璃奈「どうぞ。これが枕型タイムマシン」恋「これが……」
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――夜、葉月家
恋「……」
『――今までお世話になりました。サヤさん、ありがとうございました』
恋「……手紙は、こんな感じでいいかしら。わたくしがこの世界からいなくなった後に、理事長が警察に捜索願いを出したとしても、これがあれば納得してくれるでしょうか?」
恋「あとは、この枕を使って眠るだけ……」
……
………… ――夕方、葉月家
千砂都「それじゃあ葉月さん、また明日ー」
恋「はい、また……明日」
恋「……」
『わたくしには、まだお母様が残してくれた結ヶ丘がありますから』
『母が遺した学校を続けるためには――』
恋「ここは――」
璃奈『家に帰らないの?』
恋「……この世界は、タイムマシンで戻った過去ではないのですね」
璃奈『そう。あの枕の本当の機能は、その時その人が望んでいたものを見せる機能。騙してごめんなさい』
恋「どうりで、家での私は子どもの頃の小さい姿なのに、外に出て嵐さんたちと会うと高校生の姿に戻ったり」
恋「そもそも私が嵐さんや澁谷さんたちと出会ったのは、結ヶ丘に入学してからです。サヤさんの姿も元の世界の姿のままでしたし」
璃奈『新しい記憶も強く残るから、色々混ざったんだと思う。改良の余地あり』 恋「どうして、私の前に姿を現したのですか?」
璃奈『あなたの元の世界に帰りたいっていう意思に、枕の管理プログラムが反応したから私が出てきている。私自身は、ガイドするただのAI』
璃奈『元の世界に、帰りたい?』
恋「はい。この世界は、確かに私が望んだ世界です。母が生きて……両親もサヤさんもチビも、みんなが家にいて」
恋「外に出ると嵐さんたちが待っていてくれて、皆で結ヶ丘に行くんです」
恋「何を悩むこともなく、私は私の思うままでいられるんだって、とても嬉しくて……」
恋「でも、それではいけないんです」
璃奈『どうして?』
恋「元の世界で、母は確かに亡くなりました。私は何度も母が生きていた頃の夢を見てきました」
恋「……その度に、目が覚めると胸が痛みました」
璃奈『この世界なら、ずっとお母さんがいる』
恋「はい。ですが私は、母の死を知っているんです。私がこの世界に甘んじてしまうと、初めてこの世界で目が覚めた時のように、母の死を思い出してずっと怯えていくことになる」
恋「胸の痛みは、母が私と一緒に生きてくれた証なんです。この痛みから逃げてしまうと、その証を否定してしまうことになります」
恋「だから、私は元の世界に帰らなければならないんです。母の生を否定しないためにも……これからの、私自身のためにも」 璃奈『……そう、わかった』
恋「それに、嵐さんたちとは元の世界でも会えますから」
璃奈『学校アイドル部……あなたたちは、スクールアイドル?』
恋「いえ、私は違います。それに……嵐さんたちはスクールアイドル部ですから」
璃奈『……私、あなたの気持ちが少しだけ分かるかも』
恋「え?」
璃奈『私の家は、小さい頃から両親が仕事で家にいなくて、私自身も色々あって笑えなくなって、友達もいなくて……』
璃奈『でも今はスクールアイドル同好会に入って、仲間が増えて、色んな人と繋がることができて……今しかできないことをみんなとやれて、とっても楽しい』
璃奈『私がタイムマシンを作ったのは、些細なことをやり直したかったから。でもそれは、今の私を否定することになる。それじゃあダメだって途中で気付いた』
璃奈『だから、あなたが私の作った枕を使ってくれて、今は凄く嬉しい』
璃奈『きっとあなたも、今しかできないことを仲間とやれる日が来ると思う。だから、そのときは――』
恋「はい。そんな日が来たら、私は――」
……
…………
………………
…………………… ――朝、葉月家
恋「……」
恋「……私は」
「ワォン!!」
恋「チビ……おはよう」
……
………… ――夕方、江東区有明
璃奈「おかえりなさい。どうだった?」
恋「はい、とても助かりました。枕はお返しします」
璃奈「もう分かっていると思うけれど、騙すようなことをしてごめんなさい」
恋「夢の中の天王寺さんにお話をして頂きました。わたくしは……それでも、嬉しかったです」
璃奈「……どうして、タイムマシンが欲しかったのか、聞いても良い?」
璃奈「もしかしたら、AIの私が話を聞いたのかもしれないけれど」
恋「……小さい頃、母を亡くしました。もう、家に残っているのはわたくし一人なんです」
恋「せめて、母が遺してくれたものは守りたくて……だけど、今自分がしていることが本当に正しいことなのか、分からなくなって」
恋「タイムマシンで過去に戻って、またお母様と、お父様と一緒にいられることができたら……そう考えたんです」
璃奈「そうだったんだ」
恋「すみません、昨日今日会ったばかりの天王寺さんにこんな話をしてしまって」
璃奈「ううん、いい。私も、小さい頃から両親が家にいなくて、いまもここで一人で暮らしているから、気持ちはちょっと分かる……かも」
恋「ふふっ、そのお話も、夢の中でして頂きました」
璃奈「AIの私、口が軽すぎる。調整が必要。璃奈ちゃんボード[修正]」 恋「あ、それともう一つ、天王寺さんはスクールアイドルをやっていらっしゃるのですね」
璃奈「うん。今年から始めた……もしかして、あなたも?」
恋「いえ、私はまだ……」
璃奈「まだ……って、スクールアイドル、やってみたいの?」
恋「どうでしょう? まだ心に思っている事に引き摺られているだけなのか、それとも……いえ、まだ分かりません」
璃奈「それじゃあ、私が今度やるライブを見に来て欲しい」
恋「天王寺さんのライブ、ですか?」
璃奈「私はステージの上で、ファンのみんなと繋がることが出来るのが嬉しい。同じ気持ちを共有できるから」
璃奈「だから、葉月さんとも繋がってみたい。スクールアイドルをやっている私の気持ちを知って欲しいって思った」
恋「……分かりました。ぜひ、見に行かせてもらいます」
璃奈「楽しみにしている。璃奈ちゃんボード[やったるでー]」
恋「はい、わたくしも……もう少しだけ、頑張ってみようと思います」
……
………… ――翌日
璃奈「……」
かすみ「お? どしたのりな子? ぼけーっとしちゃって、口からヨダレ垂れてるぞ〜?」
璃奈「……金髪巨乳もいいけど、黒髪ロング大和撫子もやっぱり最高だなって」
かすみ「は?」
おわり 過去改変して没落黒髪ロング大和撫子を洗脳して
天王寺家の下僕メイドに仕立て上げる鬼畜りなりーの作戦って話にしようと思ってたのに
古戦場やりながら書いてたら何書いてるかよく分からんくなった 普通に切なくていい話だった、次回のレンちゃん回楽しみだわ
後書き?何のこったよ 書いてる内容と書いた側の脳内のギャップ差が激しすぎる ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています