璃奈「部室から栞子ちゃんとはんぺんの声がする」
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璃奈「…?今日、当番は果林さんのはず…」
璃奈「ううん、それより…」
――
栞子『まったく、あなたの保護者にも困ったものです』
栞子『突然あなたの世話を押し付けるなんて…いえ、別に嫌なわけではありませんが』
栞子『それにしてもこんな時間になってもまだ帰って来ないとは』
栞子『…やはり同好会は廃部にするしかありませんね』
栞子『庇うのですか?あなたを放ったらかしにした人たちを?』
栞子『そうは言ってもーー』
――
璃奈「栞子ちゃんめっちゃ喋る」 璃奈「状況はわかった。けど、どうしよう。今入るのは…」
璃奈「……少し、様子見」
――
栞子『安心してください。あなたの処遇は私が責任をもってしかるべき方策を考えます』
栞子『そんな事より、あなたは自分の心配をした方がいいと思いますが?』
栞子『いつまでそうしているつもりですか?あなたの月齢ならばこれくらいの障害はクリア出来るはずです』
栞子『はぁ…まったく、この程度のしつけも出来ていないなんて、やはり同好会はーー』
――
璃奈「?!」
璃奈「栞子ちゃん、はんぺんになにやらせてるの…?!」 璃奈「大丈夫、だよね?こないだ、猫は嫌いじゃない感じだった、から…」
――
栞子『わかりました。ではこうしましょう』
栞子『あなたがこれをクリア出来れば今日のところは廃部は取り消します』
栞子『ですが出来なければ…わかりますね?』
栞子『そんな泣き言を言っても私には通用しませんよ』
――
璃奈「はんぺんにものすごいこと背負わせようとしてる…!!」 璃奈「ど、どうする……!」オロオロ
――
栞子『はぁ…ちゃんとご褒美まで用意してあげているというのに』
栞子『あなたも仮にとはいえ今は同好会の一員なんですからこれしきの事は出来るはずです』
栞子『同好会の方たちならそんなに簡単に諦めたりはしませんよ?』
栞子『それともやはり廃部にしますか?』
――
璃奈「栞子ちゃん… 璃奈ちゃんボード『じーん』」
璃奈「じゃなくて!」
璃奈「わからないけど、はんぺんが困ってる!助けなきゃ!」 ばーん!!
璃奈「栞子ちゃん!!」
栞子「はい」
璃奈「?!?!」
栞子「何ですか?」
はんぺん「にゃーん」ピョン
栞子「ぁ」
はんぺん「」タタタッ
はんぺん「にゃー」スリスリ
璃奈「……」
栞子「……」 栞子「…てっきり一番に帰って来るのは朝香さんだと思っていましたが、天王寺さんでしたか」
璃奈「……ぁ…」
栞子「何か言ったらどうです?私は忙しい中で当番を代わって差し上げたのですよ?」
璃奈「……り、璃奈ちゃんボード『┃━┏┃』」
栞子「感情を代弁する筈のボードが無表情では何の意味も為さないのでは?」
栞子「やれやれ…お礼の言葉も無しですか。やはりスクールアイドルは…」
璃奈「!!」
璃奈「あ、ありがとう!璃奈ちゃんボード『ぺこりん』」
栞子「…まあいいでしょう」
はんぺん「」ヨジヨジ 栞子「それで、いつまでそんな所に立っているつもりですか?部室に来たという事は何か用事があるのでしょう?」
璃奈「あ、うん。そっち、行っていい?」
栞子「ここはあなた方の部室です。好きにしたらいいと思いますが」
璃奈「…わかった。はんぺん、一緒に行こ」ヒョイ
はんぺん「なー」
栞子「まったく、学生生活は限られているのですからもっと時間を効率的に…」
璃奈「あの!栞子ちゃん…」
栞子「何ですか?」
璃奈「そろそろ、ソファから起きて」
栞子「…わかりました」ムクリ 璃奈「えっと、聞いていい?」
栞子「ええ、構いません」
璃奈「なに、してたの…? 璃奈ちゃんボード『おずおず』」
栞子「何、とは?私はただ朝香さんに頼まれてその子の面倒をみていただけですが?」
璃奈「…」
栞子「何か問題でも?」
璃奈「えっと… 璃奈ちゃんボード『むむむ』」
栞子「聞きたい事があるのなら正確にどうぞ。時間は限られているとさっきも言った筈ですが」
璃奈「っ!…ぅ…その… 璃奈ちゃんボード『ソファに仰向けに寝転んで両膝を立ててその上にはんぺんを乗っけてアゴにカニカマ付けつつ満面の笑みで何してたの?』」
栞子「!?」 栞子「…訓練です」
璃奈「くん、れん…? 璃奈ちゃんボード『ハテナ』」
栞子「はい、訓練です。猫は高いところに登りたがる生き物です。
ですが往々にして子猫は登ったはいいが降りられなくなり、移動出来る場所を探しているうちに更に高いところに登ってしまい、ますます降りられなくなってしまう事があります。
そしてそこから足を滑らせでもしようものなら大怪我に繋がってしまう可能性があります。
ですから早いうちに少しずつ降りられる訓練をしておけばそのような事が回避出来るという訳です。
あなた方がそういった事を考えてしつけをしているのかどうか調べさせて貰いましたがやはり出来ていなかったようなので生徒会長として許可した手前私にも責任の一端はあると考え今この子に訓練を施していた、という訳です」
璃奈「そう、なんだ…」
栞子「分かりましたか?」
璃奈「…」 何回見ても璃奈ちゃんが栞子「ちゃん」って呼んでるの可愛い 璃奈(でも栞子ちゃんが寝転がらなくてもソファやテーブルの上からでいいんじゃ)チラッ
栞子「今、別に私が横にならなくとも、と思いましたね?」
璃奈「えっ…?! 璃奈ちゃんボード『びっくり』」
栞子「確かに、訓練用の段差としてはソファやこのローテーブル、そこの椅子など手頃なモノはあるでしょう。
しかしながら万が一の事を考えると下にクッションが無い状態は万全とは言えませんし、更に言うならこの部室にはクッションになりうる物が見当たりません。
そこで仕方なくではありますが私自身が寝転がり、段差とクッションを兼ねる事で問題の解決を図ったというわけです」
璃奈「じゃあ…」
栞子「カニカマは課題達成のご褒美の為です。おやつにつられてでも降りられるという成功体験を積み重ねることで段差を降りるという行為に対する心理的なハードルを下げさせようとした訳です。
笑顔も同様です。警戒心を解き安心して訓練に挑めるよう配慮した結果です。
ああひとつ付け加えるならば、カニカマを手に持たずに設置したのは手をフリーにしておく為です。そうすることによって万が一違う方に飛び出そうとしたとしても手で支えることが出来ますから」
璃奈「……」
栞子「まだ何か?」
璃奈「…あ、ひとつだけ…」
栞子「何でしょう?」
璃奈「…左手のスマホは?」
栞子「さ、そろそろ完全下校時間ですね。天王寺さんも帰る準備を始めて下さい」
璃奈「璃奈ちゃんボード『草』」 璃奈「あ、じゃあはんぺんの寝床を…」
栞子「駄目です」
璃奈「え? 璃奈ちゃんボード『びっくり』」
栞子「段差を降りる能力が未知数な以上、その子をこの部室に放し飼いには出来ません。ですから夜間はケージのある生徒会室で預かります」
璃奈「ケージ…そっか。なら、安心かも… 璃奈ちゃんボード『さっき栞子ちゃんのお腹どころか床までダイレクトに飛び降りてたけどね』」
栞子「何か言いましたか?」
璃奈「ううん、じゃあ…お願い。 璃奈ちゃんボード『ぺこりん』」 栞子「それはそうと、中川さんのロッカーはどこですか?」
璃奈「せつ菜さん?なんで?」
栞子「ずいぶん暖かくなってきたとはいえ夜はまだ冷えますから。出来ればタオルのような物でも借りたいのですが」
璃奈「それなら私の…」
栞子「いえ、お気遣いなく。中川さんので充分です」ガチャ
璃奈「そう?」
栞子「ちょうど良さそうなタオルがありますね。借りていきますので、中川さんには明日の朝、生徒会室まで取りに来るよう言っておいてください」
璃奈「うん、わかった」
栞子「そうそう、万が一粗相をした場合などは私が新品を買って返すので安心してください」
璃奈「確信犯かよ 璃奈ちゃんボード『わかった』」 栞子「では、その子をこちらに渡して下さい」
璃奈「うん、はんぺん、また明日ね」
はんぺん「にゃーん」スリスリ
璃奈「ふふふ、くすぐったい」
栞子「…」
璃奈「じゃあ、お願いします」スッ
栞子「ええ…ひゃっ?!」
はんぺん「にゃんにゃーん」ペロペロ
栞子「ち、ちょっと、顔はやめ…っ!なんで急に…?やはり既に完全に私になついて…」
璃奈「アゴにカニカマ付いてるからだと思う」 はんぺん「」ゴロゴロ
栞子「ふぅ…やっと落ち着きましたか。動物に好かれるというのも困りものです」
璃奈「アゴにカニカマ付いてたからだと思う」
栞子「では天王寺さん、あまり遅くならないように下校してください」
璃奈「うん、栞子ちゃんも」
栞子「ええ、私もぺんちゃんを送り届けたらすぐに…」
璃奈「…ぺんちゃん?」
栞子「!!」
璃奈「栞子ちゃん、はんぺんのことぺんちゃんって呼んでるの?」
栞子「な、なな何の事ですか?!私がそんな事言うわけ…」
璃奈「…… 璃奈ちゃんボード【再生モード】『「…私もぺんちゃんを送り届けたらすぐに…」』」
栞子「!!」
璃奈「璃奈ちゃんイヤーは地獄耳 璃奈ちゃんボード『ふんす!』」
栞子「……っ」 栞子(じゃあ、今までのも全部……っ?!)ゾクッ
璃奈「どうしたの?」
栞子「な、なんでもありません!ワンゲル部は潰します!!」スタスタ
璃奈「あっ…!栞子ちゃん、また明日!」
栞子「ごきげんよう!」スタスタスタスタ
璃奈「栞子ちゃん……」
希「仕方ないんよ。栞子ちゃんは生徒会長としてこのマンモス学園のニジガクの生徒ひとりひとりと向き合おうとしてる。
それでただでさえ疲れてるのに、最近は生徒からの評判も思わしくないからなあ。
心身共に疲れきってる今の栞子ちゃんに、はんぺんちゃんは一時の清涼剤やったんやろね」
璃奈「そっか…」
璃奈「…明日は、栞子ちゃんとお世話、する 璃奈ちゃんボード『にっこりん』」
おしまい 最後にスピリチュアルな謎残して消えるのやめーや、乙 乙
思ったけどこれ絆エピとストーリー両方最後まで見てる前提の話だな 成功体験と言わせておけば栞子っぽくなる説一理あるな >>19
ロッカーの場所聞いてる癖にためらいなく開けててワロタ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています