梨子「ねえ。曜ちゃんも私と同じで、父が死ぬ瞬間を目にしたわけじゃないんでしょ?」

曜「うん。独りだけ逃してもらって、沈んでく船を波に流されながら見てただけ」

曜「パパだけじゃない。歳が近くて仲の良かったクルーも、いつも優しいコックのおじさんも……全員死んじゃった」

曜「多分、梨子ちゃんと凄く似た状況だったと思う」

梨子「どこかの島に流れ着いて、実は生きてるかもとか考えたりしないの?」

曜「昔はそんなことばかり考えて毎晩毎晩泣いてたよ」

曜「でもさ、流れ着く可能性のある無人島は国の魔道士部隊が探知魔法で調査してくれたし」

曜「人の居る土地に流れ着いたんなら、何年もずっと連絡が無いままなのはおかしいし」

曜「どこかで生きてるなんてあり得ないって、冷静に考えれば馬鹿な私でも分かっちゃったんだよね」

梨子「…………」