歩夢「KILL THE FIGHT」ss
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代行ありがとうございます。助かりました
ノーマルルートの後ハッピールートを書かせていただきます
規制回避のため書く際は5分に1レスでやらせていただきます 久しぶりに子供の頃の夢を見た
侑ちゃんと初めて友達になった日の夢を
今思うとイマジナリーフレンドみたいなものだと思うんだけど、幼稚園の頃、私は大きな蛇さんとお話しできたんだ
話せるようになったきっかけは河原で沢山の鳥に襲われてた蛇さんを助けてから
友達がいなかった私は、いつもその子とお喋りしてた
だからね、ある日幼稚園で好きな動物は?って保母さんから聞かれた時、大きな声で蛇さんって答えたの
そしたらみんなから気味悪がられちゃったんだよね
それからしばらく意地悪なことをされちゃってたんだけど、その時ゆうちゃんが私を守ってくれたんだ 助けてくれた後、ゆうちゃんは笑顔で私の心配をしてくれた
なのに、私は目の前のゆうちゃんが痛そうで、自分が情けなくて泣いちゃって
そんな私を見てゆうちゃんがオロオロして…
それが侑ちゃんと仲良くなったきっかけだったな…
ゆうちゃんと仲良くなれてから蛇さんとはお話しするどころか会えなくなっちゃった
悲しかったけど、きっと私に友達ができたから安心してどこかへ行っちゃったんだろうなって思ったんだ。まあ、実際は妄想に逃げなくて良くなったからなんだろうけどね
懐かしいな。確か、あの子の名前は… 歩夢「はぁ…」
菜々「歩夢さん?元気がなさそうですが大丈夫ですか?」
歩夢「あぁ、ふふっ大丈夫だよ。心配させちゃってごめんね?」
お昼時、ふと夢を思い出して思わずため息が漏れちゃう
あの蛇さん名前は何だったっけ?今も元気にしてるかな?なんて…変だよね
でもただの妄想だとしても、彼女は私の友人だったんだもん
でも、それをせつ菜ちゃんに聞かれちゃった だけど、今日ここにいるのがせつ菜ちゃんだけで良かったって考えようかな
最近、お昼は2年生組で部室に集まって食べてるんだけど、今日はせつ菜ちゃんと2人きりなんだ
今日、愛ちゃんは理奈ちゃんと中庭で昼食を食べるみたい
侑ちゃんは音楽科での課題が忙しいみたいでしばらく来れてないな…勿論登下校や同好会中は会えるから寂しくないよ!
でも、本人は隠してるんだろうけど、最近凄く疲れてそうだからそれはかなり心配かな… 菜々「何か悩みがあるなら気にせずなんでも相談してくださいね!歩夢さんの力になれるなら私も嬉しいですから!!」
歩夢「ありがとうね、せつ菜ちゃん。別に何か悩んでるってわけじゃないんだよ?ただ…」
菜々「ただ…?」
歩夢「もう会えない友達を夢で見ちゃって…」
菜々「えっ!?あっ、そのぅ、ごめんなさい!」
歩夢「えっ?」
歩夢「…あっ!?ごめんね。違うの、違わないけど違うのっ!」 ーーーーーぽむ説明中ーーーーー
菜々「なるほど、友達とは小さい頃に遊んでた蛇のことだったんですね!」
歩夢「うん、誤解させちゃってごめんね」
菜々「いえいえ、お気になさらず。ところで、その蛇さんはどんな姿だったんですか?」
歩夢「もう名前すら思い出せないんだけど、紫色ですっごーく大きかったのは覚えてるよ」
歩夢「今思うとありえない事だし、寂しさを紛らわす為の妄想だったんだろうなってわかるんだけど…」
歩夢「それでも私にとって大事な友達って事だけは変わらないから」
菜々「仲が良かったんですね!」
歩夢「いきなりこんな話ししてごめんね。変だよね、忘れて」
ふと我に帰る
勢いでとはいえ、憧れの友人に変なことを話しちゃった後悔が急に押し寄せて来る
歩夢(妄想をこんなに熱く語るなんてヤバい奴だよ!)
冷房が効いている室内だというのにどんどん顔が熱くなっていく 菜々「変なんかじゃありませんよ!!!何であれ友達を大切に思う気持ちは大切なものです!!」
でも、そんな不安な気持ちはせつ菜ちゃんの元気な声にかき消された。
菜々「歩夢さんがそこまで想える相手なのですからどういう存在であれ、素敵な友人だったんでしょうね」ペカー
ただ少しの言葉なのにこんなに元気付けられるのは、私が単純だからなのかせつ菜ちゃんのエネルギーが凄いからなのか…
歩夢「ありがとう。ごめんね、こんな事話しちゃって。侑ちゃんにも話せたことのない話だったんだけど」
菜々「侑さんにも話したことないんですか!!」
歩夢「ひゃぁっ!?えっ?うん、そうだよ」
食い気味に来るせつ菜ちゃんにビックリしちゃった…
歩夢「あはは、せつ菜ちゃん相手だと何でも話しちゃうな。これは2人だけの秘密にしてね」ニコリ
菜々「はいっ!!!勿論です!!!」
菜々(それだけ歩夢さんが私を信用してくれてるってことなんでしょうか!!だとしたらとっても嬉しいですっl!) その後も色々雑談をした。今日の授業や同好会の練習について等の話を
予鈴がなるとせつ菜ちゃんが何か慌てたように口を開く
菜々「そうだっ、話は変わりますが今日遊びに行きませんか?今日は親の帰りが少し遅いので、歩夢さんが大丈夫なら」
ワクワクを抑えきれていないその声に、私まで嬉しくなっちゃう
歩夢「わぁ、せつ菜ちゃんから誘ってくれるなんて嬉しいな。折角だし侑ちゃんと愛ちゃんも誘って4人で行こっか。」
菜々「…ええ、そうしましょうか」
お昼の時間は今日も穏やかに流れていく。
侑ちゃんはお勉強大丈夫かなぁ? 音楽科教室
ボス「ねえ、あんたこんなんでよく音楽科来ようと思えたね」
今日もだ
「スクールアイドルの為とかさぁ、なめてんの?」
「なんとか言えよ」
肩を押されてバランスを崩すと、周りから嘲笑が聞こえて来る 最初の内は、同好会のファンだという子や愛ちゃんの友達が私を庇おうとしてくれていた
だけど
「ボスさんの親、音楽業界にかなり影響力持ってるから関わんない方が良いって」
「ボスさんの家裏社会との繋がりがあるって噂だよ。可哀想だけど放っておくしか無いよ」
こんな言葉があちこちで交わされる内に誰も口を出せなくなっていった
先生ですら見て見ぬ振りだ
ブレーキがない今、嫌がらせはエスカレートしていくばかりだ
最初はただの陰口だったと思う。
それが悪口に変わって
そして 「最近私太ってきちゃったからさぁ、今日も昼休みサンドバッグになってよ」
「うわっ、本当に太ってんじゃんw」
「良いね〜。私もそれやる」
「マジかよ。お前ら格闘技やってんだし壊すなよ」
「壊しちゃっても高咲さんが耐えられないのが悪いんじゃない?」
「お前サイテーだなw」
ボス「まあ、もしなんかあっても私が揉み消せるから安心してよ」
「流石金持ち」
ギャハハという耳障りな笑い声を聞きながら必死に体の震えを抑える
今日も歩夢とお昼食べられそうにないや。
大丈夫だ、大丈夫。私には同好会があるんだから。今を耐えれば放課後皆に会えるんだから。大丈夫だ
今日も長い1日が始まる 放課後
侑「みんなお待たせー」
歩夢「侑ちゃん、待っ…侑ちゃん!?大丈夫?」
侑「大丈夫だよ。も〜歩夢ってば急に何言うのさ」
歩夢「ごっ、ごめんね。ただ、最近雰囲気が違うように感じちゃってて」
かすみ「ええー、かすみんにはいつもとおんなじにしか見えませんよー」
愛「そうそう、歩夢ってば心配性だなぁ。もう少し心配小で大丈夫っしょう!」
しずく「うーん、ですが言われてみると確かに何か普段と違う感じがしますね。」
璃奈「確かに少し疲れてそうな感じ。愛さんの寒いギャグにも反応してない」
愛「り、りなりーw?」 侑「…あー、それは」
エマ「もしかして課題が忙しかったりするのかな?」
侑「…!うんっ、そうそう。中々難しくってさぁー」
果林「勉強なんて少しサボるくらいで丁度いいんだから、あまりこんを詰めすぎない方が良いわよ?」
エマ「果林ちゃんがそれを言うのは流石に草だよ〜」
果林「エマァ⁉」
彼方「疲れてるなら今日の同好会は皆んなでスヤピタイムにする〜?」
せつ菜「それは彼方さんが寝たいだけなのでは…?とにかく侑さん、無理はしない方が良いですよ!」 みんなに心配させちゃってることが心苦しいけど、本当のことを言うわけにはいかないよね
皆良い人だからきっと巻き込むことになっちゃうもん
侑「心配かけちゃってごめんね。今はついていくのがやっとでさー」
私は努めて笑顔で言う。これも嘘ではないんだから
侑「お昼寝したいのは山々だけど、今日も皆の練習をみていたいな」
同好会の時だけは辛いことから目を背けていたい
例えそれが解決への逃げでしかないとしても
痣を隠す為に羽織るジャージが暑い。それに汗が染み込んで、更なる不快感を生んだ 練習後
かすみ「歩夢せんぱーい、一緒にストレッチやりましょうよ〜」
ストレッチに歩夢先輩を誘います
歩夢「かすみちゃん、うん。お願いするね」
かすみ「はいっ!かすみんに任せてくださいっ」
ちょっと痛くしてやろうと思ってたのに歩夢先輩の笑顔で毒気を抜かれますが、かすみんはそんな笑顔に負けませんよっ!
力を込めてゆっくりグイーッと押します。
かすみ「痛かったら早く言って下さいね〜」
歩夢「はーい」 んんん?あれ?めっちゃ伸びません?前はもう少し固かったですよね
かすみ「もっ、もし痛いんだったら無理しないで下さいね」
歩夢「自分でもこんなに伸びることにビックリしてるけど、大丈夫だから安心して」
歩夢「ふふっ私こんなに伸ばせるようになってたんだね♪ありがとう、かすみちゃん」
歩夢先輩に姿に色々な意味で負けた気がします…流石かすみんのライバル、手強いですね
まあ、今日のイタズラはここまでにして少しお話でもしましょうか… かすみ「歩夢先輩ってどんどん歌も動きも良くなってますけど、お家に帰ってからも練習したりしてるんですか?」
歩夢「本当?かすみちゃんにそう言ってもらえるなんて嬉しいな。」
歩夢「うーん、スクールアイドルの練習はお家だと軽い発声練習とストレッチ位かな」
かすみ「歩夢先輩のお家って確か侑先輩とおんなじマンションでしたよね?大声出して大丈夫なんですか?」
歩夢「うん。流石に凄く大きな声は出せないけどね」
歩夢「防音がしっかりしてるから窓を開けなきゃ大丈夫なの。昔侑ちゃんと壁を叩き合っても全然わからなかった位だからね」
かすみ「はえー、それは良いですね」 歩夢「かすみちゃんはお家に帰ってからも練習してるの?」
かすみ「よくぞ聞いてくれましたっ!」
かすみ「かすみんはぁ、いつでもスクールアイドルなので生活の全てが練習なのですっ」
歩夢「ふふっ、かすみちゃんはいつも可愛い頑張り屋さんだもんね」
かすみ「えへへ〜歩夢先輩もっと褒めて褒めてぇ〜」
ニコニコしながら頭を撫でてくれる歩夢先輩。やっぱり可愛いなぁ
他の人相手だと皮肉を返されちゃうようなことを言っても褒めてくれるし…
歩夢「あっ、もうこんな時間!?かすみちゃんごめんね、もう行かなきゃ」
歩夢「またゆっくりお話ししようね」
歩夢先輩はこれから2年生組でお出かけみたいなので着替えた後、足早に校門へ向かって行っちゃいました
いいなぁ、かすみんも歩夢先輩とお出かけしたいなぁ。しず子もりな子も少し前にそう言ってたし
今度一年生ズのおデートに誘ってみようかな しずく「もう、かすみさんまた歩夢先輩にちょっかいかけてたの?そろそろ怒られちゃうんじゃない?」
かすみ「ヴェッ!?しず子見てたの?」
璃奈「私も見てたよ」
かすみ「りな子まで⁉」
かすみ「うぅ〜、今日は一緒に柔軟してただけだよ」
しずく「それにしては必要以上に強く押そうとしてたように見えたけど…」
バレてる⁉ かすみ「いや、でもほらっ、歩夢先輩って怒らなそうじゃない?万が一怒っても怖くなさそうっていうか」
璃奈「怒る怒らないの問題じゃないと思うけど…確かに歩夢先輩って怒ったらどうなるんだろう」
しずく「前怒ってもらった時は可愛いだけだったよ?」
かすみ「!?」
璃奈「!?」
かすみ「えっ!しず子ってそういう趣味の人だったの⁉」
璃奈「璃奈ちゃんボード ドン引き」 しずく「!?違う。違うよ、違うの!普段優しい人が怒ったらどうなるのかを演劇の参考にしたかっただけなの!」
しずく「本当なの!あからさまに距離取らないで」
かすみ「安心して桜坂さん、私はどんな桜坂さんも大好きだから」
璃奈「かすみちゃんの言う通りだよ桜坂さん。私たちはいつまでも仲良しトリオ」
しずく「絶対嘘じゃん!あからさまに距離出来てるよ」
かすみ「ごめんごめん、冗談だよしず子」
璃奈「ごめんね。しずくちゃん」
しずく「むぅっ」 璃奈「話を戻すけど、歩夢さんみたいな人ほど本気で怒ると怖いんじゃない?」
かすみ「じゃありな子、怖い歩夢先輩を想像できるぅ〜」
璃奈「それは想像できないけど…例えば侑さんがらみだったらどうかな?」
かすみ「ああ、確かに。侑先輩をかすみんがメロメロにしちゃえば怒るところが見れるかも」
かすみ「桜坂座長はどう思いますか?」
桜坂座長「そうですねぇ、歩夢先輩には少々自罰的なところがありますからその場合は怒るというよりは、自分の魅力不足を嘆き落ち込むのではないでしょうかぁ?」
かすみ「しず子って案外ノリいいよね…」
歩夢先輩が悲しんでるところは見たくないなぁ…
桜坂座長「あり得ない話ではありますがぁ、例えば侑さんがイジメられたりすれば本気で怒るのではないかと個人的には考えますねぇ」
桜坂座長「その時どう行動するかは全く予測できませんがぁ」
かすみ「なるほどぉ」
って、違う違う。かすみんは別に怒らせたい訳じゃないんだった しずく「兎も角、歩夢さんにいたずらしちゃダメだよ」
璃奈「…あゆぴょんだけに?」
かすみ「は?」
璃奈「…」
璃奈「かすみさん。メッ」
かすみ「何が!?」
しずく「わっ、今の私の真似?もう一回やって!」
璃奈「えぇっ…」
ワイワイガヤガヤ
我ら一年生同盟の中では歩夢先輩人気が高いです。優しいし頑張り屋ですし優しいですし、その上かすみんの次くらいに可愛いので当然です
誕生日的に実質一年生みたいなものだし同盟に加わってくれないですかね?
それはそれとして、高い壁こそ超え甲斐があるというもの
かすみ「打倒歩夢先輩だー」
かすみんが唐突に拳を突き上げると周りの仲間も拳を挙げている。本当にノリいいですねっ! ゲームセンター
菜々「ゲームセンターですよ!ゲームセンター!!テンション上がりますねぇ!!」
歩夢「ふふ、本当に楽しそうだねせつ菜ちゃん」
侑「だね。こっちもテンションが上がってくるよ」
放課後に侑ちゃんを誘うと、息抜きは大事だよねって二つ返事でOKしてくれた
愛「仲間との時間が大切なんだよ!せつ菜だけに」
侑「ぷくくく」
愛ちゃんも今日はお店の手伝いが無いみたいでOK!二年生みんなが揃って遊びに行けるのは久しぶりで嬉しいな
せつ菜ちゃんのエネルギッシュな雰囲気と、愛ちゃんの太陽みたいな明るさのおかげで侑ちゃんも元気が出て来たみたい 菜々「せっかくですし対戦しましょうよ!」ペカー
愛「おっ、やろやろー」
侑「せつ菜ちゃん、愛ちゃん、それは…」
歩夢「良いよ、やろう」
菜々「全力の真剣勝負です!!熱くなってきますねぇ!!」
愛「愛さん負けないぞ〜」
歩夢「まずはあのシューティングゲームからやろっか」
菜々(歩夢さんが素敵な笑顔です!とっても素敵な笑顔です!!)
菜々「良いですね。負けませんよぉ〜!」
愛「私だってりなりーとゲーム結構やってるんだから負けないよーっ!」 シューティング、レース、格ゲー色々やった結果…
菜々「完敗しました…」
愛「いやー、負けた負けた。もしかして歩夢って未来予知とか出来るの?」
歩夢「出来ないよ!?」
愛「あっははは、だよねぇ〜」
愛「いやあ、まるで未来が見えてるとしか思えないような戦法だったからさ」
菜々「まさか歩夢さんがここまでゲームに強いとは思いませんでしたよ…」
愛「本当本当、これならりなりーとも良い勝負出来るんじゃない?」
歩夢「えへへ、そうかな?今度一年生のみんなとも遊びに来てみようかな」
侑「あはは、歩夢は変なゲームにハマってからゲーム全般異常に強くなったから仕方ないよ」 菜々「変な?」
愛「ゲーム?」
歩夢「あれはあれで慣れると面白い時もあるんだよ?人の思考の限界が見れるもん。」
歩夢「それに理不尽なトラップに対応する内に反応速度や相手の思考や思考外のトラブルを読む力が鍛えられるんだ。ふふっ、クソゲークソゲー」
侑「歩夢!?」
愛「せっつー、くそげーって何?」
菜々「歩夢さんが愛好家というのは意外ですが…クソゲーとはですね---」 歩夢「えーっと、そうだっ!ハンデつけようか?」
菜々「正々堂々勝ちたいんですっ!」
愛「同じくー!」
とは言ったもののその後も愛さん共々負けに負けてしまいます
というか私、愛さんにもかなり負け越してます
…むぐぐぅ、流石に悔しいです
どうしたら歩夢さんに勝てるでしょうか…
と思いながら
ふと目に入った機械を見て閃きました!
愛さんにアイコンタクトを送り、お互いに頷いて 菜々「パンチングマシンをやりましょう!!」
愛「愛さん賛成!」
侑「遂に勝つ手段を選ばなくなって来たね2人とも…でも確かにそれなら勝てるかも。せっかくだし私も参戦するね」
歩夢「ひどいよ侑ちゃん〜」
菜々「では4人の対戦ですね。それぞれ3回打って1番大きかった数値で勝負ですっ!」
チャリン 菜々「まずは私から行きますよー!!!」ドーン
手足を大きく振りかぶって、投球のようなフォームで勢いをつけて叩きつけます
727kg
侑「せつ菜ちゃん凄いっ!」
愛「へー、こうやるんだねぇ」
歩夢「何かよくわからないけど凄いのかな…?」
菜々(ふふふ、こういうこともあろうかと昔から1人で練習していたのです。ゲームは攻略法が大事なんですよ)
菜々(愛さんに実際のパンチ力では敵わないでしょうがこれなら勝機がありますっ!) 俺のホワイトデーの体験だ。
いつものように明け方ブウォーという法螺貝の音がとこからともなく響いてきた。
やっぱり来たな。
俺は思った。
滝壷の前に山伏姿で天狗の面を被った男が現れた。
男は山伏装束を脱いだ。
六尺一本の逞しい身体が現れた。
もう春がすぐそこだから肌はますます浅黒く濃い体毛が胸から下腹に続いていた。
男の股間は隆々と盛り上がっていた。
天狗男は六尺も解いた。
天狗の鼻のような魔羅がビンと飛び出した。
俺の縮こまっていた魔羅も鎌首をもたげ始めた。
俺も六尺を解くと天狗男に尻を向けた。
天狗男の魔羅が俺の雄穴に一気に突き入れられた。
天狗男は低い声で呪文を唱えながら俺を掘った。
俺も天狗男の動きに合わせて腰を振った。
激しい交尾で俺達の身体はどんどん熱くなり湯気が立ち昇った。
天狗男は俺の中に熱いホワイトを注ぎこんだ。
俺もホワイトを放った。
二匹の雄はしばらくそのまま抱き合っていた。
やがて天狗男は身繕いをするとどこへともなく消えて行った。
年に一度のお返し。
俺はこれが楽しみで毎年チョコをあげに来ているのさ。 愛「んじゃ、次は愛さんがやるよ〜」
愛(これやったことないんだけど、せっつーのを見て大体攻略法はわかったよ)
せっつーの動きをトレースする
愛「いっくよー」ドン
247kg
愛「ありゃっ?」
愛(想定よりは大分低かったけど感覚は掴んだっ!) 侑「次は私がやるねー」
侑「えいっ」
37.743kg
侑「あれー、おかしいなあ」
歩夢「侑ちゃん…」
侑「いっいや、せつ菜ちゃんと愛ちゃんが凄すぎるだけだからね。女子高生なら私の方が普通だからね!」
菜々(少々失礼ですがこれに負けることはなさそうですね!)
菜々(歩夢さんがパンチをするイメージは浮かびません。愛さんは間違いなく強敵ですが慣れてない様子、これなら勝てそうですっ!) 歩夢「うう〜、私の番かぁ」
侑「怪我しないで、気をつけてね」
歩夢「ふふっ、心配ありがとう」
歩夢「ふ〜〜っ」
歩夢「えいっ」ポムーン
菜々(フォームは存外様になっていますがストレート。もっと大きく振りかぶらないと数値は出ませんよ歩夢さん!)
菜々(ゲームなら攻略法を学ばなくては、ふふふこれじゃあ良くて100といったところでしょうね!)
556kg
菜々「えっ!?」
侑「えっ!?」
愛「おーっ!」 菜々「はああっ!!!?」
歩夢「ひゃわぁっ!?きゅっ急に大声出さないでよぉ」
菜々「しっ、失礼しました。」
愛「歩夢凄いじゃん」
歩夢「そうかな?ふふっ、ありがとう」
侑「歩夢って私に隠れて格闘技とか習ってた?」
歩夢「やってないよ!?」
菜々「やってなくてこれですか…」
歩夢「あっ、格ゲーの動きは練習してたよ」
侑「ああ、あの…」
歩夢「先に言うけどあれはクソゲーじゃないよ。あれは原作再現キチンとしてるし、一部では一周回ってバランスのとれた神ゲーって意見もあるちゃんとしたゲームなんだからねっ!」
侑「わかってるって。何度パーフェクトを決められたか…」 愛「おっ、じゃあ今度愛さんにもそのゲーム教えてよ。りなりーとやってみたい」
菜々「歩夢さん!私にも!教えて!下さいっ!」
歩夢「勿論だよ。せつ菜ちゃんはお家でTVゲーム出来ないだろうから、今度アーケードでやろうね」
歩夢「ふふっ、楽しみだなぁ」
侑「って、そんなんじゃなくて!」
侑「ちゃんと習ったりはしてないの?」
歩夢「やってないよぉ…昔からずっといっしょにいたんだからわかるでしょ?」
侑「そうだけどさぁ…」
歩夢「侑ちゃんの数値が低すぎただけでこれが普通の数値なんじゃないの?せつ菜ちゃんの数値には届いてないし」
愛「…愛さん自分では運動神経ある方だと思ってたんだけどなぁ…」
侑「ほらっ愛ちゃん落ち込んじゃったよ。私もだけどっ!」
歩夢「えっ?あぁっ、違うよっ。そういう意味で言いたかったんじゃないのっ」
愛「へへっ、じょーだん」
歩夢「…っ!もうっ!愛ちゃんっ!もうっ!」
愛「あははは」
菜々(落ち着きなさい私、想像以上の数値は確かに驚きました)
菜々(ですが歩夢さんは数値を出すやり方は知りません。まだ十分に勝ちの目はあります!) 愛「うえーん、そんなぁ」
菜々(2回目、私は773、侑さんは8、愛さんは歩夢さんのフォームを試して86.86でしたが歩夢さんは…)
歩夢「うーん、こうかな?」ポムン
637kg
せつ菜(ストレートでこの数値…人には意外な才能があると言いますが、これは…) 菜々「みなさんっ!あと一回でラストですよ!」
菜々「負けません、負けませんよぉ〜!歩夢さん!!」
侑「せつ菜ちゃん、一応私もいるんだよ?」
愛「あはは。そーだそーだー」
歩夢「ふふっ」
菜々「うおお!せつ菜 スカーレット ストーム!!!」ズドーン
825.1kg
せつ「よしっ」グッ
菜々(やりました!自己新記録ですっ!最終回に覚醒するヒーローみたいですっ!!) コツあるとは言えこれだけ出せるせつ菜もすごいと思う 侑「ここで逆転するんだからね」
侑「えいっ」スカッ
ERROR
侑「なんでさ」 やったことないからわからないけど愛さんと比べるとかなりすごいのはわかる 愛「ここで逆転だよー」
愛(せっつーのフォームで行こう。私じゃ歩夢のフォームで数値が出ないもん)
愛「愛さんのパンチには耐えられなあい!」ドーン
侑「ぷひゃはははは」
315.8kg
愛「ああっ、ダメかぁ…」 歩夢「私のこれで最後だね」
菜々「さあ、歩夢さん早く魅せて下さいっ!あなたの全力をっ!」
愛「せっつーのキャラが変わって私は切ないよ」
侑「あははははは」
歩夢「いつも通りのせつ菜ちゃんだと思うよ…」
歩夢「ふぅっ」
脱力してステップで勢いをつけてストレートっ
歩夢「イヤァッ」ポムムーン
歩夢(よし、今までで最高の手応え!)
ERROR
歩夢「ええっ!?」 侑「あはは、歩夢も私と同じじゃん」
歩夢「うう〜、手応えはあったのにぃ」
菜々(同じ…?)
愛(いやいやいや、速すぎて歩夢の動きほとんど見えなかったんだけど…)
菜々「歩夢さん、大砲みたいで凄くカッコ良かったですっ!」
歩夢「大砲みたいって、それ褒めてるの?」
菜々「勿論です!」
歩夢「うぅ、もう少し可愛い例えが良かったよ。でもありがとう」
愛「あっお礼言っちゃうんだ…」 侑「結局せつ菜ちゃんが一位かぁ」
歩夢「結局私たち一回もせつ菜ちゃんより上の数値を出せなかったよ」
愛「悔しーなーもうっ」
菜々「昔から1人で数値を出す練習していたので私が有利だっただけですよ!」
菜々「正直、歩夢さんがストレートであの数値を出せる方がすごいと思いますっ!」
菜々「歩夢さんはとても美しいフォームでしたし、愛さんはこのゲームに慣れていなかっただけでしょう。侑さんは一生懸命さが伝わってきました!」
菜々「是非また遊びましょう!!」
侑「あれ?私だけ褒められてなく無い!?」
歩夢「侑ちゃんはマネージャーさんだから仕方ないよ。いつも練習のサポートありがとうね。」
侑「うぅっ、歩夢ぅ」 愛「りなりーと一緒に練習してまた挑ませてもらうよ」
愛「せっつー、歩夢、次は絶対勝つからね!」
菜々「なんのっ、負けませんよ」
歩夢「あはは。受けて立つよ、愛ちゃん!」
歩夢「菜々ちゃん、今日は本当にありがとうね。おかげですっごく元気が出たよ!またリベンジさせてね」グー
菜々「!はいっ、いつでも挑戦お待ちしてます!!!」コツン
侑「…」ジーッ
歩夢「愛ちゃんも今日はありがとうね」
愛「なぁに水臭い事言ってんのさ、愛さんも楽しかったよ。じゃあ、愛さんはハイターッチ」
歩夢「ふふふっ」パァン
愛「またみんなで遊ぼうね〜」
菜々「はいっ!約束ですっ!」
侑「そうだね」
歩夢「うんっ、絶対また遊ぼうね」 「すいませーん、店員さん。お金入れたのにこのパンチングマシン起動しないんですけどー」
「ええっ!?新調したばかりなのにそんな訳が…本当ですね…」 帰り道
愛「じゃあ愛さんこっちだから」
菜々「私もここで。歩夢さん侑さん、また明日」
歩夢「愛ちゃん菜々ちゃん、また明日ね」
侑「ばいばいー」
帰路を歩夢と歩く
今日はほんの少しの時間だけど、久しぶりにあのことを忘れられた
侑「今日は楽しかったね」
だからこそ、今日が終わるのが寂しい
歩夢「そうだね。きっと明日も楽しいよ」
そんな私の心を見透かしたように、歩夢が笑いかけてくれる 侑「…うん、そうだね」
歩夢「ねえ侑ちゃん。」
侑「ん?なあに歩夢」
歩夢「再来週金曜日のお祭り、今年はみんなも誘って行こうよ。」
侑「お祭り?ああ、毎年2人で行ってるあの治世防神社の?」
歩夢「それそれ。もしかして忘れてた?」
侑(元気の無さそうな私を気遣ってくれてるのかな)
侑「あはは、忘れる訳ないじゃん。もちろんいいよ。」
断る理由はない。歩夢と2人きりじゃない事は不満だけど、みんなといるのもそれはそれで楽しいから。 歩夢「いつもありがとうね」
侑「こちらこそ。どうしたのさ、改まって」
歩夢「私ね、今まで侑ちゃんに助けてもらってばっかりだったでしょ?」
侑「違うよ」
歩夢「ふふっ、ありがとう侑ちゃん。でもね、私はそう感じるんだ」
歩夢「だからもし侑ちゃんが困ってるなら、今度は私が侑ちゃんの力になりたいの」
歩夢「もし何かあるんだったらなんでも言って。絶対、絶対力になるから」 やっぱり歩夢には敵わないなぁ。今日一日中ボロが出ないようにしてたのにバレてたなんて。
月明かりの下、私の少し前を歩きながらこちらを向く優しい目
それは普段の可愛らしい物とは異なって神々しい美しさすら感じる
その中に焔のような決意が込められているのを見ると、いっそのこと全てここで言ってしまいたくなっちゃう
侑「本当になんでも無いよ。歩夢は心配性だなあ」 苦笑しながらいつもの軽口を言うように返答する。歩夢に言えるわけがない。
付き合いが長いからこそわかる。心優しい幼馴染は自分を顧みずに、それこそ文字通り本当に何をしてでも私を助けようとしてくれるだろうって
それでもし歩夢が怪我をしたら?歩夢までいじめられるようになったら?
それを考えるだけで全身の血が凍りつくような悪寒が走る
侑(自分の為に好きな人を危険にさらすなんてことは出来ないもんね) こういう時に逆の立場になって考えられる余裕があれば 歩夢「何もないなら良いんだけど…何かあったらいつでもなんでも話してね!」
侑「わかったよ、歩夢お母さん」
歩夢「侑ちゃんっ!もう」
罪悪感を誤魔化すように歩夢と握っていない方の手で拳を握り締めて軽口を返す
きっとこれも強がりだってバレているんだろうなと思いながら
歩夢「あっ侑ちゃん、見て見てっ!お花が咲いてるよ」
わかりやすく話題を変える可愛い幼馴染に思わず笑みがこぼれる
歩夢の指差す先、色鮮やかな花壇で偶然目に留まった真っ赤に咲く遅咲きのオダマキを暫く見つめてから家路を進む 翌朝
歩夢からのモーニングコールで重い瞼を開ける
音楽科に行ってからはわからないことだらけで、おまけに最近は学校でまともに勉強できないから私は夜遅くまでピアノの練習や勉強をしている
今までは気がつかなかったんだけど、歩夢の部屋からは毎日夜遅くまで空気を切り裂くような音が微かに聞こえてくるんだ
歩夢もスクールアイドルの練習を頑張ってるんだなって感じると身が引き締まるよ
昨日も遅くまで歩夢の部屋から音が聞こえてたけど、それでもモーニングコールが遅くなることは無い
侑(凄いなぁ歩夢は)
寝ぼけ眼を擦りながらベランダに出る
歩夢「おはよう侑ちゃん」
侑「おはよう歩夢」
歩夢「今日もいつもの場所で待ってるからね」
侑「うん。了解」 一言二言話すだけだけど、大切な朝のルーチン
歩夢と話しただけで元気が出て来る
侑「よしっ、頑張ろう」
スマホのメッセージを確認すると歩夢がグループチャットでみんなをお祭りに誘ってくれていた
返信を見るとみんな行けるみたい
侑(今年は2人きりじゃないんだね…)
侑「…ふふ」
みんなと行ける嬉しさの中に歩夢を独り占め出来ない嫉妬心があることに気がついて苦笑する
のそのそと時間をかけて着替えた後、朝食を食べながらボーッとニュースを見る
『昨夜18時位頃、2人の女子高生が…市のマンション屋上から飛び降り死亡する痛ましい事故が発生しました。現場には遺書が残されていたことから警察は…』 侑(…歩夢と2人でならそれも良いな)
侑(歩夢と手を繋いで、一歩踏み出して2人だけで誰の手も届かない所に行く)
侑(それはそれできっと素敵な事だよね?)
侑(?)
侑「…ッ!?」
急いでテレビの電源を切る。
侑「はぁ、はぁ、はぁ」
侑(何を考えていたの!?私は)
侑(昨日あんなに楽しかったのに何を考えているの!?)
まるで自分で自分の感情をコントロールできなくなったみたいだ
気分を変えるために顔を洗う。だけど、どんなに洗っても黒い感情はまるでこびりついたコールタールのように落ちてくれない
洗面所の鏡には見たことのない私の顔が映っていた
深呼吸して何とかいつもと同じ表情を作る 歩夢を待たせちゃダメだよね
どれ程の時間そうしていたのだろうか
早く出なきゃ
家の鍵をかけて急いで待ち合わせ場所に向かう
マンションの入り口にはいつも通りの歩夢がいた
やや殺風景なその場所も彼女がいるだけで色鮮やかな花畑のように見える
侑「ごめんね、お待たせ歩夢」
歩夢「平気だよ、私も今来たところだから」
歩夢の笑顔に心がトキメク
どんなに頑張っても洗い流せなかった黒い感情は、それだけで風に吹かれた埃のように霧散した 歩夢「侑ちゃんおはよう」
侑「歩夢、おはよ」
歩夢といると本当に心が安らぐ。さっきまでの不安も吹き飛ぶくらいに
他愛もないことを歩夢と話しながら歩くこの時間は、何にも勝る至福だ
ずっとこのまま時間が止まってくれたらどんなに幸せだろう
このまま学校に着かなければ…
だけど現実は非情で、私は一歩一歩そこへ向かっていて
気がつくともう校舎は目の前だった
終わって欲しい時間は簡単に過ぎ去ってくれないのにね
歩夢「今日お昼は来れそう?」
侑「えっ?あー、ごめんね。今日も課題があって行けそうにないや」
歩夢「そっか、じゃあ今渡しちゃうね」
侑「?」 歩夢「はい、これ」
侑「歩夢、これは?」
歩夢「侑ちゃんっていつもお昼御飯は購買のパンでしょ?」
歩夢「気分転換になるかなって思ってお弁当作って来たの」
歩夢「もし迷惑だったらごめんね」
侑「迷惑な訳ないよ!歩夢のご飯大好きだもん。本当に貰っちゃっていいの?」
歩夢「勿論だよ、自分の分を作るついでだから気にしないで」
侑「わあっ、本当に嬉しいよ。ありがとう歩夢」
歩夢「ふふふっ」
侑「どうかしたの?いきなり笑って」 歩夢「ごめんね。大好きって聞いたらせつ菜ちゃんが思い浮かんじゃって」
侑「…ああそう」
侑「確かにせつ菜ちゃんと言ったら大好きだもんね」
歩夢「今度せつ菜ちゃんの分も作って感想聞かせてもらおうかな」
侑「せつ菜ちゃんはお母さんが作るお弁当があるから必要ないと思うよ」
侑「感想聞きたいならおかず交換するくらいにしておきなよ」
歩夢「確かにそうだよね。うぅ、また暴走しちゃう所だったよ」
侑「そういう所も可愛いよ」
歩夢「うぅ…兎に角っ!私に手伝えることがあったらいつでも何でも言ってね?」
侑「ありがとう歩夢。うん、今日も頑張るね」 昼休み
歩夢「という訳で、今日は侑ちゃんのお弁当作ったんだ」
菜々「へえ、そうなんですね」
菜々「…歩夢さんはもしも私が幼馴染だったらお弁当作ってくれますか?」
歩夢「えっ?」
菜々「えっ?あれっ?すいませんっ、私ったら何を言ってるんでしょうか…」
歩夢「菜々ちゃんが作ってきてほしいなら私作ってくるよ?」
菜々「えっ…」
菜々「本当ですかっ!?」 歩夢「ふふっ一人分作るのも3人分作るのも大して変わらないからね」
歩夢「私こそ、菜々ちゃんのお母さん程美味しくはできないと思うけど良いの?」
菜々「歩夢さんが作ってくれるから良いんですよ」
歩夢「そうなの?」
菜々「ええ。可愛らしいヒロインがお弁当を作ってくれるなんて全人類の夢ですよ!」
歩夢「そうなの?」
菜々「そうなんです!それに、歩夢さんが料理上手だということは知ってますから」
歩夢「そっ…そんなに煽てないでよぉ。じゃっじゃあ来週の月曜日に作ってくるね」
菜々「おいくらでしょうかっ!」
歩夢「お金はとらないよっ!?」
いつもと少しだけ変わったお昼休み。侑ちゃんはどうしてるのかな?
お昼ごはん食べて少しでも元気がつけば良いんだけど… 同時刻音楽科空き教室
普通じゃない昼休み、最近ではいつも通りの昼休み
お腹を殴られて
足を蹴られて
背中を踏まれて
髪を掴まれる
私はダンゴムシみたいにただうずくまって時間が過ぎるのを待つ
遠くからやっと予鈴が聞こえる
これで今日はおしまいだ。そう思うと心が少しだけ軽くなった ボス「高咲さんさぁ、お金欲しいでしょ?」
気持ち悪い猫なで声が聞こえるまでは
ボス「欲しいよねぇ。今日なんか床にぶちまけた弁当発狂しながら貪ってたんだから」
「それも今はそこのゲロになってんだけどね」
「後で掃除しておけよ」
嫌な予感がする
逃げ出したいのに足を動かせない
ボス「わたしの知り合いがさぁ、ビデオ撮ってんだけど、出演者が急に足りなくなっちゃってさぁ」
何を言っているんだろう、これから何を言われるんだろう
怖い ボス「大丈夫。素人っぽい方が受け良いし、気持ち良くしてやるからさ」
「えー高咲さん女優デビュー」
「いいなあ、今の内にサインもらっておこうかな」
「勿論OKだよね」
ボス「勿論私らが売り上げの9割貰うからウィンウィンだよ」
上から聞こえる声からは明らかに馬鹿にした感じが伝わって来る
侑「やだよ…やめて…」
「何?聞こえないんだけど!」
侑「かふっ…うぅ…」
お腹を殴られる 侑「ウッ…ゲホッ、ゲホッ お願いだからそれだけはやめてくださいっ!」
「いやいや、今のOKするとこっしょ。本当に空気読めないな」
ボス「安心しなって。これまで出てもらった子たちは昨日飛び降りちゃったけど、今回はそんなこと出来ないようにするからさ」
ボス「初めては痛いだろうけどすぐに自分から腰振るようにさせてあげるよ」
ボス「幸せのお薬も使えば天国見れるよ」
侑「いやだよ…」
涙が流れる
髪を掴まれて頭が持ち上げられる
ボス「分かった分かった。わたしらも鬼じゃない」
ボス「高咲さんの幼馴染、スクールアイドルの歩夢ちゃんだっけ?凄く可愛いよね」
ボス「どうしても高咲さんが出られないなら出なくて良いよ。歩夢ちゃんに出てもらうから」 侑「歩夢は関係ないでしょ!」
ボス「なんだよその態度ぉ!いやいや幼馴染なんだから連帯責任っしょ」
ボス「それが嫌なら高咲さんがやるしかないよね」
侑「そんな…」
ボス「やるの?やらないの?ハッキリしろよ!」
侑「……わかったよ。だから絶対に歩夢には手を出さないで」
ボス「いやあ、高咲さんがそんなに言うなら仕方ないね。わかったよ」
ボス「じゃあ早速明日の放課後から撮影と練習始めるから」 「あの娘達みたいに旧体育倉庫でヤルん?」
ボス「明日はそうするわ。校内の倉庫系も需要あるからな」
「リアルの追求ってやつwプロじゃん」
「ピッキングできるやつがいて助かるわ」
「気にしないでよ。そのぶん美味しい思いさせてもらうからwin-winでしょ」
ボス「あっそうだ、高咲さん。休んだら大切な幼馴染がどうなるかはわかってるよね」
逃げ出せない絶望に飲み込まれて頭の中が真っ暗になった
そこに灯りは少しも無くって、温かいものも無い
私に出来ることは自分の身体を両手で抱きしめて、その寒さに震えるだけだった 思ってた以上の鬱展開で辛い…
誰でもいいから早く助けてあげて 侑ちゃんじゃなくてもすでに犠牲者出てるからこいつらには報いが必要だな 放課後 部室
歩夢「侑ちゃん…」
侑「ああ、歩夢か。あはは…ごめんね。なんだかボーっとしちゃって」
放課後、部室に行ったら机に座ってボーッとしている侑ちゃんがいた
目元は赤いし声も明らかに普通じゃない。
なのにいつものように振る舞おうとしている姿が、私には痛々しく写った
今までは我慢してきたけどこんなになるまで頑張る侑ちゃんは見ていられない
もう我慢できない
歩夢「侑ちゃん、今日はゆっくりして明日は休もう?私も付き合うから」
侑「それは絶対にダメっ‼」
慌てたように立ち上がった侑ちゃんの背中から袖を通していなかったジャージが滑り落ちる
歩夢「…っ」
歩夢「侑ちゃん、何それ…」
腕には痛そうな痣がいくつもあった。きっと見えてない場所にも…
侑「…ちょっと転んだだけだよ。」
歩夢「嘘だよね、私よく転んでたから分かるよ。ねえ、なんでこんな痣があるの?」
歩夢「最近元気がなさそうなことと何か関係あるの?」
歩夢「侑ちゃん、困ってる事があるなら何でもいいから頼ってよ」 侑「歩夢には関係ないでしょ!!」
思わず大声を出してしまう。
いつもの私なら自分をごまかせただろうけど、今の私は冷静に頭が回らなくなっているんだろう。
歩夢「違うよ。関係大ありだよ!幼馴染でしょ私達。」
侑「歩夢はいつもいつも幼馴染って言うけどさ、幼馴染なんてただ小さい頃から一緒にいただけの他人じゃん!!」
侑(違う!こんなことを言いたいんじゃない!)
侑「正直鬱陶しいんだよ。私が大丈夫だって言ってるじゃん!歩夢は私を助けてヒーローごっこしたいのかも知れないけどさ」
侑「余計なお世話なんだよ!!」
お節介焼きな歩夢も好きなのに、思ってもいない事が口から出る。 歩夢「ッ、どう思われたって良いよ。私はッ」
侑「絶交だよ。これでもう無関係でしょ!」
絶交と言った瞬間歩夢の目から光が消えた
室温が下がるのを感じる
歩夢「そんな、侑ちゃん…私そんなつもりじゃ…」
すぐに訂正しなきゃいけない
なのに先程までの勢いが嘘のように泣きそうな顔でこちらを見ている歩夢の視線に耐えきれなくなって逃げるように家に帰る
ごめんね歩夢
嫌われちゃったかな?でもそれで良いんだ。歩夢を巻き込まないですむならそれで
自分で自分を誤魔化す
歩夢から電話も訪問も無視して
翌朝、歩夢からの電話に出ないまま顔を合わせる事もなく家を出た。
こんなことは初めて
いや、今日は私が私で無くなる日なんだ。それが当然なのかもしれないね 侑出て行った後部室
かすみ「こんにちはぁ〜かすみんが来ましたよぉ〜」
しずく「こんにちは」
理奈「もしかして今日は私達が一番乗り?」
かすみ「三年生の先輩達は今週進路相談で遅くなるって言ってましたもんねぇ〜」
璃奈「愛さんは他の部活の助っ人に行くって言ってたし」
しずく「せつ菜さんは生徒会に行ってから来るってメッセージ来てたもんね」
しずく「でも、電気が点いてるから誰かいると思うんだけど…」 >>103
誤字 理奈→璃奈
かすみ「あれ?歩夢先輩居るんじゃないですか。返事くらいして下さいよぉ」
かすみ「歩夢先輩?」
歩夢「…うん?ああ…ごめんね気がつけなくって…」
しずく「歩夢さんどうかしたんですか!?」
璃奈「泣いてるの?」
歩夢「ごめんね、大丈夫だから」
かすみ「いやいや、明らかに大丈夫じゃないですよ」
歩夢「…ごめんね…」
かすみ「何かあったんですか?」 歩夢「それは…いや、何でもないの」
話そうとして寸前で思い留まる
理由を話すためには侑ちゃんがいじめられてるかもしれないってことまで話さなくちゃいけない事に気がついたから
優しくて行動力のあるこの子達には絶対に知らせちゃダメ
かすみ「私達仲間じゃないですか!」
しずく「何でも良いですから力にならせていただけませんか」
璃奈「私も歩夢さんの役に立ちたい」
なのにこの子達は何も話せないでいる私にそれでも力になりたいって言ってくれる
不出来な先輩の私をこんなに心配してくれる後輩達をとても愛おしく思う
そして気がついた。侑ちゃんが私に何も相談してくれなかった理由に
それはきっと今、私がこの子達に話せないのと同じ理由なんだろう そこに思い至ったなら話してもらえない辛さもわかるはず かすみ「ちょっ歩夢先輩!?///」
しずく「えっえっ!?///」
璃奈「あわわわ///」
3人を強く抱きしめる
歩夢「ありがとうね」
この子達のおかげで勇気が湧いて来た
歩夢「おかげでわかったよ。今立ち止まってる場合じゃないって」
歩夢「今日は私と侑ちゃんはお休みさせてもらうね」
歩夢「暫く時間がかかると思うけど、解決したら絶対に全部話すから待ってて!」
巻き込むことは絶対に出来ないけど、せめて少しでも安心させてあげたい
だから約束をする
かすみ「何だか釈然としませんが…」
かすみ「絶対に約束ですよ」
しずく「しばらく待っても話してくれなかったら怒っちゃいますからね」
璃奈「何か問題が発生しそうだったら相談して」
歩夢「ありがとう。その時は頼らせてもらうね」
笑顔を浮かべて部室を出る ぽむホーム
と、勇み足で侑ちゃんの家に向かったんだけど
インターフォンを鳴らしても
電話を掛けても
メッセージを送っても
反応は返って来なかった 状況を整理しよう
ここ最近元気のなかった侑ちゃん
ジャージの下に痣がたくさんあって侑ちゃん
今日はいつも以上に余裕のなさそうだった侑ちゃん
歩夢(侑ちゃんが何かトラブルに巻き込まれているのはほぼ間違い無いよね)
だけど、どうしよう。脳裏に今日の侑ちゃんが浮かべていた苦しそうな、悲しそうな顔が浮かぶ
無理に助けようとして侑ちゃんを傷つけたく無い
でも何故か何もしないと取り返しがつかなくなる何かが起きる確信がある
歩夢「どうしよう…」 考えているともう夜遅い時間になっちゃった
ふとスマホにメッセージが届いていることに気が付く
新規グループ「先輩道歩む」に招待されてる…?
メンバーは果林さん、エマさん、彼方さん
歩夢(何だろう?)
疑問に思いながらもとりあえず参加してみる
エマ『急にごめんね。今大丈夫かな?』
彼方『かすみちゃん達から話を聞いて、先輩としてはどうしても放っておけなくって』
果林『みんなの前では話せないことかもしれないから、先輩としてここで聞かせてもらうわね』
果林『今日歩夢が早く帰ったのって最近侑の様子がおかしい事と関係するのかしら?』
果林『勿論言いたく無いなら大丈夫よ』
ああ、私は本当周りに恵まれてるな。
冷静な先輩達になら話しても大丈夫だよね
頼れる先輩に背中を押してもらおう
歩夢『実は…』 みんなすぐに頼ってもらえなくて悔しいだろうけど気持ちもわかるから辛いだろうね …
エマ『侑ちゃんにアザって』
彼方『それは…』
歩夢『何でなのか聞き出そうとしたら拒絶されちゃって』
歩夢『これ以上踏み込んでいいのかわからなくなっちゃって』
果林『歩夢はどうしたいの?』
歩夢『私は助けたいです』
歩夢『何もできないなんて我慢できません』
エマ『じゃあ助けちゃおうよ』
歩夢『でも』
彼方『確かに踏み込むことで傷つけちゃうかもしれない。でもね歩夢ちゃん、何もしなきゃ何も変わらないんだよ?』
彼方『歩夢ちゃんが聞き出せなかったらその時は私達からも聞いてみるし、もし侑ちゃんと歩夢ちゃんの仲がこじれちゃったら当然助けるよ』
果林『自分のやりたいようにやりなさい。私達はあなた達の味方なんだから』
果林『ただ、侑から話を聞いて何か危険なことに巻き込まれてるようなら、私達みんなに相談してから行動して』
果林『絶対に1人でなんとかしようとしないで』
エマ『そうだね。私達みんなで動けば絶対になんとかなるから焦らないでね』 胸に温かいものが満ちていく
歩夢『背中を押してくれて本当にありがとうございます。今度何かお礼をさせて下さい』
エマ『私達がやりたくてやった事だからお礼なんていいよ〜』
彼方『まだ解決したわけでも無いからね〜』
果林『どうしてもお礼したいならあれよ』
果林『私達の卒業式の日、休まず登校してくれたら嬉しいわ』
エマ『ふふっ、そうだね』
彼方『ナイスアイディアだぜ』
歩夢『はいっ、何があっても絶対行きます』
彼方『言ったね〜』
果林『破ったら罰ゲームよ』
エマ『こう言ってるけど風邪引いちゃったら休んでいいんだからね』
素敵な先輩達のおかげで決心がついた
明日改めて侑ちゃんと話をしよう 朝、気合を入れて侑ちゃんにモーニングコールをしても反応はなくって
いつもの待ち合わせ場所に行っても侑ちゃんは来なかった
休み時間、音楽科に向かおうかとも思ったんだけど、そこまで行動するのは侑ちゃんと話し合ってからにすべきだと考えてやめた
…落ち込んでちゃダメだよね。放課後、侑ちゃんに会った時に向けて気合を入れなくっちゃ 展開が丁寧だから、その分もやもやハラハラする時間も長い 読者の視点だと色々見えてるからもどかしいけど追い詰められてると
正しい判断くだせないもんだよね 15:40〜
旧体育倉庫
放課後すぐに腕を掴まれて、私はそこに連れていかれた
そこは既に取り巻きがピッキングを試みているようで
「おっ、開いたよ」
扉が開かなかったら助かるんじゃないかって薄い希望は、脆く消し去った
ボス「ほら、早く入れよ」
侑「ううっ…」
せめてもの抵抗と足を止めた私は、背中を強く押されそこに投獄された
そこは薄暗く冷たくて、まるで私の未来を表しているようだった
後ろからは再び鍵の閉まる音がする
床にはこれまでも使われて来たであろう沢山のカメラが転がっていた
それを向けられる
床に設置されているものもあれば、手に持っている人もいる 「実は私殴ってる時から気になってたから楽しみ」
「変態だw」
「早く剥こうよ」
ボス「まあ、待ちなって」
ボス「今日はいつもと違う感じにやっていこうと思うんだ」
ボス「まずは自己紹介からしようか」
「インタビューからかよw」
「さっさと穴出そうよ」
「バカだな、こういうのがあるからそそるんじゃん」 侑「自己紹介って…えっ?」
ボス「ビデオ出したらパパ活もしてもらいたいからさ」
ボス「名前と学校が解ってる方が買いたい人には親切なんだよ」
ボス「相手の気持ちに寄り添うのが商売の基本だからね」
侑「そんなことっ!?」
ボス「あーあ、そっかぁ高咲さんには出来ないのかぁ」
ボス「真面目な歩夢ちゃんだったら自己紹介してくれるのかな?」
侑「っ!?」 ボス「早くしなよ。やらないなら良いんだよ?私はそれでも」
侑「に…がく…ん…た………です」
ボス「聞こえないんだけど!もっと大きな声出せよ!」
侑「…にじっ…さきがくえん…たっ…たかさき…ゆっゆうですっ」
ボス「ゆっゆうって誰だよw」
ボス「はぁ〜、あんた受け答えもまともに出来ないの?」
ボス「もう面倒だしいつものパターンで良いや」
ボス「インタビューの続きはヤリ終わってからにするよ」
ボス「サプライズもあるから楽しみにしてなよ?高咲さん」
侑「いっ、嫌だっ」
「大人しくしなよ」
「暴れんなよ?」
服を掴まれて
そして…
ガチャリ
鍵の開く音が響いた 15:50〜
生徒会室
副会長「あの、すいません会長」
菜々「はい?どうかしましたか副会長」
副会長「すいませんが急に外せない用事が出来てしまいましたので、本日行う予定だった旧体育倉庫の確認作業は明日にさせていただいても大丈夫でしょうか?」
菜々「勿論大丈夫ですよ。今日は仕事もありませんし、私が見てきましょうか?」
広い敷地を持つ虹が咲学園は周辺地域との関わりが強く、使用していない倉庫にお祭りの道具など受け入れているんです
人がほとんど通らないような場所に位置する旧体育倉庫もその1つなんですよ。 副会長「ですが…」
菜々「大した時間はかからないでしょうし、気分転換の散歩がてら行ってきますよ」
副会長「すいません。ご迷惑を」
せつ菜「迷惑なんてとんでもない!むしろいつもありがとうございます!」
副会長「…せつ菜ちゃん…?」
せつ菜「!?」
副会長「あっ、すいません。何故か今、会長とせつ菜ちゃんが重なって見えて」
副会長「ごめんなさい。お二人に失礼ですよね」
菜々「あ、あははは…とにかくっ!今日は任せて下さい」 せつ菜(同好会が始まる前には終わるでしょうから、連絡はいりませんよね)
昨日かすみさん達から聞いた話だと歩夢さんはかなり落ち込んでいたそうです
早く行って歩夢さんを元気付けてあげたいですね
さて
校舎から歩いて10分程の距離、木に囲まれた少し薄暗い場所に旧体育倉庫はあります。
無骨なコンクリート建で扉が分厚い金属製のそれは、まるで牢獄のようで不気味です
今にも雨が降りそうな曇り空も相まって、余計そう見えてしまいます。 菜々「さあっ!早く終わらせて同好会に参加しましょう」
昨日歩夢さんの様子がおかしかったことが気掛かりです
先輩方は自分達に任せてくれと言ってくれましたが、それでも心配なんです
そんなことを考えながら鍵を開けて、重たい重厚な金属の扉を力一杯押して開きます
窓が付いているとはいえ薄暗いその中に踏み込むと
「誰だッ」 菜々「っ!?」
驚いて声が出せませんでした
誰も居ないはずの場所で声をかけられた事も理由の1つではあります
ですがそれ以上に
集団にカメラを向けられ泣きそうな顔をしながら今にも服を脱がされそうな友人を見つけた
その意味不明な状況に戸惑って動けません 菜々「っ、あなた達何を」
侑「せつ菜ちゃん…?」
侑「早く逃げてっ!」
「生徒会長じゃん」
「おいおいおい、良いところで邪魔すんなよ」
ボス「鍵閉めてたのになぁ。撮影邪魔した責任とってもらおっかな」
菜々「…っ!何をしてるんですかっ貴方達っ!」
我に返った私は思わずその輪に飛び込みます
侑「なんで来ちゃったの!?」
菜々「状況はよくわかりませんが、侑さんが泣いている今ここで飛び出せないなら私は友人失格です!」
菜々「それにここで逃げたら私は歩夢さんにも、優希せつ菜にも二度と顔向け出来ませんから」 「おいおいおい、バカだわこいつ」
菜々「生徒会長として、この狼藉は見逃せませんよ!」
「どうせ見られた以上帰すわけにいかないんだ。」
襲いかかってくる相手をハイキックで倒します
私の運動能力は愛さんに届きませんが、平均よりかなり上だと自負しています
でも相手が多い。何人いるのかすら把握出来ません
何より、今までの人生で殴り合いなんて漫画やアニメの中だけの存在でした
体格差、人数差を考えると武道も実戦も経験無しで何とかなる状況では無いでしょう
今のだって不意をつけたから当たっただけです
次は当たらないでしょう
現実にアニメのようなご都合展開は無いのですから まともにやっても勝ち目は無いのです。どうやってこの場から逃げ出そうか…
一番成功しやすいのはこのまま1人で逃げ出して助けを求める事でしょう
ですが、その間に侑さんがどうなるか考えると実行出来ません
かと言って侑さんを連れて逃げる事は位置的に難しいでしょう
大声を出してもこんな場所です。届く人はいません
どうする?どうする?どうする ?どう
せつ菜「…ッア!?」
物陰からの重たい打撃で急に身体へ衝撃が走って、私のその思考は中断されました 菜々「あっ…カハッ…うっ…うぅっ」
ボス「ちょっと〜今は私らが遊んでたんだからまだ出てこないでよ」
男「すいませんねお嬢さん」
男「本当はお嬢さん方があの子でたっぷり遊んで」
男「今日は終わりって言って安心させた後に出て絶望させた顔を撮りたかったんだけどね。」
男「今出た方が楽しそうだったんで」
ボス「サプライズが失敗しちゃったじゃん」
男「朝からこんな場所で待機させられてたんだから、それくらい許して下さいよ」
菜々(何故女子校にこんな男が!?) ボス「なんでここに男がって顔してんね?答えは単純」
ボス「この学校の先生にもおこぼれもらってる奴がいるからね、通してくれる奴がいんだよ。」
菜々「そんなっ!」
ふらつく足で立ち上がって、巨漢の鳩尾に全力の攻撃を当てますが眉ひとつ動きません
男「イキいいじゃん。こういうのを暴力で分からせるのって最高なんだよね」
「生徒会長も見た目よりはいい線いってたけど、この人クッソ強いってその界隈じゃ評判なんだよ。」 ボス「190cm140kgあるうちの組織の最強格だからね。勝てる女は人間じゃないよ」
ボス「勿論スタミナハンパないし勿論アレもデカイ。その上ハードなSだから覚悟してな?」
ボス「生徒会長は下らない正義感出した結果なんだから自業自得だよ」
さっき蹴り飛ばした相手も、もう立ち上がってます
菜々(助けを、呼びに行くべきでしたね)
後悔しても後の祭り
ただでさえ男性と女性の同体格での筋力差は2倍近いとされているんです
体重が倍以上の鍛えている男性相手に勝てるわけが無いのですから
圧倒的な力の前になす術はありません。勢いをつけた周りの人間から殴られ、蹴られ体力だけでなく無力感から精神も削られて行きます
それでもなんとか逃れようとしますが結局は侑さんと一緒に壁際に追い詰められて、逃げ道は無くなりますなります。 メガネが飛んで行き、髪が解けます
ボス「ん?おいおい、こいつ優希せつ菜ちゃんじゃん。」
「後で高咲さんの動画で脅そうって思ってたけど手間がなくなったね」
「これで他の子も脅しやすくなるわ」
せつ菜「うっ…がはっ…うぅ」
ボス「そろそろ撮影再開しよう。扉、鍵しっかり閉めろよ」
こんな場所に予備の鍵なんてある訳がありません
詰みです
「りょーかい」
男「まず縛って絶対に逃げらんないってことを分からせてやるよ」
「めっちゃ良い表情じゃん!そそるわー」
「さっき蹴って来た借りはきっちり返してやるからね」
殴られ蹴られ、抵抗する気力の無くなった私達の両手足は荒縄で縛られて、身動ぐだけで痛みが走ります。
侑さんを助けようとして自分も捕まるなんて本当に愚かですね ボス「カメラ構えて…はいっ、じゃあ気を取り直して、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の優希せつ菜ちゃんとマネージャーの高咲侑ちゃんの初めてを美味しくいただいちゃいまーす」
鍵を閉める音が響きます。これで例え誰かが通りかかってくれても助けを求める事は不可能になりました。
でも
脳裏に何故か歩夢さんの顔が浮かびます
彼女の優しい笑み
彼女の温かさ
せつ菜(ああ、そうか。私は歩夢さんが)
こんな時に今更気がついても遅いですよね。でも
せつ菜(助けて)
無駄とわかって居ても何かに祈らずにはいられませんでした
醜い笑顔を浮かべてこちらの恐怖を楽しむように迫って来る手を見ていられず顔を伏せます
祈りは天に届かないようですね…
瞬間
まるで終わりを知らせるように、逃げ場のない暗闇に雷鳴が響き渡りました これ以上の胸糞は辛いから間に合った音でありますように かなぁぁぁああああああんんん!!!!
はやく来てくれぇぇぇええええええ!!!! 16:00〜
部室
かすみ「あれ?せつ菜先輩が遅れるのに連絡くれないなんて珍しいですね。」
しずく「確かに生徒会で遅れそうな時はいつも連絡くれるのに、今日は来てないね」
理奈「なにかあったのかな?」
愛「昨日めっちゃ歩夢のこと心配してたのにね。おっかしーなー」
歩夢「せつ菜ちゃんが?」
愛「そうそう。そういえばゆーゆもまだ来てないよね」
愛「歩夢は何か聞いてる?」 モブとはいえすでに2人犠牲者出てるしね。普通につらい 何故か凄く嫌な予感がした。
寒気に鳥肌が立つ
歩夢「私、生徒会室見に行ってくるね」
返事を待てずに飛び出す
かすみ「どうしたんですか?って速っ!」
愛「あの歩夢があんなに急ぐなんて只事じゃないのかもね」
愛「何だか愛さんも少し嫌な予感がしてきたよ」
愛「愛さんも念の為、愛友に聞いて周ってみるね」
かすみ「じゃあ先輩に書き置きを残して私達も探しに行こっか」
しずく璃奈「「うん」」
かすみ「ところでりな子、この理奈って何…?」
璃奈「私の発明品」
かすみ「でも…」
璃奈「私の発明品!」
かすみ「そうなんだ…」 生徒会員「生徒会長は旧体育館倉庫で備品チェックをしているはずですよ」
歩夢「良かったぁ」
杞憂だったんだって安心したのもつかの間、続く言葉で冷や水を浴びせられる
生徒会員「いえ、ですがすぐ終わる作業の筈なのに戻って来るのが遅いんですよね」
生徒会員「最近校舎に男性の不審者が出るという噂もありますし、心配なので少し見て来ていt」
生徒会員「ちょっと!廊下は走らないで下さいっ!」
話を切り上げて旧体育館倉庫に向かって走る 走って1分程で到着したその旧体育倉庫は異常な威圧感を持っていた
無機質な分厚いコンクリートの壁と侵入を許さない鋼鉄の扉は、どこか牢獄のようですらある
今にも雷になりそうな空模様も相まって、用がなければ近寄りたくもない雰囲気
扉を押すけど、鍵がかかってるみたいでビクともしない
歩夢(ここじゃないのかも)
勢いで来ちゃったけど確信は無いんだ
もう引き返して他の場所を探そう i'ヽ、∩
‖  ̄ |
‖ __|
|,r'´|::|
|::| 私の出番はまだか
|::| @cメ*◉ _ ◉リ
|::|⌒, - '" ` T ´ ゙`‐、⌒i
|::| ヽ ノ )
(⌒o | | r ヽ
;"|::|:;´,人 _ ,、 _ 人 ,,,l,、,
;;: ^ ゙;) | (_ ,i、_) | ヽ;"" ;
;;, ,,゙; | ( i ) | ; ;
`'''" | ̄ ̄ ̄ ̄| ゙; _,-,゙、
r‐−、 , - 'i ゙゙
i' r' l
l l i i
i _, l 、_,k´
`!,,,、,,,i:"!,,,、,,,i;゙゙゙;
;´ `; だけど、Uターンしようとした足は何故か動かない
何か建物と自分が紐につながれたような感覚がする
不思議に思っていると
体育倉庫の中から大事な人たちの声が聞こえた気がした
助けてって
再び扉を押すけど当然ビクともしない
心の中で誰かが早くしろって叫んでる
もう考える時間が惜しい
歩夢(待っててね) 大きく息を吸い込む
瞬間
体内に熱が走る
大きく息を吸い込んで一歩踏み出しながら硬く握った拳を引く
小さい頃から毎日欠かさず何度も何度も繰り返してきた動き
大地に根を張るように腰を落とす
何十万、何百万、何千万回水を与えた種が開花する時が来たんだ
脚を踏み締め
大地の力を足趾へ
足首へ
膝へ
股関節へ
腰へ
体幹へ
肩甲骨へ
肩関節へ
肘へ
そして拳へ なんで歩夢ちゃんそんな動きを繰り返してるんですかね… 歩夢「イヤぁッッ!!」
爆発的な力を乗せた拳は吸い込まれるように扉に届く
そして…
まるで近くに雷が落ちたかのような轟音と一緒に扉は軽々と吹き飛んでいった
これは終わりを告げる音だ
悪意を砕く決意の音だ
近くに打ち捨てられた花壇にそれでも力強く咲くクローバーや、アメジストのように輝くオダマキを風圧が強く強く揺らす
空は晴れた
闇に走る光と一緒に中に入る
私はもう迷わない 侑「えっ?」
絶体絶命の状況で雷鳴のような轟音と共に薄暗い闇に稲光のように光が入る
瞬きする間も無く、花のような香りと共に
気がつくと誰かが私とせつ菜ちゃんの前に立っていた
侑「、、、歩夢?」
せつ菜「歩夢さん!?」
歩夢「ごめんね、遅くなって」
歩夢「もう大丈夫だから」
今1番会いたくなくて
今1番会いたかった幼馴染は
此方に背中を向けながら
小さな声量で、大きな決意の篭った言葉を響かせる
侑「どうして来ちゃったの!」
せつ菜「はっ、早く逃げてください‼」
歩夢「嫌だよ、2人共私にもみんなにも大事な人なんだから」
私と侑さんの声に即答した歩夢さん
それはいつもと変わらない声色なのに
その声を聞いただけではっきりとわかってしまいました
私の愛するこの人は、幾つ言葉を重ねようと決してこの場から逃げ出してはくれないと 歩夢(さて、どうしよう)
中を見た瞬間我を忘れちゃったけど
相手の数は11人程度かな?
その内、半数以上は私より体格が良いし、大男までいる
でも、それがどうしたっていうんだろう
幼い頃侑ちゃんに助けてもらうたびに思った。いつか侑ちゃんが困った時は私が助けなくちゃって
せつ菜ちゃんと出会って、大好きを守るために行動する大切さを知れた
大好きを守るために行動すると決めたんだ
憧れであり最愛の2人、私のヒーローを前にして逃げるなんてあり得ない
いざって時、侑ちゃんを守れる私になるために毎日努力してきたんだ
幼いあの日、芽も出ていない自分に誓った開花宣言
大好きな人達の為に今、大輪の花を咲かせよう 「どうやって扉壊したんだよ」
「建て付けが悪かっただけでしょ」
「マジで今日何なん?あと少しでお楽しみだったのに邪魔すんなよ。巫山戯んなし」
「そうかっかすんなよ、この子上原歩夢だろ?まじ鴨ネギじゃん」
「歩夢ちゃんも今日ヤレるとか最高だわ」
ボス「侑ちゃんのビデオで脅す前に自分から来てくれてサンキューって感じ?」
下品な笑い声が響く。
話してる言葉からこの大人数で2人に何をしようとしていたのかは嫌でも察する
頭の何かが完全に切れる
体内のエネルギーが出口を求めて暴れ出す
この煮え滾る熱い感情が怒りなのだと、産まれて初めて知った
理性はその熱に融かされて、今すぐにでも本能のまま暴れ出したくなる 歩夢(落ち着け)
今は何より2人の安全が第一だ。目的を見失っちゃダメだ
これ以上大事な人が傷つけられる可能性が低い選択をしなくちゃ
歩夢「ふぅーーーー」
冷静になれるよう息を吐く
歩夢「今2人を解放して今後も手を出さないなら許すから。私はどうしてもいいから2人は解放して」
後ろの2人が反対の声を出すが構わない。
当然タダでやられる気はない。取引に応じてくれた場合は2人の安全を確保してから存分に暴れさせてもらう だけど
「マジ美しい友情じゃん。」
「この前ヤった娘達みたいで興奮するわ」
「この状況で私らがそれを受けるメリット無いっしょ」
「3人仲良く私らが初めて貰ってあげるから」
「安心しなよ、ビデオデビューも3人一緒にしてやるから」
「百合の間に汚いおっさん入れれば絶対売れるわ」
男「早くヤろうよ」
歩夢(ギャーギャーギャーギャー煩いなぁ)
宇宙人に交渉を持ちかけるのは幸か不幸か無駄だったみたい
歩夢(仕方ないか)
覚悟を決める
恐怖を前に進む原動力に変えて
怒りは足を支える柱にする 私の中にずっと隠れていた私じゃない私が出てくる
歩夢「何ヘラヘラ笑ってんだやるなら早く来な。まとめて火星に殴り飛ばしてあげるからさ」
歩夢「さっきからにおうなーって思ってたんだけど」
歩夢「おめーらだな。くせーのは」 ボス「ハァ!?ただのスクールアイドル1人で私らに喧嘩売ってんの?お前なにチョーシ乗ってんだよ。」
「反抗的な目が良いね」
「ヤル前にボコしてわからせたろ?」
「私らつえーからね。今更謝ったって後悔してもオセーかんな」
3人が襲いかかって来る
顔にジャブが迫る
後ろの2人が悲鳴を上げる
見えなかった
一撃食らうと間髪入れずにボディーアッパーが来る
辛うじて見えた。
腕で受け止めようとするけど間に合わない
歩夢「くふッ」
口から息が漏れる
続けて側頭部を狙ったフックが来る
見えた
腕でガードする 後ろの2人が逃げろと叫ぶ
良くも悪くも大好きな人の声は私の心に響く
歩夢(ごめんね)
意識的に2人の声をシャットアウトする
前からはトドメのつもりか頭を狙ったストレートが来るのが見えた
ボス「顔壊すなよー売れなくなるから」
「私はそれも興奮すっけどね」
前から馬鹿にしたような笑い声が聞こえて来る
だけどお生憎様、その心配は無用だよ
このクソゲー、もう目が慣れた 歩夢「つえーなら証拠見せなさいよ証拠」
一歩踏み出し股関節から上体を倒して突きを躱す
「はっ?」
歩夢「私の何より大切な仲間を傷つけたってことはさ」
歩夢「殴られたって文句言えねぇよなぁ」
腰のタメを使って顎にアッパーを打ち込む
それだけで相手は崩れ落ちる
余りにも呆気ない
こんな雑魚が2人を苦しめたという事実に更なる怒りが湧いてくる
歩夢「弱いなぁ」
本当に弱い。 「このっ」
続けて迫る右のフックをくぐり抜けてがら空きの顎に左フックを入れる
敵は紐の切れた操り人形みたいにその場に倒れる
「巫山戯んなよ。お前」
横からローを狙った蹴りが来る
歩夢「シッ‼」
その蹴りを回し蹴りで迎え撃ち弾き飛ばす
「ア゛ッ」
痛みに体勢を崩した頭を狙う
回し蹴りの勢いそのままに、瞬きする間すら与えず一回転して放つ後ろ回しは敵の顎を捉えた
残るは7匹と男
憤怒に狂気めいた殺気が混じるのを何とか抑える 歩夢「どうした屑、それまでなの?」
敵の冷静さを減らす為、更に挑発する
「畜生、この早い突きが躱せるかーっ」
歩夢「スローすぎて欠伸が出るよ」
馬鹿正直に真正面から突きにきた勢いを受け流しながら手首を握って、反対の手で胸倉を掴んで腋下に肘を入れて
「えっちょ」
足が浮いたタイミングで方向転換して、こっちに向かって来る他の敵に向かって背負い投げる
もみ合うように潰れた二匹のゴキブリの顎を蹴る
周囲に散らばる巨大な5つのゴミを移動の邪魔にならないように蹴り飛ばして、闘える空間を確保する 男「少しだけ強いみたいじゃん?可愛いしこれから屈服させてヤレると思うと最高」
見上げるような体躯が迫ってくる
歩夢(…男か。少しだけ出力を上げた方が良いかな?)
顔を狙ってきたジャブを躱す。流石に早いな
少しだけ
間髪入れずに来たストレートを前進して受け流しながらボディアッパーを狙う
男「そんなのくらうかよ」
丸太みたいな腕でガードされるけど関係ない。
大きな音が響く
男「あ゛あああ、俺の腕が、どうなってんだよ」
腐りきった丸太が大砲を受け止められるわけないんだから。
丸太を砕いた大砲は止まることなく目的地に衝撃を届ける
男「ゲホッ、ウオェッ」
歩夢(汚い音)
お腹を抑えて蹲ろうとするけど、そんなの許さない。絶対に
腕を壊したお陰で顔ががら空きだ。人中に貫手、鼻にストレート、顎にアッパーを入れて意識を刈り取る
歩夢(これは無くした方が良いね)
敵が倒れこむ勢いを利用した膝蹴りで急所を蹴り壊す
男「モルスァ」
案外大した事ない相手だったな
残りは半数 「なんであいつ男さんを倒せるんだよ」
「ありえねーよ」
「化け物かよ」
ボス「…っ!お前ら、あれ使うぞ」
1人が棚から沢山の金属バットを抱えて持ってくる。
ボス「念の為用意しといて良かったわ。少しはできるみたいだけど、もうあんたに勝ち目は無いから」
歩夢「たかがスクールアイドル1人に複数人で武器使わなきゃ挑めないとか恥ずかしくないの?」
歩夢「私らつえーとか言ってたのに?」
歩夢「本当ダセーな。早く強い証拠見せてよ」 「ザッケンナコラー」
「生まれてきたこと後悔させてやっかんな、マジで」
魚より単純で助かる。簡単な餌で二匹も釣れた
武器を構えながらこちらに走り寄って来る
歩夢(遅いな)
襲いかかって来るバットですら今はひどく緩慢に見える
叩きつけるように振るわれたバットを半身になって避けながら顔面にストレート
横薙ぎに振るわれたバットをストレートに使った腕を引いて、前腕で受けながらローキック
大腿骨のへし折れる音が響く
残り3匹 ボス「コレならやれるだろ」
「りょーかい」
「流石ボスさん頭良いっ」
残り同士後ろで何か話し合ってたみたいだ
ニヤニヤ不気味な笑みを浮かべながら2匹が近づいて来る
ボス格も後ろで余裕ありげにしているのが見える
「へへへ、歩夢ちゃん」
「お友達は大事だよなあ」
歩夢「何をいきなり」
二人掛かりで不自然なほど大振りに振り下ろされたバットは共に見当違いの方向へ…いや
歩夢(違うっ)
思わず身を乗り出す
狙いは私じゃない
私の後ろだ! 1つは何とか腕で抑えられた。けどもう1つは
歩夢「くぅッ」
右側頭部に衝撃が走る
視界がフラつく
平衡感覚が狂う
激しい吐き気に襲われて力が抜ける
初めて感じる不快感に耐えきれなくて、思わずその場に膝をつく
「よっしゃ、手こずらせやがってよぉ」
「ダチの仇だ。取り敢えずボコして手足折ってから穴にバット突っ込んでヤるから楽しみにしてろよ」
力の抜けた体は反応してくれない
冷静に対処すればなんとも無い局面だったのに焦りすぎた
たった1つのミスで一気に戦況は逆転しちゃった
歩夢(これ以上は無理かぁ)
本当に酷いクソゲーだ
だけど、だからこそせめて最後にこれだけはやらなくちゃ
よろけたフリをして後ろに倒れ込む
最愛の人達を縛っているものを力任せに引き千切る
私に夢中になってる今が好機だ
歩夢「隙を作るから逃げて」
早口の小声で伝える
ドアを塞ぐ扉は吹き飛ばした
立っている敵はもう少数だ
再び敵に向き合う
働かない頭を必死に働かせる
歩夢「おいおい、倒れてる相手にすらまだトドメさせてないってあんたらノロマすぎない?」
歩夢「バット振り下ろされる前に寿命が来そうだよ。あんたら見た目と匂い通りゾンビみたいだね」 「舐め腐りやがって、もう許さねえからな」
「頭潰してやる」
ボス「おいバカッ、流石にここでそれは隠蔽できねぇから止めろ」
止められているが止まらないだろう
狙い通り
今ここに立つ全員の視線は私に、私だけに向けられている 隙が出来た
これで2人は助かる
歩夢(よかったぁ)
安堵する
バットが振り下ろされるのが見える
歩夢(良かった、助けられて)
心残りはない
だけど少しだけ
少しだけど
何も抵抗できずに受けるのは
ほんの少しだけ
歩夢(怖いな)
明確な悪意を持って振り下ろされる暴力に思わず目を閉じる だけど衝撃は来ない
「邪魔すんなっ!!アアアッ!!お前ら何で立ってんだよ!」
恐々と目を開ける
侑ちゃんが前に出てバットを腕で抑えていた
それは憧れて私がなろうと努力してきたあの日のヒーローの姿で
「痛いじゃねえかよ」
そして、せつ菜ちゃんはもう1人の動きを止めてくれていた
それはあの日、道を照らしてくれた焔のような姿で 凄いなあ
歩夢(負けてられないなぁ)
2人はやっぱり凄い
あんなに痛めつけられていたのに心が折れずに立ち向かうなんてすごい勇気だ
すぐ諦めようとした私なんかよりずっと
そうだ。私は
何とか体を起き上がらせる
まだ地に膝をつける訳にはいかないんだ
まだやれる
いや
歩夢(やらなきゃ) 尊敬する仲間を無意識の内に過小評価していた自分を恥じる
歩夢(過剰に守ろうとする必要はなかったんだね)
後ろを中途半端に気にしてステップや踏み込みをしないでいた結果がこれなんだから
もう気にせずいこう
足に力を込める
歩夢「ユクゾッ」
「消えた⁉」
侑ちゃんを振りほどき、攻撃しようとしていた屑の背後に踏み込んで側頭部にフックを入れる
残り2
「えっ?」
何が起きたのかすら理解しない鈍間が音に気付いてこっちを振り向くけどもう遅い
歩夢「命は投げ捨てるものじゃないよ」
私がレバーブローを当てて、下がった顎にせつ菜ちゃんがハイキックを当てる
あと残るは… 歩夢「ずっと後ろで偉そうにしてたお前がボス?」
ボス「いやー歩夢ちゃん強いね。私らの仲間になんない?お金たくさん出すよ」
ヘラヘラ笑いながらいけしゃあしゃあと言って来る
歩夢「金?」
ボス「そうそう、お金は凄いよ。なんでも出来るんだから」
ボス「例えば 私に手を出した阿保を別の日にプロが襲う なんて事も簡単に出来るんだよ」
ボス「私の家は大っぴらには言えない場所と懇意だからね」
ボス「どう?忠誠の証にその2人を渡してくれたら今回の事は不問にしてあげるよ?」
歩夢「あなたみたいな雑魚じゃあどうせ大した事ない組織なんでしょ」
歩夢「なんて組織を使えるのよ?言えないでしょ。証拠見せなさいな、ハッタリは効かないよ」
ボス「このっ調子に乗ってッッッ…スゥーハァー 聞いて驚けよ、あの剛完零斧だ」
歩夢「仲良いってんなら本拠地が何処にあるかって位の事は知ってないとおかしいよね」
歩夢「証拠に何処が本拠地とか事務所とか詳しく教えてくれたら怖くて手を出せなくなるかもよ?」
ボス「勿論知ってるわ、場所は…」
必要な情報は聞き出した
もう用は済んだ 歩夢「じゃあ、暫く喋れない位にはやらせて貰うね」
ボス「は?お前話聞いて」
歩夢「あーあ、下手こいたね。最初の取引に頷いてくれてたらここまではしなかったのに」
目は霞み、汗が雫の織り成す滝となって流れ落ちる
好都合だ。その刺激のお陰でギリギリで意識を保っていられる
反応する時間も与えない
最大限の苦痛を最低限の時間で与える
一気に距離を詰めて
喉元に貫手を入れる
肘をコントロールしそのまま裏拳を鼻に
腰を入れたボディーアッパーを鳩尾に
レバーブロー
肋間に貫手
下がった側頭部にフック
フックの回転を活かしたローキック
内腿に内回し蹴り
そのまま回転し顔面に後ろ回し
倒れこんで来た顎に膝蹴り
歩むことを止めず、間合を調節しながら刹那の間に一撃必殺の有効打を雨のように浴びせる
私にとっての禁忌を破った者がどうなるか?りんごを食べたイヴと同じだ。その罪は当然、彼方先の未来まで消えまい どれほどの時間が経ったか、一瞬かもしれないし1分だったかもしれない。
ただ1つわかるのは私が立っていて相手が倒れたっていうこと
下に転がるボロ雑巾を見下す
暫く動けないだろうけど、命を奪っていない以上いつ起き上がってくるかはわからない。
歩夢(早くここから出なきゃ)
歩夢「…もう大丈夫だよ。早く出よう」
尊敬する、最愛の仲間に声をかける
侑「歩夢−−−−−−−−−−」
せつ菜「歩夢さんっ−−−−−−−−−−」
二人が何か言ってるみたいだけど上手く聞き取れないや
心配させたくない一心で何とか微笑みを返す
旧体育倉庫から出たタイミングで愛ちゃんがすごい勢いでこっちに走って来るのが見えた
歩夢(ふふっ愛ちゃんったら凄い顔…)
歩夢(良かったぁ)
体から力が抜けて行く
せつ菜ちゃんが、侑ちゃんが慌てて私を支えてくれる
大好きな人の心地よい体温を感じる
良かった。本当に
安心したら、いしきが 小学生の頃からとあるゲームを参考に毎日、最低2万回突き技を練習していた
異常に難易度の高いゲームをクリアできる方法なら、現実でも役に立つんじゃないかと思って我武者羅に
風邪をひいた日も欠かさず。どうしてもできなかった時は翌日に持ち越して
こんなにことにムキになってどーすんの?とも思ったけどね
ある格ゲーをやって距離感の重要性を知った
そのゲームで異常な性能を持つキャラクターが用いる一瞬で画面端に移動する動きを現実で再現する為に努力した
靴底が擦り切れても何度も何度も練習した
あるライブを見て私は人生最大のトキメキを感じた
そのダンスに憧れて、蹴りの練習もするようになった サスケ絡みの力かと思ってたらクソゲーの再現だったとは 気がつくと私は鳥居の前に立っていた
歩夢「ここって…」
ここはどこなのか、少しだけ戸惑っちゃったけど記憶を辿るとすぐにわかった
だってここは私にとって忘れられない沢山の楽しい思い出がある場所で
再来週にまた楽しい思い出を作れる筈だった場所だもん
歩夢「治世防神社!?」
もしかして私…
歩夢「そっかぁ」
大きく息を吐く
歩夢「こんなことならもっとみんなと話しておきたかったなぁ」
守れない約束がたくさん出来ちゃったな
でもね、悔いはないよ
だって自分よりも大好きな人を2人も守れたんだもん。むしろお釣りがでるよ!うん ただ、ボロ雑巾がボロ雑巾になる前に言っていたことが気掛かりだな
何とか今からでも呪えないかな…
「シャー」
思考に耽っていると本殿の方から懐かしい声が聞こえた
その声を聞いて思わず鳥居をくぐって本殿に向かう
いつも固く閉ざされているその扉は開け放たれていて
その中には そこには電柱よりも一回り、ふた回り程は大きそうな大蛇がいた
大蛇「ピギー」
その紫色をした蛇は私を真っ直ぐに見つめていた
歩夢「あれ、貴女は…?」
大蛇「ピギー」
こちらを向いて目を逸らさないその子は私に何かを伝えたがっているように見える
この子は…
歩夢「貴女の名前は…」
歩夢「うぅっ…」
頭が痛いっ 以下ルート分岐になります
上の方に書いた通り、最初はノーマルルートから書かせていただきます
ジメジメした部分を長々とやって申し訳ないです。
読み返すと我ながらアンチと思われても仕方ないなと思いました。
ただ、誤解して欲しくないのですが私はラブライブが大好きです。
サスケやにょぽむを活かそうと思ったら何故かこんなものが出来てしまいましたが…
ノーマルルートは少し手直ししてこういう嫌な部分を抑えますね! ここで分岐か。じゃあ残念ながら飛び降りたモブの子達は救われないのかな 公式で一連のセリフ言っててボイスもついてるのやっぱ狂気だわ 今書き溜めてるデータのあるiPadの調子が悪いので、明日かけたら書きます!
次回更新でノーマルルートは短く終わらせて、ハッピールートまで行きたいと思います
代行していただいたので失踪はしません 自分のペースで大丈夫っすよ
今までの流れ読んできたけど別にアンチって雰囲気もないし、辛い展開からの大団円が物語としては面白いから別に書き直しとか不要な気もする
続き楽しみに待ってますよ〜 2ルートある中でハラハラ展開が続いたから、もしかして片方は間に合わない可能性も?と思いながら読んでたから辛かったというのもあるかも
でも初めから鬱注意で2つルートあると明記してたし思うように書いたらいいと思います。楽しみにしてる 無理しないペースで書いてくれたら。続きも楽しみに待ってるよ 鬱展開は人によって許容範囲が違いそうだからね。個人的にはこれくらいなら大丈夫 大蛇「ピギー…」
私が名前を思いせずにいると、蛇さんは私に近づきながら悲しそうな声を出す
そして私の頭を舐めると何処かへ行ってしまう
歩夢(待って!!)
歩夢「待ってっ」
慌てて追いかけようとしてで目が覚めた
まず真っ白い天井が見えた
次にドラマでしか見たことのない機械や、腕に繋がれた点滴が見える
歩夢「病院?」
近くにある時計を確認すると午前3時。カレンダーを見ると日付は変わって無いみたい ちょっと待って
放課後に殴り合って、次の場面が午前三時で「日付は変わってない」ってどういうこと?
作中時間飛んでる? ゆっくり眠りたいけど、これからやらなきゃいけないことを考えて飛び起きた
心電図の電極が剥がれたのかブザー音が周囲にけたたましく鳴り響く
慌てて替えの服を抱えた時、違和感に気がつく
歩夢(あれ?拳は砕けてた筈なのにな)
どこも痛くない
それどころか、全身に力が溢れて活力に満ちている気さえする
…不思議だけど、これからやることを考えれば好都合だよ
近付いてくる足音がするな。早く行かなくちゃ
慌てて窓枠に足をかける 失礼しました!ありがとうございます
確かに1日進んでる筈ですね
>>204訂正
大蛇「ピギー…」
私が名前を思いせずにいると、蛇さんは私に近づきながら悲しそうな声を出す
そして私の頭を舐めると何処かへ行ってしまう
歩夢(待って!!)
歩夢「待ってっ」
慌てて追いかけようとしてで目が覚めた
まず真っ白い天井が見えた
次にドラマでしか見たことのない機械や、腕に繋がれた点滴が見える
歩夢「病院?」
近くにある時計を確認すると午前3時。カレンダーを見ると、幸運なことにまだ1日しか日付は変わって無いみたい バレないように窓から飛び降りて公園に行って着替えた後
歩夢「あーあ、やだなぁ」
正直、これからやることの中で一番気が進まないけど
歩夢(念の為にはやらないわけにいかないよね)
スマートフォンで動画を撮影。投稿する
動画内容は同好会の仲間や家族、周囲への酷い不平不満だ
これからやることを考えると他の子達を巻き込まない為に仕方ないよね
みんな、約束破ってごめんなさい
スマートフォンを池に投げ込んで目適地に向かう 「何だよその巫山戯た仮面は…ここはガキの遊び場じゃ無いんだ。痛い目見る前に早く帰んな」
歩夢「あのすいません、ここって剛完零斧の本部で間違い無いですよね?」
「そうだけど、なんか用かい?」
歩夢「ありがとうございます。あなたに個人的な恨みはありませんが」
歩夢「すいません。潰しに来ました」
仲間に手を出させない為に、向こうが手を出してくる前に私が何とかするしかないんだから
『ニュースです。虹ヶ咲中央病院四階に入院していた17歳の少女が突如として行方が分からなくなりました。
失踪直前に暴行事件を起こしていた事を踏まえ、警察は事件も視野に入れた捜査を…』
『反社会勢力、剛完零斧の本部、支社で一夜にして多くの構成員が意識不明の状態で発見されました。
現在意思疎通可能な被害者は居ませんが全員命に別状は無いとのことです。
警察は大規模な抗争があった可能性があるとして…』
『音楽界の大物、ボス一族が行方不明になってから1ヶ月が過ぎ突如全員無事に発見されました。
長女は暴行事件の被害者になったばかりで事件性を調査していますが、全員著しい衰弱状態で何が起きたのか覚えておらず…』
『各地で相次いで反社会組織への襲撃が…目撃者の証言によると顔を隠した姿の襲撃者が…』 今日は卒業式
スーツに袖を通して、久しぶりに身嗜みを整えてホテルから虹ヶ咲学園へ向かう
勿論遠くから見るだけ。今の私に彼女達と会う資格はないから
念の為にマスクとサングラスを着けて姿を見られないように気をつけながら
学園が見える公園のベンチに座る
見えるとはいえ学園との距離は十分にある
歩夢「約束だもんね」
言い訳じみた声を出す自分に苦笑する。
沢山の約束を破ったくせにと
ただ最後に一目見たかった自分への言い訳だろうと
肌寒さに身を震わせながら見知った人を探す 「久しぶり。ずっと家に帰らないでどこ行ってたのさ」
後ろから懐かしい声が聞こえた
少し前まで毎日聞いていた声
侑「そんな格好、歩夢に似合わないよ?」
歩夢「侑ちゃん⁉」
咄嗟に逃げようと方向転換しようとした先には
せつ菜「もう二度と逃がしませんよ」
歩夢「せつ菜ちゃんまで…」
果林「私達もいるわよ」
歩夢「何でみんながここに…」
果林「あら?約束してたじゃない」
彼方「私たちの卒業式には絶対来てくれるってね」
エマ「歩夢ちゃんは守れる約束は守ろうとする子だから、今日は絶対学校近くに来ると思って張ってたんだよ」
エマ「侑ちゃんが歩夢が来るならここだって予測してくれた所をいくつかね」
歩夢「卒業式なんじゃ…」
果林「そんなのどうでも良いのよ。可愛い後輩と比べたらね」 侑「歩夢、私ずっとずっと探してたんだよ」
璃奈「ボス一家から聞き出すために色々薬も試したよ」
しずく「まあ、結局彼女らは役立たずだったんですがね」
せつ菜「ええ、本当に。今日見つけることができて幸運でした」
せつ菜「さあ歩夢さん、私達と一緒に行きましょう!」
歩夢「動画で言ったでしょ、私はみんな嫌いなのっ!私に関わるのはやめてっ!」
愛「歩夢が本心からあんなこと言うとは思えないんだよね〜。あんな泣きそうな顔してさ」
歩夢「本心なのっ!」
かすみ「だからこそ、スクールアイドル活動を続けて歩夢先輩に元気なかすみんたちを見てもらおうと思って動画投稿してたんですよ」
璃奈「歩夢さん、見ててくれた?」
歩夢「だから…ッ」
理奈「歩夢さん、私達には」
しずく「嘘は通用しませんよ?」
歩夢「ッ」
お願いだからそんな真っ直ぐな目で私を見ないでよ… 歩夢(観念するしかないよね)
歩夢「……見てたよ」
歩夢「挨拶もしないでいなくなって本当にごめんなさい」
歩夢「でも、もう私はみんなの元に戻れないの」
歩夢「戻るわけにはいかないの…」
侑「ここで話するのもあれだし部室行こっか」
歩夢「だから私は」
せつ菜「最後ならば一緒にお茶くらい良いでしょう?」
エマ「私、歩夢ちゃんとしっかり話さないまま向こうに帰ったらきっと一生後悔しちゃうなぁ」
歩夢「…わかったよ。これで最後だからね」 部室
侑「紅茶しかなかったけどいいよね」
歩夢「うん、ありがとう侑ちゃん…」
マグカップを受け取る。温かい、口を付けると落ち着く不思議な味がする
思わず力が抜けちゃいそうになる
せつ菜「歩夢さん、私達は歩夢さんとずっと一緒に居たいんです」
侑「そうだよ。少なくとも歩夢が危険な事をしてるのを黙って見て居られる訳が無いよ」
歩夢「危険なことなんて…」 璃奈「色々な所を壊滅させてるよね」
歩夢「…」
璃奈「この半年だけで悪名高い大勢力の剛完零斧、零頭零斧、狼理魂、我津害亜、FF92。その他にも沢山」
璃奈「悪狩だっけ?今の歩夢さんは二つ名もついてるみたいだね」
歩夢「何で知って…」
璃奈「人型超高度自立ロボ『理奈』を複数体街に潜伏させて情報収集したの」
璃奈「私を甘く見ないで」
果林「多分だけど、失踪前に投稿した私達への不満を訴えるような動画を出したのは私達が狙われないようにしたかったのよね?」
果林「これからすることを考えて」
せつ菜「あの時あいつらが口にした組織が、歩夢さんの失踪と同日に壊滅したんです」
せつ菜「それが偶然なんてあり得ない」
歩夢「…」
歩夢「そこまでわかってるなら、私がみんなと一緒にいられない事もわかってくれるよね?」 歩夢「みんなを巻き込みたくないの」
歩夢「だっていつ私の正体がバレるかわからないんだよ?」
せつ菜「それでも私は歩夢さんと一緒にいたいです!」
歩夢「私だってみんなと一緒にいたいよ!でもダメなの!」
歩夢「私はもうどうしようもないくらい恨みを買っちゃってるんだよ?」
歩夢「私が一緒にいたらみんなが何されるか…」
かすみ「歩夢先輩はどうなるんですかっ!」
しずく「いくら歩夢さんが強くたってそんな生活してたらいつか限界が来ますよ」
歩夢「そんな事わかってるよ!でももう戻れないの!」
歩夢「…もう、戻れないんだよ…」
歩夢「それにね、今やってることもやりがいあるんだよ?目の前で困ってる沢山の人を救えるんだもん」
歩夢「私が全ての悪を、戦いを無くすから。みんなが安心して過ごせるように」
歩夢「それが今の私にできる最善の事だから」 侑「じゃあ、私達もそれを手伝うってのはどうかな?」
エマ「歩夢ちゃんがこっちに来れないなら私達がそっちに」
歩夢「何言ってるの!それが1番駄目だよ。みんなは普通に幸せに生きてよ!」
侑「そもそもは私が」
歩夢「悪いのはあいつら!侑ちゃんは被害者だよ」
歩夢「ここにいる誰のせいでもない」
侑「どうしても一緒になれない?」
歩夢「…ごめんね」
侑「わかったよ。最後に確認なんだけど」
侑「歩夢は私たちの事好き?」
歩夢「大好きだよ。心の底から」
せつ菜「それを聞いて安心しました」
歩夢「長居するわけにいかないからもう帰るね」
立ち上がろうとするけど、何故か足に力が入らない 歩夢(あれ、何だろう)
侑「好きでいてくれるなら」
歩夢(何で急に)
マグカップが手を滑り落ちる
侑「遠慮はいらないよね」
せつ「遠慮はいりませんね!」
歩夢(眠く…) 薄れる意識の中微かに声が聞こえる
愛「…ねえ、本当にこれで良かったのかな?」
侑「多数決で決めたでしょ?歩夢が拒絶したらこうしようって」
せつ菜「そうですよ。それに、これからじっくり時間をかけて説得するだけなんですから」
愛「その割には怖い目をしてるのが沢山いるような…」
かすみ「仕方ないんじゃないですか?」
璃奈「四次元に行ける扉、自立式戦闘機、パワースーツ。この日の為に色々作っておいて良かった」 果林「念の為に言っておくけど歩夢を悪い道から引き離すって聞いたから協力したのよ」
果林「万が一にも変なことしたら許さないから」
せつ菜「今回は多少強引な手を使ってしまいましたが、当然歩夢さん第一です」
侑「歩夢の同意なしにはしませんよ」
璃奈「精々素直になる薬や元気の出る薬を使う位」
しずく「歩夢さんがこっちに戻るか、私達が歩夢さんと同じ道を進むかをしっかり決める為には色々する必要が有りそうですからね」
彼方「みんなの事はもちろん信じてるけど、、、」
エマ「私達、これからみんなスイスの大学に行っちゃうから心配だなぁ…」
かすみ「スイスから先輩達が戻ってくる頃にはいつも通りの歩夢先輩に戻ってますよ。安心してください」
せつ菜「そんな事より、歩夢さんを早く理奈さんの用意してくれた場所に連れて行きましょう」
せつ菜「こんなところに寝かせてたら可哀想ですよ」
侑「そうだね。早く行こう」 しずく「歩夢さん。貴女が約束を破ったら怒っちゃうって私ちゃんと言ってたんですからね」
璃奈「せめてあんな事をする前に一言相談してくれてたらこんなこと絶対にしなかったのに」
せつ菜「歩夢が悪いんですよ?」
侑「これからはずっと、ずっと一緒だからね。歩夢」
せつ菜「二度と逃がしませんから」ボソリッ
当事者以外は立ち入れないその場所で
花瓶に閉じ込められた月下香が静かにその花を開いた ノーマルルートエンドです
陰鬱なお話に付き合ってくれてありがとう!
チグハグな部分があったらごめんなさい
ここからはハッピールート書いていきます >>191
続きから
歩夢「…サスケ?」
頭にふと浮かんだその名前を口に出す
口に出してみるとそれはパズルのピースがしっかりはまったようにしっくりくる
歩夢「そうだ、貴女は私の友達のサスケ」
サスケ「ぴぎーー!」
サスケが嬉しそうな声を響かせる
今なら、昔のように彼女が何を言っているのかわかる
安心しろと、私が何とかして上げるからと
私の友人はそう言っているんだ 歩夢「久しぶりに会えたんだからお話ししようよ」
歩夢「サスケ?ちょっと待ってよ!ねぇどこ行っちゃうの!?」
彼女は私を置いて何処かへ進んで行く
歩夢「ねえ、私お話ししたいことが沢山あるんだよ!ねえっ、サスケェ!」
サスケ「ピギー!」
知ってるよって、私もだよって
最後にそう叫んでサスケはその場から消えた
そして、私の意識もそこで途切れた ボス「あいつら絶対許さねえっ!」
ボス「地獄に叩き落としてやる」
ボロボロになりながらも尚
床に転がりながら戯言を吐くものがいた
自分が何をしてそうなったのかすら理解できていない愚か者がいた
故に、裁きを下そう
地獄の業火でも浄化できないその魂に相応の報いを与えよう
全ての世界
全ての時間軸で、その生存を許さない
ボス「ああ…うわあっ!?」
ボス「ハッ、ひっヒィッ!?」
ボス「何なんだよこいつは」
ボス「おっおいお前ら早く立て!私を守れ!」
ボス「金出すから誰か助けろっ!」
無論、加担した全てが同罪だ
友人を託した恩人に手を出されたのだ
個人も家族も組織も
目の前で喰われ最後の1人になった時にどんな顔を見せてくれるのか
それだけが彼女の生まれてきた意味になる
やがて響く叫び声は誰に聞かれることもなく口の中に消えていった 歩夢「待ってっ!」
歩夢「…?」
歩夢(あれ?私何の夢を見てたんだっけ?)
侑「歩夢〜っ!」ガバー
歩夢「きゃぁっ!?…侑ちゃん?」
侑「歩夢ぅ〜」ギュッ
歩夢「侑ちゃん、どうかしたの?」ナデナデ
侑「急にごめんね歩夢。何だか凄く嫌な夢を見ちゃって…」 歩夢「嫌な夢?」
侑「あのね…あれ?どんな夢だっけ…」
侑「え〜っと、私を歩夢が助けてくれて、歩夢が大怪我しちゃう夢だったような気がするんだけど…」
歩夢「ふふっ、何それ」
歩夢「私達が友達になった日と逆だね。覚えてる?」
侑「あはは、大切な思い出だもん。当然覚えてるよ」
歩夢「ありがとう。助けてくれて」
侑「どういたしまして」
侑「ありがとう。助けてくれて」
歩夢「ふふ、夢の中なのに?」
侑「何だか言わなきゃいけない気がしたんだよ」
歩夢「うふふ、じゃあありがたく受け取らせてもらうね」 通学路
侑「来週は歩夢がお弁当作って来てくれるんだよね!」
侑「今からすっごい楽しみだよ!」
歩夢「あはは、そんなに期待しないでね」
侑「何言ってるのさ、歩夢の料理は黒焦げだったあの日からずっと美味しいんだから」
歩夢「それはもう忘れてぇ〜」
歩夢「…ねえ侑ちゃん、今日は教室までついて行っても良いかな?」
侑「良いけど、急にどうしたの?」
歩夢「いや、自分でもよくわからないんだけど…何となく音楽科までついていかなきゃいけない気がして…」
侑「変な歩夢〜」 侑「そんなに私が恋しいなら腕組みながら音楽科行く?」
歩夢「恋しいって///そんなんじゃないもん///」
侑「良いじゃん、外ではこうしてよくやってるんだし」ギュッ
歩夢「校内でやるのとは違うのっ///」
侑「えへへ〜冗談だよっ」
歩夢「もうっ!侑ちゃんっ!」 菜々「歩夢さんっ!侑さんっ!おはようございます」ペカー
ぎゅっ
歩夢「おはよう菜々ひゃんっ!?」
侑「ちょっと!?せつ菜ちゃんっ!なに歩夢と腕組んでるの!?」
侑「それに菜々ちゃん家の方向違うよね!何でここにいるの?」
侑「あと、おはようっ!」
菜々「実は今朝起きたら何故か自分の中で最も大きな大好きに気が付きまして」
菜々「それを抑えきれなくなってしまったんですよ!」
歩夢「大好きを抑えられないって…それと腕を組むことになんの関係が?」
侑「そうだよ!早く歩夢から離れてっ!」
菜々「ん?ああ、まずはこれから言うべきでしたね」
歩夢「?」
菜々「大好きです!歩夢っ!」ペカー
歩夢「…ん?」
歩夢「えっ///」
侑「はあぁぁーー!?」 全ての世界で食べてしまうなら全てのルートがハッピーエンドに統合されるんだな 侑「せつ菜ちゃんなに言ってんの!?歩夢は私の
菜々「幼馴染、ですよね」
菜々「さあ歩夢さんっ、一緒に学校へ行きましょう!」ギュッ
侑「ちょっと!せつ菜ちゃん腕を離しなよ」
侑「歩夢が歩きにくそうにしてるでしょ!」
侑「それに歩夢も何ドキドキしてるの!」
歩夢「ドキドキなんて…///」
侑「わかるんだからね」ギュッ 菜々「それなら侑さんが離せば良いんじゃないですか?」
侑「私達はず〜〜っと一緒にいるから一心同体だもん!」
侑「ね〜歩夢っ」
菜々「なるほど、だから歩夢さんにドキドキしてもらえないんですね!」
侑「…はぁ!?」
菜々「だって自分の身体に触れてドキドキなんてしませんから」ペカー
侑「何言ってるの!そんな訳ないからっ!」 侑「歩夢っ、違うよね!私にドキドキするよね!ねっ!」
菜々「いいえ、歩夢さんの運命の出会いである私にこそドキドキするはずですっ!」
侑「歩夢っ!早く答えて!」
歩夢「あの、そのぅ///」
菜々「さあ!歩夢さん!ご遠慮なく!」
歩夢「ぁぅぅ〜///」
菜々(カワイイ!)
侑(カワイイ) 校門前
侑「じゃあ菜々ちゃん、また後で」
菜々「あれ?歩夢さんはそっちじゃないのでは?」
侑「いやぁ、今朝歩夢がどうしてもついて行きたいって言うからさ」
歩夢「私そこまで言ってたかな?」
侑「歩夢が私のことを好きすぎて困っちゃうよ」
菜々「なるほど、じゃあ私もついて行きますね!」
侑「ええ〜」 音楽科教室前
歩夢「ねえ、腕組むのもうやめない?///」
侑「やめないよ?」ギュッ
菜々「はいっ!やめません!」ギュッ
歩夢「どうしてそこは息が合うの?」
菜々「仲間でライバルですから」
侑「そうそう」
歩夢「何のライバルなの…?」
ガラッ
「おっ侑ちゃんおはよー」
侑「おはよ〜」
「何、今日は彼女連れ?」
侑「ははは、私の大切な人だよ」
歩夢「匂わせみたいに言うのはやめてっ///」
菜々「私も歩夢さんが大切な人ですよ」
歩夢「うっ…うぅ〜///二人してからかって」 「あれ?生徒会長じゃん」
「何々?三角関係的な感じ?」
侑「私が先行してるけどね」
菜々「なんのっ!ここから怒涛の追い上げをしてみせますっ!」
「…生徒会長キャラ変えた?」
菜々「気のせいです!」ペカー
「…気のせいかなぁ?」
「あっあの歩夢ちゃんっ!私ファンで、応援してましゅっ」
歩夢「応援ありがとう。これからも頑張るね」
侑「ちょっと!歩夢に声をかけるのはマネージャーの私を通してからにして」
「えーっ」
「おーぼーだー!」
「職権乱用だー!」 歩夢「そうだ。ねえ、ボスって人知ってる?」
「ボス?聞き覚えがないなぁ…知ってる?」
「いや知らないなぁ、誰なの?それ」
歩夢「誰なんだろう…」
「あはは何それ」
歩夢「あははは、ごめんね」
菜々「留学生で自然生物学科のボスト・ロールさんなら1学年に在籍してますよ」
歩夢「あはは。教えてくれてありがとうね、多分その子じゃないと思う」
菜々「そうですか…力になれずすいません」
歩夢「ううん、むしろいないってわかって安心したよ」 「それより早く行かないと始業時間になっちゃうんじゃないの?」
歩夢「えっ?ああっ!?本当だ!」
歩夢「菜々ちゃんっ!急ぐよ!」
菜々「はいっ!歩夢さんと一緒ならどこまでも!」
歩夢「…違うクラスでしょ?」
「歩夢ちゃん、生徒会長また来てね〜」
歩夢「うんっ!」
菜々「歩夢さんが来るなら私もまた来ますね!」 初めからボスはいないことになったのかな。それなら今までの被害者もいなくなっていいね 「生徒会長キャラ変わりすぎでしょ…」
「なんか思ってたより親しみやすそうな感じあるよね」
「歩夢ちゃんの可愛さに溶かされちゃったんだよ。きっと」
「私決めた!次の選挙も今の会長に入れよ〜っと」
歩夢「じゃあ侑ちゃん、またお昼休みに」
侑「うん!楽しみにしてるよ」
侑「菜々ちゃんもまた後でね」
菜々「はいっ!また後程お会いしましょう!」
菜々「それまでは私が歩夢さんを堪能させてもらいますね!」
歩夢「だから違うクラスでしょ…」
歩夢「侑ちゃんも菜々ちゃんの冗談にそんな世界の終わりみたいな顔しないで…」
菜々「冗談のつもりはありませんよ?」
歩夢「お願いだから冗談だって言って…」
菜々「仕方ありませんね。歩夢さんがそう言うなら…」
菜々「ではまた後程お会いしましょうっ!」ペカー 続きは明日以降かな。ノーマルルートで背後の大物まで全部倒しちゃうのはイコライザーっていう映画を思い出した
その後の同好会がああいう裏の人助けみたいな仕事をしてるのもそれはそれで面白そう お昼
菜々「はい、歩夢さんあーんっ」
侑「ちょっとせつ菜ちゃん!私の方が先だよね歩夢っ!」
歩夢「おかず交換の話からどうしてこうなるのっ///」
愛「…」
愛(流石の愛さんも一人でここにいるのは気まずいよ…)
愛(っていうかせっつーマジで何があったの!?)
愛(少なくとも昨日まではいつも通りだったよね!?)
愛(ゆーゆが歩夢を好きなのはバレバレだったけどさぁ…)
愛(普段は幼馴染の余裕なのか押しの強くなかったゆーゆが、せっつーに触発されてメッチャオシオシになってるのは面白いんだけど…)
歩夢「あっ…あーんっ///」
侑「ほらっ美味しいでしょ!」
菜々「なんのっ!歩夢さん次はこれをどうぞ!」
歩夢「ちょっと待…モガッ…」 侑「歩夢は小さい頃からこれ好きだったよね!」
菜々「ほら歩夢さん、口を開けて下さいっ!」
愛「ちょっと!?気持ちはわかるけど、そろそろ歩夢が苦しそうだからそれくらいにしてあげてっ!」
愛「歩夢も流されないっ!」
愛(大好きなお弁当のぬか漬けが凄く甘いよ、おばあちゃん…」
愛「あっ、そーだっ再来週に治世防神社のお祭りにみんなで行くじゃん?メッチャ楽しみだよね!」
愛(強引すぎる話題転換だけど、どうだっ!?)
菜々「私もすっごく楽しみですっ!」
侑「屋台が色々あって凄く楽しいよ!」
愛(よしっ!糖度が落ちてきた)
侑「私と歩夢は昔から2人きりで行ってたんだけど、何度行っても飽きることはないね」
愛(おや?) 侑「歩夢は覚えてるかな」
侑「幼稚園うさぎ組の頃。快晴だったあの日の午後5時32分」
侑「私達が屋台を巡ってて親とはぐれた時に、不安で泣いちゃった歩夢を宥めるためにキスしたこと」
歩夢「侑ちゃん…お願いだからそれは言わないでぇ///」
愛(…)
愛(怖い怖い怖いっ!何でそんな正確に覚えてるの!?)
菜々「子供は情緒が育ってないので、それはキスではなくただの唇同士の接触ですね」
菜々「ノーカンです」
侑「あっ、そっかぁせつ菜ちゃんは知らないんだ?」
侑「歩夢の唇って少し触れるだけでもすっごく幸せになれるんだよ」
侑「なんと言うか、多幸感が凄いんだよね。歩夢の唇は」
侑「一生それを感じられないなんて、せつ菜ちゃんが可哀想だよ」 菜々「…歩夢さん、今からキスしましょう!」
歩夢「急に何言い出すのせつ菜ちゃん!?」
侑「させないよっ!?」
歩夢「ひぅっ!?二人共ちょっと落ち着いてよぉ…」
愛(明日から暫くりなりーと食べよう…)
歩夢が狼に襲われるウサギみたいな目をして、助けを求めるように私を見てる気がするけど見えないふりをする
ごめん歩夢。でも、愛さんの経験上色恋沙汰に口を挟むとろくなことにならないから…
目から光を失った歩夢の口にどんどんおかずが詰め込まれていく
愛(まあ、これもこれで楽しいからよしっ)
こうして楽しく騒がしくお昼は過ぎていく 一週間後
歩夢「はいっ、侑ちゃん」
侑「ありがとう歩夢」
侑「わぁっ、今日のもすっごく美味しそうだよ!ときめいちゃうっ」
歩夢「ふふっ、ありがとう侑ちゃん。そう言ってもらえるなら作ってきた甲斐があるよ」
侑「やっぱり歩夢の作ってくれるお弁当は良いよね!」
侑「なんていうか凄く愛を感じるもん」
侑「今日愛ちゃんはいないけど…ぷひゃはははは」
侑「ねえ、せつ菜ちゃんにも少し分け…」 歩夢「はいっ、せつ菜ちゃん」
菜々「わあっ!ありがとうございますっ!家宝にしますね」ペカー
歩夢「ちゃんと食べてね…」
菜々「お代は」
歩夢「いらないよっ!?」 侑「…」
侑「…は?」
菜々「おっと、侑さんのセリフの途中でしたね」
菜々「それで侑さん。勝ち誇ったような顔で言っていた『ねえ、せつ菜ちゃんにも少し分け…』の続きはどうなるんですか?」
侑「歩夢っ!」
歩夢「侑ちゃんはどうしてそんな必死な顔してるの…」
侑「どうしてせつ菜ちゃんのお弁当まで作ってきてるのさ!」
歩夢「だってお願いされたから…」
菜々「お願いしましたっ!」 侑「歩夢はお願いされたら誰にでもお弁当箱を開くお料理ビッチなの!?」
歩夢「変な言い方しないでよぉ…」
歩夢「だってせつ菜ちゃんは大切なお友達だし…」
侑「せつ菜ちゃんの方が大事なのっ!?」
歩夢「私はせつ菜ちゃんも侑ちゃんも大事だよ?」
侑「…はぁ〜」
菜々「…はぁ〜」
歩夢「えっ!?そのリアクションはおかしくない!?」 菜々「侑さん、歩夢さんって昔からこうなんですか…?」
侑「うん…歩夢って嫉妬深いのに他人から自分に向けられる好意にはすっごい鈍感なんだよ…」
侑「せつ菜ちゃん、一時休戦しよう?」
菜々「はい。友人同士協力しましょうか」
侑「決着は」
菜々「来週のお祭りで!」
歩夢「二人だけでなんのお話してるの?」
侑「歩夢は可愛いなって話だよ」
菜々「可愛いですっ!」 歩夢「もっ…もうっ!///また私をからかって…」
歩夢「早くお昼食べよう///」
侑「本心だよ!ねっ、せつ菜ちゃん!」
菜々「そうですよ!歩夢さんは本当に可愛いですよ」
歩夢「もうやめてぇ〜///顔が熱いよぅ///」
侑「カワイイ」
菜々「カワイイ」
歩夢「うぅ〜〜っ///ほらっ!早く食べてくれなきゃもう作ってこないよ///」 侑「いただきます」
最高のお昼ご飯
菜々「ちょっと侑さん、いただきますはみんなで言いましょうよ!」
最高のライバル
歩夢「ふふっ。小学校みたいで良いね、それ」
そして好きな人
侑「えーっ」
菜々「セーので行きますよ」
菜々「せーのっ」
「「「いただきます」」」
愛ちゃんが何故か最近来てくれないのは残念だけど、私にとって最高の時間
今日も歩夢の作ってくれたお弁当は人生最高に美味しかった 読んでいただきありがとうございます
短いですが書き溜めが無くなったので今日はここまでにします
今後は
1年生と歩夢
愛と歩夢
3年生と歩夢を書いてから
夏祭り編に行かせてもらいます
最後までお付き合いいただけたら嬉しいです 夏祭り前ある日、同好会練習後
かすみ「歩夢せんぱ〜いっ、今日お時間ありますかぁ?」
歩夢「えっ?大丈夫だけど、どうかしたの?」
歩夢「ふふっ、もしかして宿題でわからないところがあったの?」
かすみ「違います〜っ!」
歩夢「ふふふっごめんね、冗談だよ」 かすみ「しず子!りな子!侑先輩とせつ菜先輩が戻ってくる前に急ぐよ!」
璃奈「了解。行くよ量産型理奈」
歩夢「えっ!?ええっ!?」
私、床から出て来た沢山の璃奈ちゃんに似た顔をした機械に持ち上げられてる!?
色々と怖いよ!?
しずく「すいません歩夢さん。お二人が心配しないように、ちゃんと書き置きは残しておきますから…」
歩夢「なんでも良いから早くおろしてぇっ!」
軽くホラーだよこれ 侑「歩夢〜っ、待たせてごめん…あれ?」
菜々「おかしいですね、歩夢さんがいません」
侑「歩夢に限って先に帰るなんてことはないはずなんだけど…」
菜々「あっ!侑さん、書き置きがありますっ!」
侑「本当だ。どれどれ…」
『歩夢先輩はぁ〜私達にメロメロなので、今日は私達とおデートに行きますっ♡』
侑「は?」
菜々「は?」 ゲームセンター
かすみ「だぁーっ!負けたぁっ!」
しずく「これで2戦2敗だね…」
かすみ「しず子ぉ〜そんな悲しいことカウントしないでよぉ〜」
歩夢「うふふ、まだやる?」
かすみ「もちろんですっ!」
強引に運ばれた時はちょっと不安だったけど、ただゲームセンターに行くだけだった
私もみんなと一度遊びに来たいって思ってたから嬉しいな 私を抱えてたロボットさん達は気がつくといなくなっちゃってた
…どこに行ったんだろう
歩夢「ところで、なんであんな強引に…」
璃奈「今日は歩夢さんと遊びたかったから」
しずく「あのお二人が来るまでの時間を考えると、ゆっくりお話している時間がなかったんですよ」
かすみ「聞かれたら絶対について来ちゃいますもんね」 歩夢「もうっ、それなら前日に知らせてくれたり、メッセージアプリとかがあるでしょう?」
あっ、後輩を注意するって何だか先輩っぽいかもっ!
しずく「歩夢さんはそれを侑さんやせつ菜さんに言わないで…」
歩夢「黙っててってお願いされたら言わないもん」
しずく「すいません。誤解のある言い方でした」
しずく「バレないでいられますか」
歩夢「…」
歩夢「あはは、それは確かにちょっと自信ないかも…」
璃奈「だからみんなで話し合ってこうすることにしたの」
しずく「強引に連れてきてすいません」
歩夢「…そういうことならまあ、良いよ」 歩夢「後輩から慕って貰えてるみたいで嬉しいし///」
しずく「みたいではなく、私達しっかり歩夢さんを慕ってますよ」
璃奈「歩夢さんは自覚ないみたいだけど、みんなから好かれてる」
歩夢「///」
璃奈「私達はお姉ちゃんみたいな意味で歩夢さんが好き」
璃奈「でも、それとは全く別方向で歩夢さんを好きな人も同好会にいる」
璃奈「自分が好かれてないなんて思ってたらその人達が可哀想だよ?」
歩夢「えっ?」
歩夢「璃奈ちゃん、それってどういう…」 璃奈「さあ歩夢さん、かすみちゃんが負けたら次は私と対戦しよう」
歩夢「うっ、うんっ!」
かすみ「ちょっとりな子ぉ〜、なんでかすみんが負けるの前提なんですかぁ〜っ!」 かすみ「結局りな子と歩夢先輩は決着がつかなかったなぁ」
璃奈「久しぶりに強敵と書いて友と呼べる人に出会えた」
歩夢「私も!すっごい楽しかったよ」
しずく「本当に二人とも凄かったね」
しずく「テクニックの璃奈さんと先読みの歩夢さん、これで1つの物語が作れちゃいそうだったよ」
歩夢「あはは、大げさだよしずくちゃん」 かすみ「歩夢先輩、1つお願いがあるんですけど良いですか?」
もう帰ろうかって頃にかすみちゃんが口を開いた
歩夢「うん?なぁに?」
かすみ「大したお願いじゃないんですけど…」
歩夢「大丈夫だよ。私に出来ることなら何でも言って!」
璃奈「言ったね」
歩夢「え?」
しずく「言質はとりましたよ」
歩夢「ちょっと待って!何この不穏な空気!?」 かすみ「歩夢先輩も、私達一年生同盟に加入してくれませんかぁ」
物々しい雰囲気を出しておいて、存外可愛らしいお願いに肩透かしされた気分になる
でも、少しでも考えれば当然だよね。この子達が悪い事を言って来る訳ないんだから
歩夢「ふふっ」
歩夢「それくらいなら喜んで」
「「「やったー」」」
歩夢「ふふふ、ところで何か変わることはあるの?」 かすみ「私達と同じ学年になってくれませんか?」
歩夢「?」
歩夢「…うん?」
かすみ「つまりですね」
かすみ「留年してみませんか?」
歩夢「…えっ?」 歩夢「そんな海行こうよみたいなノリで?」
歩夢「留年を頼むの?」
歩夢「なんで?」
しずく「ほら、私と歩夢さんって1ヶ月しか誕生日違わないじゃないですか」
歩夢「うっ、うん。そうだね」
しずく「なら1回くらい留年しても大して違いなくないですか?」
歩夢「あると思うよ」 しずく「たった1ヶ月の違いで生まれる1年ですよ!?」
歩夢「社会的にはその一月の有無はずいぶん違うと思うな」
歩夢「そっそれにほらっ!親に迷惑はかけたくないから」
璃奈「安心して歩夢さん。私がお金出すから」
歩夢「!?」 歩夢「可愛い後輩に留年のお金出させるくらいなら私は退学するよっ!」
歩夢「そっ、それにほら…将来的に面接で引っかかっちゃうでしょ…」
璃奈「それも大丈夫。この為にもう作ったから」
歩夢「…何を?」
璃奈「会社」
歩夢「…」
璃奈「会社」 考えておいてくださいって言われてお家に帰ったけど…どうしよう…
流石に冗談だと思って璃奈ちゃんから貰った名刺の会社を調べたらヒットした
歩夢「えぇ、異常な速度で業績を上げてる…」
…ほんの少し心が揺らいじゃったのは内緒だよ?
そして翌日、何故か侑ちゃんとせつ菜ちゃんが一年生のみんなに物凄い勢いでお説教してた 1年生編 完
次は愛さん編です
少々お待ちください 歩夢ちゃんがあともう少し遅く生まれて1年生だったらどうなってただろうね。侑お姉ちゃんべったりなのは変わらなさそう 翌日
愛「歩夢っ!一緒にこの前言ってた格ゲーやりに行こうよ」
歩夢「あっ愛ちゃん!良いよ。せつ菜ちゃんと侑ちゃんも誘うからちょっと待っててね」
愛「いや…これ以上あんなの目の前で見せられたら愛さんでも甘すぎて辛いよ…」
歩夢「?」
愛「歩夢っ!今日は愛さんと二人で行こう」
歩夢「えっ!?でも2人が今日は待っててって」
愛「愛さんが連絡しておくから大丈夫だって」
愛「ほらっ、早く早くっ」
歩夢「わわっ!?」 侑「今日こそは歩夢と帰るよ、急ごう菜々ちゃんっ!」
菜々「はいっ、急ぎましょう!!」
ガラッ
侑「歩夢ーっ!ってあれ?今日もいない」
菜々「歩夢さーん!!あれ?」
侑「あっ!」
菜々「侑さん、どうかしましたか?」
侑「愛ちゃんからメッセージが来てる」
菜々「あっ!私のスマホにも届いてます」
侑「何だか嫌な予感がするよ…」
菜々「奇遇ですね。私もです…」
愛『ごめんねゆーゆ、せっつー。今日どうしても歩夢に話しておきたいことがあったから歩夢を借りるよ』
侑「…まあ、愛ちゃんだし身の程を弁えてそうだから許してあげようかな?」
菜々「ええ…ん!?少しお待ちください。これスクロールすると下がありますっ!」
侑「あっ本当だっ!」
愛『ps:それはそうと歩夢とのデート楽しんでくるねb』
菜々「これは私達のリアクションを想像して楽しんでますね」
侑「喧嘩売ってるのかな?」 ゲームセンター
ジョインジョィントキィデデデデザタィムオブレトビューションバトーワンデッサイダデステニー
ナギッペシペシナギッペシペシハァーンテンショーヒャクレツナギッカクゴォナギッナギッナギッ
フゥハァナギッゲキリュウニゲキルルリュウニミヲマカセドウカナギッカクゴーハァーテンショウヒャクレツケン
ナギッハアアアアキィーンホクトウジョウダンジンケンK.O.イノチハナゲステルモノ
バトートゥーデッサイダデステニーセッカッコーハアアアアキィーンテーレッテーホクトウジョーハガンケンハァーンFATAL K.O.
セメテイタミヲシラズニヤスラガニシヌガヨイウィーントキィ(パーフェクト) 歩夢「簡単なコンボだとこんな感じかな?」
愛「あっははははははっ…ひっひぃ…ひぃ…」
歩夢「?」
歩夢「愛ちゃんは何をそんなに笑ってるの?」
愛「ねえ歩夢」
歩夢「急にスンッてしないでよ。ちょっと怖いよ?」
歩夢「どうかしたの愛ちゃん?そんな理想のクソゲーを見たような顔をして…」
愛「理想のクソゲーって何?面白いの?つまらないの?」
歩夢「その両方がすごいバランスの上に成り立ってるのが魅力なんだよ!」
愛「何それ…?」 愛「って、脱線しちゃったね」
愛「このゲームのことに話戻すけどさ、これ負けた人何も出来てなくない?」
歩夢「うんっ!」
愛「これって負ける人もお金払ってるんだよね?」
歩夢「うんっ!」
愛「お金払って坐ってるだけ?」
歩夢「うんっ!」
歩夢「正確には相手のミスをお祈りしてるよ!」
愛「ええっ…」 歩夢「そうだ、キャラによっては筐体を止めるバグがあったりするからプレイする時は気をつけてね」
愛「ええ…」
愛「やっぱりこれクソゲ…」
歩夢「璃奈ちゃんもやり込んでるって言ってたよ」
愛「よっしゃ、歩夢っ!早く始めるよー!」
歩夢「そうこなくっちゃ!」 カフェ
愛「最近歩夢とせっつーめっちゃ仲良くなったよね」
ゲームをひとしきりやった後、カフェに入って休憩
なんだかんだ楽しみながらプレイしてた愛ちゃんを思い出して
やっぱり愛ちゃんは飲み込みが早いなぁなんて思ってると、唐突に愛ちゃんがそんなことを言ってきた
愛「ゆーゆも最近グイグイいってるし」
歩夢「あはは」
歩夢「侑ちゃんもせつ菜ちゃんも私をからかってるだけだと思うよ?」
愛「いーやっ、そんな訳無いよ。正直に愛さんに話してみなって」
歩夢「でも、本当にわからないんだよ」
愛「わからないって何が?」 歩夢「なんでみんなと比べて良いところが無い私なんかと仲良くしてくれてるのかが…」
愛「うーん、そっかぁ〜」
歩夢「うん…」
愛「えいっ」デコピン
歩夢「っ痛ぁっ」
歩夢「急に何するの!愛ちゃんっ!」
愛「こら歩夢!私の親友をそんな風に言うなら、流石に温厚な愛さんでも口をアングリー開けて怒っちゃうぞ」
歩夢「愛ちゃん…」 愛「愛さんが保証するよ。歩夢は凄いんだって」
愛「いつもみんなの事を第一に考えて」
愛「可愛くて、努力家で」
愛「優しくて、自分の意思を曲げない強さがあって」
愛「大事な人を守る為に1人で戦ってボロボロになって…」
歩夢「愛ちゃん…?」 愛「…」
愛「ってあはははは、私急に何言ってるんだ。そんな事無い筈なのに」
愛「ごっ、ごめんね。本当に何言ってるんだろ私」
愛「あれ?何で」
愛「愛さん何で涙が止まらないんだろう…」ポロポロ
愛「あはは、変なのっ…」ポロポロ 歩夢が自分のこと普通と思ってる設定は何気にあまり見ないよな 歩夢「愛ちゃん」ギュッ
愛「ぁっ…歩夢?」
歩夢「心配かけちゃってごめんね」
歩夢「大丈夫だよ、私はもうみんなに心配かけるようなことしないから」
愛「っ…うぅぅっ!」ギュッ
歩夢「ありがとう、愛ちゃん」
愛ちゃんが今泣いている理由は、正直よくわからない
きっと愛ちゃん自身もわかってない
でも、この何でもできる最高の親友にそこまで想ってもらえてるんなら
私にもっと自信を持って良いのかなって思えた 帰り道
愛「ほんっと〜〜にごめんね歩夢」
歩夢「ううん。むしろありがとう」
歩夢「愛ちゃんが泣いてくれたお陰で私、自分を少し好きになれたよ」
愛「…みんなにはこのこと内緒にしててね///」
歩夢「どうして?」
愛「だってこんなの愛さんのキャラじゃないでしょ」
歩夢「愛ちゃんが実はとっても可愛いってことはみんな知ってるよ?」
愛「///」 愛「あはは、もうっ歩夢ってばからかって」
愛「さっきの仕返しのつもり?」
歩夢「本心だよ?」
歩夢「愛ちゃんがさっき私を褒めてくれた以上に、私は愛ちゃんの良いところを知ってるんだから」
愛「あはは歩夢も言うようになったねぇ。愛さんも感慨深いよ///」
愛「でも、さっき私が言ったのだってまだまだ一割も言ってないんだからね!」
歩夢「じゃあ、どっちが最後まで言えるか勝負しようか」
「ヒーロー」「うさぴょん」「スポーツ万能」「日進月歩」「かっこいい」「癒し」
街灯に照らされた明るい道に笑い声が木霊する
結局勝負は時間切れでドロー
愛ちゃんは、きっと今日私を勇気付かせてくれる為に誘ってくれたんだろうな
…ありがとうね、愛ちゃん 愛さん編 完
次は三年生編です
明日投稿できると思いますので、読んでくださる方は少々お待ちください 歩夢は2人がからかってるだけなんてまさかほんの少しでも本気で思ってないよね 想定より早く書けそうなので、3年生編今から行きます さらに翌日
歩夢「ねえ、2人とも」
侑「なになに、どうしたの歩夢」
菜々「私にできることなら何でも言ってくださいっ!」
歩夢「じゃあお願いさせてもらうね」
歩夢「あのね、少しだけで良いから離れてくれないかな?」
侑「ごめん無理!今日こそは歩夢から離れないからっ!」
菜々「同じく!」
歩夢「えぇ…」
侑「昨日も一昨日も一緒にいる時間短かったじゃん!」
菜々「そうですよ!今日こそは一緒に帰って貰うまで離しません!」
歩夢「暑くて顔が真っ赤になっちゃうよぉ〜」 果林「あら、歩夢じゃない。探してたのよ?」
歩夢「あっ果林さん。こんにちは」
菜々・侑「こんにちは」
果林「はい、こんにちは」
果林「歩夢、急に悪いんだけどこれから練習サボって一緒に出掛けない?」
歩夢「えっ!?」
果林「エマと彼方も誘ってるわよ」
侑「えーっ、今日こそ歩夢には私と一緒にいてもらいたいんですけど」
菜々「そうですよ!今日こそ歩夢さんには私と一緒にいてもらいたいんですから!」 果林「最上級生命令よ!」
侑「横暴だぁ!」
菜々「わっ私達同好会メンバーにはそんなの関係ありませんよ」
果林「へえ、そう」
果林「つまり貴女達は卒業まで半年程度しかない先輩のささやかな思い出作りに反対するの?」
果林「エマなんてスイスに帰っちゃうかもしれないのに?」
侑「えっ!?それは…」
菜々「そう言われてしまうと…」
果林「最上級生命令なんて冗談よ」
果林「歩夢の意思が一番大切なんだから、歩夢が嫌なら無理強いしないわ」 歩夢「私、行きたいです」
侑「歩夢ぅ」
菜々「歩夢さぁん」
歩夢「うぅっ、そんな目でみないでよ…」
ああ言われちゃったら断れないよ
それに、果林さんがいつになく真面目な顔をしているのも気になるから
果林「うふふ」
果林「安心しなさい2人共、もしかしたらこれが2人にとっても良い結果を招くかもしれないわよ?」
侑「それって」
菜々「どういう…」
果林「さっ、歩夢 早く行くわよ!」
歩夢「ごめんね。2人共また明日」 歩夢「あのぅ…誘っていただけたのは嬉しいんですが…それは?」
その手には長い…
果林「釣り竿よ!」
歩夢「釣りにいくんですかっ!?」
真面目な話があるんじゃないかと思って来たのに普通に釣りのお誘いだったなんて…
いや、嬉しいんだけどね
歩夢「どうして!?」
果林「あら?決まってるじゃない」
果林「私が得意だからよ!」
彼方「彼方ちゃんは遥ちゃんのために大物を持って帰るぞー!」
エマ「美味しいお魚が釣れると良いねっ」 果林「ほら、歩夢」
歩夢「あっ、ありがとうございます」
果林先輩にセットしてもらった釣竿を手に持つ
海面に釣り糸を垂らしてしばらく待つけどピクリとも動かない
浮きがあっちへユラユラこっちへユラユラしているだけ
そんな私とは対照的に先輩達は次々と釣り上げて行く のんびり話をするには釣りはぴったりだからね。と思ったら先輩たちは普通に釣ってた 彼方「ねえ、歩夢ちゃん〜」
歩夢「なんですか?彼方さん」
彼方「今、学校は楽しい?」
歩夢「はいっ!すっごく楽しいです」
彼方「そっかぁ〜。それは良かったよ〜」
エマ「じゃあ、もし、もしも明日で卒業だって急に言われちゃったら何をしたいかな」
歩夢「えっ!?それは…何でしょう…」
エマ「例えばそうだねぇ」
エマ「恋愛してみたい」
エマ「とか?」 歩夢「ふぇっ!?れっ、恋愛っ!?///」
何故か頭に侑ちゃんとせつ菜ちゃんの顔が同時に浮かぶ
果林「あら、これだけで真っ赤になっちゃうなんてまだまだウブねぇ」
彼方「その様子だと、好きとはいかなくても気になる相手はいるみたいだねぇ〜」
エマ「素敵だねっ!」
歩夢「あの子達はそんなんじゃ無いですよぉ///」
彼方「おやおやぁ〜」ニヤニヤ
エマ「この反応はもう確定だね」ニヤニヤ
歩夢「本当にそんなんじゃ無いですからっ///」 果林「ふふっ、予想通りみたいね」
果林「歩夢、これから話すことは先輩が釣りについて独り言を言ってるとでも思ってちょうだい」
果林「アクションがあるのに何にもしないで待ってるだけだと、どこかに行っちゃうの」
彼方「待たされるだけなのは嫌だもんね〜」
果林「欲張って2つの竿を同時に使おうと思ったらバランスが難しくて、よっぽど上手くやらないと両方に逃げられちゃう」
エマ「それはすっごく悲しいね」
果林「そう。逃した後悔って忘れた頃にやってくるものなの」
果林「もちろん、凄い自信があるなら二刀流への挑戦を否定はしないわよ?」
果林「モデル仲間から聞いた話なんだけど、逃げられはしなくても引き摺り込まれて大怪我することがあるみただけどね」 歩夢「…」
果林「ほら歩夢、かかってるわよ?」
歩夢「えっ!?わっ、本当だっ」
果林「よく考えて冷静に行きなさい、歩夢」
彼方「歩夢ちゃんならできるよ〜」
エマ「がんばれがんばれぇ」
苦戦の末1人で釣り上げたそれは、今日一番の大物だった
果林「うん、よくやったわね歩夢」
果林「結局それをものにできるか出来ないかは本人の行動次第なのよ」
果林「それは忘れないでね」ウインク
最後に果林さんがそう締めて今日は解散した 好きって何なんだろう
私は同好会のみんなが大好き、それは自信を持って言える
でも、侑ちゃんとせつ菜ちゃんに向けるそれは少しだけ違うような気がする
この気持ちが成長すれば、きっとそれが恋になるんだろうって思う 向こうが私をそういう意味で好きだってことは察してた
だけど、今までは見て見ぬ振りをしてきた
私の自意識過剰だろうって
あの2人に限ってそんな訳ないのはわかってるのに、からかってきているだけだと思い込もうとした
だって、私があんなに素敵な相手から愛される人間だって自信が無かったから
希望を持って、それが壊されるのが怖かったから逃げてたんだ
だけど、愛ちゃんに自信を貰えた今は違うよ 歩夢「はぁ…」
今日の先輩達との会話を思い返してため息を吐く
確かにアプローチから逃げてるだけじゃダメだよね
でも、同じくらい大好きな2人のどちらかを選ばなきゃいけなくなった時
私はどうすれば良いんだろう 3年生編 完
明日書くと言っておきながら今投稿して申し訳ないです
未熟な文章に長々とお付き合いいただきまして本当にありがとうございます
残すは夏祭り編です
明日では終わらないと思いますが、最後までよろしくお願いします この歩夢ちゃんはまだ侑ちゃんとせつ菜ちゃんの間で揺れてる感じなんだね すいません。今日は展開に迷って他のものを書いてました
2日更新できなくて申し訳ないですが、今週中には終わらせたいと思ってます
保守ありがとうございます 納得できる展開書けるまで待ってるのでじっくりでどうぞ お祭り当日 マンションエントランス
侑「あっ、歩夢〜っ」
せつ菜「歩夢さん、こんにちは」
歩夢「ごめんね、待たせちゃった?」
待ち合わせのエントランスに行くと侑ちゃんとせつ菜ちゃんが着物姿で待っていてくれた
せつ菜ちゃんがここにいるのも、もう当たり前の光景になったね
侑「歩夢、今年も浴衣似合ってるよ」
せつ菜「はいっ!花柄のピンクの浴衣が歩夢さんらしくってすっごく可愛らしいですっ!」
歩夢「あっ///ありがとう…」 歩夢「二人もすっごく素敵だよ///」
黒色をベースにしてピンクの帯で纏めている侑ちゃん
赤をベースにピンクの帯で統一感のあるせつ菜ちゃん
いつもと違う装いの彼女達は凄く魅力的で
お世辞では無く本心から素敵だと思えた
侑「うん。ありがとう歩夢」
せつ菜「実は浴衣を着てお祭りに行くのは初めてなので、歩夢さんにそう言っていただけると嬉しいです!」
侑「果林さんからアドバイスをもらって良かったね」
せつ菜「そうですね!やっぱりあの人の意見なら失敗はありませんっ!」
…果林先輩は最近ちゃんと勉強できてるのかな? 侑「ここで話して遅刻しちゃうもあれだし、もう行こっか」
せつ菜「そうですね」
せつ菜「さあ、歩夢さん腕を」
歩夢「やっぱりそうなるよね…」
侑「ほら、逸れないようにね」
歩夢「こんな普通の道で逸れるも何もないと思うよ?」
両側から腕を組まれるのも慣れたもの
紅くなりそうな顔を悟られないようにして平静を装う 先輩達と話した後、私が悩んで出した結論は単純で
今は友人として行動しながらしっかり考える
ってだけ
告白されるまでは結論を焦らないで、今はお友達として2人と接するって決めたんだもん
素敵な仲間に恥じない誠意ある気持ちで接するって決めたんだ
だからきっと、この胸の高鳴りは気のせい 移動中
侑「歩夢、今日もシェアしようね」
歩夢「うんっ」
せつ菜「シェアというのは?」
侑「あはは、小さい頃っていっぱい食べたいのがあるのにお小遣いは少しでしょ?」
侑「だから毎年!歩夢と分け合って色々食べれるようにしてたんだよ」
歩夢「そうそう」
歩夢「なんだかんだでずっと続けてきたよね」
侑「ねーっ」
せつ菜「そうなんですね!」 せつ菜「では、今年はそれに私も混ぜてくださいっ!」
侑「はぁ!?」
侑「いくらせつ菜ちゃんのお願いでもそれはダメだよ!」
侑「ねっ!歩夢っ!ねっ!」
せつ菜「良いじゃないですか!私を仲間はずれにしないで下さいよ」
歩夢「もうっ、意地悪言っちゃダメだよ侑ちゃん」
歩夢「それに3人で分け合った方が色々と楽しめるでしょ?」
侑「えへへ、ごめんごめん。歩夢がそう言うなら良いよ」
せつ菜「わかれば良いんです!」
侑「はぁっ!?」
やり取りだけを見ると険悪そうかもしれないけど、言い合う2人の顔はとても楽しそうな笑顔だった
認め合えるライバルってきっとこんな感じなのかな? 鳥居前
愛「おっ、歩夢せっつーゆうゆっ!こっちこっち!」
かすみ「歩夢せんぱ〜い!」
果林「待ってたわよ」
集合場所の鳥居には人が大勢ごった返していてどう探そうか悩んでいたところを
愛ちゃんに声をかけられてみんなに気がつく
待ち合わせの10分前なのにもうみんな揃っていた
愛ちゃんが声をかけてくれて助かったよ…
しずく「人が多いですね…」
歩夢「ごめんね。先に言っておくべきだったかも…」
しずく「あっいえ!そんなつもりで言ったわけでは」
果林「でも、流石にこんな大人数だと逸れちゃいそうね」
この人混みの中、10人で進むのは確かに難しそう
このお祭りが混むのは毎年のことなのに、小学校中学年からは侑ちゃんと2人でしか来てなかったからそんなことに思い至らなかったよ
もう、私のばかっ 愛「そうだ。じゃあ、少人数のグループに分かれてそれぞれ周るって感じにしよっか」
心の中で反省会を開いている私にとってそれは救いの一言だった
璃奈「賛成」
璃奈ちゃんに続いて、みんなが賛成の意思を示す
しずく「では、花火が終わったらあそこに見える大蛇の神像前で落ち合いましょうか」
しずくちゃんが神社から少し離れた場所にある公園のオブジェクトを指差した
あそこなら人もここまで沢山はいないだろうから良さそうだね 彼方「彼方ちゃん達3年生はお勉強があるからね〜」
彼方「花火前に帰っちやうから合流出来ないけど、居なくても気にしないでねぇ」
歩夢「あっ、そうなんですね。わかりました」
侑「勉強まで気分転換していって下さいね」
せつ菜「頑張って下さいっ!」
エマ「果林ちゃん、今日はっ!今日こそは!頑張ろうねっ!」
果林「ふふっエマ、そんなに凄まないでちょうだい…怖くなっちゃうわよ?」 かすみ「りな子っ!しず子っ!一緒に…」
しずく「うん。一緒に周ろう」
璃奈「ごめんねかすみちゃん、しずくちゃん」
かすみ「ん?どうしたのりな子」
璃奈「私今日は愛さんと周る約束してるから…」
かすみ「えぇっ!?」 丁度愛ちゃんを誘おうとしていた私の耳にそんな会話が入って来た
愛ちゃんも私が声をかけようとしていたのを悟ったのか
愛「って訳なんだ。ごめんだけど、また今度一緒に遊ぼう」
って申し訳なさそうに手を合わせてきた
歩夢「先約があるなら仕方ないよ」
歩夢「じゃあ愛ちゃん、また後で」
あれ?別行動するって決まったのはついさっきじゃなかったっけ?
歩夢「愛ちゃん!」
愛「何々?どうかした?」
歩夢「頑張ってね」ニコッ
愛「///」ニコッ 侑「ほらっ歩夢早く行くよ」グイグイ
せつ菜「この楽しそうな雰囲気!もう待ちきれませんっ!」グイグイ
歩夢「あっ、ちょっと!?」
歩夢「みんな、また後でね」
2人に腕を引かれて鳥居をくぐる
華やかな景色と美味しい匂い
少し遠くからは御囃子の音が聞こえる
まるで異世界にきたようにすら思えるこの場所は、私の大好きな場所
いつも1人では持ちきれないような思い出をくれるこの場所は、きっと今年も沢山の忘れられない思い出をくれるんだろうな かすみ「歩夢せんぱ〜…ってもういない!?」
しずく「あはは、かすみさんが声をかけそうだからってあの2人が急いで連れて言っちゃったよ?」
かすみ「ぐぬぬぬぬぅ」
しずく「…どうする?追いかける?歩夢さんは受け入れてくれると思うよ?」
かすみ「うーん…いいや」
かすみ「しず子、せっかくだし今日はかすみんと2人だけで回ろうよ!」
しずく「…私と2人でも良いの?」
かすみ「なぁに水臭いこと言ってるのさ、私としず子の仲でしょ?」
かすみ「ほら、行くよ」
しずく「うんっ!」 しずく「…ねえ、かすみさん」
かすみ「ん〜?どったのしず子」
しずく「見て、今日は月が綺麗だよ」
かすみ「わあっ、本当だ」
かすみ「よく気がついたねしず子」
かすみ「でもなんで急に月の話を?」
しずく「なんとなくだよ」
しずく「ねぇかすみさん、手を繋いでも良いかな?」ニコッ
かすみ「もちろんっ」ギュッ 歩夢「毎年のことだけど行列が長いねぇ…」
屋台に並びながら誰に聞かせる気もなくそう呟くと
侑「その時間歩夢とゆっくりお話しできるから私は嬉しいよ?」
せつ菜「浴衣姿の歩夢さんをゆっくり見つめられるのも良いですね!」
歩夢「///」
恥ずかしくなるような回答が帰ってきた 侑「こうして歩夢の感触もじっくり堪能できるし!」
せつ菜「こうして歩夢さんの感触もゆっくり堪能できますし!」
…
組んでいる腕を緩めようとしたら両側から凄い力で組んできた
歩夢「…2人とも、それちょっと変態さんみたいだよ?」
侑「私はそんなんじゃないよ!せつ菜ちゃんがどうかはわからないけど」
せつ菜「私は違いますよ!侑さんはそうかもしれないですけど!」
侑「何おぅ」
せつ菜「何ですかぁ!」
いつもみたいに言い合う2人を気にしないようにして
早鐘を打ちそうになる心臓を必死に宥める 侑「たこ焼き美味しいねえ」
歩夢「ふふっもうっ、侑ちゃん今年も頬っぺたにソース付いちゃってるよ」
歩夢「ウエットティッシュで拭くからじっとしてね」フキフキ
侑「えへへぇ〜」ニコニコ
せつ菜「!?」ガバッ
せつ菜「歩夢さんっ!私の顔にもソースが!」
歩夢「何でせつ菜ちゃんは空のたこ焼き容器に顔を突っ込んじゃったの!?」 侑「歩夢は小学5年生の頃にここの屋台で出禁食らっちゃってさぁ」
お祭りをぶらぶらしながら雑談に花を咲かせる
せつ菜「出禁!?中々ロックですね」
歩夢「そんなに変なことはしてないよ!」
せつ菜「何をやったんですか?」
侑「型抜きで何十個も完全成功させて合計五十万円分達成しちゃったんだよ」
歩夢「夢中でやってて気がついたらお店の人が土下座でもうやめて下さいって泣きながら言ってて」
歩夢「可哀想だからお金は受け取らなかったのに出禁にされたのは今も納得が…」
せつ菜「あははは!」ヨロケ
…さっきからせつ菜ちゃんの歩き方が少しおかしいような… 歩夢「ねえ、せつ菜ちゃん」
せつ菜「はいっ!何でしょうか!」
歩夢「もしかして足が痛いの?」
せつ菜「そんなことないですよ!」
歩夢「でも、さっきから歩き方がちょっと変だよ?」
せつ菜「…よくわかりましたね」
せつ菜「実はお恥ずかしながら慣れない草履のせいで鼻緒ずれになってしまったみたいで…」 せつ菜「ですがこれくらいなら大丈夫ですよ。ほらっ!」ピョン
せつ菜つなちゃんが組んでいる腕を解いて大丈夫だぞってアピールするようにジャンプするけど
案の定バランスを崩して…
せつ菜「おおっととと」
歩夢「無理しちゃダメだよ?」ギュッ
せつ菜「あっ…///」
歩夢「ほら、手当てするからこのまま向こうのベンチまで行こう?」
せつ菜「はぃ…///」
侑「むぅっ」
侑ちゃんは少し不満げだけど、怪我人を前にしては流石に何も言えないみたい せつ菜ちゃんがベンチに座ったらポーチから消毒液等の必要なものを出す
せつ菜「自分でやりますよ」
歩夢「良いよ。私がやった方がやりやすいだろうし気にしないで?」
せつ菜「ですが…」
歩夢「消毒するね」
申し訳なさそうな顔をしてまだ何か言いたそうなせつ菜ちゃんをあえて無視する
せつ菜「っーーつ!」
歩夢「あっ、ごめんね。痛かった?」
せつ菜「いえ、歩夢さんにやってもらっているなら寧ろご褒美です!」
歩夢「?」
歩夢「絆創膏貼ってあげるからじっとしててね」フキフキ
せつ菜「はいっ!」 歩夢「これでよしっ」ペタリ
歩夢「はい草履。鼻緒を解してガーゼを挟んでおいたから、少しは楽になると思うよ」
せつ菜「はい。何から何までありがとうございます歩夢さん」ペカー
歩夢「どうかな?歩けそう?」
せつ菜「はい!すっごく楽になりました」ピョンピョン
歩夢「良かったぁ」ニコッ
その場でジャンプするせつ菜ちゃんの顔に嘘の色がなくって安心する 侑「懐かしいね!歩夢!私が!昔こうなった時も助けてくれたもんねっ!」
歩夢「あはは、あの時はちゃんとできなくってごめんね」
侑「ううん、あの日も私のために頑張ってくれてる歩夢を見ただけで本当に痛みなんてどこか行っちゃったんだもん」
侑「本当に助かったんだよ」
歩夢「…そう言ってもらえるなら嬉しいな」
あの日、うまく手当できなかった事を反省してちゃんと勉強したんだもんね
こう言ってもらえると救われるよ 一通り遊んだ後
歩夢「そろそろあの場所に行こうか」
侑「ああ、もうそんな時間なんだね」
せつ菜「あの場所って何ですか?」
歩夢「ふふっ、花火を良く見れる場所だよ」
そろそろ花火が始まるから場所を移そうかなんて話をしながら歩いていると
「あっ…あのっ!」
「プライベート中に申し訳ありませんが歩夢ちゃんですよね?」
歩夢「そうですけど、貴女達は?」
女の子2人。もしかしてファンの子かな?
両脇の二人もそう思ったのか腕を解放してはくれないけど、少しだけ脇に避けてくれる
…ほんの少しだけど 「あっ…あのっ…そのっ…」
「ごめんね、歩夢ちゃん。私の幼馴染ってば行動力があるのに勇気がないから…」
歩夢「あはは、気にしないで。私もそういうところがあるし大丈夫だよ」
「ほらっ、引き止めちゃうのも悪いから早く言っちゃいなよ」
「うっ、うんっ!すーっ、はぁーっ」
「私っ、歩夢ちゃんに救われましたっ!これからも応援してますっ!」
歩夢「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいな」ニコ
「わっ、わぁっ!」
「言ってよかったでしょ」 歩夢「2人は幼馴染なの?」
「そっ、そうでしゅっ…ああ、噛んじゃった」
「あはは、はい。こんなですけどすごく大切な幼馴染なんですよ」
「もうっ、こんなって何っ!昔は私の後をずっとついてきてたくせにっ」
「最近は私を守りたいとか変なこと言って格闘技始めちゃうしさ」
歩夢「格闘技?」
「ああ、いえ。まだ自慢できるレベルじゃないんで言うのが恥ずかしいんですけど、総合を始めたんですよ」
歩夢「…どうして?」
「今度こそ何があってもこいつを絶対に守りたいからです」
「こいつって何さっ!というか、今度こそってのも何さ!」
「…あれ?確かに一回もそんなことは…まあ良いじゃん!」
「えぇ、何それ…」
歩夢「そっか、貴女も頑張ってね」 「歩夢ちゃん!頑張って下さいね〜!」
暫くお話ししてから去っていく2人を見送る
歩夢「2人共、ずっと仲良くね」
せつ菜「歩夢さん!?どうしたんですか?」
歩夢「えっ?」
侑「はいっ、ハンカチ」
侑ちゃんからハンカチを渡されて初めて自分が涙を流していることに気がついた
歩夢「ありがとう侑ちゃん」
歩夢「ごめんね、きっとファンの子に会えて感極まっちゃったんだと思う」
だってこの涙はとっても心地良いものだから
2人は私の涙が止むのを静かに待って、涙が止んだ後も普段通り接してくれた 暫く移動して
侑「ほらっ、ここが私と歩夢の2人きりで見つけた2人の秘密の穴場スポットだよせつ菜ちゃん」
せつ菜「言い方に棘を感じますねっ!」
神社から少し歩いた先にあるさっきまでの人混みが嘘みたいに静かで開けた場所
侑ちゃんと冒険して見つけた時はビックリしたなぁ
歩夢「あはは…あっ!そろそろ始まるよ」
そう私が言い終わるのと同時に
歩夢「わぁっ、見て見てっ!綺麗だねぇ」
夏を感じさせる音と一緒に、空に満開の花が咲く
柄にもなくテンションが上がっちゃうのは仕方ないよね 侑「…うん、本当に綺麗だよ歩夢」
せつ菜「ってちょっと侑さんっ!順番はこの前じゃんけんで決めたじゃないですか!」
侑「うぅっ…つい反射的に」
侑「先頭は譲るけど負けないからね」
せつ菜「もちろん!私も負けませんよ侑さん!」
歩夢「?」
花火を他所に2人で何か言い合ってるみたいだけど、どうかしたのかな?
というか、私を真ん中にして内緒話はやめてほしいなぁ…
せつ菜「ねえ歩夢さん」
歩夢「ふふっ、もう内緒話はおしまい?」
歩夢「どうかしたの?せつ菜ちゃん」
せつ菜「好きです」
歩夢「…えっ!?」 せつ菜「私はまだ歩夢さんと一番仲が良いなんて自信を持って言えません」
せつ菜「幼馴染というアドバンテージを持つ侑さんが正直妬ましくすらあります」
せつ菜「何度貴方の幼馴染として生まれたかったと思ったか…」
せつ菜「ですが、私が歩夢さんを好きな気持ちは侑さんに絶対負けてないです」
せつ菜「私はみなさんに説得されて同好会に戻ってからずっと歩夢さんのことを理想的なヒロインだと思って目で追っていました」
せつ菜「私の書く物語で登場人物のモデルにしようと思ったからです」
せつ菜「ですが気がつけば私は意識しないでいても自然と歩夢さんを目で追うようになって行きました」
せつ菜「歩夢さんのことを知れば知るほど、その心の強さにも私はどんどん心惹かれていきました」
せつ菜「私がこの気持ちに気がついたのは最近ですが、きっと私は出会った日から歩夢さんに惹かれ始めていたんだと思います」
せつ菜「私は貴女と一緒になりたい!」
せつ菜「今はまだ歩夢さんにとっての一番じゃなくても、絶対に一番大好きにさせてみせます」
せつ菜「大好きです!愛してますよ、歩夢」 歩夢「えっ!?ええっ!?」
侑「歩夢、表情筋が忙しそうなところ悪いけど私からも良いかな?」
歩夢「あっうん、えっ?」
侑「もう気がついてるだろうけど、私も歩夢が好き」
歩夢「侑ちゃん…」 侑「私達、小さい頃からいっつも一緒にいたよね」
侑「記憶を遡るといつもそこには歩夢がいてさ」
侑「侑ちゃん侑ちゃんって笑いかけてくれてるんだ」
侑「ねえ、歩夢」
侑「あの頃と比べると私達色々と変わったよね」
侑「身長はいつの間にか歩夢の方が大きくなって」
侑「気がつけば歩夢の方が力が強くなってて」
侑「そして私が音楽科に行って別の道を進むようになって…」
侑「でもね、歩夢」
侑「初めて友達になったあの日から変わらないものが1つだけあるんだよ」
侑「歩夢」
侑「ローダンセに乗せた気持ちを改めてちゃんと伝えるね」
侑「あの日からずっと好きです。愛してます」
侑「これからも歩夢の一番近くで歩いていきたい」
侑「だからこれからも一番側にいさせて欲しい」
侑「そして過去だけじゃなくってこれからも一緒に未来を作っていきたい」
侑「私と付き合って下さい」 『自分が好かれてないなんて思ってたらその人達が可哀想だよ?』
『愛さんが保証する。歩夢は凄いんだよ』
『アクションがあるのに何にもしないで待ってるだけだと、どこかに行っちゃう』
『欲張って2つの竿を同時に使おうと思ったらバランスが難しくて、よっぽど上手くやらないと両方に逃げられちゃう』
『結局それをものにできるか出来ないかは本人の行動次第なのよ』
混乱した頭の中を大切な人達の言葉がまるで走馬灯のように駆け回る ゆっくり自分の心を見つめながら決めれば良いなんて呑気な事を思ってたのに
まさか今日告白されちゃうなんて…
私はどちらを選ぶべきなんだろう?
私はもちろん二人共大好き
そこに優劣なんてつけられないし、つけたくなんてない
何より、悲しませたくなんてない
でも今はそれを選ばなきゃいけない
幼馴染でいつも優しい侑ちゃん
私の憧れで真っ直ぐに気持ちをぶつけてくれるせつ菜ちゃん
そんなの決められないよ!って逃げ出したくなっちゃう私の心の中で
私に気づきをくれた璃奈ちゃんの言葉が
こんな私を認めてくれた愛ちゃんの言葉が
私に覚悟をつけようとしてくれた先輩達の言葉が
それはダメだって引き止める よく見ると、2人とも涙目になっていて手が震えている
それも当然だよね。告白された側がこんなに狼狽えてるんだから
告白する側はどんなに勇気がいるんだろう
私には出来るかな?魅力的なライバルと同時に
自分が振られるかもしれないのに告白するなんて…
侑ちゃんもせつ菜ちゃんも、きっと勇気を振り絞って告白してくれたんだろう
ここで逃げるのは2人の覚悟に泥を塗ることになっちゃう
…私も覚悟を決めよう
歩夢「私は…」 せつ菜or侑
以下6コメ多数決
2人の名前が書かれていないものはカウントしません
1人1票まででお願いします
6コメまで行かなかった場合は今日午後4時までのコメ多数決で決めます
投票無し→友情ルート
保守していただきありがとうございます
結局自分では決められなかったのでこのような形にさせてもらいました
次は明日かけるかもしれませんし、少し先になるかもしれません
絶対に完結はさせますのでどうか宜しくお願いします どちらを選んでもかわいそうだけどノーマルエンドからの流れで侑ちゃんで… ラストまで決めずに書いてたんだ
片方だけなら侑かなあ 意見いただきありがとうございます
侑ちゃんルートを描いた後、票がありましたので軽くではありますがせつ菜ちゃんルートも書こうかと思います コメントありがとうございます
リアルが少し忙しくなり平日の更新が難しくなってしまいましたので、今週の土日に更新させていただきたいと思います 記憶を振り返ると多くのかけがえのない思い出が輝いている
その思い出の中から、私にいつも春の木漏れ日のように穏やかでホッとする優しい安心をくれていたのは誰なのかをゆっくりと思い返す
歩夢(そうだよね)
それが誰なのかが頭にはっきりと浮かんだ時
私の心は決まった 歩夢 「2人とも本当にありがとう」
歩夢 「私は心の底から2人とも大好き」
歩夢 「それに差なんて付けたくない」
歩夢 「でも、それでも今恋人を選ばなくちゃいけないなら」 その言葉を出すのは想像していたよりとっても嬉しくて
なのにそれと同じくらい苦しい
でも、言わなきゃいけない
今、言わなきゃいけない
絶対に逃げちゃダメ
きっとそれが好きになってもらった事へのケジメなんだから
そうですよね?果林先輩 歩夢「私は侑ちゃんとお付き合いしたい」
侑「歩夢っ!」
せつ菜「…っ」 歩夢「私はいつも側で見守ってくれて、いつも一緒に進んでくれる侑ちゃんが好き」
歩夢「怖がりな私をいつも助けてくれた侑ちゃんが好き」
歩夢「自分が辛い時でも私を第一に考えてくれる所も好き」
歩夢「でもね侑ちゃん」
歩夢「私も侑ちゃんを助けたい」
歩夢「支えられるだけじゃなくって、侑ちゃんが苦しい時は側で支えたい」
歩夢「わたしも、これからもずっと侑ちゃんと一番近くで人生を進んでいきたいの」
歩夢「侑ちゃん、私とお付き合いしてくださいっ」 ちゃんと答えを出すのは誠実だけどやっぱり辛くもあるね 侑「夢じゃぁ、ないんだよね…」
歩夢「うん、夢じゃないよ」
侑「歩夢は私のことを愛してる?」
歩夢「うん、愛してる」
侑「そっかぁ、ずっと前から夢見ていたことが本当に実現したんだね」
歩夢「これからは幼馴染としてだけじゃなく恋人としてもよろしくね」
侑「うん」
侑「愛してるよ、歩夢」 せつ菜「届きませんでしたか…」
悲しげなその声で我に帰る
向き合わなくちゃいけない人はもう1人いるんだ
歩夢「せつ菜ちゃん…」
侑「…」
どんな非難を言われても受け入れようって思っていた
振っちゃったのは私なんだから
ビンタくらいなら正面から受けようって思ってた
なのにせつ菜ちゃんは… せつ菜「はは、歩夢さんも侑さんもそんな顔しないで下さい」
せつ菜「だって貴女達が喜んでくれないと敗者の私が報われませんから」
せつ菜「歩夢さん、侑さん、貴女達の大好きを叶えたんですよ!胸を張って笑って喜んでください」
せつ菜「私の涙を無駄にしないで」ニコッ
その顔はとっても綺麗で、宝石みたいに煌めく笑顔を浮かべていて
その顔に浮かぶ涙はダイヤのように強く、高貴な光を放っていた
…まるで作り物のように完璧に
侑「うん…そうだよね、ありがとう。せつ菜ちゃん」
歩夢「せつ菜ちゃん…」 さっきから情けないな、私
どう声をかけたら良いのかわかんないや
励ますべきなの?
突き離すべきなの?
放っておくべきなの?
どんなに考えてもやっぱりわかんない
名前を呼ぶしか出来ないや
せつ菜「あはは、こんな真っ赤な目では今日はみなさんに顔向けできませんね」
せつ菜「私はもう家に帰ります」
せつ菜「どうかお幸せに」 遠ざかるその寂しげな背中に手を伸ばそうとして止める
その背中を引き止める言葉も、権利も私にはないんだもん
でもっ!だけど、せめてお友達としてこの一言だけは声をかけさせて
私の本心を届けさせて!
歩夢「私っ!せつなちゃんのことも本当に大事だよ!」
せつ菜「…ふふっありがとうございます歩夢さん」
せつ菜「このような結果になってはしまいましたが、これからも良き友人としてよろしくお願いしますね」ペカー
その笑顔は力強く、誇り高く
眩しいほどだった
せつ菜ちゃんが立ち去った後も花火は綺麗に輝いている
歩夢「せつ菜ちゃん大丈夫かな…」
侑 大丈夫だよ、せつ菜ちゃんなら」
侑「だって2人で同時に告白するって決めてから今日までにお互いしっかり覚悟してたんだもん」
侑「歩夢も信じてあげなよ、せつ菜ちゃんの強さを」
歩夢「でも…」
侑「歩夢、私達の覚悟を甘く見ないで」
歩夢「…そうだよね、きっとせつ菜ちゃんなら立ち上がれるよね」
だってせつ菜ちゃんは私の憧れの友人だもんね 侑「…ところでさ歩夢」
侑「さっきからせつ菜ちゃんせつ菜ちゃんって」
侑「せつ菜ちゃんの方が大事なの!?」
歩夢「えっ?侑ちゃん?」
侑「歩夢の恋人は私なんだよ?」
侑「ずっとずっとこの瞬間を待ちわびてたんだよ?」
侑「今は私だけを見てよ」
歩夢「侑ちゃん?」
少しだけムッとしたような表情を浮かべながら近付いてくる綺麗な顔
反射的にのけぞろうとしたら両手で頭を抑えられちゃった 侑「もし嫌なら避けてね」
侑「私はもう自分の意思じゃ止められないから」
侑「私をこんな気持ちにさせる歩夢が悪いんだよ?」
歩夢(侑ちゃんでも嫉妬するんだね)
なんて当たり前なことを考えている間にもどんどんその距離は縮まって
侑ちゃんまつ毛長いな、綺麗な瞳だななんて思ってるうちに
心地良い感触と一緒に小さな音を立てた 少し強引なそのキスは、私と侑ちゃんのセカンドキスで
少し強くなれた私にとってのファーストキスだった
ドーンドーンって大きな音を立てるフィナーレを飾る金色の花火は
今この瞬間に夜空と共に私達の頬を鮮やかな紅色に色付けてくれる どれ程の時間そうしていたんだろう
永遠に思えるその時間
お互いの心臓の音が重なってドクンドクンって花火の音すら消し去るように大きな音を立てる
慣れないキスに息苦しくなってくる
ずっと続けていたいけど、相手が苦しいんじゃないかとどちらからともなく唇を離す
呼吸を整える中、外気に触れたお互いの唇が寂しげに震えて声を出した
歩夢「侑ちゃん…///」
侑「歩夢ぅ…///」
それに続く愛を伝える無数の言葉は、再び互いの口腔に消えていった
天に咲く花が枯れ落ちるまで何度も何度もそれを繰り返して
気がつけばみんなとの集合時間を少し過ぎていた 集合場所
かすみ「あっ、歩夢先輩来ましたよ!」
歩夢「ごめんね。遅くなっちゃって」
愛「良かったぁ、心配して探しに行こうかって話してた所なんだよ」
侑「うっ…ごめんね」
しずく「3人ともルックスが良いですから何かあったんじゃないかと…」
歩夢「ああ、それなら大丈夫だよ?この神社で悪いことをすると神隠しにあうって言い伝えがあるから」
璃奈「えぇ…」
かすみ「あれ?そういえばせつ菜先輩はどうかしたんですか?」
かすみ「まさか悪いことをして神隠しになった訳ではないでしょう?」
歩夢「…」
侑「せつ菜ちゃんは今日これから少しやらなきゃいけないことがあるみたいで、先に帰っちゃったんだよ」
かすみ「今のせつ菜先輩が歩夢先輩から離れるって違和感がありますねぇ」
愛「…」 かすみ「用事ってなんなんですかぁ?かすみん達よりも大切な用事なんですかぁ?」
しずく「かすみさん、ちょっと面倒な彼女みたいなこと言ってるよ?」
かすみ「うるさいよしず子!」
かすみ「ああ〜、気になるぅ」
かすみ「こうなったら週明けにせつ菜先輩にしっかり聞いて確認してやりますっ!」
璃奈「やめておいた方が良いんじゃない?」
かすみ「何言ってるのさ、気になるじゃん」
愛「…」
愛「あぁ。そういえばせっつー、昨日勉強のレポートでやらなきゃいけないことがあるって言ってたよ」
かすみ「かすかすが変に突っ込むとまた一緒に勉強漬けにされちゃうんじゃない?」 かすみ「ひえっ」
しずく「かすみさん?」
かすみ「…あんな地獄は二度とごめんですっ!」
しずく「地獄って…せつな先輩なら優しく教えてくれるんじゃないの?」
かすみ「しず子はあれを体験してないからそんな無責任なこと言えるんだよ!」
しずく「無責任って…そんな大袈裟な」
かすみ「お勉強の時は生徒会長モードになって、凄いスパルタなんだよ!?」
愛「えぇっ、あのせっつーが?」
璃奈「そのお話詳しく」
愛ちゃんのフォローのお陰で話題が逸れる
私の目線に気がついた愛ちゃんは心配すんなって言うようにウインクをくれた
事情をほとんど知らないだろうにこんな事が出来るなんて
やっぱり愛ちゃんは気配り能力が凄いなぁ
私も見習わないと!
今年も多くの思い出ができて
こうして賑やかなままお祭りは幕を閉じた 誰かがフォローしてあげるより一人でそっとしてあげるべきなのかな 大切な人を振るというのは苦しいことだしみんな辛いね すいません
疲れのせいか睡魔に負けてたので今日は更新できないです…
また少し期間が開いてしまうと思いますので、保守していただけると助かります
遅くても来週の土曜日までには再び更新するつもりです 週明け
マンションエントランス
歩夢「おはよう侑ちゃん」ギュッ
侑「おはよう歩夢」ギュッ
いつものように侑ちゃんと朝の挨拶を交わして腕を組む
結局私達が付き合うようになって何かが大きく変わるってことは無かった
ドキドキしながら土日もお出かけをしたけど、特になにか特別なことがあるわけでもなく
私と侑ちゃんはあれからも普段通り
キスをしたのはもしかして夢だったのかな?って思うくらい
私と侑ちゃんの距離は幼馴染の時となんら変わらない
ただ、そこに最近までいた人が減っただけで… 歩夢「…」
侑「歩夢、どうかした?」
歩夢「えっ!?」
歩夢「あっ、ううん。なんでもないよ」
待ち合わせ場所にせつ菜ちゃんがいないことに、少し悲しくなっちゃっている自分にびっくりした
最近は…と言っても1週間くらいだけど、いつもそこにはせつ菜ちゃんもいるのが当たり前だったから
フった立場で何を考えてるんだろうね私
これからもせつ菜ちゃんとお友達として仲良く出来るなんて
そんなうまい話があるわけないのに…
でもだからこそ、また少しでも仲良くなれるように時間をかけて一歩一歩頑張らなきゃ!
侑「ふーん…」ギューッ 歩夢「侑ちゃん?」
侑「歩夢が何を考えているのか大体わかるけど、これからもずっと歩夢の恋人は私なんだからね」ジトー
歩夢「それは嬉しいんだけど…」
侑ちゃんってもしかして
歩夢「でも、せつ菜ちゃんとだってまたお友達になりたいもん」
侑「ふーん、へー」
すっごく
侑「歩夢はそんなに私を嫉妬させたいんだ?」
嫉妬深い? 歩夢「なんでそうなるの!?」
侑「いや前から思ってて、この前のキスで確信したんだけど」
歩夢「キス…///」
キス、当然だけどやっぱり夢じゃなかったんだね…
侑「歩夢って私から強引なことされると喜ぶじゃん?」
歩夢「喜ばないよ!?」
侑ちゃんってば急に何を言いだすの!?
そんなこと無いもん!
あの時だってビックリしただけで
少し強引な侑ちゃんをかっこいいなぁとか
普段とのギャップも素敵だなぁとか
侑ちゃんに求められて嬉しいなとか
少しも思わなかったんだからっ!
…本当だよ? 侑「だから私を嫉妬させてまた無理矢理キスして欲しいのかな〜って」
侑「まあ、事実嫉妬してるんだけどね」アハハ
歩夢「侑ちゃん!私の話を聞いて!?」
侑「もちろん一語一句聞き逃して無いよ。安心して」
歩夢「それなら…」
侑「へ〜」
侑「じゃあもう強引なキスはしない方が良い?」
歩夢「えっ…」
侑「歩夢が嫌ならもうしないよ?」
侑「歩夢の嫌なことは私、絶対にしたくないからね」ニコッ
歩夢「うぅっ…」モジモジ
私の本心なんてわかってるくせに
侑ちゃんがニコニコしながらすっごくイジワルな事を言ってくるよぅ
侑ちゃんの言葉が嘘をついていないってわかるからこそタチが悪いよ… 歩夢「…」ボソボソ
侑「うん?」ニヤニヤ
歩夢「侑ちゃんがしたいならして欲しい時もあるかも…///」
侑「へー、それって例えば」
侑「こんな風に?」ドンッ
壁ドン!?
歩夢「侑ちゃん!?」
歩夢「ダメだよ、ここ通学路なんだよ?」
歩夢「誰かに見られたら…」
侑「って言ってる割には抵抗しないんだね」
歩夢「…」
侑「歩夢が抵抗すれば私の拘束なんかすぐ抜けられるよ?」ニヤニヤ
近付いて来る唇はもう止められそうに無い
侑ちゃんに何か変なスイッチが入っちゃってるし
何より、私も口ではこう言いつつ抵抗は全くできていない 侑「ふふっ」
私が動かないのを見て侑ちゃんは本当に嬉しそうな笑顔を浮かべる
侑「ねぇ、歩夢」
侑「好きだよ」
侑ちゃんは卑怯だ
好きな人からそんなことを言われちゃったらもう私は拒めない
心臓が高鳴って
心が侑ちゃんを欲しくなっちゃう
口が勝手に動いて、心を言葉として現実に出す
歩夢「私も侑ちゃんが好き…」
侑「えへへ、ずっと歩夢と一緒にいるのは私なんだからね」 菜々「未来はわからないものですよ、侑さん」ニョキッ
侑「うわっ!?」
歩夢「きゃっ!?」
菜々「おはようございますっ!」ペカー
急に割り込んできた菜々ちゃんにビックリして、危ない方向に行きそうだった気持ちがリセットされる
侑「菜々ちゃん!?なんでいるの!?」
菜々「なんでとは」
菜々「あはは、何を言ってるんですか」
菜々「友人と登校するのは当たり前のことでしょう?」ペカー
歩夢「菜々ちゃんっ…」パアァー
せつ菜ちゃん、私をまだお友達って言ってくれるんだね
嬉しいな
菜々「はいっ、歩夢さん」 侑「菜々ちゃん、今いいところだったんだから少しは空気を読んで欲しかったなぁ!」イライラ
菜々「生徒会長としての空気を読んだんですよ!」
侑「がるるるる」フシャーッ
菜々「そうだ!侑さんっ!言わせて欲しいことがあるんですっ!」
侑「…何だか嫌な予感がするから言わなくて良いよ」
菜々「私はまだ歩夢さんを諦めてはいませんっ!」
歩夢「!?」
侑「歩夢っ!やっぱりせつ菜ちゃんを置いて先に行こう」グイグイ 歩夢「せつ菜ちゃん!?気持ちは本当に嬉しいんだけど私にはもう侑ちゃんが」ヒッパラレ
菜々「当然それは知っています」
というか、目の前でやり取りしてたもんね
菜々「いえ、私も諦めようと思って頑張ったんですよ?」スタスタ
菜々「ですが、こんなに大きな大好きを消すなんてできませんでした」
侑「菜々ちゃんっ!この前別れ際に言ってたことは嘘だったの!?」
菜々「もちろん本心ですよ?」
菜々「お二人には本心から幸せになってもらいたいです!」
菜々「ただ、貴女が歩夢さんを悲しませるようなことがあれば、私は容赦無く歩夢さんを奪い取らせて貰います」
菜々「それだけはお忘れなきよう!」
侑「私は絶対に歩夢を幸せにするからそんなことありえないからね!」 菜々「侑さん、恋人がいる相手へのアプローチは控えますからそんなに警戒しなくても大丈夫ですよ?」
侑「…本当に?」
菜々「はいっ!」
菜々「ほら、今は腕も組んでいないでしょう?」
侑「確かに…」
菜々「歩夢さんも侑さんも私の大好きな友人ですし」
菜々「"恋人がいる間は"絶対に手を出しませんよ」ペカー
侑「…なら菜々ちゃんは新しい相手を探さなきゃダメなんじゃないかな?」
侑「私は絶対に歩夢と結婚するから」
歩夢「侑ちゃん///」 菜々「未来はわからないでしょう?」
侑「確かにほとんどのことはそうだろうけど」
侑「私が歩夢と結婚してずっと一緒にいるって未来ならわかるの!」
歩夢「///」
菜々「ふふふ、そうですか」
菜々「ではその覚悟、その時までしっかり見届けさせてもらいますよ」
侑「上等だよ!私と歩夢の仲に嫉妬しないでよね」 数年後
菜々「と言うことで新婦の友人として、ライバルとして一番側で見守って来た私が断言します」
菜々「侑さんは決して歩夢さんを悲しませるようなことは決してしませんでした」
菜々「歩夢さんも侑さんを一番側で献身的に支え、侑さんが立ち止まってしまった時はその優しい心で癒し再び立ち上がらせていました」
菜々「この結婚式は、お二人にとってこれから続く長い長い道へのスタートラインです」
菜々「時に辛いこともあるでしょう、嫌になってしまうこともあるでしょう」
菜々「ですが、私はどんなことがあってもこのお二人ならば乗り越えられると確信を持って断言できます」
菜々「お二人であればきっと誰よりも幸せな人生を歩めるでしょう」
菜々「友人代表 中川菜々」 席
愛「お疲れ、せっつー」
菜々「ありがとうございます」
愛「せっつーも損な役回りだねぇ…」
愛「まだ大学生なのに性別に関係なく結婚できる法案を可決させて…」.
菜々「今や世界的大企業になった璃奈さんの会社や、秋葉の世界的ファッションデザイナーさんや沼津の有力者の方々が全面的に力を貸してくださったお陰ですよ」
愛「でも、世間を味方につけるカリスマがなきゃできないことだよ」
愛「その恩恵に助けられる1人として言わせて」
愛「ありがとうね、せっつー」 菜々「気にしないでくださいよ」
菜々「私は歩夢さんが幸せになってくれることを考えて行動しただけなんですから」
菜々「ほら、見てくださいよ歩夢さんのあの笑顔を」
愛「…うん、本当にすごく良い笑顔だね」
菜々「歩夢さんがあんな風に笑えるのなら私が負けて、それでも努力した甲斐があるってものです」
菜々「それに侑さんと歩夢さんが仲違いするようなことがあれば、ハイエナしようと思っていたのも嘘ではないんですよ?」
愛「そんなこと言って、あの2人がすれ違いそうな時はフォローしてあげてた癖に」
菜々「…ふふっ」
菜々「流石愛さんです。気がついていたんですか…」 愛「っていうか、フラれた後にわざわざライバル宣言したのもあれでしょ?」
愛「歩夢はあんなんだし、ゆうゆも奥手だしで」
愛「実はゆうゆを嫉妬させる事で2人の仲を進展させるためだったんじゃ無いの?」
菜々「あはは」
菜々「それは流石に考えすぎですよ愛さん」
菜々「現に私は今までお2人がそういう行為をしそうになった時は邪魔をしてきましたし」
愛「そうなの?」
菜々「はい。先程も言いましたが私は歩夢さんの幸せの為に行動していただけです」
菜々「もちろんその隣にいるのが私じゃないのはとても残念ですよ?」
菜々「ですが、それが歩夢さんの笑顔に繋がるなら些細な問題です」
菜々「だって私は歩夢さんが大好きなんですから」ペカー 菜々「言っておきますが、侑さんが浮気でもしていたら決してその隙を見逃すようなことしませんでしたよ」
菜々「あの歩夢さんを裏切るような事は絶対に許しません」
菜々「…勿論、これからも」ニヤリ
愛「一途だねぇ〜せっつーは」
菜々「まあそれはそれとして、私が歩夢さんに浮気や愛人を持ちかけられたら二つ返事で喜んで受け入れますが」
愛「せっつー…」 式がひと段落して食事の時間になると、みんなが挨拶に来てくれた
璃奈「歩夢さん、侑さん本当におめでとう」
かすみ「お゛め゛て゛と゛う゛こ゛さ゛い゛ま゛す゛」
しずく「おめでとうございます」
侑「ありがとう」
しずく「ほら、かすみさんこのハンカチ使って」
かすみ「びぇ〜んっ」
かすみ「2人が幸せになれて本当によかったですぅ」
歩夢「ふふっ」 歩夢「忙しいのに来てくれてありがとうね」
璃奈「気にしないで。私にとっては2人ともお姉ちゃんみたいなものだから」
璃奈「それに、結婚式を今のうちに知れるのもメリットだし」
歩夢「そっか、璃奈ちゃんは来年愛ちゃんと結婚するんだもんね」
歩夢「式場はもう決まったの?」
りな「うん。今日決まったよ」
侑「今日?」
璃奈「この式を見て、愛さんとここが良いって話になったの」
かすみ「確かにここ凄く良いかも」
かすみ「綺麗でお城みたいで…」
かすみ「しず子はどう思う?」
しずく「私は今まで神前式が良いって思ってたけど、こんなに素敵な歩夢さんを見ちゃうとウエディングドレスにも憧れちゃうよね」 侑「なに、私の目の前で歩夢を口説いてるの?」ニヤニヤ
しずく「おや、バレました?」クスッ
歩夢「もうっ、私は侑ちゃん一筋なんだよ」
2人が冗談を交わす横で、かすみちゃんはまるでこの世の終わりみたいな顔をしていた
かすみ「しず子!?」
かすみ「嘘だよねっ!?ねっ!?」ガクガク
しずく「かすみさんは何でそんなに驚いてるの…」
しずく「冗談に決まってるでしょ?」
しずく「安心して。私がかすみさん以外を好きになるわけないんだから///」
かすみ「しず子ぉ」パアァー しずく「こほんっ」
しずく「兎に角、今日の式を素敵だと思ったのは間違いないです」
かすみ「じゃあ、ここにする?」
しずく「そんな勢いで…」
かすみ「こういうのは勢いで決めるのが良いの!」
かすみ「ずっと探しておばあちゃんになっちゃうのは嫌だよ!」
しずく「流石にそうはならないだろうけど…」
しずく「でも、確かに勢いも大事なのかもしれないね」
しずく「私達も来年ここで式を挙げよっか」
かすみ「うんっ!」
勢いが足りないしずくちゃんと、冷静さが足りないかすみちゃん
お互いにフォロー出来る良い関係なんじゃないかな
? 歩夢「ふふっ」
歩夢「じゃあ、私達の紹介ってことにして少し安くしてもらっちゃえば?」
侑「良いね!その空いたお金で新婚旅行を少し贅沢にしちゃいなよ」
かすみ「それ良いですねっ!」
しずく「うん、これでもう決定だね」
璃奈「2人ともありがとう」
璃奈「あっ、そうだ」
璃奈「忘れてたけど渡すものがあるんだった」
歩夢「渡すもの?」
璃奈「侑さんに頼まれて私の会社で作ってた発明品だよ」
侑「あっ!もう出来てたんだね!」
璃奈「うん。折角なら今日渡すべきだと思って」
侑「璃奈ちゃん、本当にありがとう!」
璃奈「気にしないで。私も使いたいかた作っただけだから」 歩夢「侑ちゃん?何なのそれは?」
侑「えへへ、内緒っ」
歩夢「もうっ、教えてよ侑ちゃんっ!」
侑「ふふっ、拗ねてる歩夢も可愛いよ」
歩夢「もうっ、そんな煽ててもはぐらかされないんだからっ///」
歩夢「璃奈ちゃんは教えてくれるよね?」
璃奈「えへへ、内緒」ニコッ
歩夢「璃奈ちゃんまでぇ…」
璃奈「でも、歩夢さんにとって悪いものではないと思うよ」
悪戯っぽい笑顔を浮かべる璃奈ちゃんの嬉しそうな顔から嘘は感じ取れないから心配しなくても良いよね?
というか、璃奈ちゃんは悪い発明なんてしないもんね!
…しないよね? 某掲示板ではとんでもない発明をしまくりの璃奈ちゃん かすみちゃんたちが立ち去った後は愛ちゃんたちが来てくれた
愛「おめでと〜」
菜々「おめでとうございますっ!」
歩夢「2人ともありがとうっ!」
侑「愛ちゃん、菜々ちゃん、本当にありがとうね」
愛「2人ともドレス似合ってるよ」
菜々「ええ。本当に綺麗です」
歩夢「えへへ、ありがとう」
歩夢「愛ちゃん、あの日私に自信をくれてありがとう」
愛「私はただ尊敬する相手を悪く言われたから怒っただけだよ?」
愛「歩夢がその人に正当な評価を出来るようになってくれて嬉しいぞっ」
歩夢「愛ちゃんっ…!」
愛「2人が幸せになってくれたら更に嬉しいな」
歩夢「うんっ!私達幸せになるよ!」 菜々「…見届けさせてもらいましたよ、侑さん」
侑「どうだっ!私たちの間につけいる隙なんてなかったでしょ!」
菜々「ええ。残念ながらそのようですね」
侑「私より歩夢を好きな人も、歩夢以上に私が好きになる人もいるわけないんだから当然だよ」
侑「だから安心してよ、菜々ちゃん」
侑「歩夢は私が絶対に幸せにするからさ」
菜々「それを聞いて安心しました」
菜々「ですが」
菜々「ふふふ、油断はしないでくださいね」
侑「なっ…」 歩夢「あの法案を可決させるように働きかけてくれてありがとうね」
侑「…ありがとう」
侑「歩夢となら事実婚でも良いって思ってたんだけど、実際にこうして認められると」
侑「すごく嬉しい」
菜々「いえいえ、私がやりたくてやっただけですから気にしないでください」
菜々「それに今はもっとすごい事を可決させようと思ってるんですよ?」
侑「すごい事って?」
菜々「少子高齢化対策の為」
菜々「という大義名分の元に重婚を可能にする…」
侑「もう帰れーっ!」
歩夢「まあまあ侑ちゃん、私はもう侑ちゃん一筋だから…」
菜々「…ふふっ」
菜々「歩夢さん、侑さん。どうかお幸せに」 席
愛「せっつー大丈夫?無理してない?」
菜々「心配ありがとうございますっ!大丈夫ですよ」
愛「せっつーがそう言うなら良いけど…」
愛「辛くなったら私でよければ話くらい、いつでも聞けるからね」
菜々「あはは、本当に大丈夫ですよ」
菜々「あの様子だと、歩夢さんを略奪するのは難しいでしょうが…」
菜々「その代わりに私の夢を叶えられそうなので」
愛「夢?」
菜々「ええ。決して叶わないと思っていた夢の再現です」
愛「?」
菜々「ぐふふ、それはですねぇ…」 2人が去った後は果林先輩達が来てくれた
果林「おめでとう。歩夢、侑」
エマ「2人の結婚式、とってもエモエモだよぉ」
彼方「この日を迎えられてよかったねぇ〜」
侑「スイスから来てくれてありがとうございます」
歩夢「長旅でお疲れの所、来てくれて本当にありがとうございます」
エマ「気にしないでよぉ〜私達は来たくって来たんだから」
歩夢「あの日、アドバイスをくれてありがとうございました」
歩夢「あのアドバイスがなかったらあの日に私、きっと逃げ出しちゃってました」
彼方「アドバイスなんて大した事出来てないよ〜」
エマ「私達はほんの少し考える方向性を絞ってあげただけだもんね」
果林「道を自分で選んだのは歩夢なのよ」
エマ「きっと歩夢ちゃんなら私達がいなくっても自分で答えを出せてたと思うよ?」
彼方「胸を張って堂々として良いんだよ〜」
歩夢「はいっ!」 侑「先輩達はスイスでどうやって過ごしてるんですか?」
彼方「エマちゃんの実家でねぇ〜」
歩夢「って言うことは3人同じ家に住んでるんですか?」
エマ「そうだよぉ〜、果林ちゃんって酔っ払うと可愛くってね」
果林「ちょっと!?唐突に何を言いだすのよ」
かすみ「あっ!?果林先輩達じゃないですか!」
しずく「ご無沙汰してます」
愛「おっ!本当だ、折角だしみんなで写真撮ろう写真」
璃奈「ドローンで自動撮影するから少し待ってて」
菜々「ポーズはどうしましょうか」
果林「好きなポーズで良いんじゃない?」
エマ「良いねぇ、何だかワクワクするよ」
彼方「そろそろだよぉ〜かまえて〜」
歩夢「じゃあ、私達は」
侑「うん。いつものポーズだね」
カシャリ
案の定私と侑ちゃん以外みんながバラバラで統一感のないポーズ
それが何だか私達らしいねって
みんなの笑顔、笑い声と共に結婚式は幕を閉じた
歩夢ははっきり侑ちゃんのこと一筋!って言えるようになったなーよかった 結婚式後
ゆうぽむホーム
歩夢「今日は疲れたねぇ」
侑「そうだねぇ」
歩夢「侑ちゃんは今日楽しかった?」
侑「うん」
ベッドの上で2人隣り合って腰掛けながらいつもみたいに話そうとするけど、侑ちゃんの様子がちょっぴりおかしい
どうしたのって聞こうとすると侑ちゃんから口を開いた
侑「…」ゴクリ
侑「ねえ、歩夢」
侑「いっつもせつ菜ちゃんに邪魔されちゃってたけど、今日こそシてみない?」
歩夢「菜々ちゃんに邪魔されてたって?」
歩夢「何を?」
侑「気が付いてなかったんだね歩夢…」
侑「良い雰囲気になると何故かどこにいてもせつ菜ちゃんが来てたじゃん」
歩夢「キスならもうしてるじゃない?」
侑「その先だよ!」
歩夢「その先って?」 侑「う〜ん、ヒントは親を1番喜ばせることかな?」
歩夢「結婚式はさっきしたばっかりでしょ?」
侑「もうっ!歩夢は本当に可愛いなぁ〜」ダキッ
侑「わかんないかな」ガバッ
私が侑ちゃんに押し倒された!?
侑「歩夢」
侑「子供を作ろう」
歩夢「!?///」
歩夢「なっ、なんで急にそんな話するのっ!?」
侑「あはは、ごめんごめん」 ⎛(cV„Ó ᴗ ÒV⎞ 我ながらよく我慢できたな 歩夢「それに、私達は女の子同士なんだから子供なんて…」
私は小さい頃から子供を育てるのが夢だったけど、侑ちゃんと結婚できるならって口に出すこともなく諦めたんだもん
侑「それが出来るんだよ」
侑「今日璃奈ちゃんから貰った薬を使えばね」
歩夢「えっ?」
侑「わたしも詳しく原理はわからないんだけど」
侑「服用して性行すれば同性同士でも出来るんだって」
歩夢「性行って///」
目が自然と侑ちゃんの細くしなやかな指に吸い寄せられる
歩夢「そういうのはちゃんと結婚してから…」
侑「今日したばっかりだよね!?」
歩夢「でもでもっ、私達まだ学生だよ?」
侑「でも、歩夢は子供を育てるのが夢だって昔言ってたじゃん」
…侑ちゃん、そんなことまで覚えててくれたんだね
心臓が嬉しそうにトクンと跳ねる 侑「私は歩夢がいるだけでも幸せだけど、そういうこともしたいんだ」
侑「私をこんな気持ちにさせる歩夢が悪いんだよ?」
歩夢「その言い方は卑怯だよぉ〜」
侑「ふふっ、あの花火大会のキスを思い出すから?」
歩夢「覚えててくれたんだ///」
侑「歩夢のことなら何でも覚えてるよ」
嬉しさに顔が熱くなる
私とのことを何でも覚えていてくれるこの人になら
きっとこの瞬間も忘れないでいてくれる侑ちゃんに、私の体で一番大切なものを捧げたい
侑「ねえ、良いでしょ?」
侑「歩夢が嫌ならやめるけど…」
私に覆いかぶさりながらも不安げに揺れるその唇に、そっと触れるようなキスをする 保守ありがとうございました
続きは今日の夕方頃投稿できればと思います
情事ってがっつり書いた方が良いですかね?それとも描写せずにさらっと流した方が良いですかね? 自分はあってもなくても満足できるかな。書きたい方でと思う がっつりあっさりの度合いによるけど濃すぎないくらいに書いてくれたら嬉しい ラブラブならそれでいいので書きやすい方で書いてもらえたら 意見ありがとうございます
わかりました
雰囲気を壊さないように気をつけながら
某ゆうぽむスレに投稿した文書を改善したものを書いていきたいと思います
今暫くお待ちください 侑「歩夢…?///」ポーッ
歩夢「良いよ…///」ウルウル
歩夢「でも、赤ちゃんを作るのは大学卒業するまではやめておこうね」
侑「うん、わかったよ」
歩夢「…初めてだから優しくしてね」ウワメヅカイ
侑「…そうするつもりだったけど」
侑「ごめん、今それが出来なくなっちゃった」
歩夢「えっ、侑ちゃん?」
侑「歩夢が悪いんだからね」
でも、そんな言葉とは裏腹に侑ちゃんの手は優しく私の頭の後ろに添えられて
今度は侑ちゃんからキスをされる
唇と唇が触れるだけの軽いキス
でも、侑ちゃん押し倒されている今
いつもしているはずのそのキスは私の奥に眠る情欲を呼び起こすには十分すぎるくらいだった 歩夢「侑ひゃんっ」
腕を侑ちゃんの首に回して私からも唇を押し付ける
唇と唇の間をこじ開けて侑ちゃんの舌に自分の舌を絡ませる
侑「!?」
侑「はゆむぅ」
一瞬びっくりしたような侑ちゃんもすぐさま、嬉しそうに私の口を蹂躙する
お互いが相手の口腔内に自分の一部を入れる
それはもしかすると、相手と一体化したいと思う程の愛がそうさせるのかもしれない
相手と触れ合う喜びが下腹部を熱くさせる これからずっと侑ちゃんと過ごすこのお部屋で、お互いに夢中になって舌を動かしている
文字だけなら、もしかすると何の変哲も無い日常の風景に見えるかもしれないね
昨日だってこの部屋で夢中になって結婚式のことを語り合っていたんだもん
だけど今はそこに会話は無くって、ベッド脇のランプしか光源がない薄暗い部屋には
ピチャリピチャリという水音と、互いの名前を呼ぶ声
そして荒々しい息遣いだけが響いていた ずっとそうしていたかったけど、物理的にそれは難しい
やがて、苦しくなって唇を離す
歩夢「はぁっ、はぁっ」
侑「はぁっ、はぁっ…ふぅ」
侑「歩夢」
侑「脱がせるね」
キスの後トロンとした目をした侑ちゃんが発する第一声がそれだった
歩夢「うん…///」
侑ちゃんの望みを全て受け入れたいって隷属真にも似た感情が湧いてくる
私の全てを侑ちゃんの好きにしてほしい
侑ちゃんをもっと近くで感じたい
侑ちゃんが脱がしやすいように腰を浮かせたりして体の位置を調整する 侑「歩夢、ありがとう」
全身を愛撫されながら焦らすように脱がされる
洋服の薄い布が作る侑ちゃんとの大きな距離が、どんどん近づいてくる
歩夢「///」
下着が脱がされた時、そこが糸を引いているのに気がついた
やがて、着るまで綺麗にたたんでいたお洋服が乱暴に脱がされて、乱雑に床で散らばった頃
一糸纏わぬ姿になった私に侑ちゃんが優しく声をかけてくれる
侑「凄く綺麗だよ、歩夢」
歩夢「ありがとう///」 侑「私、ライバルが出てくるあの日まではね」
侑「歩夢とただの幼馴染でも、友達でもいいって自分を誤魔化してたんだ」
侑「歩夢はすっごく可愛くって優しいからみんなから人気があったし」
侑「何より私達は女の子同士だから」
侑「だから歩夢にはバレないようにしてたんだ」
侑「困らせちゃうって思ってたから」
侑「でも、本当はね」
侑「ずっと、小学生の頃から…ううん」
侑「幼稚園の頃から夢みてたんだ」
侑「歩夢と恋人になること」
侑「歩夢と結婚すること」
侑「歩夢とこういうことをすること」
侑「歩夢と身体も心も繋がることを」ニコッ
侑ちゃんが心から嬉しそうに言う
私が恋心の「こ」の字すら知らなかった頃から、侑ちゃんは私のことをそんなに想っていてくれたんだね
少し申し訳ないけど
嬉しいな 歩夢「ぁんっ」
首筋が舐められて、思わず声が出た
歩夢「///」
意図しない声を出しちゃったことがこんな状況だからこそ恥ずかしい
侑「歩夢、好きだよ。世界の誰よりも」
胸が、太腿が
そして
侑「歩夢のここも、すっごく綺麗…」
歩夢「ゆうひゃんっ、そんなところなめちゃっ!?」
侑「なんで?ここ私の大好きな歩夢の匂いがして美味しいよ」
歩夢「なにっ、いってるのっ」ハアハア
大事な場所が彼女の舌と唇に激しく蹂躙されて淫乱に光る
侑「歩夢の全部を私にちょうだい」
侑「絶対に誰にも渡さない」
侑「歩夢は私の可愛い奥さんなんだから」 まるで濡れたあそこが熱を持って私を溶かそうとしているみたい
熱と一緒に悦びが体の奥底から湧いてきて電流のように全身を走る
心と体に収まりきらなくなって下腹から外に溢れ出したそれは、侑ちゃんの口に飲み込まれていく
歩夢「侑ちゃんっ、わたひっ変になっちゃいそう」
その快楽に溺れちゃうのが怖くって、太股で侑ちゃんの頭に強く抱きつく
侑「いいんだよっ。どんな歩夢も私にとって最高に可愛いんだから」
侑「歩夢の全部を私に見せて」
侑「私だけに歩夢を全部見せて」
そして、それが侑ちゃんの情欲を掻き立てたのか舌と指の動きが更に激しくなる
歩夢「侑ちゃんっ、好きっ、愛してるっ」
口からは心から漏れ出した気持ちがうわ言みたいに溢れていく
侑「わらひも愛ひてるよ、歩夢」
侑ちゃんから愛してると言われた瞬間
全身を貫くような快感が走って、私は快楽の波に飲み込まれた その後、服を脱いだ侑ちゃんと一晩中
体温が溶け合って、どっちが自分の体なのかわからなくなるくらいに愛し合った
少し怖かった破瓜の痛みという一滴のスパイスは一瞬の辛さをもたらした後
それより遥かに大きな幸せという名の砂糖の海に沈んで消えていった
交わり合って身体が一つに溶け合うような感覚の中には、ただただ無限にも思えるような快楽と幸福感だけがあった チュンチュン
侑「歩夢、これからもずっと一緒だからね」
歩夢「うん。これからもよろしくね」
一糸纏わない姿で抱き合いながら私と侑ちゃんは語り合う
侑「ずっと、ずーっと一緒だからね」
歩夢「うん。一生一緒にいるよ」
侑「…それだけじゃ嫌」ギュッ
歩夢「えっ!?侑ちゃん?」 侑「…」
侑「一生なんて数十年しかないじゃん」
侑「そんなに短いのは嫌だよ」
侑「次の人生も」
侑「その次の人生も」
侑「何百回、何千回、何万回生まれ変わっても」
侑「私はずっと歩夢と一緒にいたい!」
侑「永遠に歩夢の側にいたいもん」
侑「何があっても絶対に離れないから」
歩夢「///」
侑ちゃん…
歩夢「そうだね。私もずっと侑ちゃんと一緒にいたいな」ギュッ
侑「これからもずっとずっと一緒だからね。離れちゃイヤだよ?」ギューッ
歩夢「うん///」ギューッ
私達は変わらない思いがある家族で、永遠の友情がある幼馴染
その絆は絶対に、永遠に途切れない
私を抱きしめる侑ちゃんの腕の力で、私はそれを改めて実感した
テーブルの上で
花瓶に飾る朝露に濡れたローダンセが、太陽に照らされて眩しく輝いた 更に数年後
ここ数年本当に色々なことがあった
新婚旅行先で何故かギャングに襲われて大太刀周りをしたり
それをどこからか聞きつけた璃奈ちゃんが全ての軍事力を駆使してその関係組織を完全に消滅させたり
諸々の恩返しのために私が璃奈ちゃんの専属ボディーガードに就職したり
そして
…私と侑ちゃんとの間に可愛い子供ができたり
私が出産する時なんて侑ちゃんが私よりも辛そうな顔してて…
侑ちゃんずっと私の手を握りながら大丈夫だよって言ってくれたよね
無事に産まれたってわかった時の嬉しそうな顔、きっと一生忘れられないな 歩夢「…」
侑「…」
菜々「ほら、侑夢ちゃん」
菜々「幼馴染の菜々が来ましたよー!」
侑夢「わぁっ!ななちゃんだぁ〜」
菜々「今日は何をして遊びましょうか!」
侑夢「えっとね〜おままごと」
侑夢「昨日しずかちゃんと愛奈ちゃんと一緒にやったら楽しかったもん」
菜々「そうなんですね。わかりましたっ!」
侑夢「じゃあ私がおよめさんやるから、ななちゃんはおよめさんね」
菜々「仕方ありませんねぇ〜」 侑「ねえ、菜々ちゃん。ちょっとこっちに来て」
菜々「ごめんなさい。少し待っててくださいね」
侑夢「早く戻って来てね〜」
菜々「どうかしましたか?」スタスタ
歩夢「前から思ってたんだけど幼馴染って何?」
菜々「私の夢ですっ!」
歩夢「夢?」
菜々「はいっ!歩夢さんと幼馴染になるという私の野望ですね」
歩夢「ふふっ、何それ」クスクス
侑「歩夢の幼馴染は私なんだけど?」ムカッ
菜々「ええ。それはもちろん存じてますよ」
菜々「なので私の大好きなお二人のお子さんと幼馴染になろうかと」
侑「はぁ!?」 侑「年の差を考えなよ!」
菜々「ご安心を、まだまだ心は若いですから!」
侑「…」
侑「もしもし、警察ですか?」
菜々「警察はやめてくださいよっ!!」
菜々「疑うのはわかりますが私にその趣味はありません!」
菜々「今も恋愛的に好きなのは歩夢さんだけですからご安心ください!」
歩夢「あはは…」
侑「ねえ、菜々ちゃん。私はそれのどこに安心すれば良いの?」
歩夢「侑ちゃん、何度も言うけど私は侑ちゃん一筋だから安心して」
侑「でも、歩夢が私に飽きちゃったらそっちに行っちゃうかもしれないし…」
歩夢「もうっ、そんなことあるわけないでしょ」
歩夢「侑ちゃんは私を信用できないの?」
侑「はゆむぅ…」ギュッ
歩夢「菜々ちゃんもあんまり侑ちゃんをからかわないであげて」
菜々「あはは、すいません!」 侑「菜々ちゃん。お願いだから私達の子供に悪影響が出るようなことはしないでね!」
菜々「あはは、もちろんじゃないですか」
侑夢「菜々ちゃん早く〜!」
侑夢「あっ、おかぁさんとママはおばあちゃん役ね」
侑「…納得いかなーいっ!」
歩夢「まあまあ、侑ちゃん落ち着いて」
侑夢「ごめんね」
侑夢「でも、ママとお母さんはずっと一緒にいるってみんな言ってるからそういうイメージが」
侑「それを早く言ってよぉ〜」
侑「もうっ、みんなにそう思われちゃってるなら仕方ないね」
侑「ほれ歩夢ばあさんや、早くお掛けなさいな」
歩夢「侑ちゃん…」 こうして私達は毎日楽しく過ごしてます
これ以上の好きは無いって思っているのに
侑ちゃんと過ごせば過ごすほどに私は侑ちゃんを益々好きになっちゃって
ずっと一緒にいたらどこまで好きになっちゃうんだろうね?
侑ちゃんといつまでも一緒にいたいな
この人生が終わった後も
生まれ変わっても
例え地球がなくなっても
侑ちゃんの隣が私の居場所だから
だってこれは私と侑ちゃんの変わらぬ想いなんだもん
侑ちゃん、愛してるよ ゆうぽむルート完
読んでいただきありがとうございます
せつぽむは来週書きます
あまり長くはしませんが書けるのは土日になってしまうと思いますので
保守していただけると幸いです 🌸cメ*˶˘ ᴗ ˘˵リ⎛(cV„◜ᴗ◝V⎞最高のハッピーエンドをありがとう ボディガード?と思ったけどこの歩夢はかなり強いんだったな
ゆうぽむハッピーエンド乙 乙!!
歩夢が強いの設定は途中から忘れた….
綺麗なゆうぽむ助かる… 実は自分もその設定忘れかけてました…
でも、タイトルが可哀想なので使いました…
今更思ったのですが負けたまま終わらせるのは投票に勝った侑ちゃんが可哀想なので、せつぽむの後に
両方を選んだ場合〔短め〕
or
付き合ってしばらくしたゆうぽむデート
を書いて本当に終わりにしたいと思います
需要があれば両方書きますし、無いようならゆうぽむデートだけを書かせてもらいます
自分でも驚く程長々とお付き合いいただいて申し訳ないですが、最後まで見てくださると嬉しいです 両方というのは想像もしてなかったから興味ある
最後ならデートの方が読みたいけど 二つとも需要あるので、無理ない程度で書いてくれるとうれしい デートに一票
両方を選ぶなら真剣に告白してくれる二人には失礼な気がする…. 両方もSSならではで面白そうだけど特殊エンドっぽいから
デートがメインだと嬉しい 察してる人も多そうですが書き忘れてました
両方選ぶルートを書くとしたら現在の想定では10〜20レス程度で終わらせるつもりですが、ややバッドエンド(胸糞や不仲は無いよ!)にします どっちとも書いてくれるならゆうぽむデート編後のほうが嬉しい 両方選ぶ方がすっきりしない感じになるなら、自分もゆうぽむデートだけかそちらが最後の方がいいです 了解しました
せつぽむを書き終わった後に
おまけとしてバッド選択肢を選ぶとどうなるのかをさらりと書いてから
じっくりゆうぽむデートを書いていこうと思います せつ菜ルート
振り返ると多くの思い出が輝いている
その輝きの中から私が進むきっかけをくれたのは誰なのか
私に踏み出す勇気をくれたのは誰なのかを考える
すると、少しずつ答えが見えて来た
歩夢(そうだよね)
私の心は決まった 歩夢 「2人とも本当にありがとう」
歩夢 「私は心の底から2人とも大好き」
歩夢 「それに差なんて付けたくない」
歩夢 「でも、それでも今私が恋人を選ばなくちゃいけないなら」 その言葉を出すのはとっても嬉しくて
なのにそれと同じくらい
…いや、それ以上に苦しい
でも、言わなきゃいけない
今、言わなきゃいけない
絶対に逃げちゃダメ
だってきっとそれがこんなに素敵な人達から好きになってもらった事への責任なんだから
そうですよね?果林先輩 歩夢「私はせつ菜ちゃんとお付き合いしたい」
せつ菜「歩夢さんっ!」パアァー
侑「…っ」 歩夢「私は側で応援してくれて、前に進む勇気をくれたせつ菜ちゃんが好き」
歩夢「あの日、後一歩踏み出せないでいた私の背中を押してくれたせつ菜ちゃんが好き」
歩夢「せつ菜ちゃんが他の人の大好きも叶えようと努力している所も好き」
歩夢「まだまだレベルが足りない私をライバルとして認めてくれた所も好き」
歩夢「だからね、せつ菜ちゃん」
歩夢「私もせつ菜ちゃんが大好き」
歩夢「私がこれからもずっと、せつ菜ちゃんにとって一番の大好きを更新し続けていきたい」
歩夢「これからはせつ菜ちゃんと背中を押し合いながら前に進んでいける関係になりたいの」
歩夢「せつ菜ちゃん、私とお付き合いしてくださいっ」 せつ菜「夢じゃぁ、ないんですよね…?」
歩夢「うん、夢じゃないよ」
せつ菜「ドッキリではなく…?」
歩夢「当然でしょっ!?」
せつ菜「すいません…その…少し、信じられなくって…」
せつ菜「歩夢さんは本当に私のことを愛してますか?」
歩夢「うん、愛してる」
せつ菜「そうですか…」
せつ菜「夢見ていたことが本当に実現したんですね」
せつ菜「嬉しいです。本当に」
歩夢「これからはライバルとしてだけじゃなくって恋人としてもよろしくね」
せつ菜「はいっ!」
せつ菜「恋人でライバル。素晴らしい関係ですっ!」
せつ菜「愛してますよ。歩夢」ペカー
歩夢「うんっ!///」 侑「…」
侑「ねぇ、歩夢」
私とせつ菜ちゃんの会話に区切りがついてから
それまで沈黙を続けていた侑ちゃんが口を開いた そう。私が今向き合わなくっちゃいけないのはせつ菜ちゃんだけじゃ無いんだ
私は泣き出したくなるのを堪えながら続く言葉を待つ
これまでと同じような関係でいられなくなったらどうしよう…
もしも絶交って言われちゃったらどうしよう
そして、仲直りする機会すらもらえなかったらどうしよう
私の心はとっても弱い
私が今侑ちゃんをフッた後だというのに、侑ちゃんと離れ離れになることをとても怖いと思っちゃっている
そんな自分自身の傲慢さが憎らしい でも、それでも
侑ちゃんがいない人生なんて考えたくもない
きっと今までは侑ちゃんもそう思ってくれていたんだと思う
その方向性が恋愛と友情という違いだったってだけで絆が切れるなんて絶対に嫌だ
侑ちゃんがなんと言おうと、私は侑ちゃんを繋ぎとめる
どんな手を使ってでも離れてなんてあげない そんな私の胸中での決意を知ってか知らずか、侑ちゃんは薄く微笑みながら私に優しく声をかけてくれる
侑「ローダンセの花言葉」
侑「変わらぬ想いだけじゃ無いって知ってる?」
知らないわけないでしょ?
歩夢「もちろん知ってるよ」
あの日侑ちゃんが私にくれた希望
その全部を知りたかったから、すぐに調べたんだもん
それを知って凄く嬉しかったんだ
忘れるわけが無い
歩夢「…終わりのない友情」 侑「うん。その通り」
侑「私は歩夢が好き」
侑「言っておくけど、この気持ちも絶対に一生変わらないよ」
侑「でもね、すっごく認めたくないけど」
侑「すっごく悲しいけど」
侑「正直今すぐにでも歩夢と心中したい気持ちも結構あるけど…」 侑「でもっ!」
侑「歩夢が私以外を選ぶなら」
侑「それが歩夢にとっての幸福なら」
侑「私はそれを心から応援する」
侑「だって…」
侑「だってねっ…」
侑「だって歩夢を愛してるのと同じくらい」
侑「幼馴染として、友達としても大好きなんだから」
侑「歩夢が幸せになることを邪魔なんて出来ないよ」
侑「だからね、歩夢」
侑「恋人にはなれなくっても…」
侑「ずっとずっと私と1番の親友でいて下さいっ!」
歩夢「侑ちゃんっ…!」 私は幸せ者だ
本当なら私から言わなきゃいけないことを、辛いだろうにこうして言ってくれる
そんな幼馴染がいるんだから
やっぱり侑ちゃんは初めて会ったあの日から変わらない
私のヒーローだ
私の憧れで、眩しいくらい強くって
私の返事は当然決まってる
歩夢「うんっ!これからもよろしくね」
涙を堪えながら私は手を差し出す
侑「ありがとうね、歩夢」
侑「これからもよろしく」ギュッ
幼馴染として、友達として、生涯の親友として私達は固い握手を交わす
この距離が今以上近づくことはきっと無いけれど、絶対にそれ以上離れない
そんな決意を込めて 侑「さてと…」
侑「じゃあ、空気の読める幼馴染はちょっと飲み物を買ってくるね」
侑「花火が終わる頃に戻ってくるから」
握手を解いた後、侑ちゃんはそう言って眼下に見える人混みに歩いて行こうとする
せつ菜「侑さんっ!」
その背中にせつ菜ちゃんが大きな声をかけた
侑「歩夢さんは私が絶対に幸せにしますから!」
侑「…ふふ、喧嘩売ってるの?」
侑「そうじゃなきゃ絶対に許さないよ」
侑「もしもせつ菜ちゃんが歩夢を傷つけるようなことをしたら」
侑「たとえ私の友人でも関係ないよ」
侑「歩夢の親友として地獄の果てまでも追いかけて報いを受けさせるからね」
侑「絶対に」
底冷えするような侑ちゃんの笑顔は、侑ちゃんの優しさを1番知っている私でも鳥肌が立ちそうになるような冷たさを持っていた せつ菜「それは寧ろこちらからお願いしたいくらいですよ!」
せつ菜「もしも歩夢さんを傷つけるような私になったら、遠慮なくそうして下さい!」
せつ菜「歩夢さんを傷つける私は間違いなくホンモノを騙る偽物ですから!」
でも、それを真正面から受けて尚その熱を衰えさせないせつ菜ちゃんは心底凄いと思う
侑「…ふふっ、そうであることを私も願うよ」
侑「じゃあ、また後でね」
微笑みながら去る侑ちゃんは、心なしかさっきより明るい声をしていた 侑ちゃんが立ち去った後も、花火は夜空で綺麗に輝いている
歩夢「侑ちゃん大丈夫かな…」
せつ菜「大丈夫ですよ、侑さんなら」
せつ菜「だって同時に告白するって決めてからしっかり覚悟してたんですから」
歩夢「でも…」
せつ菜「きっと立場が逆でも侑さんならこう言うとおもいますよ?」
せつ菜「私と侑さんはそれくらいの信頼関係は築いているつもりです」
せつ菜「それとも歩夢は信じられないんですか?侑さんの強さを」
歩夢「そんなことないっ…!」
せつ菜「そうでしょう?」
せつ菜「歩夢、侑さんの強さを1番知っているのは貴女の筈です」
せつ菜「彼女を信じてあげましょう?」
せつ菜「貴女の信じる自分であろうと努力をしてきた侑さんの為にも」
歩夢「うん」
歩夢「…そうだよね、きっと侑ちゃんなら大丈夫だよね」
だって侑ちゃんは
誰よりも強くて優しい幼馴染で
私の憧れのヒーローなんだもん せつ菜「ところで歩夢」
せつ菜「せっかくお付き合いできたことですし」
せつ菜「私、実はこのシチュエーションでずっとやりたかったことがあるんですが」
歩夢「やりたいこと?」
せつ菜「ええ。夏祭りで告白を成功させたら絶対にやりたいと思っていたことがありまして」
せつ菜「歩夢に是非協力していただきたいのですが、大丈夫でしょうか?」
歩夢「?」
歩夢「よくわからないけど、せつ菜ちゃんがやりたいことならなんでも協力するよ」
せつ菜「…」
せつ菜「本当ですね!?」
歩夢「えっ?うん。本当だけど…」
そんな勢いで確認されると怖くなっちゃうな…
せつ菜「言質はいただきましたからね」
えっ…?
不安を煽るような言い方にどこか恐怖を感じて
やっぱり話を詳しく聞いてからにしようと思って口を開く前に両手で頭を抑えられちゃった せつ菜「ふふっ、もう遅いですよ?」
せつ菜「キスをしましょう。歩夢さん」
歩夢「ふぇっ!?」
きす?
キス?
…
キス!?
フリーズした頭が冷静になってキスが何なのか理解する頃には
私とせつ菜ちゃんの距離がかなり近づいていた せつ菜「もし嫌なら私を跳ね除けてください!」
せつ菜「私はもう自分の意思で止める気はありませんから」
歩夢「せっ、せつ菜ちゃん!?」
せつ菜「私をこんな気持ちにさせる歩夢が悪いんですよ?」
せつ菜「こんなに可愛らしいのに」
せつ菜「こんなにも無防備な歩夢が悪いんです」
せつ菜「いけませんよ、貴女みたいに魅力的な人がなんでもするなんて言うのは…」
熱に浮かされたように蕩けた目をしながらせつ菜ちゃんが呟く
せつ菜「実は告白に成功したテンションのまま、アニメに憧れて提案したんですが」
せつ菜「もうそんなの関係ないです」
せつ菜「歩夢を好きな気持ちが膨れ上がってもう止められません」 歩夢(せつ菜ちゃん///)
あまりにも真っ直ぐすぎる強烈な好意を向けられて私が照れてる内にも、どんどんその距離は縮まって
小さな音を立てた
眼前でドーンドーンって大きな音を立てながらフィナーレを飾る金色の花火は、今この瞬間に夜空と共にせつ菜ちゃんの頬をピンク色に染め上げていた
顔が熱い
きっと私の頬も今、せつ菜ちゃんの紅色に染めあげられているんだろうな 互いの心臓の音が重なってドクンドクンって花火の音すら消し去るように大きな音を立てる
慣れないキスに息苦しくなって口を離そうとするけど、そんなの関係ないとばかりにせつ菜ちゃんは私の首に回す手の力を強くした
強引に私の唇をくぐり抜けてきた熱く柔らかい物が私の中で暴れ回る
訳がわからないまま口腔内を侵略されまいと私もせつ菜ちゃんに舌を入れて…
互いの舌が互いを求めて貪欲に蠢いて水音を立てる
気がつくと息苦しさはもう気にならなくなっていた
唇がその未知の快楽に震えて声を出す
歩夢「せつ菜ちゃん…」
せつ菜「歩夢…」
やがて私の腕もせつ菜ちゃんの首に巻きついて
その小柄な身体を抱きしめながらキスを続けた 保守、支援、コメントいつもありがとうございます。仕事が辛くても生きる希望が湧いてきます笑
続きはあまり長くはありませんが、眠いので夕方頃書こうと思います 乙です
こちらこそ楽しませてもらってます
無理せずゆっくり休んで 侑ちゃん心中したくほど辛くても前向きになれてすごいな 天の花が枯れ落ちるまでそんなキスを続けて…
侑「そろそろ行くよ〜!」
って遠くから聞こえる少し怒ったような侑ちゃんの声でやっと我に返った
せつ菜「もっ、もうそんなに時間が経っていたんですね」
歩夢「そっ、そうだね」
せつ菜「行きましょうか…///」
歩夢「うんっ…///」
せつ菜ちゃんと目を合わせるのが
今は少しだけ恥ずかしいな 集合場所
かすみ「あっ、歩夢先輩達が来ましたよ!」
歩夢「ごめんね。遅くなっちゃって」
愛「良かったぁ、心配して探しに行こうかって話してた所なんだよ」
侑「うっ…ごめんね」
せつ菜「面目無いです…」
しずく「3人とも美人ですから何かあったんじゃないかと…」
歩夢「ああ、それなら大丈夫だよ?」
歩夢「この神社で悪いことをすると神隠しにあうって言い伝えがあるから」
璃奈「そんなの非科学的」
侑「あはは、そう思うよね」
侑「でも、実際この辺りの犯罪件数って異常なくらい低いんだよ」 しずく「…あれ?」
しずく「侑先輩少し落ち込んでますか?」
私でも侑ちゃんがボロを出してるようには見えなかったのに…
流石しずくちゃん。鋭いな
歩夢「…」
せつ菜「あぁ!侑さんったらさっき金魚掬いのビニールプールで溺れてしまってたので、そのせいじゃないでしょうか!」
侑「せつ菜ちゃんさっきから本当に喧嘩売ってるの?」
せつ菜「いえいえ、まさか」
せつ菜「歩夢さんと幼馴染の絆があって羨ましいなんて思っていませんからね!」
侑「羨ましいでしょ!」
侑「だって歩夢とせつ菜ちゃんが別れた後も私と歩夢の関係は続くんだからね!」
せつ菜「あはは、面白い冗談ですね!」
せつ菜「私と歩夢が別れるなんて絶対にありえない事ですが!」
侑「でも、来世はわからないでしょ?」
なんか侑ちゃんが凄いこと言い出した!?
えっ!?ずっと一緒ってそういうこと!?
そう思ってもらえるのはとっても嬉しいけど かすみ「いやいやいや!2人で何言ってるんですか!?」
しずく「えっ!?歩夢さんとせつ菜さんが付き合うんですか!?」
璃奈「侑さんはそれで良いの?」
侑「良くはないけど」
侑「実はさっき歩夢に振られちゃってさぁ〜」
はぁ!?
それ言っちゃうの!?
愛「ええっ!?」
侑「歩夢が選んだんだから私は納得してるよ」
侑「でも、せつ菜ちゃんが歩夢を悲しませないようにみんなも見張っててね」
その後、この三角関係の結果を知ったみんなで蜂の巣を突いたような騒ぎになっちゃった
私達におめでとうって言う子
侑ちゃんを励ます子
両方する子
大騒ぎだね 何かあったと勘付かれて気を遣わせる前に自分から言っていくわけか 私にいろいろな思い出をくれるこのお祭りは、今年は少しの苦さが会ったけど
でも
それでも今年も素敵な思い出を私にくれた 帰り道、侑ちゃんはみんなと傷心カラオケに行っちゃったから私とせつ菜ちゃんの2人だけだ
せつ菜「あのっ!」
せつ菜ちゃんとお話ししながら歩いていると、せつ菜ちゃんが少し言いづらそうに口を開いた
歩夢「どうかしたの?せつ菜ちゃん」
せつ菜「ねえ、歩夢」
せつ菜「お願いがあるんですけど…」
歩夢「お願い?良いよ。なんでも言…」
歩夢「いやっ!先にお話を聞いてからにしようかな」
さっきの反省を思い出して慌てて言い換える せつ菜「ふふっ」
せつ菜「残念です」
せつ菜「さっきの後にまたなんでもなんて言うようなら今日で最後まで済ませるつもりだったのですが…」
歩夢「最後?」
せつ菜「ふふ、それはまたの機会にさせてもらいましょう」
歩夢「?」
せつ菜「さて、冗談はここまでにして…」
冗談を言うにしては本気の目だったような…
まぁ、いっか
並んで歩きながらせつ菜ちゃんから本当のお願いをゆっくり待つ せつ菜「歩夢、どうか2人きりの時は私のことを菜々って呼んでもらえませんか?」
歩夢「えっ?」
せつ菜「ほら、歩夢って誰に対しても呼び捨てをしないでしょう?」
せつ菜「あの侑さんに対してすら」
せつ菜「歩夢なりの理由があるのなら強制はしたくありませんが…」
せつ菜「私は歩夢さんの特別でありたい」
せつ菜「歩夢さんの恋人として特別が欲しいんです」
せつ菜「…ダメでしょうか?」
強制はしないなんて言いながらそんなしおらしい顔しないでよ
そんな顔されちゃったら…
歩夢「わかったよ、菜々」
思っていたよりもすんなり、まるでずっとそう呼びたかったみたいに言葉が出てきた せつ菜「///」
歩夢「///」
歩夢「呼び捨てするなんて生まれて初めてだよ///」
さっきキスをした時と同じくらい恥ずかしい
顔が熱くなっちゃう
せつ菜「ふふっ///」
せつ菜「実は私もなんですよ?」
せつ菜「歩夢」 せつ菜「あはは、これから歩夢の初めては全てこの私が貰っていきますからね」ペカー
何か吹っ切れたように笑う菜々に恥ずかしがってるばかりの私は何だか敗北感が…
歩夢「うぅ…」
歩夢「じゃっ!じゃあ、私だって菜々の初めてを色々貰っちゃうんだからぁ」
菜々を少し困らせてやろうと思って言ったこの言葉は
せつ菜「どうぞ?」
なんて、何でもなさそうに返された
歩夢「ふぇ?」
全く照れる様子のない返事に思わず気の抜けた声が出ちゃう
せつ菜「私は歩夢の初めてを貰って、私の初めては全部歩夢さんにあげます」
歩夢「えっ?」
せつ菜「時間をかけて、お互いをお互いのものにしていきましょうね!」
せつ菜「恋人でライバル同士、全てを見せ合っていきましょう!」
せつ菜「色々な意味で!」ペカー
歩夢「…菜々、凄いこと言ってるよ?///」
せつ菜「仕方ないでしょう?」
せつ菜「だって私は歩夢のことが」
せつ菜「世界中の大好きを集めても全然足りないくらい大好きなんですから」ニコッ せつ菜「歩夢は、こんな私じゃ嫌ですか?」
歩夢「…ううん」
歩夢「私は大好きに一生懸命な菜々も好きなんだもん」
歩夢「わかったよ。私の全部を菜々にあげる」
歩夢「だから、菜々の全部を私にちょうだい?」
せつ菜「はいっ!」
せつ菜「私の大好きはとてつもなく大きいですよ」
せつ菜「覚悟しておいてくださいね!」 2人の笑い声が道路に響く
これから向かう先にどんなことがあるのかまだわからない
でも、きっと楽しそうな未来が待っている
だって私達に乗り越えられないものなんて無いんだから
だって私達は最高のライバルで最高の恋人なんだから
そうして私達は笑い合う
明日を信じて
その先を信じて せつ菜ルート完
来週土日にバッドルートとゆうぽむデートを書いて終わりにできたらと思います フィジカルとは正反対で侑ちゃんのメンタルつよつよだね 両方にいくのは後味悪いというかはっきりバッドなんだ
それもそうか おつです。侑ちゃんもせつ菜ちゃんも本当にメンタル強い 今週も保守ありがとうございました!
今日の23時頃から1時頃まで書こうと思います 選べないルート〔3年生からのアドバイスや愛、璃奈との会話が無かった場合〕
侑ちゃんが
せつ菜ちゃんが
私なんかのことを好きなんて…
そんなこと本当にあるの?
2人の告白を信じられなくって、混乱した私の脚は無意識のうちに明後日の方向を向く
逃げたところでどうにもならないのに
今、私の頭はそんなことすら考えられなくなっていた
だってもし本気の告白だったとしても
いきなり大好きな2人からどちらかを選ぶなんて私には無理だもん 侑「逃げないで」
せつ菜「待ってください!」
でも、駆け出そうとした私の腕は2人に掴まれていた
まるでそう、私が逃げるのを予測していたみたいに素早く
侑「ねぇ歩夢、なにか答えてよ」
歩夢「でも…」
侑「私が好きなの?せつ菜ちゃんが好きなの?」
歩夢「それは…」
せつ菜「当然どんな結果も覚悟の上なんです」
せつ菜「歩夢さんが男性とお付き合いしたいのなら諦めますし…」
せつ菜「もしも私達2人、どちらとも恋愛対象として見られないならそう言ってください」 >>382で単純に逃げたわけじゃなくてその前の会話とかもなかったんだね 歩夢「そんな訳無いよ!」
歩夢「きっと私は好きなんだと思う…」
どんな相手と居ても、私は侑ちゃんと、せつ菜ちゃんと一緒にいる時程楽しく感じられない
きっと
いや、絶対にこれは恋に近い感情なんだと思う
それは間違いない
侑「じゃあ早く答えてよ」
せつ菜「私と侑さん、どちらが好きなんですか!?」
歩夢「うぅっ…」
そんなの選べないよ
だって二人とも私の大切な人なんだから
それに差なんて無いし、つけたくない
2人からどっちかを選ばなきゃいけないなんて考えたことも無かったもん
何よりも私の言葉で片方を傷つけたくなんてない 歩夢「わっ」
歩夢「私は2人と付き合いたい!」
侑「…はぁ?」
せつ菜「…ほぅ?」
歩夢「だっ…だって私は2人とも差をつけられないくらい大好きなんだもんっ!」
気がつくと追い詰められた私の口は頓珍漢な言葉を発していた
でも、これなら2人を傷つけずにいられる
差をつけられないくらい2人を好きなことは間違い無いんだし、片方を選ぶなんて事は私には出来ない
なら、いっそのことここで2人に失望されるようなことを言うべきなんだ
そして嫌われてこっちが振られちゃう
そうすれば悪いのは私だけになれる
嫌われるのは怖い
心で泣きながら、それでもバレないように笑顔を保つ
二人とも選ぶって今までの歩夢のキャラとは違うからどうするんだろうと思ったらそういう思惑か 侑「…へぇ」
せつ菜「私達2人に差をつけられないと?」
歩夢「うん」
歩夢「誠実な答えを出せなくってごめんなさい」
歩夢「でも、これが私の本心なの」
侑「あはは、そんな泣きそうな顔しないでよ」
侑「私は付き合えるならそれでも良いよ?」
せつ菜「奇遇ですね侑さん。私も同意見です!」
歩夢「…」
歩夢「えっ?」
あまりにも軽く発される言葉に自分の耳を疑う
侑「私達と同時に付き合いたいんでしょ?」
侑「良いよ?別に」
せつ菜「私も歩夢さんの1番になれるのでしたら」
歩夢「はぇ?」 2人が想像以上だったね。普通にもう少し時間が欲しいとか言っておけば… これは本当に想定外の結果だ
2人から嫌われることを覚悟していたのに
何がなんだかわからなくって混乱する
侑「でも、他の子と浮気したら許さないから」
せつ菜「ええ。不誠実なことをしたらペナルティですからね!」
歩夢「えっ…?うん」
歩夢「もちろんだよ?」
働かない頭で
誰も傷つけず、更に嫌われないで済んだから良かったのかな?なんて呑気に思いながらも
この時に
浮気の定義を
不誠実という事の基準を
ペナルティとは何なのか
私はもっと話し合うべきだったんだろうね
もう話し合っても手遅れだったんだろうけど
背後で最後の花火が弾けて散って
さっきまでの光景が嘘みたい
空が一気に暗くなった みんなと集まった後、侑ちゃんとせつ菜ちゃんは自分こそが歩夢の彼女なんだとみんなに話していた
当然みんなは騒いだ
賑やかに、何処か面白がるように
其処には純粋な祝福があった
でも、どうしてだろう?
楽しそうなそれが
何故か危険を知らせるサイレンみたいに聞こえたのは
ヤンデレの幼馴染みと同級生に愛されるラノベが始まってしまう 週明け
果林「歩夢っ!」
歩夢「果林先輩?」
歩夢「どうしたんですか?そんなに慌てて」
果林「侑とせつ菜の2人と付き合ったって本当!?」
歩夢「はい。2人から同時に告白されたら選べなくって…」
果林「嗚呼、なんてことを…」
歩夢「確かに誠実な選択じゃなかったとは自分でも思います」
歩夢「でも、私はそれでも2人を愛しているんです」
歩夢「そこに差なんてつけられないくらいに」
これは今の私の本心だ
2人同時にと言ったのは振られる為だったけど
こうなっちゃったら2人をちゃんと愛さなきゃ!
だって好きなのは間違いないんだから でも
果林「はあ〜…」
果林「違うのよ、歩夢」
果林「そうじゃないの…」
果林「かわいい後輩には私と同じ目にはあってほしくなかったのに…」
果林「こんなことならもっと早く言っておくべきだったわね…」
歩夢「果林先輩?」
何故か果林先輩はどうしてか心の底から悲しそうな眼をしている
まるでそう、何も知らずに自分から屠殺場へ歩く家畜を見るような目を 果林「その気持ちは痛いくらいわかるわ。歩夢は二人を傷つけたく無かったのよね?」
果林「でもね、結局はその選択が1番みんなを傷つけちゃうの」
果林「自分自身を含めたみんなの」
果林「心も、身体もね」
歩夢「何を言ってるんですか?」
果林「最初はいいのよ?お互いに遠慮しあっててまだ余裕があるから」
果林「でも、暫く経つとそんなの無くなるわ」
果林「お互いがお互いに嫉妬しあって行為は止まることなくエスカレートしていくの」
歩夢「エスカレート?」
果林「ふふふ」
果林「ねえ歩夢もしかしてとは思うけど、告白された時逃げ出したりなんかしなかったわよね?」
歩夢「…混乱して逃げ出そうとしちゃいました」
果林「本当に私達って変な所で似てるわね…」
果林「じゃあもうダメ…私と同じミス…」 果林「2人はきっと歩夢からの愛を疑っているわ」
果林「実は相手の方が好きなのに」
果林「あるいは2人とも好きじゃないのに」
果林「自分を傷つけない為に嘘をついたんじゃないかって…」
歩夢「そんなことっ!」
果林「知ってるわよ。歩夢にそんな気が無いってことは」
果林「でも、そんなの口で言われても完全には信じられないの」
果林「それを信じようとしてもね」
果林「歩夢が優しいからこそ、余計にそう思われちゃうかもしれないわ」
果林「だからこそ脳裏にはもしかしたらって考えが消えないの」
果林「歩夢にとっては両方を選んだつもりかもしれないけど、相手はきっとそう思ってないわ」 このルートは無茶苦茶化なのかと思ったけどリアルにそういう心理になりそう 果林「当人にとっては断られたわけでもなく、完全なOKというわけでも無い宙ぶらりんな状態」
果林「激しい飢餓の中いつ相手の物になるか、誰かに取られるのかわからない甘い果実」
果林「でも、自分がそれを求める事が不可能な訳じゃないの」
果林「なら、それを諦められる訳ないわよね?」
果林「相手に奪われる前に、何をしてでも自分の物にするって考えになるのよ…」
歩夢「何をしてでもって…」
果林「ねぇ歩夢」
果林「この手遅れな状況で今更私から出来るアドバイスは一つだけよ」
果林「水分補給は絶対忘れずにしっかりしなさい」
歩夢「?」 果林「知ってる?無理矢理体液を出し続けると脱水になるの」
歩夢「???」
体液?急になんの話だろう?
まさか泣かされちゃうのかな?
果林「ええ。涙も出るわね」
歩夢「心を読んだんですか!?」
果林「歩夢がしてそうな考えを予測しただけよ」
歩夢「私ってそんなにわかりやすいですか?」
果林「ええ。こういう話題の時は特にそうね」
果林「でも、残念だけどきっと数日もしない内にわかるようになると思うわ」 歩夢「でも、あの2人なら…」
そんな酷いことしないって言い終わる前に果林先輩が興奮したように口を開く
果林「あの普段ほんわかしてるエマと彼方ですらああなったのよ!?」
ああなったって何!?
さっき部室で会った時も普段通りだったよね!?
果林「勉強前、問題を間違えた時、勉強の後絞られるの…」
何を!?
果林「お陰でこの私が毎日死ぬ気で自習してるのよ?」
果林「この私がこんな短期間でB判定にまでなれるとは思わなかったわ」
果林「まぁ、そのご褒美にって結局は絞られるんだけどね…」
果林「何もない日も私が他の娘に見つめられてたとかいう理由で絞られるし…」遠い目 果林「…」
果林「話を戻しましょうか」
果林「あの2人はきっとその比じゃないわよ?」
果林「行動力の化身とも言えるせつ菜と、嫉妬深い侑の組み合わせなんてどんなことになるか…」
果林「あっ、そうそう」
果林「私と2人で話してたってことがバレるだけでも浮気を疑われるから気をつけなさい」
歩夢「浮気ってそんな…」
果林「ただの同好会メンバーとの何気ない会話も致命傷に繋がりかねないわよ?」
歩夢「えぇ〜?」
そんな冗談みたいな事を言い残しながら
果林先輩は"偶然"通りかかったエマ先輩と彼方先輩に引きずられて行った
…あの方向空き教室しかないと思うんだけど
あの2人が道を間違えるなんて珍しいなぁ 侑「歩夢〜っ!」
歩夢「ぴゃっ!?何!?どうかしたの!?」
果林先輩との話の後だからか変な返事をしちゃった
侑「さっき果林さんと何を話してたの?」
何で知ってるんだろう…
まあ良いか
歩夢「あ〜、大したことじゃないよ」
歩夢「気にしないで」
まさかあんな話をしたなんて恥ずかしくって言えないよ
侑「…そうなんだね。うん。わかったよ」
侑「ねえ、歩夢」
侑「少しお願いがあるんだけど」
歩夢「良いよ。何でも言って」
侑「今夜私の家に来てくれない?」 歩夢「えっ!?えぇっ!?」
侑「…何でそんなに驚いてるの?」
侑「前までは二つ返事で来てくれてたよね」
侑「恋人の私に対して何かやましい事でもしてるの?」
侑「…やっぱり私以外の娘と夜会ったりしてるの?」
侑「やっぱりせつ菜ちゃん!?それとも他の子!?」
歩夢「侑ちゃん?何を言ってるの?」
侑「…まぁ良いや。今夜私の、私だけの物にするんだから」小声
歩夢「侑ちゃん?」
侑「何でも無いよ。こっちの話」
侑「実は今日私の両親が出張行っちゃっててさ」
侑「歩夢が夜ご飯作りに来てくれないかな〜って」
なんだ、そんなことか
身構えてたのが恥ずかしい… 侑ちゃんに美味しい料理を作ってあげたいし
私の両親も何故か急に旅行が当たったみたいで数日家にいなくて寂しいし…
だから私の返事は決まってる
歩夢「うん、大丈夫だよ」
侑「やった〜。いつもありがとうね」
侑「あと、録音してもらいたい曲があるからついでに少しだけ声を当ててほしいな」
歩夢「録音?」
侑「そうそう。ライブとは関係ないやつなんだけど私の元気の為に協力してもらいたくって」
歩夢「でも私作曲の為の声なんて出せないよ?」
侑「大丈夫。歩夢が協力してくれるならきっと寝てるうちに終わっちゃうよ」
歩夢「寝てる時に声出しなんて出来ないでしょ…」 別ルートでいつも優しい侑ちゃんはやばい方向に向いている気がする…. 侑「あっはは、ごめんごめん。言葉の綾ってやつだよ」
侑「ねえねえ、良いでしょ?」
侑「お礼に寝付きが凄く良くなる特別なお茶をご馳走するからさ」
歩夢「ふふっ、何それ」
歩夢「そんなの出されても私絶対眠らないからね?」
侑「言ったね〜」
侑「じゃあ、眠ったら何でも全部協力してもらうから」
歩夢「ふふ、望むところだよ」 この返事を私はその日の内に後悔する事になる
この時私はどう寝たふりをしながら協力しようかって考えてたのに
侑ちゃんのお家でお茶を飲んだら本当に直ぐ眠っちゃって…
目が覚めた時には
地獄のような
天国のような
激しい快楽に蹂躙されて涙を流しながら
自分でも信じられないくらい大きな嬌声を上げていた
途中から窓を突き破りながらせつ菜ちゃんも乱入して来て、侑ちゃんと激しく言い争ってくれたお陰で少しだけ休憩できたけど…
侑「歩夢のこんな可愛い声は私達以外は絶対に聞かせないよ」
って言いながら侑ちゃんが璃奈ちゃんの発明した薬品で割れた窓を強化修復してすぐに
せつ菜「確かにまだ膜はありますね!まずは快楽で私達から逃げられないようにしてから所有権を争いましょう!」
なんて言いながらせつ菜ちゃんまで参戦して来たから、気休め程度の休憩は無駄どころかマイナスになっちゃった
快楽に支配された私がお願いだからもっと奥までしてと必死に懇願するのはこの数十分後
獣慾に支配された私が2人に依存するようになるのは数日後 私は今も2人を心の底から愛している
きっと2人も私を愛してくれている
今の2人との関係にも不満はない
だって私が他の娘と話さなければ2人が笑顔でいてくれるんだもん
せつ菜ちゃんと侑ちゃんは私が何をされても片方を選ばないって気がついてからは同盟を組んだんだ
今は今で私は好き
でも、もしかしたら
普通にデートを楽しんで
キスに赤面して
恋人繋ぎを喜んで
どうでも良いような事で喧嘩もしながら
一歩一歩距離を詰めて
いざそんな雰囲気になったらお互いが宝石を撫でるように触れていく
そんなもどかしい甘酸っぱい関係もあり得たんじゃないかって
…そう思う時が無いと言えば嘘になっちゃう
そんなのあり得ない話なんだけどね
バッドエンド完 ここまでありがとうございます!
ゆうぽむデートは午後に書けたら書きます 区切りのいいところまでいけませんでしたので
次の土曜日に書こうと思います
すいませんがまた保守していただけると幸いです
お台場は行ける選択肢が多いので場所選びが逆に難しいですね… 東京じゃなくてお台場だけに限定してもデートスポット山ほどあるしね
楽しみしてます 久しぶりに書くのに規制なら他の巻き込みかな
また規制増えるんだろうか 侑「歩夢、次の土曜日空いてる?」
私と侑ちゃんが付き合って早くも2ヶ月
もう季節は冬に近づいて、最近は上着が必要になってきた
そんな季節の週初め
今日はせつ菜ちゃんが生徒会活動で早く学校に行かなくちゃいけない日
だから久し振りに侑ちゃんと2人っきりの登校だ
私が侑ちゃんといれるのが嬉しい反面
親しい友達がいなくて寂しい
毎度の事ながらそんな複雑な気分でいると
ふと侑ちゃんが口を開いた
歩夢「次の土曜日?空いてるけど」
歩夢「どうかしたの?」
侑「あのさ」
侑「デートに行こうよ」 歩夢「デートっ!?」
ビックリして少し大きな声が出ちゃった
だって
遊びに行こう
とは侑ちゃんが毎日のように言ってくれてるけど
デートに行こう
って言ってもらえるのは初めてで…
だから思わず聞き返しちゃった 侑「そう!デート!」
侑「歩夢、デートに行こうよ」
侑「勿論2人きりのデートだよ!」
歩夢「わっ…わかったから…」
歩夢「そんなに何度も言わないで///」
ここは通学路
当然通学中の生徒もいるわけで…
うう〜、周りの優しい目が恥ずかしいよぉ
侑「次の土曜日は丸一日空けといてね」
でも
それ以上に
歩夢「うんっ///」
私は今、とっても嬉しい 歩夢「う〜ん…」
水曜日の放課後
みんなの都合が悪くって同好会活動が中止になった今日
鏡の前で洋服を持ちながら、私は1人唸っていた
家にある服を組み合わせても、それは侑ちゃんに一度は見せた姿になっちゃう
それがダメな訳じゃないんだけど
折角侑ちゃんからデートって言ってくれたんだから、少しでも特別なものにしたいんだ
だってこれが私達の初デートなんだもん だから、少しでも侑ちゃんに喜んでもらえる格好で行こうって思ったけど、手持ちの物じゃ特別感は無い
かと言って、私がこれから服を買いに行ってもそれじゃいつもと似たタイプの服しか買えないだろうな…
これから侑ちゃんと買いに行こうにも侑ちゃんは今外出中だし、何よりそれじゃビックリさせられないもんね
というわけで、私は果林先輩を頼る事にした
いつもお洒落で、モデルもやってる果林先輩ならきっと私が着たことのないコーディネートのアドバイスをくれるって思うから 果林さんのコーディネートなら実績があるから信頼できるな 歩夢『果林先輩、突然すいません』
歩夢『侑ちゃんとのデートに着ていく服を相談させてもらって良いですか?』
って送った後に今の果林先輩が受験生だって思い出した
そんなイメージは全然無いけど、先輩も今は勉強が忙しい筈だよね?
歩夢「あぁ、やっちゃったぁ」
慌てて取り消そうとしたけど
果林『良いわよ』
丁度果林先輩からメッセージが返ってきた 歩夢「良いの!?」
歩夢『良いんですか?』
果林『こうして歩夢が私に相談するってことは多分初デートとか特別な日って事よね?』
…果林先輩ってやっぱり凄いなぁ
歩夢『実はそうなんです』
歩夢『お付き合いをしてから何度もお出かけには行ってるんですけど』
歩夢『しっかりデートだって言ってもらえたのはこれが初めてで』
果林『それなら侑にはそのデートっていう言葉に何らかの想いがあるのかもしれないわね』
果林『それなら私がリスクを背負う価値は十分あるわ』 果林『メールだけだとよくわからないからこれから会いましょう』
果林『手持ちの服も知りたいから歩夢の家に行っても良いかしら?』
歩夢『それはとっても助かります』
歩夢『でも、こっちからこんな相談しておいてなんですけど、受験勉強は大丈夫なんですか?』
歩夢『リスクがあるなら…』
果林『勉強は平気よ。寧ろ良い気分転換になるわ』
果林『彼方とエマにバレなきゃ平気だしね』
やっぱり2人に勉強を見てもらってるんだなぁ
歩夢『気分転換ならそのお二人も誘いましょうか?』
果林『やめなさあ』
送った瞬間に返事が来た 果林『お願いだから、それだけはやめて』
歩夢『…もしかして2人と喧嘩でもしちゃったんですか?』
もしそうならこの前のお礼も兼ねて何か少しでも力になりたい
果林『いえ。寧ろ困った事に仲は良すぎるくらいなのよ』
果林『ほら、2人とも最近忙しいみたいだから』
果林『とにかく、今から歩夢の家に行くから待ってて』
文章なのに不思議とそれは有無を言わさない勢いを持っていた もしかしてこちらの果林先輩も2人の対応やらかしてるのか そして待つこと約1時間
果林「お邪魔するわね」
歩夢「忙しい中ありがとうございます」
果林「そんなことより、喜びなさい!歩夢に合いそうな物を持ってきたわよ!」
高級そうな紙袋を持ちながらヤケにテンションの高い果林先輩にビックリしながら
私は自宅で出迎える 果林「歩夢って表情は可愛い系だけど」
果林「顔立ちは美人寄りだし案外レザー系も似合うと思ってたのよね」
そう言いながら袋から出したのは私が手に取ったことも無いような格好良くってシンプルなレザーのジャケットだった
歩夢「ええっ!?」
果林先輩には悪いけど
単体でそれを見ると、とても私に似合うとは思えない
果林「ふふっ。気持ちはわかるわ」
果林「まあ任せなさい」
果林「侑がビックリする様な変身をさせてあげる」 果林「歩夢、一通り持っている服を見せてもらっても良いかしら?」
歩夢「あっ、はいっ」
果林「そうねぇ、これをこういう風に合わせれば…」
果林先輩は持ってきた洋服と私の私服を見比べて暫く考えている様子だったけど…
果林「よし」
果林「決めたわ!歩夢、一応確認したいからこれとこれとこれを着てみてちょうだい」
果林「きっと似合う筈よ!」
果林「じゃあ、着替え終わるまで私は部屋の外で待ってるわね」 歩夢「ううっ///」
果林先輩の選んでくれたコーデは、私が普段着ている可愛らしい服の上に、少し細身なレザーを羽織るものだった
慣れない感覚に体を揺らす
ロングスカートは私が身動ぐたびに揺れ動く
歩夢「本当に似合ってるのかなぁ…」
初めて着るレザーの服は窮屈で何だか落ち着かない キリッとした表情だとカッコいいしそういう系も似合いそう でも、ふと鏡に目を向けるとそこに写る私はそれを見事に着こなしていて
不思議とそれを着慣れているようにすら見える
歩夢「わぁっ」
ジャケットを羽織るだけで幼さのある格好が一気に引き締まる
それでいて硬くなり過ぎていない
可愛らしさを際立たせながら、大人らしい格好良さがあって…
ここまで似合って見えるのはただ私がそれを着るだけじゃなくって、果林先輩の合わせてくれた服だからだろう
これだけで少し大人になった様な気分にすらなれる 時間を忘れてそれに見惚れながらポーズを取っていると
コンコンコン
部屋に控えめなノックの音が響いた
歩夢「あっ、すいません。もう着替えましたっ///」
慌ててそう言う私の声は、とても浮ついていた 果林「うん。やっぱりよく似合ってる」
部屋に入ってきた果林先輩は開口一番にこう言ってくれた
果林「凄く素敵よ。歩夢」
そう言う果林先輩はとても嬉しそうで、本心から言ってくれているのが伝わってくる
…これで謙遜するのは失礼だよね
だから私は心からの満面の笑顔で返す
歩夢「ありがとうございます!」
果林「これできっと侑も惚れ直すわ」
歩夢「///」
歩夢「じゃっ、じゃあ早速これと似たお洋服を買ってきますね!」
私のお小遣いじゃこんなにしっかりした物は買えないと思うけど、探せばきっと安価なのもある筈… 歩夢「本当にありが…」
果林「私のお古で良ければあげるわ」
歩夢「へっ?」
果林「それ、あげるわ」
歩夢「ええっ!?」
果林「ん?ああ、大丈夫よ」
果林「お古といってもサイズを間違えちゃってて、一度袖を通しただけで綺麗だから」
歩夢「いえいえいえ、気にしてるのはそこじゃなくって」
歩夢「こんなにしっかりした物を貰っちゃっていいんですか!?」
革製品に詳しくない私にもこれが高級なものだっていうことはわかる
そんな物を貰っちゃうのは流石に…
果林「ああ、そんな事?」
果林「気にしないで」
果林「あげたいから持ってきたんだもの」フフッ 歩夢「でも、コーディネートしてもらった上にそこまで良くしてもらっちゃうのは…」
果林「大丈夫よ。これは元々衝動買いしたらサイズが合わなかった物だし」
果林「捨てるのがもったいなくって、売るのも私の性分じゃないから手元に残してただけなの」
果林「歩夢と侑の思い出作りの役に立てるなら本望だわ」
歩夢「果林先輩…」
果林「それともまさか、苦労して持ってきた私に1人寂しく持って帰れとでも言うのかしら?」ニヤニヤ
歩夢「あぅ…」
果林「ふふっ」 果林「こう言っても歩夢は気にしちゃうわよね」
果林「それならそうね…」
果林「決めたわ」
果林「侑との結婚式、私は香典無しで参加させてちょうだい」ニヤリ
歩夢「結婚!?」
歩夢「もうっ!果林先輩っ!///」
果林「うふふっ」
それから、果林先輩から明日のメイクのアドバイスやレザージャケットのお手入れ方法を教わって
気がつくと日が落ちていた
歩夢「今日は本当にありがとうございました」
歩夢「勉強も大変な時期に…」 果林「本当に気にしないで」
果林「確かに少し帰るのが遅くなっちゃったけど…」
果林「可愛い後輩達が未来を手に入れる為だもの。例え私が今夜枯れ果てても本望よ」
歩夢「?」
枯れ果てる?どうして受験勉強でそんな単語が出てくるんだろう…
果林「頑張りなさいね。歩夢」
最後にそう微笑んだ果林先輩を見送りながら再びお礼を言う
デート、侑ちゃんに楽しんでもらおう
そして私も
デートを、楽しもう 細かいことだけど香典はお葬式で結婚式はご祝儀です果林先輩 今週もありがとうございました。来週も保守していただければ幸いです
万が一スマホでも書き込めなくなったらすいません…
今週はゆうぽむをあまり書けませんでしたが、描きたいゆうぽむに繋げるために必要だったので許してください
…規制解除って放置してれば良いんですかね? おつです。果林先輩は選べなかったんだな…
規制解除は人によって期間が全然違うらしいのではっきりとしたことはわからないみたい? 果林先輩のせいじゃなくて…俺が悪いんだよ
香典と御祝儀を間違えたのは俺のせいだ!!
もう…嫌なんだ 勘違いが…
間違いを…消してくれ…
もう…書き直したい… 規制は毎月解除されるようになったとどこかで見たけど本当かどうかはわからない
保守は続けるので自分のペースで書いて 皆さんありがとうございます!
荒らす様なコメントをしたことも無いのに急に書き込めなくなったんでビックリしました
規制って都市伝説じゃなかったんですね 規制は回線や端末の巻き込まれが多いみたいなので
運が悪かったとしか
早く解除されることを願ってます デート当日
待ち合わせの1時間前
ワクワクしながら着替えや軽いメイクをしていたら思っていたよりも早く終わって、手持ち無沙汰になっちゃった
念の為に最後に鏡の前でどこもおかしい所がないことを入念にチェックして…うん。大丈夫っ! 歩夢「よしっ」
約束まではまだまだ時間がある
でも、時間を潰そうにもソワソワしちゃってテレビを見る気にもなれないし…
歩夢「少し散歩しよっかな」
外の空気を吸って気持ちを落ち着かせよう
そう思って部屋から出てマンションから外に踏み出すと 侑「ふんふふふふん ふーんふふーん」
そこにはマンション前の階段に腰掛けて
笑顔を浮かべながら上機嫌に鼻歌を歌う侑ちゃんがいた
歩夢「侑ちゃん?」
侑「!!」
侑「歩夢ぅ!おは…」
歩夢「侑ちゃんおはよっ///」
不意打ち気味に鉢合わせる私達 もちろんあと少しで会うつもりだったとはいえ、いきなりこの姿を見せるとなると恥ずかしい…
ソワソワしちゃうのは仕方ないよね?
初めて見てもらう格好
侑ちゃんはどんなリアクションをしてくれるのかな
今までしてきた私のどんな格好も侑ちゃんは知っている
今までの私の全てを侑ちゃんは知っている
だからこそ、今までと違うこの姿をどう思ってくれるんだろう?
それがどうしようもなく気になっちゃうんだもん 可愛いって思ってくれる?
格好良いって褒めてくれる?
大人びているって喜んでくれる?
もしかしたら普段の格好の方が好きかな?
期待とほんの少しの不安に胸が高鳴る
でも、こう思いながらも本当はどんな反応をしてくれるのかはわかってるんだ
だって侑ちゃんは昔から… 侑「かっ…」
侑「可愛いっ!」
侑「カッコいいっ!!」
侑「可愛いっ!!!」
侑「凄いっ!本当に素敵だよ歩夢っ!」
侑「すっっっごいトキメいちゃったぁ!」
語彙力まで赤ちゃんになっちゃったの?ってくらいシンプルな褒め言葉
それが心底嬉しい
だって侑ちゃんの純粋で真っ直ぐな言葉はいつだって
どんなに飾り立てた言葉よりも私を喜ばせてくれるんだから 私の眼前で輝くその緑がかった綺麗な宝石は、私を何よりも美しく写してくれていた
歩夢「ほっ…褒めすぎだよぉ///」
侑「本当本当!どこからどう見ても清楚で素敵な大人のお姉さんにしか見えないもん」
侑「歩夢の新しい一面だね」
侑「ありがとう。オシャレしてきてくれて」
侑「本当に素敵だよっ!歩夢」ニコッ
歩夢 「ありがとう///」 侑「水曜日何かしてると思ってたらこういうことだったんだね」
歩夢「そうだよ。侑ちゃんをビックリさせたくって」
侑「へ〜っ、流石果林さんだね」
ん?
…その日侑ちゃん外出してたんだよね?
あれ?サプライズにしたかったから言ってないはずだと思うんだけど…
侑「どうかしたの?歩夢?」
まあ、いっか
歩夢「ううん。なんでもないよ」
だって侑ちゃんにならもしも盗聴器とかつけられてても気にならないからね なんて冗談は置いておいて…
何はともあれこんなに言ってもらえるならお洒落してきた甲斐があるな
忙しい中本当にありがとうございました、果林先輩っ!
心の中で改めて果林先輩にお礼を言う さっきまでは私の心に余裕が無かったから気がつけなかったけど
改めて侑ちゃんを見てみると、彼女もお洒落をしてきてくれているのがわかる
歩夢「侑ちゃんもカッコいいよ?」
侑「えへへ〜」
侑「私は愛ちゃんにアドバイスを貰ったから!」
そう言いながらVサインを出す彼女を改めて見直す
侑ちゃんの格好はいつものようなボーイッシュさを出しながらも、腕時計やネックレスで可愛らしさも出していて
彼女の持つ少女らしさをより強く感じさせていた
端的に言うと、とっても可愛らしい …こんな侑ちゃん初めて見るな
それがとっても嬉しい
だって私は侑ちゃんの全部を知りたいから
いつも可愛らしい服装の私と
いつも格好良い服装の侑ちゃん
今日はまるでそれが入れ変わったみたい
服装選びでお互いの考える1番素敵な相手のイメージが出たのかな?
…なんてね。選んでもらったんだからそんな訳無いか 歩夢「侑ちゃんはいつも素敵だけど、今日は特別だね」
侑「当然だよ。世界一可愛い歩夢の恋人として隣に並ぶためだもん」
歩夢「侑ちゃんだって私には世界一素敵だよ?」
侑「じゃあ私は宇宙一歩夢を可愛いって思ってるよ」
歩夢「ふふっ、何それ」
侑「ねえ、覚えてる?昔この言い合いで喧嘩になったの」
歩夢「覚えてるよ。幼稚園の頃だよね」
侑「そうそう、最後までどっちも引かなくって」
歩夢「結局2人で泣きながら相手の良い所を言い合ってたっけ」 侑「そうそう。それで泣き疲れたらこうして手を繋いで一緒に帰ったんだよね」
歩夢「あっ…」
侑ちゃんのしなやかな指が私の指を絡め取る
普段何気なくする仕草も、不思議と今は私の心を大きく跳ねさせた
侑「えへへっ」
侑「あの日と反対に私達は笑顔だし」
侑「今日はこれから出かけるんだけどね」
侑「少し早いけどもう行こっか」
歩夢「…うんっ!」
そうして隣で私の手を手を引いてくれるのは幼いあの日と同じで
でも、結ぶ手の強さはあの日よりずっと強かった 続きは来週書きます
今週も短くてすいません…
スマホだと書きにくい上に睡魔が… おつです。まだ規制続いてるんだね。早くなおるといいな デートの始まりが隣に住む幼馴染みならではでよかった 待ち合わせとかせずあえて普段通り一緒に出掛けるのもいいね 侑ちゃんに引かれながら進む私の足は電車に乗ってはまた歩き
どんどんと見慣れた景色に近付いていく
歩夢「そういえば、さっきは階段で何してたの?」
侑「あはは」
侑「実は歩夢とのデートが楽しみすぎてさ」
侑「部屋でじっとなんてしてられなかったから外に出てたんだ」
侑「歩夢はどうしてあんな時間に?」 歩夢「私も一緒だよ?」
歩夢「楽しみでソワソワしちゃって」
歩夢「気を紛らわせたくって散歩に行こうかなって思ったらそこに侑ちゃんがいたんだ」
侑「うふふっえへへ〜」
侑「そっか〜えへへっ」
歩夢「凄い笑顔だね」
侑「そりゃこうもなるよ〜」
侑「だって歩夢も楽しみにしてくれてたのが嬉しくってさ」
歩夢「当たり前でしょ。侑ちゃんと一緒にいられるだけでも私は嬉しいんだから」
侑「えへへ〜」
侑「今日はその期待を裏切らないように頑張るね」 頑張らないで
いつも通りで良いんだよ
そう言いたい気持ちをグッと抑えて私は敢えて挑発的に笑う
歩夢「ふふ」
歩夢「うん。楽しみにしてるね」
だって侑ちゃんの覚悟に水を差したくないから
その後も私達は他愛のない話を続ける
どこに行くのかはまだ聞いていない
だって、その時まで楽しみにしていたいから
何より、侑ちゃんと一緒ならどこに行っても絶対に楽しいもんね
だから、それをわざわざ聞く必要はないんだ 最初のデートだから張り切ってるのをそのまま受け取るのも優しさだよね 駅を出るとすぐに大きな観覧車が見えてくる
そっか
今日の目的地がわかった
パレットタウン
東京有数のデートスポット
そのシンボルは何なら通学中も遠くから目に入る
まず入るのはヴィーナスフォート
よく遊びに行くジョイポリスから遠くないのに、ここに侑ちゃんと2人だけで来るのはとっても久しぶり
確か、侑ちゃんと2人では小さい頃に来たきりだったよね? 確か、侑ちゃんと2人では小さい頃に来たきりだったよね
歩夢「ここ、2人だけで来るのはスゴイ久しぶりだね」
侑「ふふふ」
侑ちゃんが少しイジワルな笑みを浮かべる
侑「あ〜っ、もしかして歩夢ってば覚えてないんだぁ〜」
歩夢「何のこと?」
侑「実はね」
侑「今はなくなっちゃったけど、昔ここにレジャーランドがあったじゃん?」
歩夢「うん」
数年前に潰れちゃったけど、ここのすぐ近くに東京レジャーランドって場所があったのは覚えてる
侑「小さい頃二人で行った時にさ」
侑「歩夢がそこのお化け屋敷がトラウマになっちゃって、この辺りはこれなくなったんだよね〜」 歩夢「ええっ!?そうだったっけ」
侑「そうだよ。お化け屋敷で私と一緒に居たいって私に抱きついて離れなくって…」
侑「途中でリタイアしようかって私が誘っても、涙声で遠慮しないでって言ってくれてね」
侑「最後までリタイアしないでいたらクリアした途端に泣き出しちゃったんだよ?」
侑「それ以来この辺りに来ると歩夢が怖がっちゃうから私も来ないようにしていたんだよ」
歩夢「うぐっ…」 そうだ、段々と思い出してきた
確か…
子供向けかと思って侑ちゃんと2人で入ったら思いの外恐くって
泣きながら侑ちゃんの背中に隠れてたような…
侑「フェスの時ここのすぐそばをライブ会場にしてたから平気だと思うけど」
侑「今日はもう大丈夫かな?」
侑「怖くない?」
歩夢「大丈夫だからっ!」
歩夢「彼方さんのライブの時しっかり入れてたでしょっ!」
侑「あははっ、そうだったね」 歩夢「もうっ!そんなの早く忘れてよぉ〜」
侑「それは無理だよ。歩夢との思い出は全部私の大切な宝物なんだから」
そう言ってくれるのはとっても嬉しい
だって私もそうだもん
それでも、恥ずかしいものはどうしたって恥ずかしい
この感情をどう言葉にしたものか
悩んでいると声にならない声が出る
歩夢「…むぅ〜っ」
侑「そんな顔しないでよ」
歩夢「しちゃうよっ!」
侑「あはは、そんなに気にすることじゃないと思うよ?」
侑「怖がる歩夢も凄く可愛かったんだから」 歩夢「…可愛いって言えば私が何でも許すって思ってない?」
侑「まさか!私はいつも本心をそのまま伝えてるだけなんだからね」
歩夢「ううっ///」
侑「懐かしいね」
侑「しばらく夜は怖がる歩夢と一緒に私のベッドで寝てたのも良い思い出だよ」
歩夢「一々言葉にしないでっ!」
歩夢「あと、あの時はありがとうっ!!」
それは鮮明に覚えている
両親に無理を言って1ヶ月近く侑ちゃんの部屋に泊まりに行ってた事を
怖い夜、隣に侑ちゃんがいるのがどんなに心強く感じたか そう。それはしっかり覚えている
侑ちゃんが震える私を優しく抱きしめてくれたこと
私の頭を撫でてくれたこと
私が眠るまでは絶対に寝ないでいてくれたこと
遅い時間に文句を一つも言わずにお手洗いに付き合ってくれたこと
私を笑わそうとして自爆していたこと
全部を
恐怖の記憶を今まで忘れていられたのは、きっと侑ちゃんがそれを忘れるくらい勇気付けてくれてたから
だから、折角話題に出たんだもんね
歩夢「本当に…ありがとうね」
今更だけどお礼を言う 侑「気にしないでよ。歩夢の力になれてほんっとうに嬉しかったし」
侑「歩夢と朝まで一緒にいられて、同じベッドにいるのが本当に楽しかったから」
歩夢「ありがとう…」
侑「それに、私はあの時すでに歩夢を恋愛的にも好きだったからね」
侑「結婚ってこんな感じなのかな〜って思えてとってもときめいて幸せだったよ」
歩夢「おませさんだね…」
侑「おませさんだからこそ絆を深めて歩夢とこうして付き合えたんなら良いことでしょ?」
歩夢「ふふっ、そうかもね」
歩夢「でも、そうじゃなくっても私達付き合えてたかもよ?」 侑「いや、歩夢って昔からお世辞なんかじゃなくって本当に可愛いからね…」
侑「そのくせ小さい頃は今以上に押しに弱かったでしょ?」
侑「だから私が周りを牽制しなきゃだったんだよ…」
歩夢「?」
侑「つまりね」
侑「私が早く恋心に気がつけたから歩夢は私と付き合えたってこと」
歩夢「そうかなぁ…私そんなに押しに弱くないよ?」
侑「そう思えてるのは私が全力でそんな状況を作らないようにしてたからだよ…」 侑ちゃんみたいな性格なのに歩夢以外に親しい友人いないのは
そういう可能性も考えたくなるね 歩夢「ふふっもうっ、侑ちゃんったら変な冗談言わないでよぉ」
侑「冗談なんかじゃ」
侑「…」
侑「歩夢」
いきなり侑ちゃんに壁際に押し寄せられて、両手で逃げ場を無くされる
これってもしかして壁ドン!?
眼前に侑ちゃんの目が来て、すぐ耳元で聞こえる優しい声にドキリとする
歩夢「ひゃいっ!?」
侑「あゆぴょんして」
歩夢「…はぁ?」
急に何を言い出すんだろう…
侑「今すぐあゆぴょんしてっ!」 歩夢「やる訳ないでしょ…?」
脈絡の無いお願いに困惑する
そんな恥ずかしい事、いくら侑ちゃんのお願いでも…
侑「お願いだよ。どうしても見たいんだ」
歩夢「えっ…でも…」
侑「これは歩夢にしか頼めないんだよ」
うぐぅっ…そんなに真剣な目を見ると断るのが凄く申し訳なく感じちゃう…
歩夢「…でも、ここ人が多いよ?」
侑「小声でも良いからさ」
侑「ねっ?」
歩夢「…それなら」
歩夢「あ…あっ…あゆっ」
歩夢「あゆぴょんだぴょん…///」
侑「可愛いよ!凄くトキメいちゃうっ!」
歩夢「///」
侑「…じゃなくってっ!」
侑「弱いじゃん!」
歩夢「!?」 侑「押しに弱いじゃんっ!」
歩夢「!?!?」
本当だ!?
侑「あんな唐突なお願いをやってくれて私がビックリしたよ!」
歩夢「いっ…いや、でもそれは相手が侑ちゃんだから…」
侑「もちろんそれもあるだろうけど」
侑「歩夢は優しすぎるから人からの頼みを断るのが凄く苦手なんだよ」
歩夢「うぐっ」
侑「もちろん1番の理由は私が歩夢と一緒にいたかったからなんだけどさ」
侑「私がずっと一緒にいた理由の一つは歩夢が変なお願いをされない為ってのもあったんだからね」
悔しい…否定できない
歩夢「ありがとうね」
私にできるのは敗北宣言代わりのお礼を呟くことだけだった
侑「心配だからこれからもずっとそばにいさせてねっ」
歩夢「うんっ!」 保守ありがとうございます
東京レジャーランドってもう潰れてたんですね…昨日コラボ目当てにヴィーナスフォート行ったら無かったんでビックリしました
書いてた展開を変えなきゃになってしまったので短いですが今日はここまでにさせていただきます ふたりの想いの強さが伝わってきてよかった…
続きも楽しみにしてる 東京はどこか潰れてもすぐ新しい何かが入るのがすごいと思う 侑「ねえ歩夢っ歩夢っ」
歩夢「ふふっ、引っ張らないでよ侑ちゃ〜ん」
私の手を引きながらはしゃぐ侑ちゃんがなんだか微笑ましい
侑ちゃんに引っ張られながら到着したここ、ヴィーナスフォートの2〜3階は全体的に古代ローマ風の装飾がされている
彼方先輩のライブの時だけじゃなくって愛ちゃんのPVを撮る時にもここに来たけど、いつ来てもなんだかワクワクしちゃう
天井まで青空みたいに彩られているのが驚きだよね 侑「あっ!」
侑ちゃんに振り回されながらブラブラしていると、侑ちゃんが何かを見つけたみたい
それを嬉しそうに話しかけてくれる
侑「歩夢見て見てっ」
侑「真実の口だよ、真実の口っ!」
歩夢「えっ!?どこにあるの?」
侑「ほらほら、あっちだよ」
侑ちゃんの指差す先には大きい白い顔が見えた
歩夢「わあっ、本当だ」
歩夢「凄いおっきいね」
真実の口
ここにある事は知っていた。いつも来る時はみんな当たり前みたいにスルーしてたから私も探したりなんてしなかったんだけど…
それに近づいて目の前にすると存在感にビックリする
まるで本物みたい
…見たことないけど 侑「ねえ、歩夢は知ってる?邪心のある人がここに手を入れると噛みちぎられちゃうって」
歩夢「知ってるよ?」
侑「えへへ〜なら、今から私が…」
歩夢「でも、それでもし本当に噛み切られちゃうならここはもうとっくに閉鎖されちゃってるだろうね」
侑「…」
歩夢「…」 侑「はゆむぅ…」
歩夢「あっ、ごめんね。やり直すよ」
侑「そうして」
歩夢「うん…」
侑「ごほんっ」
侑「歩夢は知ってた?」
歩夢「うっ、うん。知ってるよ?」
侑「えへへっ、そうでしょ?」
侑「見ててね、私が今まで歩夢に嘘をついたことがないって証明するから」
言うが早いか侑ちゃんはその口に手を入れた
歩夢「ちょっと侑ちゃんっ!?」
もしかしなくても、この為に今のくだりやり直したの!? 文句を言おうかと口を開こうとしたら侑ちゃんが先に声を出した
侑「ったぁ…!」
手を入れたまま、侑ちゃんの顔が大袈裟なくらいに歪んでいる
歩夢「どうかしたの!?大丈夫っ!?」
侑「うぅっ…歩夢ぅ…私の手がぁ…」
演技のように呻きながらその穴から手を出す侑ちゃん
その手首から先が無くなって…
歩夢「侑ちゃんっ!」
歩夢「…ローマの休日は一緒に見たでしょ?」
そう、これはあの名作映画のワンシーン
しずくちゃんに勧めてもらって一緒に見たんだもんね
こんな子供騙しにビックリなんてしないよ
…少ししか 侑「あはは〜」
侑「ばれちゃった?」
侑ちゃんはそう言いながら袖から手を出す
歩夢「もうっ!」
そもそも、わざとらしいくらいリアクションしてたのは万に一つでも私を心配させないためでしょ?
侑「因みに私が今まで歩夢についた嘘は」
侑「歩夢のサプライズパーティーの時と」
侑「小学5年生の頃お泊まりした時に、好きな人がいないって言ったことだけだよ」
歩夢「聞いてないからっ///」 あの日は侑ちゃんから聞いてきてくれたんだよね
私の部屋に泊まってる時に、ただの雑談みたいにさらっと
侑『歩夢って同性同士の恋愛ってどう思う〜」
歩夢『急にどうしたの?』
侑『今日の授業を思い出してさ〜』
歩夢『そうなの?ふふ、授業の話するなんて珍しいね』
侑『たまにはそんな日もあるんです〜』
歩夢『ふふふ、そうなんだね』
侑『それで、どうなの?』
歩夢『う〜ん、お互いに好き同士なら私はいいと思うよ?』
侑『へっ…へ〜、そうなんだ』 そう遠くないうちに子供の頃からそういう考えが当たり前な時代が来るんだろうな 侑『じゃ、じゃあさ』
侑『歩夢って今好きな人はいる?』
歩夢『えっ///好きな人!?」
侑『うんっ、どうなの!?」
歩夢『いないよぉ〜///』
侑『本当に?』
歩夢『どうしてそんなに食いついてくるのぉ』
侑『あっあはは、ごめんごめん』
歩夢『そう言う侑ちゃんはどうなのっ?」
侑『私っ!?』
歩夢『うんっ』
侑『私はあゆっ!』
侑『…ううん』
歩夢『?』
侑『…私もいないよ』
その時に侑ちゃんの目が少し潤んでいたことも覚えてる
あの時は侑ちゃん眠いのかなって思ってたっけ
その本当の理由がわかったのはつい最近の事 あの日もしも私が今と同じ気持ちを持っていて、私が侑ちゃんを好きだって言っていたら私達は今頃どうなっていたのかな?
今の関係と何か変わってるのかな
キス…は、もうしてるし
ハグは付き合う前からよくしてたよね?
その先はもうしてたのかな?
…
……
………
…その先!?
いけないいけない
ぼーっしてたら思考が変な方向に向かって行っちゃってた
その先ってつまり…っ 歩夢「〜っ///」
…なんだか顔が熱くなってきちゃった
私ってば普段はこんなこと全く考えないのに、こんな時に何考えちゃってるんだろうっ!
歩夢「もう行くよっ!」
侑「あっ、引っ張らないでよ歩夢〜」
嬉しそうな侑ちゃんの声が私の顔を更に紅くさせる
いつもより慌てん坊な心臓を落ち着かせるのには少し時間がかかっちゃった 私がなんとか平静を取り戻した後、私達は引き続きウインドウショッピングを楽しんだ
沢山の素敵なお店があって、目移りしちゃう
時間が無限にあるなら全部のお店に入っちゃいたいくらい
そんな中であるお店がふと目に留まる
侑「どうかした、歩夢?」
歩夢「あっ…ううんっ、何でもないよ?」
侑「そう?それなら良いんだけど」
侑「入りたいお店があったら遠慮しないで言ってね」
歩夢「ありがとうっ、侑ちゃん」 暫くお洋服を見たり、小物を見ているとなんだか侑ちゃんがソワソワしてきた
侑「…」
侑「ねえ歩夢、少しだけお手洗い行ってくるからここで待っててくれる?」
歩夢「わかったよ」
侑「本当にごめんね」
歩夢「そんなこと気にしないでよ」
歩夢「近くで待ってよっか?」
侑「いやいや!大丈夫だよ!」
歩夢「そっ、そう?」
侑「うんっ!ここで待ってて!」 侑「もしナンパされてもついて行かないでねっ!」
歩夢「行かないよ…」
侑「本当にすぐ戻るから待っててね!」
歩夢「わかってるよ。侑ちゃんが戻ってくる時、絶対にここにいるから」
歩夢「ほら、早く行かないとデートの時間が少なくなっちゃうよ?」
侑「!?」
歩夢「私が侑ちゃんを置いてどこかに行ったりなんてしないから」
侑「本当に?」
歩夢「もちろん」
侑「もしも強引にナンパされたら大声出してね」
侑「すぐ助けに来るから」
歩夢「うん、ありがとう。そうさせてもらうね」
侑「絶対だからね〜」
小走りで駆け出す侑ちゃんを見送る
思わず出来た少しの間の別行動
よし、この間に… 侑「ごめんね。お待たせ歩夢」
歩夢「そんなに待ってないから大丈夫だよ」
大体10分で息を切らしながら侑ちゃんが戻ってきた
侑「何もなかった?」
歩夢「あはは、平気だよ」
侑「良かったぁ…」
…心配させちゃいそうだから、歩いてる時に数回声をかけられたのは黙っておいた方が良さそうかな… 侑「そろそろお昼にしよっか」
歩夢「あっ、もうそんな時間なんだね」
侑ちゃんと合流して再びお店を見ている内に気がつくともう14時になっていた
侑ちゃんと一緒にいると楽しくって、いつも本当に時間が過ぎるのが早く感じちゃうな
侑「そうだっ」
侑「ねえねえ歩夢っ、せっかくここに来たんだからさ」
侑「お昼の前にあれ乗らない?」
侑ちゃんが指差すその先にはここのシンボルマーク
ゆっくりと回る大観覧車 歩夢「ふふっ、良いよ」
侑ちゃんってば普段はかっこいいけど、こういう子供っぽいところもあって可愛いんだよね
順番を待つ短い列に並んで乗り込む時を待っていると、すぐに順番が来た
たまにはこういうことに付き合うのも良いよね 歩夢「わあっ」
外に広がるのは私達の思い出だった
あそこは幼い頃に侑ちゃんと迷子になった所
遠くに見えるあそこは私と侑ちゃんが喧嘩をした公園
東京タワーには昔一緒に行ったよね
窓にかじりついて目を輝かせる私を侑ちゃんは微笑ましそうに見つめてくれる
…少し悔しいけど子供っぽいのは私の方だったみたい 侑「ほら見て」
歩夢「ねえ見て」
小さな籠の中で、侑ちゃんと思い出を語り合う
侑「歩夢、覚えてる?」
歩夢「侑ちゃん、覚えてる?」
互いに出し合う私達だけの問題
それが堪らなく嬉しい
大切な思い出を、何よりも大切な人と共有出来る幸せは自然と私達の頬を緩ませる
向かい合って心からの微笑みを交わす 煌めく思い出を語り合っているとあっという間に時間が過ぎて
気がつく頃には一周が終わっていた
とっても短い、2人の人生の回想
もっと乗っていたい気持ちをグッと抑える
まだまだ語り足りないそれを切り上げちゃうのは少し寂しいけれど
これからもそれは積み重なって多くなっていくんだ 長年多くの人に親しまれてきたこの場所も近い将来無くなってしまうように、全てのものは変わっていく
それでもこの想いは変わらないと断言しながら私に気持ちを届けてくれた彼女を私は信じている
私のこの想いが絶対に変わらないって自分自身を信じている
だから私達は閉じた小さな籠の外に出る
外では輝く日光が眩しく、暖かく迎えてくれた
…っていうか、今日のデートもまだまだ途中だもんね!
今日もまた未来で沢山語り合える思い出を増やしていこう これ以上書くと区切りいいところまでいけそうにないので今日はここまでにします。
気がつけばもう850レス超えちゃいましたね。長々とお付き合いいただき本当にありがとうございます 観覧車でプレゼント渡すのかと思って読んでたけど2人で思い出に浸る方がゆうぽむらしくていいな おつおつ
これまでの人生も、これからの人生も共に過ごせる人はロマンチックだな 侑「沢山話してお腹空いちゃったね」
侑「今度こそお昼にしよっか」
観覧車から出た侑ちゃんが口を開く
歩夢「そうだね」
侑「どこで食べよっか?」
歩夢「あのね、侑ちゃん」
歩夢「もしよかったらなんだけど…」
鞄を胸の前に持ち上げる
それだけで、侑ちゃんは察してくれる
侑「もしかして」
侑「今日もお弁当作って来てくれたの?」
歩夢「お店のお料理にはきっと敵わないけど…」
歩夢「あっ…愛情は絶対にこっちの方が入ってるからっ!」
今日はなんだか私が押されてばっかりな気がするからね
ここで攻勢に出るよっ!
侑「知ってるよ」
歩夢「えっ?」
侑「だって歩夢の愛情が私の大好物なんだもん」
歩夢「…ふえっ!?」
まさかのカウンターにビックリ
侑「歩夢の料理が美味しいのはもちろんだけど」
侑「愛する人が作ってくれるって事がそれを何倍にもしてくれるんだ」
侑「昔歩夢が作ってくれた少し焦げちゃった卵焼きも、私にとってはご馳走だったんだからね」
歩夢「///」
はうぅ…
今日の侑ちゃん強すぎるよぉ〜 侑「せっかく歩夢が作ってきてくれたんだし、あの広場で食べよっか」
歩夢「そっ、そうだねっ!」
侑ちゃんの指差した先
パレットタウン前の原っぱにレジャーシートを敷いて2人で座る
ポカポカした日差しがなんだか心地良い
微風が頬を撫でて熱った顔を冷やしてくれる
…よし、落ち着いてきた
侑「もう待ちきれないよ、早く早くっ」
歩夢「えへっ、ちょっとだけ待ってね」
お弁当箱の包みを解いて
今か今かと出番を待ちわびていたお弁当を日の光に晒す
歩夢「どうぞっ!召し上がれ」
日に当たり輝くそれは我ながら自信作! 侑「わあっ、凄いね!」
侑「いつもすっごく美味しいけど、今日は更に美味しそうっ!」
歩夢「ふふっ、気合を入れて作ったからね」
侑「…作るの大変じゃなかった?」
歩夢「ううん。侑ちゃんとの初デートだもん」
歩夢「もちろん一生懸命作ったけど、それ以上に楽しかったんだ」
侑「楽しい?」
歩夢「うんっ!」
朝のメイクと着替えが早く終わった理由はこのお弁当の為に早起きしたから
色々と工夫を重ねて、今日の気温や天気も考えながらメニューを考えたの
でも、本当に大変なんかじゃなかったよ?
だって嬉しそうに食べてくれる侑ちゃんを想像するだけでもドキドキして幸せな気持ちが溢れてきたんだから
それを直接伝えるのは少し恥ずかしいからここまで言葉に出さないけどね いつも侑ちゃんが好きだって言ってくれる卵料理も、もちろん入れてある
焦げ目一つにすら気を使った、胸を張って言い切れる人生最高の出来
昔一緒に作った思い出よりずっと綺麗に作れるようになったハムエッグ
彼方先輩にアドバイスをもらったデザートのプリン
そして、いつも侑ちゃんが大袈裟なくらいに褒めてくれる甘い味付けの卵焼きも
侑「本当に嬉しいよ」
中身を見た侑ちゃんは飛び跳ねながら嬉しそうにしてくれる
歩夢「喜んでくれるのは嬉しいけど大袈裟だよ」
侑「そんなことないよ」
侑「歩夢のおかげでまた夢が一つ叶っちゃったなぁ」 歩夢「夢って?」
侑「歩夢とのデートで歩夢手作りのお弁当をこうして食べるってことっ!」
侑「それが私の事を考えながら作ってくれたんだろうなってわかる物なら尚更ね」
歩夢「お弁当ならお付き合いする前から時々作って来てたでしょ?」
侑「もちろんそうなんだけどさぁ…」
侑「友達同士よりもなんだかとくべつって感じがするじゃん?」
歩夢「それはわかるけど…」
侑「そもそも歩夢ってば油断すると他の子にもお弁当作ってきちゃうし」
歩夢「だって…私の料理を食べて嬉しそうにしてくれるのが嬉しくって…」
侑「うん。私も歩夢が嬉しそうにしてるのは最高にときめくからそれをやめて欲しいわけじゃないんだ」
侑「ただ、歩夢の恋人としてデートで食べるっていう特別が欲しいだけ」
歩夢「侑ちゃん…」
その気持ちは少しわかる
きっとそれは侑ちゃんを押し倒しちゃったあの日、私が感じていた不安と似ているのかもしれない
なら、私がする事は… 昔から2人でしてたことが恋人に関係が変わってまた違った素晴らしさを感じるようになる
一粒で二度美味しいというやつだな 歩夢「ねえ、侑ちゃん」
歩夢「私はきっとこれからも他の娘にお料理を食べてもらうと思う」
侑「うん…気にしないでよ。私は歩夢のしたいことを邪魔なんてしたくないからさ」
そう言いながらも侑ちゃんのその笑顔は少しだけど、確かに陰っている
歩夢「でもね」
侑「?」
歩夢「これだけは信じて」
歩夢「私がお弁当を作って来てもこんなことするのは、これからは侑ちゃんだけなんだからね」
私たちがいつもやってる事だけど、それが特別な事なんだって伝えなきゃ
歩夢「ほら、侑ちゃん」
歩夢「あ〜んっ」
侑「!うんっ、ありがとう」
私の意図を察してくれたのか侑ちゃんは嬉しそうな表情を浮かべてくれる
侑「あ〜んっ」
侑「んんっ、おいひぃ」
歩夢「よかったぁ」
想像なんか軽く超えて輝くその笑顔が心底嬉しい 歩夢「これは侑ちゃんだけの"特別"だよ」
侑「ずっと…?」
歩夢「うん。侑ちゃんがそう望んでくれる限りずっと」
侑「おばあちゃんになっても?」
歩夢「当然だよ」
侑「ず〜っと?」
歩夢「ず〜っと!」
侑「えへっ、そっかぁ。特別かぁ」
侑「じゃあ歩夢っ」
侑「私からもあ〜んっ」
歩夢「あ〜んっ」
侑ちゃんに食べさせてもらう卵焼きは出来立てを味見した時よりずっと美味しかった 今日はここまでです
明日も書けたら書きます
明後日は絶対に書きます 乙
ここまで定期的に続いてて安心感あるし無理はせずに 付き合いの長さと初々しさを両方感じるデートでいいね お昼を食べながら少しのんびりした後、侑ちゃんが立ち上がる
侑「歩夢、ご馳走さまでした」
侑「本当に美味しかったよ」
歩夢「ふふ、お粗末さまでした」
侑「また次のデートにも作ってきてくれるかな?」
歩夢「いいとも〜」
侑「あはははは」
侑「うん。安心したよ」
侑「そろそろ移動しよっか」
侑「行こ、歩夢」
歩夢「うん」
侑ちゃんに手を引かれてまた私達は移動する
着いた先は… 侑「歩夢っ、これを観ようよ」
今、私達はアクアシティの映画館にいる
侑ちゃんが指差すのは最近話題の映画
全く席が取れないって評判の恋愛映画だ
歩夢「チケットは…」
侑「当然私が用意してるよ!」
歩夢「あっ、そうなの?ありがとう」
歩夢「でも、チケット取るの大変じゃなかった?」
侑「あはは、予約サイトに張り付いてただけだよ」
歩夢「えぇ…」
侑「そんなの気にしないで」
歩夢「…そう?」
歩夢「侑ちゃんがそう言うなら気にしないことにするけど…」
歩夢「幾らだったの?」
侑「いいよいいよ、ここはわたしに奢らせて」 歩夢「でも、そんな訳にはいかないよ」
侑「いやいや、そもそもこのチケットは歩夢に相談しないで私が勝手に買っただけなんだしさ」
むむむ、これは引かない侑ちゃんだ
歩夢「じゃあ、ジュースは私に買わせてっ!」
歩夢「私が二つ買いたい気分だから」
歩夢「カロリーが気になるから侑ちゃんに一つ渡しちゃうけどね!二つ買いたい気分なんだから仕方ないよねっ!」
侑「どういう気分なの?」
歩夢「こういう気分なんですっ!」
侑「あはは、うん。わかったよ」
侑「ありがとう歩夢」 ジュースを買って席に着く
CM等が流れた後にやっと映画が始まった
映画の内容は幼馴染でどこから見ても両思いの2人が関係の変化を恐れて気持ちを言い出せずにいる
男の子は踏み込む勇気を持てなくて
女の子はすごく鈍感で思いに気がつけない
なんだか凄く焦れったいストーリーだった
ライバルの出現や周囲の友人との相談
それらを通して成長していく2人の関係
… …どこかで見たような関係性だね?
夏祭りに出かける2人をドキドキしながら見届けて
なんとなく隣の侑ちゃんを見てみると
侑「ジ〜ッ」
歩夢「!」
侑「ふふっ」ニコッ
その両眼は私だけを写していた
歩夢「!?」
えっ!?何で!?
その眼はもしかすると最初から私を写していたんじゃないだろうか
見つめ合った眼を暫く逸らせずにいると
侑「ふふ、映画観なくて良いの?」
侑「今いいシーンだよ?」 上映中のおしゃべりはともかくこの侑ちゃん攻めまくりだ 私から視線を逸らさないまま侑ちゃんは小さくそう呟く
侑ちゃんが言う通り、感動のラストシーンなんだろう
横目で確認するとスクリーンでは今まさに想いを伝えあった2人が見つめ合い、唇の距離を近付けていた
歩夢「///」
思わず侑ちゃんから顔をそらす
侑「ふふ」
侑「やっぱり歩夢は表情がコロコロ変わって可愛いなぁ」
侑ちゃんは小声でそう言って悪戯っぽく笑う
彼女の顔が少し近付いていたような
繋ぐ手から感じる彼女の鼓動が早くなっていたような
それが私の気のせいなのかそうじゃないのか
それは侑ちゃんだけが知っている
でも、次の機会があったら眼を逸らさないでいよっかな?
確認のためにね やがて暗闇に明かりが灯る
周囲には涙を流す人
カフェまで待てずに友人と感想を語り合う人
足早に席を去る人
色々な人がいた
侑「少しここでウインドウショッピングでもしようか」
歩夢「うんっ!」
もう夕方だ。時間を無駄には出来ないね
私達はやや足早に映画館を後にした 今日はここまでです
絶対に描きたいシーンは後3つ程なのでおそらくこのスレだけで完結できるかと
また来週続きを書きます。いつも保守ありがとうございますね 表情がコロコロ変わって可愛いというのはスクスタでもアニガサキでも本当にそうだよね 気付けばこのスレも残り少なくなってるね
もし足りなさそうなら次立てても良さそうだけど 下書きの感じからもしかすると2スレ目が必要になるかもです…
大丈夫だとは思いますが明日(今日)の朝二度目のワクチンがあるので
申し訳ありませんが今週は投稿できない可能性があります
身体はかなり丈夫なので投稿はできると思いますが念の為 アクアシティで色々なお店をまわった後
少しお腹が空いたなぁなんて思いながら歩いていると
侑「ねえ、歩夢」
侑ちゃんがこう切り出してくれる
侑「実は今日デイナーのお店を予約してるんだ」
歩夢「予約?」
侑「そうだよ。電車で移動しなきゃなんだけどね」
侑「電車まで少し時間があるからさ」
侑「外を歩かない?」
そのお誘いに私は頷く
暖房の効いた室内で少し火照っている身体を冷やしたいなって思ってたしね
外を2人でお散歩をすることにした
すぐ近くにあるお台場海浜公園で潮風の音を聞きながら
予約時間までの時間潰し
寒く薄暗い中、波音と一緒に伴侶を探す季節外れな虫の声が響く
侑「少し冷えてきたね」
歩夢「そうだねぇ」
侑「歩夢は平気?」
歩夢「うん。大丈夫だよ、ありがとう」
歩夢「侑ちゃんは?」
侑「私も平気っ!」
周囲には複数の仲睦まじい様子の男女が寒さに負けじと手を繋いでいる
私達はそれに負けじと握る力を強める カップルの集まる場所に来ると少しだけ思っちゃう事がある
私達はきっと、こんんな中にいても仲の良い友達にしか見られないだろう
それは仕方のない事だと思う
でも、どうしても思っちゃうんだ
私達の関係は世間一般からすると『普通』じゃない
女の子同士で結婚なんて出来ないもん
私は侑ちゃんに何かあった時、絶対に守れるように男の子よりも強くなった…とは思う
侑ちゃんが私を守りたいって思ってくれるのと同じくらい、私も侑ちゃんを守りたいんだから
でも、私は侑ちゃんを世間の視線から守れる強さは持っていない
いつか、この関係が続けられなくなっちゃうんじゃないかって考え
それが私を酷く不安にさせる
普段からその思いが無いわけじゃないけど、こんな場所に来るとどうしても思っちゃうんだ 侑「あはは、安心してね歩夢」
まだ私が何も言葉にできてないのに侑ちゃんが握る力を更に強めてくれる
侑「私は絶対に歩夢の側から離れないから」
侑「例え他の誰がなんて言おうと関係ないもん」
侑「だって仕方ないでしょ?好きで好きで仕方がないんだから」
侑「私は歩夢が私を好きでいてくれるなら嫌って言われても側にいるから」
侑「それでも辛くなっちゃったら、こうして私がもっと歩夢の近くに行くよ」
侑「だから安心してね」
侑「私が歩夢を絶対に守るからさ」
歩夢「侑ちゃん…」
…そうだよね
大切なのは私達が誰よりもお互いを想い合っているって事だもん
歩夢「ありがとう、侑ちゃんがいてくれると心強いよ」
侑「へへっ、だって私はずっと昔から歩夢のヒーローだもん」
その笑顔はやっぱり私に勇気をくれる 少し歩くと人が疎らな場所が見える
侑「あそこに座ろっか」
侑「おいで、歩夢」
侑ちゃんが段差に座りながら空いている手で手招きしてくれる
いつからだったかな?少し男勝りな性格だった侑ちゃんが座る時にタオルを敷くようになったのは
そんな時、私の分もタオルを敷いてくれるようになったのはいつからだったかな?
侑「こちらへどうぞ、お姫様」
演技がかったように恭しく頭を下げながらおどけたような侑ちゃんの声
私は知っている。侑ちゃんは何かサプライズしてくれようとする時は、それを誤魔化す為に冗談を言うんだって
歩夢「うふふっ、くるしゅうない」
歩夢「ありがとうっ、私の王子様」
なら、それにノるのがお礼で、礼儀だよね
侑ちゃんの隣に腰掛けながら私もおどけてみせる
侑「えっへへ〜」
歩夢「えへへ…」 この2人の場合は好きになった相手が同性だっただけって感じがする 侑ちゃんと座って並ぶと、笑顔の中の真剣な眼に気がつく
侑「ねえ、歩夢」
歩夢「なぁに?侑ちゃん」
侑「少しだけお辞儀してくれる?」
歩夢「急にどうしたの?」
侑「いいからいいからっ!」
歩夢「?」
歩夢「こう?」
侑「そうそう。そのまま目を閉じて少し待ってて」
歩夢「ええ…」
困惑しながらも頭を下げたまま目を閉じる 歩夢「侑ちゃん!?」
侑「ごめんね。あとちょっとだから」
歩夢「あと少しって…ううっ…くすぐったいよぅ…」
侑「もう少しっ…」
今度は金属の触れ合うようなカチャカチャという音が首元から響く
暫く頸に何かが触れるこそばゆい感覚に身じろぎしたくなるのを堪えていると
侑「はいっ、出来たっ!」
その声に安心する
侑「もう身体を起こして大丈夫だよ」
やっと終わった…
上体を起こして目を開けようとすると不意に
チュッ
唇に柔らかい感触が触れる >>936
訂正
侑「ちょっとごめんね」
歩夢「ひゃんっ!?」
首に硬く温かい感触があたる
歩夢「侑ちゃん!?」
侑「ごめんね。あとちょっとだから」
歩夢「あと少しって…ううっ…くすぐったいよぅ…」
侑「もう少しっ…」
今度は金属の触れ合うようなカチャカチャという音が響く
暫く頸に何かが触れるこそばゆい感覚に身じろぎしたくなるのを堪えていると
侑「はいっ、出来たっ!」
その声に安心する
侑「もう身体を起こして大丈夫だよ」
やっと終わった…
上体を起こして目を開けようとすると
チュッ
不意に唇へ柔らかい感触が触れる 歩夢「侑ちゃん!?」
侑「お代はこれでね」
慌てて顔を上げた私の目にはイタズラっぽく微笑む侑ちゃんの顔
そして、首にはさっきまでなかった微かな重みを感じる
歩夢「侑ちゃん…これ…」
そこには綺麗に輝くネックレスがかかっていた
私が1番好きになったお花の形をしたネックレスが
侑「えへへ〜、実はしずくちゃんがかすみちゃんに髪飾りをあげたって聞いた時から、ずっと歩夢にこうして贈りたかったんだ」
侑「でも、どうせなら歩夢と付き合ってからにしたいなって思ってたの」
侑「だってネックレスを贈るなんてただの友達同士だったらちょっと重いけど、恋人同士なら堂々と出来るでしょ?」
侑「ローダンセの首飾りなんて滅多に見ないし、今日これが目に入ったのはきっと運命」
侑「これで歩夢が私の特別だってみんなにアピールできるもんね」
侑「本当は観覧車で渡すつもりだったんだけど…」
侑「あはは、歩夢との会話に夢中になってすっかり忘れちゃってた」 全部初めから決めてた通りってわけじゃないのがいいね 首にかかるネックレスを撫でる
侑ちゃんの肌に温められていたそれは私の胸に熱をくれた
歩夢「ありがとう…」
歩夢「すっごく嬉しいよ」
侑「喜んでくれたなら嬉しいなっ」
歩夢「…」
歩夢「ねえ、侑ちゃん」
歩夢「実は私からも渡したいものがあるの…」
侑「えっ?」
歩夢「これ」 私が贈るのは指輪
歩夢「実は私も観覧車でお喋りに夢中になって忘れちゃってたんだ」
歩夢「ふふっ、おんなじだね」
歩夢「いつか本物を渡したいけど」
これは学生のお金で買える物で、高級な物じゃ無い
だけど、それに込める想いだけは自信を持って何にも負けない本物だって言い切れる
例え何千万、何億円、何を積まれても譲れないこの気持ち
それを込めているんだから
歩夢「今はこれで…ね」 黒とピンクのペアリング
ふと、お店で目に入った瞬間に侑ちゃんと分かち合いたいって思った
だからね、侑ちゃんが髪飾りを買いに行ってくれてた時間に私も急いで行ってたんだよ?
ピンクのリングを少し悩んでからネックレス用の紐に通して侑ちゃんの首にかける
歩夢「うん、似合ってる」
指に嵌めるのは遠くない未来にとっておこう 2人は意識せず選んだんだろうけどそれぞれのプレゼントの意味もなかなか重くてよき 侑「歩夢///」
歩夢「ねぇ、侑ちゃん」
チュッ
侑「歩夢っ!?」
歩夢「…えへへっ」
目の前にはビックリした顔の侑ちゃん
当然だよね。私からキスをするなんて今までずっと一緒にいて一度もなかったんだから
これが今日一日中私を手玉に取ってくれた仕返しっ!
歩夢「私も渡したんだからお代を返してもらわないとねっ///」
侑「///」
歩夢「ふふふ、お返しだよっ」
耳まで真っ赤になった侑ちゃんが何だか可愛くって嬉しくなる 侑「あっ…」
侑「ありがとうっ!歩夢ぅ!」ダキッ
歩夢「わひゃぁっ!?」
歩夢「…うふふ」
歩夢「どういたしまして」ギュッ
心なしか恨めしそうな虫の声を聴きながら私達は抱きしめ合う
いつまでも
いつまでも
いつまで… 歩夢「…ねえ、侑ちゃん」
侑「な〜に〜?歩夢〜」
歩夢「私達、何か忘れてる気が…」
侑「そんなのどうでも良いじゃん」
侑「今日はず〜っとこうしてようよ〜」
侑「えへへ〜はゆむ〜っ」
歩夢「ずっとって…夜ご飯はどうするの…?」
侑「そんなのいらな…」
侑「夜ご飯…ディナー…」
歩夢・侑「…ディナーっ!?」
侑「あぁっ!お店の予約っ!?」
スマホを見た侑ちゃんの目が驚愕に染まる
侑「ごめんっ!駅まで少し走ろう歩夢っ」
歩夢「ふふふっ、わかったよ」
歩夢「急ぎなら私が侑ちゃんをおんぶしていくよ?」
侑「あははは、いくらなんでも流石にそっちの方が遅くなっちゃうでしょ」
侑「行くよ歩夢」
侑「しっかりついてきてね」 今日はこれまでです!
長くなってしまってますがいつも閲覧、コメント、保守、支援本当にありがとうございます
2スレ目行く場合はどこに依頼すべきなんでしょうかね?
初スレなので作法がよく分からないのですが、きっぱりこのスレで終わらせた方が良いんでしょうか? 2スレ目に行ってもいいと思う
立てるときはこのスレかSS総合スレで依頼すればいいかな
規制もあるから必ずすぐ立つかはわからないけれど 自分で2スレ目建てられないなら総合スレで代行依頼はあり
続き書きたいなら無理に終わらせずに2スレ目言ってもいいんじゃない
スレを跨ぐ長編SSなんてゴロゴロあるし作者の自由だよ 今回も甘いデートよかった
おさまらないならスレまたいでも全然いいと思います おつ
気にせず書きたいように書いて超えるようなら次スレでいいと思う 歩夢「ねえ、侑ちゃん」
歩夢「予約したお店って本当にここで合ってるの…」
電車に揺られ、お店に着いた時思わず口から出たそんな私の疑問に
侑「あはは…」
侑「まさか本当におんぶされる方が圧倒的に早いなんてね…」
なんてさっきまで悲しそうに呟いていた侑ちゃんは瞳に力を取り戻して力強く答える
侑「そうだよ。今日の為に色々お店を調べて予約したんだからね」 歩夢「…でも侑ちゃん、ここって…?」
唖然としたまま中に入った私は案内された席に座る
お店を見た時、物凄くお洒落なお店だなぁって思ったけど
中に入るとその感情は更に大きくなった
出迎えてくれた店員さんの所作一つとってもそこが平凡では無いって事がわかる
天井にはシャンデリアが煌めいて
大理石の壁は指紋ひとつ無いくらい綺麗に磨かれている
テーブルが、まるで鏡のように私の驚いた顔を写している
窓から見える星空すらいつもより輝いて見える
高級さを全面に押し出しながら、それでいて下品さを全く感じさせないのは匠の成せる技だろう 彼女の予約してくれたお店に入った私はその雰囲気に圧倒される
予約してくれるくらいだから少し高級なレストランなのかな?って思ってはいた
でも、流石にここまでとは思わないよ
ふと自分の服装を思い出して安心する
幸いドレスコードが無くって助かったけど、それでも改めて果林先輩に服を選んでもらえて助かったなって思う
普段通りの服装だとここじゃ場違いになっちゃうって、そう思っちゃうくらいの空気がここにはあるから
これって世に言う高級店ってやつなんじゃ…
さっきの指輪に貯めてたお小遣いの大部分を使っちゃったんだけど大丈夫かなぁ… そんな私の不安を感じ取ったのか、侑ちゃんはあっけらかんとこう言う
侑「私が払うから心配いらないよ?」
歩夢「は?」
侑「払うよ?歩夢の分も」
歩夢「…え?」
侑「安心してよ。歩夢との初デートの為に小さい頃からずっと貯めてたんだもん」
侑「今日は私が奢るよ!」
歩夢「…えぇっ!?」
歩夢「ダメだよっ!そんなの!」 それでも侑ちゃんは眼を輝かせて引いてくれない
侑「良いの良いのっ!」
侑「これでまた私の夢が一つ叶うんだもん」
侑「むしろ、今日ここで使わせて」
侑「今日くらい私に格好つけさせてよ」
歩夢「でも…」
きっと映画のチケットとは比べ物にならない位しちゃうと思うし、さっきみたいにこの場で返す方法が見つからない
いくら恋人でもそんなに甘えちゃう訳にはいかないよ
でも、ここまで言ってくれる侑ちゃんの想いは大切にしたいし
何より私はこの眼をした侑ちゃんを止められた事がない
うぅ…どうしよぅ
侑「ふふふ、やっぱり歩夢は気にしちゃうよね」
侑「心配いらないよ。それは長年のシミュレーションで当然想定済みだから」
歩夢「想定って…」 侑「ねえ、歩夢」
侑「このお礼にさ」
侑「歩夢の手料理を私に毎日食べさせてよ」
侑ちゃんの提案
でも、それは私にとってはメリットしかないもので…
歩夢「そんなんじゃ」
侑「そんなんじゃないよ!」
侑「さっきも言ったけどね、私にとって歩夢の手料理はどんな物にも勝るご褒美なんだ」
歩夢「侑ちゃん…」
侑「毎日歩夢がご飯を作ってくれるって思うだけでも私は頑張れるよ」
侑「大袈裟に思うかもしれないけどそれは私にとって人生を支えてくれる大切なこと」
侑「それが私にとって何よりも嬉しいお礼になるんだ」
侑「もちろん歩夢が忙しかったり用事がある日は休みでも良いし」
侑「毎日が大変なら週に1回でも嬉しいからさ」 侑「それに、こうして約束しておけば歩夢は絶対に私と離れられないでしょ?」
侑「歩夢は約束を破らない良い子だからね」クスッ
歩夢「…侑ちゃんのイジワル」
歩夢「そんな約束しなくっても私は絶対に侑ちゃんから離れないもん…」
少し頬を膨らませながら抗議する
今日のデートを通してそれでも私の気持ちを疑ってるなら少し怒っちゃうよ?
ぷんぷんだよ?
侑「知ってるよ。そんなこと」
歩夢「あうっ」
侑ちゃんに頬っぺたを突っつかれてプシュ〜って空気が抜ける 侑「でも、それでも保健をかけたくなっちゃうんだよ」
侑「だって私にとって歩夢はそれくらい…」
侑「ううん。それよりもず〜っと大切な幼馴染で、恋人なんだから」
私の頬を撫でながらニコリとまるで小悪魔みたいに微笑む侑ちゃん
歩夢「むぅ〜〜っ///」
その笑顔と歯の浮くような言葉に私は恥ずかしくって真っ赤になっちゃう
侑「決まりだね」
侑ちゃんは心から嬉しそうにそう言う
まるで最初からこれを約束する事が目的だったみたいに
悪魔は契約を絶対に守らせるっていうけど、この小悪魔さんはどうなんだろうね?
私の心を掴んで離さない彼女との約束
一つ言えるのは私の毎日の楽しみも増えたって事かな?
嬉しくって頭がポワポワする そんなタイミングでウェイターさんが飲み物の注文を受けに来てくれた
フワフワして働かない頭のまま慌てて注文をする
でも、ホストである侑ちゃんに恥じないように表面上だけでも堂々としないとねっ!
襟を正して、姿勢良く
あたかもこういったお店に慣れているかのように
しずくちゃんから教わった演技の基礎は成り切る事
今の私はこういう場所に慣れた大人の女性
歩夢「これをいただけますか?」
目に付いたオレンジのジュースを指差す
オレンジジュースは大人っぽくないって?
良いでしょ、こういうのは雰囲気だよ!
…値段が怖いから注文はこの一回だけにしようかな うぅっ…侑ちゃんニヤニヤしながらこっちを見てるよ…
侑「私は紅茶をお願いします」
ウェイターさんが下がった後
侑「えへへ〜大人な歩夢も可愛いよ」
歩夢「言わないでぇ…」
色々な意味で私の意図を察していそうな侑ちゃんに茶化される
侑「後、その気持ちは嬉しいけどね歩夢」
侑「今日はコース料理を選んでるから観念してよ?」
察しの良い幼馴染は事前に私の逃げ道を塞いでくれていた 考えを読まれていた事の照れ隠しとばかりに私は存外早くウエイターさんが持って来てくれた飲みものをコクコクと飲み込む
焦っているせいで味なんてよくわからないけど
オレンジの風味のある冷たい液体が喉を通り抜けるのがとても心地いい
思わず一息に飲み干しちゃった
侑「そうそう。そうこなくっちゃ」
侑「すいません、これをおかわり」
間を持たすためだけに飲んだつもりだったのに、グラスが空くと侑ちゃんが追加で注文してくれて… そうしてるとなんだかだんだん気分が良くなってきちゃった
さっきまで頼むのは少しにしようかなって思っていた気持ちはどこかに行っちゃったみたい
心が蕩けそうなのはきっと最愛の彼女が近くにいるから
やがて料理もやってきて…
美味しい料理を食べながら好きな人と語り合う夢みたいに幸せな時間
フワフワして嬉しくって楽しくって
何杯のんだんだろう…
もうわからにゃい
でも、なんだか気分が良いからもっと飲むぞ〜
あっそうだっ、こんなに美味しいんだから侑ちゃんにも飲んでもらおう
きっと喜んでくれるよね〜? 幼い日からずっとずっと今日の為に計画を立てていた
その為の軍資金はずっと貯めてきた
お年玉は毎年貯金してたし、歩夢との外出以外では極力出費を抑えた
もしも歩夢と付き合えなかったら私はこれをどうするつもりだったんだろうね?
そんなあり得ない仮定なんて考えたくも無いけどその場合、私は例え無一文になったとしてもそれに手をつけないで人生を終えていたんじゃないかって思う
最高で最後の…いや、違うな
最後まで続く許されなかった恋の証として記憶と一緒に封印していただろう
自分でも少し重いって思うような想いを込めているのが今日のデート
この日の為にずっと前から計画を立てていたんだ
レストランの予約と映画のチケットを取るのに時間がかかって、付き合ってから初デートまでは遅れちゃってたけどね 歩夢「えへ〜っ」
今目の前で歩夢は凄くニコニコしながら飲み物を飲んでいる
かわいいなあ、歩夢は
そう思って綻びそうになる口元を引き締める
それが今日何度目かはもうわからない
歩夢の前ではかっこいい私でいたいから
もう何度もボロを出しちゃってるけどそれはそれ
だって私が一日中とけた顔のままじゃ歩夢が心配しちゃうもんね
でも、なんだか…
歩夢「えへへ〜侑ちゃんもこれ飲む〜?」
侑「歩夢?」
…さっきから歩夢の様子がおかしいような… デートに浮かれてるだけ?
きっとそれもあると思う。でも、それだけで今歩夢がこんな子供の時みたいな表情を浮かべるのはちょっと違和感
だってさっき観覧車で昔を振り返っていた時ですらこんな表情にはなっていなかったもんね
そんな私の思考をかき消すのは思考の中心人物その人
歩夢「飲んでよぉ〜」
歩夢「ほんとうに美味しいんだからっ」
侑「飲むよ!飲むからそんな顔しないで」
瞳を潤ませた歩夢からグラスを受け取る
それはとてもよく冷えていた
そのオレンジジュースに口をつける
侑「!?」
でも冷たい筈のそれは何故か焼けるように熱くって… これはキスの熱?
でも、付き合うようになってから何度もキスをして
なんなら幼い頃から事あるごとに間接キスを仕込んできた私にとって、それは嬉しくはあっても少しだけ物足りない筈
じゃあ何故こんなに熱く感じるのか
ふと、幼い日の記憶が蘇る
クリスマスに歩夢と一緒に両親に隠れてシャンパンを舐めて顔を顰めた記憶
ああ、そうか
原因は凄く単純だった
侑「歩夢!?これお酒だよ!」
歩夢が頼んでいたのは…
メニュー表を見直すと歩夢が最初に指差していたのは…これかな?
カンパリオレンジ? レストランがお酒提供するくらいには大人っぽく見えてたのか 幸運にもコース料理は既に食べ終わっていたので歩夢を支えながら会計を済ませて店を出る
エレベーターを下り一歩外に踏み出すと暖かな室内とは一転して寒さが襲ってくる
歩夢「うぅ、侑ちゃん」
その空気が冷たいのか歩夢は私に強くしがみつく
その歩夢の体温が心地良い
高級な料理の感想?
ドキドキして味なんて分からなかったけど、ニコニコする歩夢が可愛かったよ このスレッドは1000を超えました。
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