父「あぁそうだ、今更だが、今日はどうしたんだ?」

梨子「……特に用があったわけじゃないんだけど……なんかお父さんに会いたくなって……」

父「……」

梨子「……」

父「そういうところも変わらないな」

梨子「……えっ?」

父「何かあるとすぐ父さんの側に来るくせに、何もないなんて誤魔化すところがね、昔から変わらない」

梨子「そう……なんだ……」

父「……心の目でよく見なければものごとはよく見えない」

梨子「えっ?」

父「父さんが梨子にいつも言ってた言葉だよ」

梨子「……心の目……」

父「何に悩んでるのかは父さんには分からないし、そもそも年頃の女の子の悩みなんて、父さんがアドバイスしてあげられることはないけどね」

梨子「……」

父「いつだって答えは梨子の心にちゃんとあるはずだよ」

梨子「……私の……中に……」

父「ああ、梨子は多感な時期だ、色んな事を見て、色んな事を考えて、色んな事に迷うだろうけど、そんな時はじっと心を見つめて、心で見つめなさい、そうすれば自ずと答えは見つかるはずだ」

梨子「……こころを……」

父「さて、梨子、せっかくだからお昼でも食べていきなさい」

梨子「えっ?あ、わかった……」

父「母さんや梨子みたいに上手じゃないけどね、それなりに食べられるものは作れるようになったから」

梨子「……なんか不安になる言い方だね……」クスッ