彼方「遥ちゃん、実はね? 彼方ちゃんには彼氏がいるんだ」
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※ここまでのあらすじ※
長年連れ添った互いに好意を持っている仲の良い近江姉妹
しかし最近になって妹の遥が「部活疲れ」を理由にスキンシップを控えてしまう
悩みに悩んだ彼方は夕飯の最中、おもむろに「彼氏がいるんだ」と嘘をつくのだった ―――――
――
果林(もう、最悪だったわ)
果林(彼方は本当に死ぬ勢いだったし)
果林(丸く収まってくれたなら、それはそれでよかったといえばよかったけれど……)
ガチャッ
果林「開いてる……?」
果林(合鍵持ってるのはエマだけど……)
果林「エマ?」
タタッ
エマ「果林ちゃん、お帰りなさい」
果林「今日は掃除の必要はないはずだけど……どうしたの?」
エマ「あっと……そのね?」
エマ「昨日は、果林ちゃんに悪いことしちゃったなって思って」
エマ「果林ちゃんが男の人とお付き合いすることは何の問題もないのに」
エマ「私、全然知らなかったって思って……つい、変な風に迫っちゃったでしょ?」
果林「良いわよ。気にしないで」
エマ「うん……彼方ちゃんからも連絡あって」
エマ「二人のことでいろいろあって果林ちゃんが巻き込まれたってことはもうわかったよ」
エマ「でもやっぱり果林ちゃんには……悪いことしちゃったから、ちゃんと謝りたいの」 エマ「果林ちゃん、ごめんね?」
果林「……いいわよ。もう」
果林「誤解が解けたならそれで」
エマ「ありがと……」
果林「……昨日も言ったけれど」
果林「私は、別にモデルを本業として活動してるわけじゃない」
果林「スクールアイドルではあるけど、本当のアイドルのように恋愛禁止みたいな縛りがあるわけでもないし」
果林「……けど」
果林「だからと言って、男性とお付き合いするつもりがあるのかと言われれば」
果林「それは首を横に振るわ」
果林「今の環境が好きだし、今の関係が好きだし、今手にしているもので……正直に言うと精いっぱい」
果林「あれもやりたいこれもやりたい、でもしっかりと突き詰めたいって……そう思うと」
果林「これ以上、自分の手に負えないものを背負うなんて、まっぴらごめんだわ」 果林「だから」
――果林ちゃんって、女の子同士で恋愛しちゃうタイプだったんだ
果林「……なんて」
エマ「……うん、わかってるよ」
ナデナデ
果林「……エマ」
エマ「昨日は言えなかったけど」
エマ「……大丈夫、わかってるよ」
果林「何をわかってるのよ。もう」
エマ「……」
エマ「ん……えへへ」
エマ「何が分かってて欲しい?」
果林「……」
果林「そうね」
果林「……今して欲しいこと。とか」 エマ「え〜?」
エマ「ん〜……」
エマ「あっ、膝枕……かな?」
果林「エマには、私が彼方にでも見えてるの?」
エマ「そうだよねっ」
果林「でも……」
果林「まぁ」
果林「……」
果林「ちょっと、彼方の気持ちが知りたいかも」
エマ「……じゃぁ、してもいいの?」
果林「私が聞く方でしょ」
果林「エマの膝を借りるんだから」
エマ「でも、ベッドもお部屋も果林ちゃんのだからやっぱり、私がしてもいいのかなって言うべきじゃないかな?」
果林「ふふっ、じゃぁどうぞ」
エマ「ありがと〜」 ……ポスッ
果林「……」
エマ「どうかな〜」
果林「……いいと思うわ」
果林「……」
ナデナデ
エマ「……眠れそう?」
果林「彼方ほど寝つきがよくないから」
エマ「そっか」
果林「……」
果林「まぁ……彼方の気持ちなんて、知りようがないわよね」
エマ「彼方ちゃんは彼方ちゃん、果林ちゃんは果林ちゃんだから」
エマ「私も、彼方ちゃんの気持ちを考えたことはあっても」
エマ「それを知れたなぁ……って、思ったことはないかなぁ」
果林「なに? エマも膝枕されたいの?」
エマ「ん〜……そういうわけじゃないけど」
果林「……」
果林「特別に、してあげてもいいわよ」 エマ「どうして?」
果林「せっかくだから、やってあげる側の視点から考えてみようかと思って」
エマ「そっかぁ」
エマ「……」
エマ「じゃぁ」
エマ「ちょっとだけ……お願いしてもいい?」
果林「ええ」
ギシッ
キシッ
ポフッ
ポスッ....
エマ「……なんだか変な感じがする〜」
果林「そうね」
ナデナデ
果林「……どう? 彼方の気持ち、わかりそう?」
エマ「ん〜」
エマ「えへへ……わからないかなぁ」 果林「でしょうね……」
エマ「……」
エマ「でもね」
果林「ん?」
エマ「でも……」
エマ「少しは、わかるかも」
エマ「……ちょっとだけ」
エマ「少しだけだけどね〜」
果林「そう……」
ナデナデ
果林「それは、よかったわ」
エマ「……ねぇ、果林ちゃん。彼方ちゃんと遥ちゃんは、ずっとあのままでいられるのかな」
果林「さぁ? 正直、あのままでいてくれないと私が困るけど」
エマ「……卒業したら、もう巻き込まれないかもしれないのに?」
果林「………」
――卒業
果林「そうとは、限らないから」
エマ「……」
エマ「それもそうだねぇ……」
エマ「お疲れ様、果林ちゃん」
果林「ほんとよ」
――卒業したら、もう
果林「……」
果林「はぁ……」
果林「ねぇ、エマ……少し、話を聞いてくれる?」 劇場版 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
朝香果林最悪の1日 刺殺される危険を冒してでも茶番に付き合ってくれる果林さん ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています