「ん」

ポッキーを咥えたかすみちゃんが、もう片方を私に差し出す。

…………

「うん」

私も優しく咥える。

「じゃあ…いきますよ」

少し舌足らずに、かすみちゃんが宣言する。

「あ、ちょっとまって」

髪がたれてきちゃった。

左手でそっと耳にかける。

「…」

ふい、とかすみちゃんが。

「あ、目、そらした」

「まだ始まってないですよ」

そっか。

「……じゃあ…いくね」

今度の私の宣言と同時に。

かみはじめる。

「……」

…綺麗な目。

整った鼻筋。

艶っぽい唇。

……なんでかな。

普段はあんなに元気で、無邪気で、いたずらずきで、
子供っぽくて、でも負けず嫌いで、誰よりも一生懸命で……

でも今は。

かすみちゃんが妙に扇情的で──