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歩夢「侑ちゃん、失礼しまーす」


自分の──侑ちゃんが寝ている──ベッドに横になる。

そして、そっと侑ちゃんの左胸に、耳を押し当てる。

自分のとは別の、柔らかな感触に少しだけドキッとするけど、本命はこれじゃなくて──

侑ちゃんの心臓の音。

手だけじゃなくて、耳で直接聴いてみたかった。

とくん、とくん、ってゆっくり脈を打ってるのが分かる。

お母さんのおなかの中の音って言う人もいるけれど、わかる気がする。

侑ちゃんの音は、とっても穏やかな気持ちになれる。



───あっ、さっきよりちょっとだけ早くなったかな?

とくん、とくんがとく、とく、になった。

私の頭が重たいのかな?体重は預けてないつもりだけど。