希「ウチの喫茶店の味は」
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■Scene01
サァー…
カランコロン
希「いらっしゃいませー♪」
希「全く、かよちんも凛ちゃんのことになると怖いんやから…」
花陽「…あ、あの…希さん…。名前…///」モジモジ
希「名前…?」
花陽「///」コク
希「…あー…そっかそっか。花陽ちゃん…ね♪」
花陽「はい…♪」
希「ウチ的にはもう慣れたし、かよちんのままの方がええんやけどなー」
花陽「…それでも…いいんですけど…」
花陽「でも…かよちんっていう呼び方は…凛ちゃんだけのものだったから…///」
希「おーおー、えらいノロケ発言してくれるなぁー」ニヤニヤ
花陽「あぅ…///」カァー
希「わかったで、花陽ちゃん♪」
花陽「…ありがとう…ございます…♪」ニコ
凛「にゃーっ! 苦いにゃーっ!」ベー
凛「…あれー? おっかしいなぁー…。よーし、もう一回やるよ!」
希「…頑張ってるなぁ」クス
花陽「…そうですね…」クスクス
希「本当、口調に反して可愛い子やで…♪」
花陽「そうでも…ないですよ…?」
希「お?」
花陽「ふふ…あの凛ちゃんの…にゃーって口癖…あるじゃないですか…?」
希「あー、たまに言うとるなぁ」
花陽「あれ…昔、子供の頃に…男の子みたいってからかわれてから…自分でなんとか可愛く見せようと考えて生まれたのが、あの猫真似なんです」
希「へぇ…。ちょっとズレてるのが、凛ちゃんらしいというかなんというか…」クスクス
花陽「可愛いですよね…♪」クスクス 花陽「…あんなに可愛いのに…凛ちゃんも…昔はいろいろ言われてて…」
希「…」
花陽「私なんかに…構ってる余裕だって…なかったかもしれないのに…」
希「花陽ちゃん…」
花陽「…」
花陽「ふふ♪ 大丈夫ですよ…」
花陽「もう一人で、背負い込んだりは…しませんから…」
希「…そか♪」
花陽「…でも、だからこそ…凛ちゃんには…自分の好きなことを…たくさんして貰いたいです…」
花陽「私なんか…気にしないで…自由に…伸び伸びと…」
花陽「それこそ、猫のように――」
希「…いくら好きにやってたって、最後は花陽ちゃんのとこに戻ってくるわ」
希「凛ちゃん…花陽ちゃんのことが大好きやからな♪」
花陽「…本当に…猫みたいですね――?」
希「…♪」クスクス
花陽「♪」クスクス
凛「あーっ! 二人して何笑ってるのー!? もしかして凛のことー!?」
……。
ズズ…
希「…」ハァ
カタカタカタ…
希「…」
〜♪
希「…あ」
希「えりち…? ウチやよ…」
希「うん…元気やよ。そっちは…?」
希「そっか…。うん…元気でなによりやね♪」
希「…」
希「ん? うん…」
希「明日、時間あるかな――…?」
……。
■Scene25
ことり「かよちゃ〜〜〜ん! 凛ちゃ〜〜〜ん!! 来たよぉぉ〜〜〜…♡」バーン!
カランコロン…
希「…扉開けるより前に叫びながら入ってくるの、やめてもらえへんかな…。いらっしゃい、ことりちゃん」
ことり「…あれぇ? 私の天使ーずはどこぉ…?」キョロキョロ
ドサ
ことり「まさか…! またなの…っ!?」
ことり「また月に戻っていってしまったというのぉ…!! 希ちゃん…ッ!?」キッ
希「なんでウチを睨むねん…」
希「二人とも休憩中やー。一緒にご飯食べに外行っとるだけやで」
ことり「なんだぁー…」ホッ
ことり「また希ちゃんが若い子潰しちゃったのかと思ったよぉ〜…」ホッ
希「誤解を招く言い方やめてもらえるー?」
コト
希「はい、どうぞ」
ことり「ありがとぉー♪」
希「今日のはウチの自信作やでー♪」
ことり「へぇ〜…希ちゃんがそこまで言い切るのは珍しいね…?」
希「うん、まぁウチも色々学んで来たからなぁー…」
ことり「…それじゃあ、いただきまーす♪」
ズズ…
ことり「…」
ことり「…ふぅん」
希「…どう?」
ことり「…あーあ、つまんないなぁー」
希「へ…?」
ことり「答え、見つけちゃったんだぁ〜…」
希「ぁ…」
ことり「そっかぁ…あの希ちゃんがねぇ〜…」
希「…」
ことり「がんばったね、希ちゃん☆」
希「…うん♪」
ことり「もう…希ちゃんが困ってるところを見るの楽しみだったんだけどなぁ〜…」
希「性格悪いなぁことりちゃんは…」
ことり「そんなことないよぉ!」
希「まったく…」クス
カタ…
ことり「ごちそうさまでした☆」
希「お粗末様」
ことり「…とっても、美味しかったよ♪」
希「…ありがと♪」
ことり「それで…どうするの?」
希「…もう電話した。今日、会うつもりだよ」
ことり「わお、はやーい☆」
希「うん…。何事も、思い立ったら即行動しないとな」
希「穂乃果ちゃんが教えてくれたわ…♪」
ことり「…そうだね」 ことり「あ、そうそう、この間穂乃果ちゃんに会って来たよぉ〜♪」
希「は? ど、どうやって?」
ことり「穂乃果ちゃんが来ていたお洋服ぅ〜、お着替えしてるときにこっそり匂いを…じゃない、どこのブランドかチェックしてたんだよぉ〜」
ことり「で、ことりのコネを利用して、あらゆるブランドの知人さんに連絡をとって〜、店舗にそれらしい女の子が来てないか確認してもらったんだぁ〜♪」
希「ガチガチのストーカーやんけ…」
ことり「何百っていう店舗から探すのは大変だったけど…穂乃果ちゃんみたいなサイドテールの子、中々いないから割とすぐに見つかったよ〜♪」
希「なんという執念…」
ことり「当たり前だよぉ…! 穂乃果ちゃんほどの天使…そうそう現れないんだよ…! なんとしてでもモデルさんにスカウトして…! あわよくば、海未ちゃんとユニットをくませて…!!」
希「ユニットって、アイドルやないんやから…」 ことり「なんてことを穂乃果ちゃんに直接伝えたら、相方さんのにこちゃんさんにぐーぱんち喰らいました…」
希「そりゃそーやんな」
ことり「でも…ことりはめげません! なんなら…にこちゃんさんも一緒に三人でユニットデビューを…っ!!」
希「…なんというか…」
希「ことりちゃんはいつでも、自分に素直やなぁ…」
希「その素直さだけは、勉強させてもらわなな…」
……。
ことり「…それじゃことりは帰るね♪」
希「あの子らには会ってかんでええの?」
ことり「本当は直接会って、お洋服着せたかったけどぉ〜…♡」
希「着せたかったってのが控えめに言ってキモいやね」
ことり「もぉ〜希ちゃんのツッコミもどんどん鋭さが増していくんだからぁ〜…///」ハァハァ
希「えぇ…そういう方向性のヘンタイさも持ってるんか…」
ことり「…でも今日は、希ちゃんの大事な日だから早めにいなくなることにするよ♪」
希「大事な日って…///」
ことり「今の希ちゃんだったら分かると思うけど…」
ことり「絵里ちゃんは希ちゃんのことを、誰よりもだいじーに想ってるんだからねっ!」
ことり「そのことを忘れちゃダメだよ!」
希「うん…わかってる…」
ことり「ふふ…♪」
ことり「絵里ちゃんのこと、あんまり泣かせるんじゃないぞっ☆」
希「…ありがと、ことりちゃん♪」
カランコロン
希「…ことりちゃんってあんなヘンタイなのに、たまに言うことはまともだし、洋服のデザインはいろんな人に認められるレベルやし…馬鹿と天才は紙一重の典型やなぁ…」
希「って、こんなこと聞かれたらどんなエロエロ衣装着せられるか分からんわ」クス
希「触らぬことりちゃんに祟りなしや――…」ナムナム
カランコロン
絵里「…何してるの、希…?」
希「へ!? え、えりち!?」ドキッ
👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:1341adc37120578f18dba9451e6c8c3b) 希「は、早かったね…?」
絵里「ええ…調度予定も入ってなかったしね」
希「へ、へぇ…」
絵里「入り口に向かってお祈りなんかして…疫病神でも来てたのかしら?」
希「疫病神って、そんな…」
希「いや…あながち間違いではないんかな…」
絵里「…それはもしかして、私のことだったり――?」
希「…」
絵里「…」
絵里「なんか言って頂戴よ…」
希「…」クス
希「――中、入って?」
絵里「…ええ」
……。
トコトコ…
凛「はー、お昼ご飯美味しかったーっ♪」
花陽「凛ちゃん…食べ過ぎだよ…?」
凛「大丈夫だよー! のぞみちゃん人使い荒いから…これぐらい沢山食べて元気つけておかないと…っ」グッ
花陽「ふふ…♪」
凛「遅れるとのぞみちゃんがうるさいし、早くかえろー?」
花陽「…凛ちゃん…すっかり希さんと仲良くなったよね…♪」
凛「えーっ!? そんなことないよー! すぐ頭ぶたれるし、お、おっぱいだって揉まれちゃうし…///」サワサワ
花陽「そ、それは私も…たまにあるし…///」サワサワ
凛「ちょ、かよちんがおっぱい触るのは禁止ーっ!///」
花陽「ふぇ…?///」 凛「…り、凛が小さいのが、よりはっきりしちゃうにゃ…///」シュン
花陽「…別に…小さくても…可愛いよ…♪」クス
凛「嫌味だよぉ…のぞみちゃんとかよちんが言っても説得力ないぃー…」
花陽「あ…ほら、凛ちゃん…それだよ…」
凛「それ?」
花陽「のぞみちゃんって…よく言うようになったよね?」
凛「ぁ…だ、だってこれは…のぞみちゃんが…」
凛「あ…///」
花陽「ふふ、全然いいと思うよ…。ひ、人でなしなんて呼んでるよりかは…」アハハ
凛「…そう、かな?」
花陽「うん…♪」
凛「でも…のぞみちゃんが人でなしなのは変わらないけどね…っ!」
花陽「…♪」クス 凛「そういえば、この間初めてのぞみちゃんの淹れてくれたコーヒー飲んだけど…」
花陽「美味しかった?」
凛「うん…すごい美味しかった…」
花陽「だよね…♪」
凛「のぞみちゃんの淹れるコーヒーって、なんであんなに美味しいんだろうなぁ…。凛、あれからずっと練習してるけど…ちっとも敵いそうにないや…」
花陽「…希さんは…すごく優しいから…それがコーヒーに出てるのかも…」
凛「…」
花陽「西木野先生も言ってたけど…とっても暖かい…」
花陽「どれだけ辛いことがあっても、優しく包み込んでくれるんだって…」 凛「…かよちんも」
花陽「…え?」
凛「かよちんも…のぞみちゃんのコーヒー…好き…?」
花陽「…うん…大好き…♪」
凛「…」
花陽「…?」
凛「むー…!」
凛「かよちんに大好きって言ってもらえるように、凛、もっと頑張るよっ!」
花陽「え、えぇ…?///」
トコトコ…
凛「とうちゃーく! さぁー、午後もがんばろーっ!!」
花陽「…そうだね…♪」
凛「お客さん来ればいいけど…っと」ピタ
花陽「…? 凛ちゃん…?」
凛「あそこ…窓際の席。めずらしー…お昼の時間にお客さんが入ってるー…」
花陽「り、凛ちゃん…。確かに…珍しいけど…」
凛「凛たち、本当に人気になってるのかなぁ?」ワクワク
花陽「ど、どうかな…///」
凛「よーし! お客さんとお話してくるにゃー!」
ガバッ!
凛「にゃー!?///」
花陽「り、凛ちゃん!?」アセアセ
凛「や…ちょ…! 離せ…! どこ触ってるのヘンタイ…!!///」ジタバタ
花陽「け、警察…っ!?」ハラハラ
ことり「…はぁ〜…凛ちゃんの小ぶりなおっぱい〜…♡」ハァハァ
花陽「あ…こ、ことりさん…」
凛「ふぇ…?///」
ことり「やっほー、かよちゃんに凛ちゃんー☆」ワシワシ
花陽「ことりさん…な、なんで…こんな隅っこに…?」
ことり「んー…それにはちょっと理由があってぇ〜…」モミモミ
花陽「理由…?」
ことり「中の様子をこっそり伺いたいというかぁ〜…」プニプニ
花陽「あのお客さん…ですか…?」
ことり「そうそう、ちょーっと訳ありでぇ〜…」サワサワ
花陽「希さんのお客さん…ですか…?」チラ
ことり「だいじなだいじなお客さんだよ…♪」ツンツン
凛「い、いいからおっぱい揉むのやめるにゃーーーっ!!///」
……。
コト
希「はい、どうぞ♪」
絵里「ありがとう」
希「…」
絵里「…」
絵里「…それで、話って?」
希「うん…」
希「まずはコーヒー、飲んで♪」ニコ
絵里「…? いいけど…」
ズズ…
絵里「…」
カタ…
希「…美味しくなかった?」
絵里「いえ…そんなことはないわ」
絵里「ただ…」
絵里「昔を思い出したの…」
絵里「希と一緒に、母の淹れるコーヒーの練習をしていたこと――…」
希「…」
希「懐かしいなぁ…」
希「あそこのカウンターの上で…よく一緒に練習してたね…」
絵里「中々上達しない希のことを、あの頃、何度怒ったか分からないわ」
希「ほんと…えりちは厳しかったからなぁ」
絵里「…希が不器用すぎるのよ…」
希「本当にね…♪」クス
絵里「私達のそんな光景を…母が、今座ってるこの席から遠目に…暖かく見守ってくれてたわね」
希「…あの人を小馬鹿にしたような笑い方、今でも覚えてるわ…♪」
絵里「…失礼ね」
希「だってホントのことやん?」
絵里「…まぁ、ね」
希「せやろ?」クスクス 絵里「希、あなた…本当に母に似てきたわね」
希「え、ホント?」
絵里「…その胡散臭いエセ関西弁もそうだし、何より…性格がね」
希「そう言われると…嬉しいやん♪」
絵里「そんなとこ、受け継がなくて良かったのに…」
希「どっちが娘なんか、わからんなぁ」
絵里「本当ね…」クス
絵里「…」
絵里「希…」
絵里「…あなたの心は今でも、母と共にこの喫茶店の中にあるの――…?」
希「…」
希「…」
希「――どうなんやろなぁ」
希「ウチにもそこらへんは、ようわからんわ」クス
絵里「…」
希「…ウチは子供の頃…ずっと一人やったから」
希「学校にいても、家にいても、どこにいても…常に一人やった…」
希「それはウチ自身の弱さのせいだから、誰のせいにするつもりもない」
希「けど、子供の頃は…それを慰める術を、知らなかった…」
希「当たり前やね、子供なんやから」
希「でも、そんな子供のウチを…えりちのお母さんは…優しく抱きしめてくれた」
希「――今でも覚えてる」
希「居場所が無かったウチは、外をふらふらと彷徨う日々が続いてた…」
希「そしたらある日、ふと…どこからともなくコーヒーの良い匂いが漂ってくるのを感じたんよ」
希「あの頃のウチは、コーヒーの良さの欠片も知らないんだから…それがなんで良い匂いと感じたかは分からない…」
希「けど、その不思議な心地良さにつられて…私はこの喫茶店に誘われた」
希「まるで――そうなる運命みたいに」
絵里「運命…」
希「…運命って、面白いなって思うよ」
希「ウチ、占いとかそういう真似事できないからよくわからんけど…」
希「きっとここに集まってくるお客さんや、いろんな人…みんな何かの運命みたいなもので呼び寄せられたんやと思っとる」
希「なんでと言われても、答えることはできないんやけど…」
希「でも…そうなんだって自信を持って言えるんや」
希「もしかしたら、前世が占い師とかやったんかもな――?」クス
希「だから…穂乃果ちゃんがここに来たのも運命やと思うし…」
希「真姫ちゃんも、海未ちゃんも…」
希「花陽ちゃんや凛ちゃん…ことりちゃんも」
希「そして…えりちとも――…」
絵里「…」
希「えりちと出会えてなかったら、きっと…今のウチはなかった…」
希「こんなにも…いろんな人とお話することができて…喫茶店をやれるのは全部…えりちのおかげやもん…」
希「えりちが…ウチのことを一生懸命育ててくれた…」
絵里「希…」
希「そして勿論…お母さんも…」
希「ウチの本当のお母さんやないけど…間違いなく、あの人はウチのお母さんや」
希「お母さんに出会えたのも…運命なんよ…」
希「だからね…お母さんが事故で亡くなったことだって…運命やと思ってるんや」
絵里「…」
希「本当に急だったし…すごく悲しかった…」
希「一時期はずっと塞ぎ込んだままだったし、また元の私に戻ってしまいそうだった」
希「――ううん」
希「ウチは元の私に戻っていた」
希「誰とも言葉を交わせないで、一人で膝を抱えてうずくまる私に…」
希「でも、しょうがないよね…」
希「お母さんは、私一人でも心細くないように…」
希「自分で足で歩けるように…魔法をかけてくれた人だから…」
希「そのお母さんがいなくなったから、魔法は解けてしまったんだ…」
希「お母さん…」ギュ
絵里「…」
希「――なーんてな」
希「ウチはもう…そんな弱くない」クス
希「そんな魔法に頼ってなければいけないほど弱い私じゃない――」
希「えりち…この間来てくれた時に言ったやん?」
希「ウチが、いつまでもお母さんの真似をしているって…」
絵里「ええ…言ったわね」
希「…それは間違いなんよ」
希「ウチは、お母さんの真似をしとる訳やない」
希「…だって、これはウチの魔法だから――」
希「ウチが自分でかけた、ウチだけの魔法――」
希「ウチが自分自身で変えようと努力した魔法――」
希「それが魔法なんかは、ようわからんけど」クス
希「だから、えりちがウチに感じているお母さんの影っていうのは…幻だよ」
希「ウチはウチ、私はもういない」
絵里「…」
希「…と言ってもな、そのことに気が付いたんは最近なんよ」
希「ウチ自信…ずっとお母さんの影を追ってた気はしてたから…」
希「本当にこのままでいいのか…」
希「私はどうしたいのか…ずっと迷ってた」
希「でも――穂乃果ちゃんやにこっちに出会って…」
希「真姫ちゃんや海未ちゃんと知り合えて…」
希「そして…花陽ちゃん、凛ちゃんとも出会って…」
希「いろんなことを知った…」
希「いろんな人の強さを学んだんよ…」
希「そして…自分はバカやったんやなぁって、気が付いたんや」
希「いつまでもお母さんの後を追って…自分の弱さから逃げて…」
希「大切なことからずっと目を背けながら…この喫茶店をやってた」
希「お母さんに…本当に申し訳ないわ…」
希「人の店使って、ウチは何してたんやろって…」
希「本当の意味で、ウチはお客さんのこと…笑顔になんてできてなかったんや」
希「…そりゃそうやんなぁ」
希「一番近い人間のこと、笑顔にできてないんやから――」
絵里「…希」
希「…この喫茶店で起きた出来事は…ウチにとって全部宝物」
希「ウチが生きてきた証…」
希「全部…ウチの運命…」
希「えりち…今まで私をこのお店に置いてくれてありがとう…♪」ニコ
絵里「…どういたしまして」ニコ
タッ
希「…大好きだよ♪」ギュ
絵里「――」
……。
ことり「キャ――――――!! 希ちゃんの生告白きたぁぁぁぁ〜〜〜〜!!!☆」バシバシ
凛「い、痛いにゃぁ〜〜っ!!」
花陽「こ、ことりさん…声が大きいですよ…///」ドキドキ
ことり「だ、だってだってぇ!! 臆病な希ちゃんがあんな大胆に大好きだよ!? しかも抱きついちゃってるよぉ! いけっ! そこだっ! 押し倒せぇ!!///」ハァハァ
花陽「お、押し倒すだなんて…そ、そんな…///」
凛「…っていうかお店の中に盗聴器仕掛けてるとか…このヘンタイ女、絶対通報した方がいいと思うよ…」
ことり「こ、ここ、これは! そのぉ…希ちゃんのことが心配だからでぇ…///」テヘ
花陽「あ、あれ…? ということは…私達の会話も…?///」
ことり「ばっちり聞いてたよぉ〜…☆」
花陽「///」カァー
凛「は、犯罪にゃー!! 警察にしょっぴくにゃーっ!!///」
ケイサツー!?
ガサ
にこ「ちょっと! 警察とか穏やかじゃない声が聞こえてきたけど、大丈夫ーっ!?」
穂乃果「にこちゃん…危ないよ…刺されるよ…っ!」ギュ…
穂乃果「あ」
ことり「あ♡」
にこ「こいつが犯人?」チラ
凛「そうにゃ!!」ビシ
花陽「り、凛ちゃん…!」アワアワ にこ「うちの穂乃果だけじゃなく、喫茶店のお客も毒牙にかけてるのかしら〜このトサカはぁ〜?」ピキピキ
ことり「ど、毒牙なんて…誤解だよぉ〜♪ ねー穂乃果ちゃーん凛ちゃーん…♡」
穂乃果「ぅ…///」ササ
凛「…///」ササ
ことり「二人とも絶妙に距離を取ってるっ!!」ガーン
にこ「はーい、近くに交番あるから一緒についてきてねー」グイ
花陽「あわあわあわ…」
ことり「いやぁぁぁ〜〜〜〜〜! 希ちゃんの告白劇最後までみたいのぉぉぉ〜〜〜〜!!」ズルズル
穂乃果「希ちゃんの告白…?」
にこ「え、なに…? どういうこと…?」
……。
にこ「へぇ…ちょっと挨拶に寄ってみたら面白いことになってるのね…」
穂乃果「希ちゃん…そっか…」クス
ことり「ね? ね? だからこの盗聴器で中の会話を盗み聞きしてね…♪」エヘヘ
にこ「…あんた、可愛い顔して言ってることは最悪ね」
ことり「そんなぁ、可愛い顔だなんてぇ…///」キャッ
凛「ことりちゃんにそんなこと言っても無駄だよ…」
穂乃果「本当だよね…喜ぶだけだよ…」
にこ「初めてあった人間同士でそこまで共感するなんて、本物ね…」 花陽「…あの…穂乃果さん…ですか…?」
穂乃果「うん! 穂乃果だよ! あなたは…?」
花陽「は、初めまして…! 穂乃果さんが辞めた後に…ここで代わりに働かせてもらってる…小泉花陽…と言います///」ペコリ
穂乃果「あ…そうだったんだ」
花陽「はい…穂乃果さんが来ていた制服…今は私が、お借りしています…」
穂乃果「へぇ…」ジー
花陽「?」
穂乃果「ははは…穂乃果なんかよりずっとお似合いだよね…」ズーン
花陽「あ、あぅ…///」バッ
凛「凛もかよちんと一緒に働いてるんだよ!」
穂乃果「二人共一緒に働いてるの? …希ちゃん、お金大丈夫なのかな…」
ことり「それはまぁ、絵里ちゃんがいるから…大丈夫なんじゃないかなぁ?」
花陽「そう言えば…このお店のお金ってどこから…」 穂乃果「えっと…花陽ちゃん…?」
花陽「は、はい…?」
穂乃果「なんていうか…穂乃果は突然やってきて、そして突然出て行っちゃったからあんまり希ちゃんこと、助けてあげられなかったけど…」
穂乃果「穂乃果の代わりに希ちゃんのこと…しっかり支えてあげてね…♪」
花陽「ぁ…」
花陽「はい…♪」
オヤ…?
ガサ…
海未「…誰か、いるのですか…?」
ことり「あ、海未ちゃぁ〜ん☆」
海未「ひっ!」ザザザ
タタタ…!
にこ「…あんたの顔見ただけで逃げてったわよ。どんだけ嫌われてんのよ」
ことり「海未ちゃんったらもう、恥ずかしがり屋さんなんだからぁ〜☆」
ヴェェェ!!
穂乃果「あ、あの叫び声は…」
花陽「西木野…先生…?」
穂乃果&花陽「え?」クル
真姫「いたた…」
海未「す、すみません…急に飛び出して…」
真姫「だ、大丈夫よ…って、あら…?」
海未「あ…あなたは…希さんの知り合いの…」
穂乃果「真姫ちゃーん、海未ちゃーん!」トコトコ
真姫「ぁ…」
海未「ことりさんだけでなく、穂乃果さんまで…?」
凛「みんな…このヤブ医者のこと知ってるの…?」
真姫「だから、ヤブ医者じゃないって言ってるでしょ…っ!」
花陽「り、凛ちゃん…!」
穂乃果「ヤブ医者…だったの真姫ちゃん…?」
真姫「希と同じリアクションするんじゃないわよっ!」
穂乃果「えー…?」
ことり「お医者さん…美人…女医…っ!?///」ハァハァ にこ「なになに、みんな知り合いなの…? すごい偶然ね…」
穂乃果「本当だねぇ…」アハハ
海未「私は…いつものように希さんのコーヒーを飲みに来ただけですが…」
真姫「私も…そうよ…///」
凛「偶然知り合いが今日集まったの…? すごいにゃぁ…」
花陽「そうだね…」
花陽「希さんは本当に…みんなの人気者なんだね…♪」
穂乃果「うん…希ちゃんのことは、みんな大好きだよ♪」
ことり「ふふ…希ちゃんが聞いたら、泣いて喜ぶよ…?」クス
にこ「あ、いや、私は…そんなには…」
……。
なんか小出しで本当に申し訳ない
全然間に合わない…
あとちょっとなので頑張ります
連休中に終わらせたいところです…
希「――なんで、この一言が言えなかったんやろなぁ…」
希「ウチはずっと言い続けてたやんな…」
希「えりちのおかげって…」
希「それなのに…ずっとずっと誤魔化し続けて…」
希「えりちを先に歩かせ続けて…」
希「ウチはずっと、待ってた…」
希「いや…」
希「迎えに来てくれるえりちの手を、払い除け続けてきてたんやな…」
希「ほんと…私は…バカだよ…」
希「えりち…」グ…
絵里「希…」
絵里「…母が亡くなって、ずっと塞ぎこんでいても…」
絵里「一人で母の影を背負い込んでいても…」
絵里「例え、私のことを見てくれていなくても…」
絵里「私はずっと…希のことを想い続けていた」
絵里「何故…なのかしらね」
絵里「…希とは、どこか近いものを感じていたから…?」
絵里「お互い…種類は違えど、孤独を感じる者同士だったから、なのかもしれない…」
絵里「私だって、決して…いつだって強かったわけじゃない」
絵里「一人の時は泣くこともあったし、うずくまることだってあった」
絵里「母が亡くなったという報せを聞いたときも、足が震えて崩れ落ちそうになった」
絵里「けれど…希の前では強くいなくちゃ行けないと思った」
絵里「希の前では弱音を吐いてはいけないと思った」
絵里「私が弱音を吐いたら…希は、また立てなくなることを知っていたから…」
絵里「希の為に…私は強くなるしか無かった…」
絵里「…それからの人生は…常に希のことを考えての毎日だった」
絵里「なんとかして、希を立ち上がらせたい――」
絵里「もう一度――希と一緒に、コーヒーを淹れたい」
絵里「そんな夢を、私はずっと持ち続けて…頑張ってきた」
絵里「…お婆様や、親戚の人、知人に…たくさん迷惑もかけた」
絵里「無理を承知でお願いもした」
絵里「でも、希のためだったら頑張れた」
絵里「希と一緒に、あの日々を取り戻せるのならば…それぐらいの苦労も厭わなかった」
絵里「だって…私には…」
絵里「母がいなくなった私には、希しかいなかったから…」
絵里「…私には、希が全てだったのよ…!」
希「…」
希「今まで…そんなえりちの想いに…気が付いてあげられなくて…っ」
希「私は…自分のことしか考えられないバカだったから…」
希「鈍感で弱くて…教えられたこともロクに覚えられないダメダメな子だったから…!」
希「ウチは…いろんな人に大切なことを教えてもらって…」
希「ようやく…えりちの隣りに来れた気がする…っ!」
絵里「希…っ」ギュ
希「えりち…っ!」
絵里「…希」
希「なに…?」
絵里「私は今まで…あの日々を取り戻すために頑張ってきた…」
希「うん…」
絵里「でも…その過程で私は、あらゆる経験値を積んできた…」
絵里「こことは違う場所で…地位も築いてきた」
絵里「私は…この喫茶店を維持することはできても…今更戻ることはできない…」
希「そう、だよね…」
絵里「だからね、私はあなたと一緒に旅立ちたいの――」
絵里「この喫茶店を店じまいして、新しい人生の一歩を、二人で踏み出したい――」
絵里「…母の思い出は、私達の中にある」
絵里「店を無くしたからといって、潰えるものではないと思ってるから…」
絵里「それが…希の為でもあると、思っているの…」
絵里「どう、希…?」
絵里「私は決して、押し付ける気はない…」
絵里「だから――選択肢はあなたに委ねる」
希「…」
希「えりち…」
希「…そんなの、答えは決まってるやん――?」
絵里「それじゃあ…」
希「――でもその前に…ちょっといい?」
絵里「…? ええ…」
トコトコ…
希「…んーっと」
希「これかな?」
絵里「…テーブルの下に潜って…なにしてるの…?」
希「…こほん」
希「こそこそ隠れて聞いてるとみんなワシワシするでーーーーーーー!!!?」キーン
カランコロン!!
凛「ワシワシは勘弁するにゃーーーっ!!///」
穂乃果「そうだよ! 穂乃果の胸はにこちゃんだけのものなんだからぁ!!///」
花陽「…っ///」ペコペコペコ!!
絵里「え…?」
希「あ、あれ…穂乃果ちゃん…?」
穂乃果「え、えへへ…///」
希「てっきり…ことりちゃんと花陽ちゃん、凛ちゃんあたりが盗み聞きしてるだけかなと思っとったんだけど…」
ことり「えへへぇ〜…♡」テヘ
凛「り、凛とかよちんは関係ないよ! 無罪だよ!!」
海未「ど、どうも…///」チラ
真姫「…///」
希「海未ちゃんに真姫ちゃんまで…」
にこ「しばらくね…」
希「えぇ、にこっちまで…」
希「え、なにこの人数、全員集合――?」
にこ「…何をもって全員なのかは知らないけど、ほとんどがお互いに知りあいなんじゃないの?」
希「…」
希「…みんな、ウチの告白…聞いてたの…?///」
穂乃果「う、うん…///」
海未「はい…すみません…///」
真姫「不可…抗力よ…っ///」カァー
凛「犯人はこいつだよっ!///」ビシ
ことり「えへへ〜…どうしても希ちゃんの告白聞きたくてぇ〜…☆」
花陽「…っ///」ペコペコペコ
にこ「…まったく、とんでもない悪人がいたもんだわ」
希「///」カァー
絵里「…な、なによ…なんなのよ…」
ことり「…ふふ、絵里ちゃん」
絵里「ことり…」
ことり「…お疲れ様♪」
絵里「聞いていたのね…///」
ことり「絵里ちゃんのそんな顔見られるなんて、一生思わなかったよぉ…♪」
絵里「怒るわよ…?///」
ことり「じょうーだん☆」
ことり「でも、今までの辛い時をことりは知ってるから…」
ことり「その笑顔は、本当に眩しいんだよ――?」
絵里「…///」
ことり「…絵里ちゃんの想い、しっかり聞かせてもらったよ――」
ことり「今まで、頑張ったね…」
ことり「希ちゃんとお幸せにね…♪」
絵里「…ありがとう…ことり…」
凛「…いいこと言って誤魔化すつもりだよ、この犯罪者」ジト
ことり「な、なんのことかなぁ〜☆」エヘヘ
穂乃果「…希ちゃん」
希「穂乃果ちゃん…///」
穂乃果「…ふふ、希ちゃんの告白…全部聞いてたよ♪」
希「う、うん…///」
穂乃果「やっぱり希ちゃんは強いよ…!」
穂乃果「穂乃果が思った通り…♪」
穂乃果「穂乃果の視線から逃げなかった希ちゃんだもん…」
希「…穂乃果ちゃんのおかげだよ」
希「この強さは、穂乃果ちゃんに教えてもらったものやもん…」
希「穂乃果ちゃんがいなければ、今のウチはない…」
穂乃果「…そんなことないよー」
穂乃果「もしかしたら穂乃果がそのキッカケを与えたかもしれないけど」
穂乃果「やっぱりそれは、元から希ちゃんが持っていたものだと思うから…」
穂乃果「さっきの希ちゃんみたく言えば、運命ってヤツなんじゃない――?」クス
希「…もう、穂乃果ちゃんったら///」
穂乃果「あははっ♪」
希「ふふ♪」
海未「運命――そういう風に捉えるのは面白いですね」クス
希「海未ちゃん…。まさか海未ちゃんまで聞いてるとは思わなかったわ…」
海未「あ、い、いえ…! 聞いてしまったのはその…たまたまというか偶然というか…///」
海未「それこそ、運命というヤツでして…///」
希「へぇ〜…盗聴器で人の告白聞くのが運命なんー…?」
海未「そそそ、それは…あぅ…///」
希「あっはは♪ 冗談やよー! 海未ちゃんがそんなことする子やないってのは分かっとるでー♪」
海未「そう言っていただけると…///」
希「まぁ、ことりちゃんに染まらないように気をつけて欲しくあるけどな♪」
海未「…はい」クス
ことり「二人共、ことりの悪口言ってるのぉ〜…?」
海未「希さん…私はあくまでも、このお店のお客その一…」
海未「私に何を言う権利もありません」
海未「希さんの選択――心して受け取りたいと思います」
希「…ありがとう、海未ちゃん」
海未「…♪」ニコ
真姫「――何も言う権利もない…か」
希「真姫ちゃん…」
真姫「そうよね…私には何も言う権利がないものね」
希「…真姫ちゃん、その…な…?」
真姫「いい。何も言わないで」
希「ん…」
真姫「…元から勝ち目のない勝負だったのだから」
真姫「この店は、私にとって居心地のいい空間だった…」
真姫「それだけ――…」
希「…」
真姫「――ただね」
真姫「希の選択に対して、私は何も言えないけど…」
真姫「希の選択したその先を私がどうしようと、それは私の勝手でしょう――?」
希「う、うん…そうやね…」
真姫「それがきっと、私の運命よ」
希「…」
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