曜パパ「これで満足か……?」ギンギン

曜「パパのこんな姿、見たくなかったよ……」グスッ

千歌「見たところどこにも穴なんてなさそうですね。どこから曜ちゃんが出てきたんだろう??」ジロジロ

曜パパ「……。曜、あの写真はニセモノだ」

曜「え?」

曜パパ「私は曜の本当のパパじゃない……。十年前、曜を誘拐したのは……私なんだ」

曜「パパ? 嘘だよね……。私のことずっと大切にしてくれたじゃん」

千歌「曜ちゃんは表の顔しか知らないんだね」

曜パパ「確かに、曜を誘拐したのは……自分の欲求を満たすためだった。好きなだけ使って、飽きたら捨ててやろうと思ったさ……」

曜「嘘だ!! パパはそんなやつじゃない! 私がよく知ってる……!」

千歌「……」

曜パパ「残念だが、本当のことだ。でなければ刑務所になんて入っていない」

曜「っ……!」

曜パパ「部屋に連れ込んで、さあ好きなだけ楽しむぞと思っていたときに曜が言ったんだ」

曜パパ「『おじさんにも娘がいるの?』って」

曜パパ「曜とは面識なんてなかったのに……どうして知っているんだって思ったよ」

千歌「娘を亡くした悲しみで、変わっちゃったんだね」

曜「そんな……」

曜パパ「私は自分の行いを恥じた。こんな小さな男の子に欲情している自分がどうしようもなく哀れに見えたんだ」

千歌「そのときに曜ちゃんを返さなかったのはどうしてですか」

曜パパ「……どうしてだろうな」

曜「私は……パパがいてくれて幸せだよ」ギュッ

千歌「親がいない曜ちゃんと、家族ごっこをしたかったからですか」

曜「パパのことをそんなふうに言わないでよ!! パパはそんなんじゃない……!」

曜パパ「千歌ちゃんの言う通りだ……。親を失ったお前に、娘を失った自分を重ねていたんだ」