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鞠莉「からさいっぱい、元気いっぱい」

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0001名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:11:51.33ID:fKEloKTL
ようまり。
0002名無しで叶える物語(みかん)
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2020/03/29(日) 21:12:13.65ID:ZhEqDRWj
あくせい
0003名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:12:31.73ID:fKEloKTL
鞠莉「辛いカレーが食べたい」

曜「ん?」

鞠莉「とびっきり、から〜いカレーが食べたいの」

曜「そうなんだ」

鞠莉「ええ」

曜「…」

鞠莉「…」

曜「…作ろっか?」

鞠莉「そう言ってくれると思ったわ♪」
0004名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:13:10.96ID:fKEloKTL
――――――――

◆渡辺家、キッチン

曜「それでは本日のリクエスト、辛口カレーを作っていきたいと思いまーす」

鞠莉「よろしくおねがいしマース!で、まずはどうするの?」

曜「基本的にはいつも通りだよ。野菜を切って、お肉に下味をつけて、って感じだね。ジャガイモと人参のピーラー、お願いできる?」

鞠莉「任せて!」

曜「私はお肉を下準備しちゃうね」
0005名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:13:48.14ID:fKEloKTL
鞠莉「できたわ。このままカットしちゃってもいい?」

曜「やってもらえると嬉しいけど、切り方は覚えてる?」

鞠莉「ノープロブレム、多分!」

曜「んー、力強い『多分』だったけど…ノープロブレムの方を信じる!」

鞠莉「大丈夫よ。包丁で切るときはにゃんこの手、忘れてないわ」

曜(切り方ってそっちのこと?あ、いい感じに包丁を使えてるから大丈夫そうだね)

鞠莉「終わったら、玉ねぎもやっておくわね」

曜「うん、お願い!私はお米を研いじゃうね」
0006名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:14:04.86ID:fKEloKTL
鞠莉「出来たわ、見てもらえる?」

曜「はーい。おっ、大きさも均一でいい感じ!鞠莉ちゃんに任せて大正解だね」

鞠莉「曜のレクチャーがいいからよ」

曜「いやいや、鞠莉ちゃんの頑張りのおかげだって」

鞠莉「ありがと、おだて上手さん」

曜「どういたしまして、褒められ上手さん」

鞠莉「ふふっ、なにそれ」
0007名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:14:38.72ID:fKEloKTL
曜「さてさて。ご飯は早炊きにセットしたし、具材の準備も出来たところで」

鞠莉「お鍋の出番ね!」

曜「と、行きたいところなんだけど」

鞠莉「違うの?」

曜「今日はレンジを使ってみようかなって」

鞠莉「レンジ?何をするの?」
0008名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:15:24.94ID:fKEloKTL
曜「野菜をレンジで過熱するんだ。一から煮込んでると、火が通るまで時間がかかっちゃうからね。その手間を短縮しようってわけなんだ」

鞠莉「ふーむ、いわゆる時短テクニックってやつね」

曜「その上、レンジを使ってる間は別のこともできるしね。使った調理器具を洗ったり、次の工程を先取りしたり、これで作業効率が大幅アップ!いろんな場面で使えるから、覚えておくと便利だよ」

鞠莉「ブラボー!まさにご家庭の知恵ね!」

曜「やり方は簡単。切った野菜をそれぞれ耐熱容器に入れて、ふわりとラップをかけてっと。はい、鞠莉ちゃん」

鞠莉「イエース!電子レンジの中に、ヒドゥン・シャドウ・スネーク・ハンズ!」

曜「相変わらずハマってるみたいだね、そのフレーズ」
0009名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:16:08.35ID:fKEloKTL
鞠莉「ダテにお料理動画を見てないからね。加熱は何分くらい?」

曜「んー、4分くらいかな。この後でまた煮込むしね」

鞠莉「りょーかい!」

曜「ほい、その間に洗い物終了っと」

鞠莉「いつ見ても手際がいいわね」

曜「鞠莉ちゃんが色々やってくれるからだよ。おかげで段取りがとってもスムーズなんだ、大助かり!」

鞠莉「曜…今のすごく可愛かったから、ハグしてもいい?」
0010名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:16:36.27ID:fKEloKTL
曜「だーめ。今はお湯沸かしてるから」

鞠莉「むぅ、ダメって言われてもハグしちゃうわよ」

曜「わっ、危ないよ」

鞠莉「心配ご無用、これは安全配慮ハグだから」

曜「なにそれ。えへへ」

鞠莉「ふふっ」

チーン
0011名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:17:33.89ID:fKEloKTL
鞠莉「幸せな時間にも終わりは来るものデース」

曜「まだまだ。見せ場はこれからだよ」

鞠莉「そうね。まずは野菜をレンジから取り出して…あつっ!」

曜「鞠莉ちゃん!?」

鞠莉「へ、平気よ。なんともないわ、蒸気の熱さにびっくりしただけで」

曜「本当?大丈夫?」

鞠莉「もちろん。心配しすぎよ」
0012名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:17:56.45ID:fKEloKTL
曜「念のため冷やした方がいいよ、そうしよう?」

鞠莉「曜…」

曜「ボウルは…あった。はい、水を張ったから、手を入れて」

鞠莉「んっ…」

曜「痛くない?」

鞠莉「冷たくて気持ちいいわ。ごめんね、注意が足りなかったかも…」
0013名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:18:22.58ID:fKEloKTL
曜「謝らないで、私が気付けばよかったのに…ちょっと見せて」

鞠莉「ん…」

曜「よかった。火傷はしてなさそうだね。痛みは?」

鞠莉「無いわ、強がりじゃなくて、本当に。だから一緒に料理、続けてもいい?」

曜「うん!ただし、より一層の安全配慮でね。ケガなんてしちゃったら、せっかく頑張った料理も、美味しく食べられなくなっちゃうもん」

鞠莉「ちゃんと気をつけるわ。ところで、曜」
0014名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:18:45.59ID:fKEloKTL
曜「ん?」

鞠莉「えっと、いつまで手を握ってるのかなって」

曜「へっ?あ、ああっ、ごめん!なんかつい、夢中で…!」

鞠莉「ふふっ、やっぱり曜って可愛い」

曜「よ、よしてよ。そんなんじゃないし」

鞠莉「ね、ハグしていい?」

曜「しない、しませんっ、今は料理の時間です!」

鞠莉「真っ赤になっちゃって。食べる前からご馳走さま、ってね♪」

曜「うーっ…ほ、ほら、料理再開だよ!美味しいカレーのために頑張るよ!」

鞠莉「はーいはいっ」
0015名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:19:11.99ID:fKEloKTL
曜「えっと、どこまでいったっけ…そうだ、野菜に火を通したんだったね。ここからはお鍋の出番だよ」

鞠莉「油を入れて、馴染んだら中に野菜を入れるのよね」

曜「うん。まずは玉ねぎから、油ハネに注意してね」

鞠莉「具材を入れるのには、決まった順番があるの?」

曜「人にもよるけど、私は玉ねぎから入れるんだ。その後にじゃがいも、人参、お肉って順かな」

鞠莉「オーケー。それじゃ、こほん――ヒドゥン・シャドウ・スネーク・ハンズ!んー、このジューって音、お料理してるって実感が湧いてくる」

曜「確かに。匂いや見た目もだけど、音って大事だよね。あ、とか言ってる間に、いい感じに油が回ったみたいだよ」
0016名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:20:20.28ID:fKEloKTL
鞠莉「いつもより玉ねぎがくたっとするのが早い気がする。これがレンジ効果なのね」

曜「そういうこと。続いて他の野菜も順番に――」

鞠莉「ヒドゥン・シャドウ・スネーク・ハーンズ!」

曜「いいね!全体に油が回ったところで、最後にこちらのお肉の方を、どうぞっ!」

鞠莉「はい、お鍋にぽいっと」

曜「えっ?ねえ、なんで潜影蛇手しなかったの?」

鞠莉「えっと、なんか連発するのも違うかなって」

曜「だああ、いきなりブレーキかけるからびっくりしたよ。突然飽きが来たのかと」
0017名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:20:58.51ID:fKEloKTL
鞠莉「何事も大切なのはノリとテンポよ」

曜「うーん、まあ、リズム感が必要っていうのはわからなくもないけど」

鞠莉「それで、次はお鍋に水を入れるのよね」

曜「あ、うん。ヤカンにお湯湧いてるから、それを使って」

鞠莉「これも時間短縮テクニック?」

曜「そうだね。後は煮込んで、アクを取り除いていくよ」
0018名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:21:24.90ID:fKEloKTL
鞠莉「私にやらせて。よっ、と」

曜「おー、アク取りも上達したね」

鞠莉「アク取りだけに、マリーの中のギルティも取り除かれないかしら。アク取りだけに」

曜「ノリノリだね。アクが取れたら、具材の火の通りを確認するよ。お箸を入れてみて、スッと通ればおっけーだね」

鞠莉「ん、大丈夫そう!」

曜「そしたら、いよいよルーを入れるよ。一旦火を止めて」
0019名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:21:41.19ID:fKEloKTL
鞠莉「火を止めて、と」

曜「そこに小さく割ったルーをぽいっと入れて、溶かしていくんだ。溶け残りがないようにしっかりね」

鞠莉「お味噌をとくみたいに、おたまと菜箸でやったほうがいい?」

曜「ああ、その方が確実だね」

鞠莉「なら、やってみるわ」

曜「ふーむ」

鞠莉「どうかした?」
0020名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:22:38.18ID:fKEloKTL
曜「鞠莉ちゃん、仕事が丁寧だよね」

鞠莉「そう?」

曜「鞠莉ちゃんの料理方法って、自己流っていうか独特っていうか…まあ率直に言えばシャイ煮のときは予測不可能感がすごいけど、教わったことには忠実っていうか」

鞠莉「ゆくゆくはアレンジしてみたいけど、まずは基礎を身につけないことには始まらないわ。そこをないがしろにしたら、レクチャーしてくれた曜にも失礼だし…ねえ、どうして笑ってるの?」

曜「そういうところ、鞠莉ちゃんだなって」

鞠莉「どういう意味?」

曜「そのままの意味だよ。嬉しいんだ、すごく」

鞠莉「そう?ならいいけど。はい、ルーが溶けたわ。この時点で見た目は完璧ね、美味しそう!」
0021名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:24:19.00ID:fKEloKTL
曜「いつもなら微調整して終了だけど、今日は辛いのをリクエストだから、もう少し手を加えていくよ」

鞠莉「辛さを出すために、具体的にはどうするの?」

曜「カレースパイスを入れていくんだ。スパイスにはガラムマサラとかレッドペッパーとか、色々と種類があるけれど、今日は市販のブレンドされてるやつを使うよ」

鞠莉「へえ、そんな便利なものがあるんだ」

曜「これは調理中だけじゃなくて、盛り付けたカレーにちょい足ししても辛さの調節が出来るタイプなんだ」

鞠莉「小さく持ち運びもしやすくて、善子が愛用してそうね」

曜「実際そうだって言ってたよ、善子ちゃんのおすすめなんだって。後はこれを煮込んでいけば…ほら、匂いが辛そうになってきた」
0022名無しで叶える物語(らっかせい)
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2020/03/29(日) 21:24:47.39ID:fKEloKTL
鞠莉「本当だ、すごくスパイシー。さすが辛いもの好きの善子のご推薦、間違いなさそうね」

曜「だねー。でも、んー…」

鞠莉「どうかした?」

曜「いや、今回も善子ちゃんに声かけたんだけど、やんわりと断られちゃってさ」

鞠莉「そうだったの?」

曜「辛いカレーを作るんだって話したら、初めは乗り気な感じだったんだけど『やっぱり遠慮しておくわ』って」

鞠莉「辛いものと言えば、善子の得意分野なのにね」
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