【SS】かすみ「歩夢せんぱいって私へのあたり強くないですか?」
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部室
歩夢「……」スマホポチポチ
かすみ「………」
歩夢「……」ポチポチ
かすみ「………ふぁあ」
かすみ「ねっむ」
歩夢「………」ポチポチ
かすみ「……」チラッ
歩夢「……」ポチポチ
かすみ「…せんぱーい」
歩夢「……」ポチポチ
かすみ「あゆむせんぱーい」
歩夢「………」ポチポチ
かすみ「……」
歩夢「……」ポチポチ
かすみ「………えいっ」ガバッ
歩夢「あ」ツルッ
ゴンッ
かすみ「げ」
歩夢「やば」スッ 部室──
今日は練習はお休み。
でも…なんとなく足は部室に向かう。
とくにすることは思いつかないけど…うん、なんとなく。
がちゃ。
「あれ、歩夢せんぱい」
かすみちゃん。
私の─中学のときは帰宅部だったから──初めての後輩。
「かすみちゃんもいたんだ」
「ん、特に用事は無いですけどね」
私と一緒だ。
「暇ですねえ」
だらしない格好で座って、足をぷらぷらさせてるかすみちゃん。
「小テストの勉強でもしたら?」
「最近落ちまくってるんでしょ?」
「げ、なんで知ってるんですか」
しかめっ面でこちらを向く。
「しずくちゃんに聞いた」
「はあー…」
背もたれに首をかけて、天井を見上げながらため息をつく。 「教えてあげよっか、勉強」
「歩夢せんぱいが〜?」
「ほら、科いっしょじゃん」
「あれ、そうでしたっけ」
「うん」
「……えー…でも」
「歩夢せんぱい勉強できるんですか?」
にやにや、なんて効果音がぴったりの顔。
「……」ギュー
生意気な後輩なんて…こうしてやる。
「いらいれふ…ほっへふねらないで……」
やわらかい。赤ちゃんほっぺ。
「……」ウリウリ
「…むっちゃ顔さわってくるじゃん……」 前から思ってたこと。
「……かすみちゃんって、顔整ってるよね」
「…急になんですか」
「急じゃないよ、前から思ってた」
若干。頬の体温が上がる。
「……なんかたくらんでます?」
「かすみちゃんと一緒にしないでよ」ギュー
「もー!まはふねる!」
ふふ。
「…なんですか…もう……」
なんでもないよ。
「じゃあ勉強しよ、かすみちゃん」
「歩夢先生が教えてあげる」
…あれ…このノリに流されて……
なんかちょっとこっ恥ずかしいセリフ言ってるな、私。
……だめだめ、集中しないと。 「いやでーす」
「なんで」
「なーんか歩夢せんぱいに借り作りたくないんですよ」
む。
「…どういう意味、それ」
「意味も何もその通りですよ」
「…なんかこう…わかんないんですよ、歩夢せんぱい」
ふいにかけられた言葉に少したじろぐ。
かすみちゃん、それは演技?それとも本気?
「歩夢せんぱい…私にだけ……」
そこまで言うと、かすみちゃんは口を結ぶ。
…私にだけ、何?
「……とにかく!勉強はいやです!」
「しずくちゃんに怒られるよ?」
「借り作るよりはマシです!」
「……」 あ。
しばらく…いや実際には数秒だろうけど。
流れる沈黙は、私にこの奇妙な寸劇の終着点を思い出させる。
「…じゃあ」
「ポッキーゲームしよ、かすみちゃん」
急展開。
しずくちゃんが「この脚本は3流です!」なんて怒り出しそうな、なんの脈絡もない急展開。
いやしずくちゃんはそんなこと言わないか。
ん、言うのかな。
あんまりしずくちゃんのことわかんないや。そういえば。
「…ポッキーゲーム?」
「なんでまたそんなことを…」
かすみちゃんも、どうやらこの撮影の意義を思い出したらしい。
「私に借り作るのが嫌なんでしょ?」
「だからポッキーゲームで決めよ」
なんでやねん。 「私が勝ったらかすみちゃんに勉強教える、かすみちゃんが勝ったら……」
ん、何も思いつかない。
「……歩夢せんぱいが私の質問になんでも答える」
「これでどうですか?」
予想外の提案。まあ他の案もないし。
「いいよ、それで」
………ふーん。
「……」
いそいそと、ポッキーの袋を開けるかすみちゃん。
…なんだろう…なんだろうこの感じ。
胸…いやお腹がぞくぞくする。
「あ」
「ルール、どうします?」
かすみちゃんが振り返る。
「ポッキーを折ったり、離したりしたらだめなんですっけ」
「うん」
「……あー…あとね」
もう一つ、ルールを付け足す。
「目、そらしたらだめ」 「ん」
ポッキーを咥えたかすみちゃんが、もう片方を私に差し出す。
…………
「うん」
私も優しく咥える。
「じゃあ…いきますよ」
少し舌足らずに、かすみちゃんが宣言する。
「あ、ちょっとまって」
髪がたれてきちゃった。
左手でそっと耳にかける。
「…」
ふい、とかすみちゃんが。
「あ、目、そらした」
「まだ始まってないですよ」
そっか。
「……じゃあ…いくね」
今度の私の宣言と同時に。
かみはじめる。
「……」
…綺麗な目。
整った鼻筋。
艶っぽい唇。
……なんでかな。
普段はあんなに元気で、無邪気で、いたずらずきで、
子供っぽくて、でも負けず嫌いで、誰よりも一生懸命で……
でも今は。
かすみちゃんが妙に扇情的で── 侑「カット!!」
かすみ「はい私の勝ちー!!」
かすみ「目そらしましたね!そらしましたよね!」ピョンピョン
せつ菜「おおー」パチパチ
かすみ「あーゆむせんぱーい?どうですか?負けた気分は?」
歩夢「…」
歩夢「……るさい」
かすみ「んー?いつものキレがありませんよ〜??」
歩夢「…」
かすみ「あ、侑せんぱい」
かすみ「良い感じでしたよね?侑せんぱい」
侑「うん」
侑「…」
侑「んー…」
侑「…まあ……思ってたよりだいぶ長かったけどね」
かすみ「えへへ」
かすみ「……つい調子乗っちゃって……」
せつ菜「アドリブであれはなかなかのものじゃないですか?」
侑「展開が急で…しずくちゃん怒りそうな感じだけどね」
歩夢「……」 かすみ「…」
かすみ「…なんか不満げですね、侑せんぱい」
侑「ん、いやいやそんなことないよ」
侑「2人ともばっちり」
侑「…」チラッ
歩夢「…」
侑「あ、せつ菜ちゃん」
せつ菜「?はい」
侑「ちょっと相談したいことあるからさ」
侑「ついてきて」
せつ菜「え…ここじゃダメなんですか?」
侑「ん、ちょっとね」グイッ
せつ菜「わっ」
侑「かすみちゃん、歩夢よろしく」
かすみ「え?あ、はい」
ガチャッ 歩夢「……」
かすみ「……」
歩夢「……」
かすみ「……」
歩夢「ねえ」
かすみ「……はい」
歩夢「私に聞きたいことってなに?」
かすみ「へ?」
かすみ「いや別にないですけど」
歩夢「嘘」
歩夢「ポッキーゲームのあれ」
歩夢「……咄嗟に出てきた、ってことは」
歩夢「私への質問、何かあるんでしょ」
かすみ「……」 かすみ「…まあ……ないと言えば嘘になりますね」
歩夢「……」
歩夢「………なに」
かすみ「…」
歩夢「……ねえ」
かすみ「……いや…ほら」
かすみ「…今日…侑せんぱい言ってたじゃないですか」
歩夢「……なにを」
かすみ「その…私にあたり強いのは……その…」
歩夢「……」
かすみ「…」
歩夢「……私にもわかんない」
かすみ「…」
歩夢「………私さ、かすみちゃんが初めての後輩なの」
かすみ「……」
歩夢「…だから……先輩面したくてキツくあたってたのかな……?」
かすみ「…知らないですよ、私に聞かれても」 歩夢「……侑ちゃんの言う通り…好きなのかも」
かすみ「…」
歩夢「でも……どんな好きかはわかんない」
かすみ「…」
歩夢「でも……今日思ったのはさ」
歩夢「……かすみちゃん、可愛いなって」
歩夢「……」
歩夢「…それだけ」
かすみ「……答えになってます?それ」
歩夢「…わかんない」
歩夢「もう……わかんないよ……」
かすみ「……」 かすみ「……」
かすみ「……私は…」
かすみ「…歩夢せんぱいのこと……少しわかった気がします」
歩夢「…」
かすみ「……歩夢せんぱいも可愛いですよ」
かすみ「私と同じぐらい」
歩夢「……」
かすみ「…」
歩夢「…………」
かすみ「…なんなんですかこの空気」
歩夢「…なんか……あれだね」
歩夢「…さっきの撮影から……ちょっと…テンションが」
かすみ「……ですね」
かすみ「……」
歩夢「…」 かすみ「あー!もう!」
歩夢「うわ、なに急に」
かすみ「いやなんか…変な感じになりそうなので…」
歩夢「…」
かすみ「はー……」
歩夢「…なに」
かすみ「なんかもう…なんでもいいです」
かすみ「疲れました、なんか」
歩夢「…」
歩夢「………」
かすみ「…」
歩夢「………ねえ」
歩夢「……息抜きしよっか」
かすみ「……?」
歩夢「ポッキーゲーム」
かすみ「……いやですよ、もう」 廊下
せつ菜「……消したんですか、さっきの」
侑「うん…なんかね」
侑「歩夢にかわいそうだなって…なんとなく」
せつ菜「……」
侑「こう…わかんないけど」
侑「まあなんか…あれは2人だけのものっていうか」
せつ菜「…」
侑「私たち、見ちゃってたけどね」
せつ菜「……そうですね」
せつ菜「侑さんが言うなら…そうです」
侑「……なんてふわふわした会話」
せつ菜「侑さん自体わりとそんな感じですよ」
侑「え、嘘」
せつ菜「ほんとです」
せつ菜「……まあ…そこが侑さんの良い所ですよ」
侑「……へへ」 帰り道
歩夢「……」
侑「…」
侑「かすみちゃんのこと?」
歩夢「……いや」
侑「隠したってわかるよ」
歩夢「…」
侑「私の目はごまかせませんっ!」
歩夢「ふふっ、なにそれ」
侑「えへへ」
歩夢「…」
侑「………かすみちゃん、良い子だよね」
歩夢「……うん」
侑「歩夢をばかにするわけじゃないけど」
侑「その…歩夢がさ、心の底から仲良くしてる子って」
侑「今まで…ほとんどいなかったと思うから」
歩夢「……」
侑「…わからないんでしょ、付き合い方」
歩夢「………うん」 侑「良いと思うよ、それで」
歩夢「……」
侑「そりゃすれ違うこともあるかもしれないけどさ」
侑「何度も話して…」
侑「…お互いが気持ちの良い距離を見つけたら良いんじゃないかな」
侑「…友達として」
歩夢「……うん」
侑「…なーんて」
侑「ちょっとかっこつけちゃった」
歩夢「…」
侑「…ほんとは」
侑「私にはそんな態度しないからさ」
侑「……かすみちゃんがちょっと羨ましいんだけどね」エヘヘ
歩夢「……ふふ」
歩夢「……」
歩夢「………そっか…」
歩夢「…友達…か……」
侑「そ、友達」
歩夢「……うん」
歩夢「…うん!」
おわり >>25->>29
のミックスかな?とても良かったです、ありがとう このカプあんまりだったけど、このssの雰囲気かなり好きだよ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています