花丸(ダイヤさんはこれと言って動揺するようなことはなく)

花丸(話すときだけ手を止める。何ら変わりのない様子で、マルを見た)

花丸(噂が本当にあるのかどうか疑っているのかとも思ったけど)

花丸(それで、マルが何か迷惑を被ったのではないかと伺っているのだとすぐに察した)

花丸「別に、マルはどうともしてないずら」

花丸「ダイヤさんの真意が分からないならともかく、話す内容も何も分かっていたし」

花丸「そんなことがないことくらい、分かってたから」

花丸「みんなだって、噂をすることはあってもそれでどうこうするようなことはなかった」

花丸(物語であれ、現実であれ)

花丸(学校の人気者をしがない一般生徒が占有しようものなら、陰湿な悪意の掃き溜めにでもされるだろうけれど)

花丸(ここにおいて、そんなことをする人がいるわけもなく)

花丸「結構、狭いから……みんなそういう話に飢えてるんだなって、思ったずら」

花丸(実際、噂を楽しみ好奇の目を向けてきたけど、それで糾弾されるなんてことはなかった)

花丸(もし、クラスに戻ってノートや教科書が汚れていたら)

花丸(ダイヤさんに泣きついて、果南ちゃんと鞠莉ちゃんの力を借りて復讐の限りを尽くしてあげよう)

花丸(……なんて。する必要もない)