歩夢「……っ!」ドクン

歩夢「(起きないあなたが悪いなんて、言えない)」

歩夢「(だって、こんなことをするのはおかしくて、その上眠っている相手になんて、卑怯な話。幼馴染なんて関係なく、やっちゃいけないラインを超えてる)」

歩夢「(でも、無理。体がもう、意思に関係なく動いちゃってる)」

……

……チュ……

あなた「ん……んぅ……」スヤスヤ

歩夢「っ……!」ゾクゾクッ!

歩夢「(味なんてしないのに、甘いものを食べたときみたいに、頭に幸福感が広がる)」

歩夢「(無防備なあなたへ、一方的にいけないことをしているろいう事実で、おかしくなりそう)」チュ…

歩夢「(気の迷いのはずで、こんなこと、すぐにやめなきゃいけないのに)」

歩夢「(長い間過ごしてきて、起きないラインを知ってしまっているから……)」チゥッ…

歩夢「ごめん……ごめんね……」

歩夢「(──こんなの、もう、戻れない)」


『腕と首なら欲望のキス』/上原歩夢・近江彼方