内浦には婦女の下着から出汁をとり、雑煮として飲む小正月の民間信仰があった。
無病息災、子孫繁栄を願ってのことであるらしい。明治の中頃まであったが行政による取り締まりがあって表向きはなくなったが、熱心な信者の手によって細々と繋がれていたらしい。

その起源は不明だが黒澤氏所蔵の古文書の中に「女性の衣を割いて飲む」という一文があったことから、これが変化したものと考えられる。

民間説話のなかで、内浦の地名由来譚として「内衣の裏地を化け物に与えると退散し、人がこれを吸うとたちまちその村の人工が増えた」ことから内裏となり、浦がそもそも側にあることで内浦となったとされている。

       引用『未開の内浦』民明書房