「私、一緒に居るよ。せつ菜ちゃんが辛くて辛くて動けないとき、私は絶対にそこから離れたりしない」

「せつ菜ちゃんが苦しくて、悲しくて、もがいてももがいてもどうしようもない時も、私はその手を絶対に離したりしないよ」

「何もできない私だけど、優木せつ菜ちゃんを、中川菜々ちゃんのすべてを、抱きしめることはできるから」

「だから、せつ菜ちゃんの全部を私に教えて? 取り柄なんてない私だけど。せつ菜ちゃんの全部を世界中で誰より一番、肯定してみせるから」

上手い表現なんて見つかりませんでした。だから、私の気持ちをひたすら、せつ菜ちゃんみたいにまっすぐぶつけることにしました。

例えどれだけせつ菜ちゃんが真っ黒で苦しくて苦い思いを抱いていても。私が今ここに居るのは、きっとこのため。

せつ菜ちゃんに救われた私が、今度はせつ菜ちゃんを抱きしめる時。だから真っ直ぐに、ぶつかっていく。

せつ菜ちゃんが抱える光も闇も、全部受け止めて、またあの眩しい笑顔を取り戻すために。

「せつ菜ちゃんの大好きも、大嫌いも、楽しいも、悲しいも、嬉しいも、苦しいも、なにもかも。私に教えて?」

これから進んでいくせつ菜ちゃんの道は、きっと容易い道じゃないから。私に出来ることは、せつ菜ちゃんが疲れた時に自分を曝け出す場所として居続ける事。

「私はその全部を、大事にするから」

もう一度、せつ菜ちゃんを抱きしめる。今度は両腕で。私の胸に、せつ菜ちゃん顔を寄せる。今度はどれだけの力で逃げようとしても、絶対に離さないと。

強く強く、抱きしめました。あなたの味方だよっていう気持ちと一緒に。強く、強く。

「あ……ぅ……あ、ゆむ、さん……わたし……わたし……悔しいです……っ! 悔しいし、むかつくし、どうしようもなくて……!」

「でも、あの子だって悪い人じゃないってわかるから! だからよけいに、つらくて! 誰にもこんなの言えなくて!!」

「わたし、こんなっ──こんなのっ、すごくみじめでっ……ぅ、ぅあ……ぅああああああああっ!!!」