」ガタッ
副委員長「えっ?マスター??」
マスター「お店のお座敷席ってのも悪くないわね・・・・・・」
副委員長「えっ?」
マスター「ほら、こっち来なさいよ」グイッ
副委員長「きゃっ!・・・ま、まだラーメン食べてる途中です!」
マスター「嘘つき・・・ホントはしたくて来たくせに・・・・・・」ウフッ
副委員長「ま、待ってください・・・・・・」
マスター「ほら?やっぱりね」
副委員長「あっ・・・!んっ・・・・・・」
マスター「あれ~?もう濡れてるけど??」
副委員長「ち、ちがっ・・・・・・」ビクンッ
マスター「何が違うんだかね・・・・・・」
副委員長「あんっ!・・・・・・だ、だめです・・・・・・誰か来てしまいますよ・・・・・・」ハァ ハァ・・・
マスター「誰も来ないわよ」
副委員長「あああっ・・・・・・」
まだラーメン食べてる途中ってことは食べ終わったら食べられていい覚悟で店に来てるんだよね ────
──
~フェスティバル会場・当日朝~
きな子「ご注文頂いていた食材の搬入は全て完了したっす」
副委員長「ありがとうございます」
遥「出店される方々もそれぞれのブースに入って予定通りに準備を進めているようですね」
副委員長「そのようですね」
侑「副委員長とお2人さんおはよう~!」
副委員長「あ、おはようございます」
侑「準備の方は順調かな?」
副委員長「はい、順調です」
きな子「近江弁当店の侑さん、おはようございますっす」
遥「そっか、運営スタッフの昼食に支給されるお弁当はお姉ちゃんが納品するんだもんね」
侑「うん。彼方さんのお弁当は美味しいからね。スタッフのみんなも喜んでくれると思うよ」
きな子「きな子もよく近江弁当店さんでお弁当買うっすが、安くて美味しくて最高っす!」
侑「きな子ちゃん、いつもありがと」ニコッ
副委員長「ところで、開場時間前に開会式を実施する予定ですが、9:30からで良いでしょうか」
遥「構わないと思いますよ。各店に伝達して来ましょうか?」
副委員長「はい、お願いします」
遥「分かりました」
きな子「じゃあきな子は開会式の準備しておくっす」
副委員長「よろしくお願いします」
璃奈「おはよう」
四季「おはようございます」
きな子「おや?天王寺さんに四季ちゃん。おはようございますっす」
侑「璃奈ちゃん四季ちゃん、おはよう~!」
璃奈「侑さん、おはよう」
四季「おはようございます」
副委員長「お二方にも本日は会場に常駐して頂けることになりました」
四季「万が一、設備にトラブルがあった場合、早急に対処します」
きな子「おお~!それは頼もしいっす!」
侑「うんうん、それは安心だよ」
璃奈「まぁ、私と四季ちゃんが作った設備だから壊れることはまずないと思うけど」
侑「使い方を誤ってしまうこともあるだろうからね」
璃奈「そうだね」
侑「あ、そうだ。副委員長??」
副委員長「はい、何でしょう?」
侑「私、開会式終えてから各ブーツに挨拶周りして、それから一度帰るね」
副委員長「承知しました」
侑「運営スタッフ用の弁当届ける為に昼頃また来るけど、閉会式までには戻るようにするから」
副委員長「分かりました」
璃奈「お弁当運び、私でよければ手伝おうか?」
侑「璃奈ちゃんいいの?じゃあお言葉に甘えようかな」
璃奈「おやすい御用」
────
──
~フェスティバル・開会式~
副委員長「・・・・・・・・・・・・え~、以上が本日の流れになります」
副委員長「何かご質問などございますでしょうか?」
ランジュ「質問いいかしら?」
副委員長「はい、どうぞ」
ランジュ「注文が多くなり過ぎて食材が足りなくなるケースもあり得ると思うの。そういう時はどうしたら良いのかしら?」
遥「はい、私がお答えします。もし食材が足りなくなりそうになった場合、なるべく早めに運営テントまでご報告ください。至急手配致します」
ランジュ「わかったわ。ありがとう」
副委員長「他に何かございますか?」
ダイヤ「はい、わたくしも一つよろしくて?」
副委員長「どうぞ」
ダイヤ「お客様が購入されたラーメンを飲食する為のブースですが、もっと広くないと食べる場所に困るお客様も出てくるのではなくて??」
副委員長「そういう可能性もゼロではないですね。その場合はテントとテーブルと椅子の予備があるので追加で設営するようにします」
ダイヤ「承知致しました。わたくしのお店のファンの方が多数ご来場されるでしょうから、食べる場所に困る方が出るのではと心配に思えたのです。ありがとうございます」
副委員長「その他、ございますか?」キョロキョロ
副委員長「・・・・・・ないようですので、最後に委員長より挨拶がございます」
副委員長「委員長、どうぞ」
副委員長もマスターみたいに本命でてないけど名有りキャラの誰かだったりするのかな
侑「はい、この度は無事に第一回ワールドラーメンフェスティバルを開催することができ、参加されるラーメン店の皆さん、そして関係者各位に厚く御礼を申し上げます!」
侑「間もなく10時から開場となりますが、来場されるお客様を第一に考えてください。まずはそれが大切なことです」
侑「参加各店の皆さんはまだ準備もあると思いますので私の挨拶は以上と致します」
侑「よろしくお願い致します」ペコッ
パチパチパチパチ・・・・・・
副委員長「では、開会式は以上です。解散ください」
ゾロゾロゾロゾロ・・・・・・
きな子「って・・・・・・委員長には今日まで一度もお会いしたことがなかったっすが、侑さんが委員長だったっすか!?」
璃奈「私は知ってたよ」
遥「えっ?きな子さん知らなかったの?私はお姉ちゃんから聞いてたけど・・・・・・」
きな子「びっくりっす!!だって侑さんは近江弁当店の方じゃないっすか!」
侑「あはは・・・・・・たしかに普段は彼方さんのところでバイトさせて貰ってるけどね」
副委員長「うちの委員長はいつも事務所にいないんですよ」ハアッ
きな子「たしかに、事前のミーティングに一度もいなかったっす」
侑「あはは!ごめんね。・・・・・・じゃあ、私は各店のブースに挨拶したら一度抜けるね」
副委員長「はい、何かあれば電話致します」
侑「ケータイには出れないと思うから、近江弁当店の固定電話に電話してね」
副委員長「分かりました」
────
──
~鐘嵐菜館のブース~
侑「お疲れ様ランジュちゃん!今日はよろしくね」
ランジュ「あら、侑じゃない。グランプリはランジュの鐘嵐菜館で間違いないからそのつもりで閉会式の準備しておきなさい?」
侑「あはは・・・・・・素晴らしい意気込みだと思うよ」アセアセ
栞子「侑さん、お疲れ様です」
侑「あ、栞子ちゃんもお疲れ様!」
栞子「さすが侑さんですね。このようなフェスティバルを無事に開催させる手腕には脱帽です」
侑「いやいや、褒めすぎだよ~」アハハ
侑「とりあえず、忙しくなると思うけどお互い頑張りましょう」
ランジュ「わかったわ」
栞子「はい」
────
──
~りんちゃんラーメンお台場店のブース~
侑「かすみちゃんお疲れ~」
かすみ「あっ!侑せんぱーい!!侑せんぱいが運営委員長だなんてかすみん聞いてないですぅ!!」ポカポカ
侑「え~??そうなの??」
かすみ「そーですよぉ!!まったく~!!」
侑「隠すつもりないんだけどね」アハハ
かすみ「まぁでも、委員長が侑せんぱいならかすみんに贔屓して貰えそうですね・・・・・・」グフフ
侑「いやいや、不正はダメだからね」アハハ
ルビィ「こういうのは正々堂々やらないとダメだよお?店主」
メイ「あはは!黒澤さんの言う通りだな!」
かすみ「ぐぬぬ・・・まるでかすみんがズルして勝とうとしてるみたいじゃないですかぁ!」プンプン
侑「かすみちゃんはグランプリ候補の1人だと聞いてるよ。頑張ってね」ニコッ
かすみ「ぐっふっふ・・・当然です・・・・・・」ニチャア
侑「じゃ、今日はがんばろうね」
かすみ「は~い!かすみん頑張りま~すぅ!」
────
──
~かのんのブース~
侑「お疲れ様です」
かのん「あ、委員長さん!お疲れ様です!」
侑「澁谷さんはランジュちゃんがかなりライバル視してるって聞いてるよ」
かのん「あはは・・・・・・そのようですね」
千砂都「ぎゃふんと言わせてやるんだもんね?かのんちゃん?」ニコッ
かのん「ち、ちぃちゃん!?」
侑「それくらいやる気あるならグランプリ狙えそうだね」ニコッ
千砂都「もちろんです!かのんちゃんならやれます!」
かのん「ちょ、ちょっと~!ちぃちゃん!!」アタフタ
侑「あはは!いいコンビだね」
かのん「すみません、私はそんな物騒な考えでフェスティバルに臨むつもりはありませんから・・・・・・」アセアセ
侑「ところで、こちらは2人しかいないの?」
千砂都「あ、はい。いつも2人でやってるんで」
侑「もし、人手が足りないような時は運営テントに言って貰えば誰かしら手を貸すはずだから」
千砂都「その際はお願いします」
侑「では、頑張りましょう!」ニコッ
かのん「はい!」
────
──
~網元屋本店のブース~
侑「失礼します。今日はお互い頑張りましょう」
ダイヤ「あら、運営委員長さんですわね」
侑「まさか、全国規模のチェーン店の社長さんが自ら参加してくださるとは思ってませんでした」
ダイヤ「ワールドラーメンフェスティバルの第一回グランプリという称号はわたくし率いる網元屋が相応しいです。そうとなれば、わたくし自ら参加するのは当然でしょう」オホホ
侑「頼もしいお言葉です」ニコッ
侑「スタッフも多数用意して参加頂いて、準備万端ですね」
ダイヤ「そういえば、委員長。わたくしの妹のルビィを見ませんこと?」
侑「ルビィ??・・・・・・なんかどこかで聞いたような・・・・・・」ウーン
ダイヤ「見かけたら教えてくださいまし」
侑「はい、その際は伝えておきます」
侑「では、失礼します」ペコッ
────
──
~焼き鳥リリィのブース~
侑「お疲れ様です!」
マスター「あら、委員長さんじゃない。私に御用?」
侑「副委員長の推薦で異業種からの参加とは驚きました。今日は是非頑張ってくださいね」
マスター「うふっ!もちろん頑張るわ」ニコッ
侑「ところで、お一人で大丈夫ですか?」
マスター「そうね、かなり厳しそうよね。誰か手伝ってくれないかしら?」
侑「分かりました。副委員長から手配させます」
マスター「ありがとう」
マスター「・・・・・・でも、副委員長が私の手伝いしたら調理どころじゃなくなりそうな気がするわ」ハアッ
侑「へ??」
マスター「あなたが手伝ってくれてもいいのよ??お礼は今日の夜たっぷりしてあげるから」ウフッ
侑「私はこのあと会場から一度抜ける予定なんですよ」
マスター「あら、残念ね」
侑「じゃあ、人員の方は至急なんとかしますので」
マスター「よろしく頼むわね」
侑「では、今日一日頑張りましょう」
>>585
副委員長は副会長(虹)かと思ったけど違うのか そういえば歩夢がまだ出てないような気がするがこの世界の歩夢はどうしてるんだろ歩夢と縁が切れた委員長はマスター並に女食いまくってそうだが ルビィは結局かすみんのところでやるのね
ダイヤさんは連れていきたそうだけど ────
──
~運営テント~
副委員長「・・・・・・・・・・・・」ジーッ
副委員長「・・・・・・さて、あと1分程で開場です」
きな子「うう~っ!かなりドキドキするっす!!」
遥「お客さん、どれくらい入るでしょうかね」
副委員長「委員長が集客にかなり力を入れてくれていたので、たくさんのご来場があることを祈りましょう」
副委員長「・・・・・・さて、時間です」
きな子「・・・・・・凄いっす!会場入り口の様子を映したモニターを見てくださいっす!お客さんがたくさん来場されているっす!!」
遥「うわ~!ホントだ!!」
副委員長「ん??委員長からLINEが来てますね・・・・・・なんでしょう?」
きな子「業務連絡か何かっすか?」
副委員長「・・・・・・え~、連絡が2点」
副委員長「ひとつは、特別審査員として招かれている桜坂さんの会場到着が少し遅れるということと・・・・・・」
きな子「女優さんは大変っす」
副委員長「焼き鳥リリィさんのブースがマスター1人しかいないので至急ヘルプを手配するよう指示が来ています」
きな子「マスター、大丈夫っすかね」
遥「私がヘルプ入りましょうか?」
副委員長「本当は私が是非行きたいところなのですが、フェスティバル運営の中枢を担うのが私の役割なので誰かにお願いしなければなりません」
遥「どうしましょう。アルバイトスタッフの中から飲食店経験者を探して頼みましょうか・・・・・・」
副委員長「それも1つの方法ですが、不安ですね・・・・・・」
遥「ここはやはり私が・・・・・・」
きな子「遥さんは、食材の追加手配が必要になった場合に動いて欲しいっす。なので、きな子がマスターのヘルプに入るっす」
遥「分かりました。きな子さん宜しくお願いします」
副委員長「桜小路さん。私からもお願い致します」
きな子「了解っす!きな子、焼き鳥リリィさんのヘルプに向かうっす!」
副委員長「マスターによろしくお伝えください」
きな子「はいっす!」
────
──
~かのんのブース~
ガヤガヤガヤ・・・・・・
かのん「ついに開場したけど、凄いお客さんだね~!」
千砂都「ホントだよ~!まさかここまでとは想像もしてなかったなぁ」アハハ
かのん「とりあえずは、鐘嵐菜館さん、りんちゃんラーメンさん、網元屋さんへ向かう人ばかりだね」
千砂都「ウチにも来てくれるかなぁ・・・・・・」
客「すみません、ひとつください」
千砂都「あ、はい!」ビクッ
かのん「ありがとうございます!!少々お待ちください!!」
────
──
~鐘嵐菜館のブース~
ガヤガヤガヤ・・・・・・
栞子「ランジュ、予想以上の客入りです。注文受けてから麺を茹でるのではなく、フル稼働で茹でて行って問題ないと思います」
ランジュ「分かったわ栞子。この様子だとウチに来てくれるお客さんが1番多いんじゃないかしら?」
栞子「そうですね。ですが、提供するラーメンは通常のラーメンの半分程度の量です。1人のお客様が2~3杯食べ回ることが想定されます」
ランジュ「ライバルのラーメンに負けない為には味を落とさないよう集中して調理しないといけないわけね」
栞子「そうです。量は十分でも質が伴ってないといけません」
ランジュ「・・・・・・はい!出来上がったわ!お客さんに提供してくれる??」
栞子「分かりました」
栞子「スタッフのみなさん、打ち合わせ通り効率よくオペレーションの実行をお願いします!」
スタッフ「はいっ!」
────
──
~焼き鳥リリィのブース~
グツグツグツ・・・・・・
マスター「・・・・・・きな子ちゃん!出来たわよ~!運んでくれる??」
きな子「はいっす!」
きな子「お客様、お待たせしましたっす。ラーメン2杯っす」スッ
客「焼き鳥屋がラーメンのイベントに出るなんて珍しいね」
きな子「はいっす。でも味は間違いないので期待してくださいっす」ニコッ
客「どうもね」
きな子「ありがとうございますっす」ペコッ
マスター「思ったよりお客さん来るわね!休んでる暇ないじゃない!!」
きな子「やはり、焼き鳥屋という異色の出店という物珍しさから来てくれるお客さんが多いみたいっす」
マスター「いいのか悪いのか分からないわね」ウフッ
マスター「私はどんどん作るから、接客の方はきな子ちゃんに任せるわ」
きな子「はいっす!」
きな子(それにしても、きな子がヘルプに入ったのはいいっすが、まだ人手が足りないっす・・・・・・このままではまずいっす・・・・・・)
────
──
~りんちゃんラーメンお台場店のブース~
かすみ「よっ!」ザッ ザッ・・・
かすみ「茹でた麺、置いときますよぉ」ドンッ
メイ「あいよ~!」
ルビィ「丼に麺を入れて・・・タレをレードル一杯分かけて・・・・・・トッピングを乗せてっと・・・・・・出来上がり!!」
ルビィ「お客さま、お待たせしましたぁ」ニコッ
客「実店舗ではメニューにない汁なしが食べられるなんてフェスティバルに来て良かったよ」
メイ「ありがとうございます!会場から帰る時の投票は是非ウチに入れてくれよな!!」ニコッ
客「あはは!分かったよ」
ルビィ「ありがとうございましたぁ」ニコッ
かすみ「ぐっふっふ・・・・・・やはり敢えて汁なしを提供するという作戦は大成功ですねぇ・・・・・・」ニチャア
メイ「店主が大量に麺と野菜さえ茹でれば、仕込んでおいたタレとトッピングだけで簡単にできるもんな!」
かすみ「ウチの店だけ客の回転がめちゃくちゃ早いみたいです」グフフ
ルビィ「あまり待たなくていいから、お姉ちゃんのお店とか、あっちのお店の行列を見て諦めた人も来てくれているみたいだね!」
かすみ「ですねぇ・・・・・・食べてくれる人が多ければ多いほど、投票して貰える確率があがりますからねぇ・・・・・・」ウェヒヒ
メイ「ウチがグランプリ獲れるかもな!」アハハ
近所に遅くまでやってるラーメン屋がなくてよかった… ────
──
~網元屋のブース~
ザワザワザワ・・・
ダイヤ「はい、お客様お待たせ致しました」ニコッ
客「はい、チケットです」スッ
ダイヤ「20店の中から当店を選んで下さり感謝致しますわ」ペコッ
ダイヤ「はい、お次の方。2杯ですわね」スッ
客「どうも」
ダイヤ「ごゆっくりお召し上がりください」ニコッ
ダイヤ(やはり、わたくしが接客をしつつ、監督役としてスタッフに指示を出すやり方で大正解ですわね・・・・・・)
ダイヤ(このフェスティバルの為に、支店のひとつを休業にして、スタッフを総動員した甲斐があったというものです・・・・・・)ニヤリ
ダイヤ(それにしても、ルビィは何をしているのかしら・・・・・・)
ダイヤ(困った子だわ・・・・・・)ウーン
ダイヤ「・・・・・・ん?」
ダイヤ「盛り付けスタッフの方!!慌てていては返って効率が落ちますわ。落ち着いて作業してくださいね」ニコッ
スタッフ「あ、はい!社長、すみません」
ダイヤ「忙しい一日になると思いますが、頑張りましょう」ニコッ
スタッフ「頑張ります!」
ダイヤ「・・・・・・はい、次のお客様お待たせ致しましたわ」スッ
────
──
~運営テント~
副委員長「思いのほか多数のお客様に来場頂いて盛況ですね」
遥「はい、ここまでとは思いませんでした」
副委員長「・・・・・・ん?会場入り口のモニターを見ると、随分と入場にもたついているようですね・・・・・・」
副委員長「近江さん、場内の案内スタッフのうち何名かを入場スタッフの手伝いに回るよう指示して来てくれませんか?」
遥「はい、分かりました」ダッ
しずく「・・・・・・こんにちは。開場時間に間に合わず大変失礼致しました」
副委員長「あ、桜坂さん!この度はありがとうございます!」
しずく「いえ、侑先輩の頼みとあらば断れませんし、副委員長さんにも学生時代にSIFの運営でお世話になっておりますから、恩返ししないといけませんからね」ニコッ
副委員長「あれは私も楽しくてやってましたから」ハハハ
しずく「ところで、私になにかお手伝いできることはありますか?」
副委員長「何をおっしゃるんですか。桜坂さんはゲストなんですからゆっくり休んでいてください」
しずく「かなり来場も多いようですし、協力できることなら何でもしますよ?」
副委員長「有名女優が会場で仕事してたらそれこそパニックが起きますよ。とりあえず運営テントで休んでいてください」ニコッ
しずく「それもそうですね。分かりました」
副委員長「あとで審査用に一口分の量のラーメンを各店分用意しますので、召し上がってくださいね」
しずく「はい!ありがとうございます」
────
──
~焼き鳥リリィのブース~
きな子「はいっ!次のお客様!!お待たせっす!」ドンッ
きな子「次のお客様~!!こちらどうぞっす!!」
マスター「きな子ちゃん!!出来たわ!!早く持って行って~!!」アタフタ
きな子「あ、はいっす!!」ドタバタ
遥「きな子さん、お忙しそうですね。副委員長に会場スタッフへの指示出し頼まれたついでに様子見にきました」
きな子「あ、遥さん!!マスターが作ったラーメンをカウンターまで運んでくださいっす!!」
遥「えっ??あ、はい!!」ビクッ
マスター「────遥ちゃ~ん!!人手足りな過ぎてやばいわ!!副委員長にもっと人を貸してくれるよう頼んでくれないかしら??」
遥「・・・・・・え!?はい!分かりました!!」
きな子「・・・・・・次のお客様お待たせしたっす」ドンッ
遥「きな子さん、私テントに戻って副委員長に相談してみますね」
きな子「大至急お願いするっす!」
きな子「・・・・・・次のお客さん!お待たせっす!!」ドンッ
────
──
~かのんのブース~
千砂都「はい、ラーメンお待たせしました~」スッ
千砂都「ありがとうございました~」ニコッ
ガヤガヤガヤ・・・
千砂都「ふうっ、ウチも少しずつ混むようになってきたね・・・・・・」
かのん「うん。今のところ人気トップ3のお店の行列に並びたくない人達が、ウチのような空いてる店に流れ込んできてる感じだね」
千砂都「そうだね」
客「すいませーん!ひとつください!」
千砂都「・・・・・・あ、はい!」ビクッ
かのん「ちぃちゃん、すぐ出来るからお出しして?」
千砂都「了解」
かのん「麺上げるよっ!!」ザッ ザッ
かのん「はいっ!」バシャッ
千砂都「トッピングを乗せて・・・・・・」サッ
千砂都「お待たせしました~!」サッ
客「お~これこれ!!食事スペースで隣の席の人が食べてるの見ておいしそうだったんだよね」
千砂都「それはありがとうございます」ニコッ
客「それとさ、他の店はインパクト重視で味付け濃いのが多いから、こういうあっさりとした塩ラーメンが食べたくなるんだよね」
千砂都「そうなんですか。他の店の状況は私達にはわからないもんで」
客「あっさり系で勝負してるの、ここくらいじゃないかな。頑張ってね」
千砂都「ありがとうございます!」ペコッ
千砂都「かのんちゃん、今のお客さんの話聞いた??」
かのん「え??あ、うん!」
千砂都「これは私達も忙しくなるかもしれないね」
かのん「そうだといいな。ちぃちゃん頑張ろう」
千砂都「うん!」
────
──
~正午・運営テント~
四季「副委員長、お客さんが投票してくれた用紙を自動集計するプログラムを即席で作った」
副委員長「ありがとうございます」
四季「とりあえず、これが現時点での集計」スッ
副委員長「拝見します」
副委員長「・・・・・・・・・・・・」ジーッ
副委員長「開場直後に来場されたお客様は一通り食べて帰られたようですね。投票数も私の予想より多いです」
しずく「現時点ではどのような状況ですか?」
副委員長「開場と同時にお客さんが集中した3店がダントツですね。そして、その中でもりんちゃんラーメンお台場店さんが一歩リードしています」
しずく「そうですか。・・・・・・かすみさん、頑張ってるんだ」
副委員長「そして、その次が焼き鳥リリィさんですね・・・・・・」
しずく「そういえば、随分と異色の出店があるなと思っていたんです」
副委員長「はい、私が推薦したお店でして・・・・・・」
バンッ
遥「副委員長!!」
副委員長「近江さん、どうかされましたか?」
遥「焼き鳥リリィのマスターが人足りなくて困ってるから何とか人員補充して欲しいそうです!」
副委員長「それは困りましたね・・・・・・」ウーン
副委員長「やはり私が・・・・・・」
遥「でも、副委員長はここから抜けるのはまずいと思います」
副委員長「そうなんですよね・・・・・・でも、マスターが困ってるとなると・・・・・・」ウーン
しずく「あの~、やはり私もお手伝いしますよ。こんなこともあろうかと、大きめの帽子と伊達メガネ持って来てるんです」
副委員長「で、でも・・・・・・」
遥「もうこうなったらしずくさんにご協力頂くしかないかもしれないですね」
しずく「虹学時代の仲間も多数参加してるイベントですし、私にも参加させてください」ニコッ
副委員長「・・・・・・・・・・・・分かりました」
副委員長「では、桜坂さんに焼き鳥リリィさんのヘルプに入って貰いましょう」
しずく「ありがとうございます!」ニコッ
副委員長「桜坂さん、仕事内容はマスターと桜小路さんに聞いてください」
しずく「わかりました」
遥「私は各店の食材の状況確認してきますね。足りないものがあれば急ぎで搬入します」
副委員長「はい、近江さんも宜しくお願い致します」
四季「私も食材運び手伝う」
遥「若菜さん、ありがとうございます」ニコッ
────
──
~鐘嵐菜館のブース~
バサッ・・・ザッ ザッ・・・
ランジュ「次っ!!できたわ!!早くお客様に提供しなさい!」
スタッフ「はい」
ランジュ「ふうっ・・・開場直後から休む間もなくお客さんが来てくれるけれど、少しだけ落ち着いて来たようね」
栞子「そうですね。フェスティバルは18時までですから、客入りの谷間ができるようであれば、交代で休憩を入れましょう」
ランジュ「そうね、体力が持たなければ元も子もないもの」フウッ
栞子「私は反対しましたが、ランジュがフェスティバルで提供するメニューを坦々麺にすると言って聞かなかったですからね。もっと効率良く簡単に作れるメニューの方が良かったのですが・・・・・・」
ランジュ「坦々麺という選択は必然よ。こういう場では味のインパクトが優劣を決めるわ」
栞子「たしかにそれも一理ありますが、手間が掛かるので、調理時間や体力面で不利だと私は言いたかったのです」
ランジュ「だからスムーズに調理できるよう、鐘嵐菜館のスタッフを総動員で会場に来たんじゃない」
栞子「まぁ、人数がいればそれらの不利な要素は薄くなります。しかし、私はそれだけでは不安を完全に拭いきれないのです」
ランジュ「はぁっ、栞子は相変わらずね・・・・・・。とにかく全員で時間終了までやり切るわよ」
栞子「はい」
────
──
~りんちゃんラーメンお台場のブース~
ルビィ「ありがとうございましたぁ」ニコニコ
かすみ「ぐっふっふ・・・・・・今のところ会場に出店してる全店の中で圧倒的に客の回転が早いのはウチですねぇ」ニヤリ
メイ「でも、午前中に比べたら客入り減ってきたんじゃないか?」
かすみ「そりゃあ来場のピークは午前から昼過ぎまでですからねぇ」ニッヒッヒ
ルビィ「あのね!今運営の人が来てね!午前の時点での投票数が1番なのウチのお店なんだって!」
メイ「おお~!それは凄いな!!」
かすみ「この調子でグランプリも取っちゃいますよぉ」ニチャア
かすみ「あっ!黒澤さん、あのですね・・・・・・」
ルビィ「ん?どうしたの?」
かすみ「午後からは汁なしのトッピングの背脂をもっと多めに入れてくださいっ」
ルビィ「えっ?いいの??」
かすみ「いいですよぉ。午後から来るお客さんはお腹空いてないから、たくさん食べ歩きしないと思うんです。なのでインパクト重視に切り替えます」グフフ
ルビィ「うんっ!わかったぁ!」ニコッ
メイ「ただでさえタレを濃いめにしてるのに、背脂まで増やしたら味がクド過ぎないか~?」
かすみ「ふっふっふ・・・・・・ランジュせんぱいのところは濃厚な坦々麺みたいですし、あっちの大手チェーン店は魚介出汁がかなり濃いラーメン出してるみたいですからねぇ」
メイ「まぁ、ライバル店にそれで勝てるならいいだろうけどな」
────
──
~焼き鳥リリィのブース~
ザワザワザワ・・・
きな子「お客様!もう少しお待ちくださいっす!すぐラーメン出来るっす!!」アタフタ
マスター「きな子ちゃん!!出来たわ!持っていって!!」
きな子「あ、はいっす!!」
しずく「大変お待たせしました。運営よりヘルプに参りました」ニコッ
マスター「えっ!?ホント!?助かる~!!2人だけで四苦八苦してたのよ~」ホッ
しずく「大分お客様をお待たせしてしまっているようですね。私は何を致しましょうか?」
マスター「じゃあ、私が丼に作ったスープに麺を入れて行くから、あなたはコレにトッピングのネギと鶏肉を乗せてきな子ちゃんのところへ運んでくれるかしら?」
しずく「分かりました。お任せください」ニコッ
きな子「あっ!ヘルプの方っすね!助かるっす~」
しずく「戦力になるか分かりませんが、宜しくお願いします」ニコッ
きな子「いえいえ!ものすごい戦力っす~!」
きな子「・・・・・・ていうか、どちら様っす??」
しずく「えっ?あ・・・・・・ここでは・・・・・・お客様の目もあるので・・・・・・」
きな子「随分と大きな帽子っす・・・・・・熱くないっすか?」
しずく「いえ、大丈夫です・・・・・・」
マスター「はいっ!麺上げたわよ!急いで!!」
しずく「あ、はい!ただいま!!」
しずく「・・・・・・えーっと、この鶏肉とネギを乗せるといいのでしたよね・・・」アタフタ
きな子「あ、きな子もやるっす」
マスター「あ!ちょっと待って!!・・・・・・そうじゃなくて、こうするのよ?」サッ
しずく「あっ・・・・・・」ビクッ
マスター「あら、ごめんなさい!私の手があなたの手が当たっちゃったわね」ウフフ
しずく「い、いえ」
マスター「柔かい手だったわ。あまりこういう仕事、したことないのかしら?」ニコッ
しずく「あ、はい!ええ・・・・・・普段は違う仕事してるものですから・・・・・・」
マスター「大丈夫よ。頑張って手伝ってね」ウフッ
しずく「はい、ありがとうございます」
きな子「お2人とも遅いっす!きな子が仕上げたから持って行くっす!!」
しずく「・・・・・・あ、すみません!!」
マスター「きな子ちゃん、頑張るわねぇ」
きな子「お客様、お待たせしたっす」
────
──
~14時・運営テント~
遥「ただいま戻りました」
副委員長「あ、近江さんお疲れ様でした」
遥「若菜さんのおかげで迅速に食材の補給をすることができましたよ」
副委員長「それなら良かったです。予想以上の来場でしたからね。お客さんがたくさん入った店は食材が足りなくなるのも当然です」
遥「でも、かれこれ14時ですが、お客様の入りも大分減りましたね」
副委員長「そうですね。昼食ついでに来場される方が多かったのでしょう」
侑「ただいま~!!彼方さんから運営スタッフ用のお弁当も作って貰ってきたよ!手が空いてる人から休憩してね」
副委員長「委員長、お疲れ様です」
侑「副委員長こそお疲れさま!疲れただろうし、休憩入っていいからね」
副委員長「では、お言葉に甘えましょうか」
侑「遥ちゃんも四季ちゃんもね」ニコッ
遥「はい!ありがとうございます」
四季「ありがとうございます」
侑「ところでコレは??」
副委員長「ああ。若菜さんが作ってくださった投票を自動集計するプログラムです」
侑「えっ!凄い!!どれどれ??・・・・・・今はどんな順位なんだろう・・・・・・」ジーッ
副委員長「正午の時点と変わらず、人気トップ3は不動ですね」
遥「でも、4位の焼き鳥リリィさんがトップ3との差を縮めて来てますね」
副委員長「はい、正午から14時の間の伸びは焼き鳥リリィさんが1番のようです」
四季「それと、かのん先輩と千砂都先輩の店も、下位だったのに6位まで上昇してる」
侑「フェス終了まであと約4時間・・・・・・勝負がどうなるかはまだ分からないね」
────
──
~鐘嵐菜館のブース~
栞子「ランジュ、4時間もずっと厨房に立っているのですから、そろそろ休んでください」
ランジュ「そうね・・・・・・お客様の入りもかなり減ったし交代で休憩しましょう」
栞子「先程、運営の方より14時時点での順位を教えて頂きました」
ランジュ「えっ!?もちろんランジュが1位よね??」
栞子「・・・・・・いえ、残念ながら、我々は2位です」
ランジュ「なっ!?1位はどこよ!?」
栞子「かすみさんのところですよ、ランジュ。ちなみに、1位2位3位は正午時点から変わっていないとのことです」
ランジュ「そんな!!悔しいわ!!あと4時間で巻き返すわよ!!」ガタッ
栞子「待ってくださいランジュ、ブースの中で慌てても戦況が変わるわけではありません!」
ランジュ「それは確かにそうだけど・・・・・・」
栞子「まずは休憩して体力を回復させましょう。じゃないと良い作戦も思い付きませんよ」
ランジュ「そうね。最後に笑うのはランジュ達よ」
────
──
~りんちゃんラーメンお台場店のブース~
メイ「はあっ・・・やっと客入り落ち着いてきたみたいだな・・・・・・」
ルビィ「ルビィ疲れたよぉ・・・」
かすみ「さすがにかすみんもぶっ通しで調理して疲れましたぁ・・・・・・」ハァッ
かすみ「お客さんが少ないうちに休んでおいた方が良さそうですねぇ」
ルビィ「うんっ、ちょっと休みたいよぉ・・・・・・」ガクッ
メイ「さっき、運営から聞いたんだけど、ウチは1位キープしてるみたいだな」
かすみ「おお~!!この調子ならグランプリも堅そうですねぇ」ニヤッ
ダイヤ「失礼しますわ」
メイ「ん?誰か来たぞ?」
ルビィ「びぎっ!?おねえちゃあ!?」
ダイヤ「運営からの話ですと、わたくしが率いる網元屋が3位、そしてあなた方が1位とのことですね」
かすみ「はい。グランプリはかすみんが獲るので当然ですっ!」エッヘン
ダイヤ「まぁ!強気ですわね。でも、最後はわたくし達がグランプリを獲らせて頂きますけど」オホホ
かすみ「ふっふっふ・・・・・・出来ればいいですねえ」ニチャア
ダイヤ「ところで、ルビィ?」
ルビィ「ひゃい!?」ビクッ
ダイヤ「フェスティバルではわたくし達の店を手伝うよう申し付けておりましたが、何故ここにいるのです?」
ルビィ「ええ!?そ、それわ・・・・・・」オロオロ
ダイヤ「東京の有名店で修行としてアルバイトするのも、ゆくゆくは網元屋の支店で店長として働くためだから許可したのを忘れたのかしら・・・・・・?」
ルビィ「えっと・・・・・・あの・・・・・・」オロオロ
メイ「黒澤さんはウチの店員なんだからウチで働いて当然だろ!」
ダイヤ「あなたは黙っててくださる?」ギロッ
メイ「うっ・・・」
ダイヤ「さぁ、ルビィ・・・・・・理由を説明なさい」
ルビィ「ううっ・・・・・・」
ダイヤ「・・・・・・なんですの?」
ルビィ「ル・・・・・・ルビィ・・・・・・」
ルビィ「あのね、お姉ちゃん・・・・・・」
ダイヤ「怒らないから言いなさい?ルビィ」
ルビィ「ル、ルビィはね!今のお店で店主とメイちゃんと働いてるのが楽しいんだぁ~」
ルビィ「・・・・・・だ、だから!!お姉ちゃんのお店には入らないもんっ!ルビィはルビィが働きたいところで働く!!」
ダイヤ「なっ!?」ビクッ
メイ「よく言ったな。黒澤さん」ウンウン
ルビィ「だから、お姉ちゃんは早くお姉ちゃんブースに帰って!!」バーン
ダイヤ「ルビィ!?そ、そんな・・・・・・」フラッ
メイ「おい?大丈夫か??」
ダイヤ「ル、ルビィが・・・・・・わ、わたくしに歯向かうなんて・・・・・・」フラフラッ
ダイヤ「ううっ・・・・・・」バタッ
メイ「おいっ!?」
ルビィ「ぴぎゃっ!?おねえちゃあ??」ビクッ
かすみ「ちょっ!?かすみんのブースで倒れないでくださいっ!!」
メイ「運営にたのんで救急車でも呼んで貰った方がいいんじゃないか!?」
ルビィ「う、うん!ルビィ頼んでくるっ!」ダッ
ダイヤ「ル・・・ルビ・・・・・・ィ・・・・・・」
────
──
~かのんのブース~
ザワザワザワ・・・
千砂都「はいはーい!お客さーん!並ぶ時はちゃんと列になってね~!順番にお作りするから慌てないでくださ~い!」
かのん「────ちぃちゃん!出来た!!持って行って!!」
千砂都「は~い!」
千砂都「・・・・・・って、あっちのブースが何か騒がしいな・・・・・・りんちゃんラーメンのブースみたいだけど」
客「なんか誰か倒れたみたいっすよ」
千砂都「そうなんですか。中須店主はああ見えて倒れるタマじゃないしなぁ・・・・・・」
千砂都「・・・・・・って、お待たせしましたね。お客さん」スッ
客「どうもね」
かのん「なんだか、他の店はお客さん並んでないのにウチだけお客さん入ってるね・・・・・・」
千砂都「だね。他は食材切れて閉店とか??」
かのん「鬼塚商店で食材補給に動いてくれたみたいだからそれはなさそうだけど」
千砂都「やっぱ、ウチはあっさり系なのが功を奏してきたのかな・・・・・・」
かのん「もしかすると、そうかもしれないね」
客「SNSでも、あっさり系を出してるココが1番美味いって投稿がかなり多いよ。他は味が濃くて食べてもすぐ飽きるって」
千砂都「そうなんですか。それはすごい・・・・・・」
かのん「ネットの口コミが追い風になったんだ・・・・・・」
千砂都「よしっ!このまま追い風に乗って一気に行けるといいね!」
かのん「そうだね。頑張ろう!」
────
──
~焼き鳥リリィのブース~
きな子「ありがとうございましたっす~!」ペコッ
マスター「さすがに14時過ぎるとお客さんもかなり減ったわね・・・・・・」
しずく「私は途中からの参加ですが、ずっとお客様のの入りが止まりませんでしたね」
きな子「きな子はカウンターで接客しながら会場の様子を見ていたっすが、正午以降はウチとかのん先輩の店の集客が伸びているようだったっす」
マスター「そう、どおりで大変だったわけね・・・・・・」
きな子「ちょうどお客さんもかなり減ったみたいっすし、休憩した方がいいっす」
マスター「そうね」
しずく「お手伝いを買って出てみたものの、普段慣れないことするとキツイですね・・・・・・」
マスター「そうなんだ。ありがとね」ニコッ
しずく「ちょっと、椅子お借りします」ガタッ
マスター「その帽子、取って休んだ方が楽なんじゃない?」
しずく「!?」ビクッ
しずく「い、いえ!大丈夫です!」
マスター「なんでそんなに帽子を取ることを拒むのかしら?」
しずく「あはは・・・・・・」
マスター「ふぅん・・・・・・」ジロジロ
しずく「あはは・・・・・・」
マスター「なるほどね~・・・・・・私分かっちゃったかも」ニヤリ
きな子「あっ!遥さんからLINE来てたっす!お客さんがいないうちに、きな子は一度運営テントに顔出してくるっす!」ガタッ
マスター「・・・・・・あ、うん!また戻ってきてね!!」
マスター「・・・・・・で、話は戻るけど」
しずく「は、はい・・・・・・も、もしかして、わかります??」
マスター「まぁ、ゲスト審査員で女優さんが来るって聞いてたからね」ニコッ
しずく「騙すつもりはないのですが、さすがに私が店舗の手伝いをしているのがお客さんにバレたら色々とヤバいですから」アハハ
マスター「そうよ。それなら私のお店のヘルプは他の人に任せて、あなたは運営テントにいるべきだったかもね」
しずく「はい、そうですよね」
マスター「でも、私は嬉しいわ」ニコッ
しずく「あ、ありがとうございます」
マスター「あなた、なかなか可愛い顔してるわね・・・・・・」サスッ
しずく「や、やめてください・・・・・・」
マスター「ほら、眼鏡なんか外しなさいよ・・・・・・」カチャ
しずく「だ、ダメです・・・・・・困ります」
客「すみませ~ん!!」
しずく「あ、はい!!」ビクッ
客「ラーメンください」
しずく「はい!少々お待ちください!!」
マスター「うふっ・・・楽しみが増えちゃった。やっぱりこのフェスティバルに参加して良かったわ」ウットリ
しずく「あ、あの・・・・・・早くラーメン作ってくれませんか??お客様が・・・・・・」
乙面白かった かのちぃ頑張って欲しい
ダイヤさんも心配
そして有名女優に手を出すのはさすがにヤバイ 本編でnmmnネタやってた桜坂が普通過ぎて本編では同人誌漁ってた程度の桜内だけ二次創作の世界からやってきたみたいになってるの面白すぎる ────
──
~鐘嵐菜館のブース~
ランジュ「・・・・・・・・・・・・」イライラ
ランジュ「どういうこと!会場の客入りが減るのは時間帯的に仕方ないことだと思うけど!何でランジュの店にお客が来ないのよ!」
栞子「ランジュ、落ち着いてください」
ランジュ「落ち着いてられないわ!会場の数少ないお客さんが、澁谷かのんの店と焼き鳥屋に流れているのが理解できないわ!」
栞子「これは当然の流れですよ、ランジュ」
ランジュ「栞子はこの原因が分かるとでも言うの!?」
栞子「澁谷さんのお店も焼き鳥リリィさんも、会場に出店している20店の中では珍しくあっさり系メニューを提供されています」
栞子「それがこの時間帯のお客様方の求めるニーズに合っているということです」
ランジュ「ならばランジュも今からあっさり系を出すわ!」
栞子「ランジュ、だから落ち着いてください!それに提供可能なメニューは事前に運営へ届け出ている1品だけです」
栞子「それにまだ負けたわけではありません!1番客入りの良い午前から昼過ぎまでの時間帯では我々は良い位置にいたのです。それを覆すのは余程のことがない限り無理だと思います」
ランジュ「それもそうね・・・・・・取り乱して悪かったわ。栞子」
栞子「でも、ランジュの気持ちも分からないわけではありません。私だって、グランプリ獲りたいですから」ニコッ
ランジュ「そうね。あくまでも目指すべきはグランプリだものね」
栞子「夕方になれば、またある程度の客入りが見込めます。そこで全力を出せるよう、しっかり休んで美味しいものを提供する為に備えましょう」
ランジュ「そうね」
栞子「閑散とした今の時間帯は私やスタッフ達だけで何とかなります。ランジュは休憩室で仮眠でも取って来てください」ニコッ
ランジュ「栞子・・・・・・ありがとう。お言葉に甘えるわ」ニコッ
────
──
~休憩室~
バタンッ
ランジュ「失礼するわ・・・・・・ん?」
ランジュ「あら、遥じゃない。お疲れ様」ニコッ
遥「あ、ランジュさん!お疲れ様です」
ランジュ「どうかしたのかしら??」
遥「網元屋の社長が具合悪くされたので、私が付き添っているんです」
ランジュ「それは気の毒ね・・・・・・」
ダイヤ「うう・・・・・・ル、ルビィ・・・・・・」
遥「幸いにして、身体的な異常はないようでして、精神的なものが原因なんじゃないかと診察して下さった医師の先生がおっしゃってました」
ランジュ「わずか数年で全国有数の大規模チェーン店を展開した敏腕社長ですらダウンしてしまうイベントなのね。過酷だわ」
遥「はい・・・・・・」
ランジュ「ランジュも疲れたから、少し仮眠させて貰うわね」
遥「どうぞ、空いてるスペースを使って下さいね」
ランジュ「ありがとう」
ダイヤ「・・・・・・はっ!?」ビクッ
遥「あっ!目覚められましたね」ニコッ
ダイヤ「こ、ここはどちらですの!?」ガバッ
遥「会場内の関係者用休憩室です」
ダイヤ「休憩室!?」
遥「りんちゃんラーメンさんのブースで倒れられたんです。覚えてませんか?」
ダイヤ「・・・・・・・・・・・・」
ダイヤ「・・・・・・そ、そうでしたわね。ル、ルビィが・・・・・・」
遥「具合の方はいかがですか?」
ダイヤ「はい。ご迷惑お掛け致しましたわね、もう大丈夫そうです」
遥「それなら良かった。私は自分の仕事がありますので、失礼します」
ダイヤ「お世話頂き感謝致しますわ。わたくしも、仕事に戻らないと・・・・・・」
ダイヤ「わたくしも姉のメンツがありますので、ルビィに負けるわけにいきませんわ・・・・・・」
────
──
~運営テント~
遥「戻りました。網元屋の社長さんはもう大丈夫のようです」
副委員長「近江さん、お疲れ様です」
しずく「倒れられた方、回復されたのですね。良かった・・・・・・」
遥「おや?しずくさん、運営テントに戻られたのですか?」
しずく「はい。私も特別審査員としての試食をしなければならないので一度戻りました」
遥「そうでしたか」
侑「しずくちゃん。各店から一口サイズに小分けしたラーメンを用意して貰ったから、食べ比べて1番好きなの決めてね」
しずく「はい、分かりました。侑先輩」
副委員長「近江さんも委員長が持って来て下さった近江弁当店さんのお弁当、食べてくださいね」
遥「そういえば、忙しくて昼食のことなんかすっかり忘れてました」アハハ
副委員長「桜小路さんは先程戻られた際に食べられまして、もう既に再度焼き鳥リリィさんのお手伝いに向かわれました」
しずく「私も、試食を終えたら焼き鳥屋さんに戻っても良いですか?」
副委員長「え??・・・・・・ええ、まぁ構いませんが」
しずく「ありがとうございます!なんだかんだでお手伝いするのが楽しくて」ニコッ
副委員長「貴重な体験ですもんね」
しずく「はい。大学の頃に社会勉強としてアルバイトしていたことを思い出しますよ」ニコッ
侑「へぇ~、しずくちゃんがアルバイトしてただなんて意外だな」
しずく「侑先輩、そりゃあ私も人並みにやりますよ」
侑「しずくちゃんはお嬢様だし、そういうのは無縁なのかと思ってたよ」アハハ
しずく「侑先輩!?それは偏見です!」
────
──
~焼き鳥リリィのブース~
マスター「ふうっ、15時を過ぎたらさすがにお客さんもひと通り捌けたわね」
きな子「そうっすね。きな子、疲れたっす・・・・・・」
マスター「ありがとね、きな子ちゃん」ニコッ
きな子「いえいえ、マスターがお困りなら運営として手助けするのが当たり前っす」
マスター「へぇ~?運営としてなんだぁ?」
きな子「えっ?そうっすよ??」
マスター「きな子ちゃん、私のこと好きなくせにそういう冷たいこというのね」
きな子「な、何がっすか??」キョトン
マスター「うふっ!まぁいいわ。疲れたんでしょ??癒してあげる」ニヤリ
きな子「え??」
マスター「疲れた時に疲れを吹き飛ばす1番の方法知ってる?」
きな子「ん~・・・・・・わからないっす・・・・・・」
マスター「(気持ちいいことするといいのよ・・・・・・)」ヒソヒソ
きな子「ひゃっ!」ビクッ
マスター「うふっ!好きでしょ??私にされるの・・・・・・」ニッコリ
きな子「えっ?えっ??き、嫌いじゃないっすが・・・・・・さすがにブースではマズイっす!!」アタフタ
マスター「いいから、そこの椅子にまず座りなさい」ドンッ
きな子「きゃっ!」ドサッ
マスター「さーて・・・・・・お楽しみタ~イム!!」ニコッ
きな子「マ、マスター!?な、なんでそんな物持ってるっす!?」
マスター「ん?・・・・・・だって必要になりそうなものはひと通り持ってくるでしょ??」
きな子「でも・・・・・・」
マスター「いいから、いくわよ??癒されたいんでしょ??」ニコッ
きな子「ううっ・・・・・・あっ!」ビクンッ
きな子「あっっ・・・・・・マ、マスター・・・・・・だ、ダメっす・・・・・・ああ・・・・・・」
────
──
~りんちゃんラーメンお台場店のブース~
かすみ「え~っと・・・・・・」ガサゴソ
メイ「店主、さっきから何してんだ??」
かすみ「・・・・・・材料の在庫確認ですよぉ」ガサゴソ
ルビィ「材料なら運営で補充してくれるんじゃないの??」
かすみ「どの店でも共通して使うようなものは補充して貰えますけど、固有のものは自分で用意しないといけないんだよね・・・・・・」
かすみ「・・・・・・うん、これなら18時まで足りそうですねぇ」
メイ「どうかしたのか??」
かすみ「これから夕方になると、またお客さんが来るはずです。そこでラストスパートをかけてこのままグランプリを獲りますよぉ」ニヤリ
ルビィ「えっ!?どうやってラストスパートするの~??」
かすみ「かすみんの店で買ったお客さんがお腹いっぱいで他のラーメンを食べたいと思わせないようにするんですぅ」ニチャア
メイ「ていうと??」
かすみ「ラストスパートの時間帯限定・・・・・・全マシマシで行きますよぉ~」グフフ
メイ「だ、大丈夫かぁ??」
ルビィ「お客さんよろんでくれそうだね!!」ニッコリ
かすみ「大丈夫です・・・・・・ぐふふ」
メイ「まぁ、午前からずっと一位死守してるし、順位落ちたとしても何かしら入賞できそうだしな」
かすみ「こら!メイ子ぉ~!あくまでも目線はグランプリだぞぉ!!」プンプン
メイ「あはは!そうだったな!!」アハハ
ルビィ「よおし、ルビィも頑張るっ!!」
────
──
~かのんのブース~
千砂都「は~い!次のお客さん!!お待たせ~!!」
千砂都「ありがとうございました~」ニコッ
かのん「ちぃちゃん!!ウチの店だけなんでお客さんが切れないんだろ??」
千砂都「あくまでも、かのんちゃんのラーメンの味を貫いた結果だと思うね。私は」
かのん「そっかぁ・・・・・・」
千砂都「かのんちゃん!!いいから厨房の仕事に専念して!!」
かのん「あっ、うんっ!!」ビクッ
千砂都「え~・・・並んでるお客さ~ん!先にチケット回収しま~す!!」
副委員長「・・・・・・お忙しいところ失礼します」
かのん「えっ?運営副委員長さん??」
副委員長「14時以降に澁谷さんへの来客が急上昇した原因を知りたくて、お邪魔になると承知の上で来てみました」
かのん「それが私にも何がなんだか分からないんですよ」アハハ
副委員長「・・・・・・たったお2人なのに、息の合った連携で効率良くお客様にラーメンを提供されてますね」
かのん「そうですか??普段通りにやってるだけですが・・・・・・」
副委員長「提供しているラーメンの良さももちろんですが、色々と大切な要素があることが分かりました」
かのん「そうですか。・・・・・・ちぃちゃん!!次できた!!」
千砂都「・・・・・・はーい!!」
副委員長「では、私は失礼しますね」
かのん「あ、はい!お疲れ様でした!!」
────
──
~焼き鳥リリィのブース~
きな子「あっ・・・あっ・・・・・・んっ・・・・・・」
マスター「どう?気持ちいい??」
きな子「はふんっ・・・・・・んっ・・・・・・」ビクンッ
マスター「こうしてピンポイントで狙うと・・・・・・悦ぶのね・・・・・・きな子ちゃんは・・・・・・」
きな子「ああっ!!・・・・・・んん・・・・・・」
しずく「すみません、戻りました・・・・・・」
しずく「えっ!?」ガタッ
しずく「・・・・・・な、何をされているのですか!!」
マスター「あら、帰ってきたのね、女優さん」ウフッ
しずく「ちょうどお客さんがいないからとはいえ・・・・・・さすがにそれは・・・・・・」
マスター「・・・・・・きな子ちゃん、邪魔されちゃったから、お・わ・り♡」ニコッ
きな子「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」
マスター「あなたもする??こういうの好きでしょ??」ニコッ
しずく「そ、そういう問題じゃありませんっ!」
きな子「マスター・・・・・・ありがとうっす・・・・・・」
マスター「気持ち良かったでしょ??元気になった??」
きな子「はい、おかげさまっす!これでラストまでがんばれるっす!」
しずく「だ、大丈夫ですか??顔が火照ってますよ??」
マスター「きな子ちゃんは、よく私にやられてるのよ。あと遥ちゃんもね」ニコッ
きな子「マスターのテクは本当に絶品っす!最高に気持ちよくなれるっす!」
マスター「うふふっ!お世辞でも嬉しいわ」ニコッ
きな子「卓越したマッサージ技術と、焼き鳥用の串を使ったツボを刺激する技術のおかげで肩こりや全身の疲れがほぐれるっす」
しずく「そうなんですか」
きな子「私も遥さんも飲みに行ったついでにして貰ってるっす!」
マスター「私の趣味でやってるからお代も貰ってないの」
きな子「そういえば、運営の副委員長さんもマスターのテクニックの虜なんすよね?」
マスター「あ~・・・・・・、あの子はその更に先の領域に行ってるから・・・・・・ちょっと違うかもね~」
きな子「えっ!?そんな凄いのもあるっすか??きな子もして欲しいっす!!」
マスター「うふっ・・・きな子ちゃんがその気ならいいわよ?」ニッコリ
しずく「あの~・・・・・・他のお店はこれから終了までのラストスパートに向けて色々対策されているようですよ?大丈夫なのですか?」
マスター「まぁ、何とかなるわね。きな子ちゃんと女優さんが手伝ってくれたらね」ニコッ
────
──
~運営テント~
璃奈「侑さん、16時回った」
侑「そうだね。いよいよ第一回ワールドラーメンフェスティバルも終盤か・・・・・・」
副委員長「委員長。SNSで、投票の途中経過を随時アップしていたからか、予想していなかった動きが見えてきました」
侑「何かあったの??」
璃奈「おそらく、SNSを見た各店のファンの人達が自分が好きな店を応援する為に食べに来る流れになっているみたいだよ」
侑「そうなんだ・・・・・・」
四季「常連客が多い店が終盤有利ということ」
副委員長「さらに、16:00時点での投票状況ですが・・・・・・委員長、ご覧ください」
侑「・・・・・・」
侑「・・・・・・前半の上位3店と、澁谷さんと焼き鳥リリィさんの5店が横並びか・・・・・・」
副委員長「これはどうなるか最後までわかりませんね」
侑「そうだね・・・・・・」
────
──
~終了時間30分前~
ザワザワザワ・・・
副委員長「夕方からの来場が思いのほか多かったのには驚きましたね」
侑「そうだね。でもフェスは大成功と言えるんじゃないかな」
副委員長「はい、そうですね」
遥「委員長、副委員長。間もなく時間になりますが会場内にはまだたくさんのお客様がいます。どうしましょうか?」
副委員長「入場口は予定通り18:00で閉めましょう。同時に18:00をもってラストオーダーとし、食事中のお客様は食べ終わったらお帰り頂くこととしましょう」
遥「分かりました。スタッフと手分けして各店に伝達してきますね」
副委員長「よろしくお願いします」
璃奈「侑さん、戻ったよ」
侑「あ、璃奈ちゃんと四季ちゃん!急用で出掛けるって言ってたけどすぐ戻って来たんだね」
璃奈「うん、私の工場に戻って、大型のお掃除ロボットを持って来たよ」
侑「えっ!?そんなのあるの??」
四季「このお掃除ロボならば、この程度の広さの会場なら20分もあればキレイにできる」
侑「すっご~い!!運営スタッフ総出で地道に掃除する予定だったのに助かる~!!」
副委員長「こんな凄いロボットが作れるならば、量販できればかなり儲かるのではないですか??」
璃奈「そうだね。でも、私は大手の電機メーカーとコネもないし、現実的にそれは厳しい」
侑「そういうのは大人の事情が色々とあるからね~」アハハ
────
──
~終了時間~
副委員長「・・・・・・・・・・・・」
副委員長「時間です。入場口を閉じ、各店は現時刻をもってラストオーダーとします」
侑「まずはお疲れ様だね」
副委員長「はい」
副委員長「あとは、お食事中のお客様が全て帰られたら投票も締め切りたいと思います」
侑「うん。どういう結果になるのか楽しみだね」
────
──
~鐘嵐菜館のブース~
ランジュ「ふうっ・・・さすがに疲れたわね」グッタリ
栞子「ランジュ、お疲れ様でした」
ランジュ「栞子も、そしてスタッフのみんなもお疲れさま」ニコッ
栞子「夕方からの多数の来場、凄かったですね」
ランジュ「そうね。これでかすみを抜いて1位になっていれば良いのだけれど」
栞子「あとは、祈るだけですね」
ランジュ「これだけやり切れば、仮に負けても悔いはないかもしれないわ」
栞子「えっ!?」
ランジュ「ん?ランジュ、何か変なことでも言ったかしら?」
栞子「ふふっ・・・意外だと思ったものですから」ニコッ
────
──
~りんちゃんラーメンお台場店のブース~
かすみ「ぐへぇ・・・・・・やっと終わりましたねぇ・・・・・・」ゲッソリ
メイ「これだけ頑張れば、さすがに1位から落ちることもないんじゃないか??」
かすみ「そうだと良いけどねぇ・・・・・・」
ルビィ「きっとグランプリとれるよ!!」ニコッ
メイ「だな。閉会式が楽しみだよ」
ルビィ「そういえば、お姉ちゃんも倒れてから回復してブースに復帰したみたい!」
メイ「おお、それは良かったな~。元気そうで何よりだ」
かすみ「2人とも・・・閉会式終わったらすぐ帰れるように後片付けやっておきますよぉ」
メイ「そうだな」
ルビィ「はいっ!」
────
──
~かのんのブース~
千砂都「はあっ・・・・・・終わった~!!!」
かのん「さすがにキツイね~・・・・・・ちぃちゃんお疲れさま!」
千砂都「午前中はあまりお客さん来なかったけど、昼過ぎた辺りから最後までひっきりなしだったね」
かのん「うん。どういう結果になるんだろ」
千砂都「ま、とりあえずは鐘嵐菜館より高順位であればいいんじゃない??」
かのん「えっ??・・・・・・あ、そういえばそうだった!!鐘嵐菜館さんに負けたら鐘嵐菜館の支店になるとかならないとかあったね!すっかり忘れてたよ~」アハハ
千砂都「もし、鐘嵐菜館より低かったらどうする??」
かのん「う~ん・・・・・・向こうも本気で言ってるのかどうかも分からないところだけど・・・・・・」
千砂都「まぁ、それはその時考えよっか」
かのん「そうだねぇ・・・・・・」
千砂都「一応、良い回避策を考えてはいるんだけど・・・・・・」
かのん「そうなの??」
千砂都「まぁ、かのんちゃん次第だけど・・・・・・」
かのん「どういうこと??」
千砂都「ちょっといい??」
かのん「何??」
千砂都「・・・・・・」ヒソヒソヒソ・・・
かのん「・・・・・・・・・・・・」
かのん「ええ~~っっ!?」
千砂都「どうかな??受け入れて貰えたらの話だけど」
かのん「たしかに、ありと言えばありなのかなぁ・・・・・・」ウーン
────
──
~焼き鳥リリィのブース~
しずく「ふうっ・・・来客の波もようやく終わりましたね」
きな子「さすがに堪えたっす・・・・・・」ゲッソリ
マスター「2人ともお疲れ様」ニコッ
きな子「マスターもお疲れ様っす」
マスター「もっと軽い気持ちで楽しめるフェスティバルだと思っていたのに、結局大忙しだったわね」
きな子「そうっすね」
しずく「さて、私は運営テントに戻って、特別賞の選定をしますね」
きな子「よろしくお願いしますっす・・・・・・っていうか、きな子も運営に戻らないといけないっす」
マスター「えっ!?2人とも後片付け手伝ってくれないの!?」
きな子「閉会式後でよければお手伝いするっす」
マスター「もう~!帰るの遅くなっちゃうじゃない!!」
しずく「私も後からお手伝いしますから」アハハ
マスター「ホント頼むわよ~、2人には今度何かご馳走してあげるから」
しずく「何かのご縁ですし、いつかマスターの焼き鳥屋さんで飲んでみたいですね」
マスター「あら、ホント??事前に言ってくれたら特別に貸切にしてあげてもいいのよ?」ニコッ
しずく「あはは・・・・・・その際はよろしくお願いします」
────
──
~運営テント~
ブオオオオオオオオ・・・
侑「いやぁ凄いね、大型お掃除ロボ・・・・・・」
副委員長「あっという間に会場内のゴミを回収し、しかも汚れ一つ残さないよう隅々まで清掃もこなすとは・・・・・・」
四季「私と師匠が作ったんだから当然」
侑「そういえば、投票の集計はもう出てるのかな??」
四季「既に出ている」
副委員長「どれどれ??」
侑「ふむふむ・・・・・・なるほどね・・・・・・」
しずく「お疲れ様でした。戻りました」
侑「あ、しずくちゃんお疲れ!!」
しずく「なかなか楽しい1日でしたよ」ニコッ
侑「それなら良かった」ニコッ
しずく「おや?もしかして投票結果出ているのですか?」
副委員長「はい。桜坂さんはグランプリと準グランプリの2店以外から1店を特別賞に選んでくださいね」
しずく「わかりました」
しずく「え~っと・・・・・・ふ~ん、こういう結果なんだ・・・・・・」
しずく「でも、特別賞は全店の試食を済ませた時点でほとんど決まっていましたので、悩む必要はなさそうです」
侑「そっか。それなら良かった」
副委員長「では、19時から一度運営スタッフと各店の参加者にお集まり頂き、閉会式を行いましょう」
侑「うん、よろしく」
────
──
~閉会式~
遥「副委員長、全員集合完了です」
副委員長「ありがとうございます」
副委員長『え~、各店撤収作業でお忙しい中ではありますが、投票結果もまとまりましたので閉会式を執り行いたいと存じます』
パチパチパチパチ・・・
副委員長『まずは表彰です』
ザワザワザワ・・・
ランジュ「絶対にランジュだわ・・・・・・」
かすみ「どう考えてもかすみんですねぇ」
副委員長『では委員長、表彰をお願いします』
侑『はい』
ダイヤ「私が倒れてから弊社のブースは混乱してしまい、午後以降はあまり良い数字を出すことができませんでした・・・・・・」
ルビィ「それは仕方ないよ、お姉ちゃん・・・・・・」
ダイヤ「ルビィが勤めているラーメン店がグランプリ獲れると良いわね」ニコッ
ルビィ「うんっ!」
侑『え~、コホンっ!みなさんお静かに・・・・・・』
侑『まずは準グランプリから発表します。なお、準グランプリは得票数が同数であったため、2店表彰させて頂きます』
ザワザワザワ・・・
マスター「う~ん、得票数同数なんて珍しいこともあるのね」
「すごいですね。上位は激戦だったようですし、ボチボチしかお客さんが入らなかったウチには縁のない話かなぁ~」アハハ
マスター「ウチは割とお客入ったんだけどね、かなり大変だったわ」
「すごいじゃないですか!もしかしたら、準グランプリに選ばれているのでは!?」
マスター「きっとそれはないわよ~」ハハハ
侑『では、準グランプリ、1店目は・・・・・・』
侑『東京都から参加の澁谷かのんさんです!!』
かのん「ええっ!?ウチが??」ビクッ
千砂都「やった!!」
パチパチパチパチ・・・
副委員長『では、澁谷さん。こちらへどうぞ』
かのん「は、はいっ!」バッ
侑『表彰状・・・準グランプリ・・・・・・貴殿は・・・・・・』
侑『おめでとうございます』スッ
かのん「あ、ありがとうございます!」ペコッ
侑『あと、こちらが準グランプリの楯と、賞金です』スッ
かのん「はい!ありがとうございます・・・・・・」
パチパチパチパチ・・・・・・
侑『そして、準グランプリ2店目・・・・・・』
侑『同じく東京都から参加の、鐘嵐菜館さんです』
ランジュ「ええっ!?ランジュがグランプリじゃないなんて!!」
栞子「ランジュ、ありがたく頂戴しましょう」ニコッ
パチパチパチパチ・・・
副委員長『鐘嵐菜館さんの代表の方、こちらへどうぞ』
ランジュ『はい』
パチパチパチパチ・・・
侑『表彰状・・・準グランプリ・・・・・・以下同文です』
侑『おめでとうございます』スッ
ランジュ「悔しいけど、準グランプリならまだ納得できるわ。ありがとう」
パチパチパチパチ・・・
侑『あと、楯と賞金ね。ランジュちゃん、おめでとう』ニコッ
ランジュ『せっかくだからお店のフロアに飾らせてもらうわ』ニコッ
副委員長『準グランプリの2店に、盛大拍手を今一度お願い致します』
パチパチパチパチ・・・・・・
かのん「・・・・・・」ペコッ
ランジュ「・・・・・・」ペコッ
副委員長『準グランプリのお二方はお戻りください』
ランジュ「結局同じ順位だったわね。澁谷かのん」
かのん「そ、そうですね・・・・・・あはは・・・」
副委員長『続きまして、グランプリの発表前に、今回の特別審査員として招待しております、桜坂しずくさんが選んでくださったお店に特別賞を授与致したいと思います』
ザワザワザワ・・・・・・
かすみ「ま、まさか・・・・・・かすみんが特別賞だなんてないよね・・・・・・」
メイ「どうだろうなぁ。できればグランプリ獲りたいけど、特別賞でも貰えるだけありがたいと思うよ」
副委員長『では、桜坂さん。お願い致します』
しずく『はい』
マスター「実はね、私、1人で参加したものだから、忙しくて手が回らなくなってしまって女優さんにお店手伝って貰ったのよ」ウフッ
「ええ~っ!?そうなんですか!!すごいです!うらやましいです~!!」
マスター「だから、お情けで私のお店選んでくれたりして!?」ウフフ
「うんうんっ、そういうのあるかもしれませんよ!!一緒に働いたことで、情がわくかもしれませんし!」ウンウン
マスター「やっぱりあなたもそう思う??どこの子か知らないけど、あなた可愛いわね」ウフッ
しずく『みなさんこんばんは。女優の桜坂しずくです』
パチパチパチパチ・・・
しずく『この度は、ワールドラーメンフェスティバルにこのような形で参加できたことを嬉しく思います』
しずく『全店のラーメンを一口ずつ試食させて頂き、特に印象に残ったラーメンを作られたお店を表彰させて頂きます』
ザワザワザワ・・・
ルビィ「お姉ちゃんのお店かもよ??」
ダイヤ「そうだと嬉しいけれど、倒れてご迷惑お掛けした手前、仮に貰えたとしても恐縮だわ・・・・・・」
しずく『特別賞・・・・・・』
マスター「うふっ!・・・・・・女優さん・・・今、私の方を見たわね」
「ええ~っ!それってもう決まりみたいなものじゃないですか!?」
しずく『石川県金沢市からご参加の、スリーズブーケ亭さんです』
ザワザワザワ・・・
「ええ~~っ!?」
マスター「え~~!?何でよ!私の方見たじゃないの!!」
しずく『スリーズブーケ亭の代表の方、こちらへどうぞ』
「こ、梢センパイ!?」クルッ
「花帆さん、せっかくだから頂いて来て?」ニコッ
「は、はい!!それでは!!」ダッ
マスター「えっ!?あなたなの??」
しずく『特別賞・・・スリーズブーケ亭殿・・・・・・貴殿は・・・・・・』
しずく『どのお店も美味しかったのですが、あなた方のラーメンからはとても気持ちが優しくなるような味を感じました』ニコッ
しずく『賞状です。どうぞ』スッ
「あ、ありがとうございますっ!!」パシッ
パチパチパチパチ・・・・・・
副委員長「桜坂さん、特別賞の楯と賞金もお渡しください」
しずく「あ、はい・・・・・・」
しずく『特別賞の楯と、賞金です』スッ
「ありがとうございます!!まさか入賞できるなんて考えてもいませんでした!!胸を張って帰れます!」
パチパチパチパチ・・・
「・・・・・・」ペコッ
副委員長『では、スリーズブーケ亭さん、お戻りください』
「はい!」
「素敵だったわ、花帆さん」ニッコリ
「いやいや、私と梢センパイの2人で獲った賞なんですよ!梢センパイも素敵なんですからね!」
「ふふっ、ありがとう」ニコッ
マスター「たしかにあなた・・・・・・素敵だわ」ウフッ
「えっ?」
マスター「私の昔の同級生とどことなく似ていて可愛いもの」ウットリ
「は、はぁ・・・」
マスター「今日はこのまま片付け終わったら金沢まで帰るわけじゃないでしょ?さすがに1泊するわよね?」
「ええ、まぁ・・・その予定ですが・・・・・・」
マスター「私、焼き鳥屋やってるから飲みに来ない?」ニコッ
「えっ!?そうなんですか!?・・・・・・梢センパイ?どうします??」
「花帆さん、ありがたいお誘いですが、お断りしましょう・・・・・・この方、すごく危険な香りがするの・・・・・・」
「えっ!?き、危険??」
マスター「へぇ・・・・・・あなた・・・・・・なかなか鋭い目を持ってるわね」ニヤリ
「わたくしの花帆さんに近づかないでくださいます?」ギロッ
マスター「うふふっ!ますます欲しくなるじゃない」ウットリ
侑『え~・・・・・・それでは最後に・・・・・・グランプリです!!』
ザワザワザワ・・・・・・
侑『第一回、ワールドラーメンフェスティバル・・・・・・グランプリに輝いたのは・・・・・・』
侑『りんちゃんラーメンお台場店さんです!!』
かすみ「おお~っ!!やっぱりかすみんでしたかぁ~!やりましたよぉ~」
メイ「おおっ!やったぜ!!午前からずっと1位キープしてたもんな!!」アハハ
ルビィ「ぴぎゃっ!!しゅ、しゅごい!!」
ダイヤ「良かったわね、ルビィ」ニコッ
ランジュ「ま、かすみなら負けても仕方ないわね・・・・・・」ハアッ
副委員長『りんちゃんラーメンさん、こちらへどうぞ』
かすみ「はぁい~」スタスタッ
侑『第一回グランプリ!!りんちゃんラーメンお台場店殿!!・・・・・・貴殿は第一回ワールドラーメンフェスティバルのお客様による投票の結果、グランプリとなりましたことをここに賞します・・・・・・運営委員長、高咲侑』
侑『おめでとう、かすみちゃん』スッ
かすみ「ありがとうございますぅ~」ニコニコ
パチパチパチパチ・・・・・・
侑『グランプリのトロフィーと賞金もあります』スッ
かすみ「ありがたいですねぇ~、お店の目立つところに飾りますよぉ~」ニシシ
パチパチパチパチ・・・
副委員長『グランプリの中須店主、何か一言お願いできますか?』
かすみ「はいは~い!マイク貸してくださ~い!」パシッ
かすみ『え~、第一回のグランプリ、ありがとうございます~』
かすみ『かすみんは実力面でもネームバリューでも最初からグランプリ候補だった思いますけどぉ、勝つべきところ勝ったというところですかねぇ・・・・・・」グフフ
かすみ『来年の第二回もまたグランプリ獲りますんで、みなさんは頑張って準グランプリ目指してくださいねぇ~』
パチパチパチパチ・・・・・・
メイ「いいぞ!店主っ!!」
副委員長『ありがたい意気込みですが、グランプリ獲得店舗は殿堂入りとなりますので、次回以降の参加権がありません。ご容赦ください』
かすみ『ええっ!?なんでですかぁ!!』
アハハハハハ・・・・・・
副委員長『では、委員長より総評を・・・・・・』
侑『はい、この度は・・・・・・・・・・・・」
────
──
~閉会式終了後~
きな子「かのんせんぱーい!!おめでとうございますっす!!」
かのん「きな子ちゃんありがと」ニコッ
きな子「いや~!きな子も先輩が準グランプリなんて誇らしいっす!!」
かのん「最初はどうなるかと思ったけど、なんだかんだでたくさんのお客さんに食べて貰えて、評価して貰えて良かったよ」
きな子「これで、かのん先輩のお店はますます繁盛するっす!!」
千砂都「そうなると、個人事業主として細々とやってるだけじゃ限界が来るかもね~」
かのん「新しいバイトでも雇おうか?」
千砂都「それももちろんだし、もっとしっかりとした組織にしていかないとね」
ランジュ「澁谷かのん、おめでとう」
かのん「鐘嵐菜館さんもおめでとうございます」
ランジュ「まさかの同順位では優劣が決まらないわね」
かのん「あはは・・・・・・そ、そうですね」アセアセ
ランジュ「でも、準グランプリとなれば、これからお互い更にお客さんが増えるわ」
かのん「そうだと嬉しいです」
ランジュ「やはり、ランジュの傘下に入って鐘嵐菜館の支店として看板を新しくしたらどうかしら?もちろん経済面でも支援するわ。その方があなた方にもメリットがあるでしょう?」
かのん「あはは・・・・・・」
千砂都「お言葉ですが、鐘嵐珠さん。私達はもう身の振り方を決めているんです」
ランジュ「えっ?どういうことかしら?」
かのん「ち、ちぃちゃん??」
千砂都「私達、鬼塚商店に入って、経営面は鬼塚商店に任せようと思うんです。そうすれば、かのんちゃんと私はラーメン作りに専念できます」
きな子「ええっ!?ど、どういうことっすか??」
ランジュ「だ、だったらランジュのところでもいいじゃない!!」
千砂都「きな子ちゃんの手腕に期待してます!面倒みてね」ニコッ
きな子「お、鬼塚商店は本業だけで目一杯っす!!買収だなんてする余裕も才覚もないっす!!」アタフタ
ランジュ「はあっ、そういうことなら諦めるわ。きな子と遥は優秀だものね」ヤレヤレ
かのん「・・・・・・あ、そういうことね」
ランジュ「じゃ、また来年競い合いましょう。澁谷かのん」ニコッ
かのん「は、はい!!」
きな子「・・・・・・千砂都先輩!なるほどっす!!ランジュさんを撒く為のブラフだったわけっすね」
かのん「いや~、ちぃちゃんにはびっくりしたよ~!いきなり凄いこと言い出すんだもん!」
千砂都「いや?割と真面目に言ってるんだけど??」
きな子「ええっ!?」ビクッ
かのん「ええっ??」ビクッ
璃奈「お疲れさま。そして準グランプリおめでとう」
四季「おめでとうございます」
かのん「あ、天王寺さん!いつぞやはお世話になりました」ペコッ
璃奈「今の話、聞いたよ」
かのん「えっ?」
璃奈「私と四季ちゃんも職人一筋でやりたいから、経営や営業を担ってくれる人を探していたんだよね」
きな子「えっ??」
璃奈「私と四季ちゃんも鬼塚商店で雇って欲しい。利益を生む商店をたくさん作るから売り込みをお願いしたい」
きな子「え~??ど、どういうことっすか??」
四季「面倒みてね」
きな子「し、四季ちゃん!?何を言っているっす!!」
千砂都「あはは!賑やかになりそうだねぇ!ラーメン店部門は私達に任せて!」ニコニコ
璃奈「同じ会社になるなら、最高の厨房設備を作ってあげないとね」
千砂都「ほんとですか??天王寺さん!」
璃奈「うん」
千砂都「良かったね、かのんちゃん」
かのん「だ、大丈夫なのかなぁ・・・・・・ラーメン作りに専念できる環境というのは魅力的だけど・・・・・・」アハハ
きな子「CEOに判断をあおがないと決められないっす!!」アタフタ
千砂都「でも、実質きな子ちゃんが仕切ってるんでしょ?よろしくね」
きな子「CEO~!はやく配信の旅から帰ってきてくださいっす~!!」
遥「そういえば私、いまだにCEOと会ったこともないですよ」
きな子「そうだったっすね、遥さん」
遥「それと、ウチのお姉ちゃんも同じようなこと言ってたよ?余裕あるなら近江弁当店も鬼塚商店で面倒みてあげたいな」ニコッ
きな子「ごふっ・・・」バタッ
遥「きな子さん!?」
かのん「きな子ちゃん!?」
きな子「きな子・・・・・・ついていけないっす・・・・・・」グッタリ
千砂都「きな子ちゃんなら大丈夫大丈夫!」
アハハハハハハ・・・・・・
~おしまい~
乙です
ここ最近の楽しみで、面白かった
続編または次回作にも期待してます CEO行方不明中に業務拡大とかアイドリープライドみたいだな CEOが虚業で一攫千金を狙ってるうちに
きな子が実業で鬼塚商店を東証一部上場させそうで面白い 蓮まで出してくるとは面白い
どかちーの時もそうだけどこういう群像劇面白いからまた頼む ずっと楽しみに読んでた乙
CEO不在中に登記上の事業内容が増えてそう 2時間かけて全部一気読みした
描写が丁寧で面白かったわ
スリーズブーケ亭は不意をつかれたわ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています