千歌「果南ちゃ〜ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」
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前スレ再掲から
VIPQ2_EXTDAT: checked:vvvvv:1000:512:----: EXT was configured 前回粘着されて荒らされてたのは素直に可哀想だと思ったけどそれは別問題としてもちょっと意味わかんねえわ色々
わざわざ建て直してエタるとかないよな? 荒らされる側にも問題があることを証明してくれたスレ。良作だと荒らしどころか埋め茸さえ湧かないからな 土曜日来なかっただけやん…SS速報なら当たり前のことやで?
と思ったけど金AM1時が最後だから実質2日か…速報は3日4日あるけどね
>>264
同時期のドッペルを匂わせたGsスレは短いのに1週間かけても荒れることなく無事終了だったからな
同じドッペル題材にしてこうまで差が開くのかと
SSスレでワッチョイ有りでも批判が沸くのは相当やで 別スレだからスレタイ出すのは控えるが
荒れてた前回の同時期だから2月中旬かな ダイヤ「こちらをどうぞ」ペラッ
千歌「わ、プリントだ」
ダイヤ「善子さんのノートがわかりやすかったので私も用紙にまとめてみましたわ」
善子「機械オンチでもコピー機は使えるのね、すごいわ」
千歌「私たち用にコピー二枚刷れるなんてすごいね」
ダイヤ「それは貶していますね?」
千歌「いや、そんな、ハハッ……」
善子「ほんと、純粋に褒めたつもりなのよ……」
ダイヤ「まぁ、構いませんが」コホンッ
ダイヤ「トモカヅキ、という三重県に伝わる海の妖怪がいます」
ダイヤ「この妖怪は海に潜る人と同じ姿に化け、その標的の命を奪うのです」
ダイヤ「ドッペルゲンガーとよく似ていませんか?」 千歌「花丸ちゃんが調べた妖怪と同じように、海の妖怪なんだね」
善子「三重県……県外の話だけど、ずら丸の中国に比べればずっと近いわね」
ダイヤ「実はですね、静岡県南伊豆町にもこの怪異がみられるそうなのです」
千歌「えっすぐ近くじゃん!」
ダイヤ「更にこのトモカヅキの姿を目にすると病気になる、とも言われているそうです」
ダイヤ「これはタイプB、ドッペルゲンガー病に相当するのではありませんか?」
ダイヤ「また、トモカヅキは同一の潜水者という意味を持ち、ドッペルゲンガーは二重の歩く者という意味を持ちます」
ダイヤ「名の意味を考えても、ドッペルゲンガーとトモカヅキは同一視してよいものと思われますわ」 善子「これだけ共通点があるなら確かにそう考えてもいいかも」
千歌「じゃあこれから、ともかづき?と似た特徴を持つ人を見つければいいってこと?」
ダイヤ「トモカヅキは曇天の日に遭遇するそうですから、入れ替わりが行われるのはそういった天気の悪い日でしょうね」
ダイヤ「花丸さんの巨大魚の話も参考にしますと、魚のような方も含まれるのではないでしょうか」
千歌「魚のような?」
ダイヤ「泳ぎが得意な方が怪しいかと」
善子「私は果南と曜が怪しいと思うわ」
千歌「えっなんでどうして!?Aqoursだよ!?」
善子「果南は島で暮らしてるし、ダイビングが好きでしょ?潜ったときに入れ替わられていたとしてもおかしくない」
善子「だから、入れ替わった偽者の果南がAqoursに呪いをかけている可能性がある」
善子「曜の方は元々水泳が得意で、高飛び込みは先生たちがオリンピック選手になるんじゃないかなんて期待されてるじゃない?そんな泳ぎが上手な人がわざわざスクールアイドル部に入るなんて変だと思うのよね」
善子「本来8人だったAqoursに加入してきてみんなの記憶を操作して呪いをかけているのだとしたら、それは曜なんじゃないかしら」 ダイヤ「私は鞠莉さんが疑わしいと思いますわ」
ダイヤ「鞠莉さんは既に入れ替わっていることが確定済み、周囲を海でかこまれた島暮らし」
ダイヤ「入れ替わり、ではなく、呪いをかける者として現れた9人目なのだとしたら、小学生の時に転校してきたという記憶は私たちに違和感を与えないエピソードではありませんか?」
善子「言われてみればそうかもしれないわね」
善子「じゃあひとまず果南、曜、鞠莉の三人が怪しいとみて……」
千歌「なんでAqoursのメンバーを疑うの……」
千歌「こんな犯人探しみたいなことやめようよ」
善子「みたいなこと、じゃなくて、私たちはまさしく犯人探しをしているの」
善子「私たちの中には呪いをかけているドッペルゲンガーが既に紛れ込んでる、これは間違いないことなの」
善子「元凶を取り除かなきゃいけない、わかる?」
千歌「いや、でも……ここまで話し合ってきてなんだけどさ」
千歌「入れ替わってても問題ないんじゃない?」 善子「なに言ってるのよ!?大問題でしょ!」
千歌「善子ちゃん最初に言ってたじゃん……ドッペルゲンガーは全くの同一人物だ、って」
千歌「同一人物なら本物も偽者もないんじゃないかな……」
ダイヤ「千歌さん」
ダイヤ「ここまでずっと仮定の話を続けて、真実が何一つわからないからと心が折れそうになるのもわかりますが、ここで諦めてはいけません」
ダイヤ「例え同一人物であろうとも、一方はただ本物を模倣しているだけにすぎません」
ダイヤ「諦めずに、一緒にがんばりましょう?」
善子「そうよ、私たちで必ずこの問題を解決するの」
千歌「……うん、そうだね」 鞠莉「ああ〜〜〜〜もう!ゲーテは一体どんな特別なことしたっていうのよ!」
花丸「恋をして恋をして戯曲を書いて小説を書いて婚約して婚約解消したね」
鞠莉「どれもこれといって特別なこととは言えないじゃない〜〜〜〜」
花丸「他のドッペルゲンガーを見た人と行動を見比べてもよくわからないよね」
花丸「でもまぁ……小説や戯曲を書くことでは死を回避できないことはわかったね」
鞠莉「どうして?」
花丸「それで死なずにいられるなら、小説を書いていた芥川龍之介が死ぬわけがないずら」
鞠莉「じゃあたくさん恋をすればいいの?」
花丸「それも……恋多き女性だったエカテリーナ二世が死んでしまっているから違うと思う」
鞠莉「それなら正式に婚約して解消すればいいのね!」
花丸「試す価値はあるけど、そんなにすぐお相手が見つかるかな……」
鞠莉「まあ……解消するために婚約するのもなんだかね……」
鞠莉「でも私、死にたくないの」
花丸「鞠莉ちゃん……」 曜「あのさ、病気のことはわからなかったんだけど、ドッペルゲンガーを見たあとに死ぬ前の予兆?みたいなのがあるらしいよ」
曜「鏡に映るんだって、死んだ自分の姿が」
鞠莉「うっ……見たくないわね、そんなの」
花丸「少なくとも、鏡にそれが映るまでは死なないってことだね」
曜「それで……思うんだけど、梨子ちゃんは鏡に映った自分の姿を見て、それで入院するほどのケガをしちゃったんじゃないかな」
鞠莉「あ……それはあるかもしれないわね」
鞠莉「捻挫してたからそれで転んで頭を打った……ってだけなら、目を覚ましたときにPanic状態になるわけがない」
花丸「鏡に映った自分の死んだ姿を見て、そのあとドッペルゲンガーに殺されかけた……とかかな」
鞠莉「Aqoursに来てほしくないっていうのも、もしかしたら私たちの姿をしたDoppelgangerに殺されそうになったからかも……」
曜「うん」 曜「今日はもう遅いから明日、梨子ちゃんのお母さんに詳しいこと聞いてみようと思う」
花丸「マルは明日、沼津の図書館に行ってくるね」
花丸「もっといろいろ調べて、ドッペルゲンガーが出た子が死なないようになる方法や、病気の子を治す方法を探してみる」
鞠莉「私は……よその図書館に行ってみるわ」
鞠莉「調べたい本が沼津に置いてなかったら連絡ちょうだいね、周辺で探してみるから」
花丸「うん、お願い」
曜「婚約のこと、真面目に考えてみるのもありかもだよ」
鞠莉「うーん……親に言うだけ言ってみるわ、そんなすぐすぐには決まりっこないでしょうけど」
鞠莉「はぁ……気が重いわ……」 DPG対策本部(3)
ヨハネ:夜遅くに悪いけど、起きてる?
ダイヤ:起きてます
ヨハネ:千歌は寝てるんでしょうね
ヨハネ:通知音で起こしちゃったらごめんなさい
ヨハネ:トモカヅキって曇りの日に遭遇するのよね?
ダイヤ:はい
ヨハネ:行動表見直したらね、私のDPGが出た日に雨が降ってるの
ヨハネ:雨が降ったときにはDPGは消えてたって話だから、梨子が私のDPGを見た瞬間は曇り空だったことは確実
ヨハネ:トモカヅキの性質がAにそのまま継承されていると考えると、これは思っていた以上に信憑性が高いと思う
ダイヤ:ですが、果南さんと鞠莉さんのドッペルゲンガーが出た日の天気を確認すると晴れとなっていました
ダイヤ:何か条件があるのかもしれません ヨハネ:ともあれ、DPGがトモカヅキの性質を持っているのは間違いないようだから、何か弱点がないか調べてみるわ
ダイヤ:星形の印と格子状の印に弱いとされているようですが
ヨハネ:ドーマンセーマンね
ヨハネ:ただ、ダイヤ以外はみんなお札を持ってるでしょう?
ヨハネ:それなのにルビィの病気は治らないし、偽者の鞠莉も消えない
ダイヤ:お札や魔除けでは効果がない、と?
ヨハネ:お札一枚だけじゃ力が足りないのかも
ダイヤ:退治するためには皆さんのお札すべてを使う必要があるのかもしれない、ということでしょうか
ヨハネ:そうかも
ヨハネ:他にも弱点があるならそれで弱体化させて、その後護符で一気にカタをつけたいと思う
ダイヤ:それもそうですね
ダイヤ:日中に言った通り、私は明日ルビィの買い物に付き合いますので、帰宅してからこちらでも調べますね
ヨハネ:うん、よろしく 「ごめんなさいね、折角来てもらったのに」
曜「いえ、お話を聞けただけよかったです、お大事にしてくださいね」
「ええ、ありがとう、それじゃぁ……」
曜(梨子ちゃんのお母さん、出掛ける前に会えてよかった……)
曜(たぶんだけどやっぱり鏡に映る自分の死んだ姿を見たかもしれないっぽい……っと)スッスッ
果南「曜ちゃん、おはよ」
曜「え、あ、果南ちゃん!おはよーそろー!」
果南「あは、朝から元気だね」
曜「果南ちゃんは少し元気ないね」
果南「親御さんに梨子ちゃんの様子聞きに来たんだけど……もしかしていま出ていった車って」
曜「うん、梨子ちゃんのとこの車」
果南「あちゃー……遅かったか」
曜「私さっきお話聞いたから、差し支えないなら話すよ?」
果南「じゃあお願い」 曜「検査の結果はまだ出てないらしいんだけど」
果南「まぁそんなすぐに結果がわかるものでもないだろうしね」
曜「打撲以上に精神面が心配って言ってたよ」
曜「起きてる間はずっと虚空を見つめてなにか呟いてるみたいで」
曜「おばさんやおじさんが話しかけると、Aqoursは絶対にこの部屋に入れないでって返すらしい」
曜「みんなが殺しにくるって思い込んでるようで、知らない誰かが近くに寄るとパニックになって大声で叫んでどうしようもないんだって」
曜「あと、頭打ったってことしか知らなかったからケガしたときのことも聞いたんだけどね」
曜「捻挫を診てもらいに病院に行って帰ってきてから普段と態度が違ったらしくて」
曜「部屋で何か怒鳴り散らして暴れてたって」
曜「おばさんが部屋に入ったときには大きな家具が倒れてて、窓や鏡も割れててその破片で切り傷も多くしてたって……」 果南「……何が梨子ちゃんをそこまでさせたんだろう」
曜(ドッペルゲンガーが、なんて言えないよね)
曜「なにがあったんだろうね……」
果南「お見舞いに行けないっていうのも悲しいよね」
果南「なんで……なんで、誰かに殺されるって思うようになったんだろう……」
果南「誰かに暴力振るわれたり……なんて、あるわけないよね」
曜「うん……うん……」
果南「曜ちゃん?」
曜「うん?」
果南「話、きいてるよね?」
曜「聞いてるよ」
曜「梨子ちゃんの様子が思ってたより深刻で……どうしたらいいのかなって」
果南「考えたってわかんないよね……」
曜「うん、わかんないね……」 曜「あ、そういえばさ、これ、厄除けなんだけどよかったら果南ちゃん使ってみて」
果南「厄除け?この袋が?」
曜「あ、中に入ってるからあとで確認してみて」
曜「最近みんな元気なかったし、私は運悪く捻挫しちゃったし、梨子ちゃんなんて入院するほどになっちゃったから、花丸ちゃんが厄除けにってくれたの」
曜「厄の払い方は紙に書いてあるから、家に帰ったらやってみてね」
果南「ふぅん」
曜(木曜金曜会えなかったから、果南ちゃんが病気になってるかどうかわからない)
曜(病気になってるならまだ間に合うかもしれないし、病気になってないならそれを未然に防ぐために、渡したっていいよね)
曜(私はまた花丸ちゃんにもらえばいいし……ってアテにするのはよくないかな、でも果南ちゃん元気なくて心配だし……)
果南「こういうの私、信じてないんだけど……」
曜「花丸ちゃんが好意でくれたんだから!ちゃんと厄払って元気になろ?」
果南「そだね、うん」 ダイヤ「買いたいものはこれで全部?」
ルビィ「んと、その……まだ、あるんだけど……」キョロキョロ
ダイヤ「大丈夫です、不審者なんていませんわ」
ルビィ「ほんとに?ずっと足音が……」
ダイヤ「休日ですのよ?たくさんの人が歩いていて、それで足音がしないわけがないでしょう?」
ルビィ「し、視線も……ずっと感じるし」
ダイヤ「そんなもの気のせいですわ」
ダイヤ「もし誰かが見ているのだとしても、それはあなたがAqoursだから」
ダイヤ「以前、ここ沼津でもライブをしたことがあるから、きっとその時ファンになってくれた方でしょう」
ルビィ「ライブはしたけど、でも……」
ダイヤ「例の人はもう近くに住んでいないのだから、そう過敏になることもないのよ」
ルビィ「……っ、お姉ちゃん!そこに、後ろに!」
ダイヤ「これだけ人が多いんですもの、似たような人もいるでしょうし、見間違いだってあるでしょうよ」
ルビィ「違うの!違うの!!いたの!!」
ポンッ
花丸「ルビィちゃ」
ルビィ「キャアアアアッ」ダッ 花丸「待って!ルビィちゃん!!」
ルビィ「は、花丸ちゃん?」ピタッ
ガンッガチャンッ
ルビィ「ひゃっ」
花丸「わっ」
ルビィ「……なんで植木鉢が」
ダイヤ「ルビィ!ルビィ大丈夫!?怪我はない!?」
花丸「どこにも当たらなかった!?破片で怪我してない!?」
ダイヤ「急に走り出して……花丸さんが呼び止めてくれてなければきっと怪我どころでは……」
花丸「見たところ出血はないみたいだけど」
ルビィ「は、植木鉢を落としたのは誰?」ガタガタ
ルビィ「ルビィをケガさせようとしたのは誰!?」ガタガタ
ルビィ「いるんでしょ!?いるんでしょ!!すぐそばに!!」
ダイヤ「ルビィ、ルビィ落ち着いて、大丈夫、私が」
ルビィ「やだ!!やだ!!もうやだ!!」ダッ
ダイヤ「ルビィ!待ちなさい!」 千歌「果南ちゃん!」
果南「あれ?千歌……どうしたの?」
千歌「いや、その、最近会えてなかったから」
果南「それでわざわざ島まで来たの?」
千歌「うん」
果南「さっき梨子ちゃんの家までいってたんだ」
果南「千歌の家にも寄ってけばよかったね……ちょっと話そっか」
千歌「……うん」
果南「ねぇ、最近みんな変だよね」
千歌「変?」
果南「お昼休みは鞠莉もダイヤも仕事するとか言って一緒に食べてくれないし」
千歌「忙しいんだよ、きっと」
果南「だからってお昼にまで仕事しなくたって」 果南「鞠莉とさ、話しててもさ、なんか上の空というか考え事してるというか、最近ずっとそんな感じ」
果南「悩みがあるなら相談にのるって言ってるのに大丈夫なんて言って……他のみんなもそう」
果南「みんな隠し事してる、千歌も隠し事してるでしょ」
千歌「それは……」
果南「言うべきか悩んでる顔だ」
千歌「……果南ちゃんには隠し事できないね」
果南「何年一緒にいると思ってるの」
果南「言いたくないなら無理には聞かないけどさ」
果南「Aqoursってこんなにバラバラだったっけ……ってよく考えるようになって」
果南「信用してもらえてないのかな、ちょっと寂しい」
千歌「全部は、その、言えないんだけど、ひとつ聞きたいことがあるの」
果南「なに?」 千歌「善子ちゃんに聞いたんだけど、梨子ちゃんが捻挫しちゃったのが果南ちゃんのせいって……」
果南「ああ、うん、そだね」
千歌「どういうこと?果南ちゃんが突き落とした、とか、なの?」
果南「……うん、そだね」
千歌「っ!」
千歌「果南ちゃんはそんなことしないでしょ!?なにか事情があったんだよね!?」
果南「……、えと、うん、そうだな……口開くと言い訳しか出てこなさそう」
果南「果南ちゃんは悪くないよ、って、そういう風に千歌は言ってくれると思う」
果南「だから言わない」
千歌「なんで!?果南ちゃんが悪くないなら私責めないよ!?」 果南「何言っても言い訳なんだよ」
果南「私が梨子ちゃんにケガを負わせた、これは事実」
千歌「うそだよ……」
果南「梨子ちゃんに謝らなきゃいけなかったのに……その日の放課後はなんか……声かけるタイミングわからなくて、次の日は梨子ちゃんが休んだから、なんて自分に言い訳して」
果南「嫌われるのが怖くて、責められるのが怖くて、先送りにしてたら、こんなことになって」
果南「そうやってずっと逃げてたのに、自分だけ罪の意識から逃げようなんて許されるわけない」
果南「梨子ちゃんは、私が突き落としたの」
千歌「そんな……」 ――――
果南「ただいまぁ」
果南(どうしよ……千歌に嫌われたかな……)
果南(梨子ちゃんが入院する前に、ちゃんと謝ればよかった)
果南(ちゃんと話して、梨子ちゃんが許してくれるまでちゃんと謝ってたら)
果南(ダイヤも鞠莉も、私を避けることなんてなかったのかな……)
果南「げっ」
果南(ペットボトルの蓋が緩んで鞄の中がお茶浸しだ!)
果南(財布もポーチもストラップもあれもこれも全部びしょ濡れ!)
果南「ああっクソッ!」バンッ
果南「……」
果南(いけないいけない落ち着け松浦果南)
果南(華の女子高生が汚い悪態ついた挙げ句に鞄を投げつけるな)
果南(鞄に八つ当たりしたところで何も変わらない)
果南(ペットボトルの蓋は開きっぱなしだから被害は広がるばかりだし)
果南(ペットボトルを捨てる、濡れたものを拭く、拭いたものを乾かす、ひとつひとつやっていかないと)
果南「はぁぁ……」
果南(全部私のせいなのかな) 果南(ダイヤと鞠莉が私を避けてお昼ごはんを食べるようになったのは、梨子ちゃんと曜ちゃんが階段から落ちた翌日から)
果南(あの二人はたぶんわかったんだ、私が梨子ちゃんを後ろから押したって)
果南(私のせいでケガさせちゃったのに、謝りもしないで……)
果南(……梨子ちゃんだけじゃない、曜ちゃんにも謝らなきゃいけなかった)
果南(朝、会ったのに)
果南(あまりにも普段通りに話しかけてくるから……捻挫してること忘れてた)
果南(自分のことばっかり考えて……曜ちゃんも捻挫してるのに、少しも気にかけなかった)
果南(私、最低だ……) DPG対策支部(3)
花丸:さっき、図書館の帰りにダイヤさんとルビィちゃんに会っただけど
花丸:突然鉢植えが上から落ちてきて、危うくルビィちゃんが大怪我するところだった
曜:大丈夫だったの!?
花丸:うん、なんとか
鞠莉:ドッペルゲンガーがルビィを殺そうとしてるのかしら
花丸:少し前からね、ルビィちゃん、足音や視線が気になるって話してた
曜:それってたぶん、ドッペルゲンガーだよね
曜:そういえば、先週の月曜日にも ――――
曜:結局ただの見間違いってことになったんだけど、その時ルビィちゃんが言ってたんだ
曜:人の気配を感じたときは本当に誰かがいるって
曜:もしかしたら、ほんとはドッペルゲンガーを見たのに、こわくて言い出せなかったのかも
鞠莉:みんなを不安にさせないように黙っていてくれてたのかもしれないね
鞠莉:花丸がさっき会ったとき、ルビィのドッペルゲンガーは見なかった?
花丸:うん、私も周りを見てみたんだけどそれっぽいのは見つからなくて
花丸:でも、鉢植えが落ちる直前、ルビィちゃんの様子がおかしかったの
花丸:『違うの』ってしきりに言ってた
花丸:何が違うのか、ドッペルゲンガーじゃないってことを言いたかったのか、そうだとしたらつまり
曜:宇宙人?
鞠莉:いやまさか
鞠莉:だめだね、私ったら
鞠莉:すぐ否定しようとするなんて
花丸:ルビィちゃんの言葉の真意はわからない、でも、私たちが思っているよりももっとずっと大規模な話なのかもしれない 花丸(一度最初から、整理し直そう)
花丸(何か見落としがあるかもしれない)
花丸(まずは行動表を……)スッスッ
花丸(あれ?あれっ?)
花丸(見られない!どうしよう、本部抜けたからグループ開いても見られなくなってる!) DPG対策支部(3)
花丸:あの、ごめんなさい
曜:どうしたの?
鞠莉:何かあった?
花丸:ドッペルゲンガーのこと、一から見直そうって思ったんだけど
花丸:行動表見られなくなってる
曜:あ、私保存してるから大丈夫だよ
花丸:ほんとに!?ありがとう!
曜:ノートに投稿しておくね
鞠莉:ノートの見方はわかる?
花丸:右上のアイコン開けばいいんだよね!ありがとう! ――――
花丸(そんなに簡単には……新たな発見、なんてないか……)
花丸(果南ちゃんの行動だけが不確定なんだよね)
花丸「ねぇ、ばあちゃん」
「ん?なんだい?」
花丸「この前……えっと……先々週の木曜日なんだけど、海辺で果南ちゃん見かけたんだよね?」
「えらい前のこと聞くんだねぇ」
花丸「どんな様子だったかとか何時に見たかって正確に覚えてる?」
「いんやぁ、そんな前のこと、様子はともかく時間なんてさっぱり覚えてないずら」
花丸「だよね……あの日は18:30に果南ちゃん見かけてるから19:10くらいにうちに帰ってきてる、時間に関してわかるのはそれだけか……」
「うん?最近ばあちゃん、帰りはタクシー乗ってるから、海辺にいる果南ちゃんを見たのはもっとあとの時間になるんじゃないかね」
花丸「え、タクシー?」
「荷物下げて何十分も歩くのはもう難儀でなぁ」 花丸「タクシーだと……ここから海辺までは10分くらい……かな」
「それぐらいかねぇ」
花丸「ねぇ、その時の果南ちゃんと鞠莉ちゃんの様子、どんなだったか教えてくれない?どんなことでもいいから」
「鞠莉ちゃん、ってのはあの派手な見た目の子だったかね?」
花丸「そうずら、金髪で、スタイルよくて、美人で……」
「その子は見てないねぇ、果南ちゃんひとりでいたずら」
花丸「え、いや、いるよ、いたはずだよ、そばにいたでしょ?少し離れたところにいたのかな?見たよね?」
「あんなべっぴんさん、視界に入ったらすーぐ気付くずら」
「気付かなかったってことはいなかったってことずら」
「果南ちゃんひとりでねぇ、海にでも話しかけてるみたいだったよ」
花丸「ひとりで?ひとりで……会話……?」 花丸(そんなのおかしいよ……だって、果南ちゃんは鞠莉ちゃんと話してたはずなのに)
花丸(鞠莉ちゃんが調べてた……精神病、集団催眠、に、あてはまるわけがないよね)
花丸(だって、精神に負荷がかかるようなことなんてなかった、なんてことない日常で……幻覚なんて見るわけがない)
花丸(……よく考えたら、ドッペルゲンガーを目撃するのは、いつも一人だった)
花丸(もしかして……入れ替わる前のドッペルゲンガーは、騙そうとしてる対象者にしか見えない?)
花丸(本物をどこかへ隠してるんだと思ってたけど、入れ替わる時に偽者の体を捨てて、本物の体に寄生するのかも……)
花丸(寄生された人が……病気になってるように見える、とか……?)
花丸(わからない……ふたりに相談してみよう……) Aqours(9)
ダイヤ:明日の朝、皆さんお忙しいですか?
ダイヤ:直接お話したいことがあります
ダイヤ:三年生みんなで考えて、三年生みんなで出した結論を、申し上げたいと思います
ダイヤ:いつもの朝練の時間に部室まで来て下さい そもそも偽者だってわかるとか言い出した花丸が怪しい 今のとこドッペルゲンガーを二人以上で同時に目撃したことはないんだっけ? 一番最初の行動で果南だけ嘘ついてれば(多分)辻褄が合う
ばあちゃんが鞠莉と果南で歩いてたのを否定したから
果南が千歌に奢るのをからかっただけだったのが、善子のせいで変な話になったんじゃない? なんで冗長に感じるか分かった気がする
数十レス進んでるのに事態が転じることが殆ど無いからだ
それだけ丁寧ってことでもあるかもだけど
話をちゃんと纏められるかどうかで良作にもクソSSにもなるやつ
漫画がグダついた挙げ句途中までは良かったのに…と言われるアレだ あまり見ないメンバーの組み合わせで動いてるのが新鮮 花丸「はぁ……」
花丸(気が滅入る……)
花丸「はぁ……」
花丸(少し遅れます……っと)スッスッ
花丸(木札は……)ゴソゴソ
花丸(平気、割れてない)
花丸(マルは大丈夫)
花丸(ルビィちゃん、ダイヤさん、善子ちゃん、千歌ちゃん……)
花丸(ドッペルゲンガーが集まる)
花丸(もし襲われても大丈夫なように扉の近くにいよう) ガラッ
花丸「おは……」
花丸「……」
曜「あ、おはよー花丸ちゃん」
千歌「おはよう!遅れたのって、体調悪かったからだったりする?だったら無理しないでね?」
ダイヤ「これで全員揃いましたわね」
善子「ルビィは来ないの?」
鞠莉「その話もあとでするね」
花丸(……白々しい演技)
果南「花丸ちゃん、どうしたの?具合悪いなら座りなよ、ほら」スッ
花丸「触らないで」パシッ
果南「いたっ……な、なんで?」
花丸「騙そうとしたって無駄だよ!」
花丸「ここのみんなは偽者!マルにはわかるんだから!」 果南「にせ……え?なに言ってるの?」
千歌「は、花丸ちゃん?」
花丸「みんなをどこにやったの!」
千歌「落ち着いて、花丸ちゃ」
花丸「触らないでって言ってるでしょ!!」ドンッ
花丸「マルは!マルはみんなを助けるんだから!」ダッ
千歌「ま、まって花丸ちゃん!」タッ
果南「花丸ちゃん!」
鞠莉「私たちも追いましょう!」
果南「や、まって、みんなで追ったら花丸ちゃんの神経を逆撫でしちゃうかもしれない」
果南「千歌はもう行っちゃったから仕方ないとして、あとは私が様子見てくるから、みんなはここで待ってて」
ダイヤ「果南さんがそうおっしゃるなら……」
鞠莉「じゃあ、花丸たちのことは任せるね」
果南「うん!」 曜「ねぇ、花丸ちゃん、私たちのこと偽者って……」
曜「わ、私たちももう病気になっちゃってるの……!?」
曜「私、私は、私は偽者なの!?どうして!?いつ!?」
鞠莉「落ち着いて、曜……」ギュッ
善子「ねぇ、曜……病気って……」
曜「ドッペルゲンガーの病気!ルビィちゃんとダイヤさんが最初にかかって、次に善子ちゃんもかかっちゃって、今度は私たちみんな病気になっちゃったんだ!!」
鞠莉「曜……大丈夫、きっと大丈夫よ」
曜「なんで!?私たちもうだめかもしれないのに!花丸ちゃんが!断言したんだよ!!私たちみんな偽者って」
鞠莉「とにかく落ち着いて、深呼吸して、それからあなたの木札をご覧なさい」
曜「木札……そうだ、私が病気になる前に先に木札が身代わりになってくれるはず……」ゴソゴソ
曜「割れてない……貰ったときと何も変わってない……」
鞠莉「ね?きっと大丈夫、花丸のちょっとした思い違いよ」 ダイヤ「落ち着きましたか?」
曜「うん……取り乱してごめん……」
善子「いいのよ、曜が騒いでくれたおかげでこっちは逆に冷静になれたから」
善子「ねぇ、ドッペルゲンガー病のこと、知ってるの?」
鞠莉「花丸から聞いたわ」
鞠莉「その様子じゃ、善子も病気のこと知ってるみたいね」
善子「ええ」
ダイヤ「曜さんの言葉でなんとなく、察しがつきましたわ」
ダイヤ「花丸さんは最初、私たち姉妹が病気になっていると気付いたのですね?そしてその後、善子さんが病気になったと思ってしまった」
善子「でもあの子、私にはルビィのことしか言わなかったわ」
ダイヤ「花丸さんの単なる伝達ミスか、あるいは善子さんが聞き漏らしていたのでしょう、その情報を伏せる意味はないのですから」
ダイヤ「私たちと一緒にはいられないと判断した花丸さんは、病気になっていない鞠莉さんと曜さんを相談相手に選び、今日までドッペルゲンガーについて三人で調べていたのではなくて?」
鞠莉「ええ、その通り」
鞠莉「花丸を中心に、いろいろ調べていたわ」
鞠莉「花丸がどうして急にあんな風になったのかはわからないけれど……」
ダイヤ「あの様子には、覚えがあります」
ダイヤ「原因不明の精神病、カプグラ症候群」 曜「かぷ?なんて?」
鞠莉「なにか……聞いたことあるような……」
ダイヤ「カプグラ症候群とは、友人や家族が瓜二つの別人と入れ替わっていると誤認してしまう精神病ですわ」
ダイヤ「以前ル……身内がこの病気にかかってしまったことがあります、その人の場合は一過性のものだったので今は正常ですが」
ダイヤ「この認識障害は前触れもなく突然引き起こるものらしいのですが花丸さんの場合はおそらく、」
ダイヤ「仲間に対して懐疑的にならざるを得ない状況、慢性的なストレス、周囲からの期待、それに伴う強い責任感、重圧、これらが悪い具合に噛み合って、発症してしまったのでしょう」
鞠莉「わ、私……知ってる……知ってた……」
鞠莉「読んだ本に書いてあったのに……知ってたのに!!」
鞠莉「なんで!!気付いてあげられなかったの!!」
ダイヤ「仕方がありません、私だって実際にこの目で見ていなければ記憶に残っていなかったでしょうし……善子さんからお話を聞いた時点で私が気付かなければならなかったことですわ」 鞠莉「それでも、私はその病気を知っていて、花丸の傍にいた!」
鞠莉「花丸は苦しんでいたはずなのに!こんなことになって……!」
鞠莉「あの子を助けられなかったのは私のせいよ!!」
ダイヤ「鞠莉さん……そう自分を責めないで」
曜「そうだよ……それを言うなら私にだって責任がある」
曜「お寺の子だからなんとかできないかってせっついて……」
善子「私も同罪ね……」
ダイヤ「誰もが悪く、そして運も悪かったのですわ」
ガラッ
千歌「……」
ダイヤ「おかえりなさい千歌さん、大丈夫ですか……?」
鞠莉「花丸と果南は?」 千歌「花丸ちゃん、何度も何度も千歌に偽者って言ってきた」
千歌「止めようとしても宥めようとしても、殺されるって言ってきて」
千歌「抑え込もうとしたらいっぱいいっぱい叩かれた」
千歌「すごく、痛くて……叩かれたことより、花丸ちゃんが千歌を拒絶してくることが苦しくて悲しくて……」
千歌「果南ちゃんが来てくれたから花丸ちゃんを任せて先生呼びに行ったんだけど」
千歌「先生連れて花丸ちゃんたちのところに戻ったら果南ちゃんが頭から血を流してて」
千歌「花丸ちゃんは先生がおうちに送るって言うからお願いして、果南ちゃんはいま保健室で手当てしてもらってる……もしかしたら病院に行くことになるかもしれない」
曜「……」
千歌「ねぇ、アイドル活動やめるって、ほんと?」
善子「え……そうなの?」
鞠莉「果南から聞いたのね」
千歌「……」コクッ ダイヤ「Aqoursは、一時活動を休止します」
ダイヤ「昨日起こったある事故がきっかけで、ルビィはしばらく外出できなくなる恐れがあります」
ダイヤ「外傷を負ったわけではないのですが、精神が不安定になっており、そのための自宅療養といったものです」
ダイヤ「梨子さん、ルビィの二人が抜け、Aqoursの絆にもひび割れを感じつつありました」
ダイヤ「一度アイドル活動を休み、このドッペルゲンガー事件を解決したあとまた活動を再開しましょう」
ダイヤ「これさえ解決すれば、すべては元通りなのですから」
千歌「ねぇ、それなんだけど」
千歌「千歌、もう、やめちゃっていいかな」
千歌「もう、疲れちゃった」
千歌「友達を疑うことも」
千歌「友達に嫌われることも」
千歌「もう、いやになっちゃった」 曜「千歌ちゃん、いいよ」
曜「もう無理しないで、この事は忘れていいよ」
曜「ずっと、私たちのために笑顔でいてくれてありがとう」
千歌「結局千歌は、何もできなかったね」
千歌「ごめんね」
ガラッ……ピシャッ
…………
善子「黙ってても後悔してても先には進めないわ」
善子「授業の開始まで、まだ随分と時間がある」
善子「曜、鞠莉、あなたたちが調べたり考えたりしてきたことを教えてもらえないかしら、私たちのことも教えるわ」
曜「うん……わかった……」 ――――
ダイヤ「いろいろ活動していたのですね……」
善子「鞠莉にはあらぬ疑いをかけちゃって……ごめんなさい……」
鞠莉「いえ、それはいいんだけれど……」
鞠莉「ドッペルゲンガー病は花丸の妄想なんでしょう?」
鞠莉「それなら、Doppelgangerなんて最初からいなかったんじゃないかしら」
鞠莉「さっきも言ったけれど、昨日花丸から聞いたことを思い出してほしいの」
鞠莉「花丸のGrandmotherは果南しか目撃していない」
鞠莉「きっと、最初から何か勘違いしていて、」
ダイヤ「鞠莉さんこそ思い出してください」
ダイヤ「果南さんが最初、この日の行動のことをどう言っていたかを」 ダイヤ「果南さんは、あなたと分かれた時間が19時だと言っていましたわ」
ダイヤ「これはあなたと共に帰宅しなかったことを言外に含んでいます」
ダイヤ「果南さんはあなたとお話をして、帰宅する鞠莉さんを見送り、一人で海辺を散策していたのでは?」
ダイヤ「果南さんはその日、時計を見ていなかったためにその時間はただの推測」
ダイヤ「その日は一日晴れていましたが、雲の動きを確認したところ夕方以降は曇り」
ダイヤ「となればあとは簡単なこと」
ダイヤ「暗くなっていたから19時だと思う、と推定していましたが、それが果南さんの勘違いだったのですわ」
曜「ままままって、そう捲し立てられても何がなんだか……」
ダイヤ「それでは紙にわかりやすく時系列をまとめましょうか」 ――――
証言
18:30頃 花丸祖母が海辺の果南を目撃
19:00頃 果南が鞠莉と分かれる
(一緒に帰宅していない)
事実
18:? 果南が鞠莉と分かれる
(曇天の為、果南は19時と誤認)
19:00 果南一人で海辺を散策
花丸祖母が海辺の果南を目撃
――――
ダイヤ「そして、曇天にはトモカヅキが現れる」 キーンコーン……
曜「予鈴……」
鞠莉「いいわ、気にしないで続けましょう」
鞠莉「授業よりもこっちの方が大事だわ」
鞠莉「……私ね、嫌なこと、受け入れられないこと、すぐ否定してしまうの」
鞠莉「こんなこと起きてほしくない、Doppelgangerなんて嘘、ありえない」
鞠莉「そうやって否定することは、私たちの日常を守るためにとても魅惑的だから」
鞠莉「だけど、もう否定しない」
鞠莉「全部受け入れる」
鞠莉「その上で全部解決して全部取り戻して、全部元通りにしてみせるわ」 鞠莉「勘違い、行き違いがありえないことは行動表を作ったときにわかっていたことよね」
鞠莉「Doppelgangerは曇天に現れる、つまり、私と果南と善子のDoppelgangerは存在する」
鞠莉「善子は精神不安定を理由に梨子の見たDoppelgangerを幻覚だと言ったけれど、それを見た時点の梨子は確実に正常だったと言えるわ」
鞠莉「それからルビィ」
鞠莉「……ダイヤ、話しづらいこと教えてくれてありがとうね」
鞠莉「Stalker被害にあっていたルビィが昨日しきりに違うと言っていたのはきっと、自分の見たものがStalkerではないことを意味するのよ」
鞠莉「ルビィはDoppelgangerを見ていたんだわ」
鞠莉「放っておけばDoppelgangerはもっと増える」
鞠莉「ダイヤや曜のものだっていずれ出てくるようになるはずよ」
鞠莉「それを防ぐために、元を断ちましょう」 曜「元を断つ……って言っても、元凶が何なのか……誰なのか……」
ダイヤ「見当をつけることはできますわ」
ダイヤ「はっきりと申し上げますと、元凶のドッペルゲンガーは果南さんだと私は考えていますの」
ダイヤ「ドッペルゲンガーが出たのは果南さん、鞠莉さん、善子さん、そしておそらくルビィ」
ダイヤ「この四人の中で最初にドッペルゲンガーが現れたのは?」
善子「果南と鞠莉のどちらかね」
ダイヤ「そして、ドッペルゲンガーと接触した可能性が高いのは、果南さん」
ダイヤ「鞠莉さんは19時以降バスを降りるまでは私と共に行動をしていました」
ダイヤ「鞠莉さんのドッペルゲンガーは19時前には果南さんと分かれ、消えていたであろうことが考えられますわ」
ダイヤ「一方果南さんは数分から数十分、一人でいたことが花丸さんのお婆様の証言により確認されています」
ダイヤ「その間にドッペルゲンガーと入れ替わってしまったのではないでしょうか」
ダイヤ「その後は入れ替わった自覚を持たずにAqoursのメンバーに厄災を振り撒いているのだとしたら」
善子「梨子を階段から突き落としたってことは本人も認めていることだしね……無自覚にAqoursを殺そうとしている、っていうのはあるかもしれない」 ダイヤ「もちろん、鞠莉さんと善子さんとルビィがまだ入れ替わっていないと断言することはできませんが、これは元凶を退治すれば解決すると……そういう希望を持ちたいところですわね」
ダイヤ「入れ替わった人への対策は善子さんに何か考えがあるそうですから、今こそその考えにすがりたいのですが」
ダイヤ「入れ替わった果南さんを元に戻す方法を、教えて頂けませんか」
善子「そうね……」
善子「入れ替わる、という点についてのみ注目すれば、物語に於ける鏡や影なんかにも同じことが言える」
善子「怪奇物語でのこれらは、本体との入れ替わりを目論んでいる化け物としてえがかれることが多々あるわ」
善子「でも今回はそれがドッペルゲンガー」
善子「どこから発生して、入れ替わった本体がどこへ連れていかれるのか不明」
善子「私は、入れ替わった人は切り捨てるつもりでいた」
善子「殺してしまえばいいのよ」
ダイヤ「そんな……」 曜「……花丸ちゃんはみんなを守ろうとしてた」
善子「その結果どうなった?」
善子「重圧に押し潰されて精神病発症してるじゃないの」
曜「そんな言い方っ」
善子「事実よ!」
曜「善子ちゃんっ!」
曜「大体、果南ちゃんが入れ替わっているかどうかっていうのはただの想像だよ!?」
曜「入れ替わっていないかもしれない、元凶じゃないかもしれない!!」
曜「確信が持てないのに殺すなんて、そんなのただの人殺しだよ!!」
善子「疑わしきは罰せよ、果南を殺して事態が進展するならそれも仕方ないことじゃない!!」
鞠莉「落ち着いて!ふたりとも!」
ダイヤ「言い争ったところで何も変わりませんのよ!」
曜「でも!殺すなんて!」
善子「仕方ないじゃない……それ以外にどうすればいいのよ……」
鞠莉「入れ替わり元がわかればいいのよね?」 乙
だんだんB級映画みたいになってきたな…ちょっと残念
鞠莉の台詞だから英語なんだろうけど
書記とかではなく台詞ならドッペルゲンガーの表記は統一して欲しい
絵の無いSSで表記ブレは読み辛くて困る
トリックの一貫ならすまん 前回粘着してた奴はキチガイだったからあまり耳を貸してなかったけど、まあ今になって分かったわ
冗長
楽しみにするほどのもんでもなかった 合わなかったなら黙ってスレ閉じればいいのに
なんでわざわざ評論家様気取りで上から物申してくるんだか (笑)(庭)アウアウ二刀流>>1かなw?(荒し)
冗談はともかく意見の一つや二つくらい良いでしょ 無駄に引き伸ばして展開進まないクソss。書くのやめろ >>335
1じゃないのは見ればわかるだろ
別に自演したくてこうなったわけではないよ 期待して続き待ってるよ
文句言うならスレ閉じて、もっと生産的な事をしたら?
まさかガチニートな訳じゃないでしょ? だからってそんな挑発的なこと書くのは如何なもんか
まぁ作者はがんばれ 今日は更新なし
自分のワッチョイは-sOyQと-PtLHのみ
頼むから喧嘩しないで お客様に何言われようが書き続けてくれればそれでいいよ まあなんというか、長いssってだけである程度支持する層はいるんだなあって 善子「言っておくけど、トモカヅキはドッペルゲンガーと同じで、発生元はわからないわよ」
鞠莉「調べていて、わかったことがあるの」
鞠莉「藁人形、あるじゃない?」
ダイヤ「人を呪うときに使用されるもの……ですわよね」
鞠莉「あれのことも、ドッペルゲンガーと呼ぶらしいの」
鞠莉「これがAqoursにかけられた呪いだとするなら、もし誰かが意図的に呪いをかけているのだとしたら?」
曜「私たち、人に呪われるような、恨まれるようなことしてないよ」
鞠莉「例えば、アイドル活動への反感」
鞠莉「例えば、急成長したAqoursへの妬み」
鞠莉「例えば、面白半分」
鞠莉「理由なんて考えたところで意味はないわ、いくらでも考えられる」
鞠莉「誰かが呪っているとして、それなら、」
鞠莉「第三者の手で作られた、そういう呪物が存在するはず」
鞠莉「それが見つかれば対策をする、見つからなければ振り出しに戻る」
鞠莉「まずはそれを探すところから始めましょう?」 曜「わかった、今から探す」
善子「その……さっきは……ごめんなさい」
曜「謝られてもさっきの発言のこと、今はどうしても許せない」
曜「でも、証拠が見つかって、果南ちゃんが本当に果南ちゃんじゃないことがわかったら」
曜「私は全力でその偽者をやっつけるよ」
曜「全部元通りになったら、その時、いっぱい話し合って仲直りしようね」
ダイヤ「それでは私たちの活動範囲から探してみましょうか」
鞠莉「この部室と、屋上、生徒会室、……果南の家も探した方がいいかもしれないわね」
ダイヤ「分担して探しましょう、部室は善子さん、屋上は曜さん、果南さんの家は鞠莉さん、私は生徒会室を探しますわ」 ――――
善子(何かを隠す場所……隠すなら、普段私たちがあまり触れない場所)
善子(本棚……)
……………………
善子(収納ボックス……)
……………………
善子(それらしいものは何もないわね)
善子(本棚の上のボックス……は、椅子がないと取れそうにないか)
ガタタッ……ガッ バサッ カランカラン……
善子「あっ」
善子(ゴミ箱倒しちゃったわ)
善子(……そういえば、あんまりゴミたまらないからゴミ箱も月一くらいしか触らないわね)
ガサゴソ……カサッ
善子「護符?どうして……」ハッ
善子「これ……」 ――――
鞠莉(果南はやっぱり病院に行っちゃったのね)
鞠莉(適当に理由つけて部屋に上がらせてもらったけど)
鞠莉(理事長は授業に出ないとでも思われてるのかしら……こんな時間に来ても疑問に思われなかったからよかったけど)
鞠莉(とはいえ、あまり長居するのも不自然だから早く何かを見つけ出したいところだけど……)
鞠莉「……?」
鞠莉(机の上にあるこれは……形代?)
鞠莉(私たちが花丸に貰ったものと酷似しているけど……この……シミのようなものは……)
鞠莉(穢れだか怨念だかの類いが滲み出ているのかしら……)
鞠莉(藁人形ではないけれど、ヒトガタであることは間違いない)
鞠莉(これが呪いの根源……果南はこのヒトガタに変えられてしまったんだわ) ガラッ
鞠莉「戻ったわよ」
曜「おかえりなさい」
ダイヤ「島までの往復、お疲れさまでした」
ダイヤ「先程まで三人で話し合っていたのですが、果南さんはやはり限りなく黒に近いと結論が出ました」
ダイヤ「なので偽者を退治しようと話していたところです」
ダイヤ「呪物は見付からなかったので……確証を得られなかったことに一抹の不安が残りますが……」
鞠莉「それなら安心して、私が見付けてきたわ」 鞠莉「机の上に無防備に置かれていたの」ヒラッ
曜「あ、それ私があげた形代だよ」
ダイヤ「形代?」
曜「厄除けに花丸ちゃんからもらったの」
曜「それを、昨日果南ちゃんに会ったから厄除けに使ってって渡したんだ」
鞠莉「本当に?これは本当に曜が渡したものかしら?」
鞠莉「よく見てちょうだい」スッ
曜「うん……いや、なんかこれ、ちょっと古ぼけてるというか……なにこの茶色いの……」
鞠莉「昨日渡したものが、こんな古い紙みたいによれたり色ムラが出たりするかしら?」
善子「所々汚れが濃いわね……まるで邪気が溢れているみたい」
鞠莉「きっとこれが呪物に違いないわ」
曜「ということは、果南ちゃんはこれに変えられちゃったってこと?」 ダイヤ「もしその人の形をした紙が果南さんなのでしたら……この汚れは果南さんが苦しんでいる証ではありませんの?」
ダイヤ「早く偽者を退治しなければ……もしこの濃い汚れが全体に行き渡ってしまったら、本当にもう取り返しのつかないとこになるのではありませんか!?」
善子「た、確かにそうね!だとするとモタモタしてられない!すぐに準備をしなきゃ!」
ダイヤ「一刻の猶予もありません、なんとしても今日中に片をつけませんと!」
曜「でも偽者はいま病院でしょ?学校に戻るのか家に帰るのかもわからないし、いつ病院を出るかもわからないよ!」
善子「私がLINEで呼び出す!返事が来るまで準備を整えましょう!」
鞠莉「お札は多いに越したことはないわ!ダイヤは今すぐ帰ってルビィから、曜も千歌からお札を貰ってきて!事情はあとで話せばきっとわかってくれるから!」
ダイヤ「わかりましたわ!」
曜「わかった!行ってくる!」
善子「拘束するための縄や、無力化させるための武器……になりそうなものも探さないと!」 ――――
果南「あ、千歌!」
千歌「果南ちゃん!もう大丈夫なの?」
果南「うん、頭フラフラしちゃってしばらく病院で寝てたけどね」
千歌「それならわざわざ学校に来なくたって……授業も全部終わっちゃってるのに」
果南「ぐっすり寝たから体の方はもう大丈夫!それより、千歌の様子が気になって……」
千歌「千歌は……大丈夫だよ」
果南「本当に?」
千歌「……うん」
果南「そっか」
果南「じゃあ今日はパフェ食べに行こ!」
千歌「パフェ?」
果南「前、約束したよね」
果南「一緒に行こ?私が奢るからさ」 ――――
千歌「こっち行くの?いつものファミレスじゃないの?」
果南「うん、こっちの海岸沿いにカフェが新しくできたんだってさ」
千歌「あ、あそこもうオープンしたんだ?」
果南「そうそう、それでフルーツフェアしてるらしいよ」
果南「千歌の好きなみかんのパフェだってきっとあるよ!」
ピロン
千歌「ん?」
千歌「あ、果南ちゃん、みんなも一緒でいい?」
千歌「みんながね、果南ちゃん見かけたら教えてって言ってる」
千歌「LINEしても電話しても連絡つかないって……果南ちゃんスマホは?」
果南「あー、鞄ごとお母さんに預けちゃってるわ」
千歌「そっか」
千歌「果南ちゃん頭から出血してたからみんな心配してるんだね」
果南「ええー、みんなにそれ言っちゃったの?」
果南「心配かけちゃって悪いなぁ……」
千歌「パフェもりもり食べて元気いっぱいになったってとこ見せてあげなきゃね!」
果南「パフェはもりもり食べませんー!慎ましやかに食べますー!」
千歌「えー?」
果南「なによー?」
千歌「えへへっ」
果南「ふふふっ」 ――――
千歌「みんなが来るまでお店入らずに待ってよっか」
果南「そだね」
千歌「これから……時間に余裕ができちゃうね」
果南「そだね……」
千歌「……」
果南「……」
果南「あのさ、千歌」
千歌「うん?」
果南「私、実はさ、」
千歌「うん」
果南「……」
千歌「なぁに?」
果南「んーん!やっぱりなんでもない!」
千歌「えー?なにー?」
果南「あとで言うね!パフェ食べてから」 ガッ
果南「うっ」ドサッ
千歌「えっ……」
曜「千歌ちゃん!大丈夫!?」タタッ
千歌「か、果南ちゃんが……なんで?どうして果南ちゃんを……」
善子「ありがとう、千歌!あなたのおかげで全部終わるわ!」
ダイヤ「鞠莉さん、そちらを引っ張ってください」ギュッ
鞠莉「わかったわ!こっちは縛るから、善子、早くお札を!」
千歌「果南ちゃ……」
曜「千歌ちゃん、アレは偽者なの」
曜「果南ちゃんの見た目をした偽者」
千歌「でも……でも……」
曜「大丈夫、アレは私たちが処理する」
曜「千歌ちゃんは家に帰ってて、全部終わったらちゃんと話すから」
千歌「わ、わかった……」 ダイヤ「追い詰めましたわよ、ドッペルゲンガー」
鞠莉「大人しく封印されなさい」
果南「くっ……ドッペルゲンガー……?なんでまだそんな話……」
曜「……ここから落としたら深いとこまで沈められそうだよ」
善子「じゃあコレ持っていくわよ、誰か頭の方持って」
果南「なんで!?なんでこんなこと!」
ダイヤ「しらばっくれようとしたって無駄ですわ」
ダイヤ「あなたがAqoursに呪いをかけていたドッペルゲンガーだということはわかっています」
果南「なっ……違うよ!なんでそんな風に考えちゃったの!?」
果南「ドッペルゲンガーなんて最初からいなかったの!私がふざけてただけなんだよ!」
ダイヤ「何を馬鹿なことを」
善子「最初に出た果南と鞠莉のドッペルゲンガーが元々いなかったって?嘘をつくならもっとマシなことを言いなさいよ」 ****
千歌「じゃあ私はジュースにしようかな〜」
果南「あ、私ちょっとトイレ行ってくるね」ガタッ
千歌「は〜い」
――――
パタン
果南(出入口結構混んでるなぁ)
果南(……あれ、あのおばあちゃん……どしたんだろ)
果南「そこのおばあちゃん!どうかしました?何かお困りですか?」
「あぁ、よかった、ちょっと聞きたいんだけどいいかしら?この民宿に行きたいんだけど行き方がわからなくってねぇ」
「聞こうにも誰も歩いてないし、ここに来たら聞けるかと思ったのにとっても混雑してるしで困ってたのよ」
果南「あー、ここにはですね、バスで行けますよ」
果南「すぐ近くのバス停ですから送りますね」
「ありがとうね、助かるわ」
果南(千歌に言って……)チラッ
ガヤガヤ ガヤガヤ
果南(……バス停に送るだけだし、まぁいっか)
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