ダイヤ「……とりあえず、座ってお昼にしましょう」

花丸「あっ」

花丸(言われてようやく、自分が椅子を蹴飛ばしていることに気付く)

花丸(驚いたという言葉では軽いくらいに、動転していたのだと、戸惑う手を見て感じる)

ダイヤ「私としては、黒魔術が先であることを願うばかりです」

花丸「うん。気持ちは分かるずら」

花丸(少しずつ食べながら、軽く話を進めていく)

花丸(下手な推測は口にせず、ちょっとした希望を言ってみる)

花丸「黒魔術なら、それを止めれば終わるから」

ダイヤ「そうですね」

花丸「………」

ダイヤ「………」

花丸(会話の途切れた沈黙)

花丸(もくもくと食べる音が静寂だけは阻止する)

花丸(一つ一つ、丁寧な所作で食べ進めていくダイヤさんは)

花丸(悩みごとのせいか、愁いを帯びた雰囲気を感じさせ)

花丸(艶のある黒い髪はさらりと流れて、お弁当へと下る青緑色の瞳が柔らかく揺れる)

花丸(噂はともかく、評判に納得は行く)

花丸(こんな人と二人きり。しかも呼び出しとなれば、噂もしたくなる)

花丸「……そういえば、ダイヤさんが呼び出しに来たから、ちょっとだけ噂になったずら」

ダイヤ「噂?」

花丸「黒澤生徒会長と、国木田さんが付き合ってるんじゃないかって」

ダイヤ「また、根も葉もない噂を作るものですわね」

ダイヤ「呼び出すことなんて、少なからずあることでしょうに」