花丸(放課後にはもう、ダイヤさんと二人きりによる噂は霧散していた)

花丸(結局、女の子の女の子による女の子のための愉快なお噺でしかなかったのだろう)

花丸(それは別にいいのだけど)

花丸(マルとしては少し、寂しい気持ちにもなる)

花丸(ダイヤさんとの関係が男女の恋中のようなものに発展したいとは)

花丸(あんなことがあった今も別に思うわけではないけれど)

花丸(あの温もりを、あのほほえみを)

花丸(国木田花丸が失ってしまうのは惜しい。そう、思った)

善子「なにぼーっとしてるのよ」

花丸「そんな、呆けた顔してた?」

善子「間抜けずらではなかったわよ。ずらだけに」

花丸「大丈夫?」

善子「心配そうな顔すんな!」

善子「心ない顔してるから、冗談言ってあげただけよ」

花丸「言いたいことは分かるけど、ここにあらず。って、ちゃんと言ってよ」

善子「そうね……言い返せるなら良いわ」