彼方「……下手な考え、休むに似たり。今日の進歩は進歩として、一度各自持って帰ろう。月曜日にもう一回話し合って……」

果林「そうね、彼方……。でも、それで何か名案があるといいのだけれど……」

エマ「……私はやっぱり、栞子ちゃんに話して欲しいよ……。こんなの、絶対に合っていいはずないんだもん……」

部長「……」


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──深夜 愛の部屋

愛(バレー部部長から聞いた、しおってぃーの入部テストや、初耳の再々選挙の話がバレー部から漏れた、という話)

愛(ぶちょーは副部長や数名の信用を置く三年生に当時の事を相談したみたいで、そこから誰かが漏らした……という話を受けた)

愛(正直アタシの口止めなんてあくまでお願いで、あの案に反発して相談する部があるというのはわからないでもない。けれど、今回の件は──)

愛(悪評を広める為に広めた、みたいな言い方だった。もちろんバレー部部長もしおってぃーを良く思っていない人だったけれど、それでも正々堂々とした人だ)

愛(じゃあ……バレー部の中に、しおってぃーに悪意を持って悪い噂を広めようとした人が居る……?)

愛「……待て」ガバッ

愛(ぼんやりとした考えに、突然焦点が定まった。数多くの僅かな違和感のピースが、カチカチとハマっていく)

愛(リボンの付け忘れ。体操服を失くして体育を見学。頻発する忘れ物。お弁当から学食に変えたこと。急に何かを隠した素振り。知らない生徒を見て異様に緊張する姿)

愛(自分を良く思わない人間が居て当然という態度。浮かない顔で何かを探し回るように校内を歩き回る、しおってぃーの姿)