千歌「抹茶味の特別なチョコ」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
〜次の休日〜
千歌「ふぅ、こんなものかな」
千歌「材料は揃えたし、後は作っていくだけ」
千歌「正直、受け取ってもらえるか分からないけど……それでも作るんだ」
千歌「ダイヤさんに、正真正銘の本命チョコを」
千歌「とは言ったものの、ちゃんと作れるかな……」
千歌「レシピは極秘ルートで用意したし、この通りに作れば良いはずなんだけど」
千歌「と、とにかく!やるだけやってみよう!」 〜〜〜〜〜
千歌「〜♪」
千歌「順調順調」
千歌「あ、あれ?」
千歌「うーん……」
千歌「そっか、こうすれば!」
千歌「……あるぇー?」
千歌「んー」
千歌「えぇ……」
千歌「……ぐすっ」 千歌「全然上手くいかない……」
千歌「さっきからずっと失敗ばっかだよー!」
千歌「こんなはずじゃなかったのになぁ」
千歌「残りの材料的にも、次に失敗したらもう作れないし……」
千歌「でも、何がいけないのか分からないままじゃ失敗を繰り返しちゃうよね……」
千歌「こうなったら……」 〜梨子の部屋〜
梨子「よし、新曲作り結構進んだかな」
梨子「千歌ちゃんは今頃作詞頑張ってるのかしら」
ピロン
梨子「噂をすれば……って、えぇ!?」
ちか:たすけて
梨子「ど、どういうこと?」
Riko:どうしたの?
ちか:いいから、何も言わずに今すぐウチに来てください
梨子「メッセージからも分かるテンションの低さ……ただ事じゃないわね」
梨子「作詞が進んでないだけならこんなシリアスな空気醸し出さないし」
梨子「とにかく行ってみましょう」 〜〜〜〜〜
梨子「お邪魔しまーす……千歌ちゃん?来たよ?」
梨子「って、なにこれ」
グチャア
千歌「あ、梨子ちゃん。いらっしゃい」
梨子「い、一体何があったの?」
千歌「チョコを作ってたんだけどね、上手くいかなくて。後は察してほしいかな」
梨子「チョコ?」チラッ
梨子(明らかに失敗したと思われる放置されたチョコの残骸がちらほら)
梨子(見た感じ、生チョコでも作ろうとしてたのかな?)
梨子(それと……きっと何度も読んだのであろう、しわくちゃになったレシピ)
梨子(Aqoursのみんなに配るチョコを作ってた……?)
梨子(それにしては気合いが入りすぎてる気もするけど……ん?)
梨子(これは……抹茶パウダー?)
梨子「……そういうことね」クスッ 千歌「察してくれた?」ウルウル
梨子「大体はね」
千歌「お願い梨子ちゃん!チョコ作り手伝って!」
梨子「お断りします」
千歌「なんでぇ!?」
梨子「私が作るの手伝ったら意味無いもの」
千歌「そんなぁ……」
梨子「でも、横からアドバイスならしてあげなくもないかなー」
千歌「えっ?」
梨子「せっかくの本命チョコだもの。作るのは千歌ちゃんじゃなきゃ」
千歌「梨子ちゃん……って本命チョコとかじゃないから!」
梨子「えー違うのー?こんなに気合い入れてるのに?」ニヤニヤ
千歌「うぅ……梨子ちゃんの意地悪」 梨子「さて、失敗したチョコを見る限り、見事に分離しちゃってるわね」
千歌「そうなの?」
梨子「生チョコはお手軽だけどその分デリケートな部分もあるのよ」
千歌「ほえ〜」
梨子「原因はいくつか考えられるんだけどね」
梨子「チョコを溶かす温度が高いとか、生クリームを温めすぎてるとか」
千歌「そういえば、温度はそこまで意識してなかったかも……」
梨子(まぁ、そういう肝心なとこがこのレシピ抜けてるんだけども……)
梨子「だから一つ一つ潰していって、完成させようね?」
千歌「うん!」 〜〜〜〜〜
千歌「よし……あとは抹茶パウダーを振って……完成!」
梨子「やったね、千歌ちゃん」
千歌「えへへ〜」
梨子「凄い美味しそうに出来てるよ」
千歌「いや〜梨子ちゃんのお陰だよ〜!」
梨子「ふふっ、私は横から口出ししてただけだよ?」
千歌「いやいや、それが無かったら完成してなかったもん」
千歌「というわけで……はい、どうぞ!」
梨子「えっ?私に?」
千歌「実は1個だけ取っておいてまして。お礼と言いますか何と言いますか」
梨子「なるほどね。じゃあ報酬ということで、いただきます♪」パクッ 千歌「ど、どう?」
梨子「ん〜」モグモグ
千歌「……」ゴクリ
梨子「うん、美味しい♪」
千歌「良かった〜」ホッ
梨子「ダイヤさんもきっと喜んでくれるよ」
千歌「梨子ちゃんのお墨付きなら自信がつくよ〜。……って、何でダイヤさんの名前が!?」
梨子「えっ?何でって、ダイヤさんに渡すチョコ作ってたんでしょ?」
千歌「ななな何でそうなるのかな!?」
梨子「私たちの周りに抹茶が好きな人なんて1人しか見当たらないじゃない」
梨子「まさか抹茶チョコなんてあからさまなもの作っておいて、バレないとでも思ってるの?」
千歌「うぅ……」 梨子「ほら、早くラッピングしちゃいましょ?」
千歌「は〜い」
梨子「……」
梨子(でも意外。千歌ちゃんってこういう顔もするんだ)
千歌「うんしょ、うんしょ」
梨子(ねぇ千歌ちゃん。千歌ちゃんは気付いてないのかもしれないけど)
千歌「おぉ!良い感じにラッピング出来た!」
梨子(千歌ちゃん、恋する乙女の顔してるよ)
千歌「ねーねー!梨子ちゃん、どう?」
梨子「すっごく良いと思うよ」
千歌「えへへー」
梨子(頑張れ、千歌ちゃん) 〜バレンタイン当日〜
曜「今日の練習も充実してたね〜」
梨子「そうね〜」
鞠莉「その分、練習後の糖分補給が捗りまーす!」
善子「練習前にみんなで交換したチョコ、早速食べてるのね」
ルビィ「あはは。でもついつい摘んじゃう気持ち、ルビィも分かるよ」
ダイヤ「皆さんこの後お夕飯を控えているのですから、あまり食べすぎては駄目ですよ?」
花丸「は〜い。それにしても、ルビィちゃんの作ったチョコ美味しいずら〜」
ルビィ「おねぇちゃんと作ったんだぁ♪ね、おねぇちゃん」
果南「ダイヤの手作りチョコが食べれる日が来るなんてね〜」
ダイヤ「からかわないでください!」
曜「あははっ。……あれ?」
千歌「……」
曜(千歌ちゃん?) 果南「じゃあみんな、また明日」
鞠莉「バーイ♪」
花丸「おらたちも帰るずら。善子ちゃん、ルビィちゃん」
善子「そうね。あとヨハネ」
ルビィ「うゅ!おねぇちゃん、帰ろっ」
ダイヤ「えぇ」
ガヤガヤ
千歌(……どうしよう。結局チョコ渡せないまま、帰る時間になっちゃった)
千歌(このままじゃ……でも……) ダイヤ「千歌さん?」
千歌「は、はい!」
ダイヤ「大丈夫ですか?先程から元気が無いようですが」
千歌「そ、そうかな?」
ダイヤ「疲れてるなら無理をなさらず、今日は早めにお休みになってくださいな」
千歌「う、うん……あ、あの!ダイヤさん!」
ダイヤ「どうしました?」
千歌「あの、その……」
千歌「〜〜〜〜〜〜!」
千歌「ま……また明日ね」
ダイヤ「……えぇ、また明日。戸締まりは2年生にお任せしますね?」
千歌「うん……」
バタン 千歌「……」
梨子「千歌ちゃん……」
千歌「か、帰ろっか!」
梨子「えっ?」
千歌「ダイヤさんにも早く休むように言われたし、遅くならないうちに……」
曜「本当にそれで良いの?」
千歌「よ、曜ちゃん?」
曜「千歌ちゃん、大事な用事をまだ済ませてないんでしょ?」
千歌「そ、そんなこと」
曜「ないわけないよね?」
千歌「うぐっ……」
曜「何年幼馴染やってると思ってるのさ。隠しても無駄だよー」デコピン
千歌「あいたっ。だって……」
曜「だって?」 千歌「受け取ってもらえなかったらどうしようとか、そういうのばっか考えちゃって」
千歌「本当は朝会ったら渡そうと思ってたんだよ?でも勇気が出なくて……」
千歌「お昼に渡そう、練習前に渡そう、下校の時に渡そうってどんどん逃げちゃって」
梨子「それで、最後のチャンスもみすみす逃しちゃってこのザマってことね」
千歌「このザマって言うなー」
梨子「私はね、千歌ちゃん」
千歌「うん?」
梨子「私の為だけに作られた特別なチョコを、千歌ちゃんから貰えたら嬉しいよ」
千歌「え、えぇぇ!?」
梨子「曜ちゃんからでも嬉しいし、善子ちゃんとか鞠莉ちゃんとかでも嬉しい」
梨子「それが、本当にその人の気持ちが込められた特別なチョコだったら」
千歌「り、梨子ちゃん?」
梨子「自分に好意を持ってくれてる人から貰えて、嬉しくない人なんていないと思うよ?」
千歌「っ!」
曜「私も同じ意見だよ千歌ちゃん!」
千歌「曜ちゃん……梨子ちゃん……」 梨子「もしそれでも、受け取ってもらえなかったら……」
千歌「もらえなかったら?」
梨子「私がギャフンと言わせに行くから!」
ようちか「……」ポカーン
千歌「……ぷっ、あははははははっ!何さギャフンって!」
曜「でもナイスアイデアだよ梨子ちゃん!私もそれ参加しようかなー」
千歌「もう、曜ちゃんまで!」
梨子「……少しは元気出た?」
千歌「お陰さまで!」
曜「じゃあチョコを渡しに、全速前進?」
千歌「ヨーソロー!2人とも、ありがとう!」
梨子「いってらっしゃい」
千歌「うん!あ、戸締まりよろしくね〜」
バタン 梨子「……世話が焼ける幼馴染ね」
曜「慣れっこだよ〜」
梨子「どこまで知ってたの?」
曜「ん〜全部何となくだけどね」
梨子「流石幼馴染パワー」
曜「千歌ちゃんに『抹茶のチョコ作りたいからレシピ教えて!』って聞かれてね」
曜「流石の曜ちゃんでも察しがつくよ〜」
梨子「なるほどね。……レシピ?」
曜「誰でも作れるようなレシピを書いて千歌ちゃんに渡したんだ。我ながら力作だったよ」エッヘン
梨子「あぁ、そういうことね」ユラリ
曜「梨子ちゃん?」
梨子「あのレシピ肝心なとこ抜けすぎなのよー!お陰で私が引っ張り出されたじゃない!」
曜「おおおお落ち着いて梨子ちゃん!梨子ちゃーーーん!」 タッタッタッタッ
千歌(ダイヤさんは……居た!まだ下駄箱だ!」
ダイヤ「……ん?千歌さん?」
千歌「ダイヤさん!」
ダイヤ「千歌さん、廊下は走ってはいけませんわよ?」
千歌「あぅ……ごめんなさい」
ダイヤ「それで、どうしたのですか?」
千歌「ダイヤさんに……その……」
ダイヤ「わたくしに?」 千歌「えぇっと……」
ダイヤ「千歌さん?」
ルビィ「……おねぇちゃん」
ダイヤ「ルビィ」
ルビィ「ルビィたち、先に帰るね?」
ダイヤ「え、えぇ。分かりましたわ」
ルビィ「……」チラッ
千歌「……!」
ルビィ(千歌ちゃん、頑張るびぃ)
千歌(ルビィちゃん……) 千歌「ふーーー」
千歌「ダイヤさん!」
ダイヤ「は、はい!」
千歌「実は、ダイヤさんにお話したいことがあります!」
ダイヤ「お話……そうですか」
千歌「あの!」
ダイヤ「千歌さん」
千歌「はい!?」
ダイヤ「立ち話もなんですし、生徒会室に行きませんか?」
千歌「え、あ、はい」
ダイヤ「そこで、ゆっくりお話を聞かせて頂きますから」
千歌「う、うん!」 〜生徒会室〜
千歌(何か、急展開すぎるけど落ち着け〜落ち着け千歌!)
千歌(逆にこのシチュエーションは願ってもないチャンスだよ!)
ダイヤ「それで、お話というのは」
千歌「うん。あのね、先ずはこれを受け取ってほしい、です……」
ダイヤ「これは……チョコですか?」
千歌「うん……」
ダイヤ「でもチョコなら先程交換……」
千歌「違うの。あのチョコとは違うの」
ダイヤ「……」 千歌「ダイヤさんの為だけに作った、特別なチョコ、です……」
ダイヤ「千歌さん……ありがとうございます」
千歌「ど、どういたしまして」
ダイヤ「えぇと、食べても?」
千歌「どうぞ」
ダイヤ「それでは……」ガサゴソ
ダイヤ「……ぱくっ」モグモグ
千歌「……」ゴクリ
ダイヤ「美味しいですわ」ニコッ
千歌「良かったぁ」ホッ ダイヤ「それで、その、自惚れでなければ……このチョコを頂けたというのは……つまりは」
千歌「待って。その先はちゃんと言わせてほしい」
ダイヤ「はい」
千歌「……好き、ダイヤさんのことが好きです」
千歌「友達だとか、尊敬する先輩だとか、そういうのを飛び越えて」
千歌「私は、ダイヤさんのことが好きです」
ダイヤ「千歌さん……」
ダイヤ「前に、お疲れ様会でお茶をした時のことを覚えていますか?」
千歌「うん」
ダイヤ「あの時、千歌さんに特別なチョコを作る予定はあるのか聞きましたよね?」
千歌「うん、聞かれた」
ダイヤ「千歌さんは答えをはぐらかしましたね」
ダイヤ「お恥ずかしい話ですが、わたくしはそれを聞いてショックを受けたのです」
千歌「えっ?」 ダイヤ「否定しないということは、作る予定があるのだと」
ダイヤ「そしてそれを貰える人は、きっとわたくしではないと」
千歌「だ、ダイヤさん?」
ダイヤ「だから、今こうやって千歌さんからチョコを頂けてどれほど嬉しいか」
ダイヤ「きっと千歌さんは想像も出来ないでしょう」
ダイヤ「今日は千歌さんに会う度に、万が一の可能性を期待してずっとソワソワしてたのですよ?」
千歌「え?え?」
ダイヤ「でも結局何もなくて、『あぁ、やっぱりわたくしではなかった。きっと曜さんか梨子さんなのだろう』と思い至り」
ダイヤ「部室で別れた時は絶望の淵に叩き落された気分でした」
千歌「……」
ダイヤ「なので、もう下校する一歩手前のところで千歌さんに呼び止められた時は」
ダイヤ「心臓が飛び上がるくらいビックリしましたわ」
千歌「それってつまり……」 ダイヤ「そういうわけですので、生憎わたくしは千歌さんに渡せる特別なチョコは用意出来ませんでした」
ダイヤ「ですのでその代わりに……」クイッ
千歌「ふぇ?」
ダイヤ「代わりに、わたくしの大切なものを差し上げますわ」
千歌「だ、ダイヤさん……?」
ダイヤ「これが、わたくしのお返事です……ちゅっ」
千歌「〜〜〜///」
ダイヤ「わたくしも、千歌さんのことをお慕いしていますわ」
千歌「……順番逆だよ///」 〜帰り道〜
千歌「……私たち、これで恋人同士なんだよね」
ダイヤ「そういうことに、なりますわね」
千歌「何か、不思議な気分」
ダイヤ「同じくですわ」
千歌「ダイヤさんにチョコ受け取ってもらえるかずっと不安で、1日中ウジウジしてたのに」
ダイヤ「千歌さんが他の誰かにチョコを渡すのだろうと想って、1日中心がズキズキしてましたわ」
ちかダイ「……ふふっ」
ダイヤ「わたくしたち、似た者同士でしたね」
千歌「あははっ。だね〜」
ダイヤ「改めて、よろしくお願いしますね」
千歌「うん。こちらこそ」
ダイヤ「……ところで」
千歌「なぁに?」
ダイヤ「ファーストキスはイチゴの味とよく例えられますが……どんな味がしましたか?」
千歌「……抹茶味に決まってるじゃん、ばかっ///」プイッ 終わり
乙女な千歌ちゃんを書きたかったんです
皆さんもチョコが貰えると良いですね 乙
ちかダイ良い
千歌ちゃんの後輩感がよく出ていて好き
この日の2人の様子を見て気を揉みたい人生だった
特に日中千歌ちゃんと会って何もなかった時のダイヤさんの落ち込み具合は頑張って隠し通そうとする様子も含めて見ていてあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ってなりそう
つまり好き ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています