部屋に駆け込んできた2人は、全身汗でびっしょりだった。心配そうな目で、私を見ている。


エマ 「彼方ちゃんっ……大丈夫なの!?」

彼方 「うん……っ…なんと…か……」


ベッドの背もたれに背中を添わせながら、全身に走る痛みを必死に堪えて徐々に座り姿勢へ移る。


果林 「無理しちゃダメよ…。あんな事故に遭ったんだから」

彼方 「…………事故?」

エマ 「もしかして、よく覚えてない?」


思い出そうとするが……ダメだ。あと少し、というところまで行くと、頭痛がする。
まるで、誰かにブレーキをかけられたように。