しずく「部長は今回の演目に、どうして『山門』を選んだんですか?」

部長「別に大した理由はありませんよ」

部長「4校ともテーマが『日本の古典演劇のリバイブ』という縛りが設けられてたこと」

部長「1校あたりの上演時間が短いこと」

部長「その中でも他の学校よりインパクトを残したいこと」

部長「そういった色んな要因が重なって、それに最も適していると思ったのが、『楼門五三桐』二段目の返し「南禅寺山門の場」だった、というだけです」

しずく「……なるほど」

部長「まさか、桜坂さんの舞台として私があてがった、とでも思ってたんですか?」

しずく「い、いえ!そういうことでは━━━

部長「いくら『千両役者』と称えられてるからって、それは少し自意識過剰じゃないですか」

しずく「……はい、すみません、でした」

部長「……質問は以上ですか?主演のオーディションの日にちなどついては、また決まり次第、連絡しますので」

しずく「……大丈夫です。ありがとうございました」


ガチャッ

「桜坂さん、いますかー?」