0005名無しで叶える物語(やわらか銀行)
2020/10/18(日) 23:49:42.44ID:rXFdQwJA「花丸ちゃん。あ、あの……」
おっとりした図書委員
「ルビィちゃん? どうかしたの?」
髪を左右に結わえた小柄な子が、図書委員に話し掛けた。
図書委員は花丸、という名前らしい。
そして小柄な子は……梨子の聞き間違いでなければルビィという名前のよう。
ルビィは梨子をジッと見て、酷く怯えているようだ。
困った顔に見えたのか、花丸が梨子に向かって話し掛ける。
花丸「すみません。ルビィちゃん、人見知りなので」
ルビィ「ご、ごめんなさい……」
何も悪い事はしていないのに、謝られてしまった。
梨子はいえいえ、とだけ言って目的の書物を読むことにした。
この内浦には豊穣をもたらす土地神ーー水神様がいるらしく。
あらゆる災厄、特に水難事故から人々を救ったとされている。
しかし一度、その神の怒りにより壊滅の危機に瀕した事もあるとか。
そのため毎年夏は、海で祭りが行われているようだ。
海の神様を奉り、鎮める為。
ルビィ「………………………」
花丸「ルビィちゃん?」