千歌「もう一度ラブライブ!」
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ワァァァ…
千歌「・・・・・・聞こえるね。歓声が」
梨子「うん・・・・・・」
千歌「戻ってきたんだね。私たち」
曜「・・・・・・そうだね」
ギュッ
千歌「こうやって、舞台裏で、3人で手を握ってると・・・・・・」
千歌「思い出すね。あの時の、ファーストライブ」
曜「あそこから・・・・・・始まったんだよね。私たちは」
梨子「そして・・・・・・これが、最後のライブ」
千歌「・・・・・・よし」
千歌「行こう!」
千歌「もう一度・・・・・・ラブライブ!」
〜♪
千歌(始まった。伴奏)
千歌(動かなきゃ。歌わなきゃ)
千歌(やらなきゃ。頑張らなきゃ)
千歌(失敗できない。優勝する。なんのため? わかんない。だって去年も優勝したし)
千歌(だから、私たちはこんな所で――)
ズルッ
千歌「え?」
バタッ
千歌「―――」
千歌「え?」
梨子「!!」
曜「千歌ちゃ、」
千歌(なんで? 目の前に、壁があるの?)
千歌(壁じゃない? 床?)
千歌(なんで――なんで私、)
千歌(転んでるの?) 曜「―――!!」
梨子「・・・・・・!!」
千歌(曜ちゃんと梨子ちゃんの声が、聞こえない)
千歌(起きなきゃ。駄目だよ。失敗できないんだよ)
千歌(待って。待ってよ。私は、私たちは、Aqours)
千歌(去年の優勝チーム。全国の憧れの的。あの、Aqours)
千歌(だから、こんな所で・・・・・・転んでる訳には・・・・・・!)
千歌(お願い、待ってよ!!)
千歌(頭の中が、真っ白になって)
千歌(気づいたら、曲が終わっていて)
千歌(私の、人生最悪のステージは――)
千歌(あっけないまま、終わってしまった)
千歌(そして――)
Aqoursここから立ち直れるのか…
ルビィ達のグループの名前が気になる ちょっと気になってアニメ7話見返したら確かにHOPANGELってグループいるな
Aqoursの横で泣いてるグループも 〜函館 聖泉女子高等学院 スクールアイドル部部室〜
ルビィ「・・・・・・!!」
ガタッ
ルビィ(ツイッターの、タイムラインに――“その情報”が、流れてきたのを目にして)
ルビィ(私は思わず、その場から立ち上がっていた)
バタバタ
ガラッ!
理亞「――ルビィ!!」
善子「今、私のスマホのツイッターに流れてきたんだけど、」
花丸「千歌ちゃんたちが・・・・・・!!」
ルビィ「・・・・・・・・・」
ルビィ「千歌ちゃん・・・・・・」 〜ラブライブ予備予選会場 選手用出入口〜
千歌(予選が終わっても――私の頭は、真っ白のままで)
千歌(他のグループのパフォーマンスなんて、全然頭に入ってこなかった)
千歌(曜ちゃんや、梨子ちゃんが話しかけてくれるけど――それも、頭に入ってこない)
千歌(何してるの? 何してるの、私?)
千歌(よりによって。大事な予選で。こんな。こんな)
千歌(絶対に失敗できなかったのに。Aqoursは、優勝チームなのに。人気者なのに)
千歌(私のせいで――)
千歌「――曜ちゃん、梨子ちゃん」
ピタッ
曜「!」
梨子「千歌ちゃん・・・・・・」 千歌「ごめん・・・・・・本当にごめん。私のせいで」
千歌「謝って済むことじゃないけど――でも、」
曜「だ、大丈夫だよ! ちょっとミスしちゃっただけだし!」
梨子「予備予選の結果発表はまだ先だし、予選通過出来ないって決まった訳じゃ――」
千歌「いいよ――いいよ。慰めてくれなくて」
梨子「!」
千歌「ちょっとのミスどころじゃない。大失敗だよ」
千歌「あの後、どこをどう踊ったのか、わからないぐらい、めちゃくちゃになっちゃって――」
千歌「去年のSaint Snowと同じだよ。もう・・・・・・駄目だよ」
千歌「私のせいで・・・・・・!」
曜「・・・・・・千歌ちゃん! もういいから!」
梨子「落ち着いて・・・・・・!」 女生徒A「あのー・・・・・・」
女生徒B「先輩たち」
曜「あ、みんな!」
梨子「残っててくれてたんだ、」
女生徒C「私たち、もう帰ってもいいっすかぁ?」
女生徒D「もう用ないですよね?」
梨子「え・・・・・・それは・・・・・・」
千歌「――みんな!」
ペコッ
千歌「ごめん・・・・・・ごめん、私のせいで!!」
千歌「みんな、ラブライブ目指して、入部してくれたのに・・・・・・!!」
曜「ち、千歌ちゃん!」
女生徒たち「・・・・・・・・・」
シラーッ 女生徒E「・・・・・・別に、謝ってくれなくていいです」
女生徒F「じゃ、私たち、帰りますので」
スタスタ…
千歌「・・・・・・・・・」
女生徒A「――あーあ。なんか白けちゃった」ヒソ
女生徒B「偉そうにしといて、何よアレ。最低じゃん」ヒソ
女生徒C「あれならウチらの方が上手く出来るっての。なっさけな」ヒソ
女生徒D「スクールアイドルで有名になろうと思ったのに、パーだよ」ヒソ 曜「ちょ――」
曜「ちょっと!!」
千歌「駄目、待って、曜ちゃん!!」
千歌(立ち去っていく後輩たちに向かっていこうとした曜ちゃんを、私は押しとどめる)
曜「千歌ちゃん、でも――!!」
千歌「いいの!! だって私が悪いんだもの!」
千歌「みんなが――悪いわけじゃない。だから・・・・・・」
曜「千歌ちゃん・・・・・・」
梨子「千歌ちゃん・・・・・・」 記者A「――Aqoursの皆さん! インタビューよろしいですか!?」
記者B「今回のパフォーマンスについて、何か一言!」
記者C「ミスがあった背景には、やはりメンバー脱退の影響もあったのでしょうか!?」
記者D「予選敗退濃厚との声もありますが、前回大会優勝チームとしてどうお考えですか!?」
千歌(出入口から外に出た私たちに、)
千歌(待ち構えていた記者の集団が、一瞬で群がる)
梨子「ちょ、ちょっと・・・・・・! 困ります!」
曜「今は、そういうのは答えられませんから・・・・・・!」
むつ「――千歌たち!」 千歌(その時、私たちと記者の人たちの間に割って入ったのは――)
千歌(むっちゃんたち、3人)
よしみ「Aqoursはインタビューには答えられません!」
いつき「お引取りください!」
記者A「なんだ君らは!?」
記者B「邪魔するな!」
むつ「私たちが止めとくから、今のうちに早く!」
曜「みんな・・・・・・!」
梨子「ありがとう!」
千歌(むっちゃんたちが、揉み合っている間に――)
千歌(私たちは、足早に、その場から立ち去った) 曜「――参ったね、さっきの人たち」
梨子「大丈夫だった? 千歌ちゃん」
千歌「う、うん・・・・・・」
曜「志満さんが迎えに来てくれてるはずだから、早くそっちに・・・・・・」
ザッ
せつ菜「・・・・・・・・・」
果林「・・・・・・・・・」
かすみ「・・・・・・・・・」
千歌「・・・・・・!」
曜「貴方たちは――」
せつ菜「」ツカツカ
グイッ! せつ菜「・・・・・・ふざけないでよ・・・・・・」
フルフル
千歌(歩み寄り、私の胸ぐらを掴んだせつ菜さんの手が――)
千歌(小刻みに、震える)
せつ菜「ふざけないでよっ!!」
千歌「・・・・・・・・・」
せつ菜「私は・・・・・・私たちは。去年、あと一歩で負けて・・・・・・」
せつ菜「悔しかった。死ぬほど悔しかった。今までの人生で、一番、泣いて、泣いて――」
せつ菜「だけど・・・・・・だけど!」
せつ菜「貴方たち、Aqoursに・・・・・・本当に、憧れたんです・・・・・・!」
千歌「・・・・・・!!」 せつ菜「全くの無名から、快進撃を続けて・・・・・・廃校になる母校の名を残すために、懸命になって・・・・・・」
せつ菜「悔しかったけど。貴方たちの歌とダンスは、素晴らしかった。輝いてた」
せつ菜「たくさんの、勇気をもらって・・・・・・私たちも、いつか貴方たちを、超えたいって、心から思うようになりました」
せつ菜「そのチャンスが、ようやくこうして、巡ってきた――」
せつ菜「――なのに!!」
キッ!
せつ菜「あれがAqoursの実力!? 馬鹿にしないで!!」
せつ菜「ミスだけじゃない!! そこから立ち直ることも出来なかった!!」
せつ菜「歌やダンスだって、去年とは全然違った!! 声も出てないしキレも無い!!」
せつ菜「これが、Aqoursだなんて――貴方たちを超えるために、必死で練習してきた私たちは、なんだったんですか!?」
せつ菜「貴方たちに憧れて、貴方たちを目指した、日本中のスクールアイドルは、なんだったんですか!!」
千歌「―――」 果林「――せつ菜!」
グイッ
果林「・・・・・・やめなさい、もう」
かすみ「そうですよ、先輩」
かすみ「もういいですよ・・・・・・こんな人たち」
果林「かすみちゃんも!」
曜「・・・・・・・・・」
梨子「・・・・・・・・・」
せつ菜「・・・・・・・・・」
せつ菜「・・・・・・すみませんでした」
クルッ
せつ菜「私たちは、次のステージに向けて、頑張ります」
せつ菜「――ありがとうございました」
スタ…スタ…
千歌(せつ菜さんたちは――私たちに背を向けたまま、立ち去っていった)
千歌(私たちは、その背中を見つめたまま、何も言うことが出来なかった――) ………
志満「お疲れ様。疲れたでしょう」
千歌(帰りの車の中。志満ねえは、優しくそう言っただけで)
千歌(その他には、何も言わなかった)
………
美渡「千歌〜! 晩ご飯、出来てるよ」
美渡「今日は、あんたの好きなおかずだから」
千歌(十千万旅館に帰ってきた私に――美渡ねえが、声をかけた)
千歌(その声色は――いつもより、ちょっとだけ、優しい気がした) 梨子「千歌ちゃん・・・・・・」
梨子「大丈夫?」
千歌「・・・・・・・・・」
千歌「・・・・・・うん。少し、考えてみるね」
千歌「・・・・・・これからの、こと」
千歌母「――千歌」
千歌「――お母さん。帰ってきてたんだ」
千歌母「お疲れ様」 千歌母「――ね、千歌」
千歌母「あなたが飛ばした、紙飛行機は――」
千歌母「今もまだ、飛んでるの?」
千歌「・・・・・・・・・」
千歌(私は、答えることが出来ず――)
千歌(無言で、家の中に入ることしか出来なかった) ……………
………
曜「・・・・・・・・・」
曜(私・・・・・・さっき。千歌ちゃんが、志満さんの車に乗り込む時・・・・・・)
曜『千歌ちゃん――やめる?』
曜『スクールアイドル――やめる?』
千歌『・・・・・・・・・』
曜(あああ・・・・・・)
曜(違う。本当は、もっと本音で、ぶつかりたいのに)
曜(千歌ちゃんの本音だって、弱音だって、聞きたいのに)
曜(何も変わってないじゃん。私・・・・・・) ……………
………
〜♪
ピタッ
梨子「・・・・・・・・・」
梨子(ピアノを弾いても――心が晴れない。澱んだまま)
梨子(まるで――内浦に引っ越す前に、戻っちゃったみたい・・・・・・)
ポロン…
梨子(去年は・・・・・・本当に、楽しかったのに)
梨子(いつの間に・・・・・・ピアノを楽しく、弾けなくなっちゃったんだろう・・・・・・) ……………
………
千歌(暗い、自分の部屋の中で)
千歌(私は、色々な雑誌や新聞からの、Aqoursの記事の切り抜きを眺める)
『浦の星女学院スクールアイドル部 Aqours ラブライブ初制覇!!』
『小さな町から生まれた奇跡のスクールアイドル Aqours優勝への軌跡』
『Aqoursフィーバー 沼津への観光客数増加に地元も期待』
『笑顔でインタビューに答える高海千歌リーダー ファン急増』
千歌「う・・・・・・うう・・・・・・う、」 千歌「うあああああっ!!」
ビリッ!
ビリビリバリッ!
グシャグシャッ
千歌(私は――)
千歌(浮かれてた、だけだったの?)
千歌(夢も、目標も、無くなって。空っぽになって)
千歌(ただ、周りに騒がれて――持ち上げられて――乗せられて)
千歌(空っぽのまま。その熱に、浮かれてた――だけだったの?)
千歌(なんなの? 今の、私は――) ……………
………
千歌(――数日後)
千歌(ネットで、予備予選の結果が発表され)
千歌(前年度優勝チーム、Aqoursは――)
千歌(夏のラブライブ予備予選、敗退に終わり)
千歌(私たちの、夏は――終わりました)
>>147
>>149
どこをどう読んだらそうなるのか いやそうだろ
自分本位の新入部員どもはもちろん、特に千歌達3年生には過程で相談せずに出て行った2年組がクズすぎる
去年果南ダイヤと鞠莉が腹割って話し合わなかったことですれ違ってたのを見て何も学んでないのか?
特にルビィはダイヤをずっと見て来たのに
こいつら家や図書室に引きこもってたときからAqours9人での活動を経ても何も変わってない 1年がことりちゃんみたいやなとは思った
こっちは出てっちゃったけど >>151
いや何度も相談しようとしたって言ってるじゃん
そりゃ何がなんでも相談しようと思えば出来るかもしれないけど
果南たちやことりみたいにすれ違いが重なって取り返しつかない所まで来てしまったって解釈したけどな 結局こうなった原因は1年にもあるからな
無理にでも話すべきだった
ことりが叩かれたのはこういうとこ 相談しようとした、は言い訳にならないからな
新一年は当然ながら浮かれていた千歌達も何も言わなかったルビィ達も悪い
そういう所がまた面白いんだよなぁ 勝手に崇拝して勝手に失望して罵詈雑言ぶつける虹も中々酷い
こんな人間性では頂点取れるとは思えん |c||^.- ^|| まぁまぁ、皆さん温かく見守ろうではありませんか サンシャインのアニメよりはずっとマシやろ
全然いける まあここでなんだかんだ熱心に長文レスしてる人もその分SSの内容に引き込まれてるってことだし
まんまと作者の手の内にいるって感じがしなくもない 内容について活発に議論されるのも名作の条件のひとつだしな
とにかく続き楽しみにしてるぞ ウルセー! ∫∫( c||^ヮ^||ノ)`.-' ||ボコッ ルビィは函館で芽生えたはずの自主性すっ飛ばして独善的な人間になってしまったな
これじゃまるで成長したとは言えないし姉たちと同じ轍を踏むのかな? でもなあサークルで上の代が尽くやる気なかった身からするとルビィちゃんたちの気持ちもわかるんだわ
見限ってスパっと環境リセットしたくなるもの リセットしたかったのは分かる
だが自分達でAqoursを改革していくという道を選ばなかったのも事実
自分達が先輩に変わって後輩達をまとめていくという道もあった、その結果後輩達が辞めていくなら仕方ない
結局険しいようで楽な道を選んだってわけよ 話し合ったところで千歌たちが辞めるか将来のことを蔑ろにするかしかないから解決のしようがないよな
ルビィ達はいつまでも後輩の気分ではなく忙しい3年の代わりにリーダーシップを取れればよかったんだけどそれも千歌が舞い上がってるから難しいわな ウルセー! ∫∫( c||^ヮ^||ノ)`.-' ||ボコッ 2年組に気を遣ったからこその結果じゃね?
1年組が仕切ろうとしても上が浮かれてるんじゃ
そりゃ下も言うこと聞かないでしょ
現環境で1年組が少数派で、弱い立場にある
Aqoursの9人なら話し合えてたけど
中途半端な人間が増えてしまったために
話し合いにすらならない
じゃあ自分達(1年組)が別の環境に移るのは得策でしょ
話変わるけど
せつなの感情を剥き出しにする態度に違和感
「どうしてですか?」
って冷静に真っ直ぐ聞くキャラだと思ってた
かもめ @kamomechan
前回優勝のAqoursが予備予選で敗退…
なんでも本番でセンターの子が失敗したらしいけれど
#ラブライブ予備予選
18:20 - 20XX年8月15日
(((┗─y(`A´ ) y-?ケッ!! @juunenhayai
Aqoursの予備予選の動画観たけど、失敗以前に、
ダンスや歌のレベルが去年より数段落ちてて愕然とした。
18:42 - 20XX年8月15日
メノノリ@決勝アキバドーム両日 @rezumajin
去年の優勝メンバー9人の内、3人が卒業、3人は脱退して転校。
こんな状態じゃ、そりゃ無理でしょ
#Aqours
#ラブライブ予備予選
19:12 - 20XX年8月15日
サファイア @kurosawakenoyami
今さらだけど、予選で敗退したAqoursの2年生3人が抜けたのって
やっぱりなんかチーム内でトラブってたんだろうなあ
文春砲はよ
19:27 - 20XX年8月15日
【悲報】前回ラブライブ覇者Aqours、予選敗退
1 :名無しで叶える物語(地震なし):20XX/08/15(水) 19:03:38.04 ID:LewjPF+h
地区予選すら行けず予備予選で敗退の模様
2 :名無しで叶える物語(茸):20XX/08/15(水) 19:04:22.94 ID:dm9Tc7qN
まーた地震なしの立てたクソスレかよ
3 :名無しで叶える物語(もんじゃ):20XX/08/15(水) 19:04:58.53 ID:/d0zKdXd
だけど予選落ちは事実だしな
まああんな大失敗した以上予想通りだけど
4 :名無しで叶える物語(SB-iPhone):20XX/08/15(水) 19:06:01.06 ID:pjnErMYC
残当
大体去年はともかく今年のAqoursは過大評価もいいとこだろ
5 :名無しで叶える物語(たこやき):20XX/08/15(水) 19:06:37.41 ID:mfZSBCCS
Aqoursで内紛あって津島と国木田と黒澤妹が抜けたってマジ?
6 :名無しで叶える物語(しうまい):20XX/08/15(水) 19:07:12.85 ID:74eZl089
所詮メンバー次々に抜けたAqoursなんてこの程度ってことでしょ
7 :名無しで叶える物語(やわらか銀行):20XX/08/15(水) 19:08:09.11 ID:2lCn6+uo
結局Aqoursも話題性だけの一発屋だったってこと
廃校になる学校の名前を残すって美談が受けてただけでメッキが剥がれればこんなもん
8 :名無しで叶える物語(庭):20XX/08/15(水) 19:08:50.73 ID:v2XuzC2I
Aqours終わったな
〜沼津市内の高校、部室に向かう廊下〜
千歌「・・・・・・・・・」
スタ…スタ…
千歌(予備予選の結果発表から、また数日)
千歌(夏休みの学校の廊下は、静かで――)
千歌(時折、グラウンドから、部活に励む生徒の声が聞こえてくるくらい)
千歌(前は頻繁に来ていた、取材やアポなしの記者も――今はもう、めっきり現れなくなり)
千歌(校舎を歩けば聞こえた黄色い声も、今はありません) 千歌「・・・・・・・・・」
グッ
千歌(部室の扉の前に立ち――しばし私は、扉を開けるのを躊躇する)
千歌(だけど私は、意を決して――)
ガチャッ!
千歌「おはよー!! ごめん、遅れちゃったね!!」
千歌「今日も部活、張り切っていこう!!」
梨子「・・・・・・・・・」
曜「千歌ちゃん・・・・・・」 千歌(2ヶ月前は――ルビィちゃんや善子ちゃん、花丸ちゃんがいて)
千歌(ついこの間まで、新入生たちでにぎわっていた部室も――)
千歌(今いるのは、私と、梨子ちゃんと、曜ちゃんの――3人だけ)
千歌「いやー、今日も暑いけどいい天気だね! 絶好の練習日和だよ!」
千歌「今日は何しよっか? ダンス、歌、衣装作り――」
曜「――千歌ちゃん!」
ギュッ
千歌(曜ちゃんが――私の体を、抱きしめた)
曜「いいんだよ、もう・・・・・・無理しなくったって・・・・・・!」
曜「つらいなら・・・・・・言ってくれて、いいんだよ・・・・・・!」
千歌「・・・・・・・・・」 千歌「1年生の・・・・・・みんなは?」
梨子「・・・・・・千歌ちゃんが来る、少し前。退部届を、出しに来たわ」
梨子「やっぱり、みんな・・・・・・部に残るつもりは、ないみたい」
千歌「そっか・・・・・・」
千歌「当たり前だよね。あんなステージ、見せたら・・・・・・」
曜「千歌ちゃん・・・・・・!」
曜「ごめん。私ももっと部活に出て、1年生をしっかり指導出来てたら・・・・・・!」
梨子「私の方だって――!」
千歌「ううん。曜ちゃんと梨子ちゃんのせいじゃないよ」
千歌(私はそっと、曜ちゃんの腕をほどくと――)
千歌(机の上に、軽くお尻を乗せた) 千歌「・・・・・・・・・」
千歌「また・・・・・・ゼロになっちゃったね」
曜「・・・・・・!」
梨子「ゼロ・・・・・・」
千歌「Aqoursを作って。9人になって。一生懸命頑張って」
千歌「ラブライブに優勝して。学校の名前を残して」
千歌「ゼロだったものが――百にも、千にもなったのに」
千歌「また――ゼロに、戻っちゃった」
千歌「・・・・・・・・・」
千歌「私――空っぽだったんだと思う」
千歌「ルビィちゃんたちみたいに、新しい夢や目標に、真剣に取り組む訳でもなく」
千歌「ちやほやされて、浮かれてただけだったのかな――って」
曜「そんなこと――!」 千歌「ね――曜ちゃん、梨子ちゃん」
千歌「もう――おしまいにしよっか」
梨子「――!」
曜「千歌ちゃん・・・・・・!?」
千歌「私・・・・・・目的が、なくなっちゃったのかもしれない」
千歌「ラブライブに優勝して、学校の名前を残して――」
千歌「その時点で、私にとってのラブライブは、終わっちゃってたのかな――って」 千歌「果南ちゃんたちは、Aqoursをどうするか、自分たちで決めるように、って言ってくれた」
千歌「正直――こんな中途半端な状態で続けてても、果南ちゃんたちにも――Aqoursそのものにも、失礼な気がする」
千歌「曜ちゃんや梨子ちゃんには、大事な進路もあるんだし――迷惑は、かけられないよ」
千歌「だから、もし、ふたりさえ良かったら。これで――」
曜「私たちは、そんな――!」
梨子「・・・・・・・・・」
梨子「それが――」
梨子「それが、千歌ちゃんの、本音?」
千歌「――っ」
千歌(私が、一瞬答えに詰まった、その時、)
ブルルルッ! 千歌(手にしていたスマホが震えて、私は反射的に、画面を見る)
千歌(ツイッターの通知に、表示されていた文字は――)
千歌「ラブライブの、北海道地区予選の・・・・・・結果が、出たって・・・・・・!」
梨子「それじゃあ――」
曜「善子ちゃんたちは!?」
千歌(梨子ちゃんと曜ちゃんも、私のスマホの画面を覗き込む)
千歌(私が、ツイッターを開くと――そこに現れたのは、)
『函館聖泉女子 新生“Saint Quartet Snow”』
『惜しくも、ラブライブ決勝進出ならず』
千歌(そこに映っていたのは、決勝進出を逃し――)
千歌(大粒の涙を流す、理亞ちゃん、ルビィちゃん、花丸ちゃん、善子ちゃんの写真だった)
曜「『前回大会優勝のAqoursからの移籍メンバー加入で話題を呼んだ“Saint Quartet Snow”だったが――』」
曜「『地区予選の結果は5位に終わり、残念ながら決勝進出の3位以内入賞はならなかった』――か」
梨子「惜しかったね・・・・・・」 『決勝進出は逃したものの、急造チームでの不利を覆す、上位入賞を果たした“Saint Quartet Snow”』
『リーダーの鹿角理亞は、大会後のインタビューで、次回こそ決勝進出を果たすことを力強く語った』
千歌「そっか・・・・・・」
千歌「みんな・・・・・・頑張ってるんだ・・・・・・」
千歌(写真に写る、涙を流すルビィちゃんたちは――本当に、悔しそうで)
千歌(それでも、その目は、まっすぐ前を向いていた――)
千歌(今の、私に――)
千歌(このルビィちゃんや、花丸ちゃん、善子ちゃんほどの――)
千歌(強い意志は、ある?) 千歌「・・・・・・・・・」
千歌「今日は・・・・・・終わりにしよっか」
曜「千歌ちゃん、さっきの話・・・・・・」
千歌「うん。ごめんね、急に・・・・・・」
千歌「帰って・・・・・・もう一度、考えてみるよ」
千歌「それで、明日・・・・・・また、3人で、話し合おう・・・・・・」
梨子「うん・・・・・・」 ………
千歌(帰り道――仲見世商店街の前を、通りかかり)
千歌(そこに掲げられていた横断幕が、目に入る)
『Aqoursのまち ぬまづ みんなでAqoursを応援しよう!』
千歌「・・・・・・っ」
ズキッ
千歌(ついこの間まで、スクールアイドルのファンらしき人たちでにぎわっていた商店街)
千歌(私たちが通りかかると、すぐに人だかりができた)
千歌(でも、今は――人もまばらで)
千歌(どこか物寂しい中、横断幕が虚しく揺れていて)
千歌(私は、思わず目をそらし――足早に、その場を立ち去った) ………
千歌「・・・・・・ただいま」
美渡「お帰りー、って、今日は練習じゃなかったの?」
千歌「うん・・・・・・」
スタスタ…
志満「千歌ちゃん・・・・・・」
美渡「・・・・・・やっぱ、相当こたえてるみたいだね」
千歌母「・・・・・・・・・」 千歌「・・・・・・・・・」
ゴロッ…
千歌「また、ゼロに・・・・・・戻っちゃった」
千歌「これからの、私たち・・・・・・か・・・・・・」
――それが、千歌ちゃんの、本音?
千歌「・・・・・・・・・」
千歌「私の、本音・・・・・・」
千歌「もう、わかんないよ・・・・・・そんなの・・・・・・」 千歌(部屋のベッドの上で、転がっていても――)
千歌(気持ちが、晴れるわけもなく)
千歌(答えが、出せるわけもなく)
千歌(私は、なんとなく――外に出て、歩き出した)
千歌「・・・・・・・・・」
ザン…ザザン…
千歌(海と・・・・・・空と・・・・・・内浦の、町)
千歌(この景色だけは・・・・・・変わんないな・・・・・・) カナカナカナ…
千歌(・・・・・・そっか)
千歌(夏も、終わりに差し掛かってるんだ・・・・・・)
ザン…ザザン…
千歌(私の、足は――自然と)
千歌(“あの場所”に、向かっていた)
千歌(私たちの、思い出が―― 一番たくさん、詰まった場所)
千歌(――浦の星女学院に) ………
カナカナカナ…
千歌(私は、学校の前に立った)
千歌(西日が校舎を照らして、白い壁が、みかん色に輝いていて)
千歌(なんだか――この場所に来るのも、久しぶりな気がする)
千歌(去年までは――この場所を、守るために)
千歌(毎日、通ってたのにな――)
ギィ…
千歌「!」
千歌(門がきしむ音がして――視線を向けると、)
千歌(校門が――少しだけ、開いていて)
千歌「・・・・・・・・・」
千歌(私は――何かに、吸い寄せられるように)
千歌(そっと、学校の中に入った) 千歌「・・・・・・・・・」
ザッ…ザッ…
千歌(誰もいない、グラウンドを――歩く)
千歌(遠目から見ると、私たちが通っていた頃と変わりないように見えた学校も)
千歌(こうして中を歩くと、あちこちに雑草が伸びていて)
千歌(この学校が、廃校になったんだということを――否応なしに、思い知らされた)
千歌「頑張ったんだけどな――」
千歌「ごめんね――守って、あげられなくて」 千歌「・・・・・・・・・」
千歌(私は――プールを臨む、階段の上に立った)
千歌(そこからの眺めは、すっごく良くて)
千歌(西日に煌めく、内浦の海と、その向こうの富士山が、見渡せた)
千歌(そういえば、この場所で――)
果南『おおぉーーいっ!! 浦の星は、いい学校だぞーーっ!!』
曜『お〜〜〜い! 絶対後悔させないぞぉーー!!』
千歌『みんな、いい子ばっかだぞぉーーー!!』
梨子『私が〜〜保証するぅ〜〜〜!!』
千歌(結局――廃校は、止められなかったけど)
千歌(でも――名前は、残せたんだよね)
千歌(浦の星の名前は、永遠になったんだよね――)
ギュッ…
千歌(私は、その場に座り込み――)
千歌(両足を抱えて、顔を伏せた)
千歌(去年は――やりたいことがあった)
千歌(成し遂げたいことがあった)
千歌(だから、むちゃくちゃな夢でも、がむしゃらになって、走り続けられた)
千歌(だけど――)
女生徒A『――あーあ。なんか白けちゃった』
女生徒B『偉そうにしといて、何よアレ。最低じゃん』
せつ菜『これが、Aqoursだなんて――貴方たちを超えるために、必死で練習してきた私たちは、なんだったんですか!?』
せつ菜『貴方たちに憧れて、貴方たちを目指した、日本中のスクールアイドルは、なんだったんですか!!』
ルビィ『千歌ちゃんにとって、今のこの日々は――“輝いてる”?』
ルビィ『私には――“輝いてる”とは、思えない』
千歌「・・・・・・・・・」
ギュッ
千歌「今の私が、やりたいこと――」
千歌「そんなの・・・・・・」
「――いい景色ですね」
千歌「――!?」
千歌(はっと、顔を上げ)
千歌(振り返ると――そこに、立っていたのは)
聖良「――本当に、綺麗」
聖良「とっておきの、場所ですね」
千歌(そこに、立っていたのは)
千歌(かつて、妹の理亞ちゃんと共に、スクールアイドル“Saint Snow”として、活躍した――)
千歌「せ・・・・・・」
千歌「聖良、さん・・・・・・!?」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています