果林(こんなわけのわからないこと頼める相手が限られたんだろうけど)

果林(そもそも、私が彼氏役って……無理があるでしょ)

果林「はぁ……」スッ

ピリリリリリッ

ピッ

遥『もしもし?』

果林「もしもし? 果林よ。朝香果林……遥ちゃんよね?」

遥『はい。そうです……えぇっと、今日はよろしくお願いします』

果林「えっ?」

遥『果林さんが、お姉ちゃんの彼氏役を引き受けてくださるんですよね?』

果林(なんだ、わかってるんじゃない……)

果林「ええ、ついさっきそのことを頼まれたわ」

果林「遥ちゃんに彼氏がいるって嘘ついて取り返しがつかなくなったからって」

遥『……じゃぁ、お姉ちゃんは誰とも付き合ってないんですよね?』

遥『本当に、誰とも……彼氏なんて、存在してないんですよね?』

果林「ええ、私が知る限り影も形もないし、彼方の好意に満ちた会話に出てくるのは遥ちゃんだけよ」