――夕方、江東区有明

璃奈「おかえりなさい。どうだった?」

恋「はい、とても助かりました。枕はお返しします」

璃奈「もう分かっていると思うけれど、騙すようなことをしてごめんなさい」

恋「夢の中の天王寺さんにお話をして頂きました。わたくしは……それでも、嬉しかったです」

璃奈「……どうして、タイムマシンが欲しかったのか、聞いても良い?」

璃奈「もしかしたら、AIの私が話を聞いたのかもしれないけれど」

恋「……小さい頃、母を亡くしました。もう、家に残っているのはわたくし一人なんです」

恋「せめて、母が遺してくれたものは守りたくて……だけど、今自分がしていることが本当に正しいことなのか、分からなくなって」

恋「タイムマシンで過去に戻って、またお母様と、お父様と一緒にいられることができたら……そう考えたんです」

璃奈「そうだったんだ」

恋「すみません、昨日今日会ったばかりの天王寺さんにこんな話をしてしまって」

璃奈「ううん、いい。私も、小さい頃から両親が家にいなくて、いまもここで一人で暮らしているから、気持ちはちょっと分かる……かも」

恋「ふふっ、そのお話も、夢の中でして頂きました」

璃奈「AIの私、口が軽すぎる。調整が必要。璃奈ちゃんボード[修正]」