CHAPTER1
『事実は小説よりも奇なり』

曜「ねぇ梨子ちゃん。梨子ちゃんって、トレジャーハンターなんだって?」

 朝のホームルームの、開口一番。
 隣の席からの声に、桜内梨子はずっこける事になった。

梨子「な、な、なんで……!?」

曜「いや〜、千歌ちゃんが朝からな〜んか言いたくて言いたくてたまらないって顔してたからさ。あ、モチロン誰にも言わないよ? ただぁ、アタシも連れてって欲しいなー、なんて」

 昨夜、自身の正体を千歌に明かした後。
 誰にも言わないようにと釘を差したにも関わらず、この始末である。
 本人は現在、眠っていた所を教師に叱られていた。
 そして今、梨子に睨め付けられている。

梨子「千〜歌〜ちゃ〜ん?」

千歌「ご、ごめんごめん。どうしても曜ちゃんには話したくて、つい……」

 まぁ、知られてしまったものはしょうがない。いや、よくないが。
 心の中でそう独りごちた後の、昼休み。
 梨子は一人、遺跡の情報を調べる為に図書室を訪れた。
 図書委員の子に、地元の歴史に関する書物がどこにあるか尋ねる。

おっとりした図書委員
「それなら、一番奥の隅っこになります」

梨子「ありがとうございます」

おっとりした図書委員
「いえ、これがオラの仕事なので」

梨子「おら?」

おっとりした図書委員
「はうっ!?」

 梨子が聞き返すと、頭を抱え出す。

梨子(ひょっとして、地元訛りが出たのを気にしているのかな?)