ダイヤ「花丸さんはまだ、一年生」

ダイヤ「存分に悩んでください。気が済むまで、問い続けてください」

花丸「っ」

ダイヤ「………」

花丸(優しい。そうとしか言えない抱擁に包まれる)

花丸(姉がいたら、兄がいたら)

花丸(こういう風に抱いてもらえたのだろうかと、熱くなる)

花丸「こんなところ見られたら、噂だけではすまないずら」

ダイヤ「構いませんわ。疚しいことなどないのだから、堂々としていればいいのです」

花丸「………」

ダイヤ「………」

花丸(ダイヤさんは抱いてくれる)

花丸(限りなく優しい力で抱きしめて、そっと頭に手を置いてくれた)

花丸(大丈夫。そう言われているようで)

花丸(ちっぽけな自分が縋ってもいい、大きな人がいると感じさせられるようで)

花丸(何の気なしに手を回すと、ダイヤさんは何も言わずに受け止めてくれる)

花丸(これも、消えちゃうのかな)

花丸(この暖かさも、優しさも、思い出も)

ダイヤ「……ごめんなさい」

花丸「マルの方こそ、ごめんなさい」

花丸(ダイヤさんがなぜ謝るのか。訳も分からずに、ただ、そう返した)