侑「……みんなが栞子ちゃんみたいな人だったらいいのにな」

栞子「クローン技術に興味があるんですか? ならこの学校ではなく専門的なところで学ぶのが」

侑「そ、そういう話じゃなくてっ…」

栞子「……?」

侑「……私ね、実はこの学校に入って幻滅しちゃったんだ」

侑「入学する前はね、きっと楽しい高校生活が待ってるんだろうなぁってキラキラしたところで、勉強や部活に一生懸命になれて」

侑「その三年間は、一生の思い出になるんだろうなって…」

栞子「……」

侑「……でも、違ってた」

侑「この虹ヶ咲は、私が想像してた虹ヶ咲とは全然違ってたんだ」

侑「馬鹿みたいだよね。勝手に期待して、勝手に裏切られて」

栞子「はい。馬鹿だと思います」

栞子「期待するのも勝手、裏切られるのもまた勝手ですが。それを自分のせい、他人のせい、そして環境のせい、というところで結論づけているあなたは馬鹿です」

栞子「自分が変われば他人も変わる、他人が変われば環境も変わる……真の解決策というなら、自分が変わる以外に有り得ないと私は思いますが」

侑「栞子ちゃん……」

栞子「人ひとりの出来ることには限界があります。あなたが立ち上がったとしてもこの腐った環境を変えられる力はないのかもしれない」

栞子「ただ……先程あなたは屋上で『もう限界』だと言っていましたが、それは自分から行動を起こしたうえでの限界でしたか?」

栞子「そうではないですよね? あなたはやるべきことを何一つやっていない。何が出来るか、それすらも考えていない。虐げられいる現状を受け入れている」

栞子「救いようのない馬鹿ですよ」