『ザ・キング・オブ・ファイターズ』(以下『KOF』と表記)シリーズの第6作目である『KOF'99』(以下『'99』と表記)より登場したハイデルン指揮下の諜報部隊「アックス小隊」の新人で、怒チームに転属してきた傭兵。階級は不明だが、怒チームのメンバー全員に対して敬礼をする。

「ウィップ」は本名ではなくコードネームであり、怒チームに来てからクラークが付けたもの。他にもラルフが「ムチ子」というあだ名で呼んでいるが、本人はそう呼ばれるのを嫌がっており、呼び名を改めようとしないラルフと子供のような小競り合いを繰り返している。怒チームに転属してくる前のアックス小隊時代は「Sally(=出撃)」というコードネームで呼ばれていた。

正体は、秘密結社ネスツにより造られたK'の死んだ実姉のクローン(嬉野秋彦著の小説『The King Of Fighters 2001 -The Gods Themselves』より)とされている。なお、同作者による一連の小説は作者の創作色が濃いが、作者本人があとがきにて「ウィップに関してゲーム本編で出なかった設定をSNKの人に聞いたため、内容に盛り込んだ」と語っている(それが上記の設定であると明言はされていないが、他にウィップに関する設定面の新情報は出ていない)。

小説の設定では、ウィップはネスツのクローン人間技術の実用第1号と言える存在となっている。彼女の成功を元にクリザリッドやK9999などのクローン人間が作られていくことになる。
ネスツ内での名前は「セーラ」。ネスツの幹部クラスの人間もこの名前で呼ぶ。実はオリジナルである死んだK'の姉の本名で、前述した「サリー」(SALLY) は「セーラ」(SARAH) の愛称でもある。

年齢が16歳とされているが、開発者のインタビューでは「16歳と言う年齢はあくまで傭兵部隊入隊の際に本人が自己申告したものであり、アックス小隊でもハイデルンの部隊でもその真偽を探るようなことはしなかった」という説明がされている[3]。別の理由としては小説版でウィップ本人が語ったところによると、最も身体能力が高いとされる年齢(16歳)に達するようにタイミングを見計らって培養機器から出されたため。弟であるK'が16〜18歳であるのに対して、ウィップが16歳と年齢的に矛盾しているのは、彼女が姉本人ではなく、そのクローンだからである。

50口径ハンドガン「デザートイーグル」を片手で扱い、革製[4]の特製鞭「ウッドドゥ」(その名はアニメ『デビルマン』に登場した妖獣に由来する)を軽々と振るう所から、科学と訓練により高められた身体能力の高さが見て取れる[注 3]。

なお、格闘大会のKOFにおいてデザートイーグルなどの銃火器の使用は反則となるが、特に問題視されている様子はない(殺傷力のない特殊なショック弾を使用しているとされ[4]、小説版では威嚇の空砲と説明されている)。『KOF2002』(以下『2002』と表記)では、さらに強力な拳銃スーパーブラックホークを使用する。

砂色の軍服の上から同色のケープ状の付け襟をしており、右二の腕と左太腿には軍服の上から金色のリングを嵌めている[注 4]。普段は付け襟で隠すようにした両肩裏のホルダーにウッドドゥとデザートイーグルを携帯しており、登場デモなどで背中から武器を取り出す様子を確認できる。また、耳にはハートの形をした小型爆弾のイヤリング、左手首には柔軟性の高い素材で作られたナイフをリング状に丸めてブレスレットとして装着している[5]。

『KOF2000』(以下『2000』と表記)のエンディングにおいて、ネスツ基地の崩落に巻き込まれる形で行方不明となる。しかし、これはK'に同行して自分の目的を果たすためにハイデルンの元を離れるための偽装であり、ハイデルンもそれには気づいているがあえて言及していない。K'と行動をともにしている間も、KOFに出場して申し訳なさそうな仕草を見せながらも、ラルフ達と顔をあわせていた。ネスツ壊滅後はハイデルンの傭兵部隊に戻っている。

『SNK GALS' FIGHTERS』のエンディングでは、優勝賞品として「どんな願いでも一つだけ願いを叶える」という「Kの御札」を手に入れ、自分に掛かっている暗示を解いて自身の正体を思い出せるようにして欲しいと頼むも、意思を持つ「Kの御札」がその願いを叶えようとどこかへ連絡した結果、「本編に影響が出るから一・二年待ってほしい」と断られるといったメタネタになっている。

『Days of Memories 〜僕と彼女と古都の恋〜』では、主人公の担任教師として登場。過去に女優だったエピソードが付け加えられている。