梨子「ロストソングD.C.」
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一部地の文あり
オリ設定あり
それなりに長い
速報で書いたSSの加筆修正版
ストーリーの変更はなし
最後まで書き溜め済 ーーー
曜「どうしたの?」
ルビィ「昨日千歌ちゃんからメールもらって…」
千歌「わざわざ会いに来てくれたのー!?相変わらずかーわいーなぁ」ギュー
ルビィ「うぎゅっ!?ち、千歌ちゃん……くるし……!」
曜「ちーかちゃーん」グイ
ルビィ「あの……それで……」チラッ
梨子「……」
ルビィ「……この人はどちら様ですか?」
千歌「色々手伝ってくれてる友達の梨子ちゃん」
梨子「えっ!?」
ルビィ「本人が一番びっくりしてますけど……」
曜「気にしないで、千歌ちゃんの最近のお気に入りだから」
ルビィ「あぁ……なるほど」
梨子「それで納得しちゃうんですね……」 千歌「で!で!スクールアイドルやってくれるの!?」
曜「千歌ちゃん近いから」グイ
ルビィ「あの……マルちゃんはやっぱりそういうのよく分からないからって断られちゃったけど、私はやってみようかなぁって……」
曜「梨子ちゃん」ガシッ
梨子「えっ、あっ!」ガシッ
千歌「ルビィちゃーーぐぇっ!?」
曜「ふぅ……危ない危ない」
ルビィ「あはは……ルビィね、誰にも言ってなかったんだけど実は昔からアイドルにちょっと憧れてて……」
曜「そうだったんだ、全然知らなかった」
ルビィ「部屋で動画みたり雑誌読んだりしてるだけでライブとかはまだ生で見たことないんだけどね、あと衣装とか自分で真似て作ってみたり……」
千歌「衣装作れるのっ!?ぃよっしゃー!これで3人!」
ルビィ「3人?」
曜「千歌ちゃんから聞いてない?私と千歌ちゃんとルビィちゃんで3人、あと2人で晴れて正式な部活になれるんだ」
ルビィ「えっ、部活まだ無いの!?」 梨子「どんな勧誘してたんですか……」
千歌「とにかく!ルビィちゃんはもう決まり!後は梨子ちゃんが入ってくれればあと1人!」
梨子「いや……だから私は……」
「なら私が入ってもいいかしら?」
曜「んっ?」
千歌「へ?」
「ハロー♪貴女達よね?スクールアイドルをスタートさせようとしてるのは」
千歌「そう……ですけど」
梨子「……どちら様?」ヒソヒソ
曜「知らない……三年生みたいだけどこんな人いたかなぁ」ヒソヒソ
鞠莉「はじめまして、私は小原鞠莉♪マリーって呼んでね♪私も貴女達と一緒にスクールアイドルをしてもいいかしら?」 千歌「えっと……大丈夫です……けど、誰から聞いたんですか?」
鞠莉「果南から♪」
千歌「果南ちゃんから?」
鞠莉「イエース♪実は私、1年の途中から留学しててね、この学校の思い出ってあんまり無いの。だからとっても楽しそうな事してる貴女達に惹かれちゃって♪」ウインク
ルビィ「留学……すごい……!」
鞠莉「それにちょっとくらいなら楽器も出来るわよ?」
千歌「よろしくお願いします!」ガシッ
曜「決断早っ!?」
千歌「これで5人!」
梨子「だから私は……」 ーーー
ルビィ「マルちゃん、やっぱり一緒にスクールアイドルしない?」
花丸「うーん……歌うのは好きだし憧れる気持ちも分かるけど…マル踊ったりはやっぱり……」
ルビィ「大丈夫だよ!ルビィも運動は苦手だけど好きなアイドルの振り付けとかいっぱい練習したら出来るようになったし!」
花丸「うーん……」
ルビィ「やっぱり……だめ?」
花丸「ルビィちゃんごめんズラ……マルにはやっぱりアイドルは無理だよ」
ルビィ「そっか……ごめんね無理に誘ったりして」
花丸「ううん、おらは平気♪その代わりルビィちゃんがスクールアイドルになったらいっぱい応援するから♪」
ルビィ「……うんっ♪」
花丸「じゃあまた明日」フリフリ
ルビィ「バイバーイ♪」フリフリ ルビィ「……一緒に出来たらもっと楽しいと思ったんだけどなぁ……難しいなぁ……」
ルビィ「……はぁ」
「お待たせ、ルビィ」
ルビィ「あ、お姉ちゃん」
ダイヤ「どうかした?」
ルビィ「ううん、何でもないよ」
ダイヤ「そう……」
ルビィ「そうだ、お姉ちゃんは小原鞠莉さんって知ってる?」
ダイヤ「……何故ルビィがその名前を?」
ルビィ「今日千歌ちゃん達と喋ってたら……その人とあって」
ダイヤ「そう……」 ルビィ「……お姉ちゃん?」
ダイヤ「ルビィ、その人とはあまり関わらない方がいいわ」
ルビィ「どうして……?」
ダイヤ「……あんな無責任な人と付き合っていたらルビィに悪影響よ」
ルビィ「……」
ダイヤ「まぁ……三年と一年だから、そう関わる機会もないと思うけど」
ルビィ「……」 ーーー
千歌「果南ちゃん」
果南「何?」
千歌「小原鞠莉さんって知ってる?」
果南「……」
千歌「知ってるよね?」
果南「……なんでその名前が出てくるのさ」
曜「その、小原先輩もスクールアイドルに参加することになって」
果南「なんでそんなことに……というか戻って来たの?」
梨子「えっ……小原さんは松浦さんから聞いたって……」
果南「待って、私は鞠莉が戻って来てることも今初めて聞いたんだよ?」
曜「えっ」
千歌「どーゆーこと?」
梨子「……?」 曜「あ、ちょっと待って……じゃあそもそもあの人なんで私たちが果南ちゃんと知り合いだって知ってたの?」
果南「……」
梨子「松浦さん……何か知ってます?」
果南「……鞠莉はね、小さい頃から内浦に住んでたの」
千歌「えっ嘘っ!?」
曜「でも私も千歌ちゃんも知らないけど……」
果南「あそこ、淡島ホテルのオーナーの娘なんだよ」
千歌「えー…でも淡島ホテルのオーナーさんって外国人じゃなかった?」
果南「鞠莉はハーフだからね」
曜「あの喋り方……留学かぶれかと思ったらハーフだっんだ……」
果南「小学校の3年生だったかな、イギリスから転校してきてさ……引っ込み思案でまだ日本語も下手でさ……あの頃、多分仲良かったの私くらいじゃないかな」
千歌「……」 果南「家庭教師だとか塾だとかでいっつもすぐ帰っちゃうから、放課後遊んだりもないし、中学は沼津の方の私立に行っちゃって、なのに浦の星に入学したんだよね」
曜「あ、思い出した」
梨子「知ってたんですか?」
曜「知ってたっていうか小学校の頃、確かに学校でいっつも果南ちゃんの後ろにくっついてた金髪の子がいた気がする」
果南「うん、それが鞠莉」
千歌「え、いたっけ?」
曜「いたよ、私たちが果南ちゃんに会いに行ったりしたら逃げたりしてた」
千歌「……それほんとに小原先輩?なんか私たちが見たのとイメージ違いすぎるけど……」
果南「私も一年の時に再開してびっくりしたよ、全然違う性格になってたから」
梨子「……」
果南「自分からどんどんアピールしたりしてさ……その頃に廃校の話も出て、生徒会に掛け合ったりしてさ……妙に張り切ってたんだ、それこそスクールアイドルを始めようなんて話もあった……なのに突然留学したんだ」
曜「えっ…」 果南「……全部放り投げていなくなったんだ……色々企画したりしてさ、みんなも賛同しはじめたり……私やダイヤももしかしたらなんて思ったりしてさ……なのに裏切ったんだ!夏休みが始まってすぐに何も言わずに無責任にいなくなったんだよ!」バンッ
千歌「ちょっと……果南ちゃん落ち着いて……」
果南「あ……ご、ごめん……」
千歌「……」
曜「千歌ちゃん」
千歌「なに?」
曜「ちょっと考え直したほうがいいんじゃないかな?小原先輩の事」
千歌「……」
果南「ごめんね千歌……鞠莉が参加するなら私は千歌達と一緒にスクールアイドルはやれない」
千歌「……」
梨子「千歌さん……」
千歌「うん……ちょっと考えてみる……」 ーーー
ルビィ「そんな事が……」
曜「ダイヤさんには話したりした?」
ルビィ「はい……でもあまり関わらないほうがいいって言われただけで、それ以外は」
梨子「あの……その、ダイヤさんとは?」
ルビィ「あ、私のお姉ちゃんです。果南さんと同じ三年生で生徒会長なんです」
梨子「生徒会長……」
曜「千歌ちゃんどうする?果南ちゃんもダイヤさんもそんな簡単に人を貶したりするような性格じゃないよ?」
千歌「……昨日夜ずっと考えてたんだけどさ」
曜「うん」
千歌「私はやっぱり小原先輩に入ってもらおうと思う」
曜「千歌ちゃん話聞いてた?」
千歌「分かってるよ、果南ちゃんがあんなに取り乱すなんてよっぽどの事だし、ダイヤさんだって昔から面倒見のいい人だもん……でも」
梨子「でも……?」 千歌「今、小原先輩の事を断ったら前に進めない気がする……作曲とか申請の必要人数とか、そういうのを含めて」
ルビィ「……」
千歌「利用するみたいで気分がいい事じゃないけど……でも私は小原先輩をまず受け入れてみたい」
曜「……果南ちゃんは諦めるってこと?」
千歌「今はそうかもしれない、どっちみち部活として形にならなきゃ一緒にやれないんだから」
梨子「……」
曜「ふぅ……分かった!」
千歌「……」
曜「乗りかかった船だからね、船長の千歌ちゃんがそういうなら私もそれに合わせるよ!」
千歌「曜ちゃん……」
ルビィ「る、ルビィも!せっかくスクールアイドルをやれるチャンスだから!辛いことも頑張る!」
千歌「ルビィちゃん……2人ともありがとう……」
曜「さぁ!そうと決まればあと1人!部活設立に向けて全速前進ヨーソロー!」ビシッ
ルビィ「よ、ヨーソロー……?」ビシッ
梨子「……」 ーーー
千歌「いらっしゃーい、適当に座っていいよー」
ルビィ「よいしょ」
鞠莉「放課後に友達の家でまったり……これぞスクールガールって感じね♪」
曜「意味分かんないです……」
梨子「あの……千歌さん」
千歌「んー?」
梨子「なんで私も呼ばれたんですか?」
千歌「えっ?」
梨子「……えっ?」
ルビィ「あ、梨子先輩はメンバーってわけじゃないんだった……」
鞠莉「ワッツ?そうなの?いつも千歌っちと一緒にいるからてっきりメンバーかと思ってたわ」 千歌「……」
梨子「……」
千歌「まぁ来ちゃったんだし、くつろいで行ってよ♪」
梨子「えー……もぅ……」ヤレヤレ
曜「あはは、すっかり千歌ちゃんのペースだね」
ルビィ「で、今日は何するんですか?」
千歌「よくぞ聞いてくれたねルビィちゃん!今日はなんと!」
ルビィ「なんと……?」ゴクリ
千歌「グループ名を考えるのだ!」
曜「あー確かにそろそろ考えておかなきゃだね、設立してからじゃ遅いし」
鞠莉「それもそうねー」
ルビィ「他のスクールアイドルと被らないようにしないとだし、結構大変かも」
千歌「皆さんリアクションがあっさりしすぎじゃないですかー……?」 梨子「これは私も参加した方がいい流れ……?」
鞠莉「ナイスアイディアがあればどんどん発言していいんじゃない?♪」
曜「うんうん、アイドルに詳しいルビィちゃん的にはどんな風に名付けすればいいと思う?」
ルビィ「そうだなぁ……やっぱり私達らしさっていうのは重要だと思うの……千歌ちゃんはどんなスクールアイドルを目指したい?」
千歌「μ'sみたいなスクールアイドル!」グッ
ルビィ「じゃあどちらかと言えば正統派のアイドルかなぁ、それなら柔らかい印象がいいかも、あとあんまりひねくれない感じ?」
鞠莉「比較的ストレートなネームって事ね」
曜「んー……じゃあ歌うに踊ると書いて歌踊丸!」ドヤッ
千歌「曜ちゃん……漁船じゃないんだから……」
鞠莉「今ので曜っちのネーミングセンスがデンジャラスなのがよく分かったわ」
曜「えっそんなにダメ!?」ガーン ルビィ「でも海に関係するのはいいかも、内浦らしいし」
梨子「じゃあ……5人になってからだけどファイブマーメイドとか……」
鞠莉「梨子っちも曜っちとイーブンね」
梨子「えっ!?」ガーン
ルビィ「あはは……じゃあえっと、とりあえずたくさん関係のある単語を挙げてみるのはどうかな?何か良いのがあるかも」
千歌「ミカン」
ルビィ「海はどこいっちゃったの!?」
曜「ヨーソロー」
鞠莉「曜っちは1回船から離れて」
梨子「うーん……海、魚、水……ビーチ……」
千歌「夏!」
ルビィ「期間限定ユニットになっちゃうよぅ…」 鞠莉「sea……water、marine、ocean……wave、aqua……splash……」
千歌「アクア……アクアっていいかも!」
曜「確かになんか透き通った感じするかも」
鞠莉「そうねー、いいんじゃないかしら?」
ルビィ「じゃあ……アクアで♪表記はどうしよう……カタカナ?英語?」
千歌「アクアって英語でどう書くの?」
曜「私が知ってると思う?」
鞠莉「A・Q・U・Aでaquaよ」
千歌「さすが留学生」パチパチ
鞠莉「この程度で褒められても嬉しくないんだけど……」ヤレヤレ
千歌「でもなんかさっぱりしすぎじゃない?」
梨子「うん……単語そのままっていうのが駄目なのかな…」
ルビィ「造語にするならどんなのがいいかな?」
千歌「象語?パオーン?」
曜「それは無いよ千歌ちゃん……」 梨子「どんな風に変えるんですか?」
ルビィ「例えばμ'sは元々ギリシャ神話のMuseからきてるらしくて、更にギリシャ文字のμに置き換えたっていう……」
曜「μ'sって頭もいいんだね!」
千歌「更に遠い存在になった気がする!」
鞠莉「貴女達ほんとにやっていけるの……?」
千歌「じゃあアクアを英語に置き換えたら?」
梨子「アクアがそもそも英語じゃ……」
千歌「ホントだ!?」ガーン ーーー
鞠莉「……んーじゃあ私達のものって意味でoursとかはどう?」
千歌「泡?」
梨子「ours……」
曜「でも読みはアクアにするんでしょ?」
ルビィ「oursを混ぜるなら……」
梨子「AとQは最初にないとめちゃくちゃになっちゃうよね?」
ルビィ「じゃあその後にoursを入れてaqoursua?」
鞠莉「なんか長ったらしくない?最後のUとAは無くてもノープロブレムじゃないかしら?」
ルビィ「Aqours……?」
曜「それでアクアって読めばいいんじゃないの?」
梨子「到底読めないと思うけど……」
ルビィ「まぁグループ名だから読み方はこうだ!って言ったもの勝ちみたいなところはあるから大丈夫かなと……」
千歌「じゃあこれでけってーい!」 曜「やっと終わったー」
鞠莉「貴女達もっとスタディするべきよ……」
ルビィ「あはは……」
梨子「……」
千歌「よしっ!じゃあこれから私達はスクールアイドル……Aqours!……って、どうしたの梨子ちゃんニヤニヤして」
梨子「えっ……あ、面白い名前だなぁと……」
曜「面白い?」
梨子「その……A・Q・Oursって読むと永久泡'sって聞こえません?永久の泡……絶対に弾けたりしない夢の泡って感じが面白いかなって……」
鞠莉「ふふっ♪梨子っちはポエマーなのね♪」
梨子「ぽ、ポエマーって別にそんな!」アワアワ
千歌「私は好きだな!」
ルビィ「千歌ちゃん?」
曜「でも泡ってなんかマイナスイメージな使われ方しない?」 千歌「いいじゃん!この内浦みたいになんにもないところからブクブクブクって湧き出してさ!面白いじゃん!私達ここにいるよ!って!しかも割れないんだよ!ずっとそこにあるんだよ!」
鞠莉「私も千歌っちみたいなポジティブシンキングがいいと思うわ」
ルビィ「なんにもないところからどんどん湧き出る泡」
曜「しかも絶対に割れない永久の泡か」
ルビィ「賛成です!裏のイメージとしてもすごくいい!」
千歌「私達の海、永久の泡!Aqours!」
曜「なんか私も急に色々動き出してきてワクワクしてきた!」
ルビィ「憧れのアイドルへの1歩……!」
鞠莉「もう後戻りは出来ないわよ?♪」
千歌「絶対に退かないよ……絶対に!」
梨子「……♪」クスッ ーーー
鞠莉「梨子っちお待たせ、少しなら大丈夫よ」
梨子「すみません小原先輩」
鞠莉「マリー」
梨子「……」
鞠莉「マ・リ・イ」
梨子「鞠莉……先輩」
鞠莉「んもう、梨子っちの噂、三年まで聞こえてるのよ?」
梨子「……」
鞠莉「同い年なんだから先輩なんて付けなくていいわ」
梨子「……鞠莉さん」
鞠莉「んー、まぁそれでいいわ、で、用ってなぁに?」
梨子「渡したいものがあるんです、私の家がすぐ近くなんで来てもらえますか?」
鞠莉「OK♪」
梨子「こっちです」 鞠莉「……」
梨子「……」
鞠莉「何も聞かないの?」
梨子「何をですか?」
鞠莉「……果南かダイヤから全部聞いてると思ったんだけど」
梨子「……聞きましたよ」
鞠莉「貴女はどう思った?」
梨子「分かりません」
鞠莉「わからない……?」
梨子「今の私は経験が無さ過ぎて鞠莉さんがどんな気持ちかも、松浦さん達がどんな気持ちなのかも正直分かりません」
鞠莉「……」
梨子「でも今日の鞠莉さんを見て思いました、多分私と同じなんじゃないかなと」
鞠莉「同じ……?」
梨子「多分ですよ?……今も昔も……何があったのかなんて分かりませんけど多分鞠莉さんはどうしていいか分からなかったんじゃないかなって」
鞠莉「……」
梨子「本当はそんなつもりじゃなかった……こんなはずじゃなかった…でもそうするしかなかった……そんな感じだったんじゃないかなって」
鞠莉「ふふっ、面白い意見ね♪」 梨子「あ、ここです、今取ってくるので少し待っててください」
鞠莉「ええ」
鞠莉「……」
鞠莉「そうするしかなかった、か……」
鞠莉「……結局は言い訳よね」
梨子「お待たせしました、これを」
鞠莉「……これは……楽譜?」
梨子「ピアノの楽譜なんですけど、鞠莉さん楽器出来るんですよね?」
鞠莉「ええ、まぁ……でもなんでこんなものを……?」
梨子「それ、多分全部私が作った曲なんです」
鞠莉「梨子っちが……これを?」
梨子「私、記憶がなくなる前はピアノをやってたみたいで……でも今の私には読めもしない単なる紙切れなんで……スクールアイドルをやるのに良かったら使って下さい」 鞠莉「……いいの?」
梨子「はい」
鞠莉「じゃ、有難く使わせてもらうわ……用件はこれだけ?」
梨子「はい」
鞠莉「なら私は帰るわね」
梨子「すみません、時間を取らせて」
鞠莉「気にしないで♪それじゃ、チャオ♪」ヒラヒラ
梨子「おやすみなさい」 とりあえずここまで
あとaquaは英語じゃなくてラテン語だわ ーーー
ルビィ「あのぅ……津島さん」
善子「何?」
ルビィ「その……津島さんはスクールアイドルとか興味ありませんか?」
善子「スクールアイドル?ごめんなさい、私そういうミーハーなのは嫌いなの」
ルビィ「そ、そうですよね……変なこと聞いてすみません…」シュン…
花丸「ルビィちゃん……ルビィちゃんは頑張ったズラ」ナデナデ
善子「それよりも私は今噂の記憶喪失先輩のほうが興味あるわね、貴女達も何か知らない?」
花丸「記憶喪失……先輩?」
ルビィ「それって……」
善子「知ってるのね!?このヨハネに紹介しなさい!」ガシッ
ルビィ「ひぃぃ!?い、いきなりそう言われてもぉ……」
花丸「津島さん、先輩の都合もあるだろうし……ね?」
善子「おっとそうね、不可抗力とはいえ人間界にいる以上は人間の都合にも合わせてあげなくちゃ」
花丸「……」ヤレヤレ
ルビィ「い、一応ちょっと聞いてみるね……」 ーーー
梨子「……その、初めまして……」
花丸「はじめまして、ルビィちゃんの幼馴染の国木田花丸です」
梨子「うん、話は聞いてます、よろしくね」
善子「私は堕天使ヨハネ、貴女が記憶喪失だと聞いてピンときたの!貴女は間違いなく天界での我が半身だわ!」ギランッ
梨子「えっ……違うと思います……」
花丸「意味不明ズラ……」
ルビィ「津島さん……先輩だから……」
善子「覚えていないだけよ、私の魂が間違いなくそうだと囁いているの!さぁ、私と共に天界へ反逆の狼煙をあげるわよ!」ビシッ 梨子「あの……帰ってもいいかな?」
ルビィ「いきなり呼び出してすいませんでした……」ペコリ
花丸「すいませんでした……」ペコリ
梨子「気にしないで……私は大丈夫だから……それじゃ」
善子「あ、ちょっと待ちなさいよー!」
花丸「津島さんちょっといい加減しするズラ」ググッ
ルビィ「先輩相手に失礼過ぎるよー」ググッ
善子「あーんもう!せっかく上手く行きそうだったのにー」
花丸「何がどう上手くいきそうだったのか全然わからない……」
ルビィ「なんで梨子先輩にこだわるの?」
善子「だって記憶喪失なんて物凄く不幸じゃない」
花丸「う、うん」
善子「不幸体質の私と気が合わないわけないわ」
ルビィ「うん……?」 善子「もう黒澤さん!」
ルビィ「はいっ!?」
善子「アンタと関わりがあるってことはあの人もスクールアイドルって事よね?」ズイッ
ルビィ「いや……梨子先輩は違うけど……」
善子「庇ったってだめよ!こうなったら私もスクールアイドルになって記憶喪失先輩に取り入ってやるんだから」
花丸「はい……?」
ルビィ「えぇ……そんな理由で入られるのはちょっと……」
善子「アンタが先に勧誘したんでしょ」
ルビィ「うぅ……誘う相手間違えちゃった……」
花丸「ドンマイズラ……」 ーーー
善子「黒澤さんに誘われて興味が湧いたのでよろしくお願いします」
千歌「こちらこそよろしくね♪」
鞠莉「なんだかミステリアスな子ね♪面白そう♪」
梨子「……」
曜「梨子ちゃんどうかした?」
ルビィ「あの……梨子先輩……ほんとにごめんなさい……」
梨子「き、気にしないで、ルビィちゃんは悪くないから」
千歌「よし、じゃあこれで遂に5人!」
曜「部活申請出来るね!」
千歌「うんっ!というわけで皆さん!この用紙に名前をお願いします!」バンッ
鞠莉「OK♪」
ルビィ「黒澤、ルビィ……と」カキカキ 善子「……ヨハネっと」カキカキ
ルビィ「津島さん……」
善子「……ちっ」カキナオシ
曜「出来た!」
千歌「よし!じゃあせっかくだからみんなで出しに行こう!」
ルビィ「えっ……みんなで……」
梨子「あ……ルビィちゃんのお姉さんが……」
千歌「あ、そうだった……じゃあ私が出してーー」
ルビィ「……大丈夫です」
梨子「ルビィちゃん……」
ルビィ「いずれはバレちゃうし……それなら最初から隠さないで堂々としたほうがいいと思うから……」
曜「ほんとに大丈夫?」
ルビィ「はいっ」
千歌「分かった、じゃあ6人で行こう!」
梨子「えっ、私も行くの!?」 ーーー
ダイヤ「……スクールアイドル部ですか」
千歌「はい、5人いれば部活の設立に問題はないですよね?」
梨子「……」ソワソワ
ダイヤ「そうですわね……幾許もない時期になぜ新設するのか等々言いたい事は山ほどありますが、規則としては問題ありませんし、私にそれを覆す権利もありませんわ」
千歌「じゃあ……!」
ダイヤ「スクールアイドル部の設立は認めます」
曜「やった!」
ダイヤ「ですが……」
ルビィ「うっ……」
ダイヤ「鞠莉さん、貴女がもし私達にしたのと同じ過ちを繰り返すというのなら、私は何をするか分かりませんよ」
鞠莉「……ふふっ♪肝に銘じておくわ♪」 ダイヤ「……部室の割り当て等は改めて後日お伝えします」
千歌「ありがとうございます!」
ダイヤ「……」
千歌「失礼しましたー」ペコリ
鞠莉「チャオ♪」
ダイヤ「ルビィ」
ルビィ「な、何かな……」
ダイヤ「貴女ももう高校生、私がとやかく言う事はないけど、その分貴女に責任が伴う事を忘れないように」
ルビィ「……うん」
千歌「……」 ーーー
千歌「よしっ、正式に部活にもなったし、早速スクールアイドルAqoursとして動き出さなきゃ」
曜「とにかく曲を作らないことには始まらないよね」
鞠莉「ふふっ♪そーんな貴女達のためにこのマリーがスペシャルなミュージックをプレゼントしてあげるわ♪」
ルビィ「へ?」
千歌「ミュージックって……もしかしてもう作曲したんですか!?」
鞠莉「イエース♪」
善子「用意周到ね」
鞠莉「だってみんなはともかく私はこの一年しかいないのだから、どんどん動かなきゃ勿体ないじゃない?」
曜「そっか……鞠莉先輩三年生だもんね」 鞠莉「ノンノン♪シリアスはノーセンキューよ♪とにかく聞いてみてくれる?」
千歌「はいっ」
梨子「……」
ルビィ「……」チラッ
鞠莉「どうかしら?」
曜「すごい……ほんとに曲になってる……」
善子「いかにもアイドルって曲ね」
鞠莉「まぁ私ももっとハードなテイストにしようかと迷ったんだけど、王道には王道の良さってものがあるから♪」
千歌「鞠莉先輩すごいよー!」
曜「これに歌詞をつけて振り付けを考えれば……」
ルビィ「私達も晴れてスクールアイドル!」 千歌「歌詞は誰が考える?」
善子「私はアイドルソングとか聞かないしパス」
曜「私もそういうのよく分かんないかな……」
ルビィ「ルビィは衣装作りですよね……?」
千歌「えっ、じゃあ振り付けは?」
善子「私踊りとかやったことないし」
曜「盆踊りくらいなら!」
ルビィ「衣装……」
鞠莉「ダンスもリリックもアイドルらしいのって難しいわね」
梨子「前途多難じゃない……」
千歌「とーにーかーく!鞠莉先輩は作曲だしルビィちゃんは衣装作りだから私達3人がなんとかしなきゃ!」
曜「やっぱりそうなるよね……」 善子「はぁ……黒澤さん」
ルビィ「何かな?」
善子「付け焼き刃になるけどなんかアイドルらしさが分かりそうなオススメとかないの?」
ルビィ「うーん……じゃあとりあえずいくつかまとめて後で送るね?」
善子「ありがと」
曜「ルビィちゃん!」
千歌「私達にも!」
ルビィ「えっ、 えぇ……」 ーーー
ピロリン
梨子「ルビィちゃんから……?」
ルビィ『いきなりすみません。余計なお世話かもしれないですけどこの動画を見てもらえませんか?』
梨子「……」
記された動画のページへアクセスすると
とあるスクールアイドルのライブ映像の詳細ページに繋がる
しかし、私はそのまま再生せずに元の画面へ戻った
梨子「……」
梨子『わざわざありがとう、でもごめんなさい、知識としてはもう知ってるの』
ルビィ『そうでしたか……出過ぎた真似をしてすみませんでした』
梨子「……」
梨子『気にしないで』
そう返して再び動画のページを選択する
二年前の日付と共に記されたタイトル
梨子「……音ノ木坂学院……アイドル研究部……1年生グループ…」
まだグループ名もなく、先輩の前座として踊った初舞台らしい
そこに連なる4つの名前に懐かしさと気持ち悪さが湧き上がる ーーー
千歌「うわぁぁ!もう全っ然思いつかない!」
曜「さっきからμ'sの曲の歌詞ばっかり書いてるもんね……」
善子「堕天使としての本能が隠しきれない!」
鞠莉「貴女達、ここ図書室よ」
千歌「そもそも図書室という落ち着かない空間が悪い!」
曜「他に誰もいないのがまたね……」
善子「嗚呼、リトルデーモンの気配が無い!一体どれほどの結界が張られて……」
鞠莉「貴女達ほんとダメ人間よね」
ガラッ
ルビィ「あ、まだいた」
花丸「お邪魔しますズラ……」 千歌「あっ!マルちゃん!」
曜「久しぶりー」
鞠莉「どちら様?」
花丸「千歌ちゃん、曜ちゃんお久しぶり」
善子「ズラ丸!アンタ私のリトルデーモンになりなさい!」ビシッ
花丸「リトルデーモンってなんズラ!?というかズラ丸って何!?」
善子「だってアンタいっつもズラズラ言ってるじゃない」
花丸「そんなひどい渾名初めてズラ!……あっ」
善子「ほらまた言った!」
鞠莉「ねぇどちら様ぁ?」
曜「あっ、私達の幼馴染みで国木田花丸ちゃんです」
花丸「初めまして国木田です、ルビィちゃんがいつもお世話になってます」ペコリ
鞠莉「オーウ♪初めまして♪」 千歌「マルちゃんもAqoursに入ってくれるの?」
ルビィ「来ていきなり!?」
花丸「あー……それは前にルビィちゃんにも誘われたんだけど……オラはそういうの苦手だから……」
千歌「えーマルちゃん可愛いし歌なんかめっちゃくちゃ上手いからぴったりだと思ったのに」
花丸「オラは聖歌隊で歌ってるだけで十分だから」
曜「そういや、2人はどうしたの?」
ルビィ「本格的な衣装作りだともっと勉強しなきゃなぁって思ってそういう本がないか探しに」
花丸「マルは借りた本を返しに来たのと新しい本を借りに」
曜「それ全部読んでるの?」
花丸「もちろんズラ」ドサッ
千歌「漫画より文字多いのよくそんなたくさん読めるよねー」
鞠莉「それは千歌っちが読まなさすぎじゃ……」
千歌「あ」
曜「ん?」 千歌「マルちゃんって文章好きだよね!?」ズイッ
花丸「文章が好きって……そんな考え方はしたことないけど……まぁ本は好きだけど?」
千歌「じゃあさ!踊らなくても歌わなくても良いから作詞担当として部員になるのはどう!?」
花丸「さ、作詞?」
曜「あーそっか別に部員だからってステージで踊る必要はないんだ」
善子「えっじゃあ私も裏方がいい」
鞠莉「貴女何か裏方作業出来るの?」
善子「……お茶くみ?」
鞠莉「論外デース」
善子「なんでカタコトなのよっ!?」 花丸「いや……オラはそんなことしたことないし……」
千歌「大丈夫!私達もこれからやること全部初めてだから!」
花丸「えぇ……」
ルビィ「マルちゃん……ダメかな?ルビィもマルちゃんと一緒にスクールアイドルやりたいんだ」
花丸「……」
千歌「今すぐにとは言わないから、ちょっとだけ考えてもらえないかな?」
花丸「うん……」
善子「そーいえば記憶喪失先輩は?」
曜「善子ちゃんその呼び方やめなって」
千歌「梨子ちゃんなら今日は沼津の病院に行くって帰っちゃった」
鞠莉「そもそも梨子っちは部員じゃないからいる方がおかしいと思うわよ?」 ーーー
梨子「……」
脳、身体共に特に異常はなし
梨子「……はぁ」
症状ーー全生活史健忘
梨子「……えっと、バス停は……あっちね」
「あっ」
梨子「ん?」
善子「記憶そーーじゃなかったえっと……桜内先輩」
梨子「津島さん、なんでこんなところに?」
善子「なんでも何も、私沼津に住んでるから」
梨子「あ、そうなんだ……浦の星に通うの大変じゃない?」
善子「そうでもないわ」
梨子「そっか……私ここまでくるのにすごい時間かかっちゃったし……」
善子「先輩は転校生でしょ?単に土地勘が無いだけじゃない?」
梨子「あはは……多分それもあるかな」 善子「先輩は……」
梨子「ん?」
善子「なんで記憶喪失になったんですか?」
梨子「なんでって言われても……事故にあったからとしか…」
善子「どんな事故ですか?」
梨子「……私はわき見運転の車に跳ねられたとしか」
善子「そうですか……変なこと聞いてすいません」
梨子「ううん……もう慣れたから」
善子「そうだ、先輩の事渾名で呼んでいいですか?」
梨子「渾名……?鞠莉さんみたいな?」
善子「そうね……んー、りこ……りー……」
梨子「……」
善子「り……あっ!リリーとか!」
梨子「えー……」
善子「決定!今からリリーって呼ぶわ!」
梨子「まぁ……津島さんがそう呼びたいなら私は別に……」 善子「ヨハネ」
梨子「はい?」
善子「ヨ・ハ・ネ!私の事はヨハネって呼んで」
梨子「えっ……なんで……」
善子「なんでって私がヨハネだからよ!」ギランッ
梨子「え……やだ……」
善子「やだって酷くない!?」
梨子「私はそのまま津島さんで……」
善子「いや!だって津島善子なんてダサいじゃん!」
梨子「……じゃあえっと……よっちゃん」
善子「小原先輩から聞いたとおりあんまりセンスないわね」
梨子「うっ……」
善子「まぁ今はそれでいいわ、でもいつかヨハネって呼ばせてやるんだから!」ダッ
梨子「あっ、行っちゃった……」
梨子「……渾名で呼ぶって敬語もやめる感じなのかな……?」 ーーー
千歌「梨子ちゃんおはよー」
梨子「おはよう」
千歌「実は私!昨日すっごいいいこと思いついたのだ!」
梨子「いい事?」
千歌「梨子ちゃん!」ズイッ
梨子「な、なに?」
千歌「スクールアイドル部のマネージャーになってくれませんか!?」クワッ
梨子「マ、ネージャー……?」
千歌「そう!ステージで歌ったり踊ったりするだけがスクールアイドルじゃないんだって」
梨子「どういう事?」 千歌「曲を作ったり衣装作ったりさ、チラシとか!ライブの時も裏方さんってやっぱり必要じゃん!そういうのも全部含めてスクールアイドルなんじゃないかなぁって」
梨子「裏方もスクールアイドル……」
千歌「そう!ほら、私って馬鹿だしさ、曜ちゃんも変なスイッチ入っちゃう時あるし、善子ちゃんはあんなんだし、鞠莉先輩もルビィちゃんも結構マイペースでしょ?」
梨子「うーん……確かに」
千歌「そんなAqoursをまとめられそうな人がきっと必要なんだ、で、それを梨子ちゃんにやってもらいたいなぁって」
梨子「でも……私、元々余所者だし……その、記憶喪失だし」
千歌「だからだよ!」
梨子「……はい?」
千歌「ずっと内浦にいる私達と違うからこそ梨子ちゃんにお願いしたいんだ!きっと私達とは違うものが見えるから!」
梨子「違うもの……」 千歌「あっ」
梨子「えっ?」
千歌「善子ちゃんも内浦出身じゃないや」
梨子「ぷっ……♪」
千歌「あー笑ったー!」
梨子「ふふっ♪ごめんなさい♪」
千歌「もー私これでも真面目に考えてるんだからぁ」
梨子「そうね……私も考えてみようかな……」
千歌「ほんと!?」
梨子「うん、お手伝いくらいなら私にも出来るだろうし」
千歌「いよっしゃー!」
梨子「あの、まだ考えてみるとしか……」
千歌「これで7人だ!」
梨子「だからー……って、えっ?7人?」 ーーー
千歌「ばばーん!」
曜「じゃじゃーん!」
鞠莉「オーウ♪ようやく部室が出来たのね」
善子「でもなんで体育館なのよ?教室どころか校舎単位で余りまくってるのに」
ルビィ「スクールアイドル部のためだけに使ってない校舎を開けるのは難しいんだって」
曜「でもここだと練習とかも行きやすいし」
千歌「体育館でライブする時は控え室にもなるのだ!」
鞠莉「エクセレンッ♪」
千歌「そしてもう一つお知らせがございます!」
ルビィ「お知らせ?」
曜「2人ともこっちこっち」
花丸「……」ドキドキ
梨子「そんな畏まって紹介はいらないんじゃ……」
善子「リリーにズラ丸じゃない」
ルビィ「リリー……?」 千歌「なんと!マルちゃんと梨子ちゃんがサポート部員としてスクールアイドル部に入部することになりましたー!」パチパチ
曜「よっ!」パチパチ
ルビィ「マルちゃん……!」パチパチ
善子「ふふっ……やはりヨハネとリリーは引き合う運命……!」ギランッ
鞠莉「なんだかどんどん部活らしくなってきたわね♪」
千歌「じゃあ2人から一言ずつどーぞ!」
花丸「えっ!?あっ、マルはみんなと一緒に歌ったり踊ったりは出来ないけど……みんなが頑張れるように色々お手伝い頑張るズラ!」
梨子「えー、っと……私もステージには上がらないけど、その分裏方として力になりたいと思います……」
曜「拍手ー!」パチパチ
鞠莉「シャイニー☆」パチパチ 千歌「そして!」
ルビィ「まだ何かあるんですか?」
千歌「こうして部活として動き出したからにはやっぱり見てもらわなきゃダメ!」
善子「まぁスクールアイドルだし」
千歌「なのでライブをしようと思います」
ルビィ「遂に……!」ゴクリッ
千歌「早ければ早い方がいいです」
曜「うんうん」
千歌「だから皆さん頑張って曲を作りましょう……」ガクッ
梨子「えっ……あれから進んでないの?」
花丸「聞いてた以上にマズいズラ……」
千歌「だから梨子ちゃんとマルちゃんが頼りなんだよぉ」シクシク
梨子「……」
花丸「……」
梨子「はぁ……」 花丸「桜内先輩、オラ達で頑張りましょう!」
梨子「そうね……鞠莉さん、曲のサンプルは?」
鞠莉「えっ?……あぁ、このプレイヤーよ」
梨子「ありがとうございます」
鞠莉「……」
梨子「花丸ちゃんは聴いた?」
花丸「オラはまだ聴いてないです」
梨子「じゃあまずは曲を聴いてイメージを考えましょうか」
花丸「分かりました」
鞠莉「……」
ルビィ「鞠莉先輩ちょっといいですか?」
鞠莉「ワッツ?何かしら?」
ルビィ「……ここじゃちょっと」
鞠莉「OK」 ーーー
ルビィ「あの……鞠莉先輩」
鞠莉「何かしら?」
ルビィ「あの曲……鞠莉先輩が作った曲じゃないですよね?」
鞠莉「……どうして?」
ルビィ「……」
鞠莉「ルビィちゃん?」
ルビィ「変なこと聞いてすいません……鞠莉先輩が作ったならそれでいいんです」ペコリ
鞠莉「……」 ーーー
千歌「さすがマルちゃんと梨子ちゃん……もう歌詞が出来た!」
梨子「もう一度言っておくけど仮の歌詞だからね?」
曜「仮でもすごいよ、私達なーんにも浮かばなかったし」
千歌「そうそう」
梨子「難しく考えすぎなんじゃないかな?」
千歌「難しく?」
梨子「うん、私も花丸ちゃんもとりあえず音から作っただけだから」
曜「もう少しわかりやすく説明してほしいであります!」ビシッ
梨子「ええっ……そうね、意味よりも言葉のリズムを優先する感じかな?」 千歌「言葉のリズム……」ムムッ
梨子「うん、それから意味が分かるように言葉を変えたり……パズルみたいな感じ」
曜「千歌ちゃんパズルだって」アハハ
千歌「じゃー私と曜ちゃんには無理だね」アハハ
曜「だねー」アハハ
ようちか「はぁ……」
梨子「2人ともパズル苦手なのね……まぁこれからは私と花丸ちゃんで頑張ってみるから2人はダンスを頑張ってね?」
曜「そーだ!ダンス!うわぁ……」
千歌「とりあえずルビィちゃんに教えてもらったスクールアイドルを参考に色々考えてみよう」
曜「了解であります……あ、そろそろバス来ちゃうや」
千歌「じゃあ曜ちゃんまた明日」
梨子「ばいばい」
曜「じゃーまたねー」 ーーー
千歌「んーと……ここはこう?ほっ!うわっ!?」ドテッ
千歌「いてて……んー?あ、こっちかぁ……ほっ」
果南「ちーかー」
千歌「ほへ?うわわっ!?」
バシャーン
果南「あっちゃー……もうほら掴まって」
千歌「あ、ありがどー」ブクブク
果南「何をクルクル回ってたのさ?」
千歌「よいしょ……ダンスをね、考えてたんだ」
果南「ダンス?千歌が?」
千歌「曜ちゃんもだけどね」
果南「ふーん……なんか千歌のそんなに真剣な顔初めて見たかも」
千歌「それ私がなんか適当に生きてきたみたいじゃない!?」 果南「ごめんごめん♪」
千歌「もぅ……」
果南「千歌はさ、今楽しい?」
千歌「うん?……そりゃぁ楽しいけど、どうしたの?」
果南「いーや、なんでもないよ♪ほらダッシュで帰らないと風邪引くよ」
千歌「あ゛ー……またみとねぇに馬鹿にされちゃうよー」
果南「自業自得だよ」
千歌「はぁ……じゃあ果南ちゃんまたね」フリフリ
果南「気を付けてねー」フリフリ
果南「……」
鞠莉「とーっても心配そうねー♪」 果南「誰かさんのせいでね」
鞠莉「ノープロブレ〜ム♪千歌っち達はみんな立派にやってるわ」
果南「……」
鞠莉「……あのね果南」
果南「……って」
鞠莉「復学した「帰って!」
鞠莉「果南……」
果南「はっきり言うよ、鞠莉がいる限り私はスクールアイドルなんかやらない……だから帰って」
鞠莉「……そう、ごめんなさい」スタスタ
果南「……」 ーーー
千歌「それで、こう!」キュッ
善子「地味じゃない?」
曜「腕を伸ばしてみるとか?」
千歌「こう?」ビシッ
善子「あぶなっ」
曜「あー、今のステップのままじゃ距離が近いか、じゃあ、ここの足運びをもう1歩広げてみた方がいいかな」
千歌「こうして……こう!」キュッ
善子「なんとか形にはなってきたわね」
曜「どうかな?ルビィちゃん」
ルビィ「凄くいいと思う!」
鞠莉「スムーズに動けば中々のダンスになるんじゃない?」
千歌「よしっ!じゃあ1回みんなでやってみよう!」
善子「いや、全員同じステップは変でしょ」
千歌「あっ」
曜「千歌ちゃんをセンターにするわけだから……動き的には善子ちゃんと鞠莉先輩は今のステップでもいいけど……ルビィちゃんと私は逆のステップにしなきゃ」
千歌「出来る?」
曜「まぁ逆にするだけなら簡単だから、ちょっと3人でやってみる?」
善子「ものは試しね」 ーーー
ルビィ「梨子先輩、花丸ちゃーん」
花丸「どうしたズラ?」
ルビィ「歌詞はどんな感じかなぁって思って」
梨子「ほぼ完成してるわよ♪聴いてみる?」
ルビィ「聴くって……もう録音したんですか!?」
梨子「国木田さんの歌、凄く上手でびっくりしちゃった」
花丸「せせせ先輩!言わないでほしいズラ!」
ルビィ「花丸ちゃんの歌聴きたいっ!」 ーーー
花丸「……穴があったら入りたい……」
鞠莉「ワーオ……」
善子「歌になってる……」
曜「凄いよ梨子ちゃん!マルちゃん!」
千歌「うぉぉ!なんか私達すっごいことしてる!」
梨子「あはは……」
ルビィ「ルビィも早く衣装完成させなきゃ……!」
梨子「私達に手伝える事があったら言ってね、といっても大したことは出来ないけど……」
ルビィ「ありがとうございます♪」
千歌「あっ!」
鞠莉「どうかした?」
千歌「チラシ!」ガサゴソ 曜「チラシ?」
千歌「昨日ちょっと考えてみたの!」バーン
善子「……地獄絵図?」
花丸「相変わらずダメな方に限界突破してるズラ……」
千歌「はい、曜ちゃん!」
曜「はいきたー」
梨子「……?」
曜「えっと……ここはこうだから……」サササッ
曜「清書完了でありますっ!」ビシッ
鞠莉「まるでアルケミストね」
ルビィ「清書って一体なんだろう……」
千歌「どうかな!?」
梨子「ええ……曜さんの描いたのならとてもいいと思う」 千歌「よしっ!じゃあこれを配ったり貼ったりしよう!」
鞠莉「配るっていっても具体的にどこに?」
千歌「とりあえずは回覧板で町内にお知らせしたりかなぁ」
善子「案外小さく攻めるのね」
千歌「そりゃあたくさんの人に来てもらいたいけどさ、いきなり高望みしても仕方ないし、まずは内浦のみんなに見てもらいたいから」
善子「……っ!?」
花丸「善子ちゃんが面食らってる……」
善子「思った以上にまともな答えが返ってきたらびっくりもするわよ」
千歌「なんか失礼じゃないかな!?一応先輩だよ!?」ガーン
鞠莉「じゃあチラシについては千歌っちに任せても?」
千歌「あっ、うんっ!」
ルビィ「じゃあチラシを完成させるためにも日程とか場所とか決めないとだね」
梨子「そうだね」 ーーー
ダイヤ「体育館の使用許可ですか?何の為に?」
千歌「はいっ、この日程のどれかで私達のライブをしたいんです」
ダイヤ「……少し待っていてください」
千歌「はいっ」
梨子「そういえば、生徒会長さんも幼馴染みなんだよね?」
曜「そーだよ?」
梨子「その割には果南さんと違って千歌ちゃんの態度が堅いというか……」
曜「あー、昔からダイヤさんって凄く優等生なところがあったから、嫌いとか仲良くないって訳じゃないんだけど、なんて言うか……一緒にいたら背筋がピンっとしちゃう感じかな」
梨子「へぇ……」 ーーー
ダイヤ「ではこれで受理しておきます」
千歌「ありがとうございます」
ダイヤ「他に何か貸出が必要なものはあれば一緒に書類を用意しますが」
千歌「体育館の2階の照明と体育館の放送室って書類いります?」
ダイヤ「照明?……あぁ、あれはいりませんわ、放送室も使ってもらって構いません」
千歌「なら大丈夫です、ありがとうございました」
ダイヤ「えぇ」
千歌「ダイヤさん」
ダイヤ「他に何か?」
千歌「その……ダイヤさんにも色々思う事があるかもしれないけど、良かったら私達の初ステージ見に来てください」
ダイヤ「……考えておきますわ」
千歌「ありがとうございます!失礼しましたー」ガラッ
ダイヤ「……」 ーーー
梨子「果南さんには言わなくていいの?」
千歌「果南ちゃんなら何となく私の気持ちも分かってくれるかなぁって」
梨子「気持ち……」
千歌「なんて言うんだろうなぁ……誘いたいけど今誘ったらもっと離れちゃいそうな気がして」
梨子「……」
千歌「果南ちゃんってさ、昔からお姉ちゃん≠チて感じでさ、まぁ私本当のお姉ちゃんもいるんだけどさ」
梨子「うん」
千歌「私達の前を歩いてくれたり、後ろを歩いてくれたり……いつだって私達が私達でいられるように見守ってくれてるんだ」
梨子「……」 千歌「だから鞠莉先輩とのことであんなに怒ったりするのもきっと私達の事を思っての事なんだよ」
梨子「そっか……」
千歌「でもさ」
梨子「ん?」
千歌「ダイヤさんが言ってたじゃん、私達には責任が伴うって」
梨子「そうね」
千歌「鞠莉先輩の事だけじゃなくてこれから先Aquorsとして活動していくなかで、きっとそういう時がいっぱいくるのかもしれないじゃん」
梨子「……」
千歌「そんな時……昔みたいに果南ちゃんやダイヤさんに頼ってばっかりなままの私じゃダメなんだよ……」
梨子「千歌さん……」 ーーー
花丸「糸が……通らない……」プルプル
梨子「ルビィちゃん、そんなにすいすい縫って怪我しないの?」
ルビィ「衣装作りもそうだけど、お裁縫は昔から好きなんです、巾着袋とか小物も作ったりしてて」
梨子「凄いね……痛っ……また刺しちゃった……」ガックリ
善子「リリーもズラ丸も賢いだけで不器用ね」
ルビィ「善子ちゃん、ダンスは?」
善子「私はきゅーけー、今でこそ堕天し不幸体質になったとはいえ!はるか昔に天界にその名を轟かした天使なのだから!ダンスの一つや二つに手古摺るようなヨハネじゃないのよ!」ギランッ
ルビィ「善子ちゃん凄い!もう覚えちゃったの?」
善子「えっ!?あっ、まぁね……」タジッ
花丸「純粋無垢なルビィちゃんの真っ直ぐな賞賛にたじろいでるズラ……」
梨子「あはは……」 善子「そ、それより、今のリリーとズラ丸の様子じゃかえって時間がかかるんじゃないの?」
ルビィ「そ、そんなことは……」
花丸「あっ……また糸が抜けた……」
梨子「えっと……次はこっちから……だよね?」
ルビィ「……あるかも」ガクッ
善子「リリー、貸しなさい」
梨子「へっ?」
善子「こういう所は、ここを通して、このくらいで……こう」シュッ
梨子「えっ」
善子「ズラ丸は針を持つ時はここで糸を持つの、で、引っ張る時は針じゃなくてこうやって糸を引っ張るの」シュッ
花丸「おおっ!?」
ルビィ「善子ちゃん……お裁縫得意なの?」
善子「ふっ……ヨハネが本来纏うべき衣はこの現世に存在しないよ、つまり自ら生み出す事が必要なの……!」バッ
花丸「意味わからないズラ……」 ルビィ「……つまりコスプレ衣装を作ってるって事かな……?」
善子「コスプレ言うなっ!」
梨子「じゃあよっちゃんも裁縫出来るんだ」
ルビィ「あの……」
梨子「ん?」
ルビィ「前から思ってたんですけど、善子ちゃんと梨子先輩っていつの間にあだ名で呼び合う仲になったんですか?」
花丸「確かに、善子ちゃんが馴れ馴れしいのは分かるけど桜内先輩からってのが想像つかない」
善子「考えるまでもないわ!ヨハネとリリーは魂を分けた存在なのだから!」
梨子「全然違う……よっちゃんが渾名で呼べって言うから」
花丸「じゃあオラのこともマルって呼んでほしいな♪」
ルビィ「ルビィも……はっ!ルビィってあだ名で呼ばれた事ないっ」
善子「珍しい名前なんだから別にいいじゃない」
ルビィ「ぅゅ……確かに」
善子「とりあえずこの二人に任せてたらいつまで経っても完成しそうにないから私も衣装手伝うわ」
ルビィ「ありがとう♪」 ーーー
鞠莉「ライブのセットリスト?」
千歌「うん、一曲だけって流石に……と思ってさ」
梨子「でも今から作って間に合うの?」
曜「いや無理じゃないかな……」
善子「MCで乗り切る?」
千歌「喋ってるだけじゃアイドルのライブじゃないような……」
ルビィ「じゃあバラード曲を用意するとかはどうかな?」チラッ
鞠莉「バラード……バラードねー」ウーン…
梨子「……」
花丸「桜内先輩となら歌詞はなんとかなるけどなんでバラード?」
ルビィ「バラードなら最悪踊らなくてもいいかなぁって」
善子「確かに、適当に手振りしてればそれっぽくはなるわね」 千歌「それでも2曲かぁ」
ルビィ「あとは……カバー?」
曜「千歌ちゃんµ’sの曲ならちょっと踊れるんじゃないの?」
千歌「そんなことしていいの?」
ルビィ「大会とかじゃないからオリジナルじゃなくても大丈夫だと思うよ?」
善子「大会ってあの見せてくれた……なんだっけ?」
鞠莉「ラブライブよ」
善子「そーそれ、ああいうのはオリジナルじゃないとダメなの?」
ルビィ「うん、他にも企業主催とか色々あるけどだいたいオリジナルに限定されてるの」
千歌「じゃあµ’sのカバーもして3曲!」
曜「初ステージならそれくらいでも十分かな?」
ルビィ「うんっ」
鞠莉「じゃあバラード曲に関しては私と梨子っちとマルちゃんで用意するわ」
ルビィ「衣装は時間的余裕がないから今作ってる1着で全部やるしかないかな……」
千歌「分かった!じゃあ私達はµ’sのどれをカバーするか考えよう!」
曜「µ’sって9人だよね、ということは5人用にアレンジもしなきゃならないのかー」
善子「なんとかなるでしょ」 ーーー
むつ「ちーかー」
千歌「どーしたのむっちゃん」
いつき「これ見たよ」スッ
曜「あ、私達のチラシ!」
千歌「来てくれるの!?」
よしみ「行くっていうか……」
むつ「なんか手伝えることないかな?」
千歌「へっ?」
いつき「ライブするって結構大変なんでしょ?」
梨子「まぁ……初めての事だから……」
むつ「だからさ、ライブの時だけでも助太刀出来たらなと思って」 よしみ「私達も部活あるし、入部までは出来ないからね」
千歌「みんな……」
曜「どー思う?」
梨子「それは……始まったら私とマルちゃん以外ステージの上だから1人でも多ければ嬉しいけど……」
千歌「というわけだから!」
むつ「任せて!」
いつき「また詳しいこと決まったら教えてね」
千歌「うんっ!」
曜「じゃあ行こっか」
梨子「それじゃ」
よしみ「頑張ってねー!」 ーーー
梨子「じゃあ一旦休憩で」
5人「はーい」
花丸「みんな凄いズラ、あっという間にアイドルらしくなってる」
梨子「ね、みんな頑張ってる」
千歌「あ゛ー……私がセンターなのに私が一番間違えてるー」グデェ
曜「でも、毎日どんどん改善してるよ」
千歌「そーだけどさー、曜ちゃんは運動神経良いの知ってるから分かるけど、善子ちゃんもルビィちゃんも鞠莉先輩も上達早すぎない?」
鞠莉「フフッ、私こう見えて色々スポーツはやって来てるのよ?」ドヤッ
ルビィ「ルビィは昔からアイドルのダンスとか真似してただけで……」
善子「ある程度動きが分かればそんなに難しく無いでしょ」
千歌「なんか酷いコンプレックスを抱えそうだ!」ガーン ーーー
花丸「小原先輩は凄いなぁ、すぐこんな曲作れるんだもん」
梨子「……」
花丸「……桜内先輩?」
梨子「えっ?」
花丸「なんかぼーっとしてたけど大丈夫ですか?」
梨子「あぁ、ごめんね、歌詞を考えてたらちょっと」
花丸「確かにバラードって難しいズラ……」
梨子「あんまりネガティブ過ぎるのも良くないからね」
花丸「うーん……」
梨子「……」 ーーー
千歌「……」ソワソワ
曜「千歌ちゃん大丈夫?」
千歌「う、うんっ!」ソワソワ
梨子「えっと、この曲はイントロがかかったらこの順番で色を変えてもらえますか?」
むつ「曲中はずっとこの繰り返し?」
梨子「うん、ただサビで足元のスポットを点けるせいで分かりにくくなるから気を付けて」
よしみ「りょーかい」
梨子「サビの始めと終わりは分かりやすい曲だけどその分ズレると目立っちゃうから注意してね」
いつき「責任重大だ……」
キィィィィン!!!
善子「うぎゃぁあ!?」
鞠莉「ノォォォ!?」
ルビィ「ひぃぃぃっ!?」 キィィィィン…ブッ
曜「び、びっくりしたぁ……」
千歌「ぅぁぁ……まだきーんってしてる」フラフラ
鞠莉「ボリュームフルスロットルにしたみたいね……」
善子「ズラ丸……」
曜「マルちゃん相変わらず機械苦手だもんね……」
ルビィ「うん……大丈夫かなぁ」
梨子「と、とりあえずそろそろリハーサルしましょうか……」
千歌「おっけー、衣装はどうする?」
ルビィ「衣装の最終チェックもしたいから着てもらった方がいいかな」
鞠莉「じゃあすぐ着替えましょうか」
梨子「じゃあ着替え終わったらステージに上がってくれる?」
曜「はーい」
よしみ「じゃあ各自持ち場へ!」
むつ「ラジャー」
いつき「はーい」 ーーー
『あー、あー、こちらむつ、少しずつお客さんが来はじめてます、どうぞ』
曜「こちら曜、了解であります、どうぞ」
善子「なんでスマホで無線みたいなやり取りなのよ」
ルビィ「ぅゅ……」ソワソワ
鞠莉「ルビィちゃん大丈夫?」
ルビィ「今になって緊張してきちゃった……」オロオロ
千歌「……」
鞠莉「千歌っちも緊張してる?」
千歌「緊張っていうか……なんだろうこれ」
鞠莉「?」
曜「武者震いじゃない?」
鞠莉「武者?サムライ?」
曜「ワクワクし過ぎて落ち着かない感じかな、私も高飛び込みの大会の時とかいっつもソワソワしちゃって、でも怖いとか逃げたいってのは全然無くって、むしろ早くやりたいって」 千歌「そっか……こんな気持ち初めてだよ……」グッ
善子「いい話っぽいことしてるところ悪いけど、千歌先輩ニヤニヤし過ぎてキモイ……」
千歌「えっ!?」ガーン
鞠莉「ヨハネちゃん……それは酷いわよ」
善子「だってー」
ルビィ「……ぷっ♪」
曜「あ、ルビィちゃんが笑った」
ルビィ「だって本番前なのに、みんな自由だから」クスクス
鞠莉「ホント、マイペースよね〜」
善子「先輩がそれ言うの?」
ppp
千歌「あ、むっちゃんから……開場するって」
曜「お客さん……どれくらいいるかな」
ルビィ「見に行くよって言ってくれる人は結構いたと思うけど……」
鞠莉「鬼が出るか蛇が出るか……」
善子「武者震い知らない癖になんでそんな言葉知ってるのよ……」 千歌「そーだ」
ルビィ「ん?」
千歌「あれやろう、あれ……えっと……円陣?」
鞠莉「いいわね」
曜「肩組もう肩!」
善子「そんな暑苦しいの嫌なんだけど……」
鞠莉「掛け声は?」
ルビィ「えいえいおー、とか?」
善子「運動会みたい……」
曜「µ’sはなんかやってたの?」
千歌「えっと……知らない……」ガクッ
ルビィ「あんまりそういう裏の話する人いないよね……」
曜「じゃあ出航〜とか」
鞠莉「イッツァショータイム♪とかは?」
善子「それでいいんじゃない?」 千歌「グループ名とか言うものじゃないの?Aqours……なんとかー!って」
鞠莉「そういもの?」
善子「さぁ……」
ルビィ「アクアー、イッツショータイム……って語呂が悪い気が……」
千歌「うーん……あ、サンシャインとか!」
善子「いやなんで」
千歌「なんとなく!他と被らなさそうだし!」
鞠莉「随分フワッとした理由ね」
曜「まぁオリジナリティー溢れるって言えば溢れるかもね」
ルビィ「うんっ」
善子「時間もないし、もうそれでいいわ」 千歌「じゃあみんな手を重ねよう!1っ!」
曜「えっ数字?えっと2っ!」
ルビィ「えっえっ、3っ!」
鞠莉「4っ♪」
善子「5っ」
千歌「アクアー……」
5人「サンシャイーン!」
善子「……やっぱり意味分からないわよこれ」
鞠莉「まぁシャイニーだし☆ノープロブレムよ♪」
ppp
千歌「梨子ちゃんだ……みんな、始まるよ!」 ーーー
梨子「御来場の皆様、大変長らくお待たせいたしました、まもなく浦の星女学院スクールアイドル、Aqoursのステージが開演いたします、開演後は足元が暗くなりますのでお気をつけください、また携帯電話、スマートフォンの電源はお切りいただくようお願いたします」
花丸「……」
梨子「ふぅ……緊張した……」
花丸「凄いズラ、アナウンサーさんみたい、さすが標準語……」
梨子「いや……読んでるだけだから……」
花丸「それが全然違うんだなぁ、オラには絶対出来ないよぉ」
梨子「方言も可愛いと思うけど……じゃあマルちゃん始めよっか、カメラOK」
花丸「はいっ、ステージライトオン!」ポチッ
梨子「音楽スタート!」ポチッ
花丸「開幕ズラ〜♪」ポチッ
〜♪〜♪
梨子「始まった……」 花丸「お客さんもちゃんと来て良かった……」
梨子「……」
花丸「ルビィちゃん凄い嬉しそう……」
梨子「……」
花丸「善子ちゃんも何だかんだいって楽しそうズラ」
梨子「……」
花丸「……桜内先輩?」
梨子「……えっ?」
花丸「なんか……怖い顔してたけど……何かありました?」
梨子「えっ……いや……ごめんなさい……別にそういうのじゃ……」
花丸「あ、いやマルこそごめんなさい、変なこと聞いて」
梨子「ううん……ごめんね……」
花丸「……」
梨子「あ、サビ入るよ、スポットよし……バッチリだね」
花丸「あ、うんっ、良かったズラ」
梨子「……」
ーーこの込み上げる気持ちはなんだろうか?
ーー憧れ、それとも記憶の底に沈んだ感情?
ーーならどうしてこんなにも
ーー突き刺すように痛いのか ーーー
〜♪〜♪
ダイヤ「……」
ダイヤ「……そんなところで隠れてないで堂々と見ればいいのでは?果南さん」
果南「……」
果南「……ダイヤは平気なの?」
ダイヤ「正直な所、複雑な気持ちではあります」
果南「私は……」
ダイヤ「ですが」
果南「……?」
ダイヤ「私のつまらない感情でルビィの晴れ舞台から目を逸らしたくはないんです」
果南「……」 ダイヤ「ルビィだけではありませんわ、千歌さんや曜さんだってそうですし、裏方ではありますが花丸さんだっているんです」
果南「……」
ダイヤ「いつも私達の後ろを走り回ってたルビィ達が、自分達だけで何かを成し遂げようとしてる、姉として先輩として、生徒会長として、見届ける義務が私にはあると思ってます」
果南「……」
ダイヤ「……もちろん」
果南「……」
ダイヤ「鞠莉さんと特に仲の良かった貴女がそんな簡単に割り切れたり出来ないのも分かってはいますが」
果南「……」
ダイヤ「あの子達の眩しい姿を少しくらい見たってバチは当たりませんわ」
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